男性の抜け毛量の目安と対策｜1日に抜ける髪の量

「最近シャンプーやブラッシング時の抜け毛が増えた気がする」「枕につく髪の毛が多くなった」といった相談が増えています。

男性にとって、1日に抜ける髪の量は気になる問題です。正常な範囲なのか、それとも薄毛のサインなのか不安になる方も多いでしょう。

この記事では、男性の1日の正常な抜け毛量の目安、抜け毛が増える原因、そして今日から始められる対策について詳しく解説します。

1日の抜け毛はどのくらいが普通？男性の目安量

髪の毛は一定のサイクルで生え変わりを繰り返しており、それに伴って毎日ある程度の髪が自然に抜けています。

正常なヘアサイクルとは

髪の毛1本1本には寿命があり、生えてから抜け落ちるまでの一連の流れを「ヘアサイクル（毛周期）」と呼びます。

ヘアサイクルは主に3つの期間に分けられます。

このサイクルが正常に機能していれば、髪は一定の太さと長さを保ちながら生え変わります。

しかし、何らかの原因でこのサイクルが乱れると、抜け毛が増えたり髪が細くなったりします。

1日の平均的な抜け毛本数

健康な成人男性の場合、1日に抜ける髪の毛の数は平均して50本から100本程度と言われています。これは、前述のヘアサイクルの休止期に入った髪の毛が自然に抜け落ちるためです。

シャンプー時やブラッシング時、あるいは睡眠中に抜けることが多く、これらの合計がこの範囲内であれば過度に心配する必要はありません。

ただし、これはあくまで目安であり、個人差があります。大切なのは、以前と比べて抜け毛が急激に増えていないか、抜け毛の質に変化がないかなどを観察することです。

1日の抜け毛本数の目安

季節による抜け毛量の変動

抜け毛の量は一年を通して一定ではなく、季節によって変動することが知られています。特に秋（9月〜11月頃）は、抜け毛が増えやすい時期とされています。

これは、夏の間に浴びた紫外線のダメージや気温の変化、動物の換毛期の名残など、いくつかの要因が複合的に影響していると考えられています。

秋に一時的に抜け毛が増えたとしても、それが一時的なものであれば心配しすぎる必要はありません。

しかし、その量があまりにも多い場合や他の季節になっても抜け毛が多い状態が続く場合は、他の原因も考える必要があります。

抜け毛が増える原因は？考えられる要因

1日に抜ける髪の量が増える背景には、さまざまな原因が考えられます。単なる自然な生え変わりだけでなく、何らかのトラブルサインである可能性もあります。

AGA（男性型脱毛症）の可能性

成人男性の抜け毛・薄毛の最も一般的な原因はAGA（男性型脱毛症）です。

AGAは、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン（DHT）がヘアサイクルの成長期を短縮させることで発症します。これにより、髪の毛が十分に太く長く成長する前に抜け落ちてしまい、徐々に薄毛が進行します。

AGAは進行性の脱毛症であり、放置すると症状は悪化する傾向にあります。

生え際の後退や頭頂部の薄毛といった特徴的な症状が見られる場合は、AGAの可能性が高いと考えられます。遺伝的な要因も関与しているとされています。

生活習慣の乱れ

不規則な生活習慣は、髪の健康にも悪影響を与えます。特に食生活の乱れは、髪の成長に必要な栄養素の不足を招きます。

髪の主成分であるタンパク質をはじめ、ビタミンやミネラルが不足すると、髪が細くなったり抜けやすくなったりします。

また、睡眠不足も髪の成長を妨げる要因です。髪の成長に関わる成長ホルモンは主に睡眠中に分泌されるため、十分な睡眠時間を確保することが大切です。

過度な飲酒や喫煙も血行不良や栄養吸収の阻害につながり、抜け毛の原因となるケースがあります。

ストレスの影響

精神的なストレスや肉体的なストレスも、抜け毛を引き起こす原因の一つです。ストレスがかかると自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮して頭皮への血流が悪くなるときがあります。

血行が悪くなると髪の毛を作る毛母細胞へ十分な栄養が届きにくくなり、髪の成長が妨げられ、抜け毛が増える可能性があります。

• 仕事や人間関係の悩み
• 過労や睡眠不足
• 大きな環境の変化
• 病気や怪我

これらのストレスが長期化すると、円形脱毛症などを引き起こすケースもあります。

頭皮環境の悪化

頭皮は髪の毛が生える土壌であり、その環境が悪化すると抜け毛につながります。

例えば、皮脂の過剰分泌は毛穴を詰まらせ、炎症を引き起こす原因となります。逆に、頭皮が乾燥しすぎると、フケやかゆみが生じ、これもまた頭皮環境を悪化させます。

不適切なヘアケアも問題です。洗浄力の強すぎるシャンプーの使用や洗いすぎ、すすぎ残しは頭皮にダメージを与えます。

また、整髪料の洗い残しなども毛穴詰まりの原因となり得ます。

抜け毛の主な原因とその特徴

抜け毛と薄毛の違いとは？

「抜け毛が多い」ことと「薄毛が進行している」ことは、似ているようで異なります。抜け毛の量だけでなく、その質や頭皮の状態を見ることが重要です。

抜け毛の質に注目する

健康なヘアサイクルによる自然な抜け毛はある程度の太さと長さがあり、毛根部分もふっくらしているものが多いです。

一方、AGAなど何らかの原因でヘアサイクルが乱れているときの抜け毛は、細くて短い、いわゆる「うぶ毛」のような状態で抜けてしまう場合があります。これは、髪が十分に成長する前に抜けてしまっているサインです。

シャンプー時や枕についた抜け毛を観察し、細く短い毛の割合が増えていないか確認してみましょう。

正常な抜け毛と注意すべき抜け毛

薄毛は進行性の症状

薄毛は単に抜け毛が多い状態ではなく、髪の毛自体が細くなったり（軟毛化）、生えてくる髪の本数が減ったりするため、全体的に頭皮が透けて見えるようになる状態を指します。

特にAGAの場合、ゆっくりと時間をかけて進行していくのが特徴です。

抜け毛の増加は薄毛の初期症状であるケースもありますが、必ずしもイコールではありません。

しかし、抜け毛の量が増え、かつ細く短い毛が増えている場合は、薄毛が進行している可能性が高いと考えられます。

見分けるためのポイント

自分の状態が心配な場合、以下の点をセルフチェックしてみましょう。

• 以前と比べて、1日に抜ける髪の毛の数は明らかに増えたか？
• 抜け毛の中に、細くて短い毛が多く含まれていないか？
• 生え際が後退してきた、または頭頂部が薄くなってきたと感じるか？
• 髪全体のボリュームが減り、セットが決まりにくくなったか？
• 頭皮にかゆみやフケ、赤みなどのトラブルはないか？

これらの項目に複数当てはまる場合は、早めに専門医に相談することをお勧めします。

自宅でできる抜け毛対策

抜け毛が気になり始めたら、まずは自宅でできるケアを見直してみましょう。

正しいシャンプー方法

毎日のシャンプーは頭皮環境を清潔に保つために重要ですが、間違った方法で行うと逆効果になる場合もあります。

まず、シャンプー前にはブラッシングで髪のほこりや絡まりを取り、お湯で十分に予洗いします。

シャンプー剤は手のひらで泡立ててから髪につけ、指の腹を使って頭皮をマッサージするように優しく洗いましょう。爪を立ててゴシゴシ洗うのは頭皮を傷つける原因になるため避けてください。

すすぎは特に丁寧に行い、シャンプー剤が頭皮や髪に残らないように注意します。

洗い終わったら、タオルで優しく水分を拭き取り、ドライヤーで頭皮から乾かすようにしましょう。自然乾燥は雑菌の繁殖や頭皮の冷えにつながる可能性があります。

シャンプー時のポイント

• 洗う前にブラッシング
• ぬるま湯で予洗い
• シャンプーは泡立ててから
• 指の腹で優しく洗う
• すすぎは十分に
• ドライヤーで根本から乾かす

バランスの取れた食事

髪の毛は主に「ケラチン」というタンパク質でできています。そのため、良質なタンパク質の摂取は、健康な髪を育む上で基本となります。肉や魚、卵や大豆製品などをバランスよく食事に取り入れましょう。

また、タンパク質の合成を助けたり、頭皮の血行を促進したりするビタミンやミネラルも重要です。

特に亜鉛は髪の主成分であるケラチンの合成に、ビタミンB群は頭皮の新陳代謝や血行促進に関わります。ビタミンEには抗酸化作用があり、頭皮の老化防止に役立ちます。

髪の健康に役立つ栄養素と食品

偏った食事や無理なダイエットは避け、多様な食品からバランス良く栄養を摂取することを心がけましょう。

質の高い睡眠

髪の成長には、睡眠中に分泌される成長ホルモンが深く関わっています。成長ホルモンは毛母細胞の分裂を活発にし、髪の成長を促進する働きがあります。

この成長ホルモンは夜10時から深夜2時の間に多く分泌されると言われていますが、時間帯よりも「睡眠の質」が重要です。

質の高い睡眠をとるためには、寝る前のカフェイン摂取やスマートフォンの使用を控える、寝室の環境を整える（温度、湿度、光、音）、毎日同じ時間に寝起きするなど、生活リズムを整えると良いです。

十分な睡眠時間を確保して深く眠り、髪の成長をサポートしましょう。

ストレス管理

過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、血行不良やホルモンバランスの乱れを引き起こして抜け毛の原因となります。

現代社会においてストレスを完全になくすのは難しいですが、自分に合った方法で上手にストレスを解消していくことが重要です。

軽い運動をする、趣味に没頭する時間を作る、友人と話す、ゆっくり入浴する、瞑想や深呼吸を行うなど、リラックスできる方法を見つけましょう。

ストレスを感じたら意識的に休息を取り、心身をリフレッシュする時間を持つことが大切です。

抜け毛を減らすための生活習慣改善

日々の生活習慣の見直しも、抜け毛対策には有効です。ここでは、特に注意したい点や取り入れたい習慣について解説します。

喫煙・過度な飲酒の影響

喫煙はニコチンの作用により血管を収縮させ、全身の血行を悪化させます。頭皮への血流も低下するため毛母細胞に必要な酸素や栄養が届きにくくなり、髪の成長を妨げて抜け毛を増加させる可能性があります。

また、喫煙は体内のビタミンCを大量に消費するため、髪の健康維持に必要な栄養素が不足しがちになります。

過度な飲酒も注意が必要です。アルコールを分解する過程で、髪の生成に必要なアミノ酸やビタミンが消費されてしまいます。

また、多量の飲酒は睡眠の質を低下させる場合もあり、これも髪の成長にはマイナスです。禁煙や節酒を心がけると、抜け毛対策だけでなく全身の健康維持にもつながります。

適度な運動の重要性

適度な運動は全身の血行を促進してストレス解消にも役立つため、抜け毛対策としても有効です。ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動は、血流を改善して頭皮への栄養供給を助けます。

また、運動によって気分がリフレッシュされ、ストレス軽減効果も期待できます。

ただし、激しすぎる運動はかえって体に負担をかけ、活性酸素を増やしてしまう可能性もあるため、無理のない範囲で継続するのが大切です。週に数回、30分程度の運動を習慣にすることから始めてみましょう。

頭皮マッサージの効果

頭皮マッサージは、頭皮の血行を促進して毛根に栄養を届けやすくする効果が期待できます。また、頭皮の筋肉のコリをほぐし、リラックス効果も得られます。

シャンプー時や育毛剤を使用する際などに、指の腹を使って優しく行うのがおすすめです。爪を立てたり、強くこすりすぎたりすると頭皮を傷つけてしまう可能性があるので注意しましょう。

頭頂部や側頭部、後頭部など、頭皮全体をゆっくりと揉みほぐすようにマッサージします。毎日数分でも継続することが大切です。

専門クリニックでのAGA・薄毛治療

セルフケアだけでは抜け毛の改善が見られない場合や、AGA（男性型脱毛症）が疑われる場合は、専門のクリニックへの相談を検討しましょう。

クリニック受診のタイミング

以下のようなサインが見られたら、一度専門医の診察を受けると良いでしょう。

• 1日に抜ける髪の量が明らかに増え、それが続いている（目安として150本以上）
• 抜け毛に細くて短い毛が目立つようになった
• 生え際が後退してきた、または頭頂部の地肌が透けて見えるようになった
• 髪全体のボリュームがなくなり、スタイリングがしにくくなった
• 家族に薄毛の人がいる（遺伝的要因が気になる場合）

自己判断で放置してしまうと、AGAなどは着実に進行してしまいます。気になった時点で早めに相談することが重要です。

行われる検査の種類

クリニックでは、まず問診で抜け毛の状況や生活習慣、家族歴などを詳しく確認します。その後、視診や触診で頭皮の状態や髪の毛の密度、太さなどをチェックします。

より詳しく調べるためにマイクロスコープを使って頭皮や毛穴、毛髪の状態を拡大して観察する場合もあります。これにより、毛穴の詰まり具合や炎症の有無、髪の毛の太さの変化などを詳細に把握できます。

必要に応じて血液検査を行い、ホルモンバランスや他の病気の可能性などを調べるときもあります。

クリニックでの主な検査項目

• 問診（症状、生活習慣、既往歴、家族歴など）
• 視診・触診（頭皮、毛髪の状態確認）
• マイクロスコープ検査（頭皮、毛穴、毛髪の詳細観察）
• 血液検査（ホルモン値、栄養状態、他疾患の有無など）

主な治療方法（内服薬・外用薬など）

AGA治療の中心となるのは、薬物療法です。主に内服薬と外用薬が用いられます。

内服薬としては、AGAの原因物質であるDHT（ジヒドロテストステロン）の生成を抑制する働きを持つ「フィナステリド」や「デュタステリド」が代表的です。

これらはヘアサイクルの乱れを正常化し、抜け毛を減らし、発毛を促す効果が期待されます。

外用薬としては、「ミノキシジル」が広く用いられています。ミノキシジルは頭皮の血行を促進し、毛母細胞を活性化させることで発毛効果を発揮します。

これらの薬は医師の処方が必要であり、個々の症状や進行度に合わせて適切に選択・組み合わせて使用します。

その他、クリニックによっては発毛成分を直接頭皮に注入する治療や、低出力レーザー治療などを提供している場合もあります。

主なAGA治療薬

治療にかかる期間と費用目安

AGA治療は、効果を実感するまでに時間がかかるのが一般的です。

多くの場合、治療を開始してから効果が現れ始めるまでに最低でも3ヶ月から6ヶ月程度は必要とされています。効果を維持するためには、治療を継続することが重要です。

治療費用は治療内容やクリニックによって異なりますが、一般的な目安としては、内服薬や外用薬で月々15,000円から30,000円程度が相場となることが多いです。

初診料や検査費用が別途かかる場合もあります。自由診療となるため、健康保険は適用されません。

治療を開始する前に、費用体系や治療期間についてクリニックで十分に説明を受けると安心です。

Q&A（よくある質問）

抜け毛や薄毛治療に関して、患者さんからよくいただく質問にお答えします。

抜け毛が多いと感じたらまず何をすべき？

まずはご自身の抜け毛の量や質、生活習慣を客観的に見直してみましょう。1日の抜け毛が150本を超えているか、細く短い毛が増えていないかを確認します。

同時に、食生活や睡眠、ストレス状態やヘアケア方法なども振り返ってみてください。セルフケアで改善が見られない場合や、AGAが疑われる特徴（生え際後退、頭頂部薄毛）がある場合は、早めに専門クリニックを受診することをお勧めします。

食生活で特に気をつけることは？

髪の主成分であるタンパク質をしっかり摂るのが基本です。肉や魚、卵や大豆製品などをバランス良く取り入れましょう。

また、タンパク質の合成に必要な亜鉛（牡蠣、レバーなど）や、頭皮環境を整えるビタミンB群（豚肉、レバー、玄米など）、血行を促進するビタミンE（ナッツ類、アボカドなど）も意識して摂取すると良いでしょう。

特定の食品に偏らず、多様な食品からバランス良く栄養を摂ることが大切です。インスタント食品や脂っこい食事は控えめにしましょう。

若くても抜け毛は増える？

AGA（男性型脱毛症）は20代、場合によっては10代後半から発症する方もいます。若いから大丈夫ということはありません。

また、過度なダイエットやストレス、生活習慣の乱れなどが原因で、年齢に関わらず抜け毛が増えるcaseもあります。

若年層であっても抜け毛の増加や質の変化に気づいたら、原因を特定するためにも一度専門医に相談すると良いでしょう。

治療薬に副作用はある？

AGA治療薬であるフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルには、副作用が報告されています。

内服薬（フィナステリド、デュタステリド）では、まれに性欲減退や勃起機能不全（ED）、肝機能障害などが起こる可能性があります。外用薬（ミノキシジル）では、塗布部位のかゆみやかぶれ、動悸、めまいなどが報告されています。

ただし、副作用の発現頻度は高くなく、多くの場合軽微です。治療を開始する前には、医師から副作用の可能性について十分な説明があります。

もし治療中に何らかの異常を感じた場合は、すぐに医師に相談してください。自己判断で服用を中止したりせず、必ず医師の指示に従うようにしましょう。

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