植毛手術はやめたほうがいい?リスクと避けるべき状況について | AGA・抜け毛・薄毛治療のAGAメディカルケアクリニック【公式】

植毛手術はやめたほうがいい?リスクと避けるべき状況について

更新日
植毛手術はやめたほうがいい?リスクと避けるべき状況について
前田 祐助
監修医師

前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

【経歴】

  1. 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
  2. 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
  3. 大手AGAクリニック(院長)を経て、薄毛・AGA治療の2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
  4. 2020年に2院目となるAGAメディカルケアクリニック横浜院を開設
  5. 2023年に3院目となるAGAメディカルケアクリニック東京八重洲院を開設

【資格】

  1. 医師免許
  2. ⽇本医師会認定産業医
  3. 医学博士

【所属学会】

  1. 日本内科学会
  2. 日本美容皮膚科学会
  3. 日本臨床毛髪学会

【症例数】

  1. 3万人以上※
  2. ※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

統括院長プロフィール詳細

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薄毛の悩みは多くの方にとって深刻であり、手術で対処する方法として植毛が知られています。

一方で、費用やリスクなどの点から受けないほうが良いのではと考える方もいるでしょう。

この記事では、植毛手術をめぐるリスクや注意点を具体的に解説し、どのような方に適しているのか、あるいはやめたほうがいい状況とは何かをまとめています。

植毛手術を検討する前に理解しておきたい薄毛治療の実情

近年、薄毛に悩む方のなかには、外科的な方法である植毛手術を魅力的に感じるケースが増えているようです。

ただし、安易に手術へ進む前に、そもそもの薄毛治療の現状や種類を知ることが重要です。

薄毛治療にはさまざまな方法がある

薄毛(AGA含む)に対する治療には多彩な方法があります。代表的なものとしては内服薬、外用薬、育毛メソセラピーのような非手術的な方法が挙げられ、手術による自毛植毛も選択肢の1つです。

医療機関で処方される内服薬にはフィナステリドやデュタステリドなどがあり、男性ホルモンの働きを抑えることで抜け毛を緩和すると期待されています。

外用薬には頭皮に直接作用するミノキシジルなどがあり、血行促進の働きによって髪を育てる土台を整える方法として広く用いられています。

こうした薬剤による治療は、身体への侵襲が少ない反面、効果が出るまで時間がかかる点や個人差がある点が課題です。

また、頭皮への注入治療である育毛メソセラピーやHARG治療なども存在し、成長因子や各種薬剤を直接浸透させることで毛髪の成長をサポートします。

手術のほうが確実に毛が増えるイメージを持つ方もいますが、実際には手術以外の治療法で改善が見込めるケースも少なくありません。植毛手術だけに頼らず、まずは内服・外用薬や注入治療による効果を検討することも大切です。

薄毛に対する治療法

治療法内容メリットデメリット
内服薬フィナステリドやデュタステリドなどを服用ホルモンバランスの調整による抜け毛抑制が期待できる効果が出るまで数か月かかる、個人差がある
外用薬ミノキシジルを頭皮に塗布血行促進作用で発毛環境を整えやすいかぶれや痒みなどの副作用が起こる場合がある
育毛メソセラピー成長因子などを頭皮に注入毛根へ直接アプローチできる可能性があり、複合的な効果が見込める費用が比較的高額になりやすい
自毛植毛自身の後頭部などの毛根を移植定着すれば半永久的に毛が生え続けると期待できる手術費用が高額、術後の痛みやダウンタイムがある

植毛手術は毛根を移植するため効果を実感しやすい反面、金銭面や手術に伴うトラブルの可能性を懸念する声も多いです。

いきなり外科的治療を選択する前に、薬物療法や注入治療で十分な改善が期待できるかどうかを医師と相談しながら判断することが重要でしょう。

植毛手術のメリットとデメリットを把握することが大切

植毛手術は薄毛部分に直接毛髪を補う方法なので、見た目の変化を比較的早期に実感しやすいです。

また、自分自身の毛根を移植する自毛植毛では、定着後に自然な髪質が得られる可能性が高い点が魅力といえるでしょう。

ただし、メリットばかりに目を向けて安易に決断すると、期待した結果が得られなかったり、トラブルが生じたりするリスクがあります。

手術にかかるコストや術後の痛み、腫れなどにも注意を払う必要があります。

植毛手術を考えるうえで押さえたいこと

  • 比較的短期間で視覚的な変化を得やすい
  • 自分の毛髪を利用するため拒否反応が起こりにくい
  • 手術費用が高額になる場合がある
  • 傷跡やダウンタイム、術後ケアの手間が発生する

こうしたプラス面とマイナス面をきちんと把握し、適切な医療機関でカウンセリングを受けることが大切です。

特にドナー採取時の傷や、術後に痛みが生じる可能性に対する理解が不十分だと、後悔につながるかもしれません。

「植毛手術はやめたほうがいい」と言われる背景

植毛手術は確かに大きな変化をもたらす可能性がありますが、一部の方にとっては費用面やリスク面の負担が大きく、「やめたほうがいい」と考えられる場合もあります。

例えば、AGAの進行が非常に早い方だと、移植した部分が定着しても周囲の髪がさらに薄くなり、かえって不自然な見た目になってしまう懸念があります。

また、植毛後のアフターケアに時間やお金を割けない状況の方だと、結果的に満足いく成果を得にくいでしょう。

植毛は外科手術という特性上、一定のダウンタイムや合併症リスクが伴います。

頭皮に傷が残ることに抵抗がある方や、将来のメンテナンス費用が確保できない方にとっては、他の治療法を優先するのも一案です。

植毛手術で起こりうるリスクとは

ここでは、植毛手術にまつわる主なリスクを挙げます。

外科的な処置である以上、ダウンタイムや合併症、術後のトラブルなど避けたい問題が起こる可能性もあります。事前にしっかりと理解しておくことが、後悔を防ぐためには重要です。

ダウンタイムが長引く可能性

植毛手術の術後には、痛みや腫れが生じるだけでなく、移植した部位にかさぶたが形成されることが一般的です。

かさぶたが自然に取れるまでのあいだは、頭皮の見た目に違和感が出るため、人前に出にくいと感じる方もいます。

痛みや生活の制限が続く期間は個人差があり、数日で落ち着く人もいれば、数週間にわたって不快感が続く場合もあるでしょう。

ダウンタイムの一般的な症状と対処法

症状原因対処法期間
腫れ頭皮を切開・移植した刺激頭を高めにして寝る、適度に冷やす数日~1週間程度
かさぶた移植部位の微細な傷による一時的なダメージ自然に落ちるまで待つ(無理に剥がさない)1~2週間程度
痛み切開部位や採取部位の炎症・刺激など指示された痛み止めを使用し、できるだけ安静にする数日~1週間程度

こうした症状は多くの場合一時的ですが、体質やケアの状態次第ではダウンタイムが長引く可能性があります。

術後の生活に大きな制限が出ると困る方や痛みに弱い方は、植毛手術をやめたほうがいいと考える理由になるかもしれません。

術後感染や拒否反応のリスク

植毛手術は自分の毛根を移植する自毛植毛が主流ですが、術後にトラブルが一切起こらないとは限りません。

例えば、細菌が頭皮に侵入すると炎症や腫れ、膿を伴う感染症が生じ、治療に時間がかかるケースがあります。

体質によっては、移植した部位で拒否反応に近い症状が出たり、思ったほど髪が定着しなかったりする可能性もあるのです。

術後に注意したいトラブル

  • 頭皮の強い炎症や発赤
  • 強い頭痛や熱感が長引く
  • 血行不良による移植毛の生着不良
  • 採取部位や移植部位の傷口が再度開いてしまう

これらの問題が発生すると、予定外の通院や追加費用が発生し、心身の負担が増えます。

感染予防や術後ケアを徹底できる環境が整わない方にとっては、外科手術に踏み切るハードルが高くなるでしょう。

不自然な仕上がりや傷跡の問題

植毛手術のデザインや医師の技量によっては、髪の生え際や植毛部分が不自然に見える場合があります。

例えば、生え際が一直線に並びすぎると、作り物めいた印象が出てしまうこともあります。

さらに、後頭部などのドナー採取部位に目立つ傷が残る可能性があるため、短髪にしづらくなったり、髪型の自由度が下がったりする点も見逃せません。

自毛植毛は比較的自然な仕上がりになりやすいといわれていますが、まったくリスクがないわけではないため、慎重な検討が必要です。

植毛手術をやめたほうがいいと考えられる状況

実際に植毛手術を控えたほうがよい可能性があるケースは複数考えられます。

費用だけでなく、薄毛の進行度合いやメンタル面、術後のケアにどれだけの時間やお金を割けるかといった要素を総合的に考慮することが求められます。

ここでは、特にやめたほうがいい可能性が高い状況を具体的に見ていきましょう。

毛髪の薄毛進行度が安定していない

薄毛の進行度がはっきりと落ち着いておらず、まだ抜け毛が増えている段階で植毛手術を行うと、移植した部分だけが先行して髪が生え、周囲とのバランスが崩れるリスクがあります。

特にAGAの場合は進行の度合いに個人差が大きく、急速に進むタイプの方はタイミングを間違えると満足度が下がる恐れがあるでしょう。

AGAの進行度と治療方針の目安

進行度特徴主な治療方針
初期抜け毛が増え始め、生え際が少し後退内服薬や外用薬で経過観察
中期生え際や頭頂部の薄毛が明らかに進行している内服薬・外用薬+育毛メソセラピーなど
末期頭頂部の広範囲が薄い、前頭部との境界があいまい自毛植毛の検討+複合的な治療

上記のように、まずは内服薬などを使いながら薄毛の進行具合を確かめ、落ち着いた段階で植毛を検討するのが望ましいです。

進行途中で手術を行うと、後から周囲がさらに薄くなり不自然になってしまう可能性があります。

十分な予算や時間の確保が難しい

植毛手術には高額な費用がかかるだけでなく、ダウンタイムや術後の定期的なフォローアップに時間を要します。

術後すぐに仕事や日常生活へ復帰できるわけではなく、数日の間は頭皮を刺激しないように注意を払う必要があるでしょう。

コスト面と時間面で生じる懸念

  • 手術費用が数十万円から数百万円に及ぶ場合がある
  • 術後数日は身体的にも見た目的にも制限が出る
  • 術後の検診やトラブル対応などで追加費用が必要になることがある
  • アフターケアを怠れば感染や生着不良のリスクが高まる

予算や時間的余裕が不十分なまま手術を受けると、施術後のケア不足や生活制限の不備からトラブルが起こる可能性が高まります。

後悔を避けるためには、治療全体にかかる費用や労力を十分に計算しておくことが重要です。

心理的なストレスや期待値のコントロールができない

植毛手術を「魔法のようにすべてを解決してくれる」と捉えてしまうと、実際の仕上がりが想像と異なったときに大きく落胆してしまう恐れがあります。

また、手術が決まるまでの不安や術後の痛み・経過観察に関するストレスに耐えられそうにない方も、先にカウンセリングなどでメンタル面を整える必要があるでしょう。

期待が高すぎるあまり、術後の結果が思わしくないと自己否定感を抱くリスクも考えられます。

手術以外のAGA治療・薄毛対策の重要性

「どうしても植毛手術を受けたい」と考える前に、他の治療法やケア方法を十分に検討してから結論を出すのが賢明な判断です。

ここでは、薬物療法や生活習慣の見直しなど、手術に頼らずに薄毛の改善を目指す選択肢について掘り下げます。

内服薬や外用薬による改善

フィナステリドやデュタステリドなどの内服薬、ミノキシジルなどの外用薬は、AGA治療の代表格として多くの方に使用されています。

ホルモンバランスを調整したり、頭皮の血行を促進したりすることで、抜け毛の抑制や発毛を促す効果が期待できます。

ただし、薬の効果や副作用には個人差があり、継続するには一定のコストと期間が必要です。

内服・外用薬の特徴

薬剤名作用機序投与方法主な副作用
フィナステリドDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制内服(経口)性欲減退やEDの可能性
デュタステリドDHTの生成をより広範囲で抑制内服(経口)フィナステリドに類似
ミノキシジル血管拡張作用による毛根への血流増加外用(塗布)頭皮のかぶれ、かゆみなど

薬による治療は身体への負担が手術に比べれば小さい場合が多く、植毛手術をやめたほうがいいか迷う段階の方が最初に試しやすい方法です。

医師の指導のもと適切に使用し、効果を見極めながら治療方針を検討する流れが望ましいでしょう。

生活習慣の見直しやサプリメントの利用

AGAだけでなく、普段の生活習慣や栄養状態が原因で薄毛が進行することがあります。

栄養バランスの乱れや慢性的なストレス、喫煙・過度の飲酒などは髪の成長を阻害しやすい要因です。髪の土台となる身体の健康を整えることで、抜け毛の抑制や発毛しやすい環境を目指せます。

身体の内側から髪を育む方法

  • タンパク質、ビタミン、亜鉛などを十分に含む食事を心がける
  • ストレスを溜めにくい生活リズムづくりと適度な運動
  • 禁煙、節酒を意識して血行不良を防ぐ
  • 必要に応じてサプリメントを取り入れ、医師と相談しながら栄養を補う

生活習慣の改善は即効性に欠けるものの、髪だけでなく全身の健康にも良い影響を与えます。

植毛手術に踏み切るかどうかを検討する前段階としても、大切な取り組みといえます。

育毛メソセラピーやHARG治療

頭皮に直接有効成分を注入し、毛髪の成長を促す育毛メソセラピーやHARG治療は、外科的処置よりも身体的負担が小さい方法として注目されています。

個人差はありますが、何度か施術を受けるうちに抜け毛の減少や髪質の改善を実感する方もいます。

一方で、これらの治療は保険適用外となることが多く、回数も複数に及ぶため費用が高くなりやすいです。

メリットとデメリットの両方を把握したうえで、適した治療法を選択することが望ましいでしょう。

カウンセリングやクリニック選びが大切

植毛手術を受けるか迷う場合は、まず専門家に相談することを推奨します。

AGAや薄毛治療の経験が豊富な医師に診てもらうことで、実際にどの程度植毛が必要なのか、あるいは植毛をやめたほうがいいのかを判断しやすくなります。

専門医による診断とアドバイス

AGAや薄毛に特化した医療機関では、頭皮や髪の状態を専門的に診断するための機器やノウハウを備えています。

たとえばマイクロスコープを使って毛根の状態を確認し、患者さんの生活習慣や家族歴も踏まえたうえで治療プランを提示するのが一般的です。

希望をただ聞くだけでなく、科学的根拠に基づいた助言をしてもらうことが、植毛の可否を判断する大きな材料となるでしょう。

専門医に相談する際に確認すること

項目具体的な確認内容
診断の方法触診やマイクロスコープによる頭皮・毛髪状態のチェック
提案される治療内服薬・外用薬・注入療法・植毛手術など多岐にわたるか
費用の見積もり初診料、再診料、薬代、手術費、アフターケア費など
信頼度医師やスタッフの実績、口コミ、学会での活動状況など

カウンセリングでメリットとリスクを丁寧に説明してもらえれば、植毛手術をやめたほうがいいかどうかの見極めもしやすくなります。

患者さん自身が納得して治療を始めることが、結果に満足するための第一歩です。

複数のクリニックを比較するのが大切な理由

クリニックによって施術方法や費用体系、アフターケアの質は大きく違います。

1つのクリニックだけで決めず、複数の医療機関でカウンセリングを受けると、より客観的な判断がしやすいでしょう。

実績の豊富な医師であっても、治療方針に違いがある場合があります。

クリニック比較の際のポイント

  • 医師やスタッフの資格、臨床経験
  • 過去症例の写真や患者の声
  • カウンセリングの丁寧さ、説明のわかりやすさ
  • 保証制度や施術後のフォロー体制の有無

インターネット上の情報や口コミは参考になりますが、実際に訪れて直接話を聞き、自分が納得できるかどうかを確かめることが大切です。

適切なカウンセリングで得られる安心感

植毛手術に対する不安を抱える方は多いですが、信頼できる医師やスタッフから詳しい情報を得ると、不安が軽減しやすくなります。

ダウンタイムや費用、期待できる効果とリスクなどを具体的に把握すれば、「やはり手術はやめたほうがいいのか」「今がベストタイミングなのか」などの判断がより明確になるでしょう。

植毛手術を受ける前に知っておきたい費用の実情

植毛手術は効果を得やすい一方で、費用面がネックと感じる方も少なくありません。

ここでは、手術費用の相場や費用構造を理解し、後から予想外の出費に悩まされないためのポイントを整理します。

植毛手術の費用構造

植毛手術の費用は、移植する株数や手術方式、医師の技術料など複数の要素から構成されます。

1株あたりの単価が決まっているクリニックもあれば、パッケージ料金を設定しているところもあるため、事前の見積もり確認が重要です。

植毛費用を左右する主な要素

要素説明費用への影響
採取法FUE(パンチ式)かFUT(切開式)かFUEのほうが高度な技術を要し費用増加
移植株数移植する毛根の本数が多いほど総額が上がる1株あたり○○円といった計算になる
医師の技術料熟練度やクリニックのブランド力などで変動高額なほど総費用も上昇
追加オプション麻酔の種類や術後のケアアイテムなどオプション追加で費用が上乗せ

費用の内訳を丁寧に説明してくれるクリニックを選ぶと、安心して検討しやすくなるでしょう。

安易に格安プランだけを選ぶと、必要なアフターケアが含まれていなかったり、医師の技術経験が不十分なリスクがある点にも注意が必要です。

ローンや分割払いのリスク

高額な植毛手術を一括で支払うのが難しい場合、ローンや分割払いを検討する方もいます。

月々の負担が軽減されるメリットはあるものの、金利や手数料によって最終的な支払額が大きくなることを見落としてはいけません。

ローン利用時に考慮したい点

  • 月々の返済額が生活費を圧迫しないか
  • 金利や手数料によって総額がいくら増えるのか
  • 術後に追加治療や再手術が必要になった場合の費用
  • 返済中の経済状況悪化のリスク

費用面で不安が募ると、精神的にも大きなストレスを抱えがちです。ローンを組むにしても、無理なく返済できる範囲で計画を立てるようにしましょう。

費用と効果のバランスを考える

植毛手術は費用対効果の大きい治療法である一方、誰にでも適しているわけではありません。

予算に余裕がなく、他の治療法(内服薬、外用薬、注入治療など)である程度の改善が期待できる場合は、むしろ手術をやめたほうがいいと判断するケースもあります。

最終的には「どこまで髪を取り戻したいのか」「どれだけの費用や手間を負担できるのか」という個人の価値観に左右される部分が大きいでしょう。

術後のアフターケアと再発への対策

仮に植毛手術を受けたとしても、それだけで薄毛の悩みが永久に解決するわけではありません。

定着を促進するためのアフターケアや、AGAの進行を抑えるための追加治療を行わなければ、再発や新たな薄毛に悩まされるリスクは残ります。

術後の頭皮ケアと生活習慣のポイント

移植した毛根が定着するには、術後の頭皮ケアが重要な役割を果たします。

施術直後の頭皮はデリケートな状態なので、シャンプー方法やブラッシングには注意が必要です。

飲酒や喫煙も血行不良の原因となり、生着率を下げる恐れがあります。

術後に推奨されるケアと生活上の注意

ケア・注意具体例目的
頭皮の洗浄刺激の少ないシャンプーを使い、擦りすぎない傷口の回復を促進し、感染リスクを低減
ブラッシング移植部位を傷めないように優しく行う生着した毛根を保護
睡眠横になる際は頭部をやや高めにし、血行を妨げない腫れや痛みの軽減、回復のサポート
禁煙喫煙は血管を収縮させ血流を低下させる移植毛の定着率を高める

これらのケアを怠ると、植毛の効果が十分に発揮されないまま終わってしまうリスクがあります。

高い費用とダウンタイムをかけて行う手術だからこそ、術後の過ごし方を慎重に管理する必要があるのです。

AGAの進行を防ぐための治療併用

植毛によって移植された髪が定着しても、AGAの進行自体が止まったわけではありません。

周囲の髪が薄くなり続けると、せっかく増えた部分だけが浮いた状態になりかねないため、術後も適切な治療を継続して行うことが望まれます。

術後の再発対策に考慮したい治療

  • フィナステリドやデュタステリドなどの内服薬を継続的に使用
  • ミノキシジルの外用で血流促進を維持
  • 育毛メソセラピーやHARG治療を定期的に受ける
  • 専門クリニックでの頭皮チェックや追加のケア指導

植毛手術後の経過が良好でも、これらの予防策を怠ると、新たな薄毛が進行するリスクを高めます。

長期的に見て、髪を維持するためには複合的な取り組みが欠かせません。

リカバリー手術の可能性と注意点

植毛手術の結果に満足できない場合や、他の部位の薄毛が進んで改めて手術が必要になるケースもあります。

2回目以降はドナー部位の残存毛根数や既存の傷跡との兼ね合いから、さらに慎重な判断が求められます。

費用面も1回目より高くなる場合があるため、初回手術の段階で信頼できるクリニックを選び、細かくデザインや技術の質を確認することが大切です。

植毛手術と向き合うための心構え

焦りや衝動に駆られて安易に決断すると、費用面や結果の面で後悔するリスクが高まります。植毛手術を行うかどうかは、自分の状態や目標を明確にしたうえで、じっくり検討する姿勢が求められます。

自分の薄毛状態や目標を明確にする

まずは現在の薄毛の進行度を把握し、どの程度まで髪を取り戻したいのかという目標を設定しましょう。

自分が求めるゴールがはっきりしていれば、植毛手術を選択すべきか、あるいはほかの治療法を試すべきかを判断しやすくなります。

薄毛の状態と目指すゴール

状態目標例
軽度の抜け毛薬物療法で抜け毛を抑制し、現状維持を目指す
はっきりとしたM字ハゲ生え際を自然な形に整え、見た目の若々しさを回復する
頭頂部がかなり薄い頭頂部の密度を高め、全体的なボリューム感を取り戻す
全体的にボリュームが不足全体的に増やしたいが自然さも重視したい

自身の状況と照らし合わせて選択肢を考えれば、植毛なしでも十分カバーできる場合や、部分的な植毛だけで満足できる場合も見えてくるでしょう。

時間をかけて選択を検討する

植毛手術は身体への侵襲も費用も決して小さくありません。一度手術を受けると元に戻すのが難しく、デザインや仕上がりに後悔するケースもゼロではないのです。

そのため、焦らずに複数の治療法を比較し、メリットとリスクを把握しながら慎重に決定する姿勢が大切です。

検討時に意識したい流れ

  • 専門医やクリニックでのカウンセリングを複数回受ける
  • 医療機関が提供する症例写真や口コミなどを確認する
  • 自分の生活スケジュールや金銭計画と照らし合わせる
  • 術後のセルフケアや追加治療の必要性を把握する

こうした流れを踏むことで、判断の後に後悔するリスクが大幅に減ります。

気持ちが固まるまでに時間をかけてもまったく遅くはありません。

やめたほうがいいと思う場合は他の選択肢に切り替える

冷静に検討した結果、「現時点では植毛手術はやめたほうがいい」と結論づけるのも賢明な選択肢の1つです。

内服薬や外用薬、注入療法、生活習慣の改善だけで改善が見込める可能性は十分にあります。髪の状態や進行度合いは時間とともに変化しますので、将来的に薄毛の進行が落ち着いたら植毛を再度検討するという流れでも遅くはありません。

植毛手術は薄毛に対する有力な手段ではあるものの、誰にでもすすめられるものではありません。経済的・身体的・心理的な側面を総合的に見極め、植毛を選ぶかやめるかを最終判断することが必要です。

自分に合う治療法を模索しながら、焦らずに取り組んでいくことが長期的な満足度を高める鍵になるでしょう。

参考文献

VOGEL, James E., et al. Hair restoration surgery: the state of the art. Aesthetic surgery journal, 2013, 33.1: 128-151.

KONIOR, Raymond J. Complications in hair-restoration surgery. Facial Plastic Surgery Clinics, 2013, 21.3: 505-520.

AVRAM, Marc R.; FINNEY, Robert; ROGERS, Nicole. Hair transplantation controversies. Dermatologic Surgery, 2017, 43: S158-S162.

NESTOR, Mark S., et al. Treatment options for androgenetic alopecia: Efficacy, side effects, compliance, financial considerations, and ethics. Journal of cosmetic dermatology, 2021, 20.12: 3759-3781.

UNGER, Walter P., et al. Hair transplantation. CRC Press, 2010.

RASSMAN, William R., et al. Follicular unit extraction: minimally invasive surgery for hair transplantation. Dermatologic Surgery, 2002, 28.8: 720-728.

前田 祐助

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AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴

  1. 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
  2. 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
  3. 大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
前田 祐助

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