おでこの生え際が後退しM字に見える状態に、悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。おでこのM字は、AGA(男性型脱毛症)のサインである可能性があり、放置すると薄毛が進行してしまう恐れがあります。
髪型で一時的にカバーする方法もありますが、根本的な解決にはなりません。
この記事では、おでこのM字が目立つ原因、特にAGAとの関係、髪型でのカバー方法とその限界、そして専門的な治療法について解説します。
おでこのM字が気になるのはなぜ?その原因
おでこの生え際がアルファベットの「M」のような形に見える状態、いわゆる「M字」について、気になっている方もいらっしゃるでしょう。
はじめに、おでこのM字がどのように認識され、どのような原因で目立つようになるのか、そして薄毛との関連性について掘り下げていきます。
そもそもおでこのM字とは
おでこのM字とは、額の両サイド、こめかみに近い部分の生え際が後退して中央部分の生え際が残ることで、まるでアルファベットの「M」の字のように見える状態を指します。
多くの男性に見られる生え際の形で、それ自体が必ずしも異常というわけではありません。
しかし、以前よりもM字部分が深くなった、あるいは後退してきたと感じる場合は注意が必要です。
M字が目立つ原因は生まれつき?それとも…
おでこの形や生え際の位置は、骨格や遺伝的要因によって個人差があります。そのため、生まれつきM字のような生え際の方もいます。
この場合は、特に心配する必要はありません。しかし、以前はそうではなかったのに年齢とともにM字部分が目立つようになってきたというときは、後天的な要因、特にAGA(男性型脱毛症)の可能性を考える必要があります。
M字の進行度をセルフチェック
以下の項目に当てはまるものがないか、ご自身の状態を確認してみましょう。
チェック項目 | 詳細 |
---|---|
生え際の後退 | 以前の写真と比較して、おでこのM字部分が明らかに後退している |
髪質の変化 | M字部分や頭頂部の髪の毛が、細く、弱々しくなっている |
抜け毛の増加 | シャンプー時や起床時の枕元の抜け毛が増えた |
これらの項目に複数当てはまる場合は、AGAが進行している可能性があります。
M字とAGA(男性型脱毛症)の関係性
おでこのM字が後退してくる最も一般的な原因の一つが、AGA(男性型脱毛症)です。
AGAは男性ホルモンの影響により前頭部(生え際)や頭頂部の髪の毛が細く短くなり、最終的には抜け落ちてしまう進行性の脱毛症です。
特に生え際、つまりM字部分はAGAの影響を受けやすい部位として知られています。
M字の進行度をセルフチェック
自身のM字の状態が気になる方は、簡単なセルフチェックを試してみましょう。
鏡の前で、おでこの生え際を確認します。以前と比べて、M字の切れ込みが深くなっていないか、生え際のラインが全体的に後退していないかを見てください。
また、M字部分の髪の毛が他の部分の髪の毛と比べて細くなったり、コシがなくなったりしていないかも重要なチェックポイントです。
変化を感じる場合は、AGAの初期段階である可能性も考えられます。
AGAによるM字の進行とそのパターン
おでこのM字が後退する主な原因であるAGA(男性型脱毛症)について、さらに詳しく見ていきましょう。
AGAがどのように発症し、M字部分にどのような影響を与え、どのように進行していくのかを理解することは、適切な対策を講じる上で非常に重要です。
AGAとはどのような脱毛症か
AGA(Androgenetic Alopecia)は、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)が毛根にある受容体と結合することで発症する脱毛症です。
DHTの作用により髪の毛の成長期が短縮され、髪の毛が十分に太く長く成長する前に抜け落ちてしまいます。
これが繰り返されると徐々に薄毛が進行していきます。遺伝的な要因も関与していると考えられています。
AGAがM字部分から進行しやすい理由
AGAによる薄毛は、特定の部位から進行しやすい傾向があります。
特に、前頭部の生え際(M字部分)と頭頂部(つむじ周り)は、DHTの影響を受けやすい毛根が多く存在するため、薄毛が進行しやすい部位とされています。
そのため、AGAの初期症状として、おでこのM字部分の後退や頭頂部の薄毛が現れるケースが多いのです。
ハミルトン・ノーウッド分類で見る進行度
AGAの進行度を評価する指標として、ハミルトン・ノーウッド分類が広く用いられています。
この分類は、薄毛の進行パターンをいくつかの型に分類し、重症度を段階的に示します。
ハミルトン・ノーウッド分類の概要
分類ステージ | 特徴 |
---|---|
I型 | 脱毛の兆候はほとんど見られない |
II型 | 生え際がわずかに後退し始める(M字の始まり) |
III型 | M字部分の後退が明確になる。頭頂部の薄毛が見られる場合もある |
IV型 | M字の後退がさらに進み、頭頂部の薄毛も顕著になる |
V型 | M字と頭頂部の薄毛部分が繋がり始める |
VI型 | M字と頭頂部の薄毛部分が完全に繋がり、広範囲に薄毛が進行する |
VII型 | 側頭部と後頭部の一部を除き、頭部全体の大部分で薄毛が進行する |
この分類を用いると、自身のAGAの進行度を客観的に把握して治療方針を立てる際の参考にできます。
放置するとどうなる?AGAの進行予測
AGAは進行性の脱毛症です。そのため、何の対策もせずに放置していると薄毛は徐々に進行していきます。
M字部分の後退が進むだけでなく頭頂部の薄毛も進行し、最終的には側頭部と後頭部の一部を残して、頭部全体の髪の毛が失われてしまう可能性もあります。
進行のスピードには個人差がありますが、早期に適切な対策を始めることが、将来的な薄毛の進行を食い止める鍵となります。
おでこのM字を目立たせない髪型の工夫
おでこのM字が気になり始めると、まず考えるのが髪型でカバーする方法ではないでしょうか。髪型を工夫すると、気になるM字部分を目立たなくさせて自信を持って過ごせます。
M字カバーにおすすめの髪型スタイル
M字部分を自然にカバーするには、いくつかの髪型のポイントがあります。
前髪を下ろすスタイルは、直接的にM字部分を隠せるため効果的です。例えば、前髪をやや長めに残し、自然に流すスタイルや、重めのバングを作るスタイルなどがあります。
また、トップにボリュームを持たせる髪型もおすすめです。視線が頭頂部に集まるため、M字部分への注目をそらせます。
具体的には、ソフトモヒカンや、トップを立たせるショートレイヤースタイルなどが挙げられます。サイドを短く刈り上げるツーブロックスタイルもサイドとトップのメリハリがつき、M字部分を目立ちにくくする効果が期待できます。
M字カバーに適した髪型例
スタイル名 | 特徴 | カバー効果 |
---|---|---|
ショートレイヤー | トップに動きを出し、自然に前髪を下ろせる | 中~高 |
ソフトモヒカン | トップのボリュームで視線を上に集める | 中 |
ツーブロック | サイドを刈り上げ、トップとのメリハリをつける | 中~高 |
マッシュショート | 前髪とトップに重さを出し、丸みのあるシルエット | 高 |
これらの髪型はあくまで一例です。ご自身の髪質や顔型、生活スタイルに合わせて、美容師さんと相談しながら適したスタイルを見つけましょう。
髪型選びで注意すべきポイント
M字をカバーしようとするあまり、不自然な髪型になってしまうのは避けたいところです。
無理に長い前髪で隠そうとするとかえって不自然に見えたり、汗で前髪が割れてM字部分が露わになったりする場合もあります。
また、全体的にボリュームのない髪型や、オールバックのように生え際を強調するスタイルは、M字が目立ちやすくなるため避けたほうが無難です。
清潔感を保つのも重要で、髪が伸びすぎるとだらしない印象になり、薄毛が目立つ原因にもなりかねません。
スタイリング剤の選び方と使い方
髪型をキープしてより効果的にM字をカバーするためには、スタイリング剤の選び方と使い方も重要です。
ボリュームを出したい場合は、軽い仕上がりのワックスやスプレーが適しています。
逆に、髪をしっとりとまとめたいときはジェルやグリースなどが有効ですが、つけすぎると髪が束になり、地肌が透けて見える可能性があるので注意が必要です。
スタイリング剤は髪の根本からつけず、毛先を中心になじませるようにしましょう。ドライヤーで髪を乾かす際に根元を立ち上げるようにブローすると、自然なボリューム感を出しやすくなります。
美容室でのオーダー方法
美容室で髪型をオーダーする際は単に「M字を隠したい」と伝えるだけでなく、具体的にどのようなスタイルにしたいのか、どのような点が気になっているのかを詳しく伝えると良いです。
希望する髪型の写真を見せたり、「トップにボリュームを出したい」「前髪で自然にカバーしたい」といった要望を具体的に伝えたりすると、美容師さんもイメージしやすくなります。
また、普段のスタイリング方法やスタイリングにかけられる時間なども伝えておくと、より再現性の高い髪型を提案してもらえるでしょう。信頼できる美容師さんを見つけ、相談しながら決めるのがおすすめです。
髪型だけで隠すことのメリットとデメリット
おでこのM字を髪型でカバーするのは手軽にできる対策の一つですが、メリットと同時にデメリットも存在します。
髪型によるカバーを検討する際には、その両面を理解しておくことが重要です。根本的な解決を目指す上で、髪型がどのような役割を果たすのかを考えてみましょう。
髪型でカバーする利点
髪型でM字をカバーする最大の利点は、すぐに見た目の印象を変えられることです。美容室に行けばその日のうちに気になる部分を目立たなくさせられて、精神的な負担を軽減できます。
また、特別な治療や薬剤を使用する必要がないため、費用も比較的抑えられます。
様々な髪型を試すことで、自分に似合う新しいスタイルを発見できる可能性もあります。
髪型だけでは解決しない問題点
一方で、髪型によるカバーはあくまで一時的な対策であり、根本的な解決にはなりません。
AGAが原因である場合、髪型で隠している間にも薄毛は進行し続けます。時間が経つにつれて、カバーするのが難しくなってくる可能性もあります。
また、風が強い日や雨の日、汗をかいた時などは、セットが崩れてM字部分が露わになってしまうリスクも伴います。
常に髪型を気にしなければならないという精神的なストレスを感じる人もいるかもしれません。
髪型カバーの限界
メリット | デメリット |
---|---|
すぐに見た目を変えられる | AGAの進行は止まらない |
費用が比較的抑えられる | 根本的な解決にはならない |
新しいスタイルを発見できる可能性 | 天候や汗などで崩れるリスクがある |
精神的な負担の軽減 | 常に髪型を気にするストレスが生じる可能性 |
カバーの仕方によっては逆効果になることも
M字を隠そうとするあまり不自然な髪型になってしまうと、かえって周囲の視線を集めてしまうときがあります。
例えば、明らかに不自然な分け目にしたり、ボリュームを出しすぎたりすると、隠していることが見え見えになってしまう可能性も否定できません。
また、特定の髪型を維持するために頭皮に負担のかかるスタイリング剤を多用したり、強く引っ張ったりするようなセットを続けたりすると頭皮環境が悪化し、抜け毛を助長してしまう恐れもあります。
根本的な解決を目指すなら
髪型によるカバーは、あくまで対症療法です。おでこのM字の原因がAGAである場合、薄毛の進行を食い止めて改善を目指すためには、専門的な治療を検討することが重要です。
髪型で一時的に悩みを軽減しつつ根本的な原因に対処していくのが、長期的な視点で見ると最も効果的な方法と言えるでしょう。
M字が気になり始めたら専門クリニックへ相談を
おでこのM字が進行しているように感じたり、抜け毛が増えたりするなど、薄毛のサインに気づいたらできるだけ早く専門のクリニックに相談することが重要です。
自己判断や市販品だけに頼るのではなく、専門医による正確な診断と適切なアドバイスを受けることが、悩みを解決するための第一歩となります。
なぜ早期相談が重要なのか
AGAは進行性の脱毛症であり、放置すると薄毛は着実に進行していきます。治療の開始が早ければ早いほど、薄毛の進行を食い止め、改善できる可能性が高まります。
毛根が完全に活動を停止してしまう前に治療を開始することが、効果を実感するためには非常に大切です。
また、早期に相談すると精神的な不安やストレスを軽減できます。一人で悩まず、専門家に相談して的確な情報を得られると、前向きに対策に取り組めるでしょう。
自己判断や市販品のリスク
インターネット上の情報や口コミだけを頼りに自己判断したり、市販の育毛剤やシャンプーだけで対処しようとしたりするのは、必ずしも効果的ではありません。
薄毛の原因はAGA以外にも様々あり、原因に合った対策を行わなければ改善は期待できません。市販品の中には、医学的根拠が乏しいものや、一時的な効果しか得られないものも少なくありません。
また、AGA治療薬の中には、医師の処方が必要なものもあります。自己判断で誤ったケアを続けると時間とお金を浪費するだけでなく、貴重な治療のタイミングを逃してしまうリスクもあります。
クリニックでは何をするのか
AGAクリニックなどの専門機関では、まず問診や視診、マイクロスコープを用いた頭皮・毛髪の状態チェックなどを行い、薄毛の原因や進行度を正確に診断します。
必要に応じて、血液検査などを行い、他の脱毛症の可能性や全身状態を確認するケースもあります。
クリニックでの主な検査・診察内容
検査・診察項目 | 内容 | 目的 |
---|---|---|
問診 | 家族歴、生活習慣、抜け毛や薄毛の自覚症状などを詳しくヒアリングする | 患者の状態や考えられる原因を把握する |
視診 | 医師が直接、頭皮や髪の状態、薄毛の範囲やパターンを確認する | AGAの進行度や他の脱毛症の可能性を判断する |
マイクロスコープ検査 | 特殊なカメラで頭皮や毛穴、毛髪の太さなどを拡大して観察する | 頭皮環境や髪の健康状態、AGAの影響などを詳細に評価する |
血液検査(任意) | 男性ホルモンの値や、他の病気が隠れていないかなどを調べる | 脱毛の原因特定や、治療薬の選択、副作用リスクの評価に役立てる |
これらの診察・検査結果に基づいて、医師が個々の患者さんに合った治療法や対策を提案します。治療の選択肢や効果、副作用、費用などについて詳しい説明を受け、納得した上で治療を開始できます。
信頼できるクリニックの選び方
AGA治療を行うクリニックは数多くありますが、どのクリニックを選ぶかは非常に重要です。
症例数が多いクリニックは様々なケースに対応できる経験と知識を持っています。また、皮膚科医やAGA治療を専門とする医師が診察を行うクリニックもおすすめです。
悩みや疑問にしっかりと耳を傾けて分かりやすく説明してくれるかどうか、治療にかかる費用が明確に提示されているかどうかなども確認すると良いでしょう。
- AGA治療の実績が豊富か
- 専門医が在籍しているか
- 治療法の選択肢が多様か
- カウンセリングが丁寧か
- 費用体系が明確か
いくつかのクリニックでカウンセリングを受けてみて、比較検討すると信頼できるクリニックを見つけやすいです。
AGAクリニックで行うM字治療の選択肢
専門クリニックでAGAと診断された場合、いくつかの治療法の中から、ご自身の状態や希望に合った方法を選択することになります。
おでこのM字部分の薄毛に対して、AGAクリニックではどのような治療が行われるのか、主な選択肢について解説します。
M字治療の主な方法
AGAによるM字の薄毛治療には、大きく分けて薬物療法、注入療法、そして自毛植毛があります。
どの治療法が適しているかは、AGAの進行度、患者さんの年齢や健康状態、費用に対する考え方などによって異なります。
医師とよく相談し、それぞれの治療法のメリット・デメリットを理解した上で決定しましょう。
AGA治療法の比較(M字への効果)
治療法 | 主な効果 | 特徴 | 期間 |
---|---|---|---|
内服薬 | AGAの進行抑制、発毛促進 | 手軽に始められる、継続が必要 | 長期 |
外用薬 | 発毛促進、毛髪の成長 | 内服薬と併用されることが多い、塗布の手間がある | 長期 |
注入療法 | 発毛促進、頭皮環境改善 | より直接的な方法、複数回の施術が必要 | 中期~長期 |
自毛植毛 | 自身の毛髪を移植し、毛量を増やす | 効果が永続的、外科的な手術が必要 | 短期~中期 |
内服薬・外用薬による治療
AGA治療の基本となるのが、薬物療法です。
内服薬や外用薬は継続して使用することで効果を発揮し、効果が現れるまでには数ヶ月かかるのが一般的です。副作用のリスクもあるため、必ず医師の指示に従って使用してください。
フィナステリド・デュタステリド(内服薬)
AGAの原因物質であるDHTの生成を抑制し、抜け毛を防ぎ、AGAの進行を遅らせる効果があります。
ミノキシジル(外用薬・内服薬)
頭皮の血行を促進し、毛母細胞を活性化させることで発毛を促す効果があります。外用薬はドラッグストアでも購入可能ですが、高濃度のものや内服薬は医師の処方が必要です。
注入療法やその他の治療
薬物療法に加えて、より積極的に発毛を促すための治療法として注入療法があります。
これは、発毛効果のある薬剤や成長因子などを、注射や特殊な機器を用いて頭皮に直接注入する方法です。メソセラピーやHARG療法などがこれに該当します。
頭皮に直接有効成分を届けるため、薬物療法だけでは効果が不十分な場合や、より早い効果を期待する場合に選択されるケースがあります。
複数回の施術が必要となるのが一般的です。この他にも、低出力レーザー照射など、様々な治療法が開発されています。
自毛植毛という選択
自毛植毛は、AGAの影響を受けにくい後頭部や側頭部の自身の毛髪を毛根ごと採取し、薄毛が気になるM字部分や頭頂部などに移植する外科的な治療法です。移植した毛髪は、元の場所と同じように生え変わり、半永久的な効果が期待できます。
M字部分のように、薬物療法だけでは発毛効果が得られにくい部位や、AGAがある程度進行してしまった場合に有効な選択肢となります。
ただし、他の治療法と比較して費用が高額になる点や、外科的な手術であるためダウンタイムが必要になる点などを考慮する必要があります。
日常生活で取り入れたい薄毛対策
AGAの治療と並行して、日々の生活習慣の見直しも、健やかな髪を育むためには大切です。
食生活、睡眠、ストレス管理、そしてヘアケアといった基本的な生活習慣を整える工夫が頭皮環境を良好に保ち、薄毛対策の土台となります。
食生活の見直しと栄養バランス
髪の毛は、私たちが摂取する栄養素から作られています。バランスの取れた食事は、健康な髪の成長に必要です。
特に、髪の主成分であるタンパク質(ケラチン)を十分に摂取すると良いです。肉、魚、大豆製品、卵などを積極的に摂りましょう。
また、タンパク質の合成を助ける亜鉛(牡蠣、レバー、ナッツ類など)や、頭皮の血行を促進するビタミンE(アーモンド、アボカド、植物油など)、頭皮環境を整えるビタミンB群(豚肉、マグロ、バナナなど)も意識して摂取したい栄養素です。
薄毛対策に良いとされる主な栄養素
- タンパク質
- 亜鉛
- ビタミンE
- ビタミンB群
- 鉄分
インスタント食品や脂っこい食事、過度な飲酒は頭皮環境を悪化させる可能性があるため、控えるように心がけましょう。
良質な睡眠と生活リズム
髪の毛は私たちが眠っている間に成長します。特に、入眠後約3時間の間に分泌される成長ホルモンは、毛母細胞の分裂を促し、髪の成長に重要な役割を果たします。
睡眠不足や不規則な生活は、成長ホルモンの分泌を妨げ、髪の成長サイクルを乱す原因となります。
毎日決まった時間に寝起きするなど、規則正しい生活リズムを心がけ、最低でも6時間以上の質の高い睡眠時間を確保するようにしましょう。寝る前のスマートフォンやパソコンの使用は、睡眠の質を低下させるため控えるのがおすすめです。
ストレスとの上手な付き合い方
過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させて頭皮への血流を悪化させる可能性があります。血行が悪くなると、髪の毛に必要な栄養素が十分に行き渡らなくなり、抜け毛や薄毛の原因となる場合があります。
また、ストレスはホルモンバランスにも影響を与える可能性があります。現代社会でストレスを完全になくすのは難しいですが、自分なりのストレス解消法を見つけ、溜め込まないようにすると良いでしょう。
ストレス解消法の例
解消法の種類 | 具体例 |
---|---|
運動 | ウォーキング、ジョギング、ヨガ |
趣味 | 音楽鑑賞、読書、映画鑑賞、旅行 |
リラクゼーション | 入浴、アロマテラピー、マッサージ |
交流 | 友人や家族との会話、ペットとの触れ合い |
自分に合った方法で、心身ともにリラックスできる時間を作りましょう。
正しいヘアケアと頭皮環境
間違ったヘアケアは頭皮環境を悪化させ、抜け毛の原因となりやすいです。毎日行うシャンプーは特に注意が必要です。
洗浄力の強すぎるシャンプーやゴシゴシと強く洗いすぎる行為は、頭皮に必要な皮脂まで奪い、乾燥や炎症を引き起こす可能性があります。
正しいシャンプーの手順
- シャンプー前にブラッシングで髪のもつれを解き、汚れを浮かせる。
- ぬるま湯で髪と頭皮を十分に予洗いする。
- シャンプーを手のひらで泡立て、指の腹で頭皮をマッサージするように優しく洗う。
- すすぎ残しがないように、しっかりと洗い流す。
洗髪後は、ドライヤーで髪と頭皮をきちんと乾かすのも大切です。濡れたまま放置すると雑菌が繁殖しやすくなり、頭皮トラブルの原因となります。
また、頭皮マッサージは血行促進に効果的ですが、爪を立てたり強く擦りすぎたりしないように注意しましょう。
おでこのM字と髪型に関するよくある質問
さいごに、おでこのM字や髪型、AGA治療に関して、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q. M字は遺伝しますか?
AGA(男性型脱毛症)の発症には遺伝的な要因が関与していると考えられています。特に、母方の家系に薄毛の方がいる場合、AGAを発症しやすい傾向があると言われています。
ただし、遺伝的な素因があるからといって必ずしも発症するわけではなく、生活習慣や環境要因も影響します。
また、生まれつきの生え際の形がM字である場合は、遺伝的な骨格や髪の生え方によるもので、AGAとは直接関係ありません。
Q. 育毛剤だけでM字は改善しますか?
市販の育毛剤は、頭皮環境を整えたり、血行を促進したりする効果が期待できるものもありますが、AGAの進行を抑制する医学的根拠のある成分(フィナステリドやデュタステリドなど)は含まれていません。
そのため、AGAが原因で進行しているM字の薄毛に対して、育毛剤だけで十分な改善効果を得るのは難しい場合が多いです。
根本的な改善を目指すのであれば、やはり専門クリニックで医師の診断を受け、AGA治療薬(内服薬やミノキシジル外用薬など)の使用を検討することが推奨されます。
Q. 髪型を変えたらAGAの進行は止まりますか?
髪型を変えるのは、あくまで気になるM字部分を目立たなくするための対症療法です。髪型を変えたからといって、AGAの原因である男性ホルモンの影響がなくなるわけではないため、AGAの進行そのものを止める効果はありません。
髪型でカバーしつつ、薄毛の進行を食い止めるためには、専門クリニックでのAGA治療を並行して行うことが重要です。
Q. クリニックでの治療は痛いですか?
AGA治療の主な方法である内服薬や外用薬による治療は、基本的に痛みを伴いません。
注入療法(メソセラピーなど)や自毛植毛は注射や外科的な処置を行うため麻酔を使用しますが、多少の痛みや違和感を感じる可能性はあります。
痛みの感じ方には個人差がありますが、多くのクリニックでは、痛みを最小限に抑えるための工夫(冷却や細い針の使用、麻酔方法の選択など)を行っています。
不安な場合は、カウンセリング時に痛みの程度や麻酔について詳しく確認しましょう。
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