ミノキシジルによる多毛症の発生リスクと予防策 | AGA・抜け毛・薄毛治療のAGAメディカルケアクリニック【公式】

ミノキシジルによる多毛症の発生リスクと予防策

更新日
ミノキシジルによる多毛症の発生リスクと予防策
前田 祐助
監修医師

前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

【経歴】

  1. 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
  2. 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
  3. 大手AGAクリニック(院長)を経て、薄毛・AGA治療の2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
  4. 2020年に2院目となるAGAメディカルケアクリニック横浜院を開設
  5. 2023年に3院目となるAGAメディカルケアクリニック東京八重洲院を開設

【資格】

  1. 医師免許
  2. ⽇本医師会認定産業医
  3. 医学博士

【所属学会】

  1. 日本内科学会
  2. 日本美容皮膚科学会
  3. 日本臨床毛髪学会

【症例数】

  1. 3万人以上※
  2. ※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

統括院長プロフィール詳細

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ミノキシジルはAGA(男性型脱毛症)治療において広く用いられる有効な成分ですが、副作用として多毛症を引き起こす可能性があります。

AGA治療を検討されている方や、すでにミノキシジルを使用中で体毛の増加にお悩みの方にとって、多毛症のリスクやその発生確率、そして適切な対処法や予防策を確認しておくことが大変重要です。

この記事では、ミノキシジルがなぜ多毛症を引き起こすのか、どの程度の確率で起こるのか、そして万が一発生した場合の対処法や予防策について、医学的な情報に基づき詳しく解説します。

ミノキシジルとは?AGA治療における役割

ミノキシジルは、もともと高血圧治療薬として開発された成分ですが、その過程で発毛効果があることが発見されてAGA治療薬として転用されました。AGA治療においては、毛髪の成長をサポートする重要な役割を担っています。

ミノキシジルの作用機序

ミノキシジルがどのように発毛を促すか、その詳細な働きは完全には解明されていませんが、血管拡張や細胞の活性化などの作用が考えられています。

毛髪の成長には、毛根にある毛母細胞へ酸素や栄養素が十分に供給される必要があります。ミノキシジルは血管を広げて頭皮の血行を促進するため、毛母細胞への栄養供給を助けて、毛髪の成長期を延長させる効果が期待されます。

また、毛母細胞自体に直接働きかけ、細胞の増殖や活性化を促すとも考えられています。これにより、休止期にある毛包を成長期へと移行させ、細く短い毛髪(軟毛)を太く長い毛髪(硬毛)へと成長させる効果も期待できます。

ミノキシジルの主な作用

  • 頭皮の血管拡張と血行促進
  • 毛母細胞への栄養供給改善
  • 毛母細胞の活性化促進
  • 毛髪の成長期延長

これらの作用により、ミノキシジルはAGAによる薄毛の進行を抑え、発毛を促す効果を発揮します。

AGA治療における位置づけ

AGA治療は、抜け毛の原因となる男性ホルモンの働きを抑える治療と、毛髪の成長を促す治療を組み合わせるのが一般的です。

ミノキシジルは後者の「毛髪の成長を促す治療」に分類され、特に発毛効果を期待する場合に中心的な役割を果たします。

日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」においても、ミノキシジル外用薬は推奨度A(行うよう強く勧める)と評価されており、AGA治療の標準的な選択肢の一つとして位置づけられています。

内服薬は日本では未承認ですが、医師の判断と責任のもとで処方される場合があります。

内服薬と外用薬の違い

ミノキシジルには、頭皮に直接塗布する「外用薬」と、経口摂取する「内服薬(ミノキシジルタブレット、通称ミノタブ)」の2種類があります。

それぞれに特徴があり、期待される効果や副作用のリスクも異なります。

ミノキシジルの種類と特徴

種類使用方法特徴
外用薬頭皮に直接塗布局所的な効果が主。全身への影響は比較的少ない。国内承認薬あり。
内服薬経口摂取全身に作用するため、より高い発毛効果が期待される場合がある。国内未承認。

外用薬は塗布した部分を中心に効果を発揮するため、全身性の副作用のリスクは内服薬に比べて低いとされます。

一方、内服薬は血中から全身に成分が行き渡るため、外用薬よりも発毛効果を期待する声もありますが、そのぶん多毛症を含む全身性の副作用が現れる可能性も高まります。

どちらを選択するかは、個々の症状や体質、期待する効果や副作用のリスクなどを考慮して医師と相談の上で決定しましょう。

ミノキシジルによる多毛症とは

ミノキシジルは発毛効果を持つ一方で、意図しない部位の毛が濃くなる「多毛症」を引き起こす場合があります。

これはミノキシジルの血管拡張作用や毛母細胞への刺激が、頭髪以外の体毛にも影響を及ぼすために起こると考えられています。

多毛症の具体的な症状

ミノキシジルによる多毛症は、主に体毛が濃くなる、長くなる、あるいはこれまで産毛だった部分にしっかりとした毛が生えてくるといった症状で現れます。毛質が硬くなったり、毛の色が濃くなったりする方もいます。

AGA治療の目的は頭髪の改善ですが、ミノキシジルの作用が全身に及ぶと、このような意図しない部位の発毛が見られる場合があります。

特に内服薬は成分が血流に乗って全身に行き渡るため、多毛症の症状が現れやすい傾向にあります。

多毛症が起こる体の部位

多毛症の症状が現れる部位は個人差がありますが、一般的には以下のような部位に認められるケースが多いです。

多毛症の主な症状が現れる部位

部位具体的な場所の例
額、眉間、もみあげ、頬、鼻下、あご
上腕、前腕、手の甲、指
太もも、すね、足の甲、足の指
体幹胸部、腹部、背中、肩

これらの部位の毛が濃くなったり、新たに生えてきたりする場合があります。

女性では、顔の産毛が濃くなることに悩むケースも報告されています。外用薬でも、塗布した箇所以外の体毛に影響が出るときがあります。

多毛症と他の副作用との違い

ミノキシジルには多毛症以外にもいくつかの副作用が報告されています。それらと多毛症を区別し、理解しておくことが大切です。

ミノキシジルの主な副作用

副作用の種類症状備考
多毛症全身の体毛増加(顔、腕、脚など)内服薬でより顕著な傾向
皮膚症状(外用薬)かゆみ、発疹、フケ、接触皮膚炎、毛包炎塗布部位に限定されることが多い
循環器系症状動悸、息切れ、胸痛、めまい、立ちくらみ、むくみ、血圧低下内服薬で注意が必要。もともと降圧剤として開発された経緯
その他頭痛、肝機能障害(まれ)、腎機能障害(まれ)定期的な検査が推奨される場合がある

多毛症は副作用のなかでも比較的特徴的なものであり、主に毛髪(体毛)に関する変化として現れます。一方で、かゆみや発疹は外用薬の塗布部位に、動悸やむくみなどは循環器系への影響として現れるケースが多いです。

副作用と思われる症状が現れた場合は、自己判断せず速やかに医師に相談することが重要です。

なぜミノキシジルで多毛症が起こるのか

ミノキシジルが頭髪の発毛を促進する一方で、なぜ全身の体毛にも影響を与え、多毛症を引き起こすのでしょうか。その背景には、ミノキシジル特有の作用が関係しています。

血行促進作用との関連

ミノキシジルの主な作用の一つに、血管を拡張して血流を増加させる働きがあります。これは頭皮の毛母細胞への栄養供給を高める上で有効ですが、同時に全身の血管にも作用します。

血流が増加することで頭髪以外の部位にある毛包(毛を作り出す器官)も活性化され、体毛の成長が促される可能性があります。

特に内服薬では成分が血流に乗って全身に行き渡るため、この影響がより広範囲に及びやすいと考えられます。

毛母細胞への影響

ミノキシジルは毛髪の根元にある毛母細胞に直接働きかけ、その増殖や活性化を促す作用も持っています。毛母細胞は頭髪だけでなく、全身の体毛を作り出す毛包にも存在します。

そのためミノキシジルの作用が全身の毛母細胞に及ぶと、体毛の成長サイクルにも影響を与えて毛が太くなったり、成長期が延長されたりして、結果的に多毛症として現れる場合があります。

全身への作用(特に内服薬)

ミノキシジル外用薬は頭皮に直接塗布するため、基本的には局所的な作用が中心です。しかし、一部が吸収されて血中に移行し、全身に影響を与える可能性もゼロではありません。

一方、ミノキシジル内服薬は経口摂取され、消化管から吸収されて血流により全身に運ばれます。そのため内服薬の方が全身の毛包に対する影響は大きく、多毛症の副作用がより顕著に現れる傾向があります。

また、用量が多いほど、その影響も強まる可能性があります。

このように、ミノキシジルの持つ血管拡張作用や毛母細胞への直接的な作用が頭髪だけでなく全身の毛包にも及ぶことが、ミノキシジルによる多毛症の原因と考えられています。

ミノキシジルによる多毛症の発生確率

ミノキシジルによる多毛症は、使用者全員に起こるわけではありません。

「ミノキシジルの多毛症が起こる確率」について気にされる方も多いと思いますが、その発生頻度は使用する薬剤の種類(内服薬か外用薬か)や用量、個人の体質などによって異なります。

内服薬と外用薬での発生率の違い

一般的に、ミノキシジル内服薬の方が外用薬よりも多毛症の発生確率は高いとされています。これは、内服薬が全身の血流に乗って作用するため、頭髪以外の毛包にも影響を与えやすいからです。

海外の報告や臨床経験に基づくと、内服薬(ミノキシジルタブレット)を使用した場合の多毛症の発生頻度は比較的高く、用量によってはかなりの割合で認められるとのデータもあります。

具体的な数値は報告によってばらつきがありますが、無視できない副作用であることは確かです。

一方、ミノキシジル外用薬の場合、多毛症の発生頻度は内服薬に比べて低いとされています。

日本皮膚科学会のガイドラインに引用されている臨床試験データなどを見ても、プラセボ(偽薬)群と比較して統計的に有意な差が見られない、あるいは低い頻度での発生に留まることが多いようです。

ただし、外用薬でも体質や使用状況によっては、顔の産毛が濃くなるなどの症状が現れる可能性はあります。

内服薬と外用薬の多毛症発生確率(一般的な傾向)

薬剤の種類多毛症の発生確率(傾向)備考
内服薬比較的高い用量依存的に発生率が上昇する可能性あり
外用薬低い全く起こらないわけではない

発生確率は、研究報告や対象集団によって異なるため、あくまで一般的な傾向として捉えてください。

用量や体質との関連性

ミノキシジルによる多毛症の発生確率や程度は、使用する用量に影響される可能性があります。特に内服薬の場合、高用量になるほど副作用のリスクは高まると考えられます。

効果と副作用のバランスを考慮して医師が適切な用量を設定しますが、自己判断で用量を増やしたりすると、多毛症を含む副作用のリスクを高めることになります。

また、個人の体質も発生確率に関係します。同じ用量のミノキシジルを使用しても、多毛症が強く現れる人もいれば、ほとんど気にならない人もいます。

遺伝的な要因やホルモンバランスなどが影響している可能性も考えられますが、詳細はまだよくわかっていません。

他の薬剤との比較

AGA治療薬には、ミノキシジルの他にフィナステリドやデュタステリドといった5α還元酵素阻害薬があります。

これらの薬剤は、男性ホルモン(DHT)の産生を抑制して抜け毛を防ぐ作用を持ちますが、ミノキシジルのような直接的な発毛促進作用や血管拡張作用はありません。

そのため、フィナステリドやデュタステリドの副作用として多毛症が報告されることは、ミノキシジルに比べて極めてまれです。

主なAGA治療薬と多毛症リスクの比較

薬剤の種類主な作用機序多毛症リスク
ミノキシジル(内服・外用)血行促進、毛母細胞活性化あり(特に内服)
フィナステリド(内服)5α還元酵素(II型)阻害ほぼなし
デュタステリド(内服)5α還元酵素(I型・II型)阻害ほぼなし

このように、多毛症は主にミノキシジルに特徴的な副作用と言えます。治療薬を選択する際には、このような副作用の特徴の違いも考慮に入れる必要があります。

ミノキシジルによる多毛症の確率が心配な方は治療開始前に医師とよく相談し、リスクについて十分な説明を受けましょう。

多毛症が発生した場合の対処法

ミノキシジルを使用していて、腕や顔などの体毛が濃くなってきたと感じた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。自己判断で治療を中断するのではなく、まずは落ち着いて適切な対応をとることが重要です。

まずは医師に相談する

多毛症に限らず、ミノキシジルを使用していて何らかの体調変化や気になる症状が現れた場合は自己判断せずに、まずは処方を受けた医師に相談することが最も重要です。

医師は症状の程度や部位、治療全体の状況などを考慮し、適切なアドバイスや対処法を提案します。

医師への相談時に伝えるべきこと

  • いつから症状が出始めたか
  • どの部位の毛が濃くなったか
  • どの程度気になるか(生活への支障など)
  • 他に気になる症状はないか

正確な情報を伝えると、医師が的確な判断を下しやすくなります。

用量の調整や薬剤変更の検討

多毛症の程度や患者さんの希望に応じて、ミノキシジルの用量を減らすことを検討する場合があります。

特に内服薬の場合、用量を下げると副作用が軽減される可能性があります。ただし、用量を減らすと発毛効果も低下する可能性があるため、そのバランスを慎重に考慮する必要があります。

場合によってはミノキシジルの使用を中止し、フィナステリドやデュタステリドなど、他の作用機序を持つAGA治療薬への変更を検討するケースもあります。

また、外用薬のみの使用に切り替える、あるいは濃度を下げるなどの選択肢も考えられます。

どの方法が合っているかは個々の状況によって異なるため、必ず医師と相談の上で決定してください。

自己判断での中止は避ける

多毛症が気になったとしても、自己判断でミノキシジルの使用を急に中止するのは避けるべきです。治療を中断すると、それまで得られていた発毛効果が失われ、再び薄毛が進行してしまう可能性があります。

自己判断で中止した場合のリスク

  • 発毛効果の喪失
  • 薄毛の再進行
  • 治療計画の遅延

副作用への対応は、治療効果とのバランスを見ながら慎重に行う必要があります。必ず医師の指示に従い、治療を継続するかどうか、あるいはどのように変更するかを決定してください。

美容的な対処法(除毛・脱毛)

ミノキシジルによる多毛症が軽度である場合や、治療効果を優先してミノキシジルの使用を継続したい場合には、美容的な対処法で気になる体毛を処理するのも有効な選択肢です。

美容的な多毛症対処法の種類

対処法方法の概要特徴
自己処理カミソリ、毛抜き、除毛クリーム、ワックスなど手軽だが、肌への負担や埋没毛のリスクあり。一時的な効果。
医療脱毛レーザー脱毛、光脱毛(クリニックやサロン)長期的な減毛・脱毛効果が期待できる。複数回の施術が必要。費用がかかる。

どの方法を選択するかは、多毛症の部位や程度、費用や肌質などを考慮して検討します。

医療脱毛は効果が実感しやすい一方で、費用や時間がかかります。自己処理は手軽ですが、肌トラブルのリスクも伴います。

これらの美容的対処法を行う場合でも、まずは医師に相談してミノキシジル治療との兼ね合いについてアドバイスを受けると良いでしょう。

ミノキシジルによる多毛症の予防策

ミノキシジルによる多毛症を完全に防ぐのは難しいかもしれませんが、いくつかの点に注意するとリスクを最小限に抑えられます。

適切な用量を守る

ミノキシジルによる多毛症のリスクは、用量が多いほど高まる傾向があります。

医師は患者さん一人ひとりの状態に合わせて、効果と副作用のバランスを考慮した上で適切な用量を処方していますので、処方された用量を正確に守ることが多毛症を含む副作用のリスクを管理する上で非常に重要です。

「早く効果を出したい」「もっと髪を増やしたい」という思いから、自己判断で用量を増やしてしまうのは絶対に避けてください。

用量を増やしても必ずしも効果が高まるわけではなく、むしろ副作用のリスクを高めるだけになる可能性があります。

定期的な診察を受ける

ミノキシジル治療中は、定期的な医師の診察が大切です。診察では発毛効果の確認だけでなく、副作用の有無や程度、全身の健康状態などをチェックします。

多毛症の兆候が早期に発見されれば、用量の調整など、迅速に対応できます。。

定期診察の重要性

確認項目目的
発毛効果の評価治療が有効に機能しているかを確認
副作用のチェック多毛症、皮膚症状、循環器系症状などの有無を確認
全身状態の確認治療継続の可否や、他の健康問題との関連を評価
治療方針の再検討効果や副作用に応じて、用量調整や薬剤変更などを検討

定期的な診察は、安全かつ効果的に治療を進めるために必要です。医師の指示に従い、指定された間隔で必ず受診するようにしましょう。

医師の指示に従う重要性

ミノキシジル治療に関するすべての判断は、医師の指示に基づいて行うのが基本です。使用方法(塗布の仕方や服用のタイミング)、用量、診察のスケジュールなど、医師からの指示を正確に理解して遵守してください。

インターネット上の情報や個人の体験談などを鵜呑みにせず、疑問や不安な点があれば必ず担当の医師に直接質問して解消するようにしましょう。

医師との良好な関係を築き、信頼して治療を進めると、多毛症のリスク管理を含めてAGA治療を成功させやすいです。

他のAGA治療法との比較

AGA治療には、ミノキシジル以外にもいくつかの選択肢があります。ご自身に合った治療法を見つける上で、それぞれの治療法の特徴を確認しながら比較検討すると役立ちます。

フィナステリド・デュタステリドとの違い

フィナステリドとデュタステリドは、AGAの主な原因とされるジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンの生成を抑制する内服薬です。「プロペシア」や「ザガーロ」といった商品名で知られています。

これらの薬剤は、抜け毛の進行を抑える「守りの治療」として位置づけられます。一方、ミノキシジルは発毛を促す「攻めの治療」と言えます。

作用機序が異なるため、副作用の種類も異なります。フィナステリドやデュタステリドでは、性機能に関する副作用(性欲減退、勃起機能不全など)や肝機能障害などが報告されていますが、ミノキシジルのような多毛症のリスクはほとんどありません。

主なAGA内服薬の比較

薬剤名作用機序主な期待効果多毛症リスク
ミノキシジル(内服)血行促進、毛母細胞活性化発毛促進あり動悸、むくみ、めまいなど
フィナステリド5α還元酵素(II型)阻害抜け毛抑制ほぼなし性機能関連、肝機能障害など
デュタステリド5α還元酵素(I型・II型)阻害抜け毛抑制ほぼなし性機能関連、肝機能障害など

これらの薬剤は単独で使用される場合もありますが、作用機序の違いからミノキシジルと併用する方も多いです。

植毛や他の治療法

薬物療法以外にも、AGA治療には自毛植毛やレーザー治療などの選択肢があり、薬物療法と組み合わせて行われるケースも多いです。

自毛植毛

自分の後頭部など、AGAの影響を受けにくい部位の毛髪を、毛包ごと薄毛部分に移植する外科手術です。根本的な改善が期待できますが、費用が高額になることや、手術に伴うリスクがあります。

低出力レーザー治療

特定の波長のレーザーを頭皮に照射し、毛母細胞の活性化や血行促進を図る治療法です。家庭用機器もありますが、効果には個人差があります。

注入療法(メソセラピーなど)

発毛を促す成分(ミノキシジル、成長因子など)を頭皮に直接注入する方法です。効果や安全性については、まだ十分なエビデンスが確立されていない側面もあります。

治療法選択における注意点

どの治療法を選択するかはAGAの進行度や患者さんの希望、予算や生活スタイル、そして副作用のリスク許容度などを総合的に考慮して決定する必要があります。

ミノキシジルは発毛効果が期待できる一方で、多毛症のリスクがあります。フィナステリドやデュタステリドは抜け毛抑制に効果的ですが、異なる種類の副作用があります。植毛は効果が高いですが、費用やダウンタイムが必要です。

治療法を選択する際には、それぞれのメリット・デメリット、そして副作用について医師から十分な説明を受け、納得した上で決定することが重要です。

ご自身の状況に最も合う治療計画を立てるために、専門医とよく相談しましょう。

よくある質問(FAQ)

さいごに、ミノキシジルと多毛症に関して患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

多毛症は治療をやめれば治りますか?

一般的に、ミノキシジルの使用を中止すれば、多毛症の症状は徐々に改善していくと考えられます。ミノキシジルの作用によって活性化されていた体毛の毛包が、薬剤の影響を受けなくなるためです。

ただし、完全に元の状態に戻るまでには時間がかかる場合があります。個人差はありますが、数ヶ月単位で様子を見る必要があるでしょう。

重要なのは、自己判断で中止するのではなく、必ず医師に相談して指示に従うことです。治療の中止は、AGAの進行を再び招く可能性もあります。

女性でも多毛症は起こりますか?

女性がミノキシジルを使用した場合でも、多毛症が起こる可能性はあります。特に、顔の産毛が濃くなる、手足の毛が濃くなる、といった症状が現れるときがあります。

女性のAGA(FAGA)治療においてもミノキシジル外用薬は有効な選択肢ですが、多毛症のリスクについては男性と同様に注意が必要です。

女性の場合、美容的な観点から多毛症をより気にされる方も多いため、治療開始前に医師と副作用についてよく話し合っておくと良いでしょう。

多毛症と髪の毛の増加は関係ありますか?

ミノキシジルが頭髪以外の体毛を濃くする作用(多毛症)と、頭髪の発毛を促す作用は、基本的には同じ作用機序(血行促進、毛母細胞の活性化)に基づいています。

そのため多毛症が現れているということは、ミノキシジルの成分が体内で作用している証拠とも言えます。

ただし、多毛症の程度と頭髪の発毛効果が必ずしも比例するわけではありません。多毛症が強く出ても頭髪の効果が十分でない場合もあれば、多毛症は軽微でも頭髪には良い効果が見られる場合もあります。

効果と副作用のバランスは個人差が大きいため、定期的な医師の診察で評価していくことが重要です。

副作用が心配な場合の相談先は?

ミノキシジルの副作用、特に多毛症などが心配な場合は、まずはAGA治療を受けている、あるいは検討しているクリニックの医師に相談するのが第一です。

専門医は、ミノキシジルの効果や副作用について豊富な知識と経験を持っています。現在の症状や不安について具体的に伝え、適切なアドバイスや対処法を仰ぎましょう。

必要に応じて、セカンドオピニオンとして他のAGA専門クリニックや皮膚科医に相談するのも選択肢の一つです。自己判断でインターネットの情報だけに頼るのではなく、必ず専門家である医師に相談するようにしてください。

参考文献

DESAI, Deesha D., et al. Minoxidil-Induced Hypertrichosis: Pathophysiology, Clinical Implications and Therapeutic Strategies. JAAD Reviews, 2024.

SHEN, Yuqing, et al. New target for minoxidil in the treatment of androgenetic alopecia. Drug Design, Development and Therapy, 2023, 2537-2547.

VAÑÓ-GALVÁN, Sergio, et al. Safety of low-dose oral minoxidil for hair loss: a multicenter study of 1404 patients. Journal of the American Academy of Dermatology, 2021, 84.6: 1644-1651.

JIMENEZ-CAUHE, Juan, et al. Characterization and Management of Adverse Events of Low-Dose Oral Minoxidil Treatment for Alopecia: A Narrative Review. Journal of Clinical Medicine, 2025, 14.6: 1805.

ANASTASSAKIS, Konstantinos. Minoxidil. In: Androgenetic Alopecia From A to Z: Vol. 2 Drugs, Herbs, Nutrition and Supplements. Cham: Springer International Publishing, 2022. p. 11-39.

DAWBER, R. P. R.; RUNDEGREN, J. Hypertrichosis in females applying minoxidil topical solution and in normal controls. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology, 2003, 17.3: 271-275.

JIMENEZ-CAUHE, Juan, et al. Characterization and management of hypertrichosis induced by low-dose oral minoxidil in the treatment of hair loss. Journal of the American Academy of Dermatology, 2021, 84.1: 222-223.

WEICHERT, Maggie, et al. Efficacy and safety of minoxidil therapy: A systematic review and meta-analysis weighing the benefits against the risk of hypertrichosis. JAAD Reviews, 2025.

前田 祐助

この記事の監修者
AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴

  1. 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
  2. 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
  3. 大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
前田 祐助

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