脂漏性皮膚炎が生え際に発生したときの対処法と治療選択肢 | AGA・抜け毛・薄毛治療のAGAメディカルケアクリニック【公式】

脂漏性皮膚炎が生え際に発生したときの対処法と治療選択肢

更新日
脂漏性皮膚炎が生え際に発生したときの対処法と治療選択肢
前田 祐助
監修医師

前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

【経歴】

  1. 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
  2. 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
  3. 大手AGAクリニック(院長)を経て、薄毛・AGA治療の2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
  4. 2020年に2院目となるAGAメディカルケアクリニック横浜院を開設
  5. 2023年に3院目となるAGAメディカルケアクリニック東京八重洲院を開設

【資格】

  1. 医師免許
  2. ⽇本医師会認定産業医
  3. 医学博士

【所属学会】

  1. 日本内科学会
  2. 日本美容皮膚科学会
  3. 日本臨床毛髪学会

【症例数】

  1. 3万人以上※
  2. ※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

統括院長プロフィール詳細

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頭皮のかゆみや炎症は気になりつつも、しばらく経てば自然に治るだろうと放置してしまうこともあるのではないでしょうか。

しかし、生え際に起こる脂漏性皮膚炎は放っておくと症状が悪化しやすく、薄毛や抜け毛のリスクも高まる可能性があります。

脂漏性皮膚炎が生え際に起こる背景

脂漏性皮膚炎が生え際に集中しやすい理由には、皮脂の分泌や毛穴周辺の環境が大きく関わっています。

頭皮全体でも発生しやすい症状ですが、髪の生え際は汗や皮脂の排出が起こりやすく、細菌や真菌(カビ)が繁殖しやすい傾向にあるため、症状が顕著になります。

また、刺激物質や整髪料の残留などが局所に留まりやすい環境も一因です。

脂漏性皮膚炎の基本的な特徴

脂漏性皮膚炎とは頭皮や顔など、皮脂分泌が盛んな部分に好発する皮膚の炎症です。

多くの方が頭皮のかゆみやフケに悩み、皮膚が赤くなったり痂皮(かさぶた)が生じたりするケースもあります。

真菌(マラセチア菌)が増殖し、皮脂と結びついて炎症を引き起こすと考えられています。

ただし、体質や生活習慣も密接に関連し、一度治っても再発する方が珍しくありません。

脂漏性皮膚炎と頭皮に関係する要因

要因内容
皮脂分泌の増加遺伝やホルモンバランスの乱れなどが原因で皮脂が過剰分泌すると炎症が進行しやすい
真菌の増殖マラセチア菌などの菌が皮脂を栄養源として繁殖し、頭皮の炎症を誘発する
ストレス自律神経やホルモンバランスに影響を与え、皮脂の分泌量に影響を及ぼすことがある
不適切なケア刺激の強いシャンプーや過度な洗髪などが頭皮環境を悪化させる

皮脂の分泌量と頭皮環境の関係

頭皮は皮脂腺が集中しているため、常に皮脂の影響を受けやすい部位です。皮脂は外界の刺激から頭皮を保護する役割を果たしますが、過剰になると毛穴詰まりや真菌の増殖を招きます。

皮脂の量が多い方ほど脂漏性皮膚炎が起こりやすいといわれ、特に生え際は洗い残しが起こりがちなエリアのため症状が目立ちやすいです。

皮脂バランスを整えることが頭皮環境の改善に重要です。

  • 生え際は汗や汚れが溜まりやすい
  • 整髪料の残留が毛穴詰まりにつながる
  • 洗髪のときに意識して洗い残しを防ぐ必要がある
  • 皮脂を落としすぎると頭皮が乾燥し、さらに皮脂分泌が活発化する恐れがある

毛穴周辺の菌との関係

脂漏性皮膚炎の主要因とされるマラセチア菌は、健康な頭皮にも常在しています。しかし、皮脂が多い環境では菌が増殖しやすくなり、炎症やかゆみ、フケなどを引き起こします。

通常の洗髪だけでは完全に菌を取り除くのは難しく、頭皮環境をコントロールしながら増殖を抑えることが必要です。

マラセチア菌増殖を左右する要素

要素内容
湿度湿度が高いと菌が繁殖しやすくなる
油分毛穴周辺に皮脂や油分が多いほど菌が定着しやすい
免疫力体の抵抗力が低下すると菌に対する防御機能が下がり、炎症が起こりやすくなる
頭皮の清潔度洗髪方法や整髪料の使い方によって、菌の繁殖環境を整えやすくなる

生え際に症状が出やすい理由

額に近い生え際は皮脂だけでなく、汗や汚れが溜まりやすい地域です。

前髪やフェイスラインに使用する化粧品や整髪料が残留しやすいこともあり、皮膚刺激が持続すると炎症が起こりやすくなります。

また、洗髪時に意識して洗わないと洗い残しが出やすい領域である点が、症状の温床となる背景です。

これらの要因が重なると脂漏性皮膚炎が集中して出現し、慢性化しやすいです。

症状の特徴とセルフチェックの方法

生え際での脂漏性皮膚炎は、初期段階では軽いかゆみやフケ程度で済む場合があります。しかし放置するとフケが増えたり、赤みやただれが広がったりして、抜け毛の原因となることもあります。

そこで、早期発見のためには日頃のセルフチェックが大切です。

代表的な症状のパターン

生え際にできる脂漏性皮膚炎の症状は、個人差はあるものの一定のパターンがあります。

かゆみや赤みのほかに、フケが大きく固まって落ちてくるのが特徴的です。髪の毛が生えている部分だけでなく、フェイスラインにも赤みが広がるケースも見受けられます。

生え際によく見られる症状

症状特徴
フケの大量発生かさぶたのように大きなフケが生える
強いかゆみ発疹や軽い熱感が出る場合もある
赤みや湿疹が広範囲に広がる額の周囲や耳の周辺まで拡大することがある
炎症による頭皮の痛み触れると痛みを感じるほど腫れるケースも少なくない

シャンプー時のチェックポイント

シャンプー時は、脂漏性皮膚炎の兆候をいち早く見つけるチャンスです。

泡立ちの際やすすぎの際に頭皮の状態を指の腹で優しく確かめると、フケやかさぶたの有無に気づきやすくなります。

シャンプー剤がしっかり泡立たない部分は洗い残しが発生している可能性があるため、意識して洗い流すと良いです。

  • 指の腹で頭皮を揉むように洗い、傷つけないようにする
  • ぬるま湯(約38度)で十分にすすぐ
  • シャンプーやコンディショナーの残りがないか確認
  • 週に数回は育毛剤や薬用シャンプーの使用を検討する

かゆみや赤みの判断基準

生え際が痒くても、ただの乾燥や刺激による一時的な炎症の可能性もあります。

まずは次のようなポイントを踏まえ、脂漏性皮膚炎が疑われるかどうかを判断するとよいでしょう。

  • フケが大きく固まって落ちてくる
  • 爪で引っかくと皮膚が白く剥がれたり、黄色い脂分を含んだ塊が出てくる
  • 赤みが額やこめかみにかけて広がる
  • 症状が慢性的に繰り返される

これらのうちいくつかが複合して現れる場合は、脂漏性皮膚炎の疑いがあります。

初期段階から適切なケアを行うと早期改善に結びつきやすいため、早めに専門家に相談すると安心です。

AGAの可能性との見分け方

AGA(男性型脱毛症)の初期も生え際が後退したり、頭頂部が薄くなったりするため、脂漏性皮膚炎による抜け毛と混同しやすいです。

大きな違いは頭皮の状態です。AGAの場合は炎症やフケが極端に増えるわけではなく、毛髪が細くなり抜けやすくなっていく特徴をもちます。

逆に脂漏性皮膚炎が原因の脱毛は、炎症のある部位周辺から髪が抜ける方が多いです。

見分けが難しいと感じたら、皮膚科や毛髪専門のクリニックで診察を受けてください。

自宅でできるケアと注意点

生え際の脂漏性皮膚炎は、早期であれば自宅でのケアによって改善が期待できます。適切な洗髪方法や整髪料の選び方、食生活などに気をつけると、悪化を防ぎやすくなります。

すでに症状が強く出ている場合でも、日頃のケアを見直すだけで再発リスクを低減できるため、実践しやすい方法を覚えておきましょう。

シャンプー選びのポイント

刺激が強すぎるシャンプーは頭皮を乾燥させ、皮脂分泌を過剰にさせる一因になるときもあります。

逆に保湿力が高すぎるタイプを使うと、毛穴詰まりを起こす可能性があります。

おすすめしたいシャンプーの選択基準

選択基準詳細
低刺激性硫酸系の界面活性剤を避け、アミノ酸系やベタイン系を選ぶ
抗真菌成分配合ピロクトンオラミンやケトコナゾールなどが含まれるタイプを検討
保湿バランスグリセリンやヒアルロン酸などが配合され、適度な保湿を行う
洗い上がりの感触洗い残しがなくサッパリしつつ、頭皮に突っ張り感を感じないもの

日常生活での予防策

頭皮環境の悪化を防ぐには、生活習慣の見直しも欠かせません。中でも食生活や睡眠、ストレス管理などが重要になります。

脂っこい食事を過剰に摂取すると皮脂分泌が活発になりやすく、睡眠不足やストレスはホルモンバランスを乱す原因になります。

  • バランスの良い食事(野菜・たんぱく質・ビタミンを含む)
  • 十分な睡眠時間の確保
  • 過度な飲酒や喫煙を控える
  • ストレスを軽減するための適度な運動や休息

頭皮マッサージや洗い方のコツ

シャンプー前にブラッシングしてから、ぬるま湯で予洗いを行うと汚れや皮脂が落ちやすくなります。

シャンプーは手のひらで泡立ててから頭皮に乗せ、指の腹で優しくマッサージしながら洗うと刺激を抑えられます。

頭皮マッサージは血行を促進し、皮脂の排出もスムーズになりますが、力を入れすぎると炎症を悪化させる場合があるため注意が必要です。

洗髪時に心がけたいこと

  • シャンプー前にブラッシングして大きな汚れを除去する
  • 頭皮ではなく髪の毛を中心に泡立てる
  • 指の腹で頭皮を動かすようにマッサージする
  • すすぎは丁寧に、時間をかけて行う

生活習慣の見直し

脂漏性皮膚炎は頭皮だけでなく、全身的な健康状態にも影響を受けます。

脂肪分の多い食事ばかりを好んでいると、皮脂分泌が盛んになりやすいです。ビタミンB群や亜鉛、鉄分などをバランスよく摂取すると、頭皮の健康が保たれやすくなります。

また、睡眠不足は自律神経を乱し、結果的に頭皮環境を悪化させることにつながります。忙しい日々の中でも適度な休息や気分転換を取り入れ、体内リズムを整えると良いでしょう。

病院で受けられる治療の概要

自宅でのケアだけでは改善が難しいと感じた場合や、症状が強い場合は医療機関の受診が重要です。

脂漏性皮膚炎の場合は皮膚科や、頭皮のトラブルを専門に扱うクリニックで適切な治療を受けると、早期改善が見込まれます。

治療には外用薬や内服薬、場合によってはサプリメントなど多角的な方法が検討されます。

抗真菌薬の塗布や内服

マラセチア菌の増殖を抑えるために、抗真菌薬を塗布したり内服したりする治療法が一般的です。

症状の重症度や範囲によって使い分けられ、頭皮の炎症を緩和する効果が期待できます。

外用薬は洗髪後に頭皮に直接塗布する形が多く、内服薬は全身的に真菌の増殖を抑制します。

脂漏性皮膚炎で使用されやすい薬剤

種類具体例特徴
抗真菌外用薬ケトコナゾールローションなど頭皮に直接作用し、局所的に真菌増殖を抑える
抗真菌内服薬イトラコナゾールなど重度の場合に検討し、全身的な治療が可能
頭皮用ローションステロイド成分や抗炎症成分配合かゆみや赤みを緩和し、症状を和らげる

頭皮用ステロイド外用薬の使い方

炎症が強い場合は、ステロイドの外用薬を併用することがあります。過度な使用は副作用のリスクが高まるため、短期集中的に利用するケースが一般的です。

強めのステロイドを使う場合は炎症をピンポイントで抑える一方、症状が落ち着いたら徐々に弱いタイプに切り替えたり、使用頻度を減らしたりします。

医師が症状の経過を見ながら、段階的に薬の量や種類を決定します。

  • 強力なステロイドは短期間で終わらせる
  • 症状が改善したら弱いステロイドや保湿剤でケアを続ける
  • 塗布後は薬剤が残らないよう、決められた時間やタイミングで洗い流す
  • 副作用が心配なときは医師に相談し、使い方を見直す

脱毛治療と並行した取り組み

脂漏性皮膚炎が長引くと、生え際の薄毛を助長する可能性があります。その場合、脂漏性皮膚炎を抑えながら育毛や発毛を促す治療を並行して行うことがよくあります。

具体的には、皮膚科で処方される薬や、AGA治療専門クリニックでの抜け毛ケアが併用されるケースがあります。

脂漏性皮膚炎とAGA治療併用のメリット

項目内容
頭皮環境の改善脂漏性皮膚炎を改善し、毛根を健康な状態に保ちやすくなる
髪の成長サイクルの正常化AGAの進行を抑える治療と合わせることで発毛効果を高めやすい
再発リスクの低減日々の頭皮ケアも併用するため、脂漏性皮膚炎の再燃を抑制できる

AGA治療専門クリニックとの連携

AGA治療を専門とするクリニックでも、脂漏性皮膚炎などの頭皮トラブルに対応しているところがあります。

頭皮状態や髪の状態を総合的に診断し、必要に応じて保険診療や自由診療を組み合わせながら治療を進めるケースも多いです。

特に薄毛が気になる方は、早い段階で専門のクリニックに相談するとスムーズな治療開始が期待できます。

再発予防に大切なケア

脂漏性皮膚炎は、一度よくなっても再発するリスクが高いとされています。特に生え際は外的刺激を受けやすい上に、皮脂や汚れが溜まりやすいため要注意です。

再発を防ぐには、適切な頭皮ケアと日常生活の見直しが欠かせません。治療が終わった後も、継続したケアを心がけましょう。

保湿と皮脂コントロール

頭皮も肌の一部ですので、適度な保湿が必要となります。保湿ローションなどを活用しつつ、皮脂の過剰分泌を抑えるためのケアが大切です。

洗いすぎによって頭皮が乾燥すると、逆に皮脂が増えやすくなるため、シャンプーの回数や洗浄力に気をつけましょう。

頭皮の保湿ケア

  • 保湿成分入りのローションを頭皮用に使用する
  • 洗髪後はタオルドライで優しく水分を拭き取る
  • ドライヤーは頭皮と髪の間に手を入れながら温風を当てる
  • ハーブエキスやセラミド配合の育毛剤で頭皮環境を整える

ストレスケアの重要性

ストレスは皮脂分泌や免疫機能に深く影響を及ぼします。ストレスが蓄積すると脂漏性皮膚炎だけでなく、脱毛や髪質の悪化につながるケースがあります。

適度な運動やリラクゼーション法を取り入れて、日常的にストレスを発散させる習慣作りを目指してみてください。

対策具体的な方法
運動による発散ウォーキングやヨガなど、軽い運動を日常に取り入れる
十分な休息と睡眠早めに就寝し、できるだけ決まった時間に起床する
趣味やリラクゼーションアロマテラピー、音楽鑑賞、読書など好きなことに没頭する
カウンセリングや相談先心身の不調を感じる場合は専門家への相談を検討する

定期的な受診のメリット

脂漏性皮膚炎が慢性化しやすい方ほど、定期的に病院やクリニックで頭皮状態をチェックすると安心です。

小さな異常を早めに発見できれば、本格的な炎症に進む前に対処しやすくなります。

特にAGAが疑われる方は、並行して経過を観察しながら治療を受けることで、将来的な薄毛リスクを軽減できる可能性があります。

生え際の脂漏性皮膚炎と薄毛リスク

脂漏性皮膚炎は放置すると抜け毛につながりやすく、とくに生え際の場合は見た目に影響が出やすいので注意が必要です。

炎症の影響で毛根にダメージが及ぶと、その後の発毛サイクルにも悪影響を与えるときがあります。

毛周期への影響

髪には成長期、退行期、休止期という周期が存在します。

脂漏性皮膚炎が慢性化すると、炎症によって成長期の髪が十分に成長できずに抜け落ちやすくなります。毛根の活性が落ちると髪が細くなり、伸びにくくなるという悪循環に陥ります。

  • 炎症の持続により毛根が弱る
  • 成長期が短くなることでヘアサイクルが乱れる
  • 髪が細くなり、ハリやコシが失われる
  • 抜け毛が増え、生え際の後退を感じやすくなる

炎症が長引いた場合のリスク

脂漏性皮膚炎による赤みやかゆみを放置すると、頭皮全体にも広がりかねません。特に生え際から頭頂部にかけて進行すると、抜け毛が加速して薄毛が強調されて見えるようになります。

また、爪で頭皮をかきむしるなどの物理的刺激は、さらに毛根を傷つける結果となるでしょう。

こうした状態が長期にわたって続くと、毛根が再び健康を取り戻すまでに多くの時間を要します。

炎症が長引くと考えられる影響

影響内容
頭皮全体への拡散はじめは生え際のみでも徐々に後頭部や耳周りへと広がる
薄毛の顕在化頭頂部や前頭部が目立つ形で薄くなり、見た目の悩みが増す
かき傷による二次感染傷から細菌などが侵入し化膿するリスクが高まる
毛根ダメージの蓄積将来的に髪が生えにくくなる、または細くなる可能性がある

クリニックでの早期介入が鍵

慢性的な炎症を引き起こす脂漏性皮膚炎は、セルフケアだけで完治させるのが難しい場合があります。

悪化する前にクリニックで正確な診断と治療を受けると、深刻なダメージを回避しやすくなります。

生え際の薄毛が気になり始めた段階でも、脂漏性皮膚炎の有無を確認しておくと早期の治療につなげやすいです。

薄毛治療へのスムーズな移行

もし脂漏性皮膚炎の治療中や治療後に髪のボリュームが気になり始めた場合、スムーズに薄毛治療へ移行することができます。

多くのクリニックでは脂漏性皮膚炎とAGAの両方を同時にケアできる体制を整えており、経過を見ながら必要な治療を追加する形で進められます。

頭皮の炎症を抑えつつ、発毛・育毛を促す取り組みが可能です。

脂漏性皮膚炎とAGA治療の併用

生え際に脂漏性皮膚炎が生じている方が、AGA治療を検討することは少なくありません。

頭皮環境が悪い状態で発毛治療を行っても、十分な効果を得られない場合があるため、まずは脂漏性皮膚炎を改善した上で育毛を進める形が望ましいです。

ただし、医師の判断によっては同時並行での治療が勧められるケースもあります。

併用治療の利点

脂漏性皮膚炎とAGA治療を同時に進めると、頭皮環境を改善しながら毛髪の成長をサポートできます。

特に薬物療法と頭皮ケアを組み合わせると、それぞれ単独で行うよりも効率的に結果を得やすいです。

炎症が軽減した頭皮は発毛成分を吸収しやすくなり、より効果的な育毛が見込めるでしょう。

  • 脂漏性皮膚炎をケアすることで頭皮の健康を取り戻しやすい
  • 発毛剤や育毛剤が浸透しやすくなる
  • AGA治療薬の効果を最大限に引き出しやすい
  • ストレス軽減にもつながり、総合的に髪の状態を良好に保ちやすい

クリニックのカウンセリング

AGA治療や脂漏性皮膚炎など頭皮のトラブルを同時に扱う場合、カウンセリングの段階で症状や経過を詳しく伝えることが大切です。

頭皮の炎症が強いときはまず脂漏性皮膚炎の治療を優先したり、軽度なら並行してAGA治療を行うなど、一人ひとりの状況に合わせた提案が行われます。

カウンセリングで確認したい項目

項目内容
症状の経過いつ頃から症状が出始め、現在どの程度の状態か
既往歴やアレルギーの有無以前に皮膚炎やアレルギー反応を起こした経験はないか
使用中のシャンプーや薬普段使っているヘアケア製品や内服・外用薬の種類
脱毛が気になり始めた時期抜け毛や髪のハリ・コシに気づいたのはいつ頃か
治療に使える予算や期間保険診療と自由診療のどちらを検討するか、目標とする治療期間はどのくらいか

治療費用と保険適用の範囲

脂漏性皮膚炎の治療は保険診療の範囲で受けることが多い一方、AGA治療は自由診療になるケースが一般的です。

ただし、脱毛の原因が脂漏性皮膚炎に起因する場合などは、医師が保険適用の範囲内で薬を処方する場合もあります。

診察の際に費用面についても遠慮なく相談し、今後の治療計画を立てると良いです。

治療の流れ

実際に併用治療を行う場合、最初の数週間から数か月間は脂漏性皮膚炎の改善に力を入れます。

その後、炎症がある程度コントロールできたらAGA治療に比重を移しつつ、炎症のケアも並行して続けます。

このように、段階的に治療の重点を変えながら頭皮環境と毛髪の両面をサポートする方法が一般的です。

クリニックを受診するタイミングと選び方

脂漏性皮膚炎が生え際に出てきて、かゆみやフケが気になるようになったとき、我慢し続けるのはよくありません。

早めにクリニックを受診すると炎症を抑え、症状の進行を防ぎやすくなります。また、クリニックを選ぶ際は、自分の症状に合わせた診療内容を提供しているかどうかが判断基準となるでしょう。

迷ったときの目安

軽いかゆみや赤みの場合、自宅ケアで様子を見てもいいかもしれませんが、下記のような状態なら早めの受診が望ましいです。

  • 赤みが1週間以上続いている
  • 大きなフケやかさぶたが絶えず出ている
  • 夜間のかゆみが強くなってきた
  • 洗髪してもすぐに脂っぽくなる
  • 抜け毛が増え、生え際の後退を感じる

クリニックの診療内容の確認

脂漏性皮膚炎の治療を希望する場合は、一般皮膚科で診てもらうか、頭皮専門の外来やAGA治療に強いクリニックに通うのが一般的です。

受診前にホームページなどで診療内容をチェックし、脂漏性皮膚炎の治療実績や医師の専門領域を把握しておくと安心です。

AGA治療も視野に入れているのであれば、併せて相談できるところを選ぶと手間が少なくなります。

クリニック選びで注目したい項目

  • 医師やスタッフの専門性(皮膚科専門医、毛髪診断士など)
  • 脂漏性皮膚炎やAGA治療の実績や症例数
  • 保険診療と自由診療の範囲
  • カウンセリングやアフターケアの充実度
  • アクセスや予約の取りやすさ

医師とのコミュニケーション

医師に対して症状の経過や普段のケア方法を正確に伝えると、原因や悪化要因を特定しやすくなります。

使っているシャンプーや整髪料、飲んでいるサプリや薬など、頭皮に影響を与えそうな要素を事前にメモしておくとスムーズです。

疑問点や不安なことがあれば遠慮せずに質問し、納得のいく治療計画を立てましょう。

準備しておく事項内容
症状の発症時期いつ頃から脂漏性皮膚炎の症状が気になり始めたか
今まで試したケア方法市販薬や育毛剤、民間療法など
家族の既往症家族にAGAや脂漏性皮膚炎が多い、アレルギー体質の人がいる など
現在の生活習慣食事内容、睡眠時間、ストレス要因など
希望する治療の範囲保険診療のみか、自由診療も含めて検討するか

次の段階への流れ

クリニックでの診察後、外用薬や内服薬が処方され、医師の指導のもとでケアを行います。

症状が改善し、炎症がおさまったら、AGA治療に移行したり、育毛メニューを検討するなどの選択肢が出てくることがあります。

症状がぶり返さないよう、定期的に受診しながら適切なケアを続けることが大切です。

参考文献

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DALL’OGLIO, Federica, et al. An overview of the diagnosis and management of seborrheic dermatitis. Clinical, cosmetic and investigational dermatology, 2022, 1537-1548.

JOHNSON, Betty Anne; NUNLEY, Julia R. Treatment of seborrheic dermatitis. American family physician, 2000, 61.9: 2703-2710.

BORDA, Luis J.; PERPER, Marina; KERI, Jonette E. Treatment of seborrheic dermatitis: a comprehensive review. Journal of Dermatological Treatment, 2019, 30.2: 158-169.

GUPTA, A. K.; RICHARDSON, M.; PAQUET, M. Systematic review of oral treatments for seborrheic dermatitis. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology, 2014, 28.1: 16-26.

JACKSON, J. Mark, et al. Unmet needs for patients with seborrheic dermatitis. Journal of the American Academy of Dermatology, 2024, 90.3: 597-604.

GUPTA, Aditya K., et al. Seborrheic dermatitis. Dermatologic clinics, 2003, 21.3: 401-412.

FAERGEMANN, Jan. Management of seborrheic dermatitis and pityriasis versicolor. American journal of clinical dermatology, 2000, 1: 75-80.

前田 祐助

この記事の監修者
AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴

  1. 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
  2. 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
  3. 大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
前田 祐助

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