ストレスと抜け毛の関係|自律神経の影響と改善策 | AGA・抜け毛・薄毛治療のAGAメディカルケアクリニック【公式】

ストレスと抜け毛の関係|自律神経の影響と改善策

更新日
ストレスと抜け毛の関係|自律神経の影響と改善策
前田 祐助
監修医師

前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

【経歴】

  1. 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
  2. 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
  3. 大手AGAクリニック(院長)を経て、薄毛・AGA治療の2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
  4. 2020年に2院目となるAGAメディカルケアクリニック横浜院を開設
  5. 2023年に3院目となるAGAメディカルケアクリニック東京八重洲院を開設

【資格】

  1. 医師免許
  2. ⽇本医師会認定産業医
  3. 医学博士

【所属学会】

  1. 日本内科学会
  2. 日本美容皮膚科学会
  3. 日本臨床毛髪学会

【症例数】

  1. 3万人以上※
  2. ※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

統括院長プロフィール詳細

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近年抜け毛や薄毛に悩む方が増えています。その原因は様々ですが、ストレスや自律神経の乱れが大きく関わっているケースも少なくありません。

この記事では、ストレスや自律神経のバランスがどのように髪の毛に影響を与えるのか、その関係性を詳しく解説します。

ストレスが抜け毛を引き起こす理由

現代社会において、ストレスは避けて通れない問題です。過度なストレスは心身に様々な不調をもたらしますが、髪の毛にも深刻な影響を与える場合があります。

ストレスを感じると、私たちの身体は防御反応として特定のホルモンを分泌します。

この反応自体は生命維持に必要なものですが、慢性的なストレス状態が続くと身体への負担が大きくなり、抜け毛を含む様々な問題を引き起こす可能性があります。

ストレス反応と身体への影響

ストレスにさらされると、身体は「戦うか逃げるか」の準備を始めます。心拍数や血圧が上昇し、筋肉が緊張します。これは、危険な状況から身を守るための自然な反応です。

しかし、現代社会におけるストレスの多くは身体的な危険ではなく、精神的なプレッシャーや人間関係、仕事上の問題などから生じます。

これらのストレスが長期間続くと、身体は常に緊張状態を強いられて様々な不調が現れます。

ストレス反応の種類

反応の種類主な現れ方
身体的反応頭痛、肩こり、疲労感、動悸
精神的反応不安、イライラ、集中力低下
行動的反応過食、拒食、不眠、引きこもり

ストレスホルモン(コルチゾール)と毛髪の関係

ストレスを感じると、副腎皮質からコルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールは、血糖値を上昇させたり、免疫機能を抑制したりする働きがあり、短期的には身体をストレスから守る役割を果たします。

しかし、慢性的にコルチゾールの分泌が高い状態が続くと、毛髪の成長サイクルに悪影響を与えることがわかっています。

コルチゾールは毛母細胞の活動を抑制して髪の毛の成長期を短縮させ、休止期へと移行させる作用があります。

これにより抜け毛が増加し、薄毛が進行する可能性があります。

血行不良と毛根への栄養不足

ストレスは自律神経のバランスを乱し、特に交感神経を優位にします。交感神経が活発になると血管が収縮し、血行が悪くなります。

頭皮の毛細血管は非常に細いため、血行不良の影響を受けやすい部分です。血行が悪くなると、髪の毛の成長に必要な栄養素や酸素が毛根まで十分に届かなくなります。

栄養不足に陥った毛根は健康な髪の毛を育てられなくなり、結果として抜け毛が増えたり髪が細くなったりします。

睡眠不足や生活習慣の乱れ

ストレスは、睡眠の質の低下や不規則な生活習慣を引き起こす大きな要因です。眠りが浅い、寝付けないといった睡眠の問題は、髪の毛の成長に必要な成長ホルモンの分泌を妨げます。

成長ホルモンは子どもの身体だけに関係するのではなく、大人の細胞の修復や再生を促す重要なホルモンであり、主に睡眠中に分泌されます。

睡眠不足によって成長ホルモンの分泌が減少すると毛母細胞の分裂が抑制され、髪の毛の成長が妨げられます。

また、ストレスからくる暴飲暴食や偏った食事、運動不足なども、頭皮環境や髪の健康に悪影響を及ぼします。

自律神経の乱れと抜け毛の関係

私たちの身体は、意識しなくても心臓を動かしたり、呼吸をしたり、体温を調節したりしています。これらの生命維持活動をコントロールしているのが自律神経です。

自律神経のバランスが崩れると、身体の様々な機能に支障をきたし、抜け毛の原因にもなり得ます。

自律神経は、ストレスの影響を非常に受けやすい神経です。過度なストレスや不規則な生活が続くと、自律神経のバランスが乱れ、心身の不調だけでなく、髪の毛の健康にも影響が及びます。

自律神経(交感神経・副交感神経)の役割

自律神経は、活動モードの「交感神経」とリラックスモードの「副交感神経」という、相反する働きを持つ2つの神経から成り立っています。

これらがバランスを取りながら、身体の機能を調整しています。

自律神経の働き

神経の種類主な役割優位になる状況
交感神経身体を活動的にする、緊張させる日中の活動時、興奮時
副交感神経身体を休ませる、リラックスさせる夜間、睡眠時、休息時

通常、日中は交感神経が優位になり、夜間やリラックスしているときは副交感神経が優位になります。この切り替えがスムーズに行われることで、心身の健康が保たれます。

ストレスと自律神経のバランス

強いストレスを感じると、身体は危機に対応するために交感神経を活発化させます。これにより心拍数が増加し、血圧が上昇し、血管が収縮します。

一時的なストレスであれば問題ありませんが、慢性的なストレス状態が続くと交感神経が常に優位な状態になり、自律神経のバランスが大きく崩れてしまいます。

副交感神経の働きが抑制されると身体は十分に休息できず、疲労が蓄積して様々な不調が現れます。

交感神経優位による血管収縮と血行不良

自律神経のバランスが乱れて交感神経が過度に優位な状態が続くと、血管が収縮しやすいです。特に頭皮にある毛細血管は細いため収縮の影響を受けやすく、血流が悪化します。

頭皮の血行不良は、毛根への酸素や栄養の供給を滞らせて毛母細胞の活動を低下させます。

これにより、髪の毛の成長が妨げられ、抜け毛が増加したり、髪が細く弱々しくなったりする原因となります。

自律神経の乱れが引き起こすその他の身体症状

自律神経の乱れは、抜け毛だけでなく、全身に様々な症状を引き起こす可能性があります。これらの症状が抜け毛と同時に現れている場合、自律神経の乱れが原因である可能性が高いと考えられます。

代表的な症状には、頭痛やめまい、耳鳴りや動悸、息切れや肩こり、便秘や下痢、冷えやのぼせ、不眠や疲労感、気分の落ち込みなどがあります。

これらの症状に心当たりがある場合は、単なる抜け毛対策だけでなく、自律神経のバランスを整える視点も重要になります。

ストレスや自律神経の乱れによる抜け毛の特徴

抜け毛の原因は様々ですが、ストレスや自律神経の乱れが関与している場合は特有の抜け方や症状が見られる傾向があります。

他の脱毛症との違いを理解し、自身の状態を把握することが、適切な対策への第一歩となります。

円形脱毛症との違い

円形脱毛症は自己免疫疾患の一種と考えられており、免疫細胞が毛根を攻撃することで円形または楕円形に髪の毛が突然抜け落ちる病気です。

ストレスが発症の引き金になるケースはありますが、直接的な原因ではありません。

一方、ストレスや自律神経の乱れによる抜け毛は、頭部全体で均等に起こる方が多い傾向があります。ただし、ストレスが極度に強い場合には、円形脱毛症を併発するときもあります。

びまん性脱毛症(全体的な薄毛)

びまん性脱毛症は、特定の部位だけでなく、頭部全体の髪の毛が均等に薄くなるタイプの脱毛症です。髪の毛一本一本が細くなったり、ハリやコシが失われたりするのも特徴です。

ストレスや自律神経の乱れは、びまん性脱毛症を引き起こす原因の一つと考えられています。

血行不良や栄養不足、ホルモンバランスの乱れなどが複合的に作用し、毛髪の成長サイクルが乱れて発症します。特に女性に多く見られる傾向があります。

ストレス関連の脱毛症

脱毛症の種類主な特徴ストレスとの関連
びまん性脱毛症頭部全体の髪が均等に薄くなる主要な原因の一つ
休止期脱毛症急激な抜け毛増加(一時的)主要な原因の一つ
円形脱毛症円形・楕円形の脱毛斑(自己免疫疾患)発症の誘因となり得る

休止期脱毛症

休止期脱毛症は何らかの原因によって、通常よりも多くの髪の毛が一斉に成長を止め、休止期に入ってしまうために起こる脱毛症です。

休止期に入った髪の毛は数ヶ月後に自然に抜け落ちるため、ある時期から急に抜け毛が増えたと感じるのが特徴です。

強い精神的ストレスや身体的ストレス(手術、出産、高熱、急激なダイエットなど)が引き金となる例が多く、原因が取り除かれれば、多くの場合は自然に回復します。

ストレスや自律神経の乱れも、この休止期脱毛症を引き起こす要因となります。

抜け毛以外の頭皮トラブル(かゆみ、フケなど)

ストレスや自律神経の乱れは、抜け毛だけでなく頭皮環境の悪化を引き起こすときもあります。自律神経のバランスが崩れると、皮脂の分泌量が過剰になったり、逆に不足したりしやすいです。

皮脂の過剰分泌は毛穴の詰まりや炎症、フケ(脂性フケ)の原因となります。一方、皮脂の不足は頭皮の乾燥を招き、かゆみやフケ(乾性フケ)を引き起こします。

また、血行不良によって頭皮の新陳代謝が低下し、頭皮が硬くなったり、赤みを帯びたりする方もいます。

これらの頭皮トラブルは抜け毛をさらに助長する可能性があるため、注意が必要です。

自分でできるストレス・自律神経ケア

抜け毛の原因がストレスや自律神経の乱れにある場合、専門的な治療と並行してセルフケアで心身の状態を整えることが大切です。

日常生活の中で意識的にストレスを軽減し、自律神経のバランスを整える工夫を取り入れましょう。

ストレスコーピング(ストレス対処法)の見つけ方

ストレスコーピングとは、ストレスの原因に働きかけたり、ストレスによる心身の反応を和らげたりするための対処法です。

人によって効果的な方法は異なります。まずは、自分が何に対してストレスを感じやすいのか、ストレスを感じた時にどのような心身の変化があるのかを把握しましょう。

その上で、気分転換になることやリラックスできること、問題解決につながる行動などを試してみます。

ストレスコーピングの例

  • 趣味に没頭する時間を作る(音楽鑑賞、読書、映画鑑賞、ガーデニングなど)
  • 軽い運動や散歩をする
  • 友人や家族、信頼できる人に話を聞いてもらう
  • 自然の中で過ごす
  • アロマテラピーやマッサージなど五感に働きかけるもの

自分なりのストレス対処法をいくつか持っておくと、ストレスを感じた時にうまく乗り越えやすくなります。

リラクゼーション法(深呼吸、瞑想、入浴など)

リラクゼーション法は、心身の緊張を和らげ、副交感神経を優位にする効果が期待できます。

意識的にリラックスする時間を作ると自律神経のバランスを整えやすいです。

代表的なリラクゼーション法

方法ポイント
深呼吸ゆっくりと鼻から息を吸い、口から吐き出す
瞑想静かな場所で目を閉じ、呼吸に意識を集中する
ヨガゆったりとした動きと呼吸で心身をほぐす
入浴ぬるめのお湯(38~40℃)にゆっくり浸かる
音楽鑑賞ヒーリングミュージックなど心地よい音楽を聴く

これらのリラクゼーション法を、日常生活の中に短時間でも取り入れる習慣をつけましょう。特に、就寝前に行うと、スムーズな入眠につながりやすくなります。

質の高い睡眠をとるための工夫

睡眠は心身の疲労回復やホルモンバランスの調整、そして髪の毛の成長にとって非常に重要です。

質の高い睡眠をとるためには、睡眠環境や生活習慣の見直しが大切です。

  • 毎日同じ時間に寝起きする習慣をつける
  • 寝る前のカフェイン摂取や飲酒、喫煙を避ける
  • 就寝1~2時間前に入浴を済ませる
  • 寝る直前のスマートフォンやパソコンの使用を控える
  • 寝室の温度、湿度、明るさ、音などを快適に保つ

適度な運動習慣のすすめ

適度な運動は、ストレス解消や血行促進、睡眠の質の向上に効果的です。

激しい運動である必要はなく、ウォーキングやジョギング、サイクリングや水泳などの自分が楽しめる有酸素運動を継続すると良いです。週に数回、30分程度の運動を目安に取り入れましょう。

運動習慣は体力向上だけでなく、気分転換や達成感にもつながり、精神的な健康にも良い影響を与えます。

ただし、過度な運動は逆にストレスになる可能性もあるため、無理のない範囲で行うようにしましょう。

食生活の見直しによる抜け毛対策

健やかな髪の毛を育むためには、身体の内側からのケア、すなわち食生活の見直しが欠かせません。

バランスの取れた食事は髪の成長に必要な栄養素を供給するだけでなく、ストレス緩和や自律神経の安定にも寄与します。

髪の毛の成長に必要な栄養素

髪の毛は主に「ケラチン」というタンパク質で構成されています。そのため、良質なタンパク質を摂取することが基本となります。

また、タンパク質の合成を助ける栄養素や、頭皮の血行を促進する栄養素なども重要です。

髪の成長をサポートする主な栄養素と食材

栄養素主な働き多く含まれる食材
タンパク質髪の主成分ケラチンの材料肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
亜鉛ケラチンの合成を助ける牡蠣、レバー、牛肉(赤身)、ナッツ類
ビタミンB群代謝を助け、頭皮環境を整える豚肉、レバー、うなぎ、マグロ、カツオ、納豆、卵
ビタミンCコラーゲン生成、抗酸化作用果物(柑橘類、キウイ)、野菜(パプリカ、ブロッコリー)
ビタミンE血行促進、抗酸化作用ナッツ類、植物油、アボカド、うなぎ

これらの栄養素を特定の食品だけで偏って摂取するのではなく、様々な食材からバランス良く摂る工夫が大切です。

バランスの取れた食事の重要性

特定の栄養素だけを意識するのではなく、主食と主菜、副菜をそろえて多様な食品を組み合わせたバランスの良い食事を心がけることが最も重要です。

炭水化物やタンパク質、脂質やビタミン、ミネラルの五大栄養素を過不足なく摂取すると身体全体の機能が整い、髪の毛にも十分な栄養が行き渡りやすくなります。

忙しいと食事を抜いたり、インスタント食品や外食で済ませたりしがちですが、できるだけ自炊を心がけて栄養バランスの取れた食事を意識しましょう。

自律神経を整える食事

食事の内容は、自律神経のバランスにも影響を与えます。

腸内環境を整える食品や、精神安定作用のある栄養素を含む食品を意識的に摂取すると自律神経の安定につながる可能性があります。

自律神経の安定に役立つとされる食品例

食品カテゴリー期待される効果食品
発酵食品腸内環境を整えるヨーグルト、納豆、味噌、キムチ
食物繊維が豊富な食品腸内環境を整える野菜、果物、きのこ類、海藻類、玄米
トリプトファンを含む食品セロトニン(精神安定)の材料となる大豆製品、乳製品、バナナ、ナッツ類
GABAを含む食品興奮を抑える神経伝達物質発芽玄米、トマト、かぼちゃ

これらの食品を日々の食事にうまく取り入れると、腸内環境の改善や精神的な安定を促して間接的に自律神経のバランスを整える助けとなります。

避けるべき食習慣

一方で、抜け毛や自律神経の乱れにつながる可能性のある食習慣もあります。

以下のような習慣は、できるだけ避けるように心がけましょう。

  • 過剰な脂質・糖質の摂取
  • インスタント食品・加工食品の多用
  • 過度なダイエット
  • アルコールの過剰摂取
  • 刺激物の摂りすぎ

脂質や糖質を過剰に摂ると皮脂の分泌が過剰になり、頭皮環境を悪化させる可能性があります。また、血糖値の急激な変動は自律神経の乱れにつながるときもあります。

インスタント食品や加工食品は、塩分や食品添加物が多く含まれている場合があり、栄養バランスも偏りがちになるため、多用は避けましょう。

さらに、急激な体重減少を伴う過度なダイエットは髪の毛の成長に必要な栄養が不足し、休止期脱毛症を引き起こす原因となります。

辛いものを好む方も多いかと思いますが、香辛料などの刺激物を摂りすぎると交感神経を過度に刺激してしまう可能性があります。

食生活はすぐに変えるのが難しい場合もありますが、少しずつでも改善していくと長期的な髪の健康につながります。

専門的な治療が必要な場合

セルフケアを続けても抜け毛が改善しない場合や、抜け毛の量が異常に多い場合、あるいは薄毛が進行していると感じる場合は、自己判断せずに専門のクリニックに相談することが重要です。

抜け毛の原因はストレスや自律神経の乱れだけとは限らず、他の病気やAGA(男性型脱毛症)、FAGA(女性型脱毛症)などが隠れている可能性もあります。

セルフケアで改善しない場合

ストレス対策や生活習慣の改善、食生活の見直しなどを一定期間(目安として3~6ヶ月程度)続けても、抜け毛の減少や髪質の改善が見られないときは、専門家の診断を受けることを推奨します。

特に、抜け毛が進行していると感じる、頭皮に明らかな異常(強いかゆみや痛み、炎症など)があるといった場合は、早めに相談しましょう。

AGA(男性型脱毛症)など他の原因との見極め

抜け毛の原因がAGAやFAGAである場合、セルフケアだけでの改善は困難です。

AGAは男性ホルモンの影響による進行性の脱毛症であり、FAGAも同様にホルモンバランスの変化などが関与しています。

これらの脱毛症は特徴的な薄毛のパターン(生え際の後退、頭頂部の薄毛など)を示すケースが多いですが、初期段階ではストレス性の抜け毛との区別が難しいこともあります。

自己判断で間違ったケアを続けるとかえって症状を悪化させる可能性もあるため、正確な診断が必要です。

クリニックでの主な検査内容

検査の種類目的内容例
問診生活習慣、既往歴、抜け毛の状況などを把握ストレス状況、睡眠時間、食事内容、家族歴など
視診・触診頭皮の状態、毛髪の密度、抜け毛のパターンを確認マイクロスコープによる頭皮拡大観察など
血液検査ホルモンバランス、栄養状態、甲状腺機能などを確認男性ホルモン値、甲状腺ホルモン、鉄、亜鉛など
(場合により)遺伝子検査、毛髪ミネラル検査などAGAリスクの評価、体内のミネラルバランス確認

これらの検査を通じて抜け毛の根本的な原因を特定し、適切な治療方針を決定します。

専門クリニックでの診断と検査

薄毛治療を専門とするクリニックでは、医師による詳細な問診や視診、必要に応じて血液検査などを行い、抜け毛の原因を正確に診断します。

マイクロスコープを使って頭皮の状態や毛穴、毛髪の太さなどを詳しく観察して脱毛症の種類や進行度を判断します。

ストレスや自律神経の乱れが主な原因と考えられるときでも、他の要因が複合的に関わっている可能性もあるため、多角的な視点での診断が重要です。

クリニックで受けられる治療法(薬、注入療法など)

診断結果に基づき、一人ひとりの原因や症状に合わせた治療法を提案します。

ストレスや自律神経の乱れが主な原因である方には、生活指導やカウンセリングに加え、血行促進や頭皮環境改善を目的とした治療を行う場合があります。

AGAやFAGAと診断された際は、医学的根拠に基づいた治療を行います。

クリニックでの主な治療法

治療法の種類主な目的・内容例対象となる主な脱毛症
内服薬抜け毛抑制(フィナステリド、デュタステリド)、発毛促進(ミノキシジル)AGA
外用薬発毛促進(ミノキシジル)AGA、FAGA、びまん性脱毛症など
注入療法発毛促進因子などを頭皮に直接注入(メソセラピー、HARG療法など)AGA、FAGA、びまん性脱毛症、円形脱毛症など
生活指導食事、睡眠、ストレスケアなどのアドバイス全般

治療法は原因や症状の程度、患者さんの希望などを考慮して決定します。自己判断で市販の育毛剤などを使用する前に、まずは専門医に相談し、適切な診断と治療を受けましょう。

よくある質問

さいごに、ストレスや自律神経と抜け毛に関する疑問について、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。

ストレスがなくなれば抜け毛は治りますか?

ストレスが抜け毛の主な原因であった場合、ストレスが軽減されれば抜け毛が改善する可能性は高いです。特に、一時的な強いストレスによる休止期脱毛症などは、原因が取り除かれれば自然に回復する方が多いです。

しかし、慢性的なストレスによって長期間抜け毛が続いていたときや、AGAなど他の要因が複合的に関わっている方は、ストレス軽減だけでは十分な改善が見られないこともあります。

また、一度ダメージを受けた毛根が回復するには時間がかかるため、すぐに効果が現れるわけではありません。生活習慣の改善や適切なヘアケアを続けながら、必要であれば専門的な治療も検討すると良いでしょう。

自律神経失調症と診断されたら、必ず抜け毛になりますか?

自律神経失調症と診断されたからといって、必ずしも抜け毛が起こるわけではありません。自律神経の乱れは血行不良やホルモンバランスの乱れなどを引き起こし、抜け毛の原因となり得ますが、その影響の現れ方には個人差があります。

抜け毛以外の症状(頭痛やめまい、不眠や動悸など)が主で、髪への影響は少ない方もいます。

ただし、自律神経失調症の症状がある方は抜け毛のリスクも高まる可能性があるため、頭皮や髪の状態にも注意を払い、バランスの取れた生活を心がけましょう。

市販の育毛剤は効果がありますか?

市販の育毛剤には、頭皮の血行を促進したり、頭皮環境を整えたりする成分が含まれているものが多くあります。そのため、軽度の抜け毛や、頭皮環境の悪化が原因の場合には、一定の効果が期待できる可能性はあります。

しかし、AGAのように特定の原因がある脱毛症に対しては、市販の育毛剤だけでは根本的な改善は難しいことが多いです。また、自分の抜け毛の原因に合わない製品を使用しても効果は得られません。効果が見られない場合や、抜け毛が進行している場合は、自己判断で続けずに、専門のクリニックで原因を特定し、適切な治療を受けることをお勧めします。

クリニックでの治療はどのくらいの期間が必要ですか?

治療期間は、抜け毛の原因や症状の進行度、選択する治療法や個人の反応によって大きく異なります。一般的に、ヘアサイクル(毛周期)を考慮すると、治療効果を実感するまでには最低でも3ヶ月から6ヶ月程度の期間が必要です。

AGA治療薬では、効果を維持するためには継続的な使用が必要となります。注入療法なども、複数回の施術を一定間隔で行うのが一般的です。

治療開始前に治療方針や期待される効果、おおよその期間について説明がありますので、医師とよく相談して納得した上で治療を進めましょう。根気強く治療を続けることが、改善への鍵となります。

参考文献

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ZIEGLER, Michael G. Psychological stress and the autonomic nervous system. In: Primer on the autonomic nervous system. Academic press, 2012. p. 291-293.

AHN, Dongkyun, et al. Psychological stress-induced pathogenesis of alopecia areata: autoimmune and apoptotic pathways. International Journal of Molecular Sciences, 2023, 24.14: 11711.

MOHAMED, Noha E., et al. Female pattern hair loss and negative psychological impact: possible role of brain-derived neurotrophic factor (BDNF). Dermatology Practical & Conceptual, 2023, 13.3: e2023139.

CHENG, Yi, et al. Psychological stress impact neurotrophic factor levels in patients with androgenetic alopecia and correlated with disease progression. World journal of psychiatry, 2024, 14.10: 1437.

OUBAID, Viktor. Psychological stress and the autonomic nervous system. In: Primer on the Autonomic Nervous System. Academic Press, 2023. p. 301-304.

PETERS, Eva MJ; ARCK, Petra C.; PAUS, Ralf. Hair growth inhibition by psychoemotional stress: a mouse model for neural mechanisms in hair growth control. Experimental dermatology, 2006, 15.1: 1-13.

PANCONESI, Emiliano; HAUTMANN, Giuseppe. Psychophysiology of stress in dermatology: the psychobiologic pattern of psychosomatics. Dermatologic clinics, 1996, 14.3: 399-422.

前田 祐助

この記事の監修者
AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴

  1. 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
  2. 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
  3. 大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
前田 祐助

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