「馬油シャンプーを使うと髪が抜ける」「馬油は洗浄力が強すぎてハゲる」といった噂を聞き、不安を感じている方は多いでしょう。
特に薄毛対策に関心を持つ方にとって、「馬油 シャンプー はげる」という情報は看過できません。しかし、この不安の背景には、馬油の特性やシャンプー製品に対する誤解が含まれている可能性があります。
馬油シャンプーが薄毛の原因になるのか、それともむしろ頭皮環境を整える助けになるのか。
本記事では、馬油の成分的特徴から、過度な皮脂除去が頭皮にもたらす真の影響、そして正しい製品の選び方と使用方法まで、専門的な知見に基づいて徹底的に解説します。
あなたが抱える疑問を解消し、納得してシャンプーを選べるようになるための親切で丁寧な情報を提供します。
この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック 統括院長
前田 祐助
【経歴】
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設
2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設
資格・所属学会・症例数
【資格】
- 医師免許
- ⽇本医師会認定産業医
- 医学博士
【所属学会】
- 日本内科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本臨床毛髪学会
【症例数】
3万人以上※
※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数
馬油シャンプーが「ハゲる」と言われる理由
馬油がもたらす洗浄力の誤解
馬油シャンプーに対して「ハゲる」という懸念が生まれる主な原因の一つに、その洗浄力に対する誤解があります。馬油自体は、人間の皮脂と非常に近い成分構造を持つ天然の油脂です。
そのため、高いクレンジング力があるのではないか、あるいは油分であるために毛穴を詰まらせるのではないか、といった憶測が生まれます。
しかし、一般的な馬油シャンプーの洗浄を担う主成分は、馬油ではなく、製品に含まれる界面活性剤です。
馬油はあくまで、洗浄後の頭皮と髪の保湿やエモリエント効果を高めるための補油成分として配合されています。
したがって、馬油シャンプーの洗浄力は、製品に採用されている界面活性剤の種類(アミノ酸系、ベタイン系、石鹸系など)によって決定されます。
高価で肌に優しいアミノ酸系界面活性剤を採用している製品は、むしろ皮脂を過度に落としすぎないマイルドな洗浄力を持つ傾向があります。
頭皮のベタつきに対する懸念
馬油シャンプーの「ハゲる」という噂のもう一つの背景には、使用後の頭皮のベタつきや重さを感じる方がいる点があります。これは、馬油が持つ高い保湿・油分補給作用によるものです。
特に皮脂分泌が多い体質の方や、もともとオイリー肌の方は、シャンプー後に頭皮に油分が残る感覚を不快に感じ、「この油分が毛穴を詰まらせて薄毛になるのではないか」と不安を抱きがちです。
頭皮の毛穴詰まりは、確かに皮脂が酸化してできる角栓が原因となり、炎症や脱毛を招く可能性があります。
しかし、健康な頭皮であれば、適度な馬油の油分が毛穴を物理的に詰まらせることはほとんどありません。問題は、シャンプー後のすすぎ残しや、自身の肌質に合わない過剰な油分補給にあります。
適切な洗浄と丁寧なすすぎができれば、馬油の保湿成分は頭皮バリアの強化に貢献します。
馬油と一般的なオイル成分の比較
| 成分名 | ヒトの皮脂との親和性 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 馬油 | 非常に高い | 保湿、浸透、エモリエント |
| ミネラルオイル | 低い | 保護膜形成(表面) |
| ホホバオイル | 中程度 | 保湿、皮脂バランス調整 |
合成界面活性剤フリーではない製品の存在
馬油シャンプーの中には、天然成分を強調しながらも、洗浄基剤としてラウリル硫酸Naやラウレス硫酸Naといった、洗浄力が非常に強く、刺激も懸念される合成界面活性剤を多量に配合している製品が存在します。
これらの強力な洗浄成分は、皮脂を必要以上に除去し、頭皮のバリア機能である常在菌や天然保湿因子まで洗い流してしまいます。
皮脂の落としすぎは頭皮の乾燥を招き、乾燥はかゆみや炎症を引き起こし、結果として健康な毛髪の成長を妨げ、薄毛リスクを高めます。
つまり、「馬油シャンプーはハゲる」という現象は、馬油自体の特性ではなく、「強力な洗浄成分を含む製品を選び、その結果として皮脂を落としすぎている」という可能性が高いのです。
馬油シャンプーを選ぶ際は、馬油の有無だけでなく、洗浄基剤の種類を詳細に確認することが重要です。この誤解が「馬油 シャンプー はげる」というキーワード検索の背景にあります。
馬油シャンプーの主成分とその働き
馬油の持つ独自の脂肪酸構成
馬油の最大の特性は、その脂肪酸構成がヒトの皮脂と極めて似ている点です。
特に、オレイン酸とリノール酸といった不飽和脂肪酸を豊富に含んでいます。オレイン酸は保湿力が高く、皮膚を柔らかく保つ効果があります。
リノール酸は皮膚の細胞間脂質の主要成分であり、バリア機能の維持に大切です。この組成比率の類似性から、馬油は頭皮に塗布した際に自然になじみ、成分がスムーズに浸透します。
一般的な植物油や鉱物油に比べて、肌への刺激が少なく、アレルギー反応も起こしにくいと考えられています。
頭皮が乾燥すると、フケやかゆみが発生し、これが掻きむしりなどの行為を通じて毛根にダメージを与えることがあります。
馬油の成分は、乾燥した頭皮に潤いを迅速に補給し、頭皮環境の乱れを防ぐ役割を果たします。
馬油に含まれる主要な脂肪酸の役割
| 脂肪酸 | 特徴 | 頭皮への作用 |
|---|---|---|
| オレイン酸 | 不飽和脂肪酸 | 保湿作用、皮膚軟化作用 |
| リノール酸 | 必須脂肪酸 | バリア機能維持、水分保持 |
| パルミチン酸 | 飽和脂肪酸 | 肌なじみの良さ、保護膜 |
頭皮への浸透力と保湿作用
馬油の主成分である不飽和脂肪酸の分子構造は、ヒトの皮脂構造に酷似しているため、他の油脂と比較して角質層への浸透力が非常に高いという特徴があります。
この高い浸透力により、シャンプーで失われがちな頭皮の内部の水分や油分を効果的に補い、乾燥を防ぎます。
特に、シャンプー後の頭皮は水分が蒸発しやすく、乾燥しやすい状態です。馬油は皮脂膜の代わりとなって、一時的な保護バリアを形成します。
健康的な育毛環境にとって、頭皮の水分と油分のバランスは非常に重要です。
乾燥は炎症を引き起こし、油分の過剰は酸化ストレスを招きますが、馬油は適度な油分を補給し、頭皮のターンオーバーを正常に保つために必要な環境を提供します。
その他の有効成分(アミノ酸系など)の役割
多くの馬油シャンプーは、馬油だけでなく、他の有効成分や洗浄成分と組み合わせて設計されています。
頭皮を優しく洗い上げるために、アミノ酸系(ココイルグルタミン酸Naなど)やベタイン系(コカミドプロピルベタインなど)の低刺激性洗浄成分を使用している製品が多いです。
これらの洗浄成分は、馬油の良さを生かしつつ、必要な皮脂を残し、汚れだけを的確に除去します。これは、皮脂の落としすぎを防ぐという点で、薄毛対策において非常に大切なポイントです。
さらに、ヒアルロン酸、コラーゲン、植物エキスなどが配合されている場合もあります。
これらの成分は、馬油と相乗的に作用し、髪のダメージ補修、頭皮の抗炎症作用、血行促進などの効果をサポートします。
高品質な馬油シャンプーは、馬油の力だけでなく、これらのバランスの取れた配合によって、育毛に望ましい頭皮環境を作り出します。
皮脂の落としすぎが薄毛に与える影響
頭皮バリア機能の低下と乾燥
「馬油 シャンプー はげる」という懸念とは裏腹に、実際には「皮脂の落としすぎ」こそが薄毛リスクを高める最大の要因の一つです。
頭皮の表面には、適度な皮脂と汗が混ざり合った天然の保護膜(皮脂膜)が存在します。この皮脂膜は、外部の刺激(紫外線、乾燥、雑菌など)から頭皮を守るバリア機能として機能しています。
強力な洗浄力のシャンプーを使いすぎたり、一日に何度も洗髪したりすることで、この皮脂膜が完全に破壊されてしまいます。
皮脂膜が失われると、頭皮は無防備な状態となり、乾燥が急激に進みます。乾燥した頭皮は、かゆみや炎症を起こしやすく、フケの原因にもなります。
これらの頭皮トラブルは、健康な毛母細胞の活動を阻害し、毛周期を乱すため、結果的に抜け毛や薄毛を促進してしまいます。
過剰な皮脂分泌を招くリバウンド現象
皮脂を過剰に落としすぎると、人体は危機を感じ、失われた皮脂を補おうとしてかえって皮脂を大量に分泌する「リバウンド現象」を引き起こします。
頭皮が乾燥した状態が続くと、皮脂腺が過剰に刺激され、通常よりも多くの皮脂が分泌されることになります。
この過剰に分泌された皮脂は、毛穴に詰まりやすくなり、酸化して過酸化脂質へと変化します。過酸化脂質は毛母細胞に対して強い刺激や炎症作用を持ち、毛根の健康を大きく損ないます。
これは、皮脂を落としすぎたことが、逆に薄毛リスクを高める悪循環を生み出すことを意味します。
馬油シャンプーのように、皮脂を取りすぎないマイルドな製品で適度な洗浄を行うことが、このリバウンドを防ぐ鍵となります。
皮脂の落としすぎが薄毛を招く悪循環
| 段階 | 現象 | 結果 |
|---|---|---|
| 1 | 強力洗浄による皮脂膜破壊 | 頭皮の乾燥、バリア機能低下 |
| 2 | 乾燥による皮脂の過剰分泌 | 頭皮のベタつき、リバウンド |
| 3 | 皮脂の酸化と毛穴詰まり | 炎症、毛母細胞の活動阻害 |
炎症と細菌増殖による毛母細胞へのダメージ
バリア機能が低下し、乾燥と過剰な皮脂分泌が同時に発生すると、頭皮は炎症を起こしやすく、マラセチア菌などの常在菌が異常増殖しやすい環境になります。
炎症は、毛母細胞が存在する毛乳頭への栄養供給を妨げ、健康な毛髪の生成を阻害します。
さらに、炎症が慢性化すると、毛根組織全体に深刻なダメージを与え、最終的に毛髪が細くなる「軟毛化」や脱毛を引き起こします。
育毛対策においては、毛母細胞を守ることが最も重要であり、そのためには炎症のない清潔で潤いのある頭皮環境が大切です。
馬油シャンプーは、その適度な洗浄力と高い保湿力で、この炎症リスクを抑え、健やかな頭皮を維持する手助けをします。
繰り返しますが、「馬油 シャンプー はげる」は誤解であり、正しくは「強力洗浄シャンプーによる皮脂の落としすぎはハゲるリスクを高める」と理解すべきです。
馬油シャンプーがもたらす髪と頭皮へのメリット
低刺激な洗浄力でバリア機能を守る
多くの高品質な馬油シャンプーが採用するアミノ酸系洗浄成分は、皮脂を適度に残しつつ、汚れを選択的に洗い流す「選択洗浄性」に優れています。
この低刺激な洗浄力が、頭皮の天然バリア機能である皮脂膜と常在菌叢を守ります。バリア機能が正常に保たれることで、外部刺激やアレルゲン、病原菌などの侵入を防ぎ、頭皮の健康状態を安定させます。
薄毛に悩む男性にとって、シャンプーは単に髪を洗う行為ではなく、頭皮環境を「整える」ための重要なケアです。
馬油シャンプーの「落としすぎない洗浄」は、頭皮環境を安定化させ、育毛剤が効果的に作用するための土台作りに大きく貢献します。
頭皮環境を整える保湿・エモリエント効果
馬油に含まれる不飽和脂肪酸は、前述の通りヒトの皮脂と似ているため、シャンプー後の頭皮に不足した油分を自然に補います。
この高い保湿・エモリエント効果は、乾燥によるかゆみやフケを防ぎ、頭皮の柔軟性を保ちます。
頭皮が柔らかく、血行が良い状態は、毛根に必要な栄養が届きやすくなるため、健康な髪の成長に不可欠な要素です。
育毛において、頭皮マッサージは大切ですが、乾燥して硬くなった頭皮ではマッサージの効果も半減します。
馬油シャンプーによる日々の保湿ケアは、頭皮のコンディションを整え、マッサージ効果を高める相乗効果も期待できます。
馬油シャンプーが育毛をサポートする要素
- 頭皮の乾燥・炎症を抑制
- 皮脂の過剰分泌(リバウンド)を防止
- 髪の成長を妨げるキューティクルダメージを補修
髪のキューティクル補修とツヤの向上
馬油は頭皮だけでなく、毛髪に対しても優れた効果を発揮します。馬油の成分が傷ついた髪のキューティクルの隙間に入り込み、剥がれを抑えて補修する作用が期待できます。
キューティクルが整うと、髪の内部の水分やタンパク質が流出するのを防ぎ、結果として髪のハリやコシ、ツヤが向上します。
薄毛対策を進める上で、残っている髪を健康的に保つことは、見た目のボリューム感を維持する上で重要です。
シャンプー後のトリートメントやコンディショナーの使用を減らしたい方にとっても、馬油シャンプーは天然の油分で髪を保護できるため、手軽なヘアケアとして適しています。
馬油シャンプーの正しい選び方と使用法
シャンプーの成分表示をチェックするポイント
馬油シャンプーを選ぶ際は、馬油が配合されているかだけでなく、洗浄成分に注目することが大切です。成分表で水に次いで記載されている成分が、最も多く含まれる洗浄基剤です。
薄毛対策を重視するならば、洗浄力がマイルドなアミノ酸系成分(例:ココイルグルタミン酸TEA、ラウロイルメチルアラニンNa)が主成分となっている製品を選びましょう。
硫酸系成分(例:ラウレス硫酸Na)が上位に記載されている製品は、洗浄力が強すぎるため、皮脂の落としすぎのリスクが高まります。
馬油の配合量も重要です。成分表の比較的早い段階に「馬油」と記載されている製品は、その効果を期待しやすいと言えます。
ただし、馬油はあくまで天然オイルであるため、人によっては体質に合わない可能性もあります。初めて使用する場合は、少量から試すことが必要です。
薄毛対策に適した洗浄成分の種類
| 洗浄成分の種類 | 代表的な成分 | 洗浄力と刺激 |
|---|---|---|
| アミノ酸系 | ココイルグルタミン酸Naなど | マイルド、低刺激 |
| ベタイン系 | コカミドプロピルベタインなど | マイルド、低刺激 |
| 硫酸系 | ラウレス硫酸Naなど | 強力、高刺激(注意) |
正しい洗髪方法(マッサージとすすぎ)
どんなに良いシャンプーを選んでも、間違った方法で洗髪すると頭皮にダメージを与えてしまいます。まず、シャンプーをつける前に、38度程度のぬるま湯で頭皮と髪を予洗いすることが大切です。
これにより、約7割の汚れが落ちます。シャンプーは手のひらでよく泡立ててから頭皮につけ、指の腹を使って頭皮を優しくマッサージするように洗いましょう。
ゴシゴシと爪を立てたり、力を入れすぎたりすることは、頭皮を傷つけ、炎症を招く原因となるため、絶対に避けてください。特に重要なのがすすぎです。
馬油シャンプーは油分を含むため、すすぎ残しは毛穴詰まりやベタつきの原因になります。泡が完全に消えるまで、シャワーで念入りに洗い流すことが重要です。
自分の頭皮タイプに合った製品の見極め方
馬油シャンプーは主に保湿効果が高いため、乾燥肌や敏感肌、または冬場の乾燥が気になる方に特に適しています。
しかし、皮脂分泌が非常に多い、いわゆるオイリー肌の方が馬油の配合量が多い製品を使うと、頭皮が重くなったり、毛穴詰まりを感じたりする可能性があります。
自分の頭皮タイプを正しく理解し、それに応じて製品を選び分けましょう。
オイリー肌の方は、馬油配合でもアミノ酸系に加え、サッパリ感のある成分(例:ハーブエキス)が配合されたものを選ぶか、馬油を配合したトリートメントだけを使用するといった工夫が大切です。
シャンプーを変えて2〜3週間ほど使用してみて、頭皮の状態(かゆみ、フケ、ベタつき)が悪化しないかを確認しながら、最適な製品を見極めてください。
頭皮タイプ別おすすめの馬油シャンプーの選択肢
- 乾燥肌:馬油を高配合し、保湿成分を重視した製品
- 敏感肌:無香料・無着色で低刺激なアミノ酸系製品
- 普通肌:バランスの取れた洗浄力と適度な保湿力を持つ製品
馬油シャンプーのデメリットと注意すべき点
特定の成分によるアレルギーのリスク
馬油は天然成分であり、アレルギーリスクは低いとされていますが、完全にゼロではありません。
特に、馬油自体ではなく、シャンプーに配合されている防腐剤、着色料、香料、あるいはその他の植物エキスなどが、体質によってはアレルギー反応を引き起こす可能性があります。
初めて使用する製品は、必ず二の腕の内側などでパッチテストを行い、かゆみや赤みが出ないかを確認してから使用開始することが大切です。
もし使用中に頭皮にかゆみ、湿疹、赤みなどの異常を感じた場合は、すぐに使用を中止し、皮膚科専門医に相談してください。
薄毛対策として始めたケアが、かえって頭皮の炎症を悪化させ、抜け毛を招く事態を避ける必要があります。
馬油シャンプーの潜在的なデメリット
| デメリット | 具体的な影響 | 対処法 |
|---|---|---|
| 使用後の重さ・ベタつき | オイリー肌で感じやすい | すすぎを念入りにする、使用量を減らす |
| 洗浄力のマイルドさ | 整髪料が落ちにくい | 予洗いをしっかり行う、二度洗いをする |
| 製品による品質の差 | 粗悪な洗浄成分の可能性 | アミノ酸系主成分の製品を選ぶ |
テクスチャや使用感に関する意見の偏り
馬油シャンプーは、一般的にしっとりとした洗い上がりになるため、普段からさっぱりとした洗い上がりのシャンプーを好む方にとっては、使用後に物足りなさや、髪の重さを感じることがあります。
これは、馬油の高いエモリエント効果によるもので、製品の品質が悪いわけではありません。しかし、使用感が合わないと、洗髪がおろそかになったり、すすぎが不十分になったりする原因となります。
使用感が合わないと感じた場合は、無理に使い続ける必要はありません。
洗浄力がもう少し高い、石鹸系の馬油シャンプーを選ぶ、あるいは馬油配合の少ない製品に切り替えるなど、テクスチャや洗い上がりが好みに合う製品を探すことが、日々のケアを継続させるために大切です。
洗浄力がマイルドすぎることによる問題
低刺激でマイルドな洗浄力は馬油シャンプーのメリットですが、整髪料を多用する方にとっては、汚れを十分に落としきれないという問題を引き起こすことがあります。
整髪料やワックスに含まれる油分やポリマー成分が頭皮に残ると、それが毛穴を塞ぎ、酸化の原因となる可能性があります。これは、薄毛対策とは逆行する事態です。
整髪料を使用する日は、シャンプーの前にブラッシングを徹底し、しっかりと予洗いを行うことが重要です。
また、必要に応じて二度洗いをする、あるいは月に数回は洗浄力が少し高めのシャンプーでディープクレンジングを行うなど、対策を講じる必要があります。
シャンプーは、頭皮環境を清潔に保つという役割を確実に果たせるものを選ぶことが重要です。
馬油シャンプーと育毛剤の併用効果
頭皮環境整備が育毛剤の吸収を高める
馬油シャンプーによる頭皮ケアは、育毛剤の効果を最大限に引き出すための基礎作りとして、非常に重要です。
育毛剤は、有効成分を毛乳頭や毛母細胞に届けることで効果を発揮しますが、頭皮が乾燥していたり、炎症を起こしていたり、角質が硬くなっている状態では、成分の浸透が妨げられます。
馬油シャンプーは、その高い保湿力とエモリエント効果により、頭皮を柔らかく潤った状態に保ちます。
頭皮が柔らかく健康な状態であれば、育毛剤の有効成分はスムーズに角質層を通過し、目的とする毛根へと深く浸透しやすくなります。
馬油シャンプーは、育毛剤の「脇役」ではなく、「効果を高めるための土台」として考えることが大切です。
馬油シャンプーが育毛剤の効果を高める仕組み
| 馬油シャンプーの役割 | 育毛剤への影響 | 結果 |
|---|---|---|
| 適度な洗浄 | 毛穴の汚れを除去 | 有効成分の浸透路確保 |
| 高い保湿 | 頭皮の柔軟性向上 | 成分の経皮吸収促進 |
| バリア機能維持 | 炎症リスクの低減 | 毛母細胞の活動安定 |
併用する際の注意点と塗布の順番
馬油シャンプーと育毛剤を併用する場合、最も大切なのは「塗布の順番」です。必ず、シャンプーで頭皮を清潔にし、タオルドライでしっかりと水分を取った後に、育毛剤を使用してください。
育毛剤は、頭皮が清潔で水分が過剰でない状態が最も効果的に浸透します。シャンプー後の頭皮の毛細血管は、血行が良くなっているため、成分の運搬も促進されやすい状態です。
また、馬油シャンプーの製品によっては、洗い上がりに油分が多く残るものもあります。
育毛剤の後に、馬油を主成分とするヘアオイルなどを塗布すると、育毛剤の浸透を妨げる可能性があるため、注意が必要です。
育毛剤の塗布後は、馬油成分を多く含む製品の使用を避け、育毛剤の成分が頭皮に定着する時間を確保することが重要です。
相乗効果を高めるための生活習慣
馬油シャンプーと育毛剤の併用効果を最大限に引き出すためには、土台となる生活習慣の改善が不可欠です。
どんなに優れたシャンプーや育毛剤を使っても、睡眠不足、偏った食事、過度なストレスなどが続くと、血行不良やホルモンバランスの乱れを引き起こし、薄毛対策の効果は半減してしまいます。
特に、髪の成長に必要なタンパク質やビタミン、ミネラルを意識的に摂取することが重要です。
夜の良質な睡眠は、髪の成長を促す成長ホルモンの分泌を活発にします。また、適度な運動は頭皮を含む全身の血行を改善します。
シャンプーや育毛剤による外部からのアプローチと、生活習慣の改善による内部からのアプローチを組み合わせることで、初めて薄毛対策の真の相乗効果が得られます。
よくある質問
- 馬油シャンプーは毎日使っても問題ありませんか?
-
はい、基本的に毎日使用して問題ありません。多くの馬油シャンプーは低刺激なアミノ酸系洗浄成分を主に使用しており、日常的な頭皮ケアに適しています。
むしろ、毎日使用することで馬油の保湿成分が頭皮に定着し、乾燥やフケを防ぎ、頭皮環境の安定化に役立ちます。
ただし、ご自身の肌質に合わないと感じた場合や、洗い上がりが重すぎると感じた場合は、使用頻度を調整したり、他のシャンプーと交互に使用したりすることを推奨します。
- 馬油シャンプーを使うと髪がべたつくのはなぜですか?
-
髪がべたつく原因は主に二つ考えられます。一つは、馬油が持つ高いエモリエント効果によるものです。特にオイリー肌の方や多めに使用した際に、油分を過剰に感じることがあります。
もう一つは、シャンプーやコンディショナーのすすぎ残しです。馬油シャンプーは油分を含むため、特に念入りなすすぎが必要です。
いつもより長めに、泡やぬめり感が完全になくなるまで洗い流してください。
- 馬油シャンプーは、男性の薄毛(AGA)にも効果がありますか?
-
馬油シャンプー自体には、AGAの進行を止めるような医学的な育毛効果はありません。AGAはホルモンバランスの乱れが主な原因であり、改善には専門の治療薬が必要です。
しかし、馬油シャンプーは、頭皮の乾燥を防ぎ、バリア機能を維持し、炎症を抑制するなど、育毛剤が働きやすい「健康な頭皮環境」を整える上で非常に重要な役割を果たします。
育毛剤と併用することで、その効果を間接的にサポートするシャンプーとして活用できます。
- 馬油シャンプーを使用する際に、特別なマッサージは必要ですか?
-
特別なマッサージが必須というわけではありませんが、洗髪時に指の腹を使って頭皮全体を優しく揉みほぐすマッサージを行うことを強く推奨します。
これにより、頭皮の血行が促進され、毛根への栄養供給が高まります。馬油シャンプーの保湿成分によって頭皮が柔らかくなっているため、マッサージ効果も出やすくなります。
爪を立てず、心地よいと感じる程度の力加減で行うことが大切です。
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