猫っ毛はハゲる?薄毛に見えるだけ?原因と、ボリュームアップ対策

猫っ毛はハゲる?薄毛に見えるだけ?原因と、ボリュームアップ対策

「猫っ毛だから将来ハゲるかもしれない」「薄毛に見られるのが悩み」そのような不安を抱えていませんか。

猫っ毛とは、生まれ持った髪の毛の性質であり、医学的に「猫っ毛=ハゲる」という因果関係はありません。

しかし、猫っ毛特有の細さや柔らかさが、髪全体のボリュームを少なく見せ、結果的に薄毛と誤解されやすい状況を生み出しています。

この記事では、猫っ毛が薄毛に見える構造的な原因を明確に解説し、ハリとコシを取り戻して視覚的なボリュームを最大限に引き出すための具体的な対策を、内側と外側から徹底的に紹介します。

あなたが抱える不安を解消し、自信を持って毎日を過ごすための第一歩を踏み出しましょう。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

猫っ毛は「薄毛」ではないが「薄毛に見えやすい」理由を解説

猫っ毛の人々が抱える最大の懸念は、「自分の髪の細さが将来的な薄毛につながるのではないか」という不安です。

結論から言えば、猫っ毛という体質自体が直接薄毛や脱毛症を引き起こす原因ではありません。猫っ毛は、単に髪の性質の一つであり、薄毛とは区別して考える必要があります。

しかし、その細く柔らかい特性ゆえに、薄毛と誤解されやすい特有の視覚的な問題を生じさせています。この違いを理解することが、適切なケアを始めるうえで極めて重要です。

猫っ毛が持つ髪の構造的な特徴

猫っ毛は、髪の毛一本一本が細く、しなやかで柔らかいという特徴を持ちます。これは、髪の内部構造にある「コルテックス」という成分の比率や、毛皮質を覆う「キューティクル」の厚みに関係しています。

太い髪を持つ人に比べて、猫っ毛のコルテックスは密度が低く、キューティクルも薄い傾向があります。この構造的な違いが、髪全体のハリやコシの不足を引き起こします。

特に、髪の太さは毛根の深さや形状、そして遺伝によって決まる部分が大きいです。

猫っ毛は生まれつき髪の直径(太さ)が細いため、その分髪全体が軽く、空気を含みにくく、ぺたんとしやすい状態になります。この「ぺたんこ」な状態こそが、薄毛に見える最大の原因です。

猫っ毛と剛毛の構造比較

特徴猫っ毛(軟毛)剛毛(硬毛)
髪の太さ細い(直径が小さい)太い(直径が大きい)
コルテックスの密度低い高い
ハリ・コシ少ない、柔らかい多い、硬い

髪の細さが引き起こす視覚的な問題

猫っ毛は髪の本数が少ないわけではありません。むしろ、人によっては剛毛の人と同じか、それ以上の本数を持つ場合もあります。

しかし、一本一本の髪が細いため、髪全体で占める体積、つまりボリュームが圧倒的に少なく見えてしまいます。これは、密集して生えていても、細い糸の束が太いロープの束よりも小さく見えるのと同じ原理です。

また、髪が細く柔らかいため、重力の影響を受けやすく、根元が立ち上がりにくい性質があります。髪が寝てしまうと、頭皮に張り付いたような状態になり、地肌の露出が増えてしまいがちです。

特に頭頂部や分け目の部分で地肌が透けて見えると、周囲からは薄毛が進行しているように誤認されてしまいます。

猫っ毛の薄毛に見える問題は、髪の絶対量ではなく、髪の「存在感」の不足によるものと理解するべきです。

薄毛との決定的な違い

薄毛(特に男性型脱毛症:AGA)は、毛周期(ヘアサイクル)の乱れによって、髪の成長期が極端に短くなり、太く長く成長する前に抜けてしまうことが原因です。

これにより、髪の本数そのものが減少し、最終的に地肌が広範囲に露出し始めます。

一方、猫っ毛は、毛周期が正常であっても、生まれつき髪が細い状態です。

猫っ毛の人が薄毛に見える場合、その多くは「もともとの細さ」に加えて「加齢や生活習慣によるさらなる軟毛化」が重なっている状態です。

つまり、薄毛は「髪の量の減少」、猫っ毛は「髪の太さの不足」が主な問題であり、原因が根本的に異なります。自分の状態がどちらなのかを正確に把握することが、対策の第一歩となります。

自分の髪がどちらの状態にあるのか判断するために、抜けた髪の毛を観察するのも一つの方法です。

猫っ毛の人の抜けた髪は細いものの、毛根が正常な形(マッチ棒のような膨らみ)をしていれば、単なる軟毛の可能性が高いです。

しかし、本来太いはずの髪が極端に細く短く、毛根が萎縮している場合は、毛周期の乱れ、すなわち薄毛の兆候を強く示唆しています。

猫っ毛が薄毛につながると誤解される原因

猫っ毛は薄毛ではないと前述しましたが、多くの人が「猫っ毛は薄毛になりやすい」と誤解するのはなぜでしょうか。

この誤解は、猫っ毛特有の視覚的な特性と、薄毛の初期症状である「軟毛化」との類似性、そして加齢に伴う自然な変化が複雑に絡み合って生じています。

これらの原因を深く掘り下げて理解することで、薄毛への過度な不安を払拭し、適切な対処法を講じる力を得られます。

ボリューム不足が地肌の透け感を強調する

猫っ毛の髪は、個々の髪が細いため、髪同士の間に空間が生まれやすく、光を通しやすい性質を持っています。その結果、髪が密生していても、地肌が透けて見えやすい状態となります。

特に湿気で髪がへたり込んだり、汗をかいて髪が束になったりすると、髪のカバー力が著しく低下し、薄毛のように見えてしまいます。

この「透け感」の問題は、特に頭頂部や前髪の分け目といった、普段から光が当たりやすい部位で顕著です。

薄毛の初期症状もまた、この地肌の透け感から始まるため、猫っ毛の人は、症状が進行していないにもかかわらず、常に薄毛予備軍として認識されやすい状況にあります。

軟毛化と猫っ毛を混同する危険性

軟毛化とは、本来は太く硬い髪が生えていたはずなのに、毛周期の乱れ(AGAなど)によって髪が徐々に細く短くなっていく現象です。

これは薄毛が進行しているサインであり、髪が細くなるという点で猫っ毛の状態と酷似しています。

しかし、猫っ毛は「生まれつきの細さ」、軟毛化は「後天的な細さ」であり、その背景にある原因は全く異なります。

薄毛の初期段階で起こる軟毛化は、毛母細胞の働きが男性ホルモン(ジヒドロテストステロン:DHT)によって阻害されることで生じます。

猫っ毛の人が薄毛になる場合、この軟毛化という症状が加わることになります。

もともと細い髪がさらに細くなるため、薄毛の症状がより急激に悪化しているように見えやすいのも、混同されやすい理由の一つです。

軟毛化の進行サイン

サイン概要
抜け毛の観察短い髪、または極端に細い髪の抜け毛が増える
髪質の変化以前より髪がセットしにくく、コシがなくなる
分け目の広がり分け目が目立ち、地肌の透け感が強くなる

年齢とともに髪が細くなる現象

たとえ猫っ毛でなくても、誰もが加齢によって髪の太さがわずかに細くなる現象を経験します。これは、髪を生成する毛母細胞の働きが、年齢とともに低下するためです。

髪の成長に関わるホルモンの分泌量や、細胞を活性化させる血流の量も徐々に減少し、髪が成長しきれずに成長期が短くなる傾向があります。

猫っ毛の人は、もともと髪の太さが細いため、加齢によるわずかな細さの減少であっても、薄毛に見える視覚的な影響が非常に大きくなります。

例えば、髪の太さが$0.08mm$から$0.07mm$に減少しただけでも、剛毛の人($0.12mm$から$0.11mm$に減少)よりも、相対的なボリュームダウンとして強く認識されやすいのです。

このため、「猫っ毛は年を取るとハゲる」という誤った認識が広まってしまう原因となっています。

猫っ毛のボリューム低下を加速させる日常的な原因

猫っ毛の人にとって、薄毛に見えるという問題は、生まれ持った体質だけでなく、日々の生活習慣や誤ったヘアケアによって大きく悪化します。

特に髪の細い猫っ毛は、頭皮環境や外部からの刺激に非常に敏感です。ここでは、髪のハリやコシを奪い、ボリューム低下を加速させてしまう、日常に潜む具体的な原因を掘り下げます。

頭皮の過剰な皮脂分泌と毛穴の詰まり

頭皮は、顔の皮膚以上に皮脂腺が多く、汗や皮脂が活発に分泌されます。これらの皮脂や古い角質、外部のホコリが混ざり合い、毛穴を詰まらせることがあります。

毛穴が皮脂で詰まると、髪の根元が押しつぶされ、髪がまっすぐ立ち上がりにくくなります。

猫っ毛の場合、髪のハリが弱いために、毛穴の詰まりによる根元の倒れ込みが、より顕著に現れます。

その結果、髪全体が頭皮に貼り付いたような「ぺたんこ」状態となり、ボリュームがゼロに見えてしまうのです。

皮脂を適切に除去し、頭皮環境を清潔に保つことが、猫っ毛の立ち上がりを確保するために大切です。

誤ったシャンプーとヘアケア習慣

日々のシャンプーやコンディショナーの使用方法が、猫っ毛のボリュームを奪っている場合があります。

洗浄力の強いシャンプーの使用

洗浄力が強すぎるシャンプーは、頭皮の必要な皮脂まで洗い流してしまい、頭皮の乾燥を招きます。

乾燥した頭皮は、その反動でさらに多くの皮脂を分泌しようとするため、結果的に過剰な皮脂による毛穴詰まりを引き起こします。アミノ酸系など、マイルドな洗浄成分のシャンプーを選ぶ必要があります。

コンディショナーやトリートメントの過剰な使用

髪を滑らかにするためのコンディショナーやトリートメントを、猫っ毛の人が根元からたっぷりとつけてしまうと、髪に重さが加わり、せっかくの根元の立ち上がりが潰れてしまいます。

これらの製品は、髪の中間から毛先にかけて使用し、根元には極力つけないように心がけるべきです。

栄養不足や血行不良が髪の成長を妨げる

髪の毛は、毛母細胞が血液から取り込んだ栄養を元にして作られます。つまり、栄養バランスの乱れや頭皮の血行不良は、髪を太く成長させるための土台を揺るがします。

特にダイエットなどで食事制限を極端に行うと、髪の主要な構成要素であるタンパク質や、髪の生成を助けるミネラル・ビタミンが不足し、猫っ毛の髪がさらに弱々しく、細くなってしまいます。

また、運動不足や喫煙、過度なストレスなどは血流を滞らせ、毛母細胞に栄養が行き渡るのを妨げます。血行不良は、猫っ毛の人が抱えるハリ・コシ不足の問題を加速させる間接的な原因の一つです。

髪のハリ・コシを阻害する習慣

  • 極端な食事制限や偏食
  • 睡眠不足や質の低い睡眠
  • 長時間のデスクワークによる血行不良
  • 過剰な飲酒や喫煙習慣

これらの習慣を見直すことが、猫っ毛の根本的な強度を高めるために大切です。

今すぐできる!猫っ毛をハリとコシでボリュームアップさせる対策

猫っ毛の髪を太くするのは難しいかもしれませんが、ハリとコシを高め、根元を立ち上がらせることで、薄毛に見える状態は劇的に改善できます。

今日から実践できる外部からのケア、すなわちシャンプー、洗髪方法、そしてドライヤーの使い方を見直すことで、視覚的なボリュームを最大限に引き出しましょう。

ボリュームを出すシャンプーとコンディショナーの選び方

シャンプーは、アミノ酸系やベタイン系など、頭皮に優しく、余分な皮脂のみを穏やかに洗い流せるタイプを選んでください。

強い洗浄力を持つ高級アルコール系シャンプーは、頭皮環境を乱しやすいため避けるのが賢明です。

また、猫っ毛向けのシャンプーには、髪の内部を補修し、ハリ・コシを与える成分が配合されているものを選びましょう。

具体的には、ケラチンやコラーゲンなどのタンパク質、またはその分解物(加水分解ケラチンなど)が含まれている製品が有効です。これらの成分が髪の内部に浸透し、髪一本一本を内側から補強してくれます。

コンディショナーやトリートメントは、髪の表面をコーティングすることで、細い猫っ毛が摩擦などのダメージを受けるのを防ぐ役割を果たします。

ただし、重すぎる仕上がりになる製品は避け、サラッとしたテクスチャーのものを選び、必ず毛先中心に使用してください。根元に塗布すると、髪が重くなり、立ち上がりが完全に失われてしまいます。

ボリュームアップに役立つ成分

成分カテゴリ効果避けるべき成分
洗浄成分アミノ酸系、ベタイン系ラウリル硫酸Naなど(高刺激)
補強成分加水分解ケラチン、コラーゲンシリコン類(重すぎる場合)
保湿成分ヒアルロン酸、天然オイル(少量)重い油分(付けすぎ注意)

正しい洗髪方法と頭皮マッサージのやり方

シャンプーは、髪を洗うのではなく、「頭皮を洗う」という意識が大切です。

正しい洗髪の手順

まずはシャンプー前に、38℃程度のぬるま湯で約1分間、頭皮と髪をしっかりと予洗いします。これにより、汚れの$70\%$程度が落ち、シャンプーの泡立ちもよくなります。

シャンプーを手のひらでよく泡立ててから頭皮に乗せ、指の腹を使って優しくマッサージするように洗ってください。

爪を立てたり、ゴシゴシと強くこすったりすることは、頭皮を傷つけ、炎症やフケの原因となるため厳禁です。

効果的な頭皮マッサージ

頭皮マッサージは、血行を促進し、毛母細胞に栄養を届きやすくするために必要です。シャンプー中や入浴後のリラックスした状態で行ってください。

耳の上や後頭部の生え際から、頭頂部に向かって円を描くように指の腹で揉みほぐします。頭皮全体を動かすことを意識し、硬くなった頭皮を柔らかくすることで、髪の成長しやすい環境を整えます。

血流が良くなると、髪の根元がふっくらと立ち上がりやすくなります。

ドライヤーを使った根元からの立ち上げ術

ドライヤーの使い方一つで、猫っ毛のボリュームは大きく変わります。重要なのは、「根元を乾かすこと」と「髪を立たせる方向から風を当てること」です。

洗髪後、タオルでしっかりと水気を取り除いたら、すぐにドライヤーを使い始めます。根元に指を入れ、髪を逆立てるように持ち上げながら、下から上に風を当ててください。

特にボリュームを出したい頭頂部や分け目には、手のひらで軽く揉むようにしながら、様々な方向から温風を当てることが効果的です。

また、髪が80%程度乾いたところで、冷風に切り替えます。温風で立ち上げた髪の形は、冷風を当てることで固定されます。

キューティクルも引き締まり、髪の表面にツヤが出て、ハリ・コシがあるように見せられます。

完全に乾かさずに放置すると、雑菌が繁殖したり、髪の水分が蒸発しすぎて乾燥したりするため、素早く完全に乾かすことが大切です。

身体の内側から猫っ毛を強くする生活習慣の改善

外部からのケアも大切ですが、猫っ毛の髪一本一本を内部から強くし、ハリ・コシを生み出すためには、毎日の生活習慣の改善が不可欠です。

栄養、睡眠、運動という3つの柱を整えることで、頭皮環境と毛母細胞の働きを根本的にサポートし、ボリューム低下を内側から食い止められます。

髪の成長に必要なタンパク質とミネラルを摂る食事

髪の毛は$90\%$以上が「ケラチン」というタンパク質でできています。そのため、質の高いタンパク質を毎食欠かさず摂ることが、強く太い髪を育てる土台となります。

肉、魚、卵、大豆製品などをバランス良く摂取してください。

さらに、タンパク質の合成を助けるミネラルも重要です。特に「亜鉛」は、ケラチンを合成する酵素の働きをサポートする必須ミネラルです。カキ、レバー、ナッツ類などに多く含まれます。

また、血液の生成に欠かせない「鉄分」や、頭皮の健康を維持する「ビタミンB群」も意識して摂取してください。これらの栄養素が不足すると、猫っ毛の髪がさらに細く、成長が遅れる原因となります。

髪の成長をサポートする栄養素

栄養素主な働き多く含まれる食品
タンパク質髪の主成分(ケラチン)の材料肉類、魚介類、卵、大豆製品
亜鉛ケラチン合成のサポートカキ、レバー、ナッツ類、牛肉
ビタミンB群代謝を助け頭皮環境を整える緑黄色野菜、玄米、豚肉

質の高い睡眠が毛母細胞の働きを活発にする

髪の毛の成長は、身体の修復活動が活発になる睡眠中、特に「成長ホルモン」が大量に分泌される時間帯に最も活発になります。

成長ホルモンは、毛母細胞の分裂を促し、新しい髪を生成するために重要な役割を果たします。

夜更かしや不規則な睡眠は、この成長ホルモンの分泌を妨げます。特に、夜10時から深夜2時までの間に深く眠ることが、髪の成長にとって非常に大切とされています。

猫っ毛の人がハリ・コシを回復させるためには、ただ寝る時間を増やすだけでなく、入浴やリラックスなどで自律神経を整え、質の高い深い睡眠を確保することが必要です。

適度な運動で血流を促す重要性

頭皮の毛細血管は非常に細く、血流が滞りやすい場所です。運動不足や長時間同じ姿勢でいることは、全身の血流を悪化させ、結果的に髪の生成に必要な栄養素や酸素が毛母細胞に届くのを妨げます。

適度な有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)は、心肺機能を高め、全身の血行を改善します。これにより、頭皮の隅々まで血液がしっかりと行き渡り、毛母細胞の働きを活性化できます。

また、運動はストレス解消にも役立ちます。ストレスは血管を収縮させ、血流を悪化させる原因となるため、運動によるリフレッシュ効果は間接的に髪の健康をサポートする効果があると言えます。

毎日30分程度の軽い運動を取り入れることを推奨します。

猫っ毛のボリュームアップを助ける育毛剤の成分と使い方

生活習慣やヘアケアを改善しても、なかなかボリュームの変化を感じられない場合、育毛剤の使用を検討するのも一つの有効な対策です。

育毛剤は、頭皮環境を整え、髪の成長をサポートすることで、猫っ毛のハリ・コシ不足を補う役割を果たします。

特に「薄毛に見える」という視覚的な悩みを抱える猫っ毛の人にとって、育毛剤は力強い味方となり得ます。

ハリ・コシをサポートする注目の育毛成分

猫っ毛のボリュームアップに貢献する育毛剤には、主に「血行促進作用」「細胞活性化作用」「髪の補修作用」を持つ成分が配合されています。

血行促進成分

血管を拡張させ、頭皮の血流を改善する成分です。代表的なものに、センブリエキスやタマサキツヅラフジエキスなどがあります。これらが毛母細胞への栄養供給をスムーズにし、髪の成長を助けます。

細胞活性化成分

毛乳頭細胞や毛母細胞の働きを活発にし、髪の生成を促す成分です。アデノシンやパントテニルエチルエーテルなどが知られています。

これらの成分が成長期を維持し、髪が細くなるのを防ぎます。

頭皮環境改善・補修成分

グリチルリチン酸2Kなどの抗炎症成分は、頭皮の炎症を抑え、健全な髪が生える土壌を整えます。

また、加水分解シルクやケラチンなどのタンパク質誘導体は、外部から髪の表面に付着し、一本一本の髪に一時的なハリと太さ(コシ)を与え、ボリューム感を演出します。

育毛剤の効果的な塗布タイミングとマッサージ

育毛剤は、単に塗布するだけでなく、そのタイミングと塗り方が効果を左右します。

塗布のベストタイミング

最も効果的なタイミングは、洗髪後の清潔な頭皮で、水分をしっかりと拭き取った後です。

洗髪後は毛穴の汚れが落ち、頭皮の血行も良くなっているため、育毛剤の有効成分が浸透しやすい状態にあります。

ドライヤーで髪を8割程度乾かしてから、頭皮がまだ温かいうちに塗布することを推奨します。

塗布方法とマッサージ

育毛剤は、髪ではなく頭皮に直接塗布します。特に薄毛に見えやすい分け目や頭頂部を中心に、$1cm$間隔程度でライン状に塗布してください。

その後、指の腹を使って頭皮全体になじませながら、優しく揉み込むようにマッサージします。これにより、血行がさらに促進され、成分の吸収が助けられます。

力を入れすぎず、頭皮を動かすことを意識して1〜2分程度行ってください。

長期間継続して使用する大切さ

髪の毛には「ヘアサイクル」があり、新しい髪が生え始めてから成長し、抜けるまでには数ヶ月から数年の期間を要します。

育毛剤は、このヘアサイクルを正常化し、細い髪を太く成長させるための土壌改良剤のようなものです。効果を実感するには、最低でも3ヶ月から6ヶ月の継続使用が必要です。

短期間で効果が出ないと判断して使用をやめてしまうと、せっかく整い始めた頭皮環境も元に戻ってしまいます。猫っ毛のボリュームアップは、一朝一夕に達成できるものではなく、日々の積み重ねが重要です。

育毛剤は毎日の歯磨きや洗顔と同じように習慣化し、長期的な視点で取り組んでください。

育毛剤使用の心構え

  • 最低3ヶ月は継続使用する
  • 毎日朝晩の2回、欠かさず塗布する

効果を急がず、根気強くケアを続けることが、ボリュームアップを実現するカギとなります。

諦めないで!猫っ毛のボリュームアップのためのヘアセット術

最終的に、猫っ毛のボリュームに関する悩みを解消するのは、日々のヘアセット術です。細くて柔らかい猫っ毛でも、カットやパーマ、スタイリング剤の工夫によって、驚くほど豊かに見せられます。

髪の性質を理解し、その特性を活かした視覚的なボリュームアップを狙いましょう。

パーマやカットで視覚的なボリュームを増やす方法

髪の毛の根元にパーマをかける「根元パーマ」は、猫っ毛のボリュームアップ対策として非常に有効です。

パーマによって髪の根元に3D的な立ち上がりをつけることで、髪全体に空気感が生まれ、地肌の透け感を解消できます。

カットによるボリュームアップ カットは、全体のシルエットをひし形(ダイヤモンド型)に整えることが重要です。

トップに長さを残し、サイドを短くすることで、相対的に頭頂部の髪が立ち上がって見え、顔周りも引き締まって見えます。

また、毛量を減らしすぎると、かえって髪が軽くなりすぎてまとまりを失い、ぺたんこになりやすいため、美容師とよく相談して調整してください。

レイヤー(段差)を適切に入れることで、髪に動きと軽さが出て、自然なボリューム感を演出できます。

猫っ毛に最適なヘアスタイル(視覚効果)

施術効果注意点
根元パーマ髪の根元を物理的に立ち上げる定期的なかけ直しが必要
レイヤーカット髪に動きと軽さを出す毛量を減らしすぎないようにする
ショート・ミディアム髪の重さによるへたりを防ぐロングは重力でボリュームが出にくい

スタイリング剤の上手な選び方と活用法

猫っ毛の人が選ぶべきスタイリング剤は、「軽さ」と「キープ力」を両立したものです。重いテクスチャーのワックスやジェルは、せっかく立ち上げた髪を潰してしまうため避けてください。

パウダーワックスやスプレーワックス これらの製品は、油分が少なく、髪の根元に塗布しても重さが加わりにくいのが特徴です。

特にパウダーワックスは、微粒子が髪と髪の間に入り込み、摩擦を生み出すことで、根元の立ち上がりをキープする効果が高いです。

スプレーの活用 ドライヤーで形を整えた後、キープ力の高いハードスプレーを根元から軽く吹き付け、ボリュームを固定します。

この際、スプレーを近くから集中して吹き付けると、髪が固まりすぎて不自然になるため、30cm程度離して全体に均一にかかるように使用してください。

また、スタイリング剤を使用する前には、一度髪を$8$割程度濡らし、再度ドライヤーで根元を立ち上げ直すことで、より思い通りのボリュームを作り出せます。

よくある質問

猫っ毛は薄毛になりやすいというのは本当ですか?

猫っ毛という髪質自体が、薄毛や脱毛症を直接引き起こす原因になることはありません。

しかし、猫っ毛は髪が細く柔らかいため、ボリュームが出にくく、地肌が透けて見えやすいため、薄毛に「見えやすい」という視覚的な問題があります。

加齢や生活習慣の乱れによって髪がさらに軟毛化すると、その視覚的な薄毛感が強くなり、「薄毛になりやすい」と誤解される原因となります。

薄毛と猫っ毛は原因が異なりますが、猫っ毛の人は日々のケアをより丁寧に行う必要があります。

軟毛化は治せますか?

軟毛化の原因がAGA(男性型脱毛症)によるものであれば、専門の医師による適切な治療や、医薬部外品の育毛剤、または医薬品の発毛剤の使用によって改善できる可能性は十分にあります。

軟毛化は毛周期の乱れが原因であるため、乱れた周期を正常に戻すことができれば、再び太い髪が生える見込みがあります。

自己判断せずに、早期に専門家に相談し、原因に応じた対策を講じることが重要です。生活習慣の改善も、軟毛化の進行を遅らせるために大切です。

猫っ毛の人はカラーリングやパーマをしても大丈夫ですか?

猫っ毛は髪のキューティクルが薄い傾向があるため、カラーリングやパーマの薬剤によるダメージを受けやすい性質を持っています。

過度な施術は、髪をさらに細く弱くし、枝毛や切れ毛の原因となるため、注意が必要です。

パーマをかける場合は、ダメージの少ない薬剤を選び、頭皮の負担を考慮して根元に限定したパーマ(根元パーマ)を検討するのが良いでしょう。

また、施術後は必ずトリートメントやヘアパックなどで徹底的に髪を補修し、頭皮環境を整えるケアを欠かさないようにしてください。

育毛剤はいつから使い始めるのが良いですか?

育毛剤は、薄毛を治す薬というよりも、頭皮環境を整え、今の髪を健康的に育てるためのものです。

猫っ毛でボリューム不足に悩んでいるなら、「薄毛だと自覚してから」ではなく、「少しでも髪のハリやコシの衰えを感じ始めたとき」から使い始めることを推奨します。

特に30代以降、加齢による髪質の変化を感じ始めたら、将来的なボリュームダウンを防ぐための予防策として使用を開始するのが効果的です。

継続的な使用で、数ヶ月後にその効果を実感し始めます。

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