「バナナが髪の毛に良い」という話を聞いたことはありませんか。手軽に食べられる果物で、髪の悩みにアプローチできるなら嬉しいものです。
しかし、本当に育毛や白髪予防に効果があるのか、疑問に思う方も多いでしょう。この記事では、バナナが髪の毛に与える影響について、注目すべき栄養素「ビオチン」などを中心に徹底解説します。
バナナに含まれる成分がどのように髪の健康をサポートするのか、その理由を知ることで、日々の食生活を見直すきっかけになるかもしれません。
育毛や頭皮環境に関心のある方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック 統括院長
前田 祐助
【経歴】
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設
2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設
資格・所属学会・症例数
【資格】
- 医師免許
- ⽇本医師会認定産業医
- 医学博士
【所属学会】
- 日本内科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本臨床毛髪学会
【症例数】
3万人以上※
※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数
バナナは髪の毛に良い影響を与える?噂の真相
バナナが髪の毛に良いという噂は、多くの人が一度は耳にしたことがあるかもしれません。この手軽で栄養価の高い果物が、私たちの髪にどのような影響を与えるのか、その真相に迫ります。
結論から言えば、バナナは髪の健康維持をサポートする食品の一つであり、育毛や白髪予防に対しても間接的ながら良い影響が期待できます。
ただし、それはバナナに含まれる豊富な栄養素が頭皮環境や髪の成長に必要な要素を補うからです。
「バナナは髪に良い」と言われる理由
バナナが髪に良いとされる主な理由は、髪の健康維持に重要なビタミンやミネラルをバランス良く含んでいる点にあります。特に注目されるのが、皮膚や髪の健康に関わる「ビオチン」です。
さらに、エネルギー代謝を助け頭皮の新陳代謝を促すビタミンB群、髪の主成分であるタンパク質(アミノ酸)、抗酸化作用を持つビタミンCやポリフェノール、血流サポートに関わるカリウムなど、多角的に髪と頭皮の健康を支える栄養素が含まれています。
バナナ(中1本約100g)の主な栄養素
| 栄養素 | 含有量(目安) | 主な役割 |
|---|---|---|
| ビオチン | 1.1μg | 皮膚や髪の健康維持 |
| ビタミンB6 | 0.38mg | タンパク質の代謝、皮脂調整 |
| カリウム | 360mg | 体内の水分バランス調整 |
結論:バナナは髪の健康維持をサポートする食品
バナナを食べることで直接的に髪が生えたり、白髪が黒髪に戻ったりするわけではありません。
しかし、髪が健やかに育つためには、土壌である頭皮環境が整っていること、そして髪の材料となる栄養素が十分にあることが重要です。
バナナは、これらの条件を満たすための栄養素を補給するのに役立つ食品です。例えば、ビタミンB群が頭皮のターンオーバーを正常に保ち、ビオチンやタンパク質が丈夫な髪の生成を助けます。
このように、バナナは髪の健康を「サポートする」役割を担っています。
育毛や白髪予防への期待
育毛において大切なのは、毛母細胞が活発に分裂し、髪が成長しやすい環境を作ることです。
バナナに含まれるビタミンB群やミネラルは、頭皮環境を健やかに保ち、毛母細胞への栄養供給を間接的にサポートします。
また、白髪予防に関しては、メラニン色素の生成が鍵となります。
バナナに含まれるチロシンはメラニンの材料となり、ビタミンCなどの抗酸化物質はメラノサイト(色素細胞)の老化を防ぐのに役立つ可能性があります。
これらはあくまで栄養補給による間接的な期待であり、バナナが特効薬となるわけではないことを理解しておきましょう。
バナナだけに頼る食生活の注意点
バナナが髪に良い栄養素を含んでいるからといって、バナナばかりを食べる偏った食生活は逆効果になる可能性があります。
髪の健康は、タンパク質、ビタミン、ミネラルなど、多様な栄養素が複雑に関わり合って維持されます。特に髪の主成分であるタンパク質や、その合成を助ける亜鉛などは、バナナだけでは十分に補えません。
バナナはあくまでバランスの取れた食事の一部として取り入れることが、髪の毛の健康への近道です。糖質も含まれるため、食べ過ぎはカロリーオーバーにもつながります。
バナナに含まれる髪に重要な栄養素「ビオチン」とは?
バナナが髪に良いとされる理由の一つに、栄養素「ビオチン」の存在があります。
ビオチンはビタミンB群の一種で、以前はビタミンHとも呼ばれていました。水溶性のビタミンであり、体内で様々な代謝に関わる重要な役割を果たします。
特に皮膚や粘膜、そして髪の毛の健康維持と深く関わっているため、育毛や美髪を目指す上で注目すべき栄養素です。
ビオチン(ビタミンH)の働き
ビオチンの主な働きは、エネルギー代謝の補酵素として機能することです。糖質、脂質、タンパク質の代謝を助け、私たちが食事から摂った栄養素をエネルギーに変える手助けをします。
さらに重要なのが、皮膚や髪の毛の主成分であるタンパク質「ケラチン」の生成をサポートする役割です。
ケラチンは髪の構造の約90%を占めるため、ビオチンが不足すると健康な髪の生成に支障をきたす可能性があります。また、頭皮の炎症を抑え、健康な状態を保つことにも寄与すると考えられています。
ビオチンが不足するとどうなる?
ビオチンは腸内細菌によっても合成されるため、通常の食生活を送っていれば深刻な欠乏症になることは稀です。
しかし、極端な偏食、長期の抗生物質の服用、あるいは生の卵白(アビジンという成分がビオチンの吸収を妨げる)の大量摂取などによって不足することがあります。
ビオチンが不足した場合に考えられるサインには、皮膚のトラブルや髪の毛の変化があります。
ビオチン不足の主なサイン
- 皮膚炎(鱗屑状、脂漏性)
- 脱毛、髪質の悪化
- 結膜炎
バナナ1本あたりのビオチン含有量
バナナ(中1本約100g)に含まれるビオチンは約1.1μg(マイクログラム)です。これは他の食品と比較して突出して多いわけではありませんが、手軽に摂取できる食品としては有用です。
ビオチンはレバー、卵黄、ナッツ類、きのこ類などにも多く含まれています。バナナはこれらの食品と組み合わせて摂ることで、より効率的にビオチンを補給できます。
ビオチンを比較的多く含む食品(100gあたり)
| 食品名 | ビオチン含有量(目安) |
|---|---|
| 鶏レバー(生) | 232.0μg |
| 卵黄(生) | 65.0μg |
| アーモンド(乾) | 29.0μg |
ビオチンの1日の摂取目安量
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、ビオチンの1日あたりの摂取目安量は、成人男女ともに50μgと設定されています。
前述の通り、バナナ1本では約1.1μgであり、目安量を満たすには他の食品からの摂取が重要です。
しかし、ビオチンは様々な食品に含まれているため、バランスの良い食事を心がけていれば、目安量を大きく下回ることは少ないと考えられます。
バナナは、その補助的な供給源として役立ちます。
ビオチンだけじゃない!バナナに含まれる美髪サポート栄養素
バナナの魅力はビオチンだけにとどまりません。髪の毛と頭皮の健康を多角的にサポートする、他のビタミンやミネラル、タンパク質(アミノ酸)も豊富に含んでいます。
これらの栄養素が連携して働くことで、バナナは美髪を育むための優れた食品となります。ここでは、ビオチン以外に注目すべきバナナの栄養素を詳しく見ていきましょう。
髪の成長を支えるビタミンB群
バナナにはビオチンの他にも、ビタミンB2やB6といったビタミンB群が含まれています。ビタミンB群は「エネルギー代謝のビタミン」とも呼ばれ、頭皮の健康維持に欠かせません。
特にビタミンB6は、髪の主成分であるタンパク質の代謝に深く関与します。タンパク質をアミノ酸に分解し、それをケラチンとして再合成する際に重要な役割を果たします。
また、皮脂の分泌をコントロールする働きもあり、頭皮の脂っぽさや乾燥を防ぎ、健康な頭皮環境を保つのに役立ちます。
バナナに含まれる主なビタミンB群の役割
| ビタミン名 | 主な役割 |
|---|---|
| ビタミンB2 | 皮膚や粘膜の健康維持、脂質の代謝 |
| ビタミンB6 | タンパク質の代謝、皮脂分泌の調整 |
頭皮の健康を保つビタミンC
バナナにはビタミンCも含まれています。ビタミンCは強力な抗酸化作用を持つことで知られ、体内の活性酸素を除去する働きがあります。
頭皮も皮膚の一部であり、紫外線やストレスによって活性酸素が発生すると、細胞がダメージを受けて老化が進みやすくなります。これは毛母細胞の働きの低下にもつながります。
ビタミンCはこうした酸化的ストレスから頭皮を守る役割が期待できます。さらに、ビタミンCは頭皮の弾力や強度を保つコラーゲンの生成にも必要です。健康な頭皮は、健康な髪を育むための土台となります。
ミネラル(カリウム・マグネシウム)の役割
バナナはカリウムを非常に多く含む果物です。カリウムは体内のナトリウム(塩分)とのバランスを取り、細胞の浸透圧や水分バランスを調整する重要なミネラルです。
これにより、体全体の巡りをスムーズに保つサポートをします。頭皮も例外ではなく、必要な栄養素は血液によって運ばれるため、体の巡りは髪の成長にとって大切です。
また、マグネシウムも含まれており、これは体内で多くの酵素の働きを助け、タンパク質の合成やエネルギー生成にも関わっています。
髪の健康に関連するミネラル
| ミネラル名 | 主な役割 | バナナ以外の供給源 |
|---|---|---|
| カリウム | 水分バランス調整 | ほうれん草、海藻類 |
| マグネシウム | 酵素の補助、タンパク質合成 | ナッツ類、大豆製品 |
| 亜鉛 | ケラチンの合成、細胞分裂 | 牡蠣、レバー、赤身肉 |
タンパク質(アミノ酸)
髪の毛の約90%は「ケラチン」というタンパク質でできています。バナナにもタンパク質(アミノ酸)が含まれており、髪の材料を補給するという点で貢献します。
量は多くありませんが、バナナに含まれるアミノ酸の中には「トリプトファン」があります。
トリプトファンは体内で「セロトニン」という神経伝達物質に変わり、精神を安定させたり、睡眠の質を高めたりする働きがあります。
良質な睡眠やストレスの緩和は、髪の健やかな成長サイクルを維持するためにも重要です。また、後述する「チロシン」もアミノ酸の一種です。
バナナの栄養素が育毛に与える影響
バナナに含まれるビオチン、ビタミンB群、ミネラルなどの多様な栄養素は、育毛、すなわち健康な髪が育つ環境づくりにどのように貢献するのでしょうか。
育毛剤メディアとして、ここではバナナの栄養素が頭皮環境や髪の生成に与える具体的な影響について、一歩踏込んで解説します。
あくまで食品によるサポートという側面ですが、日々のケアにおいて重要な視点です。
頭皮環境の改善
健康な髪は、健康な頭皮から育ちます。バナナに含まれるビタミンB群(特にB2やB6)は、頭皮の新陳代謝(ターンオーバー)を促し、皮脂の分泌バランスを整える働きがあります。
頭皮のターンオーバーが乱れると、古い角質が溜まってフケの原因になったり、逆に皮脂が過剰になって毛穴を詰まらせたりすることがあります。
また、ビタミンCの抗酸化作用は、紫外線のダメージから頭皮を守り、コラーゲン生成を助けて頭皮の弾力を保つのに役立ちます。これにより、髪がしっかりと根を張れる環境を維持するサポートが期待できます。
髪の主成分「ケラチン」の生成サポート
髪の毛そのものを作り出すためには、材料が必要です。その主成分がケラチンというタンパク質です。バナナに含まれるビオチンは、このケラチンの合成をサポートする重要な役割を持っています。
また、ビタミンB6もタンパク質の代謝に深く関わり、食事から摂ったタンパク質が効率よくケラチンに再合成されるのを助けます。
バナナ自体にもタンパク質(アミノ酸)が含まれており、材料の一部を供給します。育毛を考える上で、ケラチンの生成をスムーズにすることは非常に大切です。
血流促進のサポート
髪の成長に必要な栄養素や酸素は、血液によって頭皮の毛乳頭細胞に運ばれます。したがって、頭皮の血流が滞ると、どんなに良い栄養素を摂っても髪に届きにくくなります。
バナナに豊富なカリウムは、体内の余分なナトリウムを排出し、水分バランスを整えることで、体全体の巡りをサポートします。
これは直接的に頭皮の血流だけを改善するものではありませんが、健康な循環を維持する一助となります。マッサージなどと合わせて、体内からのケアとして意識すると良いでしょう。
ストレス緩和と髪の関係
強いストレスは自律神経のバランスを崩し、血管を収縮させて頭皮の血流を悪化させることがあります。
また、ストレスは睡眠の質を低下させることもあり、これらは髪の成長サイクルに悪影響を与える要因となります。
バナナに含まれるアミノ酸「トリプトファン」は、精神の安定に関わる「セロトニン」の材料となります。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、リラックス効果をもたらします。
さらに、セロトニンは夜になると睡眠を促す「メラトニン」に変わるため、良質な睡眠にも貢献します。ストレスケアも育毛の重要な一環です。
バナナは白髪予防にも期待できる?
年齢と共に気になる白髪。バナナが育毛だけでなく、白髪の予防にも役立つのではないかという期待もあります。白髪は、髪の色素であるメラニンが作られなくなることで発生します。
バナナに含まれる栄養素が、このメラニンの生成や、色素細胞の健康維持にどのように関わるのかを見ていきましょう。
白髪ができる原因とは
髪の毛はもともと白い状態で生まれ、毛根部にあるメラノサイト(色素細胞)が作り出すメラニン色素によって黒くなります。
白髪は、何らかの原因でこのメラノサイトの働きが低下したり、メラノサイト自体が減少したりすることで、メラニン色素が髪に取り込まれなくなるために起こります。
その原因は加齢によるものが最も大きいですが、遺伝、ストレス、栄養不足、頭皮環境の悪化なども関与すると考えられています。
白髪の主な原因
| 原因 | 概要 |
|---|---|
| 加齢 | メラノサイトの機能低下や減少 |
| 遺伝的要因 | 白髪になりやすい体質 |
| 栄養不足 | メラニン生成に必要な栄養素の欠乏 |
バナナの「チロシン」の役割
メラニン色素は、「チロシン」というアミノ酸を原料とし、「チロシナーゼ」という酵素の働きによって生成されます。バナナには、このメラニンの材料となるチロシンが含まれています。
したがって、食事からチロシンを適切に補給することは、メラニンを生成するための前提条件の一つとなります。チロシンはバナナのほか、チーズや大豆製品、ナッツ類などにも含まれています。
チロシンを摂取したからといって白髪が治るわけではありませんが、材料不足によるメラニン生成の停滞を防ぐためには重要です。
抗酸化作用による頭皮の老化防止
メラノサイトの機能が低下する原因の一つに、活性酸素による「酸化ストレス」があります。活性酸素が過剰に発生すると、細胞がダメージを受け、機能が低下したり老化が進んだりします。
メラノサイトも例外ではなく、酸化ストレスによって働きが弱まると考えられています。バナナに含まれるビタミンCやポリフェノール(特に熟したバナナに多い)は、抗酸化作用を持ちます。
これらの成分が活性酸素を除去し、メラノサイトが健やかに働く環境を維持するサポートをしてくれる可能性があります。
栄養不足による白髪へのアプローチ
白髪の原因が栄養不足である場合、バランスの取れた食事によって改善が期待できるケースもあります。
特に、メラニンの生成にはチロシンだけでなく、チロシナーゼの働きを助ける銅(ミネラル)や、頭皮の健康を保つビタミンB群なども必要です。
バナナはこれらの栄養素を複合的に含んでいるわけではありませんが、ビタミンB群やミネラル(カリウムなど)を補うことができます。
白髪予防を考えるなら、バナナだけでなく、銅を含むレバーやナッツ類、魚介類など、様々な食品をバランスよく食べることが大切です。
髪のために効果的なバナナの食べ方と摂取量
バナナが髪の健康維持をサポートすることが分かりましたが、どのように食べればその栄養素を効率よく活かせるのでしょうか。
手軽な食品だからこそ、日々の食生活に取り入れる際のポイントを知っておくことが重要です。
ここでは、髪の毛のために意識したいバナナの摂取目安量や、おすすめの食べ方、組み合わせについて解説します。
1日あたりの摂取目安
バナナは栄養価が高い一方で、果物の中では比較的カロリーや糖質も多めです(中1本約100gで約93kcal、糖質約21g)。
健康な髪のためとはいえ、食べ過ぎは肥満や血糖値の上昇につながる可能性があり、かえって頭皮環境の悪化を招くことも考えられます。
一般的な目安としては、1日に1本程度を間食や食事の一部として取り入れるのが適量でしょう。他の食事とのバランスを常に考えることが大切です。
いつ食べるのがおすすめ?
バナナは消化吸収が良く、すぐにエネルギーに変わるため、活動時間帯に食べるのがおすすめです。例えば、朝食に加えることで、1日の活動エネルギーを補給しつつ、ビタミンやミネラルを摂ることができます。
また、午後や運動前の間食としても適しています。
特に、育毛に関わるストレス緩和の観点からは、材料となるトリプトファンを日中に摂取しておくことで、夜のセロトニンやメラトニンの生成に備えることができます。
栄養素を効率よく摂る組み合わせ
髪の毛の健康を考えるなら、バナナ単体で食べるよりも、他の栄養素を補う食品と組み合わせるのが賢明です。特に髪の主成分であるタンパク質と、その合成を助ける亜鉛は意識して摂りたい栄養素です。
バナナのビタミンB6はタンパク質の代謝を助けるため、相性の良い組み合わせと言えます。
バナナと組み合わせたい食材例
| 組み合わせる食材 | 補える主な栄養素 | 食べ方例 |
|---|---|---|
| ヨーグルト、牛乳 | タンパク質、カルシウム | バナナスムージー、シリアル |
| きな粉、豆乳 | タンパク質(植物性)、イソフラボン | きな粉バナナ、豆乳スムージー |
| ナッツ類(アーモンドなど) | ビタミンE、亜鉛、ビオチン | バナナと一緒に間食 |
加熱すると栄養素は変わる?
バナナは生で食べることが多いですが、加熱しても美味しく食べられます。例えば、焼きバナナやソテーなどです。加熱によって栄養素がどのように変化するかを知っておきましょう。
ビタミンCやビタミンB群の一部(特にB1や葉酸)は熱に弱い性質があるため、加熱すると量が減ってしまう可能性があります。一方で、ビオチンやミネラル類は比較的熱に強いです。
また、バナナを加熱すると糖度が増して甘く感じられますが、抗酸化物質であるポリフェノールの量は増えるという報告もあります。
生食を基本としつつ、たまに加熱調理を取り入れるなど、食べ方を工夫するのも良いでしょう。
バナナを使ったヘアケア?食べる以外の方法
バナナを「食べる」ことによる内側からのケアについて解説してきましたが、一方で「バナナを髪に直接塗る」といったヘアケア方法を聞いたことがあるかもしれません。
特に海外では「バナナヘアパック」や「バナナマスク」として知られる民間療法的なケアが存在します。ここでは、食べる以外の方法の効果と注意点について考察します。
「バナナヘアパック」とは?
バナナヘアパックとは、熟したバナナを潰してペースト状にし、それにハチミツやオリーブオイル、ヨーグルトなどを混ぜて髪や頭皮に塗布し、一定時間置いた後に洗い流すというものです。
インターネット上では、髪の保湿、ダメージケア、フケ防止などに良いとして紹介されることがあります。バナナの栄養素を直接髪や頭皮に浸透させようという考え方に基づいています。
ヘアパックに期待される効果
バナナには水分や糖分、脂質、そしてビタミン類が含まれているため、ペースト状にして塗布することで、一時的な保湿効果や髪の柔軟性を高める効果は期待できるかもしれません。
特に熟したバナナの糖分や、一緒に混ぜるハチミツやオイルの保湿力によるものが大きいと考えられます。
しかし、これらの栄養素が頭皮から吸収されて育毛や白髪予防に直接作用するかどうかは、科学的な根拠が乏しいのが現状です。
科学的根拠と注意点
バナナに含まれるビオチンやビタミンB群などの栄養素は、主に腸から吸収されて血液中を巡り、毛母細胞などに届けられることでその機能を発揮します。
皮膚(頭皮)からこれらの栄養素が毛根の奥深くまで浸透し、育毛効果を発揮するという明確な科学的データは不足しています。また、バナナヘアパックを行う際にはいくつかの注意点があります。
バナナヘアパックの注意点
- アレルギー反応(ラテックス・フルーツ症候群など)
- 洗い残しによる頭皮トラブル(毛穴詰まり、雑菌の繁殖)
- 手間とコスト(食品をケアに使うこと)
結論:基本は食べることでの栄養補給が重要
バナナヘアパックは、保湿や手触りの改善といったトリートメント的な側面での効果は限定的にあるかもしれませんが、育毛や白髪予防といった根本的な髪の悩みにアプローチする方法としては推奨されません。
洗い残しが頭皮環境を悪化させるリスクも伴います。
バナナの持つ髪に良い栄養素は、安全かつ効率的に体内に取り入れるためにも、食品として「食べる」ことが最も合理的であり、健康な髪を育むための基本であると言えます。
よくある質問
- 毎日食べても大丈夫ですか?
-
バナナは栄養価が高いですが、糖質やカロリーも含まれます。1日1本程度を目安にし、他の食事全体のバランスを考えて取り入れるのであれば、基本的に毎日食べても問題ありません。
ただし、持病などで食事制限がある場合は、医師や管理栄養士に相談してください。
- バナナを食べれば髪は生えてきますか?
-
いいえ、バナナを食べること自体が発毛剤のような直接的な効果を持つわけではありません。
バナナに含まれるビオチンやビタミンB群、ミネラルなどは、あくまで健康な髪が育つための「頭皮環境の維持」や「髪の材料補給」をサポートする役割です。
育毛には、バランスの取れた食事、適切な睡眠、ストレス管理、そして必要に応じた専門的なケアが重要です。
- 皮にも栄養がありますか?
-
バナナの皮には、実以上に食物繊維やポリフェノール、トリプトファンなどが含まれているとされています。
しかし、皮は硬く、渋みもあり、農薬の残留なども懸念されるため、一般的に食べるのには適していません。
無理に皮を食べようとせず、安全に実の部分から栄養を摂取することをおすすめします。
- 青いバナナと熟したバナナ、どちらが良いですか?
-
栄養素の構成が少し異なります。青い(未熟な)バナナには「レジスタントスターチ」という難消化性でんぷんが多く、腸内環境を整えるのに役立ちます。
一方、熟したバナナ(シュガースポットが出たもの)は、レジスタントスターチが糖に変わり甘味が増すとともに、抗酸化作用のあるポリフェノールの量が増加すると言われています。
髪の健康という観点では、抗酸化を期待するなら熟したバナナ、腸内環境から頭皮を考えるなら青めのバナナ、と目的によって選ぶこともできますが、どちらも髪に必要な基本栄養素は含んでいます。
Reference
TRÜEB, Ralph M. Value of nutrition-based therapies for hair growth, color, and quality. In: Nutrition for Healthy Hair: Guide to Understanding and Proper Practice. Cham: Springer International Publishing, 2020. p. 225-255.
RAJENDRASINGH, Rajesh Rajput. Nutritional correction for hair loss, thinning of hair, and achieving new hair regrowth. In: Practical Aspects of Hair Transplantation in Asians. Tokyo: Springer Japan, 2017. p. 667-685.
TRÜEB, Ralph M. Safety and Efficacy of Nutrition-Based Interventions for Hair. In: Nutrition for Healthy Hair: Guide to Understanding and Proper Practice. Cham: Springer International Publishing, 2020. p. 257-288.
KANNAN, Suganya; BALAKRISHNAN, Jeyakumar; NAGARAJAN, Prithiviraj. Vitamin B7 (Biotin) and its role in hair, skin and nail health. In: Hydrophilic Vitamins in Health and Disease. Cham: Springer International Publishing, 2024. p. 233-252.
GUPTA, Dolly; BARUA, Shyamanta. Role of Diet in Hair Loss. IADVL Textbook of Trichology, 2018, 363.
TRÜEB, Ralph M. Nutritional disorders of the hair and their management. In: Nutrition for Healthy Hair: Guide to Understanding and Proper Practice. Cham: Springer International Publishing, 2020. p. 111-223.
VARMA, Kshitij S., et al. Vitamins as Nutraceuticals for Baldness. In: Preventive and Therapeutic Role of Vitamins as Nutraceuticals. Apple Academic Press, 2024. p. 211-233.
TRÜEB, Ralph M. The hair cycle and its relation to nutrition. In: Nutrition for Healthy Hair: Guide to Understanding and Proper Practice. Cham: Springer International Publishing, 2020. p. 37-109.
HANEKE, E.; BARAN, Robert. Micronutrients for hair and nails. In: Nutrition for healthy skin: Strategies for Clinical and Cosmetic Practice. Berlin, Heidelberg: Springer Berlin Heidelberg, 2010. p. 149-163.

