40代男性がすべき薄毛対策とは?原因(AGA・生活習慣)と効果的なセルフケア

40代男性がすべき薄毛対策とは?原因(AGA・生活習慣)と効果的なセルフケア

40代に入り、ふと鏡を見たとき「以前より髪が薄くなったかも?」と感じる男性は少なくありません。

仕事や家庭で責任が増す一方、体の変化も現れやすいこの時期、薄毛の悩みは想像以上に気になるものです。

この記事では、40代男性の薄毛の主な原因であるAGAや生活習慣の影響を解説し、今すぐ始められる効果的なセルフケア方法を具体的にお伝えします。

なぜ薄毛が進行するのかを理解し、自分に合った正しい対策を知ることで、将来への不安を和らげることができます。

手遅れになる前に対策を始めることが、健やかな髪を維持するために重要です。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

40代で薄毛が目立ち始める主な理由

40代で薄毛が目立つようになる背景には、AGA(男性型脱毛症)の進行や、長年にわたる生活習慣の乱れが頭皮環境に影響を与えることが深く関係しています。

AGA(男性型脱毛症)の進行

40代は、AGA(男性型脱毛症)の影響が目に見えて現れやすい年代です。

AGAは、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)が毛根にある受容体と結びつくことで、髪の成長期を短縮させてしまう脱毛症です。

その結果、髪が太く長く成長する前に抜け落ちてしまい、徐々に薄毛が進行します。このDHTの影響を受けやすいかどうかは、遺伝的な要因が関わっているとされています。

30代までは気にならなかった人でも、40代になるとその進行が顕著になるケースが多く見られます。

生活習慣の乱れの影響

20代や30代の頃からの不規則な生活、偏った食生活、慢性的な睡眠不足といった生活習慣の乱れが、40代になって頭皮環境や髪の健康に悪影響として現れます。

特に40代は、職場での責任が増したり、家庭での役割が大きくなったりと、精神的なストレスが増大しやすい時期です。

過度なストレスは自律神経のバランスを崩し、頭皮の血行不良を招く一因となります。血流が悪くなると、髪の成長に必要な栄養素が毛根まで届きにくくなり、薄毛を助長する可能性があります。

頭皮環境の悪化

加齢に伴い、頭皮も肌と同じように変化します。皮脂の分泌バランスが崩れやすくなり、乾燥しやすくなったり、逆に皮脂が過剰になったりすることがあります。

また、毎日のヘアケアが適切でない場合も問題です。

例えば、洗浄力が強すぎるシャンプーで必要な皮脂まで洗い流してしまったり、逆にすすぎが不十分でシャンプー剤が残っていたりすると、頭皮にダメージが蓄積します。

こうした頭皮環境の悪化が、健康な髪の育成を妨げることにつながります。

40代男性の薄毛進行パターン

AGAによる薄毛の進行には、いくつかの典型的なパターンがあります。自分がどのタイプに当てはまるかを知ることは、対策を考える上で参考になります。

  • M字型:額の生え際、特に両サイド(そりこみ部分)から後退していくタイプ。
  • O字型:頭頂部(つむじ周辺)から円形に薄くなっていくタイプ。自分では気づきにくいこともあります。
  • U字型:M字型とO字型が同時に進行し、最終的に側頭部と後頭部の髪だけが残るタイプ。

AGA(男性型脱毛症)を深く理解する

薄毛対策を考える上で、AGA(男性型脱毛症)は避けて通れない要因です。これは進行性の脱毛症であり、その特徴を正しく知ることが、適切な対策への第一歩となります。

AGAとは何か?

AGAは「AndrogeneticAlopecia」の略で、日本語では「男性型脱毛症」と呼ばれます。

成人男性に見られる薄毛の最も一般的な原因であり、日本人男性の約3人に1人が何らかの形でAGAを発症するとも言われています。

思春期以降に発症し、徐々に進行するのが特徴です。遺伝的要因と男性ホルモンの影響が主な原因とされています。

AGAを引き起こすホルモン

AGAの直接的な引き金となるのは、DHT(ジヒドロテストステロン)という強力な男性ホルモンです。

これは、男性ホルモンであるテストステロンが「5αリダクターゼ」という酵素の働きによって変換されて生成されます。

生成されたDHTが、毛根にある毛乳頭細胞の受容体(アンドロゲンレセプター)と結合すると、毛母細胞の増殖が抑制されます。

その結果、髪の毛の「成長期」が通常よりも大幅に短縮され、髪が十分に育たないまま「退行期」「休止期」へと移行し、細く短い毛(軟毛)が増え、抜け毛が目立つようになります。

AGAの進行度合い(ハミルトン・ノーウッド分類)

AGAの進行度合いを示す分類法として、「ハミルトン・ノーウッド分類」が国際的に広く用いられています。これは薄毛のパターンと進行度をI型からVII型までのステージで示したものです。

自分の状態がどのステージにあるかを客観的に把握する目安として役立ちます。

ハミルトン・ノーウッド分類の主なパターン

この分類では、生え際の後退(M字)と頭頂部の薄毛(O字)の進行度合いでステージが分けられます。 I型は薄毛が始まっていない状態、II型で生え際がわずかに後退し始めます。

III型になると、多くの方が「薄くなってきた」と自覚し始め、M字部分の後退がはっきりします。IV型、V型と進むにつれて、生え際の後退と頭頂部の薄毛がさらに進行・拡大します。

40代の男性では、このIII型からV型に該当する方が増え始める傾向にあります。VI型、VII型は、薄毛がかなり進行した状態を示します。

AGAはセルフケアだけで改善する?

AGAは進行性の脱毛症であるため、残念ながら食生活の改善やヘアケアといったセルフケア「だけ」で、薄毛が劇的に改善したり、完治したりすることは難しいのが現実です。

セルフケアの主な目的は、AGAの進行を少しでも緩やかにすること、そして髪が育ちやすい健やかな頭皮環境を維持することにあります。

AGAの進行を根本的に抑えたり、発毛を促したりするためには、ミノキシジルやフィナステリドといった医薬品成分を用いた専門的なアプローチが必要となる場合があります。

薄毛を加速させる40代の生活習慣

日々の何気ない習慣が、知らず知らずのうちに頭皮や髪にダメージを与え、薄毛の進行を早めている可能性があります。

特に40代は、これまでの生活習慣の蓄積が体に現れやすい時期です。

食生活の偏りと栄養不足

髪の毛の主成分は「ケラチン」というタンパク質です。日々の食事で良質なタンパク質が不足していると、健康な髪を作るための材料が足りなくなってしまいます。

また、40代男性は外食や脂質の多い食事(揚げ物、ジャンクフード、脂身の多い肉など)が増えがちです。脂質の過剰摂取は、皮脂の分泌を増やし、頭皮環境を悪化させる原因になります。

さらに、髪の成長にはビタミンやミネラル(特に亜鉛)が不可欠ですが、偏った食事ではこれらも不足しがちです。

髪の健康に必要な栄養素

栄養素髪への役割主な食材
タンパク質髪の主成分(ケラチン)となる肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
亜鉛タンパク質(ケラチン)の合成を助ける牡蠣、レバー、牛肉(赤身)、チーズ
ビタミンB群頭皮の新陳代謝を促し、皮脂バランスを整える豚肉、レバー、マグロ、カツオ、納豆

睡眠不足と成長ホルモン

髪の毛は、毛母細胞が分裂・増殖することで成長します。この細胞分裂を促すのが「成長ホルモン」です。成長ホルモンは、主に睡眠中に多く分泌されます。

特に、入眠後の最初の深い眠り(ノンレム睡眠)の間に活発に分泌されると言われています。40代は仕事の多忙さや付き合いなどで睡眠時間が不規則になったり、短くなったりしがちです。

慢性的な睡眠不足は成長ホルモンの分泌を妨げ、髪の成長や日中に受けた頭皮ダメージの修復が十分に行われなくなる可能性があります。

運動不足による血行不良

デスクワークが中心で、日常生活であまり体を動かさないという40代男性も多いのではないでしょうか。運動不足は、全身の血行を悪化させる大きな要因です。

心臓から送られた血液は、体の隅々、もちろん頭皮にも酸素と栄養を届けています。

血行が悪くなると、頭皮にある毛細血管まで十分な血液が行き渡らず、毛根が必要とする栄養素を受け取れなくなってしまいます。

適度な運動は、血行を促進するだけでなく、薄毛の原因ともなるストレスの解消にも役立ちます。

喫煙と飲酒の影響

喫煙は、薄毛対策において大きな障害となります。タバコに含まれるニコチンには、血管を強力に収縮させる作用があります。このため、頭皮の毛細血管が細くなり、血流が著しく悪化します。

その結果、髪の成長に必要な栄養や酸素が毛根に届きにくくなります。一方、過度な飲酒も問題です。

アルコールを体内で分解する際には、ビタミンB群やアミノ酸といった栄養素が大量に消費されます。

これらは髪の健康にも必要な栄養素であるため、過度な飲酒が続くと、髪へ回るはずの栄養が不足してしまう可能性があります。

今日から始めるべき食生活の改善

健康な髪を育む土台は、毎日の食事から作られます。外食やコンビニ食が多くなりがちな40代男性が、薄毛対策として意識すべき栄養バランスのポイントを解説します。

タンパク質を意識して摂取する

前述の通り、髪の約90%はケラチンというタンパク質でできています。そのため、タンパク質は健康な髪を育てる上で最も重要な栄養素です。

肉や魚、卵などの動物性タンパク質と、大豆製品などの植物性タンパク質をバランスよく摂取することが理想です。

40代男性の場合、体重1kgあたり1.0g〜1.2g程度(例:体重70kgなら70g〜84g)のタンパク質を1日に摂取することが目安とされています。

脂身の多い肉は避け、鶏むね肉やささみ、白身魚、豆腐、納豆などを上手に取り入れましょう。

ビタミンとミネラルの重要性

タンパク質だけを摂っていても、それを効率よく髪に変えることはできません。ビタミンやミネラルは、タンパク質の代謝を助けたり、頭皮環境を整えたりする重要な役割を担っています。

特に、頭皮の新陳代謝を促すビタミンA、皮脂の分泌をコントロールし血行を促進するビタミンB群、強い抗酸化作用で頭皮の老化を防ぎ血流を改善するビタミンEは重要です。

また、ミネラルの中では、亜鉛が髪のケラチンの合成に必須です。

薄毛対策で注目したいビタミン・ミネラル

栄養素期待される効果多く含む食品
ビタミンA頭皮のターンオーバー(新陳代謝)を正常化するレバー、うなぎ、緑黄色野菜(人参、ほうれん草)
ビタミンE血行促進、抗酸化作用による頭皮の老化防止ナッツ類、アボカド、植物油(オリーブオイルなど)
イソフラボン(大豆製品)AGAの原因DHTを抑制する可能性納豆、豆腐、豆乳

脂質の多い食事を控える

脂質の多い食事は、血液中の中性脂肪やコレステロールを増やし、血液をドロドロにする可能性があります。これは全身の血行不良につながり、当然、頭皮への血流にも悪影響を与えます。

また、動物性脂肪の過剰摂取は皮脂の過剰分泌を招き、毛穴の詰まりや炎症(脂漏性皮膚炎など)を引き起こす原因ともなります。

揚げ物やスナック菓子、脂身の多い肉、バターや生クリームを多く使った洋食は控えめにすることが賢明です。

ただし、脂質を完全に断つのではなく、青魚に含まれるDHA・EPAや、オリーブオイル、アマニ油といった良質な脂質(不飽和脂肪酸)を適度に摂ることは健康維持に役立ちます。

食事で注意すべきその他の点

最近は糖質制限が話題になることもありますが、過度な糖質制限は注意が必要です。糖質は体を動かす主要なエネルギー源であり、不足すると体はタンパク質を分解してエネルギー源にしようとします。

その結果、髪の材料となるタンパク質が不足する可能性があります。大切なのは「バランス」です。

ご飯やパンなどの主食、肉や魚などの主菜、野菜や海藻などの副菜を揃えた、伝統的な和食中心の食生活が薄毛対策にも理想的と言えます。

また、よく噛んで食べることは、消化吸収を高めるだけでなく、満腹中枢を刺激して食べ過ぎを防ぐ効果も期待できます。

頭皮環境を整える正しいヘアケア

毎日のシャンプー方法を見直すだけで、頭皮環境は大きく改善できる可能性があります。40代男性が陥りがちな間違ったケアと、今日から実践できる正しいケア方法を紹介します。

シャンプー選びのポイント

40代の頭皮は、乾燥しやすくなる方と、逆に皮脂が多くなる方(あるいは混合)に分かれる傾向があります。自分の頭皮タイプに合わないシャンプーを使い続けることは、頭皮トラブルの原因となります。

特に、洗浄力が強力な「高級アルコール系」のシャンプー(市販品に多い)は、必要な皮脂まで奪い去り、頭皮の乾燥やかゆみを引き起こすことがあります。

頭皮の乾燥が気になる方は、洗浄力がマイルドで保湿性のある「アミノ酸系」のシャンプーが適しています。

逆に、皮脂やベタつきが気になる方は、毛穴の汚れをすっきり落とす「スカルプケア(頭皮ケア)」用のシャンプーを選ぶと良いでしょう。

シャンプーの主な洗浄成分比較

成分系洗浄力特徴
高級アルコール系強い泡立ちが非常に良いが、頭皮への刺激は強め。
アミノ酸系マイルド頭皮への刺激が少なく、保湿性がある。洗い上がりがしっとり。
石けん系強い(アルカリ性)さっぱりとした洗い心地だが、髪がきしみやすい場合がある。

正しいシャンプーの手順

正しい手順でシャンプーを行うことは、頭皮を清潔に保ち、毛穴の詰まりを防ぐために非常に重要です。以下の手順を参考に、毎日の習慣を見直してみてください。

  • 1. ブラッシング:シャンプー前に、乾いた髪をブラッシングします。髪のもつれを解き、フケやホコリなどの大きな汚れを浮かび上がらせます。
  • 2. 予洗い(よあらい):シャンプー剤をつける前に、38度程度のぬるま湯で頭皮と髪を1分〜2分ほどしっかりと濡らします。これだけで髪についた汚れの約7割は落ちると言われています。
  • 3. 泡立て:シャンプー剤を適量手に取り、手のひらでしっかりと泡立てます。(あるいは泡立てネットを使います)泡立てずに直接頭皮につけると、すすぎ残しの原因になります。
  • 4. 洗う:泡立てたシャンプーを髪全体になじませ、指の腹(爪を立てない)を使って頭皮をマッサージするように優しく洗います。ゴシゴシと力を入れる必要はありません。
  • 5. すすぎ:シャンプーの工程で最も重要です。シャンプー剤や汚れが頭皮に残らないよう、時間をかけて(洗った時間の2倍程度を目安に)念入りにすすぎます。生え際や耳の後ろは残りやすいので特に注意します。

髪の乾かし方と注意点

髪を洗った後、濡れたまま放置するのは絶対に避けてください。濡れた頭皮は雑菌が繁殖しやすく、かゆみやニオイの原因となります。

また、髪のキューティクルが開いた状態なので、ダメージを受けやすくなります。シャンプー後は、まず清潔なタオルで髪を挟み込むようにして、優しく水分を吸い取ります(タオルドライ)。

ゴシゴシと強く擦ると、摩擦で髪が傷むので注意してください。タオルドライの後は、速やかにドライヤーで乾かします。

ドライヤーは頭皮から20cm以上離し、同じ場所に熱が集中しないように小刻みに動かしながら、髪の根元から乾かしていきます。

全体が8割ほど乾いたら、最後に冷風を当てて仕上げると、開いたキューティクルが引き締まり、髪にツヤが出やすくなります。

頭皮マッサージのすすめ

頭皮マッサージは、硬くなりがちな頭皮をほぐし、血行を促進するのに役立ちます。血流が改善すれば、毛根に栄養が届きやすくなります。

シャンプー中や、お風呂上がりの清潔な頭皮に育毛剤を塗布した際に行うのが効果的です。

指の腹を頭皮に密着させ、頭皮全体を掴んで動かすようなイメージで、下から上へ、ゆっくりと円を描くように揉みほぐします。

爪を立てたり、強く擦ったりしないよう注意しましょう。毎日数分でも続けることが大切です。

生活習慣のトータルな見直し

薄毛対策は、ヘアケアや食事の改善だけでなく、睡眠、運動、ストレス管理といった生活全体を総合的に見直すことが、健やかな髪を育むための鍵となります。

質の高い睡眠を確保する

髪の成長を促す「成長ホルモン」は、主に深い睡眠中に分泌されます。

かつては「夜22時~深夜2時のゴールデンタイム」と言われていましたが、現在では時間帯そのものよりも「入眠後、最初の約3時間」に訪れる深いノンレム睡眠が最も重要とされています。

40代の男性は、毎日最低でも6時間、できれば7時間程度の睡眠時間を確保するよう努めましょう。また、睡眠の「質」を高めることも大切です。

就寝1〜2時間前に入浴して体を温めたり、就寝前のスマートフォンやパソコン操作を控えたりすることで、スムーズな入眠と深い眠りを得やすくなります。

適度な運動を習慣化する

運動不足は頭皮の血行不良に直結します。全身の血流を良くするためには、適度な運動を習慣化することが効果的です。

激しい運動である必要はなく、週に2〜3回、1回30分程度のウォーキングや軽いジョギング、サイクリングといった「有酸素運動」がおすすめです。

有酸素運動は、全身の血流を促進するだけでなく、心肺機能の向上や、薄毛の一因ともなるストレスの発散にも非常に役立ちます。

エレベーターではなく階段を使う、一駅分歩くなど、日常生活の中でこまめに体を動かす意識も大切です。

ストレスとの上手な付き合い方

40代は仕事上のプレッシャーや家庭内の問題など、多くのストレスにさらされる年代です。ストレスを完全にゼロにすることは現実的ではありません。

重要なのは、ストレスを溜め込まず、上手に発散する方法を見つけることです。過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、交感神経が優位な状態が続きます。

こうした影響で血管が収縮し、頭皮の血行不良を引き起こす可能性があります。

ストレスが髪に与える影響

影響具体的内容
血行不良自律神経の乱れ(交感神経の優位)により血管が収縮し、頭皮に栄養が届きにくくなる。
ホルモンバランスの乱れストレスホルモン(コルチゾールなど)の分泌が、体全体のホルモンバランスに影響を与える可能性。
睡眠の質の低下悩みや不安が原因で寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりし、成長ホルモンの分泌を妨げる。

週末は趣味に没頭する時間を作る、ゆっくりと音楽を聴く、リラックスできるアロマを試すなど、自分が心から休まると感じるリフレッシュ方法を見つけ、意識的に取り入れることが重要です。

育毛剤・発毛剤の活用と専門家への相談

日々のセルフケアを続けても抜け毛が減らない、あるいは薄毛の進行が明らかに感じられる場合は、育毛剤や発毛剤の使用、さらには専門クリニックへの相談も選択肢に入れることが重要です。

育毛剤と発毛剤の違い

「育毛剤」と「発毛剤」は混同されがちですが、その目的と法的な分類が異なります。

育毛剤は、主に「医薬部外品」に分類され、今ある髪を健康に育て、抜け毛を予防し、頭皮環境を整えることを目的としています。

一方、発毛剤は「医薬品」に分類され、AGAの進行を抑えたり、新しい髪を生やしたりする「発毛」効果が認められています。

自分の目的が「予防・現状維持」なのか、「発毛」なのかを明確にして選ぶ必要があります。

育毛剤と発毛剤の比較

項目育毛剤(主に医薬部外品)発毛剤(医薬品)
目的頭皮環境改善、抜け毛予防、育毛促進発毛促進、AGAの進行抑制
主な有効成分例センブリエキス、グリチルリチン酸2Kなどミノキシジル、フィナステリド(※医療用)など
購入場所ドラッグストア、薬局、インターネット通販薬剤師のいる薬局・ドラッグストア、専門クリニック

40代男性の育毛剤選び

40代男性が育毛剤を選ぶ際は、まずご自身の頭皮の状態(乾燥肌か、脂性肌か)や悩みに合わせて選ぶことが基本です。

乾燥が気になるなら保湿成分が豊富なもの、皮脂が気になるなら皮脂抑制成分が含まれたものを選びましょう。

また、AGAによる薄毛が疑われる場合は、AGAの原因である5αリダクターゼの働きを抑制する効果が期待される成分(例:キャピキシル、リデンシル、ノコギリヤシエキスなど、育毛剤に配合される成分)が含まれているかをチェックするのも一つの方法です。

より積極的にAGA対策を行いたい場合は、発毛効果が認められているミノキシジル配合の発毛剤(第1類医薬品)の使用を検討するのも良いでしょう。

セルフケアの限界と専門クリニック

AGAは進行性であるため、食事や睡眠の改善、育毛剤の使用といったセルフケアだけでは、進行を完全に止めるのは難しい場合があります。

もし、半年ほどセルフケアを真剣に続けても抜け毛が減らない、あるいは明らかに薄毛が進行していると感じる場合は、セルフケアの限界かもしれません。

その際は、一人で悩み続けず、AGA治療を専門とするクリニックに相談することを強く推奨します。

専門クリニックでは、医師の診断のもと、AGAの原因であるDHTの生成を抑える内服薬(フィナステリド、デュタステリドなど)や、発毛を強力に促進する高濃度のミノキシジル外用薬など、医療機関でしか処方できない治療を受けることができます。

クリニック治療の選択肢(例)

治療法概要
内服薬治療AGAの原因(DHT)の生成を抑制する薬(フィナステリドやデュタステリド)を毎日服用する。
外用薬治療発毛を促進するミノキシジルを高濃度で配合した塗り薬を頭皮に塗布する。
注入治療髪の成長に必要な成長因子(グロースファクター)などを頭皮に直接注入し、毛根の働きを活性化させる。

早めの対策が鍵

薄毛対策において最も重要なことは、「早めに手を打つ」ことです。

AGAは進行性であり、毛根の細胞が完全に活動を停止してしまう(毛穴が閉じてしまう)と、そこから再び髪を生やすことは非常に困難になります。

毛根がまだ生きているうちに対策を始めることが、将来の髪を守るために何よりも重要です。「まだ大丈夫だろう」「そのうち治るだろう」と放置することが、数年後の大きな後悔につながる可能性があります。

40代は、薄毛対策を本格的に始めるべき、非常に重要な時期なのです。

よくある質問

40代男性の薄毛対策に関して、多くの方が抱く疑問や不安にお答えします。

薄毛は遺伝だから諦めるしかない?

遺伝は薄毛(特にAGA)の大きな要因の一つですが、全てではありません。

AGAの発症しやすさ(男性ホルモンの影響の受けやすさ)は遺伝的影響を強く受けますが、対策を講じることで進行を遅らせたり、症状を改善したりすることは可能です。

生活習慣の改善や適切なヘアケア、そして必要に応じた育毛剤・発毛剤の使用や専門的な治療で、諦めずに取り組むことが大切です。

育毛剤はいつから効果が出ますか?

育毛剤や発毛剤の効果を実感するには、ヘアサイクル(毛周期)の関係上、一般的に最低でも3ヶ月から6ヶ月程度の継続使用が必要です。

髪の毛は1日に約0.3mm〜0.4mmしか伸びませんし、休止期だった毛穴から新しい髪が生え、それが目に見える長さに育つまでには時間がかかります。

すぐに効果が出ないからと1〜2ヶ月で諦めず、根気よく続けることが重要です。

シャンプーは1日に何回すればよいですか?

シャンプーは原則として1日1回、夜に行うのが理想的です。日中に付着した汚れや皮脂をその日のうちにリセットし、頭皮を清潔な状態にして就寝することが、髪の健やかな成長につながります。

朝シャン(朝シャンプーすること)は、寝癖直しには良いかもしれませんが、日中の紫外線や乾燥などから頭皮を守るために必要な最低限の皮脂まで洗い流してしまう可能性があるため、薄毛が気になる方にはあまり推奨されません。

白髪染めは薄毛を悪化させますか?

白髪染めの薬剤が頭皮に合わない場合、かぶれや炎症(接触性皮膚炎)を引き起こし、頭皮環境が悪化して一時的に抜け毛が増える可能性はあります。

しかし、白髪染め自体がAGAを直接進行させるという医学的根拠は現在のところありません。

使用する際は必ずパッチテストを行い、できるだけ頭皮に薬剤がつかないように塗布し、使用後は薬剤が頭皮に残らないよう、しっかり洗い流すことが大切です。

頭皮への刺激が少ない製品を選ぶことも重要です。

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