ビオチンシャンプーは髪の主成分であるケラチンの生成を深くサポートし、頭皮環境を健やかに保つことで、太くコシのある髪を育てる土台を作ります。
多くの人が抱える「髪のボリューム不足」や「ハリ・コシの低下」といった悩みに対し、ビオチン配合のシャンプーは日々のケアで直接的にアプローチできる有用な手段です。
医学的な発毛剤とは異なり、即座に新しい髪を生やすものではありませんが、既存の髪を補強し、これから生えてくる髪が育ちやすい環境を整えるという点で非常に重要な役割を果たします。
本記事ではビオチンシャンプーが具体的にどのようなメリットをもたらすのか、その真の効果と、効果を最大限に引き出すための正しい洗い方、選び方について、専門的な知見を交えて詳しく解説します。
この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック 統括院長
前田 祐助
【経歴】
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設
2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設
資格・所属学会・症例数
【資格】
- 医師免許
- ⽇本医師会認定産業医
- 医学博士
【所属学会】
- 日本内科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本臨床毛髪学会
【症例数】
3万人以上※
※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数
ビオチンシャンプーが頭皮と髪にもたらす本質的なメリット
ビオチンシャンプーを使用することで頭皮の健康状態を底上げし、髪一本一本の強度を高める効果が期待できます。
ビオチンはビタミンB群に属する栄養素であり、髪や皮膚の健康維持に深く関わっています。この成分をシャンプーとして外側から取り入れることは、直接的な頭皮ケアとして非常に理にかなっています。
ここでは、ビオチンが髪の成長サイクルや頭皮環境に対してどのようなプラスの影響を与えるのか、その本質的な価値について掘り下げていきます。
ケラチン合成をサポートし髪の強度を高める
髪の毛の90%以上はケラチンというタンパク質で構成されています。ビオチンはこのケラチンの合成を助ける補酵素として機能します。
日常的にビオチンシャンプーを使用することは、髪の内部構造を強化することに直結します。
細く弱ってしまった髪に対して内側から密度を高めるような働きかけを行うため、切れ毛や枝毛を防ぎ、全体的な髪の耐久性を向上させます。
年齢とともに髪が痩せてきたと感じる場合、それはケラチンの質や量が低下しているサインです。ビオチンを補給することで、髪の芯からしっかりとした強さを取り戻す手助けをします。
頭皮の代謝機能を正常化し土壌を整える
健康な髪は健康な頭皮からしか生まれません。ビオチンには脂質、炭水化物、タンパク質の代謝を円滑にする働きがあります。
頭皮においては過剰な皮脂分泌をコントロールしたり、血行不良による栄養不足を改善したりする助けとなります。
頭皮のターンオーバーが乱れると、フケやかゆみ、炎症といったトラブルが発生しやすくなり、これが抜け毛の原因となります。
ビオチンシャンプーは洗浄しながら頭皮に栄養を行き渡らせることで、代謝機能を正常な状態へと導きます。
まるで農作物を育てるために土壌を耕し、肥料を与えるように、頭皮という土壌を肥沃に保つ役割を果たします。
炎症を抑えて抜け毛のリスクを減らす
ビオチンには抗炎症作用も期待されています。
頭皮が紫外線や乾燥、あるいは整髪料の残りなどで微弱な炎症を起こしていると毛根はダメージを受け、髪を保持する力が弱まります。これが「抜け毛」の大きな要因の一つです。
ビオチンシャンプーを使用することで頭皮の炎症を穏やかに鎮め、毛根がしっかりと髪を支えられる環境を作ります。
特にAGA(男性型脱毛症)を気にする方は頭皮環境が悪化しやすい傾向にあるため、日々の洗髪で炎症ケアを行うことは非常に重要です。
薬用シャンプーほど強い刺激を与えず、自然な形で頭皮を守ることができるのもビオチンシャンプーの利点です。
ビオチンと他の成分の役割比較
| 成分カテゴリー | 主な役割と特徴 | 期待できる髪への影響 |
|---|---|---|
| ビオチン(ビタミンB7) | ケラチン合成の補酵素、代謝促進 | 髪の太さ・コシの強化、頭皮環境の正常化 |
| アミノ酸系洗浄成分 | 穏やかな洗浄、保湿 | 頭皮の乾燥防止、ダメージヘアの保護 |
| ケラチン・パンテノール | ダメージ補修、表面保護 | 手触りの改善、ツヤ感の向上 |
「発毛効果」と「育毛効果」の正しい理解とビオチンの立ち位置
ビオチンシャンプーは、今ある髪を健やかに保つ「育毛」の観点で非常に優れた効果を発揮します。
多くの人が混同しがちな「発毛」と「育毛」の違いを明確に理解することは、適切なケアを選択するために大切です。
ビオチンシャンプーは医薬品のように休止期の毛根から強制的に発毛させるものではありませんが、成長期の髪を太く長く育てるサポートを強力に行います。
このセクションでは、ビオチンシャンプーが担う役割の範囲と、実際の見た目の変化について解説します。
医学的な発毛と化粧品的な育毛の違い
医学的な「発毛」とは、ミノキシジルなどの成分を用いて、活動を停止している毛母細胞に直接働きかけ、新しい毛を生やすことを指します。
一方でビオチンシャンプーが担うのは「育毛」および「養毛」の領域です。
これは、現在生えている髪や、これから生えてこようとする産毛に対して栄養を与え、抜けにくく丈夫な状態へ導くことを意味します。
ビオチンシャンプーを使っても、完全に死滅した毛根から髪が蘇るわけではありません。しかし、弱々しくすぐに抜けてしまう毛を太く長く成長させることで、全体的な毛量を増やして見せる効果は十分に期待できます。
多くの薄毛の悩みは本数が減ること以上に、一本一本が細くなる「軟毛化」によるものです。ビオチンシャンプーはこの軟毛化に対抗する手段として有効です。
髪のハリとコシがアップすることによるボリューム感の増大
ビオチンシャンプーを使用し続けると、多くのユーザーが最初に感じる変化が「髪の立ち上がり」です。
ビオチンが髪の内部に浸透し、コルテックス(毛皮質)の密度が高まることで、髪にハリとコシが生まれます。
根元から髪がふんわりと立ち上がるようになると物理的な毛髪本数が変わらなくても、見た目のボリューム感は劇的に向上します。
ペタンと寝てしまう髪は頭皮を透けて見えやすくさせ、薄毛の印象を強めてしまいます。ビオチンシャンプーで髪に弾力を与えることは、即効性のある視覚的な薄毛対策として非常に価値があります。
ヘアサイクルの乱れを整えるサポート機能
髪には「成長期」「退行期」「休止期」というヘアサイクルがあります。薄毛や抜け毛が進行している状態では、この成長期が短縮され、髪が十分に育つ前に抜けてしまっています。
ビオチンシャンプーによる頭皮環境の改善と栄養補給は、このヘアサイクルを正常なリズムに戻す手助けをします。
頭皮の血行が良くなり、必要な栄養が毛乳頭に届くようになれば、髪は成長期を長く維持できるようになります。結果として、抜け毛の本数が減り、頭髪全体の密度が保たれるようになります。
ビオチンシャンプーは直接細胞分裂を促すわけではありませんが、髪が本来持っている「育つ力」を最大限に引き出す環境コンディショナーとしての役割を果たします。
育毛ケアにおけるアプローチの違い
| ケアの方法 | 主な目的 | ビオチンシャンプーとの併用 |
|---|---|---|
| 発毛剤(医薬品) | 新しい髪を生やす | 相乗効果が高い(土台作りとして推奨) |
| 育毛トニック | 血行促進、栄養補給 | 有効(洗髪後の清潔な頭皮に使用) |
| サプリメント | 内側からの栄養補給 | 非常に有効(内外からのWケア) |
効果を実感できるビオチンシャンプーの選び方
市場には数多くのビオチン配合シャンプーが存在しますが、その品質は千差万別です。成分表示を正しく読み解き、自分の頭皮状態に合ったものを選ぶ必要があります。
単に「ビオチン配合」と書かれているだけでなく、洗浄成分の質や、その他の有効成分とのバランスを見極めることが重要です。安価な製品の中には、洗浄力が強すぎて逆に頭皮を痛めてしまうものも存在します。
ここでは、本当に効果を実感できるシャンプーを見つけるための具体的な選定基準を解説します。
洗浄成分はアミノ酸系を選ぶことが大切
シャンプー選びにおいて最も重要なのは、ビオチンの有無以前に「洗浄成分(界面活性剤)」の種類です。ビオチンの効果を活かすためには、アミノ酸系洗浄成分をベースにしたシャンプーを選ぶ必要があります。
高級アルコール系(ラウレス硫酸ナトリウムなど)の洗浄成分は、脱脂力が強すぎて頭皮に必要な皮脂まで洗い流してしまい、乾燥や過剰な皮脂分泌を招く恐れがあります。これでは本末転倒です。
「ココイルグルタミン酸」「ラウロイルメチルアラニン」などのアミノ酸系成分は頭皮と同じ弱酸性で、汚れだけを落としつつ潤いを残します。
頭皮への負担を最小限に抑えることで、ビオチンが浸透しやすい健やかな状態を作ることができます。
ビオチンの配合濃度と浸透技術を確認する
成分表示は配合量の多い順に記載されるルールがあります。
ビオチンが成分表示のあまりにも後ろの方に記載されている場合、その配合量はごく微量である可能性があります。可能な限り、成分表の前半から中盤に記載されているものを選ぶと良いでしょう。
また、メーカーによってはビオチンを頭皮の奥まで届けるための独自の浸透技術(ナノ化、カプセル化など)を採用している場合があります。
通常のビオチンは水溶性で洗い流されやすいため、頭皮に留まりやすい処方がなされているかどうかを確認することも、効果実感の分かれ道となります。
パッケージや公式サイトの説明文で、デリバリーシステムについての言及がある製品は信頼性が高いと言えます。
相乗効果を生むサポート成分の有無をチェック
ビオチン単体でも効果はありますが、他の有効成分と組み合わせることで、より高い育毛効果を期待できます。
例えば、「センブリエキス」や「オタネニンジンエキス」などの血行促進成分が含まれていると、ビオチンの栄養が毛根に届きやすくなります。
また、「ケラチン」や「ヘマチン」といった補修成分が含まれていれば、髪の強度がさらに増します。頭皮の乾燥が気になる場合は「セラミド」や「ヒアルロン酸」などの保湿成分も重要です。
自分の悩みに合わせて、ビオチン+αの成分構成になっているシャンプーを選ぶことで、多角的なヘアケアが可能になります。
代表的な洗浄成分の特性
| 成分名(表示例) | 洗浄力 | 頭皮への刺激 |
|---|---|---|
| ラウレス硫酸Na | 非常に強い | 強い(乾燥しやすい) |
| オレフィン(C14-16)スルホン酸Na | 強い | やや強い |
| ココイルグルタミン酸TEA | マイルド | 弱い(保湿効果あり) |
発毛環境を整えるための正しい洗髪手順
どれほど優れたビオチンシャンプーを使っていても、使い方が間違っていればその効果は半減してしまいます。
正しい洗髪は単に汚れを落とすだけでなく、頭皮のマッサージ効果による血行促進や、成分の浸透を助ける重要なケアタイムです。
多くの男性は自己流のゴシゴシ洗いをしてしまいがちですが、それは頭皮を傷つける原因になります。
ここでは、ビオチンシャンプーのポテンシャルを最大限に引き出すためのプロフェッショナルな洗髪メソッドを伝授します。
予洗いで汚れの8割を落とす意識を持つ
シャンプー剤をつける前の「予洗い」が、洗髪の質を決定づけます。
38度前後のぬるま湯で、2分から3分かけてしっかりと頭皮と髪をすすぎます。この段階で髪に付着したほこりや整髪料、水溶性の汚れの大半は落ちます。
また、頭皮を十分に温めて毛穴を開かせることで、その後のシャンプーの泡立ちが良くなり、毛穴の奥の皮脂汚れが浮き上がりやすくなります。熱すぎるお湯は頭皮の乾燥を招くため避けてください。
予洗いを徹底することで少量のシャンプーでも濃密な泡を作ることができ、摩擦ダメージを減らすことができます。
頭皮で泡立てず手で泡立ててから乗せる
シャンプー液を直接頭皮につけて泡立てるのは厳禁です。原液が頭皮に付着すると刺激が強く、すすぎ残しの原因にもなります。
必ず手のひらで適量のシャンプーとお湯を混ぜ、空気を含ませるようにして十分に泡立ててから頭皮に乗せてください。
泡立てネットを使用するのも良い方法です。キメの細かい泡は髪同士の摩擦を防ぐクッションの役割を果たし、毛穴の奥まで入り込んで汚れを吸着します。
ビオチン成分を頭皮全体に行き渡らせるためにも、まずは泡で頭皮を包み込むイメージを持つことが大切です。
指の腹を使い頭皮を動かすようにマッサージする
洗う際は爪を立てずに指の腹を使います。髪を洗うのではなく、「頭皮を洗う」意識を持ってください。指の腹を頭皮に密着させ、頭皮そのものを動かすように揉み込みながら洗います。
こめかみから頭頂部へ、襟足から後頭部へと下から上へ向かってマッサージを行うことで、リフトアップ効果と共に血行が促進されます。
このマッサージアクションによって、ビオチンをはじめとする有効成分が毛根付近まで届きやすくなります。
ゴシゴシと擦るのではなく、頭皮のコリをほぐすように優しく丁寧に扱うことが、発毛環境を整える鍵となります。
すすぎは洗う時間の倍の時間をかける
洗髪において最も重要なのが「すすぎ」です。せっかく汚れを浮かせても、シャンプー成分が頭皮に残っていてはそれが酸化して過酸化脂質となり、炎症や抜け毛の原因になります。
洗うのにかけた時間の倍、あるいは3分以上を目安に、ぬるま湯で徹底的にすすぎます。特に耳の後ろ、襟足、生え際はすすぎ残しが多いゾーンです。
ヌルヌル感がなくなったからといって安心せず、指を通しながら頭皮にお湯を行き渡らせてください。完全に洗い流すことで頭皮は清潔な状態になり、その後に使用する育毛剤などの浸透も良くなります。
生活習慣との組み合わせで効果を最大化する
ビオチンシャンプーは外部からのアプローチですが、髪は血液から運ばれる栄養で作られています。つまり体の内側からのケアと組み合わせることで、その効果は何倍にも膨れ上がります。
不規則な生活や偏った食事は、どんなに良いシャンプーを使っていてもその効果を打ち消してしまいます。
ビオチンシャンプーの効果を底上げし、本気で髪を変えていくために必要な生活習慣の改善ポイントについて解説します。
食事やサプリメントで内側からもビオチンを摂取する
ビオチンは水溶性ビタミンであり、体内に長時間留めておくことができません。そのため、毎日の食事やサプリメントでこまめに摂取することが大切です。
レバー、卵黄、ナッツ類、大豆製品などはビオチンを多く含みます。シャンプーで外側から、食事で内側からビオチンを供給することで、身体の中と外の両面からケラチン合成を強力にバックアップできます。
また、髪の主成分であるタンパク質や、細胞分裂に不可欠な亜鉛も意識して摂取してください。バランスの取れた栄養摂取は、ビオチンシャンプーの効果を実感するための基礎体力のようなものです。
睡眠の質を高め成長ホルモンの分泌を促す
髪の成長に欠かせない成長ホルモンは睡眠中に最も多く分泌されます。
特に午後10時から午前2時の間は「髪のゴールデンタイム」とも呼ばれていましたが、現在では入眠直後の深い眠り(ノンレム睡眠)の間に多く分泌されることが分かっています。
質の高い睡眠を確保することは昼間に受けた頭皮や髪のダメージを修復し、新しい髪を作るために重要です。
寝る直前のスマートフォンの使用を控える、入浴して体温を上げてから寝るなど、副交感神経を優位にしてリラックスした状態で眠りにつく習慣をつけてください。
ストレスを管理し血管の収縮を防ぐ
強いストレスを感じると自律神経の交感神経が優位になり、血管が収縮します。頭皮の毛細血管は非常に細いため、血流が悪くなると真っ先に栄養が届かなくなります。
これではビオチンシャンプーで頭皮環境を整えても、肝心の栄養が運ばれてきません。
適度な運動や趣味の時間を持つなど自分なりのストレス解消法を見つけることは、育毛において非常に大切です。
また、喫煙も血管を収縮させる大きな要因ですので、髪のことを考えるならば控えることが望ましいです。
ビオチンを多く含む食品群
| 食品カテゴリー | 具体的な食材例 | 食事への取り入れやすさ |
|---|---|---|
| 肉類・内臓 | 鶏レバー、豚レバー | 週に数回のメイン料理として |
| 卵・豆類 | 卵黄、納豆、豆腐 | 毎日の朝食などで手軽に摂取 |
| 種実類 | アーモンド、ピーナッツ | 間食やおつまみとして最適 |
ビオチンシャンプーに関する誤解と真実
ビオチンシャンプーに対する期待が大きい分、インターネット上には様々な噂や誤解も飛び交っています。「使えばすぐに生える」「誰にでも効く」といった過度な期待は、結果として失望を招くことになります。
正しい知識を持つことは、長く継続してケアを行うためのモチベーション維持につながります。ここでは、よくある誤解を解き、ビオチンシャンプーの実力と限界について冷静な視点を提供します。
即効性を期待しすぎないことが継続の鍵
多くの人が陥る誤解の一つが「即効性」です。髪は1ヶ月に約1cmしか伸びません。
ビオチンシャンプーによって頭皮環境が改善され、丈夫な髪が作られ始めたとしても、それが目に見える変化として現れるまでには最低でも3ヶ月から半年程度の期間が必要です。
使い始めて数週間で「効果がない」と判断してやめてしまうのは非常に勿体ないことです。
頭皮ケアはマラソンのようなものであり、日々の積み重ねが数ヶ月後の髪質を決定します。長期的な視点を持ち、じっくりと腰を据えて取り組む姿勢が大切です。
遺伝的なAGAをシャンプーだけで完治はできない
AGA(男性型脱毛症)は男性ホルモンや遺伝が深く関与している進行性の症状です。
ビオチンシャンプーは頭皮環境を整え、髪を太くするサポートはできますが、AGAの根本原因であるホルモンの働きを直接阻害する力はありません。
AGAの進行を食い止めるためには、フィナステリドやデュタステリドといった医薬品の服用が第一選択となります。
ビオチンシャンプーは、これら医薬品による治療の「補助」として、または治療を行う土台作りとして最高のパフォーマンスを発揮します。
シャンプー単体でAGAが完治するという幻想は捨て、適切な医療機関での治療と併用することを強くお勧めします。
副作用の心配が少なく誰でも使いやすい
医薬品の発毛剤には動悸やかゆみ、多毛症といった副作用のリスクが伴うことがありますが、ビオチンシャンプーは化粧品(または医薬部外品)であり、重篤な副作用の心配はほとんどありません。
ビオチン自体は水溶性ビタミンであり、過剰に摂取しても体外に排出されるため安全性が高い成分です。
敏感肌の方や、副作用が心配で医薬品の使用をためらっている方でも、安心して日常のケアに取り入れることができます。
ただし、植物エキスなどの天然成分にアレルギーがある場合は使用前にパッチテストを行うか、全成分表示を確認してください。
髪に良い習慣チェックリスト
- 入浴後はすぐにドライヤーで乾かし雑菌の繁殖を防ぐ
- 紫外線対策として帽子や日傘を活用し頭皮を守る
ビオチンシャンプー使用時の注意点とトラブル回避
どんなに良い製品でも、自分の肌に合わなければトラブルの原因になります。また、保管方法や使用期限を守ることも品質維持のために重要です。
ビオチンシャンプーを安全かつ効果的に使い続けるために知っておくべき、細かな注意点について解説します。トラブルを未然に防ぎ、快適なヘアケアライフを送るための指針としてください。
かゆみや赤みが出た場合の対処法
ビオチンシャンプーを使用して、もし頭皮にかゆみ、赤み、湿疹などの異常が現れた場合は直ちに使用を中止してください。これは好転反応ではなく、接触性皮膚炎やアレルギー反応である可能性が高いです。
無理に使い続けると炎症が悪化し、かえって抜け毛を増やす原因になります。使用を中止し、水またはぬるま湯で十分に洗い流した後、症状が治まらない場合は皮膚科専門医に相談してください。
新しいシャンプーに変える際は、体調が良い時に使い始めることも、肌トラブルのリスクを減らすコツです。
シリコン入りとノンシリコンの使い分け
ビオチンシャンプーにはシリコンが配合されているものと、そうでないもの(ノンシリコン)があります。
シリコンは髪をコーティングして指通りを良くする成分ですが、「毛穴に詰まる」という説は現在では否定されています。
しかし、ボリュームアップを目指す場合、シリコンの重みで髪が寝てしまうことがあるため、ふんわりとした仕上がりを好むならノンシリコンタイプが適しています。
一方で、髪のダメージが激しく絡まりやすい場合は、シリコン入りの方が物理的な摩擦ダメージを防げる場合もあります。自分の髪質や好みの仕上がりに合わせて選ぶことが大切です。
継続できる価格帯のものを選ぶ重要性
ビオチンシャンプーは高価なものが優れているとは限りません。もちろん、高品質な成分を使えば価格は上がりますが、無理をして高いシャンプーを買い、ちびちびと少量ずつ使っていては効果が得られません。
また、1本使い切ったところで経済的な理由でやめてしまっては意味がありません。シャンプーは毎日使う消耗品です。
自分が無理なく毎月継続して購入できる価格帯の中で成分内容が優れたものを選ぶことが、長くケアを続けるための現実的な戦略です。
シャンプー切り替え時のポイント
| チェック項目 | 判断の目安 | アクション |
|---|---|---|
| 使用感の確認 | 1週間程度 | きしみや絡まりがないか確認 |
| 頭皮状態の観察 | 2週間〜1ヶ月 | フケやかゆみ、べたつきの変化 |
| 髪質の変化 | 3ヶ月以上 | ハリ・コシ・太さの実感 |
ビオチンシャンプーに関するよくある質問
ビオチンシャンプーに関して、ユーザーから頻繁に寄せられる疑問について回答します。日々のケアの中で生じる小さな不安を解消し、自信を持って使い続けるための参考にしてください。
- 毎日使用しても問題ありませんか?
-
はい、基本的には毎日使用して問題ありません。ビオチンシャンプーは日常的な頭皮ケアを目的として作られています。
ただし、極端に乾燥肌の方や冬場で頭皮の乾燥が気になる場合は2日に1回にするか、より保湿力の高いタイプを選ぶなどの調整を行ってください。
重要なのは常に頭皮を清潔かつ潤った状態に保つことです。
- 女性が使用しても効果はありますか?
-
はい、女性にも同様の効果が期待できます。女性の薄毛(FAGAなど)も髪の軟毛化や頭皮環境の悪化が大きな要因です。
ビオチンによるケラチン合成のサポートや、髪にハリ・コシを与える効果は、性別に関係なく有効です。
女性向けの香りの良い製品も多く販売されていますので、成分を確認して選んでみてください。
- コンディショナーもビオチン入りを使うべきですか?
-
可能であれば、同じラインのビオチン入りコンディショナーやトリートメントを併用することをお勧めします。
メーカーはシャンプーとトリートメントをセットで使用した際に、質感や効果が最大になるように設計しています。
ライン使いすることで香りの統一感も生まれ、ケアの満足度が高まりますが、必須ではありません。
- 整髪料をたくさんつけた日も同じ洗い方で良いですか?
-
ワックスやスプレーなどの整髪料を多用した日は、一度のシャンプーでは汚れが落ちきらないことがあります。
その場合は予洗いを通常より念入りに行い、少量のシャンプーで軽く整髪料を洗い流してから、2回目のシャンプーで本格的に頭皮を洗う「二度洗い」を推奨します。
無理に一度で落とそうとしてゴシゴシ洗うのは避けてください。
参考文献
GARRE, A., et al. Efficacy and safety of a new topical hair loss-Lotion containing oleanoli c acid, apigenin, biotinyl tripeptide-1, diaminopyrimidine oxide, adenosine, biotin and ginkgo biloba in patients with androgenetic alopecia and telogen effluvium: a six-month open-label prospective clinical study. J Cosmo Trichol, 2018, 4.1: 1-6.
SPIEWAK, Radoslaw; SZENDZIELORZ, Ewelina. Ingredients of Trichological Shampoos with Alleged Beneficial Effects on Hair—What Is Really Known About Their Efficacy? A Scoping Review of an Area with More Unknowns than Knowns. Cosmetics, 2025, 12.6: 262.
NARDA, M., et al. Efficacy and safety of a food supplement containing L-cystine, Serenoa repens extract and biotin for hair loss in healthy males and females. A prospective, randomized, double-blinded, controlled clinical trial. J Cosmo Trichol, 2017, 3.127: 2.
SZENDZIELORZ, Ewelina; SPIEWAK, Radoslaw. Adenosine as an active ingredient in topical preparations against hair loss: a systematic review and meta-analysis of published clinical trials. Biomolecules, 2025, 15.8: 1093.
KHARE, Stuti. The efficacy and safety of Dr. SKS Hair Booster Serum (a cocktail of micronutrients and multivitamins) in adult males and females with androgenetic alopecia: An open-label, non-randomized, prospective study. Cureus, 2023, 15.4.

