AGA(男性型脱毛症)による薄毛にお悩みの方に、内服薬や外用薬による治療と並んで注目されているのが「メソセラピー」です。
メソセラピーは、有効成分を頭皮に直接注入することで、発毛促進や抜け毛抑制の効果が期待できる治療法です。
AGA治療におけるメソセラピーとは?
AGA治療には様々な方法がありますが、その一つとしてメソセラピーが挙げられます。はじめに、メソセラピーの基本的な考え方と、AGA治療における位置づけについて解説します。
メソセラピーの基本的な考え方
メソセラピーは、髪の成長に必要な有効成分を頭皮の特定部位に直接注入する治療法です。注射器や特殊な機器を用いて、毛根周辺や頭皮の浅い層に薬剤を届けます。
これにより、内服薬や外用薬だけでは届きにくい箇所へも効率的に成分を作用させられます。もともとはフランスで開発された治療法で、医療分野だけでなく美容分野でも広く応用されています。
AGA治療におけるメソセラピーの目的
AGA治療におけるメソセラピーの主な目的は、薄毛の進行を抑えて発毛を促進することです。
AGAは男性ホルモンの影響でヘアサイクルが乱れ、髪が十分に成長する前に抜け落ちてしまう状態です。
メソセラピーでは、発毛を促す成長因子や血行を改善する成分、毛髪の栄養となるビタミンやミネラルなどを直接頭皮に注入します。これにより、毛母細胞の活性化、頭皮環境の改善、ヘアサイクルの正常化を目指します。
注入する薬剤の選択
使用する薬剤は患者さんのAGAの進行度や頭皮の状態、治療の目的に合わせて医師が選択します。
単一の成分だけでなく、複数の成分を組み合わせたカクテル療法が用いられるケースもあります。
主な薬剤成分 | 期待される働き |
---|---|
成長因子 | 毛母細胞の活性化、発毛促進 |
ミノキシジル | 血行促進、毛髪の成長期延長 |
フィナステリド | 抜け毛の原因物質(DHT)の生成抑制 |
ビタミン類 | 頭皮環境の改善、毛髪の栄養補給 |
ミネラル類 | 毛髪の構成要素 |
他のAGA治療法との組み合わせ
メソセラピーは単独で行う場合もありますが、内服薬(フィナステリドやデュタステリドなど)や外用薬(ミノキシジルなど)と組み合わせると、より治療効果が期待できます。
それぞれの治療法が持つ異なる作用機序を組み合わせ、多角的にAGAの改善を目指します。
例えば、内服薬で抜け毛の原因を抑制しつつ、メソセラピーで発毛を直接的に刺激するといった併用療法が一般的です。
医師と相談の上、ご自身の状態に合った治療計画を立てると良いでしょう。
併用療法の考え方
治療法 | 主な作用 | メソセラピーとの併用メリット |
---|---|---|
内服薬 | 抜け毛の原因(DHT)抑制 | 抜け毛抑制と発毛促進の両面からアプローチ |
外用薬 | 頭皮の血行促進、毛髪成長期の延長 | 薬剤の浸透促進、相乗効果による発毛促進 |
自毛植毛 | 毛髪を薄毛部位に移植 | 移植毛の定着促進、既存毛の活性化(併用する場合) |
メソセラピーのAGA治療への効果
メソセラピーは、頭皮に直接働きかけてAGAの改善を目指す治療法です。具体的にどのような効果が期待できるのか、その働きについて解説します。
発毛を促す仕組み
メソセラピーでは、髪の毛を作り出す毛母細胞の働きを活性化させる成分を注入します。特に「成長因子(グロースファクター)」と呼ばれる成分は、細胞の増殖や分裂を促す信号を送る役割を持ちます。
これにより、休止期にある毛根を成長期へと誘導したり、弱った毛母細胞を元気づけたりして、新しい髪の毛が生えるのを助けます。
また、血行促進成分によって毛根への栄養供給がスムーズになることも発毛を後押しする要因となります。
抜け毛を抑える働き
AGAの主な原因は、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)が毛根に作用し、ヘアサイクルを乱すことです。
メソセラピーで使用される薬剤の中には、DHTの生成を抑制する成分(フィナステリドなど)や、DHTの影響を受けにくくする成分が含まれる場合があります。
これらの成分を直接頭皮に注入すると、抜け毛の進行を抑える効果が期待できます。ただし、内服薬との併用がより効果的な場合が多いです。
頭皮環境の改善
健康な髪を育むためには、土壌となる頭皮環境を整える工夫が大切です。メソセラピーで注入されるビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養成分は、頭皮の健康維持に役立ちます。
また、血行が促進されて頭皮全体に栄養が行き渡りやすくなり、乾燥や炎症といったトラブルの改善も期待できます。良好な頭皮環境は、髪が健やかに成長するための基盤となります。
メソセラピーによる頭皮への作用
作用の種類 | 具体的な内容 | 期待される効果 |
---|---|---|
毛母細胞活性化 | 成長因子による刺激 | 発毛促進、毛髪の質の向上 |
血行促進 | ミノキシジルなどの血管拡張作用 | 栄養供給改善、発毛促進 |
DHT抑制 | フィナステリドなどの作用(薬剤による) | 抜け毛抑制 |
栄養補給 | ビタミン、ミネラル、アミノ酸の供給 | 頭皮環境改善、毛髪の健康維持 |
メソセラピーの治療期間と効果が現れるまで
メソセラピーによるAGA治療を検討する際、どのくらいの期間続け、いつ頃から効果を実感できるのかが気になる点ではないでしょうか。ここでは、治療期間の目安や効果発現のタイミングについて解説します。
治療の頻度と継続期間
メソセラピーの治療頻度は使用する薬剤やクリニックの方針によって異なりますが、一般的には治療開始初期は2週間から1ヶ月に1回程度のペースで行う方が多いです。
その後、状態を見ながら徐々に間隔を空けていき、数ヶ月に1回程度のメンテナンス治療に移行するケースもあります。
治療の継続期間については、効果を実感し、それを維持するためにはある程度の期間が必要です。個人差はありますが、多くの場合、最低でも6ヶ月程度の継続が推奨されます。
AGAは進行性の脱毛症であるため、治療を中断すると再び薄毛が進行する可能性があります。そのため、効果を持続させるためには、医師と相談しながら長期的な視点で治療を続けましょう。
治療スケジュール例
期間 | 頻度の目安 | 目的 |
---|---|---|
治療初期 | 2週間~1ヶ月に1回 | 集中的な発毛促進、頭皮環境改善 |
効果安定期 | 1ヶ月~2ヶ月に1回 | 効果の維持、状態の安定化 |
メンテナンス期 | 数ヶ月に1回 | 効果の長期的な維持 |
効果を実感できるまでの期間
メソセラピーの効果が現れるまでの期間には個人差がありますが、一般的には治療開始から3ヶ月から6ヶ月程度で何らかの変化を感じ始める方が多いとされています。
これは、乱れたヘアサイクルが正常化し、新しい髪が成長して目に見えるようになるまでに時間がかかるためです。
初期の変化としては、抜け毛の減少や髪の毛にハリ・コシが出てくるといった実感が多いようです。
その後、徐々に産毛が増え、太く長い毛髪へと成長していくのが一般的な経過です。
効果の持続性について
メソセラピーによって得られた発毛効果を持続させるためには、定期的な治療の継続が必要です。AGAは根本的な原因を取り除く治療法ではないため、治療を完全にやめてしまうと再び薄毛が進行する可能性があります。
どのくらいの頻度でメンテナンス治療を続けるかは、個々の状態や治療への反応によって異なりますので、担当医とよく相談して決定します。また、内服薬や外用薬との併用を続けるのも、効果を持続させる上で有効です。
メソセラピーの施術方法と特徴
メソセラピーと一口に言っても、その施術方法にはいくつかの種類があります。ここでは、代表的な注入方法や使用される薬剤の特徴について解説します。
主な注入方法
頭皮に薬剤を注入する方法は、クリニックや使用する機器によって異なります。
主な方法としては、注射器を用いる手打ち、ダーマペンやダーマローラーといった微細な針がついた器具を用いる方法、そして高圧の空気や炭酸ガスを利用して針を使わずに注入するノンニードル法などがあります。
注入方法 | 特徴 | メリット | デメリット(可能性) |
---|---|---|---|
手打ち | 医師による直接注入、深さ・量の調整可能 | 細かい調整が可能 | 痛みを感じやすい、技術差 |
ダーマペン/ローラー | 微細な針で広範囲に導入 | 均一な導入、コラーゲン生成促進 | 痛み、赤みが出やすい |
ノンニードル法 | 針を使わず圧力で注入 | 痛みが少ない、ダウンタイム短い | 薬剤・深さの制限、効果差 |
手打ち(注射器)
医師が注射器を用いて、薬剤を直接頭皮に注入する方法です。注入する深さや量を細かく調整できるのが特徴です。熟練した技術が求められます。
ダーマペン・ダーマローラー
微細な針がたくさんついたペン型またはローラー型の器具を頭皮上で滑らせ、小さな穴を開けながら薬剤を浸透させる方法です。広範囲に均一に薬剤を導入しやすいとされます。
ノンニードル法
針を使用せず、高圧の空気やガスの力を利用して薬剤を皮膚の深層に届ける方法です。痛みが少ない、またはほとんどない点が大きな特徴ですが、注入できる薬剤の種類や深さが限定される場合があります。
使用される薬剤の種類と特徴
メソセラピーで使用される薬剤は、AGAの原因や症状に合わせて様々なものが選択されます。
クリニックによっては、複数の成分を独自に配合したオリジナルのカクテル薬剤を使用している場合もあります。
どの薬剤が自分に適しているかは、医師の診察を受けて判断しましょう。
成長因子(Growth Factors)
毛母細胞の活性化や血管新生を促し、発毛をサポートします。KGF、IGF、bFGFなど様々な種類があります。
ミノキシジル
もともと血管拡張薬として開発された成分で、頭皮の血行を促進し、毛髪の成長期を延長する効果が期待されます。外用薬としても広く使われています。
フィナステリド/デュタステリド
AGAの原因であるDHTの生成を抑制する成分です。主に内服薬として用いられますが、メソセラピーの薬剤として配合されることもあります。
ビタミン・ミネラル・アミノ酸
毛髪の成長に必要な栄養素です。頭皮環境を整え、健康な髪の育成をサポートします。
施術時の痛みとダウンタイム
メソセラピーの施術時には、注入方法によって痛みの感じ方が異なります。
注射器を用いる場合はチクッとした痛みを感じる場合があります。ダーマペンやダーマローラーも同様に軽い痛みやヒリヒリ感が生じる場合があります。ノンニードル法は痛みが最も少ないとされる方法です。
多くのクリニックでは、痛みを軽減するために冷却や麻酔クリームなどを使用します。
施術後のダウンタイムは、一般的にほとんどありません。施術当日は軽い赤みや腫れ、点状の内出血が見られるケースがありますが、数時間から数日で治まる方がほとんどです。
当日の洗髪を控えるよう指示される場合がありますが、日常生活への支障は少ない治療法と言えます。
メソセラピーのメリットとデメリット
AGA治療の選択肢としてメソセラピーを考える上で、そのメリットとデメリットを理解しておくことは大切です。他の治療法と比較しながら、その特徴を見ていきましょう。
メソセラピーの主なメリット
メソセラピーは、有効成分を薄毛が気になる部位の頭皮に直接注入するため成分が毛根に届きやすく、効率的な効果が期待できます。
内服薬のように全身に作用するわけではないため、肝機能障害や性機能障害といった全身性の副作用のリスクは低いとされています。ただし、注入部位の局所的な副作用(痛み、赤み、腫れなど)は起こる可能性があります。
患者さんの状態に合わせて、成長因子やミノキシジル、ビタミン類などの様々な薬剤を組み合わせられる点もメリットと言えるでしょう。
- 直接的な働きかけ
- 副作用のリスクが比較的低い
- 他の治療法との併用が可能
- 幅広い薬剤の選択肢
メソセラピーが適している可能性のある方
下記のような方はメソセラピーが適しているかもしれません。
- 内服薬の副作用が心配な方
- 内服薬や外用薬の効果をさらに高めたい方
- できるだけ早く効果を実感したい方
- 頭皮環境も同時に改善したい方
メソセラピーのデメリットと注意点
一方で、メソセラピーにはデメリットや注意点も存在します。
メソセラピーは自由診療であり、保険適用外です。1回の治療費が数万円程度かかるケースが多く、継続的な治療が必要となるため、トータルでの費用負担は大きくなる傾向があります。
また、注入方法によっては、施術時に痛みを感じるときがあります。痛みに弱い方は、事前にクリニックに相談し、麻酔などの対応が可能か確認すると良いでしょう。
治療効果には個人差があり、全ての人に同じような効果が現れるとは限りません。AGAの進行度によっては、メソセラピーだけでは十分な効果が得られない場合もあります。
- 治療費が高め
- 施術時の痛み
- 効果の個人差
- 定期的な通院が必要
メリット・デメリットのまとめ
メリットとデメリットを十分に見比べて、ご自身に適した治療法かどうかを医師と一緒に検討しましょう。
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
効果 | 直接注入で効率的、併用で相乗効果 | 効果に個人差あり |
副作用 | 全身性のリスク低い | 局所的な副作用(痛み、赤み等)、施術時の痛み |
費用 | – | 自由診療で高め、継続的な費用負担 |
通院 | 薬剤選択の幅が広い | 定期的な通院が必要 |
その他 | – | AGAの進行度によっては単独での効果が限定的な場合も |
他のAGA治療法との比較
AGA治療には、メソセラピー以外にも内服薬、外用薬、自毛植毛などがあります。
それぞれの治療法とメソセラピーを比較してみましょう。
主なAGA治療法との比較
治療法 | 特徴 | 費用感(目安) | 期間の目安 |
---|---|---|---|
メソセラピー | 頭皮に直接薬剤注入、併用で効果UP | 高(自由診療) | 6ヶ月~ |
内服薬 | 抜け毛原因(DHT)抑制、自宅で服用可能 | 中 | 6ヶ月~ |
外用薬 | 頭皮の血行促進、自宅で使用可能 | 低~中 | 6ヶ月~ |
自毛植毛 | 自分の毛髪を移植、効果が半永久的(※) | 非常に高 | 1回(定着に期間) |
※移植した毛髪は生え続けますが、既存の毛髪のAGAは進行する可能性があります。
メソセラピーは、内服薬や外用薬と比べて費用は高くなる傾向がありますが、直接的な働きかけによる効果や副作用リスクの低減が期待できる点が異なります。
自毛植毛は根本的な解決策となり得ますが、費用が非常に高額になります。どの治療法が適しているかは、ご自身のAGAの進行度、予算、生活スタイル、そして何を最も重視するかによって異なります。
AGA治療を検討する際は、メソセラピーやAGAに関する情報収集とともに、専門医と十分に相談することが重要です。
メソセラピーの費用相場と料金体系
メソセラピーによるAGA治療を検討する上で、費用は重要な要素です。ここでは、メソセラピーの費用相場や料金体系について解説します。
メソセラピーは自由診療
まず理解しておくべきなのが、AGA治療におけるメソセラピーは、原則として公的医療保険が適用されない自由診療である点です。
そのため、治療にかかる費用は全額自己負担となります。クリニックによって料金設定が大きく異なるため、事前にしっかりと確認しておくと良いです。
1回あたりの費用相場
メソセラピーの1回あたりの費用相場は、クリニックや使用する薬剤の種類、注入方法、注入範囲などによって大きく変動しますが、一般的には2万円から10万円程度が目安とされています。
- 比較的安価な場合は、使用する薬剤が基本的なもの(ミノキシジルやビタミン類など)であったり、注入範囲が狭い。
- 比較的高価な場合は、成長因子を高濃度で配合した薬剤を使用したり、複数の薬剤を組み合わせたカクテル療法を行ったり、広範囲に注入する。
上記のような傾向がみられますが、ノンニードル法などの特殊な機器を使用する場合も費用が高くなる傾向があります。
メソセラピーの料金を比較する際は、単に1回の価格だけでなく、どのような薬剤がどのくらいの量使用されるのか、どのような方法で注入されるのかといった内容を確認することが重要です。
料金体系の種類
クリニックの料金体系には、主に以下のパターンがあります。
支払い方法 | メリット | デメリット・注意点 |
---|---|---|
1回ごと | 都度払いで始めやすい | 継続すると割高になる可能性 |
コース契約 | 1回あたりの料金が割安になることが多い | まとまった費用が必要、解約条件の確認が必要 |
モニター価格 | 通常より安価で受けられる可能性がある | 症例提供などの条件あり、募集がない場合もある |
それぞれの支払い方法にはメリットと注意点があります。ご自身の生活スタイルに合った方法を選ぶと良いでしょう。
費用に含まれるもの・含まれないもの
メソセラピーの料金を検討する際には、提示された金額に何が含まれているのかを確認することも大切です。
施術料や薬剤費は含まれているクリニックが多いです。一方、 初診料、再診料、検査費(血液検査など)、麻酔代(希望する場合)は別途費用がかかる可能性があります。
特に初回のカウンセリングや診察が無料か有料か、治療に必要な検査費用は別途かかるのか、痛みを抑えるための麻酔はオプション料金なのかなどを確認しておくと、後で想定外の費用が発生するのを防げます。
メソセラピーの料金について疑問点があれば、遠慮なくクリニックに質問しましょう。
メソセラピーを受ける際の注意点
メソセラピーは効果が期待できる治療法ですが、受ける際にはいくつか注意しておきたい点があります。
副作用とリスク
メソセラピーは比較的安全性の高い治療法とされていますが、副作用やリスクが起こる可能性はゼロではありません。
万が一、施術後に強い痛みや腫れ、発熱などが続く場合は、速やかに施術を受けたクリニックに連絡してください。
施術部位の反応
注入時にチクチクとした痛みを感じる場合があり、施術後は一時的に注入部位が赤くなったり、少し腫れたりするケースがあります。
また、注射針によって細い血管が傷つき、点状の内出血が起こる可能性もあります。
薬剤に対する反応としてかゆみが出る方もいますが、これらの症状は、通常、数時間から数日で自然に治まります。
アレルギー反応
使用する薬剤に対してアレルギー反応を起こす可能性がまれにあります。事前にアレルギー歴などを医師に正確に伝えることが重要です。
感染
衛生管理が不十分な場合、注入部位から細菌が侵入し、感染を起こすリスクがあります。信頼できる医療機関で施術を受けることが大切です。
主な副作用と対処法
副作用 | 症状 | 対処法(一般的) |
---|---|---|
痛み | 注入時のチクチク感 | 冷却、麻酔クリーム(クリニックによる) |
赤み・腫れ | 施術部位の一時的な発赤・腫脹 | 通常は自然に軽快、冷却 |
内出血 | 点状の出血斑 | 通常は1~2週間で自然に消退 |
かゆみ | 施術部位のかゆみ | 冷却、抗ヒスタミン薬(医師の指示) |
アレルギー反応 | 発疹、強いかゆみ、腫れなど | 直ちに医師に相談 |
感染 | 強い痛み、腫れ、熱感、膿など | 直ちに医師に相談 |
施術を受けられない人
以下のような方は、メソセラピーの施術を受けられない場合があります。必ず事前に医師に相談してください。
- 妊娠中・授乳中の方
- 治療部位に皮膚疾患や感染症がある方
- ケロイド体質の方
- 血液凝固系の疾患がある方や抗凝固薬を服用中の方
- 使用する薬剤に対してアレルギーがある方
- 重度の高血圧、心臓病、糖尿病などの持病がある方
クリニック選びのポイント
AGA治療やメソセラピーの実績が豊富なクリニックがおすすめです。ウェブサイトで症例数などを確認するのも良いでしょう。
複数回の通院が想定されますので、通いやすいクリニックであるかも重視したいポイントです。
メソセラピーは医療行為であり、効果や安全性はクリニックの技術や経験、衛生管理に大きく左右されます。後悔しないためにも、クリニック選びは慎重に行いましょう。
クリニック選びで確認したいこと
- AGA治療・メソセラピーの経験・実績
- 医師による丁寧な診察と説明
- 衛生管理の徹底
- 明確な料金体系
- 通院のしやすさ
施術前後の注意点
施術の効果を高め、トラブルを防ぐために、施術前後の注意点を守りましょう。
施術前
- 前日の飲酒は控えることが推奨される場合があります。
- 当日は整髪料などをつけずに来院するよう指示されることがあります。
- 体調が悪い場合は無理せず、クリニックに連絡して相談しましょう。
施術後
- 施術当日の洗髪や激しい運動、飲酒、サウナなどを控えるよう指示される場合があります。クリニックの指示に従ってください。
- 施術部位を強くこすったり、マッサージしたりしないようにしましょう。
- 紫外線対策を心がけましょう。
これらの注意点は一般的なものであり、詳細はクリニックによって異なります。必ず担当医の指示に従ってください。
よくある質問
さいごに、メソセラピーによるAGA治療に関して、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q. メソセラピーはどのくらい痛いですか?
痛みの感じ方には個人差がありますが、注入方法によって異なります。
注射器を使う場合はチクッとした痛み、ダーマペンなどでは軽い痛みやヒリヒリ感を感じるケースがあります。ノンニードル法は痛みが少ないとされています。
多くのクリニックでは、痛みを和らげるために冷却や麻酔クリームを使用しますので、痛みが心配な方は事前に相談してください。
Q. 効果がない場合もありますか?
残念ながら、全ての方に同じ効果が出るとは限りません。効果には個人差があり、AGAの進行度や体質によっては期待したほどの効果が得られない可能性もあります。
また、効果を実感するまでには通常3ヶ月から6ヶ月程度の期間が必要です。
治療効果が見られない場合は、治療法の変更や他の治療法との組み合わせなどを医師と相談することが重要です。
Q. 治療をやめたらどうなりますか?
メソセラピーはAGAの進行を抑えて発毛を促す治療ですが、AGAの根本原因を取り除くものではありません。
そのため、治療を完全に中止すると、再び薄毛が進行し、治療前の状態に戻っていく可能性があります。効果を持続させるためには、医師と相談の上、適切な間隔でメンテナンス治療を続けると良いです。
Q. 内服薬や外用薬と併用した方が良いですか?
メソセラピーは単独でも効果が期待できますが、AGAの原因に働きかける内服薬(フィナステリド、デュタステリドなど)や、頭皮の血行を促進する外用薬(ミノキシジルなど)と併用すると、より相乗効果が期待できるとされています。
抜け毛を抑えながら発毛を促すという、多角的な取り組みが可能になります。併用療法が適しているかどうかは、ご自身の状態によりますので、医師とよく相談して治療計画を立てましょう。
Q. メソセラピーの費用は医療費控除の対象になりますか?
AGA治療は、容姿を美化するための治療とみなされることが多く、原則として医療費控除の対象外となるのが一般的です。
ただし、医師が治療目的で行う医療行為として認められるケースも全くないわけではありません。最終的な判断は税務署が行いますので、詳細についてはお住まいの地域の税務署や税理士にご確認ください。
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