AGA予防のための頭皮トラブル原因と症状別対処法

AGA予防のための頭皮トラブル原因と症状別対処法

鏡を見たときに気づくフケや白髪、あるいは日常的に感じる頭皮のかゆみは、単なる一時的な不調ではありません。

これらは頭皮環境が悪化しているサインであり、放置すると将来的な薄毛やAGA(男性型脱毛症)の進行を早める直接的な要因となります。

本記事では、フケ・かゆみ・白髪といった具体的な症状がなぜAGAのリスクを高めるのか、その根本的な原因を解明します。そして、今日から実践できる正しいケア方法や生活習慣の改善策を網羅的に解説します。

髪の土台である頭皮を健康に保つことが、未来の髪を守る最も確実な投資です。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

頭皮トラブルとAGAの意外な関係性

頭皮トラブルを放置することは、髪が育つ土壌を自ら荒廃させ、AGAの発症や進行を加速させる大きな要因となります。

多くの人がフケやかゆみを「よくあること」「体質だから仕方がない」と軽視しがちです。しかし、これらの症状は頭皮が炎症を起こしていたり、バリア機能が低下していたりする明確なサインです。

AGAは男性ホルモンと遺伝が主な要因ですが、頭皮環境の悪化はヘアサイクルを乱す強力な後押しをしてしまいます。健康な髪は健康な頭皮からしか生まれません。

頭皮トラブルとAGAの結びつきを正しく理解し、早期に対策を講じることが、あなたの髪を守るために重要です。

炎症がヘアサイクルを乱す理由

頭皮で炎症が起きると髪の成長に必要な指令系統にエラーが生じます。炎症性サイトカインという物質が発生し、これが毛母細胞の働きを抑制してしまうからです。

本来であれば数年かけて太く長く育つはずの髪が、成長期を全うできずに抜け落ちてしまう現象が起こります。

AGAもヘアサイクルが短縮する症状ですが、頭皮の炎症はこの短縮をさらに助長します。つまり、慢性的なかゆみや赤みを放置することは、自らAGAのスイッチを押し続けているのと変わりません。

炎症を鎮めることが、正常なヘアサイクルを取り戻すための第一歩です。

過剰な皮脂と毛穴詰まりの影響

皮脂は頭皮を守るために必要ですが、過剰な分泌は酸化して過酸化脂質へと変化し、毛根にダメージを与えます。特に男性ホルモンの影響を受けやすいAGA体質の方は皮脂分泌が活発になりがちです。

酸化した皮脂が毛穴に詰まると毛根が呼吸困難のような状態に陥り、髪の成長を阻害します。さらに、この詰まった皮脂を餌にして常在菌が異常繁殖し、さらなる炎症を引き起こすという悪循環に陥ります。

皮脂を適度に残しつつ、酸化した汚れを確実に取り除くケアが、毛穴の健康維持には大切です。

血行不良が招く栄養不足

頭皮が硬くなると血流が滞り、髪の工場である毛母細胞に十分な酸素や栄養が届かなくなります。フケやかゆみがある頭皮は乾燥や緊張によって血行不良を起こしているケースが非常に多いです。

血液は髪の材料を運ぶ唯一のルートです。いくら食事に気をつけても、血流が悪ければ髪まで栄養は届きません。頭皮トラブルがある状態は、いわば畑に水路が通っていない状態と同じです。

柔軟で潤いのある頭皮環境を作ることが血行を促進し、太く強い髪を育てるための基盤となります。

AGA予防のための炎症・皮脂・血行不良と頭皮環境の関係イメージ

フケの種類とそれぞれの発生原因

フケには「乾性」と「脂性」の2種類があり、自分のフケがどちらのタイプかを見極めて対処法を変えることが完治への近道です。

フケが出ると洗浄力の強いシャンプーで洗いたくなりますが、これは逆効果になる場合があります。

乾性のフケに対して脱脂力の強いシャンプーを使えば乾燥が悪化し、脂性のフケに対して保湿しすぎれば菌が繁殖します。

まずは自分の肩に落ちているフケや頭皮の状態を観察してください。パラパラしているのか、ベタベタしているのか。

その性質を知ることが、間違ったケアによる悪化を防ぎ、清潔な頭皮を取り戻すためのスタートラインです。

パラパラ落ちる乾性フケの特徴

乾性フケは頭皮の水分量が不足し、角質が剥がれ落ちることで発生します。粒が細かく、白っぽく、肩にパラパラと落ちるのが特徴です。

洗浄力の強すぎるシャンプーの使用や熱いお湯での洗髪、空気の乾燥などが主な原因です。このタイプの方は頭皮のバリア機能が低下しており、外部刺激に弱くなっています。

対策としては洗浄力がマイルドなアミノ酸系シャンプーに切り替えることや、頭皮用の保湿ローションで水分を補うことが必要です。皮脂を取りすぎないことが、乾性フケを止めるための鍵となります。

ベタベタ張り付く脂性フケの特徴

脂性フケは皮脂の分泌過多によって発生し、湿り気があり黄色っぽく、大きな塊になることが特徴です。頭皮や髪の根元にへばりつくように存在します。

これは洗髪不足や脂っこい食事、ホルモンバランスの乱れが原因で皮脂が過剰に出ている状態です。

単に洗えばよいというわけではなく、皮脂の酸化を防ぐケアが必要です。抗真菌成分や抗炎症成分が含まれたシャンプーを使用し、丁寧に頭皮を洗うことが求められます。

また、食事内容を見直し、内側から皮脂量をコントロールすることも大切です。

フケのタイプ別比較

項目乾性フケ脂性フケ
見た目細かく白い、粉状大きく黄色い、塊状
主な原因乾燥、洗いすぎ皮脂過多、菌の増殖
触り心地カサカサしているベタベタしている
乾性フケと脂性フケの違いを比較した頭皮イラスト

常在菌マラセチアとの関係

誰の頭皮にも存在する常在菌「マラセチア菌」が異常繁殖することが、フケの大きな原因となります。マラセチア菌は皮脂を好み、皮脂を分解する際に遊離脂肪酸という刺激物質を排出します。

皮脂が多い環境ではこの菌が増えすぎ、排出される刺激物質によって頭皮がターンオーバーの異常をきたし、未熟な角質が大量に剥がれ落ちてフケとなります。脂性フケの場合は特にこの菌の影響が大きいです。

菌のバランスを整えるためには頭皮を清潔に保つだけでなく、ストレスや睡眠不足を解消して免疫力を維持することも重要です。

頭皮のかゆみが引き起こす脱毛リスク

かゆみによる物理的な掻きむしりは頭皮のバリア機能を破壊し、細菌感染や深刻な抜け毛を招く直接的なトリガーとなります。

「かゆいから掻く」という行為は一時的な快感を得られますが、頭皮にとっては大怪我を負わせる行為です。爪で頭皮を傷つけるとそこから雑菌が入り込み、炎症が拡大します。

また、傷ついた毛穴周辺の組織は修復のためにエネルギーを使うため、髪の成長が後回しにされます。

さらに、掻く刺激自体が毛根に物理的なダメージを与え、成長途中の髪を引き抜いてしまうこともあります。

かゆみは頭皮からのSOS信号と捉え、絶対に掻かずに原因を取り除くアプローチを行うことが大切です。

掻きむしりによる物理的ダメージ

爪で頭皮を掻くと、目に見えない微細な傷が無数につきます。この傷は表皮だけでなく、真皮に近い部分まで達することもあり、毛根を包んでいる毛包組織を直接傷つける可能性があります。

傷ついた組織は瘢痕(はんこん)化することがあり、そうなると毛穴が塞がり、二度と髪が生えてこなくなるリスクさえあります。また、繰り返し掻くことで頭皮が厚く硬くなり、柔軟性が失われます。

かゆみを感じたら冷たいタオルで冷やすなどして炎症を鎮め、爪を立てることは絶対に避けてください。

アレルギーや接触性皮膚炎の可能性

使用しているシャンプー、整髪料、あるいはカラーリング剤が肌に合わず、アレルギー反応としてかゆみが出ている場合も多いです。これを接触性皮膚炎と呼びます。

特定の製品を使った後に強くかゆみを感じる場合は成分が刺激となっている可能性が高いです。また、洗い残したシャンプー液が酸化して刺激物となり、かゆみを引き起こすこともあります。

肌に優しい製品を選ぶことはもちろん、すすぎを徹底的に行うことで、化学物質による頭皮への負担を最小限に抑えることが必要です。

頭皮を掻きむしるNG行為と優しいケアの対比イメージ

かゆみの原因と対策

原因状態対策
乾燥バリア機能低下保湿ローションの使用
接触性皮膚炎特定の薬剤に反応製品の使用中止、すすぎ徹底
皮脂酸化ベタつきと炎症正しい洗髪、食生活改善

乾燥がかゆみのスイッチを入れる

頭皮が乾燥すると神経線維が表皮のすぐ近くまで伸びてきて、外部からの刺激に対して過敏になります。

ほんの少しの刺激、例えば髪の毛が触れたり紫外線が当たったりするだけで、強いかゆみを感じるようになります。これを「乾燥性そう痒症」と呼びます。

冬場やエアコンの効いた部屋でかゆみが増すのはこのためです。

保湿ケアを行い、頭皮の水分量を保つことで神経の興奮を鎮め、かゆみの発生頻度を下げることができます。頭皮も顔の肌と同じように、潤いを与えるケアが重要です。

白髪が増える構造と薄毛への影響

白髪の増加はメラノサイトの機能低下を示唆しており、これは頭皮の血流不足や老化が進行している証拠であり、薄毛リスクとも密接にリンクしています。

白髪そのものが直接的にハゲを引き起こすわけではありません。しかし、白髪が増える原因である血行不良、栄養不足、酸化ストレスは、そのままAGAや薄毛の原因と重なります。

つまり、白髪が急に増えたということは髪を黒くする機能だけでなく、髪を育てる機能全体が弱っているという警告です。

白髪を単なる加齢現象として片付けるのではなく、頭皮全体の活力が低下しているサインと捉え、アンチエイジングケアを含めた総合的な対策を講じることが、結果として薄毛予防にもつながります。

酸化ストレスと過酸化水素の蓄積

体内で発生する活性酸素は細胞を酸化させ、老化を早めます。頭皮においても同様で、酸化ストレスが蓄積すると色素幹細胞のDNAが損傷し、黒い色素を作るメラノサイトが枯渇します。

また、毛包内に過酸化水素が蓄積することも白髪の大きな原因です。過酸化水素は漂白作用があり、メラニン色素を破壊してしまいます。

抗酸化作用のある栄養素を摂取したり、ストレスを溜めない生活を送ったりすることで体内の酸化レベルを下げることが、黒髪と健康な毛根を守るために必要です。

血流低下による色素細胞の機能不全

メラノサイトがメラニン色素を作るためには多くの酵素と栄養が必要です。血流が悪くなると、これらの材料がメラノサイトまで届かず、色素生成がストップしてしまいます。

側頭部や後頭部に比べて血管が細く血流が悪くなりやすい頭頂部や生え際から白髪が目立ち始めることが多いのはこのためです。

頭皮マッサージや有酸素運動を取り入れて全身の血流を良くすることは毛母細胞の活性化だけでなく、メラノサイトの働きを助け、白髪の予防や改善にも寄与します。

黒髪と健康な頭皮に必要な栄養素

栄養素働き多く含む食品
チロシン黒色の元となる原料チーズ、大豆製品、バナナ
亜鉛細胞分裂の促進牡蠣、レバー、ナッツ類
ビオチン色素細胞の活性化卵黄、きのこ類、豆類

栄養不足とミネラルの重要性

無理なダイエットや偏った食生活は、髪の色と量に直撃します。特にミネラル類は体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。

亜鉛や鉄分、銅などは健康な髪を作るために必須のミネラルです。これらが不足すると体は生命維持に重要な臓器へ優先的に栄養を送るため、末端組織である髪への配給がストップします。

その結果、白髪が増えたり、髪が細くなったりします。サプリメントを上手に活用しつつ、バランスの取れた食事を心がけることが頭皮トラブルのない若々しい髪を保つ基礎となります。

症状別に見る正しいシャンプーと洗髪方法

自分の頭皮タイプに合った洗浄力のシャンプーを選び、摩擦を与えずに優しく洗うことで、バリア機能を守りながら清潔な頭皮環境を維持できます。

多くの男性は爽快感を求めて洗浄力の強すぎるシャンプーを選び、爪を立ててゴシゴシ洗う傾向があります。しかし、これは頭皮を痛めつける行為です。

正しい洗髪とは髪の汚れを落とすだけでなく、頭皮のコンディションを整える行為です。フケや乾燥が気になるなら保湿成分配合のものを、ベタつきや臭いが気になるなら皮脂ケアに特化したものを選ぶ必要があります。

そして何より、洗い方を変えるだけで翌日の頭皮の状態は劇的に変わります。毎日のルーティンを見直し、頭皮をいたわる洗浄習慣を身につけることが大切です。

予洗いの重要性と温度管理

シャンプー剤をつける前に、お湯だけで髪と頭皮を洗う「予洗い」を徹底してください。実は髪の汚れの約8割はこの予洗いで落とすことができます。

時間をかけて丁寧にお湯を行き渡らせることで毛穴が開いて汚れが浮きやすくなり、少量のシャンプーでも十分に泡立つようになります。

また、お湯の温度は38度が理想です。40度以上の熱いお湯は必要な皮脂まで溶かし出し、乾燥や炎症の原因となります。少しぬるいと感じる程度の温度で洗うことが、頭皮の保湿成分を守るポイントです。

泡で包み込む優しい洗浄テクニック

シャンプー液を直接頭皮につけるのは避けてください。刺激が強すぎます。必ず手で十分に泡立ててから、その泡を頭皮に乗せるようにします。

洗う際は指の腹を使って頭皮を揉みほぐすように優しく動かします。髪を洗うのではなく、頭皮をマッサージするイメージです。

ゴシゴシと擦る必要はありません。泡が汚れを吸着してくれるので、優しく揉むだけで十分に汚れは落ちます。特に生え際や耳の後ろなどは洗い残しが多いので、意識して洗うようにします。

間違った洗髪と正しい洗髪の比較

項目NG習慣OK習慣
お湯の温度42度以上の熱湯38度のぬるま湯
洗い方爪を立てて擦る指の腹で揉み込む
回数1日2回以上1日1回(夜)

すすぎとドライの徹底

洗髪で最も重要なのは「すすぎ」です。シャンプーの成分が頭皮に残ると、それが酸化して強力な刺激物となり、かゆみやフケの原因になります。

洗う時間の倍以上の時間をかけて、ヌルつきが完全になくなるまですすぎを行ってください。

そして、入浴後はすぐに乾かすことが重要です。濡れた頭皮は雑菌が繁殖しやすく、蒸れることで臭いの原因にもなります。

タオルで優しく水分を拭き取った後、ドライヤーを20cm以上離して、温風と冷風を使い分けながら、頭皮と髪の根元を中心に乾かします。

生活習慣の見直しで頭皮環境を整える

良質な睡眠とバランスの取れた食事は成長ホルモンの分泌と細胞の修復を促し、外部からのケア以上に頭皮環境を劇的に改善します。

いくら高価な育毛剤を使っても、体が不健康であれば髪は育ちません。髪は健康のバロメーターであり、生活習慣の乱れが真っ先に現れる場所です。

睡眠不足は成長ホルモンの分泌を妨げ、高脂質な食事は皮脂を過剰にし、運動不足は血流を滞らせます。これら一つ一つの積み重ねが頭皮トラブルを引き起こし、AGAのリスクを高めています。

生活習慣を見直すことは今日からできる最もコストのかからない、かつ効果的なAGA予防策です。自分の体を内側から整える意識を持つことが大切です。

睡眠の質と成長ホルモン

髪の成長や頭皮のダメージ修復は、寝ている間に行われます。特に入眠からの3時間に分泌のピークを迎える成長ホルモンは、毛母細胞の分裂を促す重要な役割を担っています。

睡眠時間が短かったり、質が悪かったりすると、このホルモンが十分に分泌されず、髪が細くなったり抜けやすくなったりします。

就寝前のスマートフォンの使用を控える、入浴して体温を上げてから布団に入るなど、深く眠るための工夫を取り入れてください。質の高い睡眠は最強の育毛剤と言えます。

食生活と腸内環境の改善

食べたものがそのまま髪の材料になります。タンパク質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂取することは基本ですが、同時に腸内環境を整えることも重要です。

栄養を吸収するのは腸であり、腸内環境が悪ければ、どんなに良い食事をしても栄養が体に行き渡りません。発酵食品や食物繊維を積極的に摂り、腸を健康に保ってください。

一方で、脂っこい食事や糖質の摂りすぎは皮脂の過剰分泌や糖化による老化を招くため、控える必要があります。

頭皮のために控えるべき食品

  • ラードやバターなどの動物性脂肪
  • スナック菓子やインスタント食品
  • 過剰なアルコールや糖質の多い飲料

ストレスコントロールと自律神経

強いストレスを感じると自律神経が乱れ、交感神経が優位になります。すると血管が収縮し、頭皮への血流が極端に悪くなります。

また、ストレスは男性ホルモンの分泌を活性化させる側面もあり、AGAの進行を早める可能性があります。

完全にストレスをなくすことは難しいですが、趣味の時間を持つ、深呼吸をする、軽い運動をするなど、自分なりの解消法を持つことが大切です。

副交感神経を優位にしてリラックスする時間を作ることで、血管が拡張し、髪への栄養補給がスムーズになります。

睡眠・食事・運動・ストレスケアで頭皮環境を整える生活習慣イメージ

育毛剤や頭皮ローションの選び方と使い方

頭皮の状態に合わせて保湿成分や抗炎症成分が含まれた製品を選び、継続的に使用することで、頭皮のバリア機能を正常化させます。

育毛剤やローションはただなんとなく使うのではなく、現在の自分の悩みに合致した成分が入っているかを確認して選ぶ必要があります。

例えば、かゆみが強いのに血行促進成分ばかりが入ったものを使うと、かゆみが増すことがあります。乾燥しているなら保湿、炎症があるなら抗炎症、菌が原因なら抗菌と、目的に応じた選択が重要です。

また、高価なものをちびちび使うよりも、適量を毎日継続して使う方が効果的です。正しい選び方と使い方を理解し、毎日のケアに取り入れることが大切です。

フケやかゆみに有効な成分

頭皮トラブルがある場合、まずは炎症を抑え、環境を整える成分が必要です。グリチルリチン酸ジカリウムやアラントインなどの抗炎症成分は、赤みやかゆみを鎮める効果があります。

フケが気になる場合は菌の繁殖を抑えるピロクトンオラミンやサリチル酸などが有効です。

また、乾燥によるトラブルには、ヒアルロン酸、コラーゲン、セラミドといった高保湿成分が配合されているものを選んでください。

パッケージの裏面を見て、有効成分を確認する癖をつけることが推奨されます。

アルコールフリーの選択肢

多くの育毛剤やトニックには、清涼感を出すためや成分を溶かすためにアルコール(エタノール)が配合されています。

しかし、アルコールは蒸発する際に水分を奪う性質があるため、乾燥肌や敏感肌の人には刺激が強すぎることがあります。

頭皮がヒリヒリしたり、使用後に乾燥を感じたりする場合は、アルコールフリー(ノンアルコール)の製品を選んでください。

低刺激の製品を選ぶことで頭皮への負担を減らしながら、有効成分をじっくりと浸透させることができます。

主な有効成分とその効果

成分名主な効果適した症状
グリチルリチン酸2K抗炎症作用赤み、かゆみ
センブリエキス血行促進抜け毛、育毛
ヒアルロン酸水分保持乾燥フケ、ツッパリ感

効果的な塗布のタイミング

頭皮用ローションや育毛剤の効果を最大化するタイミングは、洗髪後の清潔で血行が良くなっている時です。

タオルドライをして水気を拭き取った後、ドライヤーをかける前に塗布するのが一般的です(製品によってはドライ後を推奨するものもあります)。

頭皮に直接ノズルを近づけて塗布し、指の腹を使って成分を毛穴の奥へ押し込むように優しくマッサージします。

この時、頭皮全体を動かすようにマッサージを併用することで血行がさらに良くなり、成分の浸透率が高まります。

専門医に相談すべき危険な頭皮サイン

セルフケアで改善しない長引く炎症や急激な脱毛が見られる場合は、迷わず皮膚科やAGA専門クリニックを受診し、適切な治療を受けることが重要です。

頭皮トラブルの中には、市販のシャンプーや育毛剤では治せない病気が隠れていることがあります。特に「脂漏性皮膚炎」などの皮膚疾患は放置すると慢性化し、深刻な抜け毛を引き起こします。

また、円形脱毛症などは自己免疫疾患が関わっており、早期の治療が必要です。「そのうち治るだろう」という自己判断は危険です。

以下のような症状が見られる場合は頭皮の専門家である医師の診断を仰ぎ、医学的なアプローチで治療を行うことが、髪を守るための最善の策です。

脂漏性皮膚炎の疑い

フケが増え、頭皮が赤くなり、強いかゆみを伴う場合、脂漏性皮膚炎の可能性があります。これはマラセチア菌が異常繁殖し、皮膚が過剰に反応している状態です。

自然治癒は難しく、ステロイド外用薬や抗真菌薬による治療が必要です。この状態を放置すると脂漏性脱毛症へと進行し、広範囲で髪が抜けてしまうことがあります。

ベタついたフケと赤みが続く場合はシャンプーを変えるだけでなく、皮膚科を受診して適切な薬を処方してもらうことが大切です。

円形脱毛症や感染症の兆候

突然コイン大に髪が抜けたり、頭皮に膿を持ったおできができたりした場合は、通常のAGAとは異なる原因が考えられます。

円形脱毛症はストレスや免疫異常が原因であり、放置すると多発して全頭に広がることもあります。また、毛嚢炎(もうのうえん)などの細菌感染症は、抗生物質による治療が必要です。

これらは早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。鏡で見て明らかな異常がある場合や痛みを伴う場合は、躊躇せず医療機関を頼ってください。

AGA専門クリニックの活用

単なる頭皮トラブルだけでなく、将来の薄毛が心配な場合は、AGA専門クリニックでカウンセリングを受けるのも一つの手です。

専門クリニックではマイクロスコープを使って頭皮の状態を詳細に診断してくれます。自分の頭皮がどのような状態なのか、毛根は生きているのか、AGAのリスクはどの程度あるのかを客観的に知ることができます。

早期に対策を始めれば、それだけ髪を残せる可能性は高まります。プロの目線でのアドバイスをもらうことは、自分に合った正しいケアを見つけるための近道となります。

AGA予防と頭皮ケアに関するよくある質問

頭を掻くとハゲるというのは本当ですか?

本当です。強く掻くことで毛根が物理的なダメージを受け、成長途中の髪が抜け落ちることがあります。

また、傷ついた頭皮が瘢痕化して毛穴が塞がると、そこから髪が生えなくなるリスクもあります。かゆみがあっても爪を立てず、冷やすなどの対処をしてください。

白髪を抜くと薄毛になりますか?

白髪を抜くこと自体が直接的に薄毛の原因にはなりませんが、抜く際に毛根や周辺組織を傷つけるため、繰り返すとその毛穴から髪が生えてこなくなる可能性があります。

白髪が気になる場合は抜かずに根元から切るか、染めるようにしてください。

シャンプーは毎日しない方がいいのですか?

基本的には毎日(1日1回)洗うことを推奨します。その日の汚れや酸化した皮脂をその日のうちに落とすためです。

ただし、極度の乾燥肌でフケが出る場合は2日に1回にするか、お湯だけの洗髪を取り入れるなど調整が必要です。洗いすぎも洗わなすぎも良くありません。

ストレスでフケが出ることはありますか?

あります。ストレスは自律神経のバランスを崩し、血行不良やホルモンバランスの乱れを引き起こします。

これにより、皮脂分泌が過剰になったり、ターンオーバーが乱れたりしてフケが発生します。

リラックスする時間を持ち、ストレスを溜めないことが頭皮ケアにもなります。

参考文献

記事のまとめ
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