ハゲの「予兆」を見逃すな!抜け毛以外で気づくべき初期症状(髪が細くなる・頭皮のかゆみ)

ハゲの「予兆」を見逃すな!抜け毛以外で気づくべき初期症状(髪が細くなる・頭皮のかゆみ)

薄毛や抜け毛に悩む男性の多くは、毎日のシャンプー時に大量に抜ける髪を見て初めて危機感を覚えます。

しかし、男性型脱毛症(AGA)をはじめとする進行性の脱毛症は、抜け毛の増加よりも先に、もっと「気づきにくい」サインを発していることが多々あります。

特に、毛が細くなる「軟毛化」や、日常的な「頭皮のかゆみ・フケ」といった変化は、見過ごされがちながらも、ハゲの予兆として非常に重要です。

この記事では、「抜け毛」というわかりやすい変化以外に、あなたが日頃からチェックすべき髪質や頭皮の初期症状を徹底的に解説します。

早期に予兆を捉え、適切な対策を講じることが、将来の髪を守るためにとても重要です。この知識で、薄毛の進行を食い止め、豊かな髪を維持するための第一歩を踏み出しましょう。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

ハゲは抜け毛だけで判断できない初期症状の見極め方

薄毛の話題になると、真っ先に「抜け毛の本数が増えたか」に意識が向きがちですが、実際に脱毛症が進行している男性の多くは、抜け毛の数自体はそれほど変わっていない時期が長く続きます。

抜け毛の数が増えるのは、脱毛症の進行がある程度進んだ後期の症状です。

本当に恐ろしいハゲの「予兆」は、抜け毛の量ではなく、髪の「質」と頭皮の「状態」に現れます。

この初期症状を正しく理解し、見極めることが、薄毛対策の成否を分けます。

「抜け毛が少ないから大丈夫」という油断の危険性

男性型脱毛症(AGA)の最大の特徴は、髪の成長期が短くなることです。通常、髪の毛は数年にわたって太く長く育ちますが、AGAが始まると、この成長期間が数ヶ月から1年程度に短縮されてしまいます。

結果として、髪の毛は十分に太く成長する前に抜け落ちてしまいます。

このとき、抜け落ちる髪の毛は「まだ生え始めたばかりの細くて短い毛」であり、一時的に抜け毛の総本数が増えたように感じないケースが多いのです。

しかし、水面下では着実に、健康な太い髪の毛が減少し、細い毛に置き換わる「軟毛化」が進行しています。抜け毛の本数だけを見て安心するのは非常に危険な考え方です。

初期症状の捉え方が後の結果を左右する

ハゲの予兆を正確に捉えれば、その後の対策は極めて有効になります。AGAの初期段階は、毛母細胞が完全に死滅しているわけではなく、まだヘアサイクルの乱れが始まった段階です。

このタイミングで治療やケアを始めると、高い確率で現状を維持し、改善させることも可能です。

重要なのは、抜け毛の増加を待つのではなく、「髪が細くなった」「頭皮が頻繁にかゆい」といった、一見すると些細な体調変化のように見えるサインを、薄毛の初期症状として認識できるかどうかです。

予兆を無視して進行を許してしまうと、治療の難易度と期間が大幅に増してしまうため、早期の行動が重要です。

髪質の変化に見るハゲの最も確実な予兆

抜け毛よりも確実で、ハゲの進行を物語る最も重要なサイン、それが「髪質の変化」、特に「軟毛化(なんもうか)」です。

これは、AGAの進行によって健康な髪が徐々に弱々しい産毛のような髪に置き換わっていく現象です。見た目や手触りでこの変化に気づくことが、早期発見の鍵を握ります。

「髪が細くなる」軟毛化の進行

軟毛化は、AGAの原因物質であるジヒドロテストステロン(DHT)が、毛母細胞に悪影響を及ぼし、髪の成長期を短くすることで起こります。

本来であれば、成長期に髪の毛は太さ0.08mm以上まで成長し、数年にわたって頭皮に留まります。

しかし、成長期が短縮されると、髪の毛は太りきる前に次の休止期へと移行し、細く短い状態で抜け落ちてしまいます。

この髪が細くなる現象こそが、ハゲの予兆の中で最も見逃してはならない、確実な信号です。

ハリ・コシの低下が引き起こすボリュームの減少

髪の太さが失われると、一本一本の髪の毛にハリやコシ、弾力がなくなります。その結果、髪全体がぺたんと寝てしまい、頭頂部や前髪のボリュームが全体的に減少したように見えます。

朝、セットしてもすぐに髪型が崩れる、以前使っていたワックスでは立ち上がりが作れない、と感じるようになったら、軟毛化が進行している疑いがあります。

これは、本数自体が変わらなくても、髪の「かさ」が減ったために起こる、視覚的なハゲの予兆です。

生え際や頭頂部の手触りの変化

髪の毛の異変は、鏡を見るだけでなく、触覚でも確認できます。

特に、AGAが進行しやすい生え際(M字部分)や頭頂部を触ってみて、他の部位の髪と比べて手触りが変わっていないか確認しましょう。

以前はしっかりとした感触だったのに、最近は指先で触れると「柔らかい」「頼りない」「産毛に近い」といった感覚があれば、それは軟毛化の明確なサインです。

毎日シャンプーやドライヤーで触れる部分だからこそ、この微妙な変化を感じ取ることが大切です。

髪の太さの変化とAGAの段階

健康な髪の毛と、AGAが進行し始めた髪の毛とでは、太さに明確な違いが現れます。

以下の表で、髪の太さの目安と、それが示す薄毛の段階を確認しましょう。ご自身の髪の毛を数本集めて比べてみてください。

太さの目安髪の状態示唆される薄毛段階
0.08mm以上健康な太い髪正常・進行なし
0.06mm~0.08mmやや細い、ハリ低下初期の軟毛化(予兆)
0.05mm以下産毛に近い、弱いAGA中・後期

頭皮のSOS!かゆみやフケが示す異常なサイン

髪の毛が細くなるのと並行して、多くの男性が感じ始める予兆が「頭皮の異常」です。

特に、頻繁に感じるかゆみや、これまでになかったフケの増加は、単なる乾燥や体調不良ではない、深刻な頭皮環境の悪化を知らせるSOSかもしれません。

頭皮のかゆみがなぜハゲに繋がるのか

頭皮のかゆみは、頭皮に炎症が起きているサインです。多くの場合、皮脂の過剰分泌や、それを栄養源とするマラセチア菌などの常在菌の異常繁殖、またはシャンプーの洗い残しなどが原因で起こります。

炎症が起きると、頭皮のターンオーバー(新陳代謝)が乱れ、バリア機能が低下します。この炎症が毛根の周辺まで及ぶと、髪を生成する毛母細胞にも悪影響を与え、健康な髪の成長を妨げてしまいます。

炎症が慢性化すると、抜け毛が増えたり、軟毛化が加速したりする直接的な原因となるため、かゆみを放置するのは危険です。

炎症が毛根に与える悪影響

頭皮の炎症によって放出される炎症性サイトカインなどの物質は、毛乳頭細胞の働きを低下させます。

毛乳頭細胞は、髪の成長を促す信号を出す重要な細胞ですが、炎症によってその機能が衰えると、髪の毛は成長を途中で止めざるを得なくなります。

これが、AGAでなくても起こり得る、頭皮環境悪化による抜け毛や薄毛の原因です。かゆみによって頭皮を掻きむしる行為も、物理的に毛根を傷つけ、炎症をさらに悪化させる悪循環を引き起こします。

フケの増加と皮脂の過剰分泌

フケには大きく分けて「乾燥性のフケ」と「脂漏性のフケ」がありますが、ハゲの予兆として注意すべきは、ベタつきがあり、比較的大きな塊で出る「脂漏性のフケ」です。

これは皮脂の過剰分泌が原因であり、皮脂が酸化して毛穴を詰まらせ、さらに常在菌が繁殖することで炎症を引き起こします。

頭皮全体がテカテカして見える、夕方になると頭皮が脂っぽい臭いを放つ、シャツの肩に白いフケではなく黄色っぽいフケが落ちる、といった症状は、皮脂コントロールが破綻している明確なサインであり、薄毛の予兆として深刻に捉える必要があります。

鏡で確認!頭皮の色や状態から読み取る危険信号

毎日鏡を見ている人でも、頭皮の色や状態まで詳細にチェックしている人は少ないかもしれません。

しかし、頭皮の色は、血液循環や炎症の有無を視覚的に判断できる、最も分かりやすい健康のバロメーターです。

ハゲの予兆を見逃さないために、今すぐ鏡でご自身の頭皮の色を確認しましょう。

赤みを帯びた頭皮が示す炎症状態

健康な頭皮は、青白く透き通った色をしています。この青白い色は、皮膚が正常に薄く、血行が良好であることを示します。

これに対し、頭皮全体または一部が「赤みを帯びている」場合、それは頭皮の内部で炎症が起きている明確なサインです。

紫外線によるダメージ、シャンプーなどの刺激、または前述の皮脂による脂漏性皮膚炎などが原因として考えられます。

頭皮が赤い状態が続くと、毛母細胞は常にストレスに晒され、正常な髪の成長を妨げられてしまいます。

青白い健康な頭皮との比較

健康な頭皮とそうでない頭皮の色を比較することは、自身の頭皮環境を客観的に把握するために重要です。青白い頭皮は、適切な水分量と皮脂量を保ち、毛穴の詰まりがない状態を意味します。

一方、黄色がかった頭皮は皮脂の酸化による老化、茶色がかった頭皮は血行不良や角質の蓄積を示唆します。

特に、普段見えにくい頭頂部や後頭部を、合わせ鏡やスマートフォンのカメラ機能を使ってチェックし、色の変化がないか確認してください。

皮脂のテカリと毛穴の詰まり

頭皮のテカリも重要な予兆です。頭皮の皮脂腺は顔のTゾーンよりも活発だと言われており、過剰な皮脂は毛穴を詰まらせる原因となります。

毛穴が皮脂で詰まると、毛根の呼吸が妨げられ、生えてくる髪の毛が細くなったり、炎症を引き起こしたりします。

鏡で頭皮をチェックしたとき、毛穴の出口に白い角栓のようなものが詰まっている、または毛穴の周辺がリング状に盛り上がって見える場合は、皮脂による毛穴詰まりの予兆であり、早急なケアが必要です。

健康な頭皮と危険な頭皮の比較

ご自身の頭皮がどの状態にあるか、以下の表でセルフチェックを行いましょう。

項目健康な頭皮危険な予兆がある頭皮
青白い、または薄い肌色赤い、黄色っぽい、茶色っぽい
状態潤いがあり、毛穴が目立たないテカリがある、乾燥して粉を吹いている
毛穴きれいに開いている皮脂や角栓で詰まっている

頭皮の感覚の変化!硬さや匂いで気づく予兆

視覚的な変化だけでなく、頭皮の「感覚」の変化も、ハゲの予兆を捉える上で重要な情報源となります。

特に、頭皮の硬さや普段と違う臭いは、血行不良や常在菌のバランスの乱れを示していることが多いです。

頭皮の硬化と血行不良の関係

頭皮が硬くなっていると感じたら、それは血行不良が起きている予兆かもしれません。頭皮の下には、髪の成長に必要な酸素や栄養を運ぶ毛細血管が張り巡らされています。

しかし、ストレスや姿勢の悪化、自律神経の乱れなどにより筋肉が緊張すると、頭皮が引っ張られて血流が悪くなります。

硬い頭皮は弾力性が失われ、血行が滞っている状態です。血行不良は、毛根に十分な栄養が届かないことを意味し、結果として髪の成長サイクルが乱れ、軟毛化や抜け毛の増加に繋がります。

頭皮の弾力性のセルフチェック法

頭皮の硬さをチェックするには、以下の簡単な方法を試してみましょう。このセルフチェックは、日々の血行状態を把握する上で非常に有用です。

  • 両手の指の腹を頭頂部にあてます。
  • そのまま指の腹で頭皮を動かし、どれだけ容易に動くかを確認します。

健康で血行の良い頭皮は、顔の皮膚と同じように容易に動き、柔らかい弾力性を持っています。

もし頭皮がまるで頭蓋骨に張り付いたかのように動かない、または力を入れてもわずかしか動かない場合は、硬化が進んでいるサインです。

特に、薄毛が進行しやすい頭頂部を重点的にチェックしてください。

頭皮の弾力性チェック法

頭皮の硬さをチェックする際の基準をまとめました。

チェック箇所理想的な状態予兆ありの状態
頭頂部指で動かすとよく動くほとんど動かない、硬い
側頭部頭皮全体が動くのを感じる側頭部に比べて頭頂部が特に硬い
押した感触適度な弾力がある骨に触れているように感じる

頭皮の臭いの変化と常在菌バランスの乱れ

ハゲの予兆は臭いにも現れることがあります。

以前は気にならなかった頭皮の臭いが、最近になって「脂っぽい臭い」「酸化した臭い」「カビのような臭い」に変わったと感じるなら、それは皮脂の過剰分泌と、それに伴う常在菌バランスの乱れを示している可能性が高いです。

常在菌のバランスが崩れると、前述したマラセチア菌などが異常繁殖し、皮脂を分解する際に強い臭いを放ちます。

この状態は、炎症や毛穴の詰まりを加速させ、結果として薄毛を進行させるため、臭いの変化も重要な予兆として認識すべきです。

生活習慣の中に潜むハゲを加速させる因子

ハゲの予兆は、髪や頭皮の変化だけでなく、日々の生活習慣にも深く根ざしています。特に、現代社会特有のストレスや不規則な生活は、髪の成長を妨げる大きな因子です。

ご自身の生活を振り返り、改善点を見つけることが、予兆への具体的な対策となります。

睡眠不足とストレスが髪に及ぼす影響

髪の毛は、私たちが眠っている間に最も成長します。

特に、午後10時から午前2時までの時間帯は「成長ホルモン」が多く分泌されるゴールデンタイムと言われており、この時間帯に深く眠ることが髪の成長には必要です。

睡眠不足は成長ホルモンの分泌を低下させ、毛母細胞の活発な分裂を妨げます。また、長期的なストレスは自律神経を乱し、血管を収縮させて頭皮の血行を悪化させます。

さらに、ストレスは皮脂の分泌を増やし、頭皮環境の悪化にも繋がるため、髪にとっては二重のダメージとなります。

食生活の乱れと必要な栄養素

髪の毛は、私たちが食べたものから作られます。肉や魚などのタンパク質を主要な材料とし、ビタミンやミネラルがその生成をサポートします。

偏った食生活、特にファストフードや加工食品に偏り、タンパク質や亜鉛、ビタミン群が不足すると、健康な髪を生成するための材料が不足してしまいます。

結果として、生えてくる髪は細く弱々しくなり、軟毛化を加速させることになります。ハゲの予兆を感じたなら、食生活の見直しは最も重要で基本的な対策の一つです。

頭皮環境を改善する栄養素

髪と頭皮の健康維持に特に重要とされる栄養素をまとめました。日々の食事で意識して摂取しましょう。

栄養素髪への役割主な食品
タンパク質髪の主要な原料となる肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛タンパク質の合成をサポート牡蠣、レバー、ナッツ類
ビタミンB群新陳代謝を促進、頭皮の健康維持緑黄色野菜、きのこ類

過度な飲酒と喫煙が血行を悪化させる

過度な飲酒は、肝臓に負担をかけ、髪の生成に必要な栄養素の分解・合成を妨げます。さらに、アルコールを分解する過程で生成されるアセトアルデヒドは、血行を悪化させる要因にもなります。

また、喫煙は血管を収縮させるニコチンを体内に取り込むため、頭皮の末端の毛細血管への血流を極端に悪化させます。

これにより、毛根に酸素や栄養が届きにくくなり、髪の成長が阻害されます。血行不良はハゲの予兆である頭皮の硬化や軟毛化を直接的に加速させるため、喫煙は今すぐにでも見直す必要のある習慣です。

今日からできる!ハゲの予兆に気づいた時の具体的な対策

ハゲの予兆に気づいた時、何も行動を起こさないのが最も危険です。初期症状の段階で適切な対策を講じれば、進行を食い止め、改善に向かう可能性が格段に高まります。

ここでは、今日から実践できる具体的なセルフケアと専門家への相談について解説します。

正しいシャンプーの方法と選び方

多くの人がシャンプーの仕方を誤っています。強い力でゴシゴシ洗う、熱すぎるお湯を使う、洗い残しがある、などは全て頭皮環境を悪化させます。

正しいシャンプーは、指の腹を使って優しくマッサージするように洗い、38度程度のぬるま湯で時間をかけてしっかりとすすぎを行うことです。

また、シャンプー選びも重要です。洗浄力が強すぎるシャンプーは必要な皮脂まで取り去り、頭皮の乾燥やかゆみを引き起こします。

反対に洗浄力が弱すぎると皮脂や汚れが残り、脂漏性皮膚炎の原因になります。ご自身の頭皮タイプに合ったシャンプーを選びましょう。

シャンプーの種類と特徴

頭皮環境を整えるために、シャンプーのタイプ別の特徴を理解しましょう。

シャンプータイプ主な洗浄成分特徴
高級アルコール系ラウレス硫酸Naなど洗浄力が強く、皮脂が多い人向け
アミノ酸系ココイルグルタミン酸など洗浄力がマイルドで、頭皮が乾燥しやすい人や敏感肌向け
ベタイン系コカミドプロピルベタインなど低刺激で、頭皮トラブルがある人や子供向け

頭皮マッサージによる血行促進

頭皮の硬化や血行不良がハゲの予兆である場合、頭皮マッサージは非常に有効な対策の一つです。

マッサージによって、硬くなった頭皮の筋肉をほぐし、毛細血管の血流を改善させることができます。血流が改善すれば、髪の成長に必要な酸素と栄養が毛乳頭細胞へ届きやすくなります。

  • 両手の指の腹を使い、頭全体を包み込むように置きます。
  • 生え際から頭頂部に向かって、頭皮をゆっくりと持ち上げるように円を描きながら動かします。

マッサージは爪を立てず、指の腹で優しく、しかし確実に頭皮を動かすことが重要です。

入浴中や入浴後の体が温まっている時に行うと、より効果的な血行促進を期待できます。

正しい洗髪の手順

頭皮環境を最適に保つための具体的な洗髪手順を確認しましょう。

手順ポイント所要時間
予洗い38℃のぬるま湯で約1分、汚れを洗い流す1分
シャンプー指の腹で優しくマッサージしながら洗う2分
すすぎ時間をかけて、泡が完全になくなるまで流す3分

専門クリニックへの早期相談の重要性

セルフケアで改善しない、または軟毛化が明確に進んでいると感じる場合は、専門のクリニックへの早期相談が最も大切です。

自己判断で育毛剤を選んだり、間違ったケアを続けたりすることは、時間と費用の浪費に繋がりかねません。AGAは進行性の脱毛症であり、進行を止めるためには専門的な診断と治療が必要です。

クリニックでは、頭皮の状態や髪の太さを正確に診断し、ご自身の薄毛の原因に合わせた効果的な治療を提案してくれます。

予兆の段階で相談すれば、内服薬や外用薬で簡単に進行を抑えられる可能性が高いです。

ハゲの予兆をセルフチェックするための5つのポイント

ハゲの予兆を捉えるためには、日々の生活の中で意識的に髪と頭皮を観察する習慣を持つことが重要です。

以下の5つのポイントを日々のセルフチェックに取り入れ、変化を見逃さないようにしましょう。

日々の観察で変化を見逃さないチェックリスト

毎日欠かさず確認したい予兆のチェックリストを作成します。朝晩、鏡を見るついでに、これらの項目を確認する習慣をつけましょう。

小さな変化を記録していくことが、薄毛の進行を防ぐための大切な一歩となります。

予兆を感じた時に記録すべきこと

「髪が細くなった気がする」「頭皮が頻繁にかゆい」といった予兆を感じたら、その症状を詳細に記録することが重要です。

いつからその症状が出たのか、一日のどの時間帯に最も症状を感じるのか、食生活や睡眠時間に変化があったか、などを記録します。

この記録は、後に専門クリニックを受診する際、医師が原因を特定するための貴重な情報源となります。

写真で比較する頭皮・髪の過去と現在

人間の記憶は曖昧なものであり、特に進行が緩やかなAGAでは、数ヶ月前の状態を正確に覚えておくのは困難です。そこで有効なのが「写真による記録」です。

毎月同じ場所、同じ明るさで、頭頂部と生え際を撮影する習慣をつけましょう。

写真を並べて比較することで、自分では気づきにくい軟毛化や、分け目の広がりなどの小さな変化を客観的に捉えることができます。

これが、治療開始のタイミングを見極めるための最も確実な方法の一つです。

ハゲの予兆セルフチェックシート

以下の項目で、ご自身の現在の状態を確認しましょう。チェックが多いほど、予兆がある可能性が高まります。

予兆チェック項目はい/いいえ重要度
髪のセットが崩れやすくなった
頭皮を触ると硬く、動かない
頭皮にかゆみや炎症が続く
朝起きた時、枕が脂っぽい臭いがする
額の生え際の産毛が増えた気がする
日中、頭皮のテカリが気になる

生活習慣の改善点と効果

予兆に気づいた時に見直すべき生活習慣と、その改善がもたらす効果をまとめました。

生活習慣改善行動期待される効果
睡眠7時間以上の確保、質の改善成長ホルモンの分泌促進
食事タンパク質、ビタミン、亜鉛の積極摂取髪の毛の材料補給、生成サポート
ストレス適度な運動、趣味、リラックス血行不良の改善、自律神経の安定

よくある質問

ハゲの予兆や初期症状について、多くの方が抱える疑問とその回答をまとめました。

細くなった髪はセルフケアで太くなりますか?

細くなった髪、すなわち軟毛化が始まった髪を自力で健康な太さに戻すのは、非常に難しいです。

軟毛化は主にAGAによるホルモンの影響で起こるため、市販の育毛剤やサプリメントだけで劇的な改善を期待することはできません。

ただし、頭皮環境を整えるシャンプーやマッサージを行うことで、残っている健康な髪の維持を助け、これ以上の進行を緩やかにすることは可能です。

根本的な改善を目指す場合は、専門クリニックでの治療を検討する必要があります。

頭皮のかゆみやフケが治まれば薄毛の心配はなくなりますか?

頭皮のかゆみやフケは、頭皮環境の悪化を示す予兆であり、これらの症状が治まれば、薄毛が進行するリスクの一つは解消されます。

しかし、薄毛の最も主要な原因であるAGAは、頭皮のかゆみとは別の要因(ホルモン)によって引き起こされます。

したがって、かゆみやフケが治まっても、髪が細くなる軟毛化が進んでいる場合は、引き続きAGAの対策が必要です。頭皮環境の改善とAGA対策は並行して行うことが大切です。

市販の育毛剤はハゲの予兆段階で効果がありますか?

市販の育毛剤は、血行促進や頭皮環境の改善を目的とした成分を含んでおり、ハゲの「予兆」段階、つまり頭皮のかゆみや軽度の軟毛化が見られる段階で使用を始めることは有益です。

特に、頭皮の血行不良や炎症といった予兆に対しては、有効な働きが期待できます。

しかし、育毛剤には進行を止める医学的な効果を持つ成分(ミノキシジルなど)は含まれていないため、軟毛化が明確に進み、薄毛の進行が確認された場合は、より効果の高い専門治療へ移行することを推奨します。

ヘアワックスや整髪料の使用は薄毛を進行させますか?

ヘアワックスや整髪料そのものが薄毛を直接進行させるわけではありませんが、使い方を誤ると頭皮環境を悪化させる原因となります。

特に、整髪料を頭皮につけたまま長時間放置すると、毛穴を詰まらせ、皮脂の酸化や常在菌の異常繁殖を引き起こし、炎症や抜け毛の原因となることがあります。

整髪料を使用した日は、必ずその日のうちに、前述した正しい手順で丁寧にシャンプーし、頭皮と髪を清潔な状態に戻すことが重要です。

遺伝的に薄毛ではない場合も予兆に注意すべきですか?

はい、遺伝的な要因が薄毛の最大の原因であることは事実ですが、薄毛の原因は遺伝だけではありません。

過度なストレス、急激な体重減少、生活習慣の乱れ、間違ったヘアケアによる頭皮の炎症など、様々な後天的な要因が抜け毛や軟毛化を引き起こすことがあります。

AGAではないタイプの脱毛症であっても、早期に予兆に気づき、原因を取り除くことで、進行を食い止めることは可能です。

遺伝に関わらず、髪と頭皮の変化には常に注意を払う必要があります。

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