頭頂部の薄毛、原因は?AGAの進行を止め、改善するための対策

頭頂部の薄毛、原因は?AGAの進行を止め、改善するための対策

ふと鏡を見たとき、あるいは他人からの視線を感じたとき、「頭頂部が薄くなってきたかも…」と不安に感じていませんか。

つむじ周りの地肌が透けて見えたり、髪全体のボリュームが減ったりすると、気分も落ち込みがちです。頭頂部の薄毛はAGA(男性型脱毛症)の典型的な症状の一つであり、放置すると進行してしまいます。

しかし、原因を正しく理解し、適切な対策を早期に始めることで、進行を遅らせ、改善を目指すことは可能です。

この記事では、頭頂部の薄毛の原因を深掘りし、今日から始められる具体的な対策を分かりやすく解説します。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

頭頂部の薄毛が目立つサインとは?

頭頂部の薄毛は、自分では気づきにくい場所であるため、発見が遅れがちです。しかし、日常のふとした瞬間に、いくつかのサインが現れます。

これらの初期症状を見逃さず、早期に対策を始めることが重要です。

「つむじが広がってきた」と感じる瞬間

頭頂部の薄毛は、多くの場合「つむじ」周辺から始まります。以前と比べてつむじの渦がぼやけて見えたり、地肌が見える範囲が広くなったりした場合、注意が必要です。

合わせ鏡を使ったり、家族や友人にスマートフォンのカメラで撮影してもらったりすると、客観的に状態を把握できます。

「なんとなく薄くなった気がする」という感覚は、多くの場合、薄毛が始まっているサインです。

頭頂部の地肌が透けて見える

髪の毛が細くなったり、本数が減少したりすると、髪の毛と髪の毛の隙間から地肌が透けて見えるようになります。

特に、頭頂部は太陽光や照明が直接当たるため、地肌が目立ちやすい場所です。

髪をセットしてもすぐに地肌が見えてしまう、あるいは濡れた状態だと特に地肌が目立つと感じる場合、薄毛が進行している可能性があります。

髪の毛にハリやコシがなくなった

頭頂部や前髪の毛が、側頭部や後頭部の毛と比べて明らかに細く、弱々しくなったと感じるのもサインの一つです。髪の毛一本一本が細くなると、全体のボリューム感が失われます。

手で触れたときの感触が柔らかすぎたり、髪が立ち上がりにくくなったりした場合、毛髪の成長サイクルに異常が生じている可能性を考えましょう。

抜け毛の質が変わった(細い・短い毛が増える)

シャンプーやブラッシングの際に抜ける毛を観察することも大切です。

健康な髪の毛は一定の太さと長さがありますが、薄毛が進行している場合、まだ成長しきる前の細くて短い毛が抜け毛の中に多く混じるようになります。

これは、髪の毛が十分に成長する前に抜けてしまう「ヘアサイクルの短縮化」が起きている証拠であり、特にAGAでよく見られる現象です。

なぜ頭頂部から薄くなるのか?主な原因を探る

頭頂部は、薄毛のサインが現れやすい部位の一つです。なぜ他の部位に比べて頭頂部が影響を受けやすいのでしょうか。

そこには、AGA(男性型脱毛症)の影響や、頭皮の血流、生活習慣など、複数の要因が複雑に関係しています。

AGA(男性型脱毛症)の影響

頭頂部の薄毛(O字型)の最も一般的な原因は、AGA(男性型脱毛症)です。

AGAは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、特定の酵素(5αリダクターゼ)の働きによって「ジヒドロテストステロン(DHT)」という悪玉男性ホルモンに変換されることで発症します。

このDHTが、毛根にある受容体と結合すると、髪の成長期が短縮され、髪が細く、短くなる「軟毛化」が引き起こされます。

頭頂部と前頭部(生え際)は、このDHTの影響を特に受けやすい部位であるため、薄毛が進行しやすくなります。

生活習慣の乱れ(食生活・睡眠)

髪の毛は、私たちが摂取する栄養素から作られています。偏った食生活や無理なダイエットを続けると、髪の成長に必要なタンパク質、ビタミン、ミネラルが不足し、健康な髪が育ちにくくなります。

特に、脂質の多い食事は頭皮の皮脂分泌を過剰にし、毛穴を詰まらせる原因にもなります。また、睡眠不足も大敵です。髪の成長を促す「成長ホルモン」は、主に睡眠中に分泌されます。

睡眠の質が低いと、このホルモンの分泌が減少し、髪の成長が妨げられます。

頭皮環境の悪化(血行不良・皮脂)

頭皮は髪の毛が育つ土壌です。頭皮の血行が悪くなると、毛根にある毛母細胞へ十分な栄養素や酸素が届かなくなります。

デスクワークで長時間同じ姿勢を続けたり、運動不足だったりすると、頭部への血流が滞りやすくなります。

さらに、頭皮の皮脂が過剰に分泌されたり、逆に乾燥しすぎたりすると、頭皮環境が悪化します。シャンプーのすすぎ残しや、不適切なヘアケアも、毛穴の詰まりや炎症を引き起こし、薄毛の原因となります。

頭皮の血行不良と薄毛の関係

頭皮の血流は、髪の成長にとって生命線です。血流が悪化すると、毛母細胞の活動が低下し、薄毛につながります。

血行を促進するためには、栄養バランスの取れた食事が重要です。

血行促進に期待される栄養素主な働き多く含まれる食品例
ビタミンE末梢血管を広げ、血流を改善する働きアーモンド、うなぎ、アボカド
EPA(エイコサペンタエン酸)血液をサラサラにし、流れを良くする働き青魚(サバ、イワシ、アジ)
カプサイシン体温を上げ、血行を促進する働き唐辛子

ストレスによる影響

過度な精神的ストレスも、頭頂部の薄毛に影響を与えます。ストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位になります。交感神経が活発になると、血管が収縮し、頭皮への血流が悪化します。

また、ストレスはホルモンバランスの乱れを引き起こしたり、睡眠の質を低下させたりすることもあります。これらの要因が複合的に作用し、髪の成長を妨げ、抜け毛を増加させると考えられています。

頭頂部の薄毛とAGA(男性型脱毛症)の深い関係

頭頂部の薄毛について語る上で、AGA(男性型脱毛症)の理解は避けて通れません。多くの男性が悩む頭頂部の薄毛は、AGAが主な原因であることが非常に多いのです。

ここでは、AGAがどのようにして頭頂部の薄毛を引き起こすのか、その関係性を詳しく解説します。

AGAとは何か

AGA(Androgenetic Alopecia)は、一般的に「男性型脱毛症」と呼ばれる症状で、成人男性に見られる進行性の脱毛症です。思春期以降に発症し、生え際(前頭部)や頭頂部の髪が薄くなるのが特徴です。

AGAは、遺伝的要因と男性ホルモンの影響が主な原因とされています。

病気や一時的な体調不良による脱毛とは異なり、AGAは一度発症すると自然に治癒することはなく、対策を講じなければ薄毛は徐々に進行していきます。

悪玉男性ホルモン「DHT」の働き

AGAの直接的な引き金となるのが、「ジヒドロテストステロン(DHT)」という強力な男性ホルモンです。

体内の男性ホルモン「テストステロン」が、頭皮(特に前頭部と頭頂部)に多く存在する「5αリダクターゼ」という酵素と結合することでDHTが生成されます。

このDHTが、毛根にある「アンドロゲン受容体(男性ホルモン受容体)」に結合すると、毛母細胞の活動が抑制され、髪の成長期(通常2年〜6年)が極端に短縮されます。

その結果、髪は太く長く成長する前に抜け落ち、細く短い「うぶ毛」のような毛(軟毛)ばかりになってしまい、地肌が目立つようになるのです。

遺伝的要因はどの程度関わるのか

AGAの発症には、遺伝が大きく関わっています。具体的には、「5αリダクターゼの活性度」と「アンドロゲン受容体の感受性」という2つの遺伝的要因が影響します。

5αリダクターゼが活発な体質(DHTが作られやすい体質)や、アンドロゲン受容体がDHTと結合しやすい体質(DHTの影響を受けやすい体質)は、両親から遺伝する可能性があります。

特に、アンドロゲン受容体の感受性は母方の遺伝子(X染色体)によって決まるため、「母方の祖父が薄毛だと自分も薄毛になりやすい」と言われることがありますが、これは医学的にも一理あるとされています。

頭頂部(O字型)の薄毛はAGAの典型パターン

AGAによる薄毛の進行パターンは人によって異なりますが、大きく分けると「生え際から後退するM字型」、「頭頂部から薄くなるO字型」、そしてその両方が進行する「U字型(またはM+O字型)」があります。

頭頂部は、AGAの原因となる5αリダクターゼとアンドロゲン受容体の両方が多く存在する部位です。

そのため、DHTの影響を強く受けやすく、O字型の薄毛はAGAの典型的なパターンの一つとされています。つむじ周辺から円形に薄くなっていくのが特徴です。

AGAの進行パターン分類

AGAの進行度合いを示す分類法として「ハミルトン・ノーウッド分類」が国際的に広く用いられています。自身の状態を客観的に知る目安になります。

分類(簡易)主な特徴頭頂部の状態
I型薄毛の兆候はほとんどない変化なし
II型〜III型主に生え際(M字)が後退し始めるまだ目立たない(III-Vertexは頭頂部も開始)
IV型〜V型生え際の後退に加え、頭頂部の薄毛も顕著になるO字型の薄毛が明確になる
VI型〜VII型前頭部と頭頂部の薄毛がつながり、広範囲に及ぶ広範囲に地肌が露出する

AGAは進行性 放置するリスクとセルフチェック

頭頂部の薄毛がAGAによるものである場合、最も重要な事実の一つは「AGAは進行性である」ということです。この特性を理解せず放置してしまうと、改善の機会を逃すことになりかねません。

早期発見と早期対策が、将来の髪の状態を大きく左右します。

AGAが自然に治らない理由

AGAは、体質(遺伝)と男性ホルモンの働きによって引き起こされるため、風邪のように自然に治ることはありません。

DHTが毛根のヘアサイクルを乱し続ける限り、髪の軟毛化と抜け毛は止まらず、薄毛はゆっくりと、しかし確実に進行していきます。

生活習慣の改善や頭皮ケアだけでは、AGAの根本的な原因であるDHTの働きを抑えることは難しく、進行を止めるには専門的な対策が必要です。

薄毛の進行を放置するとどうなるか

AGAを放置すると、ヘアサイクルが短縮され続けた結果、毛根の「毛包」と呼ばれる組織が徐々に小さく(ミニチュア化)なっていきます。

毛包が小さくなると、そこから生えてくる髪はさらに細く弱々しくなります。この状態が長く続くと、最終的には毛包が活動を停止し、髪の毛そのものが生えてこなくなる可能性があります。

一度活動を停止した毛包を再生させるのは非常に困難です。そのため、毛包がまだ活動している早い段階で対策を始めることが、改善の鍵となります。

自宅でできる頭頂部の薄毛セルフチェック方法

頭頂部は自分では見えにくいため、定期的なセルフチェックが重要です。手鏡と洗面台の鏡を使った「合わせ鏡」や、スマートフォンのカメラ機能を利用しましょう。

特に、シャンプー後で髪が濡れている状態や、頭頂部に光が当たっている状態だと、地肌の透け具合が分かりやすくなります。家族や信頼できるパートナーに見てもらうのも良い方法です。

頭頂部セルフチェックのポイント

以下のポイントを確認し、以前の状態と比較してみましょう。一つでも当てはまれば、頭頂部の薄毛が始まっているサインかもしれません。

チェック項目確認方法注意すべき状態
つむじの状態頭頂部を真上から撮影または鏡で見るつむじの渦がはっきりせず、地肌が広く見える
地肌の透け具合髪をかき分けて地肌の色を見る地肌が赤っぽい、または茶色っぽくくすんでいる
髪の太さとコシ頭頂部の毛と側頭部の毛を触り比べる頭頂部の毛が明らかに細く、柔らかい
抜け毛の質枕元や排水溝の抜け毛を確認する細くて短い毛が目立つ

早期対策の重要性

AGAは進行性であり、放置すればするほど毛包のミニチュア化が進み、改善が難しくなります。

逆に言えば、毛包がまだ元気に活動している「早期」の段階で対策を始めれば、AGAの進行を食い止め、髪の毛を再び太く長く育てる(毛髪の改善)可能性が高まります。

「まだ大丈夫だろう」と先延ばしにせず、「気になり始めた今」が対策を始める最良のタイミングです。

頭頂部の薄毛を改善する基本的な生活習慣

頭頂部の薄毛対策として、AGAの進行を抑える専門的なケアは重要ですが、それと同時に、髪が健康に育つための土台となる「生活習慣」を見直すことも欠かせません。

日々の生活を整えることで、頭皮環境や体全体の健康状態が改善し、育毛剤などのケアの効果も高まります。

髪の成長に必要な栄養素を摂る

髪の毛の主成分は「ケラチン」というタンパク質です。そのため、まずは良質なタンパク質(肉、魚、卵、大豆製品など)をしっかり摂取することが基本です。

しかし、タンパク質だけでは髪は作られません。摂取したタンパク質を髪の毛に変える際には、「亜鉛」というミネラルが重要な役割を果たします。

亜鉛は牡蠣やレバー、ナッツ類に多く含まれます。また、頭皮の健康を保ち、血行を促進するためには、「ビタミンB群」(豚肉、レバー、青魚など)や「ビタミンE」(アーモンド、アボカドなど)も大切です。

特定の食材に偏らず、バランスの良い食事を心がけましょう。

髪の健康をサポートする主な栄養素

栄養素主な働き多く含まれる食品例
タンパク質髪の主成分(ケラチン)の材料となる肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
亜鉛タンパク質の合成を助け、ヘアサイクルを正常に保つ牡蠣、レバー、牛肉(赤身)、チーズ、ナッツ類
ビタミンB群頭皮の新陳代謝を促し、皮脂の分泌をコントロールする豚肉、レバー、うなぎ、マグロ、カツオ、納豆

質の高い睡眠を確保する

髪の毛は、毛母細胞が分裂・増殖することによって成長します。この毛母細胞の活動を最も活発にするのが「成長ホルモン」です。

成長ホルモンは、深い睡眠に入っている時間帯、特に夜10時から深夜2時の間(諸説あり)に多く分泌されると言われています。大切なのは「時間」だけでなく「質」です。

毎日決まった時間に寝る、寝る直前のスマートフォン操作やカフェイン摂取を避けるなど、深く快適な睡眠を得るための工夫をしましょう。最低でも6時間以上の睡眠時間を確保することが望ましいです。

ストレスを上手に管理する

前述の通り、過度なストレスは自律神経のバランスを崩し、頭皮の血行不良やホルモンバランスの乱れを引き起こします。

現代社会でストレスをゼロにすることは難しいですが、自分なりの解消法を見つけて溜め込まないことが重要です。

趣味に没頭する時間を作る、軽い運動で汗を流す、ゆっくり湯船に浸かってリラックスするなど、心身ともにリフレッシュできる時間を取り入れましょう。

適度な運動で血行を促進する

運動不足は、全身の血行不良を招きます。特に頭頂部は心臓から遠く、重力の影響もあって血流が滞りやすい部位です。

ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を週に数回取り入れることで、心肺機能が高まり、全身の血流が改善します。

血流が良くなれば、髪の成長に必要な栄養素と酸素が頭皮の隅々まで行き渡りやすくなります。運動はストレス解消にもつながるため、一石二鳥の効果が期待できます。

育毛剤による頭頂部ケアの始め方

生活習慣の改善と並行して、頭頂部の薄毛対策として積極的に取り入れたいのが「育毛剤」によるセルフケアです。育毛剤は、頭皮環境を整え、抜け毛を予防し、髪の成長をサポートする目的で使用します。

自分の頭皮の状態や薄毛の原因に合ったものを選び、正しく使い続けることが重要です。

育毛剤の役割と期待できること

育毛剤の主な役割は、「頭皮環境の改善」「血行促進」「毛母細胞の活性化」そして「抜け毛の予防」です。

AGAの進行を直接的に止める「発毛剤」(医薬品)とは異なり、育毛剤(多くは医薬部外品)は、今ある髪を健康に育て、これから生えてくる髪が育ちやすい環境を作ることを目指します。

頭頂部の地肌が目立ってきた、髪が細くなってきた、という初期段階の対策として、また、AGA対策と並行して頭皮環境を整えるためにも役立ちます。

頭頂部の薄毛対策に適した育毛剤の選び方

育毛剤には様々な成分が配合されています。頭頂部の薄毛対策として選ぶ際は、以下の点に注目しましょう。まずは「血行促進成分」(センブリエキス、ビタミンE誘導体など)が配合されているか。

頭頂部は血流が滞りやすいため、この成分は重要です。次に、「抗炎症成分」(グリチルリチン酸2Kなど)で頭皮の炎症を抑え、「保湿成分」(ヒアルロン酸、コラーゲンなど)で乾燥を防ぐことも、健康な頭皮環境維持に役立ちます。

また、AGAの影響が気になる場合は、皮脂の過剰分泌を抑える成分や、男性ホルモンにアプローチする独自の成分(例:キャピキシル、リデンシルなど※これらは化粧品成分)が配合されたものを選ぶのも一つの方法です。

育毛剤の主な成分カテゴリー

育毛剤には、目的に応じて様々な有効成分やサポート成分が配合されています。自身の頭皮の状態に合わせて選びましょう。

成分カテゴリー期待される働き代表的な成分例
血行促進成分頭皮の血流を良くし、毛根に栄養を届けるセンブリエキス、ビタミンE誘導体、ニコチン酸アミド
抗炎症成分頭皮の炎症やフケ・かゆみを抑え、環境を整えるグリチルリチン酸2K、アラントイン
毛母細胞活性化成分毛根の細胞に働きかけ、髪の成長を促すパントテニルエチルエーテル、t-フラバノン

効果的な育毛剤の使い方(塗布のコツ)

育毛剤は、ただ塗るだけでは十分な効果を発揮できません。最も重要なのは「清潔な頭皮に、直接塗布する」ことです。

シャンプー後、髪をしっかりとタオルドライし、ドライヤーである程度乾かしてから使用します(半乾き程度が推奨される製品もあります)。

頭頂部の気になる部分を中心に、育毛剤のノズルを頭皮に直接つけ、数カ所に分けて塗布します。髪の毛につけるのではなく、必ず「頭皮」につけることを意識してください。

塗布後は、指の腹を使って、頭皮全体を優しくマッサージするように揉み込み、育毛剤をなじませます。

頭頂部への正しい塗布手順

  • シャンプーで頭皮の汚れを落とす
  • タオルドライ後、ドライヤーで頭皮を乾かす
  • つむじを中心に、頭頂部の気になる部分に育毛剤を塗布
  • 指の腹で優しく揉み込み、頭皮全体になじませる

育毛剤使用の注意点と継続の必要性

育毛剤は、使用してすぐに効果が出るものではありません。髪の毛には「ヘアサイクル」があり、新しい髪が生えて成長するまでには時間がかかります。

一般的に、育毛剤の効果を実感するまでには、最低でも3ヶ月から6ヶ月程度の継続使用が必要です。毎日欠かさず、正しい使い方でケアを続けることが何よりも重要です。

また、使用中に頭皮にかゆみや赤みなどの異常が出た場合は、すぐに使用を中止し、皮膚科医に相談してください。

生活習慣・育毛剤以外の対策と専門機関への相談

頭頂部の薄毛対策は、生活習慣の改善や育毛剤の使用が基本となりますが、それ以外にも日々のヘアケアの見直しや、専門家の力を借りるという選択肢もあります。

AGAは進行性であるため、セルフケアで改善が見られない場合や、より積極的な対策を望む場合は、専門機関への相談も視野に入れましょう。

正しいシャンプー方法で頭皮環境を整える

毎日のシャンプーは、頭皮環境を左右する重要なケアです。洗浄力が強すぎるシャンプーは、頭皮に必要な皮脂まで奪い、乾燥や皮脂の過剰分泌を招くことがあります。

アミノ酸系などのマイルドな洗浄成分のシャンプーを選ぶことをお勧めします。洗い方にもコツがあります。まずはお湯で十分に予洗いし、シャンプーは手のひらでよく泡立ててから頭皮に乗せます。

爪を立てず、指の腹を使って頭皮を優しくマッサージするように洗い、すすぎは時間をかけて徹底的に行います。シャンプー剤のすすぎ残しは、毛穴詰まりや炎症の原因となるため注意が必要です。

頭皮マッサージのやり方と注意点

頭皮マッサージは、硬くなった頭皮をほぐし、血行を促進するのに役立ちます。育毛剤を塗布した後や、シャンプー中に行うと効果的です。

ただし、力を入れすぎたり、爪を立てたりすると、逆に頭皮を傷つけてしまう可能性があります。指の腹を使い、「気持ち良い」と感じる程度の力加減で、頭皮全体を動かすように揉みほぐしましょう。

頭皮マッサージの基本

  • 指の腹を頭皮に密着させる
  • 爪を立てず、心地よい圧で押す・揉む
  • 頭皮全体をまんべんなく(特に頭頂部や側頭部)
  • 毎日数分間、リラックスして行う

薄毛対策の専門クリニック(皮膚科・AGAクリニック)とは

セルフケアを続けても頭頂部の薄毛が改善しない、あるいは急速に進行していると感じる場合は、皮膚科やAGA専門クリニックに相談することを検討しましょう。

これらの専門機関では、医師が頭皮の状態や薄毛の原因を診断し、医学的根拠に基づいた対策を提案してくれます。

特にAGA専門クリニックでは、薄毛治療に特化した検査や、内服薬・外用薬の処方など、より専門的なアプローチが可能です。

専門機関で受けられる対策

AGAクリニックなどでは、主に「フィナステリド」や「デュタステリド」といった、AGAの原因であるDHTの生成を抑える内服薬や、「ミノキシジル」という毛母細胞を活性化させ発毛を促す外用薬(塗り薬)が処方されます。

これらは医薬品であり、医師の診断のもとで使用する必要があります。

セルフケア(育毛剤や生活習慣改善)が「守りのケア(抜け毛予防・環境整備)」であるのに対し、専門機関での対策は「攻めのケア(AGAの進行抑制・発毛促進)」と位置づけることができます。

対策方法の比較

セルフケアと専門機関での対策には、それぞれ特徴があります。自身の薄毛の進行度や目指す状態に合わせて選択することが重要です。

対策方法主な内容期待できること
セルフケア(生活習慣・育毛剤)食事、睡眠、運動の改善。育毛剤(医薬部外品)の使用。頭皮環境の改善、抜け毛の予防、今ある髪の健康維持。
専門機関(AGAクリニック等)医師の診断。医薬品(内服薬・外用薬)の処方。AGAの進行抑制(DHTの抑制)、発毛促進(毛母細胞の活性化)。

頭頂部の薄毛に関するよくある質問

頭頂部の薄毛はどのくらいの期間で改善しますか?

対策方法や薄毛の進行度、個人の体質によって大きく異なります。

ヘアサイクル(髪が生え変わる周期)を考慮すると、どのような対策であっても目に見える変化を感じるまでには、最低でも3ヶ月から6ヶ月は必要です。

焦らず、根気強くケアを続けることが重要です。

育毛剤はいつから使い始めるべきですか?

「気になり始めたらすぐ」が最適なタイミングです。頭頂部の薄毛は、初期段階であるほど改善しやすい傾向にあります。

地肌が透けて見える、髪にコシがなくなった、抜け毛が増えたなど、少しでもサインを感じたら、予防的な意味も含めて早めに育毛剤によるケアを始めることをお勧めします。

食生活の改善だけで頭頂部の薄毛は治りますか?

食生活の乱れが原因の薄毛であれば、改善することで抜け毛が減る可能性はあります。

しかし、頭頂部の薄毛の主な原因がAGAである場合、食生活の改善だけでAGAの進行を止めることは困難です。

食生活の改善は、あくまで健康な髪を育てるための「土台作り」と捉え、育毛剤の使用や専門機関での対策と並行して行うことが望ましいです。

帽子をかぶると薄毛が悪化しますか?

帽子をかぶること自体が、直接的に薄毛の原因になることはありません。むしろ、頭頂部を紫外線から守るという点ではメリットがあります。

ただし、長時間かぶり続けて頭皮が蒸れると、雑菌が繁殖しやすくなり、頭皮環境が悪化する可能性があります。

通気性の良い帽子を選び、室内では脱ぐ、汗をかいたらこまめに拭くなどの配慮をしましょう。

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