こめかみが薄い(ハゲる)原因は?M字はげ(AGA)のサインと、生え際対策

こめかみが薄い(ハゲる)原因は?M字はげ(AGA)のサインと、生え際対策

「最近、こめかみの生え際が後退してきた」「鏡を見るたびにM字型の剃り込みが深くなっている気がする」といったお悩みを抱えていませんか。

こめかみ部分の薄毛は、男性にとって非常にデリケートな問題であり、その変化は単なる年齢によるものではない可能性があります。

特にM字型の薄毛は、進行性の脱毛症である男性型脱毛症(AGA)の代表的なサインです。この変化を無視せず、正しい知識を持つことが早期対策の鍵を握ります。

本記事では、こめかみが薄くなる根本的な原因、AGAの具体的なサイン、そして今日から始められる効果的な生え際対策について、読者であるあなたの不安に寄り添いながら、親切丁寧に解説していきます。

この記事が、生え際の悩みを解消し、自信を取り戻すための一歩となるよう、具体的な情報を提供します。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

こめかみが薄くなる生え際の変化を知る

生え際の薄毛は、多くの男性が経験する可能性のある現象ですが、その変化のパターンを正しく理解することが、適切な対策を立てるための最初のステップです。

こめかみ部分の毛髪が薄くなり始める現象は、単なる髪質の変化ではなく、特定の脱毛症が進行しているサインである場合があります。

まずは、生え際の変化がどのようなパターンで現れるのか、その特徴を把握しましょう。

M字はげの特徴と進行のサイン

M字はげは、前頭部の生え際、特にこめかみの上あたりから薄毛が進行し、額の形がアルファベットの「M」の字のように見える状態を指します。

このタイプの薄毛は、男性型脱毛症(AGA)の初期段階や主要な進行パターンとして知られています。初期のサインとしては、生え際の髪の毛が細く、短く、弱々しくなり始めることが挙げられます。

以前は太くしっかりしていた毛が、産毛のような状態に変化していくのです。また、朝起きた時に枕に付着している抜け毛の量が以前よりも増加していることに気づくかもしれません。

抜け毛の毛根部分を観察すると、通常あるはずの白いふくらみ(毛根鞘)がない、または非常に小さいといった特徴も、AGAの進行を示唆するサインとなります。

進行が進むと、こめかみの後退がさらに顕著になり、額が広く見えるようになります。

こめかみとM字はげの密接な関係

こめかみの薄毛とM字はげは、実は同じ現象の異なる側面です。M字はげは、生え際全体が均等に後退するのではなく、主に左右のこめかみの上部から中央に向かって後退することで形成されます。

このこめかみ部分の毛乳頭細胞は、AGAの原因となる男性ホルモン(ジヒドロテストステロン:DHT)の影響を特に受けやすいとされています。

そのため、他の頭皮部分よりも早く、強く脱毛作用が現れやすいのです。

こめかみの生え際がわずかに後退し始めた段階は、M字はげの「始まり」と捉えるべきであり、この段階での対策が後の進行を大きく左右します。

この部分の毛が細くなった、ハリやコシが失われたと感じたら、それは生え際の薄毛が進行している重要な警告信号だと認識してください。

ハミルトン・ノーウッド分類による進行度チェック

分類ステージ生え際の状態対策の重要度
I型生え際の後退はほとんど見られない予防的なケアが大切です
II型こめかみ部分にわずかな後退が見られる(M字の兆候)積極的な対策の開始が必要です
III型M字型の後退がはっきりし、薄毛と認識されるレベル専門的な治療を検討する重要度が高いです
IV型以降薄毛の範囲が広がり、頭頂部にも及ぶ医師による継続的な治療が必要です

この分類は、AGAの進行度を客観的に判断するための世界的な基準です。自分の生え際がどの段階にあるのかをチェックすることで、現在の状況を正しく把握し、次の対策へとつなげられます。

こめかみの薄毛がII型やIII型の初期段階であれば、セルフケアや育毛剤での対策を強化する価値が十分にあると言えるでしょう。

M字はげとAGA こめかみ薄毛の根本的な原因

こめかみが薄くなる原因は一つではありませんが、特に進行性のM字はげの場合、その背景には必ずAGAの存在があります。

しかし、AGA以外の要因も薄毛の進行を加速させることが分かっています。

ここでは、こめかみの薄毛を引き起こす根本的な原因と、それらがどのように髪の毛に影響を与えているのかを詳しく見ていきましょう。

男性型脱毛症(AGA)の関与と仕組み

男性型脱毛症(AndrogeneticAlopecia, AGA)は、成人男性に最も多く見られる脱毛症です。

AGAは、主に男性ホルモンの一種であるテストステロンが、頭皮に存在する「5αリダクターゼ」という酵素と結合することで「ジヒドロテストステロン(DHT)」という強力な男性ホルモンに変化することで引き起こされます。

このDHTが、毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体と結合することで、毛母細胞へ「髪の成長を止めよ」という脱毛信号を送ります。

これにより、通常2年から6年あるはずの髪の成長期が数ヶ月から1年程度にまで短縮されてしまいます。

成長が途中で止まってしまうため、髪の毛は十分に太く長く育つことができず、細く短いまま抜け落ちてしまいます。

これが「軟毛化」と呼ばれる現象であり、特に前頭部やこめかみ部分の毛髪で顕著に現れるのです。このDHTに対する感受性は遺伝によって決まります。

ストレスや生活習慣の大きな影響

AGAの遺伝的要因があったとしても、日々の生活習慣やストレスが薄毛の進行を大きく左右します。過度のストレスは、自律神経の乱れを引き起こし、血管を収縮させて血行不良を招きます。

髪の毛の成長に必要な栄養素は血液に乗って毛乳頭に運ばれるため、頭皮の血行不良は髪の成長を妨げ、脱毛を促進する原因となります。

また、睡眠不足や不規則な食生活も、髪の成長に必要なホルモンの分泌や細胞の再生サイクルを乱します。特に、喫煙は血管を収縮させ、ビタミンCを破壊するため、薄毛にとって非常に悪い習慣です。

これらの生活習慣の乱れは、AGAによる脱毛を加速させるだけでなく、AGAではない休止期脱毛などの他の脱毛症を引き起こす可能性もあります。

遺伝的な要因が髪に与える影響

AGAの発症には、遺伝が大きく関わることが知られています。遺伝するのは、「5αリダクターゼ」の活性度と、「男性ホルモン受容体」の感受性の2つの要素です。

特に、男性ホルモン受容体の感受性を決定する遺伝子は、母親の父親(祖父)から受け継がれることが多いとされています。

受容体の感受性が高いと、DHTという脱毛ホルモンの量が少なくても、その影響を強く受けてしまい、薄毛になりやすい体質となります。

そのため、家系内に薄毛の人がいる場合、特に注意深くこめかみの変化を観察し、早期の対策を始めることが重要です。遺伝的な傾向を理解することで、より積極的な予防的なアプローチを取れます。

こめかみの薄毛を引き起こす原因因子

原因の分類具体的な因子髪への影響
遺伝的要因5αリダクターゼの活性度DHT生成量の増加
ホルモン要因ジヒドロテストステロン(DHT)毛周期の短縮(AGA)
環境要因ストレス、睡眠不足、偏食血行不良、栄養不足

AGAによる脱毛の具体的なサインと進行の判断

こめかみの薄毛がAGAによるものであるかどうかを判断するためには、単に髪が抜ける量だけでなく、抜け毛や頭皮の状態に現れる具体的なサインを詳細にチェックすることが大切です。

AGAは進行性の脱毛症であり、初期のサインを見逃さずに適切な対応を取ることが、将来の毛髪の状態を維持するために極めて重要となります。

ここでは、AGA特有のサインと、それに基づいた進行度の判断方法について解説します。

進行性の病気であるという認識

AGAの最も重要な特徴は、その「進行性」です。AGAによる薄毛は、一度始まると自然に治ることはなく、何も対策を講じなければ必ず進行し続けます。

特に、こめかみから始まるM字はげの場合、初期の細毛化から数年で顕著な後退へと移行するケースが多く、自己判断で進行を食い止めることは非常に難しいと認識してください。

早期に発見し、原因物質であるDHTの生成を抑制するか、毛母細胞の働きを活性化させる対策を継続的に行うことが、進行を遅らせ、あるいは食い止める唯一の方法です。

対策を始めるのが早ければ早いほど、残っている毛髪を維持し、改善できる可能性が高まります。

抜け毛に見られる特徴的な変化

AGAが進行しているかどうかは、抜けた毛の様子を観察することで判断できます。

健康な髪の毛は、太く、長く、毛根に白いふくらみ(毛根鞘)が付着していますが、AGAによる抜け毛には以下のような特徴が見られます。

  • 細く短い毛が多い: 成長期が短縮された結果、十分に成長しきっていない細くて短い毛が目立ちます。以前は太い毛だった生え際にも、産毛のような弱々しい毛が増えてきたら要注意です。
  • 毛根のふくらみが小さい: 毛根の白いふくらみ(毛乳頭)が非常に小さかったり、ほとんど見られなかったりする抜け毛が多くなります。これは、毛母細胞が正常に働けていない証拠です。
  • 抜け毛の総量の増加: 特に洗髪時やブラッシング時、朝起きたときの枕に付着している抜け毛の量が、以前と比べて明らかに増えていると感じるでしょう。一日$100$本程度の抜け毛は正常ですが、それ以上が続く場合は要注意です。

AGAと判断するためのセルフチェック

医療機関を受診する前に、自宅でできる簡単なセルフチェックでAGAの可能性を判断できます。以下の$3$つの項目をチェックしてみてください。

まず、生え際の状態を確認します。過去の写真と比較して、こめかみの生え際が$1\sim 2$センチ以上後退しているかどうかをチェックします。

次に、毛髪の質を確認します。こめかみ部分の髪の毛を指で触り、頭頂部や側頭部の髪と比べて、明らかに細く、コシやハリがないと感じるかどうかをチェックします。

最後に、家族の薄毛の傾向を確認します。父方や母方の家族、特に祖父にM字はげの人がいるかどうかを確認します。これらのチェックで当てはまる項目が多いほど、AGAによる薄毛の可能性が高くなります。

セルフチェックでAGAの可能性が高いと判断したら、次の段階として専門家への相談を検討することが大切です。

AGAによる薄毛が疑われる抜け毛の特徴

特徴健康な毛AGAによる抜け毛
太さ・長さ太く、十分な長さがある細く、短く、産毛のよう
毛根の形白いふくらみが確認できるふくらみが非常に小さいか、見えない
色・ハリ濃い色で、コシとハリがある色が薄く、コシがない

こめかみの生え際対策となる生活習慣の見直し

AGAによる脱毛の進行を遅らせ、育毛剤の効果を最大限に引き出すためには、頭皮や髪の健康を支える土台である生活習慣を根本から見直すことが重要です。

特に、血行やホルモンバランスに影響を与える日常の習慣は、こめかみの薄毛対策において非常に大きな役割を果たします。

ここでは、今日から実践できる具体的な生活習慣の見直し方について解説します。

頭皮環境を整える正しいシャンプーの方法

頭皮環境は、髪の成長を大きく左右します。間違ったシャンプーのやり方は、必要な皮脂まで洗い流して頭皮を乾燥させたり、逆に皮脂を落としきれずに毛穴を詰まらせたりする原因となります。

以下の手順を参考に、頭皮と髪に優しい洗髪を実践してください。

正しいシャンプーの実行手順

正しいシャンプーの手順は、以下の通りです。この手順に従うことで、頭皮の清潔さを保ちつつ、必要な潤いを守れます。

  • 予洗い: シャンプーをつける前に、38度程度のぬるま湯で2から3分かけて頭皮全体をしっかり濡らします。これにより、汚れの7から8割が落ちます。
  • 泡立て: シャンプーを手のひらでしっかりと泡立ててから頭皮に乗せます。泡立てネットの使用も有効です。
  • 洗髪: 指の腹を使って、頭皮全体を優しくマッサージするように洗います。爪を立てたり、ゴシゴシと力を入れすぎたりしてはいけません。こめかみや生え際も忘れずに洗ってください。
  • すすぎ: 泡が完全に落ちるまで、時間をかけて丁寧にすすぎます。シャンプーやコンディショナーの残りカスは、毛穴の詰まりや炎症の原因となります。

健やかな髪を育む栄養素と食事

髪の毛は、私たちが摂取する栄養素から作られます。偏った食事や過度なダイエットは、髪の成長に必要な栄養素の不足を招き、薄毛を進行させる原因となります。

特に重要な栄養素は、「タンパク質」「亜鉛」「ビタミン類」の$3$つです。

タンパク質は髪の主成分であるケラチンの材料です。肉、魚、卵、大豆製品などから良質なタンパク質を十分に摂取することが大切です。

亜鉛は、髪の成長を助けるミネラルであり、タンパク質からケラチンを合成する際に重要な働きをします。牡蠣、レバー、ナッツ類などに多く含まれます。

また、ビタミンB群やビタミンEは、頭皮の血行促進や代謝の調整に役立ちます。これらの栄養素をバランス良く摂取することで、育毛剤が働きやすい健康な頭皮環境を体内で整えられます。

髪の成長に不可欠な栄養素と多く含む食材

分類栄養素多く含む食材
主材料タンパク質鶏むね肉、卵、大豆製品
補助成分亜鉛牡蠣、牛肉、カシューナッツ
血行促進ビタミンEアーモンド、かぼちゃ、アボカド

良質な睡眠とストレスの解消法

睡眠中、特に深いノンレム睡眠時に、髪の成長を促す成長ホルモンが多く分泌されます。睡眠不足は成長ホルモンの分泌を妨げ、髪の成長サイクルを乱します。

最低でも6から7時間の良質な睡眠を確保することが、薄毛対策においては極めて大切です。また、ストレスは血行不良や自律神経の乱れ、ひいてはホルモンバランスの崩れを引き起こし、薄毛を加速させます。

適度な運動、趣味の時間、瞑想など、自分に合った方法で日々のストレスを解消し、リラックスできる時間を持つことが重要です。身体を冷やさないようにすることも、血行を保つ上で大切です。

育毛剤を効果的に活用する選び方と使い方

こめかみの薄毛、特にM字はげ対策として、多くの男性がまず試みるのが育毛剤の使用です。

育毛剤は、頭皮環境を整えたり、毛根に栄養を与えたりすることで、今ある髪の成長をサポートするために作られています。

しかし、選び方や使い方が間違っていると、期待した効果を得ることはできません。

ここでは、こめかみの生え際対策に特化した育毛剤の賢い選び方と、その効果を最大限に引き出すための正しい使い方について解説します。

育毛剤の選び方と有効成分の確認

育毛剤を選ぶ際は、「目的」と「成分」の2点に注目することが大切です。こめかみの薄毛は多くの場合、血行不良や栄養不足、そしてAGAの初期的な影響が絡み合っています。

そのため、以下の3つのタイプの成分を含むものを選ぶと良いでしょう。

まず、血行促進成分です。頭皮の血行を改善し、毛根に栄養が行き届きやすくします(例:センブリエキス、トコフェロール酢酸エステル)。次に、保湿・頭皮環境改善成分です。

頭皮の乾燥や炎症を防ぎ、育毛に適した環境を整えます(例:ヒアルロン酸、アロエエキス)。最後に、細胞賦活成分です。

毛母細胞に働きかけ、髪の成長をサポートします(例:パントテニルエチルエーテル、タマサキツヅラフジエキス)。これらの成分がバランス良く配合されている製品を選ぶことが、こめかみの生え際対策の鍵を握ります。

特に、頭皮への刺激が少ない製品を選ぶことで、毎日の継続的な使用を可能にします。

育毛剤に期待できる主な成分と作用

成分タイプ期待される作用具体的な成分の例
血行促進毛母細胞への栄養供給を促すセンブリエキス、トコフェロール
保湿・抗炎症乾燥を防ぎ、頭皮環境を正常化するヒアルロン酸、グリチルリチン酸$2K$
細胞賦活毛母細胞のエネルギー代謝を活性化パントテニルエチルエーテル

効果を最大限に引き出す正しい使い方

どんなに優れた育毛剤でも、正しく使わなければその効果は十分に発揮されません。使用方法には$3$つの重要なポイントがあります。

清潔な頭皮に使用する: 育毛剤は、シャンプー後の清潔な頭皮に使用するのが最も効果的です。シャンプーで頭皮の汚れや余分な皮脂を落とした後、ドライヤーで髪を8割程度乾かしてから塗布します。

頭皮が濡れていると成分が薄まったり流れ落ちたりする可能性があるため、適度な乾燥が必要です。

頭皮全体になじませる: 薄毛が気になるこめかみや生え際だけでなく、頭皮全体に揉み込むようにしてなじませます。特にこめかみは液剤が垂れやすいため、少量ずつ指の腹で抑えながら塗布すると良いでしょう。

毎日、朝晩の継続: 髪の毛の成長サイクルに合わせて効果が現れるまでには時間がかかります。一般的に、効果を実感するためには最低でも4から6ヶ月の継続が必要です。

即効性を期待せず、毎日のルーティンとして欠かさず続けることが重要です。

セルフケアを上回る専門的な治療の選択肢

AGAによる薄毛が進行している場合、市販の育毛剤や生活習慣の改善といったセルフケアだけでは、その進行を食い止めることが難しい場合があります。

特に、こめかみのM字部分の後退が顕著になってきたら、専門の医療機関を受診し、医学的な根拠に基づいた治療を選択することが極めて重要となります。

ここでは、専門医への相談タイミングと、医療機関で受けられる主な治療法について解説します。

専門医に相談すべき判断基準

専門医に相談するタイミングを見極めることは、薄毛対策において非常に大切です。以下のサインのいずれかが見られたら、早期に専門医の診察を受けることをおすすめします。

  • こめかみの生え際の後退が$3$ヶ月間で明確に進行している
  • 抜け毛の$7$割以上が細く短い産毛のような毛になっている
  • 市販の育毛剤を$6$ヶ月以上継続して使用しても効果が感じられない

「まだ大丈夫だろう」と自己判断で先延ばしにすることは、薄毛の進行を許してしまうことにつながります。

特にAGAの進行は早い場合があるため、少しでも不安を感じたら、まずは専門医に相談し、正確な診断を受けることが大切です専門医は、頭皮の状態や毛髪の密度を専門的な機器で確認し、薄毛の原因を特定してくれます。

初期の段階であれば、内服薬や外用薬による治療で高い効果を期待できるケースが多いです。

医療機関で提供される主な治療法

医療機関では、AGAの進行を抑え、発毛を促進するための様々な治療法が用意されています。これらは、セルフケアの域を超えた、医学的に効果が認められている治療となります。

内服薬は、AGA治療の中心となる方法です。主に「フィナステリド」や「デュタステリド」といった成分が使われ、これらはAGAの原因物質であるDHTの生成を抑制することで、薄毛の進行を食い止めます。

特にこめかみの薄毛はDHTの影響を強く受けるため、内服薬による治療は非常に有効です。外用薬としては、「ミノキシジル」が一般的です。

ミノキシジルは、頭皮の血流を改善し、毛母細胞を活性化させることで、発毛を促す作用があります。こめかみ部分に直接塗布することで、局所的な発毛効果を期待できます。

医療機関で受けられる主なAGA治療法

治療法主な作用メリット
内服薬(フィナステリド等)DHTの生成抑制AGAの進行を効果的に食い止める
外用薬(ミノキシジル)毛母細胞の活性化、血流促進直接頭皮に作用し発毛を促す
メソセラピー有効成分を頭皮に直接注入内服・外用薬の効果を高めることが期待できる

こめかみの薄さをカバーする髪型の工夫と注意点

薄毛対策は長期戦になりますが、すぐにでも見た目の印象を改善したいと考える方も多いでしょう。

特にこめかみの薄毛やM字はげは、顔の印象を大きく左右するため、髪型によるカバーは非常に有効な手段です。

髪型で薄毛を隠すのではなく、「目立たなくさせる」ための工夫と、その際の注意点について解説します。

カバーを目的とした髪型の選択肢

こめかみの薄毛を目立たせないための髪型選びにはいくつかのポイントがあります。大切なのは、生え際から視線を逸らし、ボリュームがある部分に注目を集めることです。

例えば、「アップバング」という前髪を上げて額を出すスタイルは、生え際の後退部分を逆に活かし、清潔感と開放感を出すことで薄毛を目立ちにくくします。

また、全体に短めにカットし、トップにボリュームを持たせる「ショートレイヤー」は、薄毛の面積を小さく見せ、髪全体に動きと軽さを出すことで、生え際への注目を減らせます。

完全に薄毛を隠そうと、残った髪で無理に生え際を覆うようなスタイルは、風などで髪が動いたときに不自然さが増すため、避けた方が無難です。

スタイリングによるボリュームアップの技術

髪型だけでなく、日々のスタイリングによってもこめかみの薄毛はカバーできます。スタイリング剤を付ける前に、ドライヤーで根元から立ち上げるように乾かすことが重要です。

特に、薄毛が気になるこめかみ上部の髪の根元に対して、下から上に風を当てて乾かすと、自然なボリュームが出ます。

スタイリング剤は、重すぎない、セット力の高いワックスや、ふんわりとした質感を出せるムースなどを使うのがおすすめです。

また、髪を引っ張ったり、頭皮に負担をかけたりしないよう、優しくスタイリングすることが大切です。

髪型による薄毛カバー術のメリットと注意点

髪型メリット注意点
アップバング後退部分を逆に活かし、清潔感を出す前髪の量が少ないと不自然になりやすい
ショートレイヤー全体にボリュームを持たせ薄毛面積を縮小定期的なカットで形を維持する必要がある
ツーブロックサイドを抑え、トップのボリュームを強調する薄い部分が露出しすぎないよう長さ調整が重要

よくある質問

こめかみが薄い原因はすべてAGAですか?

こめかみの薄毛の主な原因は男性型脱毛症(AGA)であることが多いですが、すべてがAGAであるわけではありません。

過度な牽引による牽引性脱毛症、強いストレスによる休止期脱毛、脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患が原因となる場合もあります。

ただし、生え際がM字型に後退している場合は、AGAの可能性が非常に高いです。正確な診断のためには、専門の医療機関を受診することをおすすめします。

育毛剤はM字はげの進行を完全に止められますか?

育毛剤は、頭皮環境を改善し、血行を促進することで、今ある髪の成長をサポートし、抜け毛を予防する効果が期待できます。

軽度な薄毛や予防目的には有効ですが、進行性の男性型脱毛症(AGA)を根本から止めることはできません。

AGAによるM字はげの進行を止めるには、DHTの生成を抑制する効果を持つ内服薬による治療が必要となります。

育毛剤は、あくまで内服治療の補助や、生活習慣による薄毛予防の一環として捉えるのが適切です。

セルフケアを続ければ薄毛は改善されますか?

セルフケアは、薄毛の進行を遅らせ、健康な髪が育ちやすい頭皮環境を作る上で非常に大切です。

特に、バランスの取れた食事、質の高い睡眠、ストレスの解消は、血行やホルモンバランスを整える効果があり、発毛を助けます。

しかし、AGAによるM字はげが進行している場合、これらのセルフケアだけで細く弱くなった髪を元の太さに戻す、あるいは生え際の後退を食い止めることは難しいです。

セルフケアと並行して、専門的な治療を検討することが、より確実な改善につながります。

ヘアサイクルが乱れるとどうなりますか?

ヘアサイクル(毛周期)は、成長期、退行期、休止期の$3$つの期間から成り立っており、これが髪の毛の生え変わりを司っています。

AGAによってこのサイクルが乱れると、特に成長期が短縮されます。その結果、髪の毛が十分に成長する前に退行期に入り、細く弱々しいまま抜け落ちてしまいます。

これが軟毛化と呼ばれる現象です。ヘアサイクルの乱れが続くと、毛包が徐々に小さくなり、最終的には髪の毛が生えてこない状態になってしまいます。

早期の対策により、この短縮されたヘアサイクルを正常に近づけることが大切です。

頭皮マッサージは薄毛対策に有効ですか?

頭皮マッサージは、頭皮の血行を促進し、硬くなった頭皮を柔軟に保つ効果があるため、薄毛対策において非常に有効なセルフケアの一つです。

血行が改善されると、髪の成長に必要な栄養素が毛乳頭細胞まで届きやすくなります。

ただし、マッサージは強くやりすぎると、逆に頭皮に炎症や負担をかける可能性があるため、指の腹を使って優しく行うことが大切です。

育毛剤を塗布した後にマッサージを行うと、成分の浸透を助ける相乗効果も期待できます。

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