MENU

FAGA治療の選び方 – 女性の薄毛改善に効果的な医療アプローチ

FAGA治療の選び方 - 女性の薄毛改善に効果的な医療アプローチ

髪のボリューム低下や抜け毛の増加、分け目の目立ちは、FAGA(女性男性型脱毛症)のサインの可能性がります。

女性の薄毛はデリケートな悩みですが、正しい知識を持ち、適切なFAGA治療を受けると改善が期待できます。

この記事では、FAGAの原因から、効果が見込めるFAGA治療薬、後悔しないクリニックの選び方まで、専門的な観点から分かりやすく解説します。

目次

FAGA(女性男性型脱毛症)とは何か

FAGAは、女性に見られる脱毛症の中で最も多いものの一つです。

男性のAGA(男性型脱毛症)とは異なり、女性特有の症状の現れ方をします。

女性の薄毛とFAGAの違い

女性の薄毛の原因は一つではありません。びまん性脱毛症や円形脱毛症など、他の脱毛症との鑑別が重要です。

FAGAは特に頭頂部や分け目を中心に、髪が全体的に薄くなる傾向があります。

生え際が後退するケースは比較的まれで、この点が男性のAGAとの大きな違いです。

FAGAと他の女性の脱毛症

脱毛症の種類主な特徴好発部位
FAGA髪が軟毛化し、全体的に薄くなる頭頂部・分け目
びまん性脱毛症頭部全体の髪が均等に薄くなる頭部全体
円形脱毛症円形や楕円形の脱毛斑が突然生じる頭部・その他体毛

FAGAが進行する仕組み

FAGAの根本には、男性ホルモンの一種であるテストステロンが関与しています。

体内の還元酵素「5αリダクターゼ」によって、テストステロンがより強力なジヒドロテストステロン(DHT)に変換されます。

このDHTが毛乳頭細胞のホルモン受容体に結合すると、髪の成長期が短縮され、髪が太く長く育つ前に抜け落ちてしまいます。

このサイクルが繰り返されるため、徐々に薄毛が進行します。

年齢とFAGA発症の関係

FAGAは、特に更年期前後の女性に多く見られます。これは、女性ホルモンであるエストロゲンの減少が関係しています。

エストロゲンには髪の成長を促進し、その期間を維持する働きがあります。

閉経などが原因でエストロゲンが減少すると相対的に男性ホルモンの影響が強まり、FAGAの症状が現れやすくなるのです。

FAGAの原因とセルフチェック

FAGAの発症には、複数の要因が複雑に絡み合っています。

ご自身の状態を把握するために、主な原因を理解し、セルフチェックをしてみましょう。

ホルモンバランスの乱れ

前述の通り、女性ホルモンの減少と男性ホルモンの相対的な優位が、FAGAの直接的な引き金となります。

更年期だけでなく、出産後や過度なダイエット、不規則な生活によってもホルモンバランスは乱れやすく、薄毛の原因となり得ます。

遺伝的要因の関与

FAGAは遺伝的素因が関わる場合があります。特に、男性ホルモンへの感受性の高さ(受容体の多さ)は遺伝する傾向があります。

ご家族に薄毛の方がいる場合、FAGAを発症する可能性が他の方より高いと考えられます。

ただし、遺伝が全てではなく、環境要因も大きく影響します。

FAGAの主な要因

要因カテゴリ具体的な内容影響
内的要因ホルモンバランスの変化エストロゲンの減少、男性ホルモンの影響増大
遺伝的要因男性ホルモン受容体の感受性DHTの影響を受けやすくなる
外的要因生活習慣、ストレス頭皮の血行不良、栄養不足などを引き起こす

ストレスや生活習慣の影響

強いストレスは自律神経のバランスを崩し、血管を収縮させて頭皮の血行不良を招きます。

血行が悪くなると、髪の成長に必要な栄養素が毛根まで届きにくくなり、薄毛を助長します。

睡眠不足や栄養の偏りも同様に、頭皮環境を悪化させる一因です。

自宅でできるFAGAの兆候チェック

専門医の診断が最終的な判断には必要ですが、ご自宅でもいくつかの兆候を確認できます。

以下の項目に当てはまるものがないか、鏡を見ながら確認してみてください。

  • 分け目が以前より広がってきた
  • 髪のハリやコシがなくなった
  • 頭頂部の地肌が透けて見える
  • 抜け毛の中に細く短い毛が増えた

FAGA治療の基本的な考え方

FAGA治療は、根気強く継続することが重要です。

治療を始めるにあたり、基本的な考え方を理解しておくと、安心して治療に臨めるでしょう。

早期発見・早期治療の重要性

FAGAは進行性の脱毛症です。放置すると薄毛は徐々に進行し、治療による改善が難しくなる場合があります。

毛根が完全に活動を停止してしまう前に治療を開始すると、より治療効果を実感しやすいです。

少しでも気になったら、早めに専門医に相談することが大切です。

医師による正確な診断が必要な理由

女性の薄毛の原因は多岐にわたるため、自己判断は禁物です。甲状腺疾患など、他の病気が原因で薄毛が起きている可能性もあります。

専門のクリニックでは問診や視診、マイクロスコープでの頭皮チェック、場合によっては血液検査などを通じて原因を特定し、一人ひとりに合った治療計画を立てます。

治療目標の設定と共有

治療を始める前に、どのような状態を目指すのか、医師と具体的な目標を共有することが重要です。

「抜け毛を減らしたい」「分け目を目立たなくしたい」など、ご自身の希望を明確に伝えましょう。

その目標達成のためにどのような治療法があり、どのくらいの期間と費用がかかるのかを医師が具体的に示してくれます。

FAGA治療で用いられる治療薬

現在、FAGA治療の中心となるのは内服薬と外用薬による薬物治療です。

それぞれのFAGA治療薬には異なる作用があり、状態に応じて使い分けたり、併用したりします。

内服薬の種類と作用

FAGA治療で主に使用する内服薬は、体の内側から薄毛の進行を抑制し、発毛を促す働きを持ちます。

代表的なのは「スピロノラクトン」です。これは男性ホルモンの働きを抑制し、抜け毛の原因となるDHTの生成を抑える効果が期待できます。

また、髪の成長に必要な栄養素を補給するサプリメントを併用するケースもあります。

主なFAGA治療内服薬

薬剤名(成分名)主な作用期待できる効果
スピロノラクトン抗アンドロゲン作用抜け毛の抑制
ミノキシジル(内服)血管拡張作用・成長因子産生発毛促進

外用薬の種類と作用

外用薬は、頭皮に直接塗布して発毛を促す治療薬です。日本で唯一、発毛効果が認められている成分が「ミノキシジル」です。

ミノキシジルは頭皮の血行を促進し、毛母細胞を活性化させて発毛を促し、髪の成長期を延長させる働きがあります。

市販薬にもミノキシジル配合のものがありますが、医療機関ではより高濃度のものを処方できます。

主なFAGA治療外用薬

成分名主な作用ポイント
ミノキシジル血行促進・毛母細胞の活性化毎日継続して塗布することが重要
その他の育毛成分保湿、抗炎症など頭皮環境を整え、ミノキシジルの効果を補助する

治療薬の副作用と対処法

どのような薬であっても、副作用のリスクがあります。

ミノキシジル外用薬では、使用初期に一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」や、頭皮のかゆみ、かぶれなどが報告されています。内服薬では、むくみや動悸、血圧の変動などが起こる可能性があります。

これらの副作用は全ての人に起こるわけではありませんが、万が一異常を感じたときはすぐに処方を受けた医師に相談してください。

医師の管理下で治療を行うと、リスクを最小限に抑え、適切に対処できます。

内服薬・外用薬以外のFAGA治療

FAGA治療は薬物治療が基本ですが、より効果を求める場合や、薬物治療に抵抗がある場合には、他の治療法を組み合わせるときもあります。

注入治療(メソセラピー)の概要

頭皮メソセラピーは、髪の成長に有効な成分(成長因子、ミノキシジル、ビタミンなど)を、注射や特殊な機器を用いて頭皮に直接注入する治療法です。

薬剤を直接毛根に届けられるため、より発毛効果を実感しやすいです。薬物治療と併用すると、相乗効果も見込めます。

サプリメントや栄養療法の位置づけ

髪の主成分はケラチンというタンパク質です。その合成には、亜鉛やビタミン、アミノ酸などの栄養素が必要です。

FAGA治療において、サプリメントはあくまで補助的な役割ですが、食事だけでは不足しがちな栄養素を補い、健康な髪が育つための土台作りをサポートします。

医師が推奨する医療用サプリメントを選ぶと良いでしょう。

LED照射などの物理的治療法

低出力の赤色LEDを頭皮に照射する治療法も、近年注目されています。

特定の波長の光が細胞のエネルギー産生工場であるミトコンドリアを活性化させ、毛母細胞の働きを促すと考えられています。

痛みや副作用のリスクが極めて低いのが特徴で、他の治療との併用も可能です。

薬物治療以外の選択肢

治療法方法特徴
注入治療有効成分を頭皮に直接注入高い発毛効果、即効性が期待できる
栄養療法サプリメントで栄養を補給髪の土台作りをサポート、副作用が少ない
LED照射低出力レーザーを頭皮に照射痛みがなく、安全性が高い

治療効果を左右する生活習慣の見直し

クリニックでの専門的な治療は非常に重要ですが、その効果を最大限に引き出すためには、日々の生活習慣の見直しも同じくらい大切です。

髪は体の一部であり、心身の健康状態を映す鏡でもあります。

ここでは、治療を支えるためのセルフケアについて解説します。ご自身の体を根本から見つめ直すきっかけにもなるでしょう。

髪の成長を支える食事と栄養素

健康な髪を育むためには、バランスの取れた食事が基本です。

髪の主成分であるタンパク質、その合成を助ける亜鉛、頭皮の血行を促進するビタミンEなどを意識して摂取することが推奨されます。

無理なダイエットは栄養不足を招き、薄毛を悪化させる原因になるため注意が必要です。

髪の健康に役立つ栄養素と食品

栄養素働き多く含まれる食品
タンパク質髪の主成分となる肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛タンパク質の合成を助ける牡蠣、レバー、牛肉
ビタミン類頭皮環境を整える緑黄色野菜、果物、ナッツ類

質の良い睡眠が頭皮環境に与える影響

髪の成長を促す「成長ホルモン」は、主に睡眠中に分泌されます。

特に、入眠後すぐの深い眠りの時間帯に最も多く分泌されるため、睡眠の「質」が重要です。

毎日決まった時間に就寝・起床し、寝る前はスマートフォンなどの強い光を避けるなど、質の良い睡眠を確保する工夫を心がけましょう。

ストレス管理と心身の健康

過度なストレスは自律神経やホルモンバランスを乱し、頭皮の血行を悪化させます。

日常生活でストレスを完全になくすのは現実的ではありませんが、自分なりの解消法を見つけることが大切です。

軽い運動や趣味の時間、リラックスできる入浴など、心身を解放する時間を作りましょう。

  • 適度な運動(ウォーキング、ヨガなど)
  • 趣味に没頭する時間
  • 友人や家族との会話
  • ゆっくりとした入浴

正しいヘアケア方法の基本

頭皮への負担が少ないヘアケアも、薄毛対策には重要です。洗浄力の強すぎるシャンプーは避け、アミノ酸系などのマイルドなものを選びましょう。

洗髪時は爪を立てず、指の腹で優しくマッサージするように洗い、すすぎ残しがないように注意します。

また、髪が濡れた状態はダメージを受けやすいので、早めにドライヤーで乾かすことを推奨します。

後悔しないためのクリニック選びの重要ポイント

FAGA治療は継続が必要なため、信頼でき、通いやすいクリニックを選ぶのが成功の鍵です。

以下のポイントを参考に、ご自身に合ったクリニックを見つけてください。

クリニック選びのチェックポイント

チェック項目確認する内容
専門性女性の薄毛治療の実績が豊富か
治療法の多様性薬以外の選択肢も用意されているか
費用体系料金が明確で、追加費用の説明があるか

女性の薄毛治療に特化しているか

薄毛治療と一括りにせず、女性のFAGA治療を専門的に扱っているクリニックを選びましょう。

女性の身体やホルモンバランスに関する深い知識を持った医師が在籍しているため、より的確な診断と治療が期待できます。

また、スタッフ全員が女性であったり、プライバシーに配慮した院内環境であったりすると、安心して通えるでしょう。

治療の選択肢が豊富か

FAGAの進行度や体質、生活スタイルは人それぞれです。

内服薬や外用薬だけでなく、注入治療やサプリメントなど、幅広い治療の選択肢を提示してくれるクリニックであれば、一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイドの治療計画を立てられます。

費用体系の透明性

治療を始める前に、総額でどのくらいの費用がかかるのかを明確に提示してくれるクリニックを選びましょう。

診察料や薬代、検査費用など、何にいくらかかるのかを丁寧に説明し、書面で提示してくれると安心です。

ホームページに料金表が明記されているかも、一つの判断基準になります。

カウンセリングの質と丁寧さ

初回のカウンセリングは、クリニックの姿勢を知る良い機会です。

こちらの悩みや不安を親身に聞いてくれるか、治療法のメリットだけでなくデメリットやリスクについてもきちんと説明してくれるかを確認しましょう。

質問しやすい雰囲気で、納得できるまで話を聞いてくれる医師やカウンセラーがいるクリニックが理想です。

FAGA治療に関するよくある質問

さいごに、FAGA治療を検討されている方からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

治療をやめたら元に戻りますか?

FAGAは進行性の脱毛症であり、治療は薄毛の進行を抑制し、発毛を促すものです。このため、治療を完全にやめてしまうと、時間をかけて元の状態に戻っていく可能性があります。

ただし、医師の判断のもと、症状が改善した後に薬の量を減らしたり、維持療法に切り替えたりすることは可能です。自己判断で中断せず、必ず医師に相談してください。

市販の育毛剤ではだめですか?

市販の育毛剤とクリニックで処方される治療薬は、目的と成分が異なります。

市販の育毛剤の多くは、頭皮環境を整えるのを目的とした「医薬部外品」であり、「発毛」効果が認められているわけではありません。

一方、クリニックで処方するミノキシジル外用薬などは「医薬品」であり、臨床試験で発毛効果が確認されています。

市販の育毛剤がだめとは言いませんが、FAGAのように明確な原因がある脱毛症には、医学的根拠のある治療薬の使用が推奨されます。

妊娠中や授乳中でも治療できますか?

FAGA治療で用いる内服薬や外用薬の多くは、妊娠中・授乳中の使用はできません。胎児や乳児への影響を考慮する必要があるためです。

これらの期間中は、薬物を使用しない頭皮ケアや栄養指導が中心となります。

将来的に妊娠を希望される方は、治療開始前に必ず医師にその旨を伝えてください。医師がライフプランを考慮した上で、治療計画を提案します。

参考文献

MERCURI, Santo Raffaele, et al. Investigating the safety and efficacy of platelet-rich plasma (PRP) treatment for female androgenetic alopecia: review of the literature. Medicina, 2021, 57.4: 311.

VASTARELLA, Maria, et al. Efficacy and safety of oral minoxidil in female androgenetic alopecia. Dermatologic Therapy, 2020, 33.6: e14234.

STARACE, Michela, et al. Female androgenetic alopecia: an update on diagnosis and management. American journal of clinical dermatology, 2020, 21: 69-84.

KATOULIS, Alexandros C., et al. Efficacy and safety of a topical botanical in female androgenetic alopecia: a randomized, single-blinded, vehicle-controlled study. Skin Appendage Disorders, 2018, 4.3: 160-165.

KANTI, Varvara, et al. Evidence‐based (S3) guideline for the treatment of androgenetic alopecia in women and in men–short version. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology, 2018, 32.1: 11-22.

BLUME‐PEYTAVI, Ulrike, et al. Comparison of the efficacy and safety of topical minoxidil and topical alfatradiol in the treatment of androgenetic alopecia in women. JDDG: Journal der Deutschen Dermatologischen Gesellschaft, 2007, 5.5: 391-395.

FABBROCINI, G., et al. Female pattern hair loss: A clinical, pathophysiologic, and therapeutic review. International journal of women’s dermatology, 2018, 4.4: 203-211.

RAMOS, Paulo Müller, et al. Female-pattern hair loss: therapeutic update. Anais brasileiros de dermatologia, 2023, 98: 506-519.

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

目次