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女性の抜け毛原因と対策 – ホルモンバランスから生活習慣まで

女性の抜け毛原因と対策 - ホルモンバランスから生活習慣まで

ブラッシングやシャンプーの際に抜け毛の量が増えたと感じる女性が増えているようです。

女性にとって髪は容姿を彩る大切な要素の一つであり、その変化は大きな悩みの種となります。抜け毛は様々な要因が複雑に絡み合って起こります。

この記事では、女性の抜け毛を引き起こす主な原因をホルモンバランスの変化から日々の生活習慣に至るまで幅広く解説し、ご自身でできる対策や専門的な治療についてもお伝えします。

正しい知識を身につけ、健やかな髪を取り戻すための一歩を踏み出しましょう。

目次

女性の抜け毛|深刻な悩み?

抜け毛は誰にでも起こる生理現象ですが、その量や質によっては注意が必要です。

抜け毛は誰にでも起こる自然な現象

髪にはヘアサイクル(毛周期)があり、「成長期」「退行期」「休止期」を経て自然に抜け落ち、また新しい髪が生えてきます。

一般的に、1日に50本から100本程度の抜け毛は正常範囲と考えられています。

季節の変わり目や体調によって一時的に増える場合もありますが、過度に心配する必要はありません。

注意すべき抜け毛のサイン

しかし、以下のようなサインが見られる場合は、何らかのトラブルが原因で抜け毛が増えている可能性があります。

項目正常な抜け毛注意が必要な抜け毛
1日の本数50~100本程度200本以上、または急激な増加
毛根の形丸く膨らんでいる細い、いびつ、皮脂が付着
髪の太さ太くしっかりしている細く短い毛が多い

早めに原因を特定し、対策を講じましょう。

抜け毛が気になり始めたら

抜け毛の量が急に増えた、髪のボリュームが減ってきた、頭皮が透けて見えるようになったなど、気になる変化を感じたら、まずはご自身の生活習慣やヘアケア方法を見直してみましょう。

それでも改善が見られないときは、専門医に相談するのがおすすめです。

女性の抜け毛の原因

女性の抜け毛は一つの原因だけでなく、複数の要因が絡み合って起こるケースが多いです。

ホルモンバランスの乱れと抜け毛

女性ホルモンは髪の成長と維持に深く関わっています。

妊娠・出産や更年期、ストレスや不規則な生活などによりホルモンバランスが乱れると、ヘアサイクルに影響を与えて抜け毛が増えやすいです。

女性ホルモンの一つであるエストロゲンの減少は、髪のハリやコシを失わせ、薄毛を引き起こす要因となります。

生活習慣と頭皮環境

偏った食事や睡眠不足、運動不足といった生活習慣の乱れは、頭皮環境の悪化を招きます。

頭皮は髪を育む土壌です。血行不良や栄養不足は、健康な髪の成長を妨げ、抜け毛を促進する可能性があります。

喫煙や過度な飲酒も、頭皮の血流を悪化させるため注意が必要です。

ストレスが引き起こす髪への影響

現代社会において、ストレスは避けて通れない問題の一つです。

過度なストレスは自律神経のバランスを崩し、血管を収縮させて頭皮の血行不良を引き起こします。ま

た、ストレスはホルモンバランスにも影響を与えるため、間接的に抜け毛の原因となる場合があります。

ストレスが関連する可能性のある身体症状

  • 頭痛
  • 肩こり
  • 不眠
  • 胃腸の不調

これらの症状が抜け毛と同時に現れているときは、ストレスが影響している可能性を考えましょう。

間違ったヘアケアと頭皮トラブル

洗浄力の強すぎるシャンプー、頻繁なカラーリングやパーマ、ドライヤーの熱の当てすぎなど、間違ったヘアケアは頭皮にダメージを与え、抜け毛の原因となるときがあります。

また、頭皮の乾燥やかゆみ、フケといったトラブルも放置すると抜け毛につながるため、適切なケアが重要です。

ホルモンバランスと抜け毛の深い関係

女性のライフステージにおいて、ホルモンバランスは大きく変動します。この変動が、髪の状態にも影響を与えることを理解しておきましょう。

女性ホルモンの役割と髪の健康

女性ホルモンには、主に卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類があります。

エストロゲンは髪の成長を促進し、髪のハリやツヤを保つ働きがあります。

プロゲステロンはヘアサイクルの成長期を維持する働きに関与しています。

女性ホルモンの働き

ホルモン名主な働き(髪への影響)分泌の変動要因
エストロゲン髪の成長促進、ハリ・ツヤ維持年齢、妊娠、ストレス
プロゲステロンヘアサイクル成長期の維持月経周期、妊娠

妊娠・出産と抜け毛の変化

妊娠中はエストロゲンの分泌量が増加し、髪の成長期が長く保たれるため抜け毛が減る傾向にあります。

しかし、出産後はホルモンバランスが急激に変化してエストロゲンが減少するため、一時的に抜け毛が増える「分娩後脱毛症」が起こる方がいます。

多くの場合、産後半年から1年程度で自然に回復しますが、不安な場合は専門医に相談しましょう。

更年期と女性ホルモンの減少

40代後半から50代にかけて迎える更年期では、卵巣機能の低下に伴いエストロゲンの分泌量が大幅に減少します。

このエストロゲンの減少が、髪全体のボリュームダウンや分け目の薄毛(びまん性脱毛症)などを引き起こす主な原因の一つとなります。

適切なケアと対策で、症状の進行を緩やかにすることが期待できます。

ピルやホルモン治療の影響

低用量ピルの服用中止後や、一部のホルモン治療の影響で一時的にホルモンバランスが変動し、抜け毛が増えるケースがあります。

これらの治療を受けている、あるいは中止した後に抜け毛が気になる場合は、処方医に相談することが大切です。

食生活の乱れが招く抜け毛リスク

髪は私たちが摂取する栄養素から作られています。バランスの取れた食事が、健康な髪を育むためには必要です。

髪の成長に必要な栄養素

健康な髪を育むためには、特定の栄養素だけでなく、バランスの取れた食事が重要です。

なかでもタンパク質や亜鉛、鉄分やビタミン類は髪の成長に深く関わっています。

髪の健康に役立つ主な栄養素

栄養素主な働き多く含む食品例
タンパク質髪の主成分(ケラチン)を作る肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛タンパク質の合成を助ける牡蠣、レバー、牛肉
鉄分頭皮への酸素供給を助けるレバー、赤身肉、ほうれん草

偏った食事が頭皮に与える影響

過度なダイエットによる栄養不足や、脂質の多い食事、インスタント食品中心の食生活は、頭皮環境を悪化させる可能性があります。

脂質の摂りすぎは皮脂の過剰分泌を招き、毛穴の詰まりや炎症を引き起こして抜け毛の原因となる場合があります。

また、糖質の摂りすぎも頭皮の糖化を招き、髪のハリやコシを失わせる可能性があります。

抜け毛リスクを高める可能性のある食習慣

食習慣髪への影響対策のポイント
極端な食事制限髪に必要な栄養が不足するバランスの取れた食事を心がける
脂質の多い食事皮脂の過剰分泌、毛穴詰まり揚げ物や脂身の多い肉を控える
糖質の過剰摂取頭皮の糖化、血行不良甘いものや炭水化物の摂りすぎに注意

健康な髪を育む食事のポイント

健康な髪を育むためには特定の食品に偏るのではなく、多様な食材をバランス良く摂取するのが基本です。

主食、主菜、副菜を揃え、ビタミンやミネラルが豊富な野菜や果物も積極的に取り入れましょう。

また、水分補給も忘れずに行い、体全体の巡りを良くすることも大切です。

睡眠不足とストレス|髪への警鐘

「最近なんだか疲れやすい」「寝てもスッキリしない」そんな風に感じていませんか。実は、その不調が抜け毛と深く関わっているかもしれません。

ここでは、多くの方が見過ごしがちな「睡眠の質」と「ストレスのサイン」に焦点を当て、髪の健康を守るためのヒントをお伝えします。

「睡眠の質」が髪の成長サイクルを左右する

単に睡眠時間を確保するだけでなく、「睡眠の質」が髪の成長には重要です。髪の成長を促す成長ホルモンは、深い眠りの間に最も多く分泌されます。

睡眠不足や浅い眠りが続くと成長ホルモンの分泌が妨げられ、髪の成長が遅れたり、細く弱い髪しか育たなくなったりする可能性があります。

寝る前のカフェイン摂取を避ける、寝室の環境を整えるなど、質の高い睡眠を得るための工夫をしましょう。

ストレスが自律神経を乱し、頭皮の血流を悪化させる

ストレスを感じると私たちの体は緊張状態になり、自律神経のうち交感神経が優位になります。

交感神経が活発になると血管が収縮し、頭皮への血流が悪化します。頭皮の血流が悪くなると髪の毛根に十分な酸素や栄養が届きにくくなり、結果として抜け毛が増えたり、新しい髪が生えにくくなったりします。

日常生活でストレスを完全に無くすのは難しいかもしれませんが、自分なりのリフレッシュ方法を見つけ、上手に付き合っていくと良いです。

ストレスサインを見逃していませんか?

抜け毛が増える前に、体は様々なサインを出していることがあります。

イライラしやすくなった、集中力が続かない、食欲がない、または過食気味になる、寝つきが悪い、途中で目が覚めるなど、これらはストレスが蓄積しているサインかもしれません。

これらの小さな変化に気づき、早めに対処すると抜け毛予防にもつながります。

見逃しやすいストレスサイン

身体的サイン精神的サイン行動的サイン
頭痛、肩こり不安感、イライラ食欲の変化
目の疲れ、めまい気分の落ち込み睡眠パターンの変化
動悸、息切れ集中力低下飲酒量・喫煙量の増加

心と体のサインから読み解く抜け毛対策

抜け毛という目に見える現象だけでなく、その背景にある心や体の状態に目を向けることが、根本的な対策への第一歩です。

もし、上記のようなストレスサインに心当たりがあるときは、まずは十分な休息を取り、リラックスできる時間を持つことを優先しましょう。

趣味の時間を楽しむ、軽い運動をする、親しい人と話すなど、自分に合った方法で心と体をケアすると、健やかな髪を育む土壌を整えられます。

今すぐできる!抜け毛対策セルフケア

専門的な治療も有効ですが、まずは日々の生活の中でできるセルフケアから始めてみましょう。

正しいシャンプー方法と頭皮マッサージ

シャンプーは髪の汚れだけでなく頭皮の余分な皮脂や汚れを落とし、清潔に保つために重要です。しかし、間違った方法では頭皮を傷つけてしまうケースもあります。

シャンプー前にはブラッシングで髪のもつれを解き、ぬるま湯で予洗いします。

シャンプー剤は手のひらで泡立ててから髪と頭皮につけ、指の腹で優しくマッサージするように洗いましょう。

すすぎ残しがないよう、しっかりと洗い流すのもポイントです。洗髪後の頭皮マッサージは血行を促進し、リラックス効果も期待できます。

頭皮タイプ別シャンプー選びのポイント

頭皮タイプ特徴シャンプー選びのポイント
乾燥肌フケが出やすい、かゆみを感じやすい保湿成分配合、アミノ酸系などマイルドな洗浄力
脂性肌ベタつきやすい、ニオイが気になる適度な洗浄力、さっぱりとした洗い上がり
敏感肌刺激を感じやすい、赤みが出やすい低刺激性、無添加、アレルギーテスト済みなど

頭皮環境を整えるヘアケア製品の選び方

シャンプー以外にもコンディショナーやトリートメント、育毛剤など様々なヘアケア製品があります。ご自身の髪質や頭皮の状態に合ったものを選びましょう。

特に育毛剤は、頭皮の血行を促進したり、毛母細胞の働きを活性化させたりする成分が含まれているものを選ぶと良いでしょう。

ただし、効果には個人差があるため、焦らず継続して使用するのが大切です。

質の高い睡眠をとるための工夫

質の高い睡眠は、髪の成長に欠かせない成長ホルモンの分泌を促します。

毎日同じ時間に寝起きする、寝る前にスマートフォンやパソコンの使用を控える、カフェインの摂取を避ける、寝室を快適な温度・湿度に保つなど、睡眠環境を整える工夫をしましょう。

質の高い睡眠のためのヒント

  • 就寝・起床時間を一定にする
  • 寝る前のカフェイン・アルコールを控える
  • 適度な運動を習慣にする
  • 寝室の照明や音、温度を調整する

ストレスを溜めない生活習慣

ストレスは抜け毛の大きな原因の一つです。自分に合ったストレス解消法を見つけて日常生活に取り入れましょう。

また、バランスの取れた食事や十分な睡眠も、ストレス耐性を高める上で重要です。

専門クリニックでの女性の抜け毛治療

セルフケアだけでは改善が見られない場合や、原因が特定できない場合は、専門クリニックに相談することを検討しましょう。

医師による診断と適切な治療は、抜け毛の悩みを解決する近道となる方が多いです。

専門医によるカウンセリングの重要性

専門クリニックでは、まず医師による詳細なカウンセリングが行われます。抜け毛の状態や生活習慣、既往歴や家族歴などを丁寧に聞き取り、抜け毛の原因を探ります。

このカウンセリングを通じて、患者さん一人ひとりに合った治療方針を決定するため、非常に重要な時間です。不安なことや疑問点は遠慮なく相談しましょう。

クリニックで行う検査と診断

カウンセリングに加え、視診や触診、マイクロスコープによる頭皮の状態確認、血液検査などを行い、抜け毛の原因をより詳しく調べます。

血液検査ではホルモンバランスや甲状腺機能、栄養状態などを確認し、内科的な疾患が隠れていないかもチェックします。

これらの検査結果を総合的に判断し、的確な診断を下します。

主な治療法とその特徴

女性の薄毛治療には内服薬や外用薬、注入治療や自毛植毛など、様々な選択肢があります。

原因や症状の進行度、患者さんの希望に応じて、これらの治療法を単独で、あるいは組み合わせて行います。

主な薄毛治療法の比較

治療法主な作用・特徴対象となる主な症状
内服薬(ミノキシジル等)血行促進、毛母細胞活性化びまん性脱毛症、FAGA
外用薬(ミノキシジル等)頭皮に直接塗布し発毛促進びまん性脱毛症、FAGA
注入治療(メソセラピー等)成長因子などを頭皮に直接注入広範囲の薄毛、早期の薄毛

どの治療法が適しているかは、医師との相談の上で決定します。

治療効果や副作用、費用などについても十分に説明を受け、納得した上で治療を開始しましょう。

女性の抜け毛に関するよくある質問

最後に、女性の抜け毛に関して患者さんからよく寄せられるご質問とその回答をまとめました。

抜け毛は遺伝しますか?

男性型脱毛症(AGA)ほどではありませんが、女性の薄毛にも遺伝的要因が関与するときがあります。家族に薄毛の方がいる場合、体質的に薄毛になりやすい可能性は考えられます。

しかし、遺伝だけが原因ではなく、生活習慣やホルモンバランスなど他の要因も大きく影響するため、適切なケアや治療で改善する可能性は十分にあります。

サプリメントは効果がありますか?

髪の成長に必要な栄養素を補給するという点では、サプリメントの活用も一つの方法です。

特に、食事だけでは不足しがちな亜鉛や鉄分、ビタミンB群などを補うと、頭皮環境を整える上で役立つ場合があります。

ただし、サプリメントはあくまで補助的なものであり、それだけで抜け毛が劇的に改善するわけではありません。バランスの取れた食事が基本であることを忘れないようにしましょう。

治療を始めたらすぐに効果が出ますか?

薄毛治療の効果が現れるまでには、ある程度の時間が必要です。ヘアサイクルを考慮すると、効果を実感し始めるまでに3ヶ月から6ヶ月程度かかると言われています。

焦らず、医師の指示に従って根気強く治療を続けることが大切です。

治療効果には個人差があるため、定期的に医師の診察を受け、状態を確認しながら進めていきましょう。

治療の費用はどのくらいかかりますか?

薄毛治療は健康保険適用外の自由診療となるケースが多いです。治療内容や期間、使用する薬剤によって費用は大きく異なります。

カウンセリングの際に、具体的な治療プランとそれにかかる費用について、しっかりと説明を受けるようにしましょう。

クリニックによっては月々の支払いプランや医療ローンを利用できる場合もありますので、遠慮なく相談してください。

参考文献

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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