シャワーの排水溝や枕に付着する髪の毛の量が増えたと感じて、クリニックに来院される方が増加傾向にあります。
女性の抜け毛は、加齢やストレス、生活習慣の乱れだけでなく、体に潜む病気のサインである可能性も考えられます。
髪は健康のバロメーターともいわれ、体内の変化が髪の状態に現れるケースが少なくありません。
特に、これまで経験したことのないような「ひどい抜け毛」が続く場合、その背景には治療を必要とする病気が隠れているときもあります。
ホルモンバランスの乱れと抜け毛
女性の体は、一生を通じてホルモンの影響を大きく受けます。
特に女性ホルモンは髪の成長と維持に深く関わっており、そのバランスが崩れると毛髪のサイクルに異常が生じ、抜け毛の増加につながります。
甲状腺機能の異常が髪に与える影響
甲状腺は、体の新陳代謝を活発にするホルモンを分泌する器官です。この甲状腺の働きに異常が生じると、髪の毛の成長にも影響が及びます。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)でも、逆に甲状腺機能低下症(橋本病など)でも、びまん性(広範囲にわたる)の脱毛が起こる場合があります。
髪が全体的に薄くなる、髪質がもろくなるなどの変化が見られたら、甲状腺の機能障害を疑う必要があります。
甲状腺機能の異常による症状
症状 | 甲状腺機能亢進症 | 甲状腺機能低下症 |
---|---|---|
抜け毛 | 髪が細くなり、全体的に抜ける | 髪が乾燥し、もろくなり抜ける |
体温 | 暑がり、汗をかきやすい | 寒がり、汗をかきにくい |
体重 | 食欲は増すが体重は減少 | 食欲不振なのに体重は増加 |
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と男性ホルモン
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、卵巣内で男性ホルモンが多く作られてしまう病気です。
この男性ホルモンの増加は、女性男性型脱毛症(FAGA)を引き起こす原因となります。
頭頂部や生え際を中心に髪が薄くなるのが特徴で、月経不順やにきび、肥満などの症状を伴う方も多いです。
これらの症状が同時に現れたときは、婦人科での検査が重要です。
産後の抜け毛とその回復
妊娠中は女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が増加し、髪の毛が抜けにくい状態になります。
しかし、出産後はホルモンバランスが急激に変化し、妊娠中に抜けなかった髪が一気に休止期に入り、抜け毛が急増します。
これは「産後脱毛症」と呼ばれる生理的な現象で、通常は半年から1年程度で自然に回復します。
しかし、育児によるストレスや睡眠不足、栄養不足が重なって回復が遅れる方も見受けられます。
自己免疫疾患と深刻な抜け毛
自己免疫疾患は、本来体を守るはずの免疫システムが、自分自身の正常な細胞や組織を攻撃してしまう病気の総称です。
この免疫の異常が毛根を攻撃することで、重度の抜け毛を引き起こします。
膠原病が引き起こす脱毛のサイン
膠原病は、全身の皮膚や関節、内臓などに炎症が起こる自己免疫疾患のグループです。
抜け毛も膠原病の重要な症状の一つであり、特に活動期に顕著になる傾向があります。
関節の痛みや原因不明の発熱、全身の倦怠感などと共に抜け毛が増えたときは、膠原病の可能性を考えて内科やリウマチ科を受診しましょう。
膠原病に関連する脱毛の特徴
病名 | 脱毛の特徴 | その他の主な症状 |
---|---|---|
全身性エリテマトーデス | 全体的な脱毛、前頭部の切れ毛 | 蝶形紅斑(顔の赤い発疹)、関節痛 |
関節リウマチ | 病気の活動性や薬剤により脱毛 | 手足の関節の腫れ・痛み |
皮膚筋炎 | 頭皮の赤み、かゆみを伴う脱毛 | まぶたの腫れ、筋肉痛・筋力低下 |
全身性エリテマトーデス(SLE)と髪への影響
全身性エリテマトーデス(SLE)は、膠原病の中でも特に抜け毛が顕著に現れる病気です。
髪が全体的に薄くなる「びまん性脱毛」や、生え際の髪が切れやすくなる「ループスヘア」が見られます。
病気の活動性が高い時期に抜け毛が増加し、治療によって病状が落ち着くと髪の状態も改善するケースが多いです。
円形脱毛症は自己免疫疾患の一種
円形脱毛症は単なるストレス性の脱毛と思われがちですが、実際には毛包組織に対する自己免疫疾患であると考えられています。
Tリンパ球という免疫細胞が毛根を攻撃するために、円形や楕円形の脱毛斑が突然発生します。
単発型から、頭部全体に広がる全頭型、全身の毛が抜ける汎発型まで重症度は様々です。
甲状腺疾患や膠原病など、他の自己免疫疾患を合併する場合もあります。
栄養不足や代謝の異常による抜け毛
髪の毛は、私たちが食事から摂取する栄養素によって作られます。
そのため、特定の栄養素が不足したり代謝に異常が生じたりすると、健康な髪を維持できなくなり、抜け毛の原因となります。
鉄欠乏性貧血と髪のパサつき
鉄は血液中のヘモグロビンの主成分であり、全身に酸素を運ぶ重要な役割を担っています。
鉄分が不足すると、頭皮の毛母細胞まで十分な酸素が届かなくなり、髪の成長が阻害されます。
その結果、髪が細くパサパサになり、抜けやすくなります。特に月経のある女性は鉄分を失いやすいため、注意が必要です。
- めまいや立ちくらみ
- 動悸や息切れ
- 爪が白くなったり、スプーン状に反り返ったりする
- 疲れやすい、体がだるい
亜鉛不足が見過ごされがちな原因に
亜鉛は、髪の主成分であるケラチンというタンパク質の合成に必須のミネラルです。
亜鉛が不足すると髪の毛の発育がうまくいかず、抜け毛や薄毛につながります。
亜鉛は、過度なダイエットや加工食品中心の食生活、アルコールの過剰摂取などで不足しやすいため、食生活の見直しが重要です。
髪の健康に必要な栄養素と食品
栄養素 | 主な働き | 多く含まれる食品 |
---|---|---|
タンパク質 | 髪の主成分(ケラチン)を作る | 肉、魚、卵、大豆製品 |
鉄分 | 頭皮への酸素供給を助ける | レバー、赤身肉、ほうれん草 |
亜鉛 | ケラチンの合成をサポートする | 牡蠣、牛肉、ナッツ類 |
過度なダイエットが招くリスク
美しい体型を求めるあまり極端な食事制限を行うと、体は生命維持に必要なエネルギーを優先的に使うようになります。
このため、髪の毛の成長のような生命維持に直接関わらない活動へのエネルギー供給が後回しにされ、休止期脱毛を引き起こします。
健康的な髪を保つためには、バランスの取れた食事が欠かせません。
頭皮環境の悪化を引き起こす皮膚の病気
髪が生える土壌である頭皮に病気が発生すると、毛根がダメージを受けたり、健康な髪の成長が妨げられたりして、抜け毛がひどくなる場合があります。
脂漏性皮膚炎と頭皮の炎症
脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多い頭皮や顔に発生しやすい皮膚炎です。
マラセチアという常在菌(カビの一種)が異常増殖し、その代謝物が頭皮を刺激して炎症を引き起こします。
頭皮が赤くなり、フケやかゆみ、ベタつきがひどくなって、炎症が続くと毛根が弱って抜け毛が増加します。
接触皮膚炎(かぶれ)による抜け毛
シャンプーやヘアカラー剤、整髪料などに含まれる特定の成分が肌に合わない場合、アレルギー反応や刺激によって接触皮膚炎(かぶれ)を起こすケースがあります。
頭皮に強いかゆみや赤み、湿疹が生じ、頭皮環境が悪化すると一時的に抜け毛が増えやすいです。
原因となる製品の使用中止が第一です。
頭皮の炎症を引き起こす主な皮膚疾患
疾患名 | 主な症状 | 抜け毛との関係 |
---|---|---|
脂漏性皮膚炎 | ベタつくフケ、赤み、かゆみ | 炎症による頭皮環境の悪化で脱毛 |
接触皮膚炎 | 原因物質接触後のかゆみ、赤み、湿疹 | 強い炎症や掻き壊しで脱毛 |
頭部白癬(しらくも) | フケ、かさぶた、脱毛斑 | 白癬菌が毛髪に感染し、髪が折れ脱毛 |
頭部白癬(しらくも)という感染症
頭部白癬は、白癬菌(水虫の原因菌と同じカビ)が頭皮や毛髪に感染する病気です。
フケやかさぶた、脱毛斑(毛が抜けた部分)が生じ、菌に感染した髪の毛はもろくなって切れやすくなります。
主に子どもに見られる病気ですが、まれに大人にも感染します。ペットから感染するケースもあり、皮膚科での適切な診断と抗真菌薬による治療が必要です。
心と体が発するSOSサイン
「病気」と診断されるほどではないけどなんとなく不調が続く、といった多くの女性が経験するこのグレーな状態も、実は髪に深刻な影響を与えています。
ここでは、検査数値には現れにくい、しかし抜け毛の根本原因となりうる心と体のサインに焦点を当てます。
「慢性的な疲れ」は髪の危険信号
「毎日だるい」「朝起きるのがつらい」といった慢性的な疲労感は、体がエネルギー不足に陥っている証拠です。
体は、心臓を動かしたり呼吸をしたりといった生命維持活動に優先的にエネルギーを配分します。
髪の成長は生命維持の優先順位が低いため、エネルギーが不足すると真っ先に影響を受け、髪が細くなったり、抜け毛が増えたりします。
この「疲れ」の背景には、副腎疲労や自律神経の乱れが隠れていることも少なくありません。
完璧主義で頑張りすぎるあなたへ
仕事も家庭も完璧にこなそうと、常に気を張り詰めている方も多いでしょう。責任感が強く、真面目な人ほど、無意識のうちに心身に大きな負担をかけています。
この種の持続的な精神的ストレスは血管を収縮させ、頭皮の血行を悪化させます。
血行不良は毛根に栄養を届ける妨げとなり、健康な髪の育成を阻害します。ひどい抜け毛は、心が「もう限界だよ」と叫んでいるサインなのかもしれません。
心身のストレスが髪に現れる流れ
ストレスの種類 | 体への影響 | 髪への結果 |
---|---|---|
精神的ストレス | 自律神経の乱れ、血管収縮 | 頭皮の血行不良、栄養不足 |
身体的ストレス | ホルモンバランスの乱れ、免疫力低下 | 成長サイクルの乱れ、毛根への攻撃 |
環境的ストレス | 活性酸素の増加、細胞の酸化 | 毛母細胞の老化、白髪の増加 |
気づかぬうちの「栄養の偏り」
忙しい日々の中で、食事は手軽に済ませてしまいがちです。
しかし、パンやおにぎり、パスタといった糖質中心の食事や、甘いお菓子、スナック類は血糖値を急激に上昇させ、その処理のために体内のビタミンやミネラルを大量に消費します。
特に髪の成長に必要なビタミンB群や亜鉛が不足しがちになり、結果として抜け毛につながります。
「しっかり食べているつもり」でも、栄養の質が伴っていなければ、髪は栄養失調状態に陥るのです。
服用中の薬が原因となる薬剤性脱毛
病気の治療のために服用している薬が、副作用として抜け毛を引き起こす場合があります。これは「薬剤性脱毛」と呼ばれ、原因となる薬は多岐にわたります。
抜け毛が気になり始めた時期と、新しい薬を飲み始めた時期が重なる場合は、薬剤性の脱毛を疑う必要があります。
抗がん剤だけではない脱毛のリスク
脱毛の副作用と聞いて多くの人が思い浮かべるのは抗がん剤ですが、それ以外にも多くの薬で脱毛が起こる可能性があります。
例えば、高血圧の治療薬、高脂血症の治療薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、さらには一部の抗生物質や消炎鎮痛剤でも報告されています。
抜け毛の副作用がある主な医薬品
医薬品の分類 | 代表的な薬の例 | 脱毛のタイプ |
---|---|---|
抗がん剤 | 細胞増殖を抑える多くの薬 | 成長期脱毛(急激で重度) |
高血圧治療薬 | β遮断薬、ACE阻害薬など | 休止期脱毛(緩やかに進行) |
抗うつ薬 | SSRI、SNRIなど | 休止期脱毛(緩やかに進行) |
成長期脱毛と休止期脱毛の違い
薬剤性脱毛には、大きく分けて二つのタイプがあります。
一つは「成長期脱毛」で、抗がん剤のように細胞分裂が活発な毛母細胞に直接作用し、投与後すぐに急激な脱毛が起こります。
もう一つは「休止期脱毛」で、髪の成長サイクルに影響を与え、通常よりも多くの髪が休止期に入ってしまうために起こります。
休止期脱毛は、薬の服用開始から2〜4ヶ月後に始まり、比較的緩やかに進行します。
自己判断で服薬を中止しないこと
もし薬の副作用による抜け毛が疑われる場合でも、自己判断で服用を中止するのは絶対にやめてください。
薬の中断は、治療中の病気を悪化させる危険があります。まずは、薬を処方した主治医に相談し、状況を正確に伝えることが重要です。
医師の判断により、可能であれば別の薬への変更や、減量を検討していきます。
抜け毛で医療機関を受診する目安
抜け毛は誰にでも起こる自然な現象ですが、放置すべきでない危険なサインもあります。
どのような状態になったら医療機関を受診すべきか、その目安を知っておくことが早期発見・早期治療につながります。
こんな抜け毛は要注意
通常のヘアサイクルによる抜け毛は1日に50本から100本程度といわれています。
しかし、以下のような変化が見られた場合は、単なる生理現象ではない可能性があります。
- シャンプーやブラッシング時の抜け毛が明らかに増えた
- 特定の場所だけが集中して抜けている(円形脱毛など)
- 髪全体のボリュームが減り、地肌が透けて見えるようになった
- 髪質が急に細く、弱々しくなった
抜け毛以外の付随症状をチェック
抜け毛に加えて、体に他の症状が現れている場合は、病気が隠れている可能性が高まります。
全身の健康状態をチェックし、関連する症状がないか確認しましょう。
チェック項目 | 関連が疑われる病気 |
---|---|
急な体重の増減、動悸、強い疲労感 | 甲状腺機能障害 |
関節の痛み、原因不明の発熱、顔の発疹 | 膠原病(SLEなど) |
月経不順、にきびの増加 | 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS) |
これらの症状がある場合は、抜け毛の原因が全身性の疾患にあることを示唆しています。
何科を受診すればよいか
抜け毛の悩みで病院に行く際、何科を受診すればよいか迷うかもしれません。
原因によって専門とする診療科が異なります。まずは、かかりつけ医に相談するか、症状に応じて適切な診療科を選ぶことが大切です。
受診する科 | 状態 |
---|---|
皮膚科 | 頭皮の湿疹、かゆみ、円形脱毛症など、頭皮自体の問題が主な場合。 |
内科・内分泌内科 | 疲労感、体重変化など全身症状を伴う場合(甲状腺疾患など)。 |
婦人科 | 月経不順や更年期症状など、女性ホルモンに関連する問題がある場合。 |
リウマチ・膠原病科 | 関節痛や原因不明の発熱など、自己免疫疾患が疑われる場合。 |
女性の薄毛治療専門クリニックでは、総合的な観点から原因を探り、適切な治療法を提案します。
よくある質問
女性の抜け毛と病気の関係について、患者さんから寄せられることの多い質問にお答えします。
- ストレスだけで髪は大量に抜けますか?
-
強い精神的ストレスは自律神経やホルモンバランスを乱し、頭皮の血行不良を引き起こすため、抜け毛の大きな原因となりえます。
ストレスが引き金となって円形脱毛症を発症するときもありますし、大量に抜ける方もいます。
ただし、「ストレスのせい」と自己判断する前に、他の病気が隠れていないかを確認することも重要です。
- 遺伝的な要因は関係ありますか?
-
女性男性型脱毛症(FAGA)のように、遺伝的な素因が関与するタイプの薄毛もあります。家族に薄毛の方がいる場合、体質を受け継いでいる可能性は考えられます。
しかし、遺伝だけが全てではなく、生活習慣やホルモンバランス、健康状態など、後天的な要因が複合的に絡み合って発症するケースがほとんどです。
- サプリメントの摂取は効果的ですか?
-
特定の栄養素が不足しているときには、サプリメントの摂取が有効な場合があります。特に、鉄分や亜鉛、髪の材料となるタンパク質やビタミン類は重要です。
しかし、やみくもに摂取するのではなく、まずは血液検査などで自分に何が不足しているのかを正確に把握しましょう。
過剰摂取が逆効果になる栄養素もあるため、医師や専門家に相談の上で活用するのがおすすめです。
- 市販の育毛剤を使っても大丈夫ですか?
-
市販の育毛剤の多くは、頭皮の血行を促進したり、頭皮環境を整えたりする成分が含まれており、軽度の抜け毛予防には一定の効果が期待できます。
しかし、背景に病気が隠れている場合の抜け毛に対しては、育毛剤だけでは根本的な解決にはなりません。
抜け毛がひどい、急に始まったなど、気になる症状がある場合は、まず医療機関で原因を特定するのが先決です。その上で、治療と並行して使用するほうが望ましいです。
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