女性の思春期から高校生に起こる抜け毛の原因と対策

女性の思春期から高校生に起こる抜け毛の原因と対策

思春期や高校生の多感な時期に、抜け毛の悩みを抱えると非常に深刻になりがちです。

勉強や友人関係、将来のことなど、ただでさえ悩みが多い時期に見た目に関わる問題は大きなストレスになります。

しかし、この時期の抜け毛は特別なことではありません。多くの場合、ホルモンバランスの変化や生活習慣が関係しています。

この記事では、なぜ思春期に抜け毛が増えるのか、その原因を詳しく解説し、今日から実践できる具体的な対策までを専門的な観点から紹介します。

目次

思春期の抜け毛は異常?多くの人が抱える髪の悩み

思春期にさしかかり、自分の身体の変化に戸惑うことは誰にでもあります。

これまで気にもしなかった抜け毛が増えると、「何か重い病気なのではないか」と大きな不安を感じてしまうかもしれません。

しかし、結論から言うと、思春期や高校生の時期に一時的に抜け毛が増えること自体は、決して珍しい現象ではありません。

高校生で抜け毛が増えるのはなぜか

高校生の時期は、心と体の両方が大人へと大きく変化する重要な段階です。この変化の中心にあるのが、ホルモンバランスの変動です。

特に女性ホルモンは髪の毛の成長と深く関わっており、そのバランスが不安定になるためヘアサイクルが乱れ、抜け毛が増加するケースがあります。

また、大学受験や友人関係、部活動といった学業や生活環境からくる精神的なストレス、不規則な生活や偏った食事なども、髪の健康に直接的な影響を与えます。

「病気かも?」と不安になる前に知っておきたいこと

抜け毛が増えると、すぐに深刻な病気を想像してしまうかもしれません。確かに、甲状腺の病気や貧血、皮膚の疾患などが原因で脱毛が起こる場合もあります。

しかし、多くの場合、思春期の抜け毛は前述したようなホルモンバランスや生活習慣の乱れが原因です。パニックにならず、まずは自分の生活を見直してみましょう。

そして、正常な抜け毛と注意が必要な抜け毛の違いを理解することが大切です。この知識が、余計な不安を和らげてくれます。

正常な抜け毛と注意が必要な抜け毛の見分け方

髪の毛には「ヘアサイクル」という生まれ変わりの周期があり、健康な人でも1日に50本から100本程度の髪は自然に抜け落ちます。これは、新しい髪が生えるための自然な現象です。

しかし、抜け毛の中には注意が必要なサインが隠れている場合もあります。以下の表で、その違いを確認してみましょう。

正常な抜け毛と注意が必要な抜け毛の比較

項目正常な抜け毛注意が必要な抜け毛
1日の本数50~100本程度200本以上、または急に増えた
毛根の形根本が白く、丸みを帯びている根本が黒い、または細く尖っている
髪の質太く、しっかりしている細く、短い毛が多い

もし、自分の抜け毛が「注意が必要な抜け毛」に多く当てはまる場合は、専門家への相談を検討してもよいでしょう。

思春期・高校生の抜け毛の原因

では、具体的にどのような要因が思春期の抜け毛を引き起こすのでしょうか。主な原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っている場合がほとんどです。

ホルモンバランスの大きな変化

思春期は女性ホルモンである「エストロゲン」と「プロゲステロン」の分泌が活発になり、月経が始まるなど体が大きく変化する時期です。

エストロゲンは髪の成長を促進し、髪の寿命を延ばす働きを持ちます。しかし、思春期はこのホルモンの分泌がまだ不安定なため、一時的にバランスが崩れるときがあります。

このホルモンバランスの乱れがヘアサイクルに影響を及ぼし、抜け毛の増加につながるのです。

ホルモンバランスの乱れを引き起こす要因

要因内容髪への影響
精神的ストレス受験や人間関係の悩み自律神経を乱し、ホルモン分泌に影響
過度なダイエット極端な食事制限ホルモン生成に必要な栄養が不足
睡眠不足夜更かし、不規則な就寝成長ホルモンの分泌を妨げる

ストレスが髪に与える影響

高校生活は勉強や部活、友人関係や将来への不安など、多くのストレスに満ちています。

過度なストレスは自律神経のバランスを崩し、血管を収縮させます。そのため頭皮の血行が悪化し、髪の毛の成長に必要な栄養や酸素が毛根まで届きにくくなります。

その結果として髪が十分に育たなくなり、細くなったり、抜けやすくなったりするのです。

真面目で責任感の強い人ほど、知らず知らずのうちにストレスを溜め込んでしまう傾向があります。

栄養バランスの乱れと食生活

美しい髪を育てるためには、バランスの取れた食事がとても重要です。

しかし、高校生は忙しさから朝食を抜いたり、昼食が菓子パンやおにぎりだけになったり、友人との付き合いでファストフードやスナック菓子を食べる機会が増えたりと食生活が乱れがちです。

髪の主成分であるタンパク質や、その働きを助ける亜鉛、ビタミン類が不足すると健康な髪を作れず、抜け毛や髪質の低下を招きます。

睡眠不足と生活リズムの重要性

髪の毛は、私たちが眠っている間に分泌される「成長ホルモン」によって成長が促されます。なかでも夜10時から深夜2時は、成長ホルモンの分泌が最も活発になる「ゴールデンタイム」と言われています。

しかし、スマートフォンの見過ぎによる夜更かしや、試験勉強などで睡眠時間が不足すると、成長ホルモンの分泌が減少し、髪の成長が妨げられてしまいます。

慢性的な睡眠不足は、抜け毛の大きな原因の一つです。

間違ったヘアケアが抜け毛を招くときも

良いと思って行っている毎日のヘアケアが、実は頭皮や髪にダメージを与え、抜け毛の原因になっている方も見受けられます。

皮脂の分泌が活発になる思春期は、特にケアの方法に注意が必要です。心当たりのある習慣がないか、チェックしてみましょう。

強すぎる洗浄力のシャンプー

頭皮のベタつきが気になるからといって、洗浄力の強すぎるシャンプーでゴシゴシ洗うのは逆効果です。

必要な皮脂まで洗い流してしまうと、頭皮は乾燥から身を守ろうとして、かえって皮脂を過剰に分泌してしまいます。これが毛穴の詰まりや炎症を引き起こし、抜け毛につながるケースがあります。

自分の頭皮の状態に合った、アミノ酸系などのマイルドな洗浄成分のシャンプーを選ぶことが大切です。

過度なスタイリング剤の使用と頭皮への負担

ヘアワックスやスプレーなどのスタイリング剤は髪型を維持するために便利ですが、つけすぎてしまうと頭皮の毛穴を塞いでしまう原因になります。

スタイリング剤が頭皮に残ったまま寝てしまうのは絶対に避けましょう。その日のうちにシャンプーでしっかりと洗い流し、頭皮を清潔に保つことが重要です。

スタイリング剤を使った日は、いつもより丁寧にシャンプーするように心がけてください。

頭皮トラブルを招くヘアケア習慣

習慣理由対策
熱いお湯での洗髪頭皮の乾燥を招く38℃前後のぬるま湯で洗う
自然乾燥雑菌が繁殖しやすくなる洗髪後はすぐにドライヤーで乾かす
爪を立てて洗う頭皮を傷つけ、炎症の原因に指の腹で優しくマッサージするように洗う

髪を強く引っ張るヘアスタイル

ポニーテールやお団子ヘアなど、毎日同じ場所で髪を強く結んでいると毛根に継続的な負担がかかり、「牽引性(けんいんせい)脱毛症」を引き起こす場合があります。

これは、髪が引っ張られてその部分の血行が悪くなり、髪が抜けやすくなる状態です。

毎日同じ髪型をするのではなく、たまには髪を下ろしたり結ぶ位置を変えたりして、頭皮を休ませてあげると良いです。

頻繁なヘアカラーやパーマのリスク

おしゃれを楽しみたい高校生の時期、ヘアカラーやパーマに挑戦したいと思うかもしれません。しかし、これらの薬剤は髪だけでなく頭皮にも大きな負担をかけます。

まだ皮膚がデリケートな時期に短期間で繰り返し行うと、頭皮が炎症を起こしたり、アレルギー反応が出たりする可能性もあります。

これらのダメージが蓄積すると健康な髪が生えにくくなり、抜け毛や切れ毛の原因となります。

もし行う場合は美容師さんとよく相談し、頭皮の状態を見ながら間隔を空けて行うようにしましょう。

抜け毛の背景にある心と体のサイン

思春期の抜け毛は単なる体質や遺伝だけでなく、現代の高校生が置かれている特有の環境や、心の状態が密接に関わっているケースが多いです。

SNS疲れと見た目へのプレッシャー

スマートフォンを開けば、いつでも友人や有名人のきらびやかな日常が目に入ります。

完璧にセットされた髪型、美しい肌、楽しそうな姿と自分を無意識に比べてしまい、「自分はダメだ」と落ち込んでしまうときもあるでしょう。

このような「見た目」に対する過剰なプレッシャーは、大きな精神的ストレスとなります。

このストレスが自律神経やホルモンバランスを乱し、抜け毛という形で体にサインを送っているのかもしれません。

学校や友人関係の悩みが髪に現れるとき

学校は楽しい場所であると同時に、複雑な人間関係や成績へのプレッシャーなど、多くのストレスが存在する場所でもあります。

「友達のグループにうまく馴染めない」「先生との関係がうまくいかない」「部活のレギュラー争いがつらい」といった悩みは、言葉にして誰かに相談するのが難しく、一人で抱え込みがちです。

心の中で溜め込んだストレスは気づかないうちに体を蝕み、血行不良などを通じて髪の健康を損なうときがあります。

ダイエットによる髪への影響

「もっと痩せたい」という気持ちから、食事を極端に減らすような無理なダイエットをしている方も少なくないようです。

特定の食品だけを食べる、あるいはほとんど何も食べないといった偏ったダイエットは、髪にとって致命的です。

髪の毛はタンパク質からできており、その成長にはビタミンやミネラルが欠かせません。これらの栄養素が不足すると、体は生命維持に重要な臓器へ優先的に栄養を送るため、髪への供給は後回しにされます。

その結果、髪が栄養失調状態となり、細く弱々しくなり、簡単に抜けてしまうのです。

無理なダイエットの危険なサイン

  • めまいや立ちくらみがする
  • 集中力が続かない
  • 肌がカサカサになった
  • 月経が不順になった、または止まった

これらのサインは、体が悲鳴を上げている証拠です。髪だけでなく、心と体の健康のために正しい知識に基づいた健康的な体型管理が必要です。

親には言えない「髪の悩み」の抱え方

抜け毛のようなデリケートな悩みは、一番身近な存在であるはずの親にさえ、なかなか言い出せないことがあります。

「心配をかけたくない」「どうせ分かってくれないだろう」「気にしすぎだと言われそう」といった風に考えて、一人で悩みを抱え込んでしまう高校生は少なくありません。

しかし、一人で悩み続けるとさらなるストレスを生み、問題を深刻化させる可能性があります。

信頼できる友人や、学校の保健室の先生、そして専門のクリニックに相談するのも大切な選択肢の一つです。

食生活から見直す抜け毛対策

抜け毛対策の基本は、体の内側からのケアです。高価なトリートメントを使う前に、まずは毎日の食事を見直してみましょう。

健やかな髪を育てるためにどのような栄養素が必要で、どうすれば効率的に摂取できるのかを解説します。

髪の成長を助ける栄養素

私たちの髪は、主に「ケラチン」というタンパク質でできています。そのため、まずは良質なタンパク質を十分に摂るのが大前提です。

それに加えて、タンパク質の合成を助けたり、頭皮の健康を保ったりするビタミンやミネラルも同様に重要です。

髪に良い三大栄養素と多く含まれる食品

栄養素主な働き多く含まれる食品
タンパク質髪の主成分となる肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
亜鉛タンパク質の合成を助ける牡蠣、レバー、牛肉、チーズ
ビタミンB群頭皮の新陳代謝を促す豚肉、レバー、うなぎ、納豆

コンビニや外食で賢く栄養を摂るコツ

忙しい高校生にとって、毎日自炊するのは難しいかもしれません。しかし、コンビニや外食でも、少しの工夫で栄養バランスを整えることは可能です。

例えば、おにぎりやパンだけで済ませるのではなく、サラダチキンやゆで卵、ヨーグルトなどを一品加えるだけでタンパク質を手軽に補給できます。

コンビニで選ぶべきプラスワン食品

主食プラスワンにおすすめの食品補える栄養素
おにぎり・パンサラダチキン、ゆで卵、豆乳タンパク質
パスタ・麺類わかめスープ、野菜サラダミネラル、ビタミン
お弁当ヨーグルト、ナッツタンパク質、亜鉛

避けたほうがよい食べ物や飲み物

健康な髪のためには、積極的に摂りたい栄養素がある一方で、過剰な摂取を避けたいものもあります。

スナック菓子やインスタント食品に多く含まれる脂肪分や糖分は、摂りすぎると皮脂の分泌を過剰にし、頭皮環境を悪化させる原因になります。

また、体を冷やす冷たい飲み物の摂りすぎは血行不良につながるため、注意が必要です。バランスを考え、楽しむ程度に留めましょう。

健やかな髪を育む生活習慣

食事の見直しと合わせて、日々の生活習慣を整える心がけも抜け毛対策にはとても大切です。少し意識を変えるだけで、髪の健康状態が大きく改善される可能性があります。

質の良い睡眠をとるための工夫

前述の通り、睡眠中に分泌される成長ホルモンは髪の成長に欠かせません。ただ長く眠るだけでなく、「質の良い睡眠」をとるのが重要です。

寝る直前までスマートフォンやテレビを見ていると、ブルーライトの影響で脳が興奮状態になり、寝つきが悪くなったり眠りが浅くなったりします。

就寝1時間前にはデジタルデバイスから離れ、リラックスできる時間を作りましょう。

質の良い睡眠のためのポイント

  • 就寝・起床時間をなるべく一定にする
  • 寝る前にカフェインを摂らない
  • 軽いストレッチで体をほぐす
  • 自分に合った枕や寝具を選ぶ

自分に合ったストレス解消法を見つける

ストレスを完全になくすのは難しいですが、上手に発散する方法を見つけることは可能です。

自分が「楽しい」「心地よい」と感じられることを見つけるのが大切です。音楽を聴く、好きな香りのアロマを焚く、友達とおしゃべりする、思いっきり体を動かすなど、人それぞれ方法は異なります。

勉強の合間などに短時間でもリフレッシュする時間を作り、心と体の緊張をほぐしてあげましょう。

血行を促進する簡単な運動

適度な運動は全身の血行を促進し、頭皮に栄養を届ける上で非常に効果的です。

激しいスポーツをする必要はありません。通学時に一駅手前で降りて歩く、エレベーターではなく階段を使う、寝る前に軽いストレッチをするなど、日常生活の中で少し意識して体を動かすだけでも十分です。

血行が良くなると頭皮が健康になり、強く抜けにくい髪が育つ土台が作られます。

思春期のための正しいヘアケア方法

毎日のシャンプーやドライヤーも、正しい方法で行うと抜け毛の予防につながります。

頭皮を清潔に保ち、余計なダメージを与えないための基本的なヘアケア方法をマスターしましょう。

頭皮に優しいシャンプーの選び方と洗い方

シャンプーは髪を洗うもの、と思いがちですが、本来は「頭皮を洗う」のが目的です。

まず、シャンプー前にお湯で髪と頭皮を十分に予洗いし、汚れの大部分を落とします。

次に、シャンプーを手のひらでよく泡立ててから、髪ではなく頭皮につけ、指の腹を使ってマッサージするように優しく洗いましょう。

すすぎ残しは頭皮トラブルの原因になるため、時間をかけて丁寧に洗い流すのが重要です。

正しいシャンプーの手順

ステップポイント目的
予洗いぬるま湯で1~2分汚れの7~8割を落とす
洗う指の腹で頭皮をマッサージ毛穴の汚れを落とし、血行促進
すすぎシャワーで根元からしっかりすすぎ残しによるトラブル防止

ドライヤーの正しい使い方

濡れた髪はキューティクルが開いており、非常にデリケートな状態です。濡れたまま放置すると雑菌が繁殖しやすくなるだけでなく、摩擦で髪が傷んでしまいます。

洗髪後は、まずタオルで優しく水分を拭き取り(ゴシゴシ擦らないこと)、その後すぐにドライヤーで乾かしましょう。

ドライヤーは髪から20cm以上離し、同じ場所に熱が集中しないように小刻みに動かしながら使うのがコツです。

8割ほど乾いたら最後に冷風を当てるとキューティクルが引き締まり、ツヤのある髪に仕上がります。

頭皮マッサージの効果とやり方

頭皮マッサージは、硬くなった頭皮をほぐして血行を促進するのに効果的です。

シャンプーのついでや、お風呂上がりのリラックスタイムに行うのがおすすめです。

両手の指の腹を使い、頭皮全体を優しく動かすようにマッサージします。気持ちいいと感じるくらいの力加減で行いましょう。

専門クリニックに相談するタイミング

セルフケアを続けてもなかなか改善が見られないときや、抜け毛の量が異常に多くて不安な場合は、一人で抱え込まずに専門クリニックへの相談をおすすめします。

専門家による的確な診断とアドバイスが、悩みを解決する一番の近道になるケースも多いです。

セルフケアで改善しない場合

食生活や睡眠、ヘアケアなど、これまで紹介してきた対策を1〜2ヶ月続けてみても抜け毛が減るどころか増え続けるような場合は、何か他の原因が隠れている可能性があります。

特に、生活習慣を改善しても抜け毛が止まらない、頭皮にかゆみやフケ、赤みなどの異常がある場合は、早めに専門医の診察を受けることが重要です。

明らかに薄毛が進行していると感じるとき

「地肌が透けて見える範囲が広がってきた」「髪の分け目が以前より目立つようになった」「髪全体のボリュームがなくなった」など、客観的に見て薄毛が進行していると感じる場合は、専門的な治療が必要なサインかもしれません。

特に、円形脱毛症のように、部分的にごそっと髪が抜ける症状が見られるときはすぐに皮膚科や専門クリニックを受診してください。

クリニック受診を検討すべきサイン

症状の種類具体的な状態
抜け毛の量明らかに以前より増え、枕や排水溝に溜まる量が多い
髪質の変化髪が細く、コシがなくなった。うぶ毛のような短い毛が増えた
頭皮の状態地肌が目立つ、かゆみ、フケ、湿疹、痛みがある

クリニックで受けられる検査と治療

女性の薄毛治療を専門とするクリニックでは、まず丁寧なカウンセリングで生活習慣や悩みを詳しく聞き取ります。

その後、マイクロスコープで頭皮の状態をチェックしたり、血液検査でホルモンバランスや栄養状態を調べたりして、抜け毛の根本的な原因を特定します。

その原因に応じて頭皮環境を整えるための専門的な施術、栄養指導など、一人ひとりに合った治療法を提案します。

よくある質問

さいごに、思春期・高校生の抜け毛に関して、クリニックに寄せられることの多い質問にお答えします。

親にどうやって相談すればいいですか?

デリケートな問題なので、切り出しにくい気持ちはよく分かります。「最近、髪のことで真剣に悩んでいるから、少し時間を作って話を聞いてほしい」と、まずは真剣な気持ちを伝えましょう。

インターネットの記事を見せながら「こういう原因があるみたいで、一度専門の人に相談してみたい」と具体的に話すのも良い方法です。

真剣さが伝われば、きっと親御さんも向き合ってくれるはずです。

治療にはどのくらいの期間や費用がかかりますか?

治療期間や費用は、抜け毛の原因や症状の程度、治療内容によって大きく異なります。まずは保険診療が適用される皮膚科を受診するのも一つの手です。

より専門的な治療を行う女性薄毛専門クリニックなどでは自由診療となるケースが多く、費用は高くなる傾向がありますが、その分、一人ひとりに合わせたきめ細やかな治療が受けられます。

初回のカウンセリングで、費用や期間について詳しく説明を受けられるので、まずは相談してみるのがおすすめです。

遺伝による薄毛は改善できますか?

薄毛に遺伝的要因が関係する場合がありますが、「遺伝だから治らない」と諦める必要はありません。

遺伝的な素因があったとしても、生活習慣の改善や適切な治療を行うと、薄毛の進行を遅らせたり、症状を改善したりできます。若いうちからの正しいケアは、将来の髪を守る上で非常に重要です。

サプリメントは効果がありますか?

髪に良いとされるサプリメントはたくさんありますが、それだけで抜け毛が治るわけではありません。

サプリメントは、あくまで食事で不足しがちな栄養素を補助するものです。基本はバランスの取れた食事であり、その上で補助的に活用するのは良いでしょう。

ただし、過剰摂取は体に悪影響を及ぼす可能性もあるため、使用する場合は専門医や薬剤師に相談すると良いでしょう。

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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