60代女性の薄毛に似合う髪型選び|年齢に合ったスタイリング術

60代女性の薄毛に似合う髪型選び|年齢に合ったスタイリング術

60代を迎えると、重ねた年齢ならではの品格や深みが増す一方で、髪質の変化、特に「薄毛」という悩みに直面する女性は少なくありません。

「どんな髪型なら、この悩みを自然にカバーできるのだろう」「自分に似合うスタイルがわからない」と感じる方もいるのではないでしょうか。

薄毛は決して特別な悩みではありません。髪型やスタイリングを少し工夫するだけで、見た目の印象が驚くほど変わり、心も軽やかになります。

目次

60代の髪の変化|なぜ薄毛が目立ちやすくなるのか

60代になると、多くの方が髪のボリュームダウンや地肌の透け感に気づきます。

「年齢のせい」と片付けるのではなく、その背景にある具体的な体の変化を理解することが、適切な対策への第一歩となります。

女性ホルモンの減少と髪への影響

女性の髪の健康と深く関わっているのが、女性ホルモンの一つである「エストロゲン」です。エストロゲンには髪の成長を促進し、そのハリやコシを保つ働きがあります。

しかし、閉経を迎える50代前後からエストロゲンの分泌量は大きく減少し、60代ではさらにその傾向が続きます。

このホルモンバランスの変化により髪の成長期が短くなり、一本一本の髪が細く弱々しくなってしまうのです。

結果として、全体のボリュームが減少し、薄毛が目立つようになります。

髪のハリ・コシ・ツヤの低下

年齢を重ねると、髪の主成分であるタンパク質(ケラチン)を生成する力が弱まります。また、髪内部の水分や油分も減少しやすいです。

これらの要因が複合的に絡み合い、かつてのようなハリやコシ、自然なツヤが失われていきます。

髪がしなやかさを失って、へたっとしやすくなるため、スタイリングをしても形が持続しにくく、ボリューム感を出しづらくなるのです。

60代の髪に見られる主な変化

変化の項目主な原因見た目の印象
髪が細くなる女性ホルモンの減少全体のボリュームダウン
ハリ・コシの低下タンパク質生成能力の低下髪がへたりやすい
うねり・くせ毛毛穴の歪み、水分バランスの変化まとまりにくく、ツヤがない

頭皮環境の変化と血行不良

健康な髪は、健康な頭皮という土壌から育ちます。しかし、加齢に伴い頭皮もまた、乾燥しやすく硬くなる傾向があります。

頭皮が硬くなると血行が悪化し、髪の成長に必要な栄養素が毛根まで十分に行き渡らなくなります。この栄養不足が、髪のやせ細りや抜け毛を助長し、薄毛を進行させる一因です。

日々の生活習慣やストレスも血行に影響を与えるため、注意が必要です。

白髪によるボリューム感の喪失

60代になると白髪が増えるのは自然なことですが、これも薄毛の印象を強める要因の一つです。

黒髪に比べて白髪は光を透過しやすいため、髪の密集度が同じでも、地肌が透けて見えやすくなります。特に、つむじや分け目部分に白髪が集中すると、その部分だけが薄くなったように感じられる場合があります。

白髪染めは見た目の色を整えるだけでなく、髪にハリを与えてボリューム感を補う効果も期待できます。

薄毛をカバーする髪型選びの基本原則

薄毛の悩みを解決するために、髪型選びにはいくつかの重要な原則があります。

これらのポイントを押さえると、気になる部分を自然にカバーし、若々しく華やかな印象を作り出せます。

トップにボリュームを出す重要性

薄毛が最も目立ちやすいのは、頭頂部(トップ)です。

この部分に高さを出し、ふんわりとしたボリュームを持たせるのが、髪型全体のシルエットを美しく見せて薄毛を目立たなくさせる最大の鍵となります。

トップにボリュームがあると視線が自然と上に集まり、顔全体のリフトアップ効果も期待できます。

カットの段階でトップにレイヤー(段差)を入れてもらうと、スタイリングでボリュームを出しやすくなります。

分け目をぼかすスタイリング

いつも同じ場所で髪を分けていると、その部分の地肌が目立ちやすくなるだけでなく、髪の根元が寝てしまいボリュームが出にくくなります。

分け目はくっきりと一直線につけるのではなく、指でジグザグにぼかしたり、普段とは逆の方向から髪を流したりするだけで、根元が立ち上がり、地肌の透け感を効果的に隠せます。

ドライヤーで乾かす際に、分け目をつけずに色々な方向から風を当てるのも有効な方法です。

ひし形シルエットでバランスを整える

ヘアスタイル全体のシルエットを「ひし形」に近づけるように意識しましょう。

ひし形シルエットとは、トップに高さを出し、サイド(耳の横あたり)にボリュームを持たせて襟足はすっきりと引き締めるスタイルです。

この形は頭の形をきれいに見せる効果があり、顔周りに華やかさをプラスします。

フェイスラインがすっきり見えるため、小顔効果も期待できる、まさに黄金バランスのシルエットです。

シルエット作りのポイント

部分ポイント期待できる効果
トップ高さを出してふんわりさせる薄毛カバー、リフトアップ効果
サイド横幅と丸みを出す華やかさ、小顔効果
襟足タイトに引き締めるメリハリ、首を長く見せる

視線を誘導する前髪の工夫

前髪は、顔の印象を大きく左右する重要なパーツです。薄毛カバーの観点からも、前髪の作り方は非常に重要です。

額が後退してきた、生え際が気になるという悩みには、少し厚めに前髪を作るのが効果的です。

また、前髪を斜めに流したり、軽くカールをつけて動きを出したりすると視線が分け目や頭頂部から逸れ、自然に悩みをカバーできます。

前髪があるだけで若々しい印象にもつながります。

【レングス別】60代におすすめのヘアスタイル

薄毛をカバーしつつ、60代の品格を引き立てるヘアスタイルを、髪の長さ(レングス)別に紹介します。

ご自身の生活スタイルや好みに合わせて、理想の髪型を見つけましょう。

ショートヘア|軽やかさと手入れのしやすさ

ショートヘアはトップにボリュームを出しやすく、薄毛カバーに適したスタイルの一つです。

髪全体の重さが軽くなるため、根元が自然に立ち上がり、ふんわりとしたシルエットを作りやすいのが特徴です。

後頭部に丸みを持たせるようにカットしてもらうと、絶壁をカバーし、どの角度から見ても美しいフォルムになります。

また、日々のシャンプーやドライが楽で、手入れがしやすい点も60代女性にとって大きなメリットです。

ボブヘア|品格とアレンジの多様性

ボブヘアは時代を問わず愛される上品なスタイルです。顎のラインで切りそろえたクラシックなボブから、レイヤーを入れて動きを出した軽やかなボブまで、デザインの幅が広いのが魅力です。

特に、後頭部からサイドにかけて丸みのあるシルエットを作る「グラデーションボブ」は、トップのボリュームを自然に見せつつ、気になるフェイスラインを優しくカバーします。

毛先にパーマをかければ、華やかさとスタイリングのしやすさがさらに向上します。

レングス別スタイルの特徴比較

レングスメリットスタイリングのポイント
ショートボリュームを出しやすい、手入れが楽トップのふんわり感、後頭部の丸み
ボブ上品、アレンジしやすい、カバー力が高いひし形シルエット、毛先の動き
ミディアム女性らしい、結ぶことも可能レイヤー、顔周りのカール

ミディアムヘア|女性らしさとカバー力の両立

肩につく程度のミディアムヘアは、女性らしい柔らかな雰囲気を保ちながら、薄毛をカバーできるスタイルです。

顔周りや表面にレイヤーを入れると髪に動きと軽やかさが生まれ、ボリュームがあるように見せられます。

また、髪が結べる長さなので、暑い日や作業をする際にはアップスタイルにアレンジすることも可能です。

毛先に大きめのカールをつけるとエレガントな印象が強まり、視線を毛先に集めるためトップの薄毛を目立たなくする効果も期待できます。

スタイリングで実現するボリュームアップ術

カットで髪型の土台を整えたら、日々のスタイリングでその魅力を最大限に引き出しましょう。

少しの手間をかけるだけで、ボリューム感が見違えるほど変わります。

ドライヤーを使った根元の立ち上げ方

ボリュームアップの基本は、髪を乾かす工程にあります。濡れた髪は根元が寝てしまいがちなので、ドライヤーの風をうまく使って根元をしっかりと立ち上げましょう。

まず、髪全体の根元に風が行き渡るように、下を向いて後頭部から前に向かって乾かします。

次に、頭を起こし、髪の生えている方向とは逆向きに指で髪をかき上げながら、根元に温風を当てます。最後に冷風で仕上げると立ち上がった根元が固定され、スタイルが長持ちします。

ドライヤーテクニックの基本

  • 下を向いて根元から乾かす
  • 髪の流れに逆らって風を当てる
  • 指で根元をこするように乾かす
  • 最後は冷風でキープする

スタイリング剤の選び方と正しい使用法

スタイリング剤は、ボリュームアップの心強い味方です。しかし、種類や使い方を間違えるとかえって髪が重くなり、ぺたんこの原因になってしまいます。

60代の細く柔らかくなった髪には、軽やかな仕上がりのものが適しています。

根元の立ち上げにはムースタイプやパウダースプレー、毛先の動きを出すにはファイバー系のワックスなどが良いでしょう。

一度にたくさんつけるのではなく、少量を手のひらでよく伸ばしてから、髪の内側から揉み込むようにしてなじませるのがコツです。

目的別スタイリング剤の選び方

目的おすすめの剤形特徴
根元の立ち上げムース、パウダースプレー軽い質感でふんわり感を出す
毛先の動き・束感ファイバーワックス、クリームベタつかずにスタイルを作る
スタイルキープソフトタイプのスプレー固めすぎずに自然な質感を保つ

ヘアアイロン・カーラーの活用術

ドライヤーだけでは物足りない場合、ヘアアイロンやホットカーラーを使うと、より簡単に、そして持続性のあるボリュームを作れます。

トップの髪を数本取り、根元近くをアイロンで挟んで軽く内巻きにするだけで、驚くほどふんわりします。

カーラーを使う場合はトップやサイドの表面の髪を巻き、しばらく時間をおくだけで、華やかなカールとボリュームが生まれます。

火傷には十分注意し、髪を傷めないためにも、長時間の使用は避けてください。

髪色で印象を変える|カラーリングの考え方

ヘアカラーは、白髪をカバーするためだけのものではありません。色を戦略的に使うと薄毛の悩みを軽減し、顔色を明るく見せる効果も期待できます。

ご自身の肌の色やなりたいイメージに合わせて、カラーリングを楽しみましょう。

明るめカラーで地肌とのコントラストを弱める

髪の色が暗いと地肌の白色とのコントラストが強くなり、分け目や生え際が目立ちやすくなります。

そこで、髪色を少し明るくする(8〜9トーン程度)ことを検討してみましょう。髪と地肌の色の差が小さくなるため地肌の透け感が和らぎ、全体的に柔らかく軽やかな印象になります。

ただし、あまりに明るすぎると髪の傷みが目立ったり、品格が損なわれたりする場合もあるため、美容師と相談しながら肌の色に合う自然な明るさを選ぶのが大切です。

ハイライトで立体感をプラスする

髪全体を均一に染めるのではなく、部分的に明るい色を入れる「ハイライト」は、薄毛カバーに非常に有効なテクニックです。

髪に色の濃淡あると自然な立体感と奥行きが生まれ、のっぺりとした印象を回避できます。この髪の動きが視線を分散させ、薄毛を目立たなくします。

また、ハイライトは伸びてきた白髪をぼかす効果もあるため、白髪染めの頻度を減らせるという利点もあります。

カラーリングテクニックの効果

テクニック主な効果こんな方におすすめ
ワントーンカラー(明るめ)地肌とのコントラストを緩和全体的に髪が薄く感じる方
ハイライト髪に立体感と動きを出す分け目や生え際が気になる方
ローライト髪に深みと引き締め効果髪にツヤ感が欲しい方

髪と頭皮に優しいカラー剤の選択

カラーリングを続ける上で気になるのが、髪と頭皮への負担です。60代のデリケートな頭皮環境を考えると、刺激の少ないカラー剤を選ぶのが重要です。

オーガニック成分を配合したものや、頭皮の保護オイルを使用しながら施術する方法など、ダメージを最小限に抑える選択肢が増えています。

かかりつけの美容室で、どのような薬剤を扱っているか、どのような配慮をしてくれるかを確認し、安心して任せられる場所を見つけましょう。

髪型だけじゃない!心の持ち方と生活習慣が与える影響

薄毛の悩みは、髪型やスタイリングといった外見的な取り組みだけで解決するものではありません。

実は、ご自身の心の状態や日々の生活習慣が、髪の健康、ひいては見た目の印象に大きな影響を与えています。

ここでは、髪を育む内面的なケアについて考えてみましょう。

ストレスと髪の健康の深い関係

過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させます。これによって頭皮の血行が悪化し、髪の成長に必要な栄養が届きにくくなります。

また、ストレスはホルモンバランスにも影響を及ぼし、抜け毛を増やす原因となるケースがあります。

「髪が薄くなってきた」という悩み自体がストレスとなり、悪循環に陥っている方も少なくありません。

自分なりのリラックス法を見つけ、心穏やかに過ごす時間を意識的に作るようにしましょう。

ポジティブな気持ちによる見た目の変化

髪型が決まると一日中気分良く過ごせるように、心の状態は表情や姿勢に現れます。

薄毛を過度に気にして俯きがちになるよりも、「この髪型も素敵」「今日の自分も良い感じ」と前向きな気持ちでいると、その自信が自然な笑顔や生き生きとした表情を生み出し、周りから見た印象を格段に良くします。

髪型は、あくまでもご自身の魅力を引き出すための一つのツールです。悩みを隠すことばかりに捉われず、新しい自分を発見する楽しみとして捉えてみましょう。

髪に良い栄養素と食生活の見直し

美しい髪は、体の中から作られます。なかでも髪の主成分であるタンパク質、その合成を助ける亜鉛、頭皮の健康を保つビタミン類は、意識して摂取したい栄養素です。

バランスの取れた食事を基本としながら、これらの栄養素を多く含む食品を日々の食卓に取り入れましょう。

外食や加工食品に偏らず、手作りの和食中心の生活を心がけると、髪だけでなく全身の健康維持にもつながります。

髪の成長をサポートする主な栄養素

栄養素主な働き多く含む食品
タンパク質髪の主成分(ケラチン)を作る肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛タンパク質の合成を助ける牡蠣、レバー、牛肉
ビタミンB群頭皮の新陳代謝を促す豚肉、うなぎ、玄米

質の良い睡眠が育む健やかな髪

髪は、私たちが眠っている間に成長します。入眠後すぐに訪れる深い眠りの時間帯に、髪の成長を促す「成長ホルモン」が最も多く分泌されます。

睡眠不足が続いたり眠りが浅かったりすると、この成長ホルモンの分泌が妨げられ、髪の健やかな成長が阻害されてしまいます。

毎日決まった時間に就寝し、6〜7時間程度の十分な睡眠時間を確保するよう努めましょう。

寝る前のスマートフォン操作を控えるなど、リラックスして入眠できる環境を整えるのも重要です。

美容室でのオーダーで失敗しないためのポイント

理想の髪型を手に入れるためには、美容師との意思疎通が何よりも重要です。自分の悩みを正確に伝え、なりたいイメージを共有すると、満足のいく仕上がりにつながります。

悩みを具体的に伝える準備

「薄毛が気になる」と漠然と伝えるだけでは、美容師もどこに重点を置いてカットすれば良いか判断に迷います。

「トップのボリュームが欲しい」「分け目がパックリ割れてしまう」「つむじ周りが透けて見える」など、どの部分が、どのように気になるのかを具体的に言葉にして伝えましょう。

事前に鏡を見ながら、自分の悩みを整理しておくのがおすすめです。いつから気になり始めたか、どのような時に特に困るかなどをメモしておくと、伝え忘れを防げます。

伝えるべき悩みの具体例

  • トップのボリュームが出ない
  • 分け目が目立つ
  • つむじが割れる
  • 髪が細くてセットが持たない

なりたいイメージ写真の活用法

言葉だけで髪型のイメージを共有するのは、非常に難しい作業です。そこで役立つのが、ヘアカタログや雑誌の切り抜き、スマートフォンの画像などの「なりたいイメージ写真」です。

理想とする髪型の写真を2〜3枚用意していくと、美容師はあなたの好みのテイストを正確に把握できます。

その際、「この写真の全体の雰囲気」「こちらの写真の前髪の感じ」というように、写真のどの部分が好きなのかを具体的に指し示すと、よりイメージの共有が深まります。

美容師との信頼関係を築く

髪の悩みは非常にデリケートな問題であり、信頼できる美容師を見つけることは、長期的な視点で見て非常に重要です。

初対面の美容師に全てを打ち明けるのに抵抗がある場合は、まずはカウンセリングの丁寧さや、こちらの話を親身に聞いてくれる姿勢があるかを見極めましょう。

一度で完璧を求めるのではなく、何度か通う中で少しずつ髪の悩みを相談して一緒に理想のスタイルを作り上げていくという気持ちでいると、良い関係を築きやすくなります。

日常でできる頭皮ケアと薄毛対策

美しい髪を育むためには特別なケアだけでなく、日々の地道な積み重ねが大切です。

毎日の習慣を見直すと、頭皮環境を健やかに保ち、薄毛の進行を緩やかにすることが期待できます。

正しいシャンプーの方法と選び方

シャンプーは、単に髪の汚れを落とすためだけのものではありません。頭皮の余分な皮脂や汚れをきちんと落とし、清潔な状態を保つための重要なケアです。

洗う際は、爪を立てずに指の腹で頭皮を優しくマッサージするように洗いましょう。シャンプー剤が残らないよう、すすぎは時間をかけて丁寧に行うのが重要です。

また、洗浄力の強すぎるシャンプーは頭皮の乾燥を招く場合があるため、アミノ酸系のようなマイルドな洗浄成分で、保湿成分が配合されたものを選ぶと良いでしょう。

シャンプー選びのチェックポイント

チェック項目選び方のポイント理由
洗浄成分アミノ酸系、ベタイン系必要な潤いを残し、優しく洗い上げるため
添加物シリコン、合成香料などが無添加頭皮への刺激を減らすため
保湿成分セラミド、ヒアルロン酸など頭皮の乾燥を防ぐため

頭皮マッサージで血行を促進

硬くなった頭皮をほぐして血行を促進するためには、頭皮マッサージが効果的です。

シャンプーの際や、お風呂上がりのリラックスタイムなどに、指の腹を使って頭皮全体を優しく動かすようにマッサージします。

側頭部から頭頂部に向かって、ゆっくりと引き上げるように行うのがポイントです。

毎日数分でも続けると頭皮が柔らかくなり、髪に栄養が届きやすい環境を整えられます。気持ちが良いと感じる程度の力加減で行いましょう。

紫外線から頭皮を守る習慣

顔や腕の紫外線対策はしていても、頭皮の対策は見落としがちです。頭皮は体の中で最も太陽に近い位置にあり、紫外線のダメージを直接受けやすい場所です。

紫外線は頭皮の乾燥や炎症を引き起こし、毛根にダメージを与えて抜け毛や薄毛の原因となります。

日差しの強い日に外出する際は帽子をかぶったり、日傘をさしたりする習慣をつけましょう。

最近では、髪や頭皮に使えるスプレータイプの日焼け止めもあるので、活用するのも一つの方法です。

60代の髪型に関するよくある質問

さいごに、60代の女性からよく寄せられる髪型やケアに関する質問にお答えします。

パーマはかけた方が良いですか?

髪のボリュームや動きを出すために、パーマは非常に有効な選択肢です。特に、髪が細くスタイリングをしてもすぐにへたってしまう方にとっては、日々のセットが格段に楽になります。

トップにだけ部分的にかける「ポイントパーマ」なら、髪全体へのダメージを抑えつつ、欲しいところにだけボリュームをプラスできます。

ただし、髪の状態によっては負担が大きくなる場合もあるため、必ず美容師に髪質やダメージ具合を診断してもらい、相談の上で決めると良いでしょう。

ウィッグやヘアピースの活用はどう考えれば良いですか?

ウィッグやヘアピース(部分用ウィッグ)は、薄毛の悩みを瞬時に、そして劇的に解決できる便利なアイテムです。

特に、つむじや分け目など、気になる部分だけをピンポイントでカバーできるヘアピースは、手軽に取り入れやすく人気があります。

重要なのは、ご自身の髪色や髪質に合った、自然に見える製品を選ぶことです。品質の良いものであれば、着けていると分からないほど自然になじみます。

特別な日のためだけでなく、日常的なおしゃれの選択肢の一つとして、前向きに活用を検討してみる価値は十分にあります。

髪型を維持するために美容室へ行く頻度は?

美しいヘアスタイルを維持するためには、定期的なメンテナンスが大切です。髪型にもよりますが、一般的には1ヶ月半から2ヶ月に一度のペースで美容室へ行くのが理想的です。

特にショートヘアやボブヘアは少し伸びるだけでシルエットが崩れやすいため、こまめなカットが必要です。

定期的に通うと、髪や頭皮の状態をプロの目線でチェックしてもらえるというメリットもあります。

美容師と相談しながら、ご自身の髪の伸びる速さやスタイルに合わせた来店周期を見つけましょう。

参考文献

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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