「髪を洗うたびにトリートメントを使うと、ごっそり髪が抜ける気がする」「髪に良いと思って使っているのに、もしかしてトリートメントが原因ではげるのでは?」そんな不安を抱える方もいるようです。
毎日のヘアケアに欠かせないトリートメントですが、使い方を誤ると頭皮環境を悪化させ、抜け毛の一因になる可能性も否定できません。
この記事では、女性の抜け毛とトリートメントの正しい関係性について、専門的な観点から詳しく解説します。
トリートメントが直接的な原因なのか、他に潜む本当の理由は何なのかを確認し、今日からできる正しいヘアケアで健やかな髪を取り戻す第一歩を踏み出しましょう。
トリートメントで髪が抜けるという噂の真相
多くの方が、シャンプー後のトリートメント中に指に絡まる髪の毛を見て、「トリートメントのせいで髪が抜けている」と誤解しがちです。
しかし、ほとんどの場合、トリートメント自体が健康な髪を抜けさせているわけではありません。
トリートメントの基本的な役割
まず、トリートメントが髪にどのような働きをするのかを正しく理解することが大切です。
トリートメントの主な目的は、髪の内部に栄養成分を浸透させ、ダメージを補修することです。キューティクルを整えて髪の水分やタンパク質の流出を防ぎ、手触りを滑らかにします。
製品によって保湿や補修、コーティングなど、得意な機能が異なります。
主なトリートメントの種類と役割
種類 | 主な役割 | 使用タイミング |
---|---|---|
インバストリートメント | 髪の内部補修・保湿 | シャンプー後、洗い流す |
アウトバストリートメント | 外部刺激からの保護・質感向上 | タオルドライ後、洗い流さない |
ヘアマスク/ヘアパック | より集中的な内部補修 | 週1〜2回のスペシャルケア |
なぜ「トリートメントで抜ける」と感じるのか
では、なぜトリートメント中に抜け毛が目立つのでしょうか。これにはいくつかの理由が考えられます。
一つは、シャンプーによってすでに抜け落ちる運命にあった髪の毛が、トリートメント剤の滑りによって指に絡みつきやすくなるためです。
また、髪がきしんでいる状態で無理に指を通そうとすると、健康な髪まで引き抜いてしまう場合があります。
つまり、トリートメントが「抜いている」のではなく、「抜けた髪が目に見えやすくなる」状況を作っているのです。
ほとんどの場合、トリートメントが直接の原因ではない
結論として、製品の用法・用量を守って正しく使用している限り、トリートメントが直接的に健康な髪の毛を抜けさせる原因になることは極めて稀です。
むしろ、ダメージを放置するほうが、切れ毛や将来的な抜け毛のリスクを高めます。
ただし、間違った使い方を続けると頭皮環境に悪影響を及ぼし、間接的に抜け毛を助長する可能性があります。
要注意!抜け毛につながるトリートメントの使い方
トリートメントは髪の味方ですが、一歩使い方を間違えると頭皮トラブルを招き、抜け毛の間接的な原因になりかねません。
ここでは、特に注意したい危険な使い方を具体的に解説します。ご自身の使い方と照らし合わせてみてください。
頭皮への直接塗布とすすぎ残し
最も注意すべきは、トリートメントを頭皮に直接塗り込んでしまうことです。
トリートメントに含まれる油分やコーティング成分は、毛髪を補修するためのものであり、頭皮用には設計されていません。
これらの成分が毛穴に詰まると皮脂の正常な分泌を妨げ、炎症やかゆみ、フケの原因となります。
この毛穴の詰まりが健康な髪の成長を阻害し、結果として抜け毛につながるのです。
同様に、すすぎ残しも毛穴詰まりの大きな原因です。髪のぬめり感がなくなるまで、しっかりと洗い流す意識が重要です。
頭皮トラブルのサイン
- かゆみ
- フケ
- 赤み
- ニキビ
シリコン入りトリートメントの功罪
「ノンシリコン」という言葉が流行し、シリコンが悪者であるかのようなイメージを持つ方もいますが、一概にそうとは言えません。
シリコン(ジメチコン、シクロメチコンなど)は髪をコーティングして指通りを良くし、熱や摩擦から守る優れた成分です。
問題は、このシリコンが頭皮に残留した場合です。すすぎ残しによってシリコンが毛穴を塞いでしまうと、前述の通り頭皮トラブルを招く可能性があります。
シリコン入り製品を使う場合は、特にすすぎを丁寧に行う必要があります。
シリコンのメリット・デメリット
項目 | メリット | デメリット(誤用時) |
---|---|---|
使用感 | 指通りが滑らかになる | 頭皮に残るとベタつく |
髪への効果 | キューティクルを保護、ツヤを出す | 蓄積すると髪が重くなることがある |
頭皮への影響 | (特になし) | 毛穴詰まりによるトラブルの可能性 |
過度な使用頻度と量の問題
「髪のダメージが気になるから」と、毎日大量のトリートメントを使うのも逆効果になる場合があります。
髪が吸収できる栄養や水分の量には限界があります。必要以上の量を使っても効果は上がらず、むしろすすぎ残しの原因になるだけです。
製品に記載されている推奨量を守り、髪の長さに応じて調整しましょう。
特に、集中ケア用のヘアマスクなどを毎日使用すると、髪が重くなったり頭皮に負担をかけたりするときがあります。
髪が濡れた状態での過剰なブラッシング
トリートメントを髪全体に行き渡らせるために、ブラシやコームを使う方もいるでしょう。
しかし、髪は濡れているときに最もデリケートで傷つきやすい状態です。目の細かいブラシで無理にとかすとキューティクルを傷つけ、健康な髪まで引き抜いてしまう危険があります。
コームを使う際は目の粗いものを選び、毛先のもつれを優しくほどいてから、中間、根元へと少しずつとかすようにしましょう。
トリートメント以外の女性の抜け毛の原因
トリートメントの使い方を見直しても抜け毛が改善しないときは、原因は他にある可能性が高いです。
女性の抜け毛は、様々な要因が複雑に絡み合って起こります。
ホルモンバランスの乱れ(FAGAなど)
女性の髪の健康は、女性ホルモンである「エストロゲン」と密接な関係があります。エストロゲンは髪の成長を促進してハリやコシを保つ働きをします。
しかし、加齢やストレス、出産や更年期などによりエストロゲンが減少し、男性ホルモンが相対的に優位になると髪の成長期が短くなり、抜け毛が増える場合があります。
これを「女性男性型脱毛症(FAGA)」と呼び、頭頂部や分け目が薄くなる特徴があります。
女性の抜け毛に関わる要因
カテゴリ | 主な原因 | 特徴 |
---|---|---|
ホルモン性 | FAGA、産後脱毛症、更年期 | 分け目や頭頂部が薄くなる |
生活習慣 | 食生活、睡眠不足、ストレス | 髪全体のボリュームが減る |
頭皮環境 | 乾燥、皮脂過剰、血行不良 | フケやかゆみを伴うことがある |
生活習慣の乱れ(食生活・睡眠・ストレス)
健やかな髪は、健やかな体から作られます。
栄養バランスの偏った食事は髪の主成分であるタンパク質や、その成長を助けるビタミン、ミネラルの不足を招きます。特に無理なダイエットは禁物です。
また、睡眠不足は髪の成長を促す成長ホルモンの分泌を妨げます。
精神的なストレスは血管を収縮させ、頭皮の血行不良を引き起こし、髪に十分な栄養が届かなくなる原因となります。
頭皮環境の悪化(乾燥・皮脂過剰)
頭皮は髪が育つ土壌です。この土壌が乾燥しすぎるとバリア機能が低下して外部刺激に弱くなり、かゆみやフケが発生します。
逆に皮脂が過剰に分泌されると毛穴が詰まり、常在菌が異常繁殖して脂漏性皮膚炎などを引き起こすケースもあります。
これらはいずれも健康な髪の育成を妨げ、抜け毛につながります。
洗浄力の強すぎるシャンプーや、間違ったヘアケアが原因となっている方も少なくありません。
間違ったヘアケア習慣
良かれと思って行っている日々のヘアケアが、知らず知らずのうちに髪や頭皮にダメージを与えているケースもあります。
例えば、1日に何度もシャンプーをする、熱いお湯ですすぐ、タオルでゴシゴシと強く拭く、といった行為は頭皮の乾燥やキューティクルの損傷を招きます。
トリートメントの問題だけでなく、ヘアケア全体の流れを見直すことが重要です。
思い込みが危険!抜け毛を悪化させる「良かれと思って」いるヘアケア
抜け毛に悩む方ほど、様々な情報を集めて熱心にヘアケアに取り組む傾向があります。
しかし、その中には科学的根拠が乏しいものや、かえって頭皮環境を悪化させてしまう「思い込みケア」も少なくありません。
「頭皮に良い」高価なオイルの落とし穴
「天然成分100%のオイルで頭皮マッサージをすれば、毛穴の汚れが取れて髪が生える」という話を信じている方もいるでしょう。
確かに適度なマッサージは血行促進に繋がりますが、問題はオイルの使い方です。
オイリー肌の方が過剰にオイルを使うと、皮脂と混ざり合って毛穴をさらに詰まらせる原因になります。
また、オイルをシャンプーで十分に落としきれず、酸化したオイルが頭皮に残留するとかゆみや炎症を引き起こし、抜け毛を悪化させることさえあります。
オイルケアは、ご自身の頭皮タイプを正しく理解した上で慎重に行う必要があります。
毎日念入りすぎるシャンプー
清潔にしたい一心で洗浄力の強いシャンプーを使い、爪を立ててゴシゴシと念入りに洗っている方も見受けられます。
この行為は、頭皮を守るために必要な皮脂まで根こそぎ洗い流してしまいます。
皮脂を奪われた頭皮は、乾燥を防ごうとしてかえって皮脂を過剰に分泌するようになり、ベタつきやニオイの原因になります。また、物理的な刺激は頭皮を傷つけ、バリア機能の低下を招きます。
シャンプーは指の腹で優しく、マッサージするように行うのが基本です。
シャンプー時の注意点
項目 | 推奨される方法 | 避けるべき方法 |
---|---|---|
洗い方 | 指の腹でマッサージするように | 爪を立ててゴシゴシ洗う |
お湯の温度 | 38℃前後のぬるま湯 | 40℃以上の熱いお湯 |
頻度 | 1日1回(基本) | 1日に何度も洗う |
髪を早く乾かしたい一心での高温ドライヤー
濡れた髪を放置するのは雑菌の繁殖につながるため、速やかに乾かすことは大切です。
しかし、早く乾かしたいからといって、ドライヤーの熱風を同じ場所に長時間当て続けるのは非常に危険です。
高温の熱は髪の主成分であるタンパク質を硬化させ(タンパク質変性)、髪をもろく、切れやすくしてしまいます。
また、頭皮に直接熱風を当て続けると乾燥や炎症を引き起こし、健康な髪が育つ環境を損ないます。
ドライヤーは頭皮から20cm以上離し、常に動かしながら全体を乾かすように心がけましょう。
抜け毛を隠すためのきつい髪型
分け目が薄くなってきたのを隠すために、毎日同じ場所で髪をきつく結ぶポニーテールや、引っ張る力がかかるヘアアレンジをしている方もいらっしゃるようです。
このような髪型は毛根に持続的な負担をかけ、「牽引性(けんいんせい)脱毛症」を引き起こす原因になります。
特に生え際や分け目の髪が後退してきたと感じる方は注意が必要です。たまには髪を下ろして頭皮を休ませる日を作ったり、分け目を変えたりする工夫が大切です。
髪と頭皮に優しいトリートメントの選び方
抜け毛を防ぎ、健やかな髪を育むためには、自分の髪質や頭皮の状態に合ったトリートメントを選ぶのが第一歩です。
自分の髪質や悩みに合った成分を知る
まずは、自分の髪がどのような状態なのかを把握しましょう。
「パサついて広がる」「ハリ・コシがない」「カラーやパーマで傷んでいる」など、悩みは人それぞれです。その悩みに応じて、効果的な成分が配合された製品を選びます。
例えば、パサつきが気になるなら保湿成分、ダメージがひどいなら補修成分が豊富なものが適しています。
髪の悩み別・注目したい成分
髪の悩み | 注目したい成分の例 | 期待できる効果 |
---|---|---|
パサつき・乾燥 | セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン | 高い保湿力で髪に潤いを与える |
ダメージ・切れ毛 | ケラチン、ヘマチン、アミノ酸 | 髪の内部を補修し、強度を高める |
ハリ・コシ不足 | 加水分解シルク、ペリセア | 髪にハリと弾力を与える |
頭皮についても安心な成分か確認する
トリートメントは毛先中心に使うのが基本ですが、万が一頭皮についても刺激が少ない成分でできていると、より安心して使えます。
特に敏感肌の方や頭皮にトラブルを抱えがちな方は、植物由来のエキスや、抗炎症作用のある成分(グリチルリチン酸2Kなど)が配合されたものを選ぶと良いでしょう。
香料や着色料、防腐剤などが刺激になる場合もあるため、シンプルな処方の製品を試すのも一つの方法です。
シリコン・ノンシリコンの正しい理解
前述の通り、シリコン自体が悪というわけではありません。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分の目的や髪質に合わせて選ぶことが重要です。
例えば、髪のダメージがひどく、指通りを良くしたい、外部刺激から守りたいという場合はシリコン入りが有効です。
一方で、髪が細くボリュームが出にくい方や、より軽い仕上がりを好む方はノンシリコンが向いている場合があります。
抜け毛を防ぐための正しいトリートメント実践法
良いトリートメントを選んでも、使い方が間違っていては効果が半減してしまいます。
ここでは、トリートメントの効果を最大限に引き出し、頭皮への負担を最小限に抑えるための正しい使い方を、手順に沿って解説します。
適量を守り、毛先中心に塗布する
シャンプー後、まずは髪の水気をしっかりと切ります。水気が多いとトリートメントが薄まってしまい、効果が弱まります。
タオルで優しく挟むように水気を取るのがおすすめです。次に、製品の推奨量を手に取り、手のひら全体に広げます。
そして、最もダメージが気になる毛先から揉み込むように塗布していきます。根元付近には塗布せず、頭皮から5cm以上は離すように意識しましょう。
正しいトリートメントの手順
手順 | ポイント | 目的 |
---|---|---|
1. 水気を切る | タオルで優しく挟み込むように | 成分の浸透を高める |
2. 塗布する | 毛先中心に、根元は避ける | 頭皮への負担を避け、ダメージを集中補修 |
3. なじませる | 目の粗いコームで優しくとかす | 髪全体に均一に行き渡らせる |
4. すすぐ | ぬめりがなくなるまで丁寧に | 毛穴詰まりを防ぐ |
すすぎは「ぬるつき」がなくなるまで丁寧に
トリートメント成分を髪に残したいからと、すすぎを軽く済ませてしまう方がいますが、これは間違いです。
髪表面のぬるつきは、余分なトリートメント剤が残っているサインです。この残留物が頭皮に付着すると、毛穴詰まりや肌トラブルの原因になります。
髪の内部には必要な成分が浸透しているので、表面のぬるつきがなくなるまで、ぬるま湯でしっかりとすすぎましょう。
髪の生え際や襟足はすすぎ残しが多い部分なので、意識して洗い流してください。
放置時間の目安と効果的な温め方
トリートメントを塗布した後すぐに洗い流すのではなく、製品に記載された時間放置すると、成分が髪の内部まで浸透しやすくなります。
一般的には3〜5分程度が目安です。このとき、蒸しタオルやシャワーキャップで髪全体を覆うとキューティクルが開き、さらに浸透効果が高まります。
ただし、長ければ長いほど良いというわけではないので、指定された時間は守りましょう。
ドライヤー前の洗い流さないトリートメント活用術
お風呂上がりのケアとして、洗い流さないトリートメント(アウトバストリートメント)を併用するのも非常に効果的です。
タオルドライ後の濡れた髪に、オイルやミルクタイプのトリートメントを毛先中心になじませると、ドライヤーの熱から髪を守り、乾燥を防げます。
また、パサつきを抑えてまとまりやすい髪に仕上げる効果もあります。インバストリートメントと合わせて、日々のケアに取り入れるのがおすすめです。
セルフケアで改善しない抜け毛は専門クリニックへ
正しいヘアケアを続けても一向に抜け毛が減らない、あるいは悪化しているように感じる場合は、セルフケアの限界かもしれません。
その抜け毛には、FAGA(女性男性型脱毛症)など、医療的な取り組みが必要な原因が隠れている可能性があります。
抜け毛が続く期間や量のセルフチェック
まずはご自身の状態を客観的に把握してみましょう。
一般的に、1日に50〜100本程度の抜け毛は正常なヘアサイクルの範囲内とされます。
しかし、以下のような状態が2〜3ヶ月以上続く場合は、注意が必要です。
- シャンプーやブラッシング時の抜け毛が明らかに増えた
- 枕や部屋に落ちている髪の毛が目立つようになった
- 髪全体のボリュームがなくなり、地肌が透けて見える
- 分け目が以前より広がった気がする
クリニックでのカウンセリングの重要性
専門クリニックでは医師による問診や視診、マイクロスコープを使った頭皮診断などを行い、抜け毛の根本的な原因を突き止めます。
生活習慣や既往歴、遺伝的要因などを総合的に判断し、一人ひとりの状態に合わせた治療計画を立てます。
自己判断で間違ったケアを続けるよりも、専門家の診断を受けるほうが改善への近道です。不安や疑問を相談するだけでも、心の負担が軽くなるでしょう。
クリニック受診を検討する目安
項目 | セルフケアで対応可能 | クリニック受診を推奨 |
---|---|---|
抜け毛の量 | 一時的、季節的な増加 | 明らかに増えた状態が数ヶ月続く |
髪の状態 | 毛先のダメージ、パサつき | 分け目が広がる、地肌が透ける |
頭皮の状態 | 軽度のフケやかゆみ | 強いかゆみ、炎症、痛みを伴う |
どのような治療法があるのか
女性の薄毛治療には、様々な選択肢があります。
代表的なものには、発毛を促進するミノキシジルなどの外用薬、ホルモンバランスを整える内服薬、頭皮に直接有効成分を注入する治療、自身の血液成分を利用した再生医療などがあります。
どの治療法が適しているかは、原因や症状の進行度によって異なります。
クリニックで医師と相談の上、納得できる方法を選択していきましょう。
よくある質問
「トリートメントではげる」「トリートメントで髪が抜ける」「抜け毛の原因はトリートメントでは?」といった不安は、誤解や思い込みであるケースが多いです。
とはいえ、間違った使い方をしていると、トリートメントが抜け毛や薄毛の直接的な原因になってしまう可能性も否定できません。
トリートメントは頭皮に付かないようにして、しっかりと洗い流す、洗髪後は高温を当てすぎないように髪を乾かすなどの基本的な正しいケア方法を守りましょう。
そのうえで抜け毛が減らない、薄毛が進行している、と感じるときは他の原因が考えられますので、いちどクリニックに相談してみることをおすすめします。
- トリートメントは毎日使ってもいいですか?
-
毎日お使いいただいて問題ありません。特にダメージが気になる方や、髪が長い方は日々のケアとして継続することをおすすめします。
ただし、ヘアマスクやヘアパックのような集中ケア製品は、製品の推奨する使用頻度(週に1〜2回など)を守ってください。
毎日の使用は、過剰な油分で髪が重くなったり、頭皮に負担をかけたりする可能性があります。
- リンスやコンディショナーとの違いは何ですか?
-
一般的に、役割に違いがあります。リンスやコンディショナーは、主に髪の表面をコーティングして指通りを良くし、きしみを防ぐ役割が中心です。
一方、トリートメントは髪の内部に栄養成分を浸透させ、ダメージを補修する役割を持ちます。ダメージケアを重視する場合は、トリートメントを選ぶのが良いでしょう。
- 抜け毛が気になるとき、トリートメントはやめるべきですか?
-
やめる必要はありません。むしろ、髪のダメージが抜け毛や切れ毛の一因になっている場合もあるため、正しい方法でケアを続けることが大切です。
ただし、頭皮に直接つけない、すすぎをしっかり行う、といった基本を徹底してください。
もしトリートメントを使うと頭皮にかゆみや炎症が起きる場合は、製品が合っていない可能性があるので、使用を中止して専門医にご相談ください。
- どのくらいで抜け毛の改善が見られますか?
-
抜け毛の原因によって大きく異なります。ヘアケアの見直しによる頭皮環境の改善であれば、1〜3ヶ月程度で変化を感じ始める方もいます。
しかし、ホルモンバランスの乱れやFAGAが原因の場合、セルフケアのみでの改善は難しく、専門的な治療が必要です。
治療を開始した場合でも、効果を実感するには少なくとも6ヶ月程度の期間を見るのが一般的です。焦らず、根気強くケアを続けていきましょう。
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