女性の更年期と抜け毛の関係｜ホルモン検査でわかる原因と対策

更年期に入り、シャンプー時の抜け毛の量や髪のボリュームダウンに、不安を感じている女性もいらっしゃるのではないでしょうか。

女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの減少は、髪の成長サイクルに影響を及ぼし、抜け毛や薄毛を引き起こすことがあります。

この記事では、更年期における女性ホルモンの変動と抜け毛の深い関わり、原因特定に役立つホルモン検査、そして今日から始められる対策について詳しく解説します。

また、婦人科での相談やサプリメントの正しい知識、専門クリニックでの治療法も紹介します。

更年期に抜け毛が増えるのはなぜ？

更年期は多くの女性が身体的、精神的な変化を経験する時期です。その中でも、抜け毛や髪質の変化は見た目にも関わるため、深刻な悩みとなる場合があります。

主な原因は、女性ホルモンのバランスの大きな変動です。

女性ホルモンの減少とその影響

女性の髪の健康には、エストロゲンという女性ホルモンが深く関わっています。エストロゲンは髪の成長期を持続させ、髪のハリやコシを保つ働きをします。

しかし、更年期になると卵巣機能が低下し、エストロゲンの分泌量が急激に減少します。

このホルモンバランスの乱れが毛髪の成長サイクルを短縮させ、結果として抜け毛が増えたり、髪が細くなったりするのです。

女性ホルモンの主な種類と髪への関与

ホルモン名	主な働きと髪への関与	更年期の影響
エストロゲン	髪の成長期を持続、髪のハリ・ツヤ維持、頭皮のコラーゲン生成促進	急激に減少し、髪質の低下や抜け毛を招く
プロゲステロン	髪の成長期維持を補助、皮脂分泌調整	減少し、髪の成長期短縮や頭皮環境の変化に関与

頭皮環境の変化と抜け毛

エストロゲンの減少は、頭皮の乾燥も招きます。頭皮が乾燥するとフケやかゆみが生じやすくなり、健康な髪が育ちにくい環境になります。

また、血行不良も起こりやすくなるため、毛根へ十分な栄養が届きにくくなり、抜け毛を助長するケースがあります。

健康な髪は健康な頭皮から生まれるため、頭皮環境の悪化は抜け毛の直接的な原因の一つです。

ストレスが追い打ちをかけることも

更年期はホルモンバランスの乱れだけでなく、自律神経も不安定になりやすい時期です。

このため、イライラや不安感、不眠といった精神的な不調を感じる方も少なくありません。これらのストレスは血管を収縮させ、頭皮への血流を悪化させる可能性があります。

血行が悪くなると髪の毛根に栄養が十分に行き渡らず、抜け毛が進行しやすくなります。このため、心身のケアも抜け毛対策には重要です。

抜け毛の原因を探るホルモン検査とは

抜け毛や薄毛の原因が更年期によるものか、あるいは他の要因が隠れているのかを判断するために、ホルモン検査は有効な手段の一つです。

専門のクリニックでは血液検査によってホルモン値を測定し、客観的なデータに基づいて診断を行います。

ホルモン検査で何がわかるのか

ホルモン検査では、主にエストロゲン（エストラジオール E2）、卵胞刺激ホルモン（FSH）、黄体形成ホルモン（LH）などの値を測定します。

これらの数値から、卵巣機能の状態や女性ホルモンのバランス、更年期に移行しているかどうかなどを評価します。

また、場合によっては甲状腺ホルモンや男性ホルモンの値を調べる場合もあり、抜け毛の多角的な原因究明に役立ちます。

検査の種類と方法

ホルモン検査は、一般的に採血によって行います。

特別な準備は必要ないことが多いですが、月経周期によってホルモン値が変動するため、検査を受けるタイミングについては医師の指示に従いましょう。

検査結果は数日から1週間程度で判明するケースが多いです。

代表的なホルモン検査項目と評価の目安

検査項目	主な役割	更年期における変動傾向
エストラジオール (E2)	主要な女性ホルモン、髪の成長に関与	閉経に向けて大きく低下
FSH (卵胞刺激ホルモン)	卵胞の成熟を促す	エストロゲン低下に伴い上昇
LH (黄体形成ホルモン)	排卵を促す	エストロゲン低下に伴い上昇

基準値は検査機関や測定方法によって異なります。必ず医師の説明を受けてください。

検査結果の読み解き方と注意点

検査結果は単独の数値だけでなく、年齢や自覚症状、他の検査結果と合わせて総合的に判断します。

例えば、E2が低値でFSHやLHが高値であれば、更年期に入っている可能性が高いと判断できます。

ホルモン値は体調やストレスによっても変動するときがあるため、一度の検査結果だけで全てを判断するのではなく、必要に応じて再検査を行う場合もあります。

医師からの詳しい説明を受け、自身の状態を正しく理解しましょう。

どのタイミングで検査を受けるべき？

抜け毛が気になり始めた、月経不順やほてりなど更年期様の症状が出てきた、といったタイミングで一度専門医に相談し、検査の必要性について話し合うと良いでしょう。

特に40代後半以降で抜け毛が増えてきた場合は、ホルモンバランスの変化が関わっている可能性を考慮し、早めの検査を検討すると良いです。

婦人科での相談も選択肢の一つ

更年期に伴う抜け毛の悩みは薄毛治療専門クリニックだけでなく、婦人科でも相談できます。

抜け毛以外にもほてりやのぼせ、イライラや不眠といった更年期特有の症状があるときは、婦人科での相談が有効なことがあります。

婦人科で相談できる抜け毛の悩み

婦人科ではホルモンバランスの乱れが原因と考えられる抜け毛に対して、カウンセリングや生活指導、必要に応じてホルモン補充療法（HRT）などを提案します。

全身的な観点から更年期症状を捉え、その一環として抜け毛の改善を目指します。

ホルモン補充療法（HRT）という考え方

ホルモン補充療法（HRT）は、減少したエストロゲンを少量補って、更年期症状を緩和する治療法です。

抜け毛の改善が主目的ではありませんが、エストロゲンが補充されると髪の成長サイクルが整い、結果的に抜け毛の減少や髪質の改善が期待できる場合があります。

ただし、HRTにはメリットとデメリットがあるため、医師とよく相談し、理解した上で選択しましょう。

HRTの主なメリットと考慮すべき点

項目	メリットの例	考慮すべき点・副作用の例
ホルモン補充療法(HRT)	ほてり、発汗などの血管運動神経症状の改善、骨粗しょう症予防、抜け毛・薄毛の改善期待	不正出血、乳房の張り・痛み、血栓症リスク（種類や投与方法による）、定期的な婦人科検診が必要

婦人科医との連携の重要性

薄毛治療専門クリニックで治療を受ける場合でも、更年期症状が強い方は婦人科医と連携して治療を進めるのが望ましいケースもあります。

それぞれの専門医が協力し合うと、より包括的なケアが可能です。

治療方針については両方の医師とよく話し合い、納得のいく方法を選びましょう。

専門クリニックとの違いは？

婦人科は全身のホルモンバランスや婦人科系疾患を主に扱いますが、薄毛治療専門クリニックは髪と頭皮に特化した診断と治療を行います。

専門クリニックでは、より詳細な頭皮診断や毛髪検査、専門的な内服薬・外用薬の処方、注入治療など、抜け毛・薄毛治療に特化した取り組みが可能です。

どちらを受診すべきか迷うときは、まずご自身の最も気になる症状や、どのような治療を希望するかを考えてみると良いでしょう。

食生活で見直したい抜け毛対策

健康な髪を育むためには、毎日の食事が非常に重要です。

バランスの取れた栄養摂取はホルモンバランスを整え、頭皮環境を健やかに保つことにつながります。

髪に必要な栄養素とは

髪の主成分はケラチンというタンパク質です。このため、良質なタンパク質の摂取は欠かせません。

また、タンパク質の合成を助ける亜鉛、頭皮の血行を促進するビタミンE、コラーゲンの生成をサポートするビタミンC、そして細胞の代謝に関わるビタミンB群なども髪の健康維持に必要です。

髪の成長をサポートする主な栄養素

• タンパク質（肉、魚、卵、大豆製品）
• 亜鉛（牡蠣、レバー、牛肉赤身）
• 鉄分（レバー、赤身肉、ほうれん草）
• ビタミンB群（緑黄色野菜、魚介類、穀物）
• ビタミンE（ナッツ類、アボカド、植物油）

バランスの取れた食事のポイント

特定の食品だけを偏って摂取するのではなく、多様な食品をバランス良く摂る工夫が大切です。

主食、主菜、副菜をそろえ、野菜やきのこ類、海藻類も積極的に取り入れましょう。

女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボンを含む大豆製品（豆腐、納豆、味噌など）は、更年期の女性にとって積極的に摂りたい食品の一つです。

積極的に摂りたい栄養素と食品例

栄養素	多く含む食品（例）	期待される髪への働き
タンパク質	鶏むね肉、鮭、卵、豆腐	髪の毛の主成分を供給
亜鉛	牡蠣、豚レバー、アーモンド	毛髪細胞の分裂・増殖を促進
大豆イソフラボン	納豆、豆乳、きな粉	女性ホルモン様作用、頭皮環境改善

抜け毛につながる避けたい食習慣

過度なダイエットによる栄養不足は髪に必要な栄養が行き渡らず、抜け毛の原因となります。

また、脂質の多い食事やインスタント食品の摂りすぎは、頭皮の皮脂バランスを崩し、毛穴の詰まりや炎症を引き起こす可能性があります。

甘いものの過剰摂取も頭皮環境を悪化させる要因となるため注意が必要です。規則正しい食生活を心がけ、暴飲暴食を避けましょう。

生活習慣の改善でホルモンバランスを整える

バランスの取れた食事に加え、質の高い睡眠や適度な運動、ストレスケアといった生活習慣全体の見直しがホルモンバランスを整え、抜け毛対策につながります。

質の高い睡眠の重要性

睡眠中には成長ホルモンが分泌され、細胞の修復や再生が行われます。

髪の毛もこの成長ホルモンの影響を受けて成長するため、睡眠不足は髪の成長を妨げ、抜け毛を増やす原因になります。

毎日同じ時間に寝起きするなど、規則正しい睡眠習慣を心がけ、睡眠の質を高める工夫をしましょう。

寝る前のカフェイン摂取やスマートフォンの使用は控えるほうが望ましいです。

適度な運動がもたらす効果

適度な運動は全身の血行を促進し、頭皮にも十分な酸素と栄養を届けやすくします。

また、ストレス解消や自律神経のバランスを整える効果も期待でき、ホルモンバランスの安定にもつながります。

ウォーキングやヨガ、ストレッチなど、無理なく続けられる運動を日常生活に取り入れましょう。

おすすめの運動と期待される効果

運動の種類	頻度・時間の目安	期待される効果
有酸素運動（ウォーキング等）	1日30分程度、週3～5日	血行促進、ストレス軽減、生活習慣病予防
ヨガ・ピラティス	週2～3回、各1時間程度	自律神経調整、リラックス効果、柔軟性向上
筋力トレーニング	週2～3回、無理のない範囲で	基礎代謝向上、成長ホルモン分泌促進

ストレス管理の方法

更年期はただでさえストレスを感じやすい時期です。

過度なストレスはホルモンバランスを乱し、血行不良を引き起こして抜け毛を悪化させます。自分なりのリラックス方法を見つけ、意識的に休息を取ることが大切です。

趣味の時間を楽しむ、アロマテラピーを取り入れる、瞑想するなど、心身をリフレッシュできる習慣を持ちましょう。一人で抱え込まず、信頼できる人に相談するのも有効です。

禁煙と節酒のすすめ

喫煙は血管を収縮させ、頭皮の血流を著しく悪化させます。そのため髪の毛に必要な栄養素が届きにくくなり、抜け毛や薄毛を進行させる大きな原因となります。

また、過度なアルコール摂取は髪の成長に必要なビタミンやミネラルを消費し、肝臓にも負担をかけます。

髪の健康を考えるなら、禁煙し、飲酒は適量を心がけると良いでしょう。

その抜け毛、本当に更年期だけが原因？隠れた要因も見逃さないで

「最近抜け毛が増えたのは、きっと更年期のせい」そう考えてしまうのは自然なことです。しかし、女性の抜け毛の原因は一つとは限りません。

更年期以外にも、見逃されがちな要因が隠れているケースもあります。自己判断せずに、一度専門家の視点で多角的に原因を探ると、適切な対策につながります。

自己判断せずに専門医に相談を

抜け毛の原因は多岐にわたります。ホルモンバランスの変化だけでなく、生活習慣や栄養状態、ストレス、あるいは何らかの疾患が関連している可能性も否定できません。

特に、急に抜け毛が増えた場合や、円形脱毛症のように部分的に抜ける場合は、皮膚科や薄毛治療専門クリニックを受診し、正確な診断を受けるのがおすすめです。

医師は問診や視診、必要な検査を通じて原因を特定し、一人ひとりに合った治療法やケア方法を提案します。

甲状腺機能の異常と抜け毛

甲状腺は、体の新陳代謝を活発にする甲状腺ホルモンを分泌する器官です。この甲状腺ホルモンのバランスが崩れると、髪の毛にも影響が出る場合があります。

甲状腺機能低下症では髪の成長が遅れたり、髪が乾燥して抜けやすくなったりします。逆に、甲状腺機能亢進症（バセドウ病など）でも新陳代謝が過剰になり、髪の成長サイクルが乱れて抜け毛が増えるときがあります。

これらの症状は、更年期症状と似ている部分もあるため注意が必要です。

甲状腺ホルモンと髪の主な関連症状

甲状腺ホルモンの状態	髪への影響（例）	その他の主な症状（例）
機能低下症	びまん性脱毛、髪のパサつき、眉毛の外側が薄くなる	倦怠感、むくみ、体重増加、便秘、寒がり
機能亢進症	びまん性脱毛、髪が細くなる、髪が柔らかくなる	動悸、多汗、体重減少、手の震え、眼球突出

薬剤性の抜け毛の可能性

服用している薬の副作用として、抜け毛が起こる場合もあります。特定の降圧剤や抗うつ薬、抗がん剤やインターフェロン製剤などが原因となると知られています。

もし、新しい薬を飲み始めてから抜け毛が増えたと感じるときは自己判断で薬を中止せず、処方した医師に必ず相談してください。

原因薬剤が特定できれば、薬剤の変更や調整で改善する場合があります。

その他の皮膚疾患との関連

頭皮の脂漏性皮膚炎や接触皮膚炎、あるいは膠原病などの全身性疾患が原因で抜け毛が起こる方もいます。

抜け毛だけでなく、頭皮のかゆみや赤み、フケや湿疹などの症状を伴うケースが多いです。

頭皮に異常を感じたら、早めに皮膚科医の診察を受けるようにしましょう。

女性ホルモン様作用をうたうサプリメントの選び方と注意点

更年期の抜け毛対策として、女性ホルモンと似た働きをするといわれる成分を含んだサプリメントに関心を持つ方も多いでしょう。

手軽に試せる反面、選び方や使い方には注意が必要です。

サプリメントで抜け毛は改善する？

サプリメントはあくまで栄養補助食品であり、医薬品とは異なります。

特定の成分が髪の健康維持に役立つ可能性はありますが、サプリメントだけで抜け毛が劇的に改善するのは期待しすぎないほうが良いでしょう。

バランスの取れた食事や規則正しい生活習慣が基本であり、サプリメントはその補助として位置づけるのが適切です。

効果には個人差があり、体質に合わない場合もあります。

大豆イソフラボンなどの成分について

大豆イソフラボンは化学構造がエストロゲンと似ているため、体内でエストロゲン様作用を示すとされています。

このため、更年期におけるエストロゲンの減少を補う目的で注目されています。

また、大豆イソフラボンの一種であるダイゼインが腸内細菌によって代謝されて作られる「エクオール」は、より強いエストロゲン様作用を持つとされ、サプリメントとしても利用されています。

ただし、エクオールを体内で作れるかどうかは個人差があります。

注目される成分と期待される働き

成分名	期待される働き	摂取時の主な注意点
大豆イソフラボン	女性ホルモン様作用、抗酸化作用	特定保健用食品等での上限摂取目安量を守る
エクオール	大豆イソフラボンより強い女性ホルモン様作用	体内で産生できる人とできない人がいる
プラセンタ	成長因子、アミノ酸、ビタミン、ミネラル等を含む	品質、安全性、アレルギーに注意

サプリメントを選ぶ際のポイント

サプリメントを選ぶ際はまず成分表示を確認し、どのような成分がどれくらい含まれているかを把握しましょう。

信頼できるメーカーの製品か、品質管理はしっかり行われているかも重要なポイントです。誇大な効果をうたう製品や、安価すぎる製品には注意が必要です。

また、アレルギー体質の方や持病のある方、薬を服用中の方は、事前に医師や薬剤師に相談する必要があります。

サプリメント選びの確認事項

• 目的の成分含有量と種類
• 添加物の有無
• 製造・販売元の信頼性
• 口コミや評判（参考程度に）

医師への相談の重要性

抜け毛の原因がはっきりしないまま自己判断でサプリメントを摂取しても、期待する効果が得られないばかりか、かえって健康を害する可能性もゼロではありません。

特に、女性ホルモン様作用をうたうサプリメントはホルモンバランスに影響を与える可能性があるため、使用前に医師に相談することをおすすめします。

医師は一人ひとりの状態を総合的に判断し、サプリメントの必要性や適切な選び方についてアドバイスします。

薄毛治療専門クリニックでできること

抜け毛や薄毛の悩みが深刻な場合や、セルフケアだけでは改善が見られない場合は、薄毛治療を専門とするクリニックへの相談を検討しましょう。

専門クリニックでは、医学的根拠に基づいた詳細な診断と、個々の状態に合わせた治療法を提案します。

専門クリニックならではの検査と診断

専門クリニックでは、まず丁寧な問診と視診を行い、頭皮の状態や毛髪の質を詳しくチェックします。

マイクロスコープを用いた頭皮診断や、毛髪の密度や太さを測定する検査、血液検査によるホルモン値や栄養状態の確認など、多角的な検査を通じて抜け毛の原因を特定します。

この詳細な診断に基づいて、その人に最も合った治療計画を立てます。

内服薬・外用薬による治療

女性の薄毛治療には、主にミノキシジル外用薬やスピロノラクトン内服薬などが用いられます。

ミノキシジルは毛母細胞を活性化させ、発毛を促進する効果が期待できます。スピロノラクトンは、男性ホルモンの影響を抑えて抜け毛を減らす効果が期待されます。

これらの治療薬は医師の処方が必要であり、効果や副作用について十分に説明を受けた上で使用します。

代表的な治療薬の概要

治療薬の例	主な作用機序	考えられる副作用（例）
ミノキシジル外用薬	毛母細胞の活性化、頭皮の血行促進	初期脱毛、頭皮のかゆみ・かぶれ、多毛
スピロノラクトン内服薬	抗アンドロゲン作用（男性ホルモンの働きを抑制）	月経不順、低血圧、高カリウム血症、乳房痛

治療薬の効果や副作用には個人差があります。必ず医師の指示に従ってください。

注入治療やその他の方法

内服薬や外用薬による治療の他に、頭皮に直接有効成分を注入する治療法（メソセラピーなど）や、低出力レーザー治療などもあります。

これらの治療は、髪の成長を促す成分を効率よく頭皮に届けたり、頭皮環境を改善したりする効果が期待されます。

クリニックによって導入している治療法は異なるため、どのような選択肢があるか相談してみましょう。

治療期間と費用の目安

薄毛治療は効果を実感するまでに時間がかかるのが一般的です。通常、3ヶ月から6ヶ月以上の継続治療が必要となる場合が多いです。

治療期間や費用は、症状の程度や治療内容によって大きく異なります。

多くの薄毛治療は自由診療となるため、事前にカウンセリングでしっかりと確認し、納得した上で治療を開始しましょう。

よくある質問

さいごに、更年期と抜け毛に関してよく寄せられる質問をまとめます。

更年期の抜け毛はいつ頃から気になり始めることが多いですか？

個人差が大きいですが、一般的に40代後半から50代にかけて、女性ホルモンが減少し始める時期に抜け毛の変化を感じる方が多いです。

閉経の平均年齢が50歳前後であるため、その数年前から症状が出始めるケースもあります。

治療を開始すればすぐに効果は現れますか？

毛髪には成長サイクル（ヘアサイクル）があるため、治療効果を実感するまでには時間がかかります。

一般的には、治療開始から3ヶ月～6ヶ月程度で変化を感じ始める方が多いですが、効果の現れ方には個人差があります。根気強く治療を続けましょう。

薄毛治療に保険診療は適用されますか？

女性の更年期に伴う薄毛や美容目的の薄毛治療は、原則として健康保険の適用外となり、自由診療（自費診療）となります。

ただし、原因が甲状腺疾患など他の病気による場合は、その病気の治療が保険適用となることがあります。詳細はクリニックにご確認ください。

治療をやめると、また抜け毛は増えますか？

治療法や個人の状態によって異なります。治療によって改善した状態を維持するためには、継続的なケアや治療が必要となる場合があります。

治療を中止した場合、徐々に元の状態に戻る可能性も考えられます。

医師と相談しながら、治療計画やその後のメンテナンスについて検討しましょう。

女性ホルモンを補うサプリメントだけで抜け毛は改善しますか？

サプリメントはあくまで食事の補助であり、医薬品とは異なります。軽度の症状であれば、生活習慣の改善やサプリメントの摂取で変化を感じる方もいるかもしれませんが、効果には個人差があります。

抜け毛の原因は複合的な場合も多いため、自己判断せずに専門医に相談し、適切なアドバイスを受けるほうがおすすめです。

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