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女性がはげるのは何歳から?年齢別の特徴と発症率

女性がはげるのは何歳から?年齢別の特徴と発症率

薄毛は男性特有の悩みと考えられがちですが、実は多くの女性が年齢とともに髪の変化を感じています。

一体、女性の薄毛は何歳から始まり、どのように進行するのでしょうか。

この記事では、女性の薄毛が始まる平均年齢や年代別の割合、原因、そして専門的な治療について詳しく解説します。

目次

女性の薄毛はいつから始まる?平均年齢と割合

女性が髪の変化を最初に意識するのはいつ頃なのでしょうか。

薄毛の悩みは、ある日突然始まるわけではなく、少しずつ進行するケースがほとんどです。

ここでは、多くの女性が薄毛を意識し始める平均的な年齢や、年代ごとの発症率について見ていきましょう。

薄毛を意識し始める平均年齢

女性が薄毛や抜け毛を気にし始める年齢として、最も多いのは30代後半から40代にかけてです。

この時期は、出産やキャリアの変化、ホルモンバランスの変動など、ライフステージが大きく変わる時期と重なります。

もちろん、20代で悩む方や、50代の更年期以降に顕著になる方など、個人差は非常に大きいです。

重要なのは、年齢に関わらず「以前と違う」と感じたときがケアを始めるサインであると認識することです。

年代別の女性薄毛の発症率

女性の薄毛は年齢を重ねるにつれてその割合が増加します。

特に、FAGA(女性男性型脱毛症)は、更年期を迎える50代前後で発症のピークを迎える傾向があります。

年齢が上がるにつれて、髪の成長サイクルが乱れやすくなるのが主な理由です。

年代別に見る女性の薄毛

年代薄毛に悩む女性の割合(目安)主な要因
20代~30代約10%生活習慣の乱れ、ストレス、産後脱毛
40代~50代約25%ホルモンバランスの変化(更年期)、加齢
60代以上約40%以上加齢による血行不良、女性ホルモンの減少

「はげ」の定義とセルフチェック

どこからが「薄毛」なのか、明確な定義はありません。しかし、ご自身で変化に気づくためのチェックポイントがいくつかあります。

以下の項目に複数当てはまる場合は、頭皮や髪の状態に注意を払う必要があります。

ご自宅でできる薄毛のサインチェック

  • シャンプーやブラッシング時の抜け毛が明らかに増えた
  • 髪の分け目が以前より目立つようになった
  • 髪にハリやコシがなくなり、全体的にボリュームダウンした
  • 頭皮が硬くなった、または色が赤い・茶色っぽい

20代女性の薄毛の特徴と主な原因

20代という若い世代でも、薄毛に悩む女性は少なくありません。

この年代の薄毛は、加齢よりも生活習慣や外部からのダメージが大きく影響する傾向にあります。

原因を正しく理解し、早めに対策を講じることが重要です。

過度なダイエットと栄養バランスの乱れ

美しい髪を育てるためには、十分な栄養が必要です。

特に20代女性に多い極端な食事制限を伴うダイエットは、髪の主成分であるタンパク質や、その合成を助ける亜鉛、ビタミンなどの栄養素が不足する原因となります。

栄養不足は髪の成長を妨げ、細く抜けやすい髪を増やしてしまいます。

ヘアカラーやパーマによる頭皮ダメージ

おしゃれを楽しむためのヘアカラーやパーマも、頻度や使用する薬剤によっては頭皮に大きな負担をかけます。

薬剤が頭皮に付着して炎症やかぶれを引き起こすと、毛根がダメージを受けて正常な発毛サイクルが乱れる場合があります。

頭皮への負担となり得る要因

要因頭皮への影響対策のポイント
過度なダイエット髪に必要な栄養素が不足し、髪が細くなるバランスの取れた食事を心がける
頻繁なカラー・パーマ薬剤による炎症や毛根へのダメージ施術間隔を空け、頭皮の保湿ケアを行う
強いストレス自律神経の乱れによる血行不良十分な睡眠とリラックスできる時間を作る

就職や人間関係からくるストレス

20代は、就職や異動、転職など環境が大きく変化する時期でもあります。

新しい環境や人間関係から生じる精神的なストレスは、自律神経やホルモンバランスを乱す大きな要因です。

これによって頭皮の血管が収縮して血行不良に陥り、毛根に栄養が届きにくくなるため、抜け毛が増加するときがあります。

30代・40代女性の薄毛|変化するライフステージとの関係

30代から40代は、女性の人生において大きな変化が訪れる時期です。

出産や育児、仕事での責任の増大などが、心身に影響を与え、それが髪に現れるケースも少なくありません。

産後脱毛(分娩後脱毛症)とその後の経過

出産を経験した多くの女性が直面するのが「産後脱毛」です。

これは妊娠中に増加していた女性ホルモン(エストロゲン)が、出産後に急激に減少するために起こります。

一時的に抜け毛が急増するため驚くかもしれませんが、通常は半年から1年ほどで自然に回復に向かいます。

産後脱毛の一般的な経過

時期状態特徴
産後2~3ヶ月抜け毛が最も増える時期シャンプー時などに大量に抜けることがある
産後6ヶ月頃抜け毛が落ち着き始める新しい髪が生え始め、短い毛が目立つ
産後1年頃多くの場合は回復する回復しない場合は他の原因も考える必要がある

ホルモンバランスの変化とFAGA(女性男性型脱毛症)

30代後半から、女性ホルモンの分泌量は少しずつ減少し始めます。

このホルモンバランスの変化により相対的に男性ホルモンの影響が強まり、「FAGA(女性男性型脱毛症)」を発症する方もいます。

FAGAは、頭頂部や分け目を中心に髪が全体的に薄くなるのが特徴で、ゆっくりと進行します。

仕事と家庭の両立による心身の疲労

仕事での責任が増し、同時に育児や家事にも追われるこの年代は、慢性的な睡眠不足や疲労を抱えやすい時期です。

心身の疲労は血行不良やホルモンバランスの乱れに直結し、髪の健やかな成長を妨げる要因となります。

自分でも気づかないうちにストレスが蓄積し、薄毛の引き金となっているケースも少なくありません。

30代から始めるべき頭皮ケア

将来の髪を守るためには、30代からの頭皮ケアが重要です。

頭皮の血行を促進するマッサージや、自分の頭皮タイプに合ったシャンプー選び、バランスの取れた食事などの日々の積み重ねが5年後、10年後の髪の状態を左右します。

50代以降の女性の薄毛|更年期の影響

50代以降、特に閉経を迎える更年期は、女性の身体にとって大きな転換期です。

女性ホルモンの急激な減少は髪にも顕著な変化を与え、薄毛の悩みが深刻化しやすい時期といえます。

閉経と女性ホルモンの急激な減少

閉経に伴い髪の成長を促進し、ハリやコシを保つ働きのある女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が大幅に減少します。

このホルモンのサポートを失うため、一本一本の髪が細くなり、髪の成長期が短縮されて休止期に入る毛髪の割合が増加します。

これらの変化により、薄毛が目立つようになります。

女性ホルモンと髪の関係

ホルモン髪への主な働き更年期の影響
エストロゲン髪の成長期を維持し、ハリ・ツヤを与える分泌が急減し、髪が細く抜けやすくなる
男性ホルモン相対的に影響が強まり、薄毛を誘発するFAGAの進行を助長することがある

髪のハリ・コシ・ツヤの低下と「びまん性脱毛症」

50代以降の薄毛は特定の部分だけがはげるのではなく、頭部全体の髪が均等に薄くなる「びまん性脱毛症」という状態が多く見られます。

髪全体のボリュームが失われ、地肌が透けて見えるようになります。

これは加齢による髪質の変化と女性ホルモンの減少が複合的に絡み合って生じます。

加齢による血行不良と頭皮の硬化

年齢を重ねるとともに、全身の血行は滞りやすくなります。

特に、心臓から遠い頭皮は血行不良の影響を受けやすい部位です。血行が悪くなると毛母細胞に十分な酸素や栄養が供給されなくなり、健康な髪を育てるのが困難になります。

また、頭皮自体も弾力性を失い、硬くなる傾向があります。

薄毛のサインは頭皮以外にも現れる?

多くの女性が薄毛のサインを髪や頭皮の変化だけで捉えがちです。

しかし、身体は全体で繋がっており、髪の健康は身体の健康状態を映す鏡でもあります。

爪の異常は栄養不足のシグナル

髪と爪は、どちらも「ケラチン」というタンパク質を主成分としています。

そのため、体内の栄養状態は髪だけでなく爪にも現れます。

爪がもろくなる、割れやすい、表面に縦線や横線が入るなどの変化はタンパク質や亜鉛、ビタミンといった髪の成長にも必要な栄養素が不足しているサインかもしれません。

髪と爪に共通する栄養素

栄養素不足時の爪のサイン髪への影響
タンパク質爪がもろくなる、二枚爪になる髪が細くなる、切れ毛が増える
亜鉛白い斑点ができる、成長が遅くなる抜け毛が増える、円形脱毛症の一因にも
鉄分スプーンのように反り返る(スプーンネイル)髪がパサつく、抜け毛が増える

肌荒れ・くすみと頭皮環境の共通点

顔の肌と頭皮は一枚の皮膚で繋がっています。そのため、肌荒れや乾燥、くすみといった肌の不調は頭皮環境の悪化と連動している場合があります。

例えば、肌のターンオーバーが乱れているときは頭皮のターンオーバーも乱れ、古い角質が毛穴を塞ぎ、フケやかゆみ、ひいては抜け毛の原因となります。

慢性的な疲労感や冷えと血行の関係

「最近ずっと疲れが取れない」「手足がいつも冷たい」といった悩みも、薄毛と無関係ではありません。

これらの症状は、全身の血行不良を示唆しています。血行が悪ければ、当然、頭皮への血流も低下します。

毛根は毛細血管から栄養を受け取って髪を育てるため、血行不良は薄毛の直接的な原因となり得ます。

放置は危険?薄毛が進行する前に見直すべき生活習慣

薄毛のサインに気づいても、「そのうち治るだろう」と放置してしまうのは危険です。

進行性の脱毛症である場合、対策が遅れるほど回復が難しくなります。

専門的な治療と並行して、日々の生活習慣を見直すことが、健やかな髪を取り戻すための第一歩です。

髪の成長を支える食事と栄養素

髪は食事から摂取する栄養素から作られます。特定の食品だけを食べるのではなく、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。

特に、髪の主成分であるタンパク質、その働きを助ける亜鉛、血行を促進するビタミンEなどを意識的に摂取しましょう。

健やかな髪を育てる栄養素

栄養素主な働き多く含む食品
タンパク質髪の主成分となる肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛タンパク質の合成を助ける牡蠣、レバー、牛肉
ビタミンE血行を促進し、頭皮環境を整えるナッツ類、アボカド、かぼちゃ

睡眠の質と成長ホルモンの重要性

髪の成長に欠かせない「成長ホルモン」は、主に睡眠中に分泌されます。

眠り始めの深いノンレム睡眠時に最も多く分泌されるため、睡眠時間だけでなく「睡眠の質」を高めることが大切です。

就寝前のスマートフォン操作を控える、リラックスできる環境を整えるなどの工夫をしましょう。

正しいシャンプーの方法と選び方

毎日のシャンプーは、やり方次第で頭皮ケアにもなれば、ダメージの原因にもなります。

洗浄力の強すぎるシャンプーは頭皮を乾燥させ、逆に皮脂の過剰分泌を招くときがあります。

アミノ酸系のようなマイルドな洗浄成分のシャンプーを選び、指の腹で優しくマッサージするように洗いましょう。

正しいシャンプーの基本

  • 洗う前によくブラッシングして汚れを浮かせる
  • シャンプーを直接頭皮につけず、手で泡立ててから使う
  • すすぎはシャンプー時間の倍の時間をかける意識で丁寧に行う

運動不足が招く頭皮の血行不良

適度な運動は全身の血行を促進し、ストレス解消にも繋がります。

ウォーキングやヨガなどの有酸素運動は、無理なく続けやすく、頭皮への血流改善に効果的です。

デスクワークが多い方は、意識的に体を動かす習慣を取り入れましょう。

専門クリニックに相談するタイミング

セルフケアで改善しないときや抜け毛の量が急に増えたなど、不安を感じたときには、一人で悩まずに専門のクリニックに相談すると良いでしょう。

専門家による正確な診断が、的確な治療への近道です。

セルフケアで改善が見られないとき

食事や睡眠、ヘアケアなど生活習慣を数ヶ月にわたって見直しても、抜け毛や薄毛の進行に変化が見られない場合は、専門的な治療が必要なサインかもしれません。

FAGAのようにセルフケアだけでは改善が難しい脱毛症の可能性も考えます。

抜け毛の量が急に増えたと感じるとき

排水溝にたまる髪の毛の量が明らかに増えたり、枕に付着する抜け毛が目立つようになったりした場合は、注意が必要です。

特に、円形脱毛症などは急速に進行しやすいため、早期の受診が重要になります。

クリニック受診を検討するべきサイン

  • 分け目がくっきりしてきた
  • 地肌の透けが気になる
  • 髪のハリ・コシが著しく低下した

頭皮にかゆみや赤み、痛みがある場合

脂漏性皮膚炎や接触性皮膚炎など、頭皮の炎症が原因で抜け毛が起きている可能性もあります。

これらの皮膚疾患は放置すると症状が悪化し、脱毛範囲が広がる恐れがあるため、皮膚科や薄毛治療専門クリニックでの診断と治療が必要です。

よくある質問

さいごに、女性の薄毛に関してクリニックの患者さんから多く寄せられる質問とその回答をまとめました。

親が薄毛だと遺伝しますか?

薄毛になりやすい体質が遺伝する可能性はあります。特にFAGAは、遺伝的要因が関与すると考えられています。

しかし、遺伝がすべてではありません。生活習慣やヘアケア、ストレスなど後天的な要因も大きく影響します。

遺伝的素因があったとしても、早期から適切なケアを行うと、薄毛の進行を緩やかにしたり発症を遅らせたりできます。

市販の育毛剤に効果はありますか?

市販の育毛剤の多くは、現在生えている髪を健康に保つことや、頭皮環境を整えることを目的とした「医薬部外品」です。血行促進や保湿成分が含まれており、抜け毛予防には一定の効果が期待できます。

しかし、FAGAのように病的な脱毛症に対して、新たな髪を生やす「発毛」効果が認められているわけではありません。

発毛を目的とする場合は、ミノキシジルなど医学的に効果が証明された成分を含む「医薬品」の使用や、クリニックでの治療が必要です。

治療にはどのくらいの期間と費用がかかりますか?

薄毛治療は、症状の進行度や原因、選択する治療法によって期間や費用が大きく異なります。

一般的に、効果を実感するまでには最低でも6ヶ月程度の継続的な治療が必要です。髪の成長サイクルを考えると、目に見える変化が現れるには時間がかかります。

費用についても、内服薬や外用薬の処方、より積極的な注入治療など治療内容によって変動します。

内服薬や外用薬では月々数千円から3万円程度、注入療法では1回3万円から10万円程度が目安です。

かかる期間と費用について初回のカウンセリングで説明してもらえますので、しっかりと確認して納得したうえで治療を進めていきましょう。

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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