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女性の年齢別薄毛の特徴と対策|20代から40代まで

女性の年齢別薄毛の特徴と対策|20代から40代まで

薄毛は男性特有の悩みと思われがちですが、実は20代から40代の多くの女性が薄毛や抜け毛に悩んでいます。その原因は、年齢や生活スタイルによって様々です。

この記事では、年代ごとの女性の薄毛の特徴と原因を詳しく解説し、ご自身でできる対策から専門的な治療まで紹介します。

「はげているのではないか」「このままどんどん髪が薄くなるのではないか」と不安を抱えるのは辛いものがあります。

ご自身の原因を探り、早めに予防・対策を行っていきましょう。

目次

20代・30代・40代で増える女性の薄毛の悩み

かつて薄毛は中高年以降の悩みと考えられていましたが、現代では20代や30代といった若い世代でも髪のトラブルを抱える女性が増加しています。

生活様式の多様化や社会環境の変化が、女性の髪と頭皮に影響を与えているのです。

年齢によって原因が異なるため、自分の年代に合った正しい知識を持つことが、改善への第一歩となります。

なぜ若い世代でも薄毛に悩むのか

若い世代の薄毛は、生活習慣の乱れが大きく関係しています。

不規則な食生活や睡眠不足、過度なダイエット、そして日常的なストレスなどが髪の健やかな成長を妨げます。

また、間違ったヘアケアや頭皮に負担のかかる髪型も、薄毛を引き起こす一因です。

年齢で異なる薄毛のサイン

薄毛の現れ方は、年代によって特徴があります。

20代では「抜け毛が増えた」「髪のハリやコシがなくなった」と感じる方が多く、30代になると「分け目が目立つ」「地肌が透けて見える」といった、より具体的な変化に気づきます。

40代では、髪全体のボリュームダウンが顕著になる傾向があります。

年代別に見る薄毛のサイン

年代主なサイン気づきのきっかけ
20代抜け毛の増加、髪質の変化ブラッシング時やシャンプー時
30代分け目が広がる、地肌の透け鏡を見た時や写真
40代髪全体のボリュームダウンヘアスタイルが決まらない時

早期対策の重要性

女性の薄毛は多くの場合、進行性です。そのため、気になった時点ですぐに対策を始めるのが重要です。

初期段階であれば、セルフケアの見直しだけで改善するケースも少なくありません。

放置してしまうと、改善までに時間がかかったり、より専門的な治療が必要になったりします。

20代女性の薄毛|主な原因と特徴

20代女性の薄毛は、加齢よりも生活スタイルに起因する場合がほとんどです。

特に、無理なダイエットや食生活の乱れ、そしてヘアカラーやパーマといったおしゃれが、頭皮環境を悪化させる原因となります。

過度なダイエットと栄養不足

美しい髪を育てるためには、タンパク質やビタミン、ミネラルといった栄養素が必要です。

しかし、食事を極端に制限するダイエットは、髪に必要な栄養が不足する状態を招きます。

この栄養不足が髪の成長を妨げ、細く弱い髪しか作れなくなる原因です。

髪の成長に必要な三大栄養素

栄養素主な働き多く含む食材
タンパク質髪の主成分(ケラチン)を作る肉、魚、卵、大豆製品
ビタミン類頭皮の血行促進、皮脂分泌の調整緑黄色野菜、果物、ナッツ類
ミネラル(特に亜鉛)タンパク質の合成を助ける牡蠣、レバー、牛肉

ヘアスタイルによる頭皮への負担

ポニーテールやきついお団子ヘアなど、毎日同じ箇所で髪を強く引っ張る髪型は、「牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)」を引き起こす場合があります。

この脱毛症は、毛根に継続的な負担がかかることで、生え際や分け目部分の髪が薄くなる状態です。

  • きついポニーテール
  • エクステンション
  • 毎日同じ分け目

生活習慣の乱れとストレス

睡眠不足や不規則な生活は、自律神経のバランスを乱します。

自律神経が乱れると血管が収縮して頭皮の血行が悪化し、髪の成長に必要な栄養が届きにくくなります。

また、就職や人間関係など、20代特有の環境の変化によるストレスも血行不良やホルモンバランスの乱れを招き、抜け毛を増やす原因となります。

30代女性の薄毛|生活スタイルの変化が与える影響

30代は、結婚や出産、キャリアアップなど、人生の大きな転機を迎える女性が多い年代です。

このような生活スタイルの変化は、ホルモンバランスや心身に大きな影響を与え、薄毛の引き金となるケースがあります。

妊娠・出産後のホルモン変動

妊娠中は女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が増え、髪の成長期が維持されるため、一時的に髪は豊かになります。

しかし、出産後にはホルモンバランスが急激に元に戻るため、成長期を終えた髪が一斉に休止期に入り、抜け毛が急増します。

これは「分娩後脱毛症」と呼ばれ、多くの経産婦さんが経験する現象です。

通常は半年から1年ほどで自然に回復しますが、回復が遅れる場合もあります。

ホルモンバランスと髪の関係

時期ホルモン状態髪への影響
妊娠中エストロゲンが増加成長期が延長し、抜け毛が減る
出産後エストロゲンが急減多くの髪が休止期に入り、抜け毛が増加

仕事と家庭の両立によるストレス

30代は職場で責任ある立場を任されたり、育児や家事に追われたりと、心身ともに多忙を極める時期です。

慢性的なストレスは血管を収縮させ頭皮の血流を悪くするだけでなく、自律神経やホルモンバランスの乱れを引き起こし、薄毛を進行させる大きな要因となります。

睡眠不足と食生活の偏り

忙しい毎日を送る中で、睡眠時間が削られたり、食事を簡単なもので済ませてしまったりするときが増えがちです。

髪の成長と修復は主に睡眠中に行われます。このため、睡眠不足は髪の成長を直接的に妨げます。

また、外食やインスタント食品に偏った食事は栄養バランスが悪く、髪を育てるための土台である頭皮環境を悪化させます。

40代女性の薄毛|加齢とホルモンバランスの乱れ

40代になると、加齢による身体の変化が本格的に現れ始めます。

特に女性ホルモンの減少は、髪に大きな影響を与え、薄毛の悩みが深刻化しやすい年代です。

女性特有の薄毛である「びまん性脱毛症」が発症しやすくなります。

女性ホルモン(エストロゲン)の減少

エストロゲンは、髪の成長を促進してハリやコシのある豊かな髪を保つ働きをします。

40代に入り更年期が近づくと、このエストロゲンの分泌量が大きく減少し始めます。

これによって髪の成長期が短くなり、太く長く成長する前に髪が抜け落ちてしまうため、全体的に髪が薄くなったと感じるようになります。

年齢と女性ホルモンの変化

年代エストロゲン分泌量の傾向主な身体の変化
20代~30代前半ピークを迎える心身ともに安定
30代後半~40代徐々に減少し始める更年期の兆候が出始める
50代以降急激に減少する本格的な更年期症状

髪のサイクルの変化と成長期の短縮

髪には「成長期」「退行期」「休止期」というヘアサイクル(毛周期)があります。

健康な髪の成長期は2年から6年続きますが、加齢やホルモンバランスの乱れによって、この成長期が数ヶ月から1年程度に短縮されます。

髪が十分に育つ前に抜けてしまうため、細く短い髪の割合が増え、地肌が目立ちやすくなります。

全体的に髪が細くなる「びまん性脱毛症」

「びまん性脱毛症」は、特定の部位だけでなく、頭部全体の髪が均等に薄くなるのが特徴です。

分け目を中心に地肌が透けて見えるようになり、髪全体のボリュームが失われます。

これは40代以降の女性の薄毛の代表的な症状であり、ホルモンバランスの乱れや加齢、ストレスや栄養不足などが複合的に関与して発症します。

見た目の印象だけじゃない!薄毛が心に与える深い影

薄毛の悩みは、単に「髪が少なくなる」という物理的な変化だけではありません。

その影響は、女性の心にまで深く及び、日々の生活の質を低下させる可能性もあります。

自信の喪失と自己肯定感の低下

髪は「女性の命」とも言われるほど、その人の印象を大きく左右します。

薄毛が進行すると、「自分は女性として魅力的ではないのではないか」と感じ、自信を失ってしまう方もいらっしゃいます。

鏡を見るたびにため息をつき、自己肯定感が低下していくのは、非常につらいことです。

他人の視線が気になる不安

「分け目を見られているのではないか」「頭頂部を上から見られていないか」など、他人の視線が過度に気になり、人と会うのが億劫になるケースもあります。

電車で座っているときや、エスカレーターに乗っているときなど、日常のふとした瞬間に強い不安を感じ、精神的なストレスがさらに増大する悪循環に陥る方も少なくありません。

薄毛が引き起こす心理的負担

心理的影響具体的な行動の変化
自信の喪失うつむきがちになる、写真撮影を避ける
他者からの視線への恐怖帽子が手放せない、人混みを避ける
おしゃれへの意欲減退美容院から足が遠のく、好きな髪型を諦める

社会生活や人間関係への影響

薄毛の悩みは、友人との交流や職場での活動など、社会的な場面への参加意欲を削いでしまうときがあります。

風の強い日や雨の日は外出をためらい、アクティブな活動を避けるようになるなど、行動範囲が狭まるケースもあります。

この結果、知らず知らずのうちに孤立感を深めてしまうのです。

一人で抱え込まないことが大切

薄毛の悩みは非常にデリケートなため、親しい友人や家族にも打ち明けられず、一人で抱え込んでしまう方が多くいらっしゃいます。

しかし、一人で悩み続けるとストレスを増大させ、症状を悪化させる可能性もあります。

クリニックに行くのは勇気が必要なことですが、専門家への相談は髪だけでなく、自分の心を守るためにも重要な一歩です。

今日から始める年代別セルフケアと予防策

専門的な治療も重要ですが、日々のセルフケアが薄毛の予防と改善の基本です。

ここでは、すべての年代に共通する、健やかな髪を育むための基本的なケア方法をみていきましょう。

バランスの取れた食事と髪に良い栄養素

髪は、私たちが食べたものから作られます。

特定の食品だけを食べるのではなく、主食・主菜・副菜をそろえ、バランスの良い食事を心がけることが大切です。

なかでも、髪の主成分であるタンパク質、その合成を助ける亜鉛、頭皮の健康を保つビタミン類を意識して摂取しましょう。

  • タンパク質
  • ビタミン群
  • 亜鉛
  • 鉄分

正しいシャンプー方法と頭皮ケア

毎日のシャンプーは、頭皮環境を整えるための重要なケアです。しかし、間違った方法ではかえって頭皮を傷つけてしまいます。

洗浄力の強すぎるシャンプーを避け、指の腹で優しくマッサージするように洗いましょう。

すすぎ残しは毛穴の詰まりや炎症の原因になるため、十分な時間をかけて洗い流すことが重要です。

頭皮タイプ別シャンプーの選び方

頭皮タイプ特徴おすすめのシャンプー成分
乾燥肌フケやかゆみが出やすいアミノ酸系、ベタイン系(保湿力が高い)
脂性肌ベタつきやニオイが気になる高級アルコール系(適度な洗浄力)
敏感肌刺激を感じやすい低刺激性のもの、無添加のもの

ストレス管理と質の高い睡眠

ストレスは万病のもとと言いますが、髪にとっても大敵です。適度な運動や趣味の時間を持つなど、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。

また、髪の成長ホルモンが多く分泌されるのは、午後10時から午前2時の間です。

できるだけ日付が変わる前には就寝し、質の高い睡眠を確保すると健やかな髪の育成につながります。

セルフケアの限界を感じたら|クリニックでの専門的なケア方法

セルフケアを続けても抜け毛が減らない、あるいは薄毛が進行していると感じる場合は、専門のクリニックに相談することを推奨します。

自己判断で育毛剤などを使用する前に、まずは専門医による正確な診断を受けることが改善への近道です。

専門医による正確な診断

女性の薄毛の原因は多岐にわたるため、まずは原因を特定するのが治療の第一歩です。

クリニックでは、問診や視診、マイクロスコープでの頭皮チェックや血液検査などを行い、一人ひとりの薄毛の原因を正確に診断します。

この診断に基づき、適した治療計画を立てます。

セルフケアとクリニック治療の比較

項目セルフケアクリニック治療
目的予防・現状維持原因の特定と積極的な改善(発毛)
方法市販の育毛剤、サプリ、生活改善医療用医薬品、注入治療、専門機器
費用比較的安価保険適用外で高額になる場合がある

内服薬・外用薬による治療

クリニックでは、医学的根拠に基づいた内服薬や外用薬を処方します。

例えば、血行を促進して毛母細胞の働きを活性化させる外用薬(ミノキシジルなど)や、髪に必要な栄養素を補給してホルモンバランスを整える内服薬(スピロノラクトンなど)を用いて、体の内と外から発毛を促します。

クリニックで行う注入治療

注入治療は、発毛に有効な成分を注射器や専門の機器を使い、頭皮に直接注入する治療法です。

薬剤を直接毛根に届けられるため、効果を実感しやすいとされています。

治療法には、髪の成長因子を注入する「HARG(ハーグ)療法」や「メソセラピー」など、いくつかの種類があります。

治療方針の決め方と相談の重要性

どのような治療が合っているかは、薄毛の原因や進行度、そしてご自身の生活スタイルや予算によって異なります。

クリニックでは、医師が一方的に治療法を決めることはありません。

患者さんの悩みや希望を丁寧にお聞きした上で、複数の選択肢を提示し、納得のいく治療法を一緒に見つけていきます。

よくある質問

「はげてきたかも」と思い始めると、その悩みが月日を追うごとに深刻になりやすいです。

早めの対策が大切ですので、20代.30代・40代といった若い方であっても「はげ予防が必要かな?」と少しでも感じた時点で、適切なケアを開始しましょう。

治療期間はどのくらいかかりますか

治療効果を実感できるまでの期間には個人差がありますが、一般的には治療開始から3ヶ月から6ヶ月程度で、抜け毛の減少や産毛の発生といった変化が現れ始めます。

ヘアサイクルを正常化させ、髪のボリュームを回復させるためには、少なくとも6ヶ月以上の継続的な治療が必要です。

早く効果を実感したい気持ちもあるかと思いますが、じっくりと治療を続けていきましょう。

治療に痛みはありますか

内服薬や外用薬による治療には、当然ながら痛みを伴いません。頭皮への注入治療の場合は、注射によるチクっとした軽い痛みを感じるときがあります。

多くのクリニックでは、痛みを最小限に抑えるために極細の針を使用したり、冷却装置を併用したり、表面麻酔を塗布するなど様々な工夫をしています。痛みに不安がある方は、遠慮なく相談しましょう。

保険は適用されますか

薄毛治療は生命に直接関わる病気とは見なされないため、残念ながら健康保険は適用されず、自由診療となります。

ただし、円形脱毛症や脂漏性脱毛症など、一部の皮膚疾患が原因の場合は保険適用となるケースもあります。

費用についてはカウンセリングの際に詳しく説明してもらえますので、しっかりと確認しましょう。

また、医療費控除の対象となる場合もありますので、詳細はお尋ねください。

参考文献

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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