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女性の薄毛治療に使われるミノキシジルの飲み薬|効果と注意点

女性の薄毛治療に使われるミノキシジル内服薬の効果と注意点

女性の薄毛や抜け毛の悩みに対し、治療の選択肢として「ミノキシジル」を検討する方が増えているようです。

特に内服薬(飲み薬)は、外用薬(塗り薬)よりも効果を実感しやすいとされる一方で、その使用には正しい知識と理解が重要です。

この記事では、女性がミノキシジルの飲み薬を検討する際に知っておきたい効果、副作用、注意点などを詳しく解説します。

目次

ミノキシジルの飲み薬とは?女性の薄毛治療における位置づけ

ミノキシジルはもともと高血圧治療薬として開発された成分ですが、その過程で多毛の効果が認められ、発毛剤として転用された歴史を持ちます。

日本では外用薬が広く知られていますが、より積極的な治療を求める方向けに内服薬も用いられます。

ミノキシジルの飲み薬は「ミノキシジル内服薬」「ミノキシジルタブレット」「ミノタブ」とも呼ばれ、男女問わず検討する方が増加傾向です。

血管を拡張し毛根へ栄養を届ける

ミノキシジルの飲み薬の主な働きは、血管を拡張して血流を促進することです。

頭皮の毛細血管の血流が改善すると、髪の毛の成長に必要な栄養素や酸素が毛母細胞へ十分に行き渡るようになります。

この栄養供給の増加が、毛母細胞の働きを活発にし、発毛を促すと考えられています。

ヘアサイクルを正常化する働き

薄毛が進行している状態では、髪の毛が十分に成長する前に抜けてしまう「ヘアサイクルの乱れ」が起きています。

ミノキシジルは、この乱れたヘアサイクルに働きかけ、休止期にある毛根を成長期へと移行させたり成長期そのものを延長させたりする作用を持ちます。

この作用によって、髪の毛が太く長く成長する土台を整えます。

ミノキシジル内服薬の基本情報

項目内容補足
主な作用血管拡張による血流促進毛母細胞の活性化
期待できる効果発毛、育毛、抜け毛の抑制ヘアサイクルの正常化
対象となる薄毛女性型脱毛症(FAGA)など医師の診断が必要です

飲み薬は国内未承認薬

女性の薄毛治療で使われるミノキシジルの飲み薬は、日本では医薬品として承認されていません。

そのため、クリニックが医師の責任のもとで海外から輸入し、処方する「自由診療」の扱いになります。

国内での承認がないため、公的な副作用救済制度の対象外となる点を理解しておくことが大切です。

ミノキシジルの飲み薬と塗り薬の違い

ミノキシジルには飲み薬と塗り薬の2種類が存在し、それぞれに特徴があります。

どちらが自分に適しているかは、薄毛の状態や生活スタイル、期待する効果によって異なります。医師と相談の上、慎重に選択することが重要です。

体内への吸収と作用範囲

最も大きな違いは、成分の吸収と作用の仕方にあります。

塗り薬は頭皮に直接塗布し、塗布した部分とその周辺の毛根に局所的に作用します。

一方、飲み薬は服用後に体内に吸収され、血流に乗って全身に行き渡ります。このため、頭部全体の毛根に対して、より広範囲に作用することが期待できます。

効果の発現と実感のしやすさ

一般的に、飲み薬は塗り薬に比べて体内への吸収率が高いため、効果を実感しやすい傾向があります。

血中から直接毛根に働きかけるため、より発毛効果を期待する方や、塗り薬では十分な効果を得られなかった方が選択するケースが多いです。

ただし、効果を実感しやすい分、副作用のリスクも考慮に入れる必要があります。

飲み薬と塗り薬の比較

比較項目飲み薬(内服薬)塗り薬(外用薬)
作用範囲全身(頭部全体)局所(塗布部分)
期待される効果比較的高い比較的穏やか
使用の手間1日1〜2回の服用1日2回の塗布

使用の手間と継続のしやすさ

継続的な使用が治療の鍵となりますが、その点でも違いがあります。

塗り薬は毎日決まった回数を頭皮に塗布する必要があり、べたつきや匂いが気になる方もいます。

飲み薬は錠剤を水で飲むだけなので、手間が少なく続けやすいと感じる方が多いでしょう。

ミノキシジルの飲み薬の効果が現れるまで

ミノキシジルの飲み薬は服用を始めても、すぐに髪が生えてくるわけではありません。

効果を実感するまでには、ある程度の期間が必要です。焦らずに治療を続けるためにも、効果発現までの一般的な流れを理解しておきましょう。

初期脱毛の期間と理由

服用開始後、1ヶ月前後で一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」が起こる場合があります。

これは、ミノキシジルの作用によって乱れたヘアサイクルがリセットされ、古い髪が新しい強い髪に生え変わるために押し出される現象です。

治療が順調に進んでいる証拠でもあるため、自己判断で服用を中止しないでください。

初期脱毛の主な特徴

項目期間の目安特徴
開始時期服用開始後2週間〜1ヶ月個人差があります
継続期間1ヶ月〜2ヶ月程度通常は自然に治まります
抜け毛の状態細く短い毛が中心新しい髪への生え変わり

発毛を実感するまでの平均的な期間

初期脱毛が落ち着いた後、徐々に新しい髪の毛が生え始めます。

産毛のような細い毛から、徐々に太くしっかりとした髪へと成長していきます。

多くの方が発毛効果を実感し始めるのは、服用開始から約3ヶ月〜6ヶ月後が目安です。

効果を最大限に引き出すために

ミノキシジルの効果を十分に得るためには、毎日決められた量を正しく服用し続けることが何よりも重要です。

飲み忘れたからといって一度に2回分を服用するのは避けてください。また、治療効果には個人差がある点を理解し、焦らず気長に取り組む姿勢が大切です。

  • 毎日決まった時間に服用する
  • 食生活や睡眠の質を見直す
  • 過度なストレスを避ける
  • 頭皮を清潔に保つ

女性が特に注意すべき副作用

ミノキシジルの飲み薬は効果が期待できる反面、副作用のリスクも伴います。特に女性は、男性とは異なる視点での注意が必要です。

どのような副作用があるかを事前に確認し、異変を感じた際にすぐ対処できるように準備しておきましょう。

全身の多毛症

ミノキシジルの飲み薬は血流に乗って全身に作用するため、頭髪以外の体毛も濃くなるケースがあります。

腕や脚、顔の産毛などが濃くなる多毛症は、女性にとって特に気になる副作用の一つです。

治療効果とのバランスを考え、医師と相談しながら用量を調整する場合もあります。

循環器系への影響

もともと血圧を下げる薬であるため、動悸や息切れ、めまいや立ちくらみといった循環器系の症状が現れる場合があります。

また、体内の水分が排出されにくくなり、顔や手足に「むくみ」が生じる例もあります。

特に低血圧の方や心臓に持病のある方は、服用前に必ず医師に申し出るようにしましょう。

注意したい主な副作用

分類具体的な症状対処法
皮膚症状全身の多毛、頭皮のかゆみ医師に相談、用量調整
循環器症状動悸、めまい、むくみ速やかに医師に連絡
その他頭痛、肝機能障害定期的な診察、血液検査

肝臓への負担

服用した薬剤は肝臓で代謝されるため、長期的に服用すると肝臓に負担がかかる可能性があります。

そのため、クリニックによっては定期的な血液検査を行い、肝機能の数値をチェックしながら治療を進めます。

健康状態を把握するためにも、定期検診は受けるようにしましょう。

ミノキシジルの飲み薬との付き合い方

ここでは女性の身体の特性という視点から、ミノキシジルの飲み薬とどう向き合うべきかをお伝えします。

女性のライフステージやホルモンバランスの変化は、治療に大きく影響します。

ホルモンバランスと薄毛の関係

女性の髪は、女性ホルモンである「エストロゲン」と密接な関係があります。エストロゲンは髪の成長を促し、そのハリやコシを保つ働きをします。

加齢やストレス、生活習慣の乱れなどによってホルモンバランスが崩れ、エストロゲンが減少すると薄毛が進行しやすくなります。

ミノキシジル治療と並行して、自身のホルモンバランスにも目を向けるのが改善への近道です。

妊娠・授乳期間中の服用ができない理由

ミノキシジルの飲み薬は、妊娠中や授乳中の方、また近い将来に妊娠を希望している方は服用できません。

胎児への影響が完全に否定できず、母乳を通じて乳児に成分が移行する可能性があるためです。

ご自身のライフプランを考え、治療のタイミングについては医師と十分に相談してください。

  • 妊娠の可能性がある
  • 現在、妊娠中・授乳中である
  • 近い将来、妊活を予定している

血圧への影響と女性の体調変化

女性は男性に比べて低血圧の傾向があり、また月経周期や更年期などで体調が変動しやすい特徴があります。

ミノキシジルの血管拡張作用による血圧低下は、もともと血圧が低い方や体調が不安定な時期には、めまいや倦怠感といった症状を強く感じさせる可能性があります。

日々の体調管理とともに、少しでも異変を感じたら無理せず医師に相談しましょう。

ミノキシジル服用中のセルフチェック

チェック項目確認する内容頻度
体調の変化めまい、動悸、倦怠感の有無毎日
むくみ顔や手足のむくみ具合毎日
体毛の変化気になる部分の体毛の濃さ週に1回程度

医師との連携で不安を解消するのも大切

治療中の不安や疑問は、一人で抱え込まないようにしましょう。

特に女性の身体は繊細であり、ささいなことでも治療に影響するときがあります。

信頼できる医師と密に連携を取り、体調の変化や心配事をすぐに相談できる関係を築くことが、治療を成功させるための重要な要素です。

ミノキシジルの飲み薬の正しい飲み方

ミノキシジルの飲み薬の効果を安全に得るためには、医師の指示に従った正しい服用方法を守ることが絶対条件です。

自己判断での用量変更や中断は、予期せぬリスクにつながる可能性があります。

処方された用量を厳守する

医師は患者さん一人ひとりの年齢や健康状態、薄毛の進行度などを総合的に判断し、適切な用量を処方します。

通常、女性の場合は男性よりも少ない用量から開始するのが一般的です。

効果を高めたいからといって、指示された以上の量を服用するのは避けましょう。副作用のリスクを高めるだけで、効果の増強にはつながりません。

服用するタイミングと飲み忘れた場合

毎日なるべく同じ時間に服用することで、血中濃度を一定に保ち、安定した効果が期待できます。食前・食後は特に指定されないことが多いですが、胃腸が弱い方は食後の服用が推奨されます。万が一飲み忘れた場合は、気づいた時点で服用してください。ただし、次の服用時間が近い場合は1回分を飛ばし、次回から通常通りに服用します。2回分を一度に飲むのは避けてください。

併用に注意が必要な薬や食品

他の持病で薬を服用している場合や、サプリメントを摂取している場合は事前に医師に伝えてください。

特に、血圧に影響を与える薬との併用には注意が必要です。

また、アルコール(飲酒)は血管を拡張させる作用があるため、ミノキシジルと同時に摂取すると血圧が下がりすぎる可能性があります。飲酒の習慣がある方は、その点も医師に相談しておくと安心です。

服用時の注意点まとめ

注意点理由具体的な行動
飲酒血圧が過度に低下する恐れ服用直後の飲酒は控える
他の薬剤相互作用の可能性服用中の薬は全て医師に申告
グレープフルーツ薬の代謝に影響する可能性摂取を避けるのが望ましい

他の薄毛治療との併用について

ミノキシジルの飲み薬は単体でも効果が期待できますが、他の治療法と組み合わせると相乗効果を目指せます。

どのような治療法と組み合わせるかは、薄毛の原因や状態によって異なります。

スピロノラクトンとの併用

女性の薄毛(FAGA)は、男性ホルモンの影響も一因とされています。

スピロノラクトンは、男性ホルモンが毛根に作用するのを抑制する働きを持つ薬です。

ミノキシジルが「発毛を促す(攻め)」のに対し、スピロノラクトンは「抜け毛を減らす(守り)」の役割を担い、両者を併用すると効率的な改善を目指せます。

ミノキシジル外用薬との組み合わせ

飲み薬で全身からの働きかけを行いつつ、特に気になる部分には外用薬を塗布するという組み合わせも選択肢の一つです。

内側と外側の両方から集中的に働きかけられるため、特定部位の改善を早める効果が期待できます。

ただし、副作用のリスクも高まる可能性があるため、医師の監督のもとで慎重に行う必要があります。

主な併用治療の役割

治療法主な役割期待できる相乗効果
ミノキシジルの飲み薬発毛促進(攻め)
スピロノラクトン抜け毛抑制(守り)攻守両面からのアプローチ
サプリメント栄養補助髪の成長に必要な土台作り

栄養補助サプリメントの活用

髪の毛はケラチンというタンパク質を主成分としています。その合成には、亜鉛やビタミン、アミノ酸といった栄養素が必要です。

ミノキシジル治療の効果をサポートするために、これらの栄養素をバランス良く補給する医療用サプリメントを併用するのも有効な手段です。

よくある質問

さいごに、ミノキシジルの飲み薬による治療を検討している女性からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

服用をやめると元に戻ってしまいますか?

その可能性が高いです。ミノキシジルは薄毛の根本原因を治す薬ではなく、あくまで対症療法です。

服用を中止すると、薬の効果で維持されていた髪が再び抜け始め、数ヶ月かけて治療前の状態に戻っていくのが一般的です。

治療を継続するかどうかは、効果と副作用、費用などを考慮して医師と相談しながら判断します。

副作用の多毛症は、どのくらいの期間で現れますか?

個人差がありますが、早い方で服用開始後1〜2ヶ月で実感し始めます。腕や顔の産毛など、比較的目立ちやすい部分から変化が現れるケースが多いようです。

多毛の程度が気になる場合は、我慢せずに医師に相談してください。用量を調整すると、症状が軽減される場合があります。

市販のミノキシジル外用薬(男性用)を使っても良いですか?

自己判断での使用は避けてください。市販されている男性用のミノキシジル外用薬は濃度が高く、女性には副作用のリスクが高まる可能性があります。

また、そもそも薄毛の原因がミノキシジルの適応でない場合もあります。必ず専門のクリニックで診断を受け、女性に適した用法・用量で処方されたものを使用しましょう。

治療費はどのくらいかかりますか?

ミノキシジルの飲み薬による治療は自由診療のため、費用はクリニックによって異なります。

一般的には、薬代だけで月々1万円〜2万円程度が目安となります。これに加えて、初診料や再診料、必要に応じて血液検査費用などがかかります。

治療を開始する前のカウンセリングの際に、総額でどのくらいの費用が必要になるかを確認しておくと良いでしょう。

参考文献

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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