MENU

アミノ酸の髪への効果と摂取方法|女性の薄毛対策と食事の関係

アミノ酸の髪への効果と摂取方法|女性の薄毛対策と食事の関係

鏡を見るたびに気になる、髪のボリュームダウンや分け目の広がり。女性にとって髪は、その方の印象を左右する大切な要素です。

健やかで美しい髪を育むためには日々のヘアケアだけでなく、体の内側からの栄養補給、特に「アミノ酸」が深く関係しています。

髪の約99%はタンパク質から作られており、そのタンパク質を構成するのがアミノ酸です。

目次

アミノ酸と髪の毛の基本的な関係

健やかな髪を育む上で、アミノ酸の役割を理解するのは第一歩といえます。

私たちの体を作る基本単位であるアミノ酸が、どのようにして髪の毛になるのか、その基本的なつながりから見ていきましょう。

髪の主成分ケラチンとアミノ酸

髪の毛の大部分を占めるのは、「ケラチン」というタンパク質です。このケラチンは、18種類のアミノ酸が結合して作られています。

つまり、アミノ酸は髪の毛そのものの材料であり、質の良いアミノ酸を十分に供給する習慣が、丈夫で美しい髪を作るための基礎となります。

髪を構成する主な成分

成分割合役割
タンパク質(ケラチン)約80~90%髪の構造を形成する主成分
水分約10~15%髪のしなやかさや潤いを保つ
脂質・その他約1~5%キューティクルを保護し、ツヤを与える

アミノ酸が不足するとどうなるか

食事からのタンパク質摂取が不足したり、栄養バランスが偏ったりすると、体内で利用できるアミノ酸が減少します。

体は生命維持に重要な臓器へ優先的にアミノ酸を供給するため、髪の毛への供給は後回しにされがちです。

これによって髪の成長が妨げられ、様々なトラブルを引き起こす原因となります。

アミノ酸不足が招く髪の悩み

  • 髪が細く、弱々しくなる
  • ハリやコシが失われる
  • 抜け毛や切れ毛が増える
  • 髪の伸びるスピードが遅くなる

美しい髪を育むための土台作り

美しい髪は、健康な頭皮という土壌から育ちます。アミノ酸は髪の材料であると同時に、頭皮の健康を維持するためにも使われます。

頭皮のターンオーバーを正常に保ち、乾燥や炎症を防ぐためにも、アミノ酸をしっかり摂取して、髪が育つための土台を整えることが大切です。

髪の成長に特に重要なアミノ酸とその効果

アミノ酸には多くの種類がありますが、その中でも特に髪の健康と成長に深く関わるものが存在します。

ここでは、女性の薄毛対策で注目すべき代表的なアミノ酸とその働きについて解説します。

シスチンとメチオニン(含硫アミノ酸)

ケラチンを構成するアミノ酸の中で、最も多く含まれるのが「シスチン」です。

シスチンは、髪の強度や硬さを作り出す重要な役割を担います。

体内でメチオニンから合成されるため、この2つの含硫アミノ酸をセットで摂取すると髪の健康につながります。

髪に重要なアミノ酸の種類と主な役割

アミノ酸分類主な役割
シスチン含硫アミノ酸ケラチンの主成分で、髪の強度を高める
アルギニン非必須アミノ酸血流を促進し、頭皮に栄養を届ける
リジン必須アミノ酸ケラチンの生成を助け、育毛をサポートする

アルギニン

アルギニンには血管を拡張させ、血流を促進する働きがあります。頭皮の血行が良くなると、毛根にある毛母細胞まで栄養素が届きやすくなります。

この毛母細胞が活発に分裂・増殖することで、髪の毛は成長します。

アルギニンは、髪の成長に必要な栄養を届ける「輸送路」を確保する重要な働きをします。

リジン

リジンは体内で合成できない必須アミノ酸の一つで、タンパク質の吸収を助け、ケラチンの生成をサポートします。

また、育毛剤に含まれる成分の効果を高める働きも報告されており、薄毛対策において注目されているアミノ酸です。

カルシウムの吸収を促進する効果もあり、健康な体を維持する上でも重要です。

アミノ酸を豊富に含む食品と効果的な食事法

髪に良いアミノ酸は、日々の食事から摂取するのが基本です。

どのような食品にどのアミノ酸が多く含まれているのかを確認して、バランスの良い食事を心がけましょう。

動物性タンパク質を多く含む食品

肉や魚、卵や乳製品などの動物性タンパク質は、必須アミノ酸をバランス良く含んでいます。

特に髪の主成分であるケラチンのもととなるシスチンやメチオニンは、動物性食品から効率良く摂取できます。

シスチンを多く含む食品

食品カテゴリ具体的な食品名ポイント
肉類豚肉、鶏肉、牛肉特に赤身肉に豊富
魚介類マグロ、カツオ、サケ良質な脂質も同時に摂取可能
卵・乳製品鶏卵、牛乳、チーズ手軽に摂取しやすい

植物性タンパク質を多く含む食品

大豆製品や穀物などの植物性タンパク質も重要です。

動物性食品と組み合わせて摂ると、よりバランスの取れたアミノ酸摂取が可能です。

なかでもリジンは、穀物よりも豆類に多く含まれています。

リジンを多く含む食品

食品カテゴリ具体的な食品名ポイント
大豆製品豆腐、納豆、きな粉イソフラボンも同時に摂取できる
豆類レンズ豆、ひよこ豆食物繊維も豊富
ナッツ類カシューナッツ、ピスタチオ間食にも取り入れやすい

バランスの良い食事の組み立て方

特定のアミノ酸だけを摂るのではなく、様々な食品からタンパク質を摂取する工夫が大切です。

1回の食事で「主食・主菜・副菜」を揃えるように意識すると、アミノ酸だけでなく、その働きを助けるビタミンやミネラルも同時に摂取できます。

食事バランスの基本

カテゴリ食品
主食ごはん、パン、麺類(エネルギー源)
主菜肉、魚、卵、大豆製品(タンパク質源)
副菜野菜、きのこ、海藻類(ビタミン・ミネラル源)

調理法で変わるアミノ酸の吸収率

アミノ酸は熱に弱い性質を持つものもあり、長時間の加熱や煮込みすぎはアミノ酸の損失につながる場合があります。

生で食べられるものはそのまま、加熱する場合は蒸したりスープごといただいたりするなど、調理法を工夫すると栄養を効率良く摂取できます。

食事だけで十分?アミノ酸サプリメントの賢い活用法

基本は食事からの栄養摂取ですが、生活スタイルによっては食事だけで十分なアミノ酸を確保するのが難しい場合もあります。

そのような時には、補助的にサプリメントを活用するのも一つの方法です。

サプリメントが必要になるケース

過度なダイエットで食事量が減っている方、多忙で食事が不規則になりがちな方、菜食主義などで摂取できる食品が限られている方は、アミノ酸が不足しやすい傾向にあります。

自身の食生活を振り返り、不足していると感じるときはサプリメントの利用を検討しても良いでしょう。

サプリメントの選び方のポイント

アミノ酸サプリメントには様々な種類があります。

選ぶ際には目的のアミノ酸が含まれているかだけでなく、その含有量や不要な添加物が含まれていないかなどを確認すると良いです。

サプリメント選びのチェックポイント

チェック項目確認する内容なぜ重要か
成分表示目的のアミノ酸の種類と含有量必要な成分が十分に含まれているか確認するため
添加物着色料、香料、保存料などの有無体に不要なものを避けるため
製造管理品質管理基準(GMP認定など)安全で品質の高い製品を選ぶため

摂取のタイミングと注意点

アミノ酸サプリメントは空腹時や運動後など、体がアミノ酸を吸収しやすいタイミングで摂取するのが効果的とされています。

ただし、過剰摂取は肝臓や腎臓に負担をかける可能性もあります。

製品に記載されている摂取目安量を守り、不明な点があれば医師や薬剤師に相談しましょう。

ストレスがアミノ酸の消費を加速させる?心と髪のつながり

「悩み事があると髪に良くない」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

実は、精神的なストレスは体内の栄養素、特にアミノ酸の消費を増やし、髪の健康に直接的な影響を与えるときがあります。

ストレスが体に与える影響

人間はストレスを感じると、それに対抗するために「コルチゾール」というホルモンを分泌します。

コルチゾールは血糖値を上げたり、免疫機能を調整したりと、短期的には体を守るために働きます。

しかし、慢性的なストレスでコルチゾールの分泌が続くと、体に様々な不調をもたらします。

コルチゾールとアミノ酸の関係

コルチゾールは、筋肉などのタンパク質を分解してエネルギー源を作り出す働きがあります。この時、大量のアミノ酸が消費されます。

つまり、ストレスが続くと、髪の材料となるべきアミノ酸がストレス対抗のためにどんどん使われてしまうのです。

これが髪の成長を妨げ、薄毛の一因となる可能性があります。

ストレスを感じた時の体の反応

  • コルチゾールの分泌増加
  • 筋肉のタンパク質分解促進
  • アミノ酸の大量消費
  • 髪への栄養供給の低下

心身のセルフケアが髪を守る

髪のために良質なアミノ酸を摂取しても、ストレスで消費されてしまっては意味がありません。

食事による栄養補給と同時に、心と体をリラックスさせる時間を作る工夫が、結果的に髪を守ることにつながります。

自分に合ったストレス解消法を見つけ、心身のバランスを整えましょう。

リラックス効果が期待できる栄養素と食品

栄養素主な働き多く含む食品
GABA興奮を鎮め、リラックスさせる発芽玄米、トマト、かぼちゃ
トリプトファンセロトニン(幸せホルモン)の材料バナナ、牛乳、大豆製品
ビタミンCコルチゾールの過剰分泌を抑えるパプリカ、ブロッコリー、キウイ

クリニックだからこそできる心のケア

薄毛の悩みそのものが大きなストレスになるケースも少なくありません。

薄毛治療の専門クリニックでは身体的な治療だけでなく、患者さんの心の負担を軽くするためのカウンセリングを重視しているところが多いです。

一人で抱え込まず専門家に相談しながら、心と髪の両面から健やかな状態を目指しましょう。

年齢による変化とアミノ酸の必要量

年齢を重ねるにつれて、女性の体には様々な変化が訪れます。

ホルモンバランスの変化や、体の機能の自然な変動は、髪の健康やアミノ酸の必要量にも影響を与えます。

女性ホルモンと髪の関係

女性ホルモンの一つである「エストロゲン」には、髪の成長を促進してハリやツヤを保つ働きがあります。

しかし、30代後半から徐々に減少し始め、更年期になると急激に低下します。

エストロゲンが減少すると相対的に男性ホルモンの影響が強まり、髪が細くなったり抜け毛が増えたりする「FAGA(女性男性型脱毛症)」につながるケースがあります。

加齢による消化吸収能力の変化

年齢と共に胃酸の分泌量が減ったり、腸の働きが穏やかになったりするため、食事から栄養素を消化・吸収する能力が低下する傾向があります。

同じ量のタンパク質を摂取しても、若い頃と同じだけのアミノ酸を体に取り込めなくなる可能性があります。

そのため、消化の良いタンパク質を選んだり、調理法を工夫したりするのがより重要になります。

年代別に見る食事の注意点

ライフステージによって、意識すべき食事のポイントは少しずつ異なります。

自分の年代に合わせた食生活を心がけると、効率よくアミノ酸を補給し、髪の健康を維持しやすいです。

年代別食事のポイント

年代ポイント
30代仕事や育児で多忙な時期。手軽に摂れる大豆製品や卵を活用し、タンパク質不足を防ぐ。
40代女性ホルモンの変化を感じ始める時期。大豆イソフラボンや抗酸化作用のある食品を積極的に。
50代以降消化吸収能力を考慮し、脂質の少ない鶏ささみや白身魚、豆腐などを中心に。

アミノ酸の効果を最大化する生活習慣

食事から摂取したアミノ酸を効率よく髪の成長に活かすためには、食生活以外の生活習慣も大切です。

睡眠、運動、そして適切なヘアケアが三位一体となって健やかな髪を育みます。

質の良い睡眠で得られる効果

髪の成長を促す「成長ホルモン」は、主に睡眠中に分泌されます。特に入眠後最初の3時間は「ゴールデンタイム」と呼ばれ、最も多く分泌される時間帯です。

睡眠不足や質の悪い睡眠は成長ホルモンの分泌を妨げ、髪の成長サイクルを乱す原因となります。

就寝前のスマートフォン操作を控えるなど、リラックスして眠れる環境を整えましょう。

適度な運動と血行促進

ウォーキングやストレッチなどの適度な運動は、全身の血行を促進します。

頭皮の血流が改善すれば毛根に必要なアミノ酸や酸素がしっかりと供給され、毛母細胞の働きが活発になります。

また、運動はストレス解消にもつながり、心身の両面から髪に良い影響を与えます。

アミノ酸の吸収を助ける栄養素

栄養素主な働き多く含む食品
ビタミンCタンパク質の再合成を助ける柑橘類、ピーマン、いちご
ビタミンB6アミノ酸の代謝をサポートするニンニク、マグロ、バナナ
亜鉛ケラチンの合成に必要牡蠣、レバー、牛肉

頭皮環境を整えるヘアケア

どんなに栄養を摂取しても頭皮の毛穴が皮脂や汚れで詰まっていては、健康な髪は育ちません。

洗浄力の強すぎるシャンプーは避け、アミノ酸系などのマイルドな洗浄成分のシャンプーで優しく洗い、頭皮を清潔に保つ習慣が大切です。

洗髪後はドライヤーでしっかり乾かし、雑菌の繁殖を防ぎましょう。

女性の薄毛治療におけるアミノ酸の役割

セルフケアで改善が見られないときや、薄毛が進行していると感じる場合は、専門クリニックへの相談が解決への近道です。

クリニックでは、アミノ酸をはじめとする栄養面からの取り組みも、治療の重要な柱の一つとして位置づけています。

食事改善と専門治療の連携

クリニックでの薄毛治療は内服薬や外用薬、注入治療などが中心となりますが、これらの治療効果を最大限に引き出すためには、髪の材料となる栄養素が十分に供給されているのが前提です。

専門家による食事指導と医学的根拠に基づいた治療を連携させると、より効果的な改善が期待できます。

クリニックで受けられる栄養指導

クリニックでは、血液検査によって栄養状態を詳細に分析できます。

どの栄養素が不足しているのかを客観的なデータで把握し、一人ひとりの体質や生活習慣に合わせた、具体的な食事内容やサプリメントの活用法を提案します。

これにより、やみくもな努力ではなく、的確な栄養戦略が実現します。

一人で悩まず専門家へ相談する重要性

女性の薄毛の原因はホルモンバランスの乱れや遺伝、ストレスや生活習慣など、複雑に絡み合っています。

自己判断でケアを続けても、原因に合っていなければ改善は難しいかもしれません。

専門の医師が正しく原因を診断し、自分に合った治療計画を立てることが、悩みを解消する最も確実な方法です。ささいなことでも、まずは一度相談してみましょう。

アミノ酸と髪に関するよくある質問

アミノ酸は健康的な髪に必要な栄養素で、正しく摂取すると髪質改善や抜け毛の減少効果が実感できます。

いつものヘアケア習慣にプラスして、髪に良い食事を続けていきましょう。

それでも効果を実感できない、薄毛が進行している、といった場合はクリニックへの相談がおすすめです。

アミノ酸シャンプーは髪に良いのですか?

頭皮への刺激が少なく、マイルドな洗浄力が特徴のため、頭皮環境を整える上で良い選択肢と言えます。

髪や頭皮と同じ弱酸性のものが多く、必要な潤いを残しながら汚れを落とせます。

ただし、シャンプーだけで髪が生えたり増えたりするわけではなく、あくまで健康な髪を育むための土台作りと捉えることが大切です。

効果を実感できるまでどのくらいかかりますか?

髪にはヘアサイクル(毛周期)があるため、食事や生活習慣を改善しても、すぐに効果が髪に現れるわけではありません。

新しい健康な髪が生まれ、ある程度の長さに成長するまでには、少なくとも3ヶ月から6ヶ月はかかります。焦らず、根気強くケアを続けましょう。

プロテインを飲むのは効果的ですか?

食事でタンパク質が不足しがちな方にとっては、手軽に補給できる有効な手段です。プロテインはアミノ酸の集合体なので、髪の材料補給に役立ちます。

ただし、プロテインだけに頼るのではなく、あくまで食事の補助として活用し、ビタミンやミネラルもバランス良く摂取することを忘れないでください。

参考文献

RUSHTON, D. Hugh. Nutritional factors and hair loss. Clinical and experimental dermatology, 2002, 27.5: 396-404.

GOLUCH-KONIUSZY, Zuzanna Sabina. Nutrition of women with hair loss problem during the period of menopause. Menopause Review/Przegląd Menopauzalny, 2016, 15.1: 56-61.

GUO, Emily L.; KATTA, Rajani. Diet and hair loss: effects of nutrient deficiency and supplement use. Dermatology practical & conceptual, 2017, 7.1: 1.

FINNER, Andreas M. Nutrition and hair: deficiencies and supplements. Dermatologic clinics, 2013, 31.1: 167-172.

NOBILE, Vincenzo, et al. Amino Acids Oral Treatment for the Amelioration of Skin, Hair, and Nails Conditions: An Open-Label Study. Current Research in Nutrition and Food Science Journal, 2024, 12.1: 91-101.

TRÜEB, Ralph M.; TRÜEB, Ralph M. The hair cycle and its relation to nutrition. Nutrition for Healthy Hair: Guide to Understanding and Proper Practice, 2020, 37-109.

RAJPUT, Rajendrasingh. A scientific hypothesis on the role of nutritional supplements for effective management of hair loss and promoting hair regrowth. J Nutr Health Food Sci, 2018, 6.3: 1-11.

RUSHTON, D. H., et al. Causes of hair loss and the developments in hair rejuvenation. International journal of cosmetic science, 2002, 24.1: 17-23.

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

目次