育毛剤の正しい使い方完全ガイド。お風呂上がり何分後?ドライヤーとの順番は?

育毛剤の正しい使い方完全ガイド。お風呂上がり何分後?ドライヤーとの順番は?

女性用育毛剤の正しい使い方を徹底解説します。育毛剤は、お風呂上がりの清潔な頭皮に、髪が乾ききる前に塗布するのが最も効果的です。

具体的には、タオルドライ後、頭皮がまだ少し湿っている状態、目安としてお風呂上がりから5分〜10分以内が理想です。

その後、育毛剤を頭皮全体になじませ、指の腹で優しくマッサージ。最後にドライヤーで髪を乾かします。

この「タオルドライ→育毛剤→マッサージ→ドライヤー」の順番を守ることが、成分をしっかり浸透させる鍵です。

この記事では、塗布のコツからドライヤーの順番まで、あなたの疑問にすべて答えます。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

育毛剤はいつ使うのが効果的?基本のタイミング

育毛剤の効果を最大限に引き出すためには、お風呂上がりの清潔な頭皮に使用するのが最も効果的です。頭皮が清潔で毛穴が開いている状態が、成分の浸透にとってベストな環境だからです。

タイミングを間違えると、せっかくの育毛剤の効果も半減してしまうかもしれません。

なぜお風呂上がりがベストなの?

お風呂上がりは、シャンプーによって頭皮の汚れや余分な皮脂が洗い流され、毛穴がきれいになっている状態です。また、体が温まることで血行が良くなり、頭皮も柔らかくなっています。

この「清潔」で「温かく」「柔らかい」状態が、育毛剤の有効成分を角質層のすみずみまで浸透させるための絶好のタイミングなのです。

日中にかいた汗や皮脂、ホコリなどが残ったままだと、成分の浸透を妨げてしまいます。

朝と夜どっちがいい?1日2回の使用法

多くの育毛剤は、朝と夜の1日2回の使用を推奨しています。特に重要なのは、前述の通り夜のお風呂上がりです。

一日の汚れをリセットし、髪の成長が活発になるといわれる夜の時間帯にケアすることが大切です。

朝に使用する場合は、夜のようにシャンプーまでする必要はありません。

ただし、寝ている間にも汗や皮脂は分泌されるため、できれば蒸しタオルで頭皮を軽く拭いたり、ブラッシングでホコリを落としたりしてから使用すると良いでしょう。

朝のケアは、日中の外的刺激から頭皮を守る役割も期待できます。

1日1回と2回の比較

使用回数主なタイミング期待できること
1日1回夜(お風呂上がり)頭皮のリセットと栄養補給
1日2回夜(お風呂上がり)+朝継続的な頭皮ケアと日中の保護

お風呂上がり何分後が理想?

「お風呂上がり」といっても、具体的に何分後が良いのか迷いますよね。理想は、タオルドライで髪の水分をしっかり取った直後、頭皮がまだ少し湿っている状態です。

目安としては、お風呂上がりから5分〜10分以内です。

髪がびしょ濡れのままだと、育毛剤が薄まってしまったり、頭皮に届く前に流れ落ちてしまったりします。

逆に、完全に乾かしきってしまうと、毛穴が閉じてしまい、浸透力が落ちる可能性があります。適度な湿り気があるうちに塗布しましょう。

乾いた髪に使うのはダメ?

絶対にダメというわけではありませんが、効果を考えると推奨はできません。乾いた状態の頭皮は、毛穴が閉じ気味で、皮脂も表面に出てきている可能性があります。

そのため、育毛剤の浸透が妨げられやすくなります。もし乾いた髪に使う場合は、塗布する部分の髪をしっかりかき分けて、頭皮に直接届くように工夫する必要があります。

お風呂上がり以外のタイミング、例えば朝に使う場合も、頭皮が乾いていることが多いですが、その際も頭皮を清潔にするひと手間を加えると良いでしょう。

育毛剤の正しい使い方【準備編】

育毛剤を使う前には、まず頭皮環境を整える準備が大切です。畑に種をまく前に、土壌を耕し、整えるのと同じです。

清潔で柔らかい頭皮を用意することで、育毛剤の成分がその力を存分に発揮できるようになります。

シャンプーで汚れをしっかり落とす

育毛剤の浸透を妨げる最大の要因は、頭皮の汚れや皮脂、古い角質です。これらが毛穴に詰まっていると、いくら良い育毛剤を使っても成分が届きません。

1日の終わりには、シャンプーでこれらの汚れを丁寧に洗い流し、頭皮をリセットすることが重要です。ただし、洗いすぎは禁物です。

必要な皮脂まで奪ってしまうと、頭皮が乾燥し、かえって皮脂の過剰分泌を招くこともあります。

正しいシャンプーの方法

シャンプーは髪を洗うというより、「頭皮を洗う」意識で行いましょう。まず、お湯で髪と頭皮をしっかり予洗いします。これだけで汚れの7割程度は落ちるといわれています。

次に、シャンプーを手のひらでよく泡立て、指の腹を使って頭皮をマッサージするように洗います。爪を立ててゴシゴシ洗うのは、頭皮を傷つける原因になるため厳禁です。

すすぎは、泡が残らないように十分な時間をかけて、生え際や耳の後ろまで念入りに行いましょう。

タオルドライで優しく水分を拭き取る

シャンプーが終わったら、次はタオルドライです。濡れた髪はキューティクルが開いており、非常にデリケートな状態です。

ゴシゴシと強くこすると、髪が傷んだり、頭皮に刺激を与えたりしてしまいます。

清潔で吸水性の高いタオルを使い、頭皮をポンポンと優しく押さえるようにして水分を吸い取ります。

髪ではなく頭皮の水分を取る意識で

タオルドライの際、意識するのは「髪」よりも「頭皮」です。育毛剤は頭皮に塗るものなので、頭皮がびしょ濡れでは困ります。

タオルで頭全体を包み込み、指の腹で頭皮を優しくマッサージするように水分を拭き取っていきます。毛先はタオルで挟み込み、軽く叩くようにして水分を取りましょう。

この後の育毛剤塗布やドライヤーの時間短縮にもつながります。

シャンプー準備のチェックポイント

項目OKな方法NGな方法
予洗いお湯で頭皮までしっかり濡らす髪の表面を濡らすだけ
洗い方指の腹で頭皮をマッサージ爪を立ててゴシゴシ洗う
すすぎ時間をかけて念入りに行う泡が残っている
タオルドライ優しく押さえて水分を吸い取るゴシゴシこする

育毛剤の正しい使い方【塗布編】

いよいよ育毛剤の塗布です。育毛剤は髪ではなく、頭皮に直接塗布することが最も重要です。

どんなに高価な育毛剤でも、髪の毛にばかりかかって頭皮に届いていなければ、その効果は期待できません。正しい塗布方法をマスターしましょう。

分け目を作って頭皮に直接スプレー

育毛剤を効率よく頭皮に届けるには、髪をかき分けて「分け目」を作ることが基本です。スプレータイプやノズルタイプなど、育毛剤の形状に合わせて使い分けましょう。

まず、気になる部分(例えばつむじや生え際)に分け目を作ります。そこに育毛剤の先端を近づけ、直接頭皮に塗布します。塗布したら、次の分け目を1〜2cm隣に作り、同様に塗布していきます。

これを頭部全体、特に気になる部分を中心に繰り返します。

気になる部分だけ?全体に塗るべき?

薄毛や抜け毛が気になる特定の部分(例:分け目、つむじ)は、念入りにケアしたいところです。しかし、育毛剤は頭皮環境全体を整える目的もあります。

気になる部分だけに集中するのではなく、頭皮全体にいきわたるように塗布するのが理想です。

特に、血行不良は頭皮全体に影響するため、広範囲に塗布してマッサージすることで、頭全体の血流促進にもつながります。

1回の使用量の目安は?

使用量は、製品のパッケージや説明書に記載されている「適量」を守ることが大切です。「たくさん使えば早く効果が出る」というわけではありません。

むしろ、使用量が多すぎると液だれしたり、頭皮がべたついたりする原因になります。逆に少なすぎても、成分が十分に行きわたりません。

各製品が推奨する使用回数と1回あたりの量を守って、継続的に使用しましょう。

育毛剤のタイプ別塗布方法の比較

タイプ特徴塗布のコツ
スプレータイプ広範囲に噴霧しやすい頭皮にノズルを近づけ、狙いを定めて噴射する
ノズルタイプピンポイントで塗布しやすい分け目に沿って線を引くように塗布する
スポイトタイプ量の調節がしやすい頭皮に直接垂らし、すぐに指でなじませる

液だれを防ぐコツ

育毛剤が顔や首に垂れてくる「液だれ」は、不快なだけでなく、目に入ると危険な場合もあります。

液だれを防ぐには、一度に広範囲に塗布しようとせず、少しずつブロック分けして塗布することがコツです。

例えば、「分け目にスプレーしたら、すぐに指の腹で軽く押さえてなじませる」という動作を繰り返します。

また、上を向いて塗布すると重力で垂れやすくなるため、少し下を向くか、鏡を見ながら水平な状態で行うと良いでしょう。

育毛剤を塗った後はどうする?【マッサージ編】

育毛剤を頭皮に塗布したら、それで終わりではありません。

塗布後は頭皮マッサージを行い、育毛剤を角質層まで浸透させ、さらに頭皮の血行を促進させることが重要です。このひと手間が、育毛剤の効果を左右します。

マッサージの重要性

マッサージには二つの重要な役割があります。一つは、塗布した育毛剤を頭皮全体に均一になじませ、角質層への浸透を助けることです。

二つ目は、頭皮そのものの血行を良くすることです。髪の毛は、毛細血管から運ばれる栄養素によって成長します。頭皮が硬くなっていたり、血行が悪かったりすると、十分な栄養が届きません。

マッサージで頭皮をほぐし、血流を促すことが、健やかな髪を育む土台作りにつながります。

指の腹を使った優しいマッサージ方法

マッサージは、リラックスして行いましょう。両手の指の腹(指紋がある部分)を使います。爪を立てると頭皮を傷つけてしまうため、絶対にやめましょう。

まず、生え際から頭頂部に向かって、指の腹で円を描くように優しく揉みほぐします。次に、耳の上あたりから頭頂部へ、同様にマッサージします。最後に、襟足から頭頂部に向かってもみ上げます。

頭皮全体を動かすようなイメージで、気持ち良いと感じる程度の圧で行うのがポイントです。時間は1分〜3分程度で十分です。

頭皮マッサージのポイント

項目ポイント注意点
使用部位指の腹爪を立てない
力加減気持ち良いと感じる程度強く押しすぎない
動かし方頭皮全体を動かすイメージ皮膚の表面をこすらない
時間1分〜3分程度長時間やりすぎない

爪を立てるのは厳禁

マッサージ中に最も注意したいのが「爪」です。頭皮は非常にデリケートです。

爪を立ててゴシゴシとマッサージすると、頭皮に細かい傷がつき、そこから雑菌が入って炎症(毛嚢炎など)を起こす可能性があります。

かゆみを感じる場合も、爪で掻くのではなく、指の腹で優しく押さえるようにしましょう。育毛ケアをしているつもりが、逆に頭皮環境を悪化させては本末転倒です。

マッサージの時間はどれくらい?

マッサージの時間は、長ければ良いというものではありません。目安は1分〜3分程度です。短すぎると血行促進や浸透補助の効果が薄れますが、長すぎても頭皮への刺激が負担になることがあります。

毎日続けることが大切なので、自分が「気持ち良い」「リラックスできる」と感じる範囲で、無理なく続けられる時間を見つけましょう。

お風呂上がりのリラックスタイムの一部として、習慣化できると理想的です。

育毛剤とドライヤーの正しい順番

育毛剤を使った後、「髪はいつ乾かせばいいの?」という疑問は非常に多いです。育毛剤を塗布してマッサージした後、ドライヤーで髪を乾かすのが正しい順番です。

この順番を守らないと、育毛剤の効果が薄れたり、頭皮トラブルの原因になったりします。

なぜ育毛剤が先?

答えはシンプルで、育毛剤は「頭皮」に、ドライヤーは「髪」に使うものだからです。先にドライヤーで髪を完全に乾かしてしまうと、頭皮まで乾燥し、毛穴が閉じてしまいます。

その上から育毛剤を塗っても、成分が浸透しにくくなります。また、熱い風が頭皮に当たった直後に育毛剤(多くはアルコールを含む)を使うと、刺激を感じやすくなる場合もあります。

タオルドライで頭皮の水分を取り、育毛剤を塗布・マッサージして浸透させる時間を作ってから、髪を乾かすのが合理的です。

「タオルドライ→育毛剤→マッサージ→ドライヤー」この流れを徹底しましょう。

ドライヤーの熱で成分が蒸発しない?

「ドライヤーの熱で、せっかく塗った育毛剤の成分が蒸発してしまうのでは?」と心配になるかもしれません。

しかし、育毛剤を塗布した後に適切なマッサージ(1分〜3分程度)を行っていれば、有効成分はすでに角質層へ浸透を始めています。

その後にドライヤーで「髪」を乾かす分には、大きな問題はありません。ただし、ドライヤーの温風を頭皮に直接、長時間当て続けるのは避けましょう。

頭皮への刺激になりますし、必要以上に乾燥させてしまいます。

自然乾燥はダメ?頭皮への影響

「ドライヤーは髪が傷むから、自然乾燥派」という方もいるかもしれません。しかし、育毛ケアの観点からは、自然乾燥は推奨できません。

髪が濡れたままの時間が長いと、頭皮は湿った状態が続きます。この湿気と体温は、雑菌(カビなど)が繁殖するのに最適な環境を作ってしまいます。

雑菌が繁殖すると、かゆみ、フケ、嫌なニオイの原因となり、頭皮環境を悪化させます。育毛剤を使った後は、必ずドライヤーで頭皮と髪の根元を中心に乾かすようにしてください。

育毛剤とドライヤーのNGな順番とOKな順番

順番評価理由
ドライヤー → 育毛剤頭皮が乾燥し、毛穴が閉じて浸透しにくい
育毛剤 → 自然乾燥×頭皮が湿ったままで雑菌が繁殖しやすい
タオルドライ → 育毛剤 → ドライヤー成分が浸透し、頭皮も清潔に乾かせる

ドライヤーの正しいかけ方(冷風の活用)

育毛剤を使った後のドライヤーは、「髪を乾かす」ことと「頭皮を乾燥させすぎない」ことの両立がポイントです。まず、温風で髪の根元や頭皮付近から乾かしていきます。

ドライヤーは頭皮から20cm以上離し、同じ場所に熱が集中しないように小刻みに振りながら風を当てます。8割方乾いてきたら、冷風に切り替えます。

冷風を当てることで、開いたキューティクルが引き締まり、髪にツヤが出ます。また、頭皮に残った熱を冷ますことで、過度な乾燥や蒸れを防ぐ効果もあります。

育毛剤の効果を高めるためのポイント

育毛剤の効果を実感するには、正しい使い方を継続することが何よりも大切です。しかし、それだけでは不十分な場合もあります。

日々の生活習慣や頭皮ケア全体を見直すことで、育毛剤の働きをサポートし、より効果を高めることが期待できます。

毎日継続することが一番の近道

育毛剤は、薬のようにすぐに劇的な変化をもたらすものではありません。髪の毛には「ヘアサイクル(毛周期)」があり、新しい髪が生まれてから抜け落ちるまでには数年の時間がかかります。

育毛剤は、このサイクルを正常に整え、今ある髪を健やかに育て、新しい髪が生えやすい頭皮環境を作ることを目的としています。

効果を実感するには、一般的に最低でも3ヶ月から6ヶ月の継続使用が必要といわれます。使ったり使わなかったりでは、十分な効果は得られません。「毎日欠かさず」が基本です。

使用量を守る(多く使っても効果は上がらない)

早く効果を出したいからと、推奨されている量より多く使ってしまう人がいます。しかし、これは逆効果になる可能性があります。育毛剤は、1回に吸収できる量には限界があります。

多く使っても浸透しきれなかった分は、蒸発するか、頭皮に残ってベタつきや毛穴詰まりの原因になるだけです。経済的にも無駄になってしまいます。

製品の説明書に書かれた「適量」と「使用回数」を正確に守ることが、効果への一番の近道です。

頭皮環境を整える生活習慣

健やかな髪は、健康な体と頭皮から生まれます。育毛剤での外側からのケアと同時に、内側からのケア、つまり生活習慣の見直しも非常に重要です。

特に「食事」「睡眠」「ストレス」は髪に大きな影響を与えます。

頭皮環境に影響する生活習慣

生活習慣髪への影響(悪い例)改善のポイント
食事脂っこい食事、偏食タンパク質、ビタミン、ミネラルをバランス良く
睡眠睡眠不足、不規則な睡眠質の良い睡眠を6〜8時間確保する
ストレス過度なストレス適度な運動や趣味でリフレッシュする

髪の主成分はタンパク質(ケラチン)です。良質なタンパク質(肉、魚、卵、大豆製品)をしっかり摂りましょう。

また、そのタンパク質の合成を助けるビタミンやミネラル(特に亜鉛やビタミンB群)も必要です。野菜や海藻類も意識して食べ、バランスの取れた食生活を心がけましょう。

髪の成長は、成長ホルモンが分泌される夜の睡眠中(特に22時〜翌2時といわれるゴールデンタイム)に活発になります。睡眠不足は、髪の成長を妨げる大きな要因です。

質の良い睡眠を十分にとるよう努めましょう。

頭皮ケアの基本

  • 適度な運動で血行促進
  • 紫外線対策(帽子や日傘)
  • 禁煙(喫煙は血行を悪くします)

効果はいつから実感できる?

前述の通り、ヘアサイクル(毛周期)の関係から、育毛剤の効果を実感するまでには時間がかかります。

抜け毛が減った、髪にハリやコシが出てきた、といった小さな変化を感じ始めるまでに、早くても3ヶ月程度はかかると考えておきましょう。

目に見える変化(産毛が増えた、分け目が目立たなくなった)を感じるには、6ヶ月以上の継続が必要な場合がほとんどです。焦らず、日々の正しいケアを淡々と続けることが成功の鍵です。

女性用育毛剤の選び方と注意点

自分の頭皮の状態や悩みに合った成分が含まれている育毛剤を選ぶことが重要です。

女性の薄毛の原因は、男性とは異なり、ホルモンバランスの乱れや血行不良、頭皮の乾燥など、複数の要因が絡み合っていることが多いからです。

自分に合わないものを選んでしまうと、効果が出ないばかりか、頭皮トラブルを招くこともあります。

頭皮タイプ別(乾燥肌・脂性肌)の選び方

自分の頭皮が乾燥しやすいのか、それともベタつきやすいのかによって、選ぶべき育毛剤も変わってきます。

乾燥肌の人は、頭皮の水分が不足しがちで、フケやかゆみが出やすい傾向があります。保湿成分(ヒアルロン酸、セラミド、コラーゲンなど)が豊富に含まれた、しっとりタイプの育毛剤がおすすめです。

アルコール(エタノール)の配合量が多いと、乾燥を助長する場合があるため、低刺激処方やアルコールフリーのものを選ぶと良いでしょう。

脂性肌(オイリー肌)の人は、皮脂の分泌が過剰で、毛穴が詰まりやすい傾向があります。

皮脂の分泌をコントロールする成分(ビタミンC誘導体など)や、抗炎症成分(グリチルリチン酸2Kなど)が含まれたものが適しています。使用感も、さっぱりとした清涼感のあるタイプが好まれます。

頭皮タイプ別おすすめ成分例

頭皮タイプ主な悩み注目したい成分(例)
乾燥肌フケ、かゆみ、つっぱり感保湿成分(セラミド、ヒアルロン酸)
脂性肌ベタつき、ニオイ、毛穴詰まり皮脂抑制成分、抗炎症成分
敏感肌刺激を感じやすい、赤み低刺激処方、無添加(香料・着色料等)

配合成分に注目する

女性の薄毛の悩みにアプローチする成分は様々です。

例えば、血行を促進する成分(センブリエキス、ビタミンE誘導体など)、毛母細胞の働きをサポートする成分(パントテニルエチルエーテルなど)、女性ホルモン様作用を持つ成分(イソフラボンなど)があります。

自分の悩みがどこにあるのか(抜け毛、ボリュームダウン、頭皮環境の悪化など)を考え、それに合った有効成分が配合されているかを確認しましょう。

使用感(テクスチャ・香り)も大切

育毛剤は毎日、長期間使い続けるものです。そのため、使用感が自分に合っているかどうかも、継続のためには非常に重要なポイントです。

テクスチャ(サラサラ、しっとり、とろみ)、香り(無香料、ハーブ系、フローラル系など)、容器の使いやすさ(スプレーしやすいか、液だれしないか)など、自分がストレスなく使えるものを選びましょう。

テスターやトライアルセットがあれば、試してみるのも良い方法です。

使用前にパッチテストを行う

特に敏感肌の人や、新しい育毛剤を試す場合は、使用前に必ずパッチテスト(皮膚アレルギー試験)を行いましょう。

育毛剤に含まれる成分が、体質によってはアレルギー反応や刺激を引き起こす可能性があります。

パッチテストの方法は簡単です。腕の内側など、皮膚の柔らかい部分に育毛剤を少量(10円玉大程度)塗布し、そのまま放置します。

30分後、そして24時間後〜48時間後に、塗布した部分に赤み、かゆみ、腫れ、発疹などの異常が出ていないかを確認します。

もし異常が出た場合は、その製品の使用は中止し、洗い流してください。

パッチテストの簡単な手順

  • 腕の内側を清潔にする
  • 育毛剤を少量塗布する
  • 絆創膏などで保護(しなくても可)
  • 30分後、24時間後、48時間後に様子を見る

よくある質問

育毛剤の正しい使い方に関して、多くの人が抱える疑問や不安にお答えします。日々のケアの参考にしてください。

育毛剤と発毛剤の違いは?

育毛剤は、今ある髪を健康に育て、抜け毛を予防し、髪が育ちやすい頭皮環境を整える(育毛・養毛)ことを目的とした「医薬部外品」が中心です。

一方、発毛剤は、新しい髪を生やす(発毛)効果が認められた「医薬品」です。

女性の場合、発毛剤として認められている成分(ミノキシジルなど)もありますが、まずは育毛剤での頭皮ケアから始めるのが一般的です。

ヘアトニックやヘアオイルと一緒に使ってもいい?

併用は可能ですが、順番が重要です。育毛剤は頭皮に浸透させるものですから、一番先に使います。

ヘアトニックも頭皮に使用するものが多いですが、目的(清涼感、保湿など)に応じて、育毛剤とどちらを先にするか、あるいは併用を避けるべきか、製品の特性を確認してください。

ヘアオイルは主に髪の毛を保護・保湿するものなので、育毛剤→ドライヤー→ヘアオイル(毛先中心)の順番で使うのが良いでしょう。

油分の多い製品が育毛剤より先に頭皮につくと、浸透を妨げてしまいます。

妊娠中や授乳中に使っても大丈夫?

妊娠中や授乳中は、ホルモンバランスが大きく変動し、体調もデリケートな時期です。育毛剤に含まれる成分が、母体や赤ちゃんに影響を与える可能性もゼロではありません。

多くの製品は「使用を控えるか、医師に相談してください」と記載しています。自己判断で使用せず、必ずかかりつけの医師や薬剤師に相談してください。

効果が感じられない場合、使用をやめてもいい?

効果の実感には個人差があり、最低でも3ヶ月〜6ヶ月の継続が必要です。

もし6ヶ月以上、正しい使い方で継続しても全く変化が感じられない場合は、その製品がご自身の頭皮や薄毛の原因に合っていない可能性があります。

別の成分の育毛剤を試してみるか、一度、皮膚科や専門のクリニックで頭皮の状態を診断してもらうことをお勧めします。

整髪料(ワックスやスプレー)は育毛剤の後に使ってもいい?

はい、問題ありません。ただし、順番が大切です。育毛剤は必ず清潔な頭皮に使用します。

朝に育毛剤を使う場合は、「(洗顔など)→育毛剤塗布・マッサージ→(ドライヤー)→整髪料」の順番です。

整髪料が頭皮にベッタリとつくと毛穴を塞ぐ原因になるため、できるだけ髪の毛だけにつけるように意識しましょう。

Reference

KINGSLEY, Philip. The Hair Bible: A Complete Guide to Health and Care. Aurum, 2014.

GRAY, John. Hair care and hair care products. Clinics in dermatology, 2001, 19.2: 227-236.

NATARELLI, Nicole; GAHOONIA, Nimrit; SIVAMANI, Raja K. Integrative and mechanistic approach to the hair growth cycle and hair loss. Journal of clinical medicine, 2023, 12.3: 893.

PINTO DURAZNO, Valeria Aimmé. Development of a range of hair growth promoting products and preliminary design of their manufacturing process. 2021.

DAVIS-SIVASOTHY, Audrey. The Science of Transitioning: A Complete Guide to Hair Care for Transitioners and New Naturals. SAJA Publishing Company, 2015.

DINH, Quan Q.; SINCLAIR, Rodney. Female pattern hair loss: current treatment concepts. Clinical interventions in aging, 2007, 2.2: 189-199.

KIMBLE, Sharon. Hair Loss, Hair Removal-Temporary and Permanent, Hair Retention 2017.

RASSMAN, William R.; BERNSTEIN, Robert M. Hair loss and replacement for dummies. John Wiley & Sons, 2008.

HASKIN, Alessandra; KWATRA, Shawn G.; AGUH, Crystal. Breaking the cycle of hair breakage: pearls for the management of acquired trichorrhexis nodosa. Journal of Dermatological Treatment, 2017, 28.4: 322-326.

GRIFFIN, M. Y. A. H.; LENZY, YOLANDA. Contemporary African-American hair care practices. Pract Dermatol, 2015, 26-34.

目次