秋に抜け毛が多いのはなぜ？女性の季節性とヘアサイクル

秋になると抜け毛が増えたと感じる女性は少なくありません。

その主な理由は、夏の間に蓄積された紫外線ダメージや疲労が頭皮環境を悪化させること、そして動物本来の換毛期（毛の生え変わり）の名残が関係していると考えられています。

また、髪には「ヘアサイクル」という周期があり、秋はこのサイクルの中で「休止期」にあたる髪の割合が増え、一時的に抜け毛が目立ちやすくなるのです。

この記事では、秋の抜け毛の詳しい原因と髪の仕組み、今日からできる具体的な対策について詳しく解説します。

秋の抜け毛は本当に多い？季節の変わり目と髪の関係

秋に抜け毛が増えるのは、多くの女性が感じる一時的な現象であり、いくつかの明確な理由が関係しています。

夏のダメージと、人間の体に残る季節性のリズムが主な要因です。

抜け毛の平均本数と「多い」と感じる基準

健康な人でも、髪は毎日抜けて生え変わっています。1日あたりの抜け毛の平均本数は、一般的に50本から100本程度と言われています。

シャンプー時やブラッシング時に抜ける髪が多いため、排水溝やブラシを見て驚くこともあるかもしれません。

「多い」と感じる基準は人それぞれですが、この平均本数を大きく超え、例えば連日200本以上抜けるような状態や、以前と比べて明らかに抜け毛の量が増加した場合は、注意が必要です。

ただし、秋は一時的に100本を超え、150本から200本近く抜けることも珍しくないとされています。この場合、数週間程度で落ち着くなら、季節性の抜け毛である可能性が高いです。

なぜ秋になると抜け毛が目立つのか

秋に抜け毛が目立つ理由は複数あります。まず、夏に受けた強い紫外線の影響です。紫外線は頭皮を乾燥させ、毛穴の炎症を引き起こし、毛根にダメージを与えます。

このダメージが、時間差で秋の抜け毛として現れるのです。

また、夏バテによる食欲不振で、髪の成長に必要な栄養素が不足しがちになることも影響します。さらに、冷房による体の冷えは頭皮の血行不良を招き、毛根に十分な栄養が届きにくくなります。

これらの夏の蓄積ダメージが、秋に一気に表面化すると考えられます。

女性ホルモンと抜け毛の季節変動

女性ホルモンの一つである「エストロゲン」は、髪の成長を促進し、ヘアサイクルの「成長期」を長く維持する働きがあります。

しかし、秋は日照時間が短くなる影響などで、ホルモンバランスがわずかに変動しやすい時期でもあります。

また、気候変動による自律神経の乱れも、ホルモンバランスに影響を与えることがあります。自律神経が乱れると血行が悪くなり、結果として頭皮環境や髪の成長に影響を及ぼす可能性があります。

ただし、健康な女性の場合、この季節変動が直接的に深刻な薄毛を引き起こすことは稀です。

他の季節（春・夏・冬）との比較

抜け毛は秋だけでなく、春にも増えやすいと言われることがあります。春も秋と同様に季節の変わり目であり、新生活のストレスや花粉などのアレルギー反応が頭皮環境に影響を与えることが考えられます。

一方で、夏は紫外線や汗による頭皮トラブルが起こりやすい時期ですが、成長期が活発になる傾向もあるとされます。冬は乾燥が頭皮ダメージの主な原因となります。

秋の抜け毛が際立って多いと感じられるのは、他の季節の要因に加え、夏のダメージ蓄積という大きな要因が重なるためと言えるでしょう。

季節ごとの主な頭皮・毛髪トラブル

季節	主なトラブル要因	頭皮・毛髪への影響
春	寒暖差、花粉、新生活ストレス	自律神経の乱れ、頭皮のかゆみ、血行不良
夏	紫外線、汗・皮脂、冷房	頭皮の炎症、毛穴の詰まり、乾燥、血行不良
秋	夏のダメージ蓄積、気候変動	抜け毛の増加、頭皮の乾燥
冬	乾燥、寒さによる血行不良	フケ、かゆみ、頭皮の硬化

すべてはヘアサイクルにあった！髪の生まれ変わりの仕組み

秋の抜け毛を理解する上で、髪の毛1本1本が持つ「ヘアサイクル（毛周期）」の知識は欠かせません。

髪は一定の周期で生まれ変わり、そのリズムが秋に抜け毛が増えることと深く関係しています。

ヘアサイクル（毛周期）とは何か

ヘアサイクル（毛周期）とは、髪の毛が成長を始めてから抜け落ちるまでの周期的な流れのことです。

1本の髪の毛は、独立したサイクルを持っており、頭髪全体（約10万本）が一度に抜けたり生えたりすることはありません。

このサイクルは、大きく「成長期」「退行期」「休止期」の3つの期間に分けられます。

成長期・退行期・休止期それぞれの役割

ヘアサイクルの各期間には、明確な役割があります。

「成長期」は、髪が活発に成長する期間です。毛根にある毛母細胞が細胞分裂を繰り返し、髪が太く長く伸びていきます。

女性の髪の場合、この期間は4年から6年ほど続き、頭髪全体の約85%から90%がこの状態にあるとされています。

「退行期」は、髪の成長が止まる期間です。毛母細胞の分裂が停止し、毛根が徐々に小さく（萎縮）なっていきます。

この期間は非常に短く、約2週間から3週間程度です。頭髪全体に占める割合も約1%とわずかです。

「休止期」は、髪が抜け落ちる準備をする期間です。毛根は完全に活動を停止し、皮膚の浅い部分へと押し上げられます。

この状態が約3か月から4か月続くと、新しい髪（次の成長期の髪）が下から生えてくることで、古い髪は自然に押し出されて抜け落ちます。頭髪全体の約10%から15%が休止期にあたります。

ヘアサイクルの各期間の目安

期間	期間の長さ（目安）	頭髪全体に占める割合（目安）
成長期	4年～6年	約85%～90%
退行期	2週間～3週間	約1%
休止期	3か月～4か月	約10%～15%

女性のヘアサイクルの特徴と長さ

女性のヘアサイクルは、男性に比べて成長期が長い傾向にあります。男性の成長期が2年から5年程度であるのに対し、女性は4年から6年と長く、そのため女性は髪を長く伸ばすことができます。

また、女性ホルモン（エストロゲン）がこの成長期を維持するのに重要な役割を果たしています。このホルモンバランスが崩れると、ヘアサイクルにも影響が出やすくなります。

秋に休止期の髪が増える理由

秋に抜け毛が増えるのは、このヘアサイクルのうち「休止期」に入る髪の割合が、他の季節よりも一時的に増えるためと考えられています。

これにはいくつかの説がありますが、一つは動物の「換毛期」の名残という説です。

人間も動物の一種であり、季節の変わり目（特に秋）に毛が生え変わるリズムが体に残っているのではないか、という考え方です。

もう一つは、夏に受けた紫外線などのダメージから頭皮を守るために、一時的に髪が成長を止め、休止期に入るのではないかという防御反応説です。

いずれにせよ、夏の終わりから秋にかけて休止期に入った髪が、約3か月後（つまり秋の半ばから冬にかけて）に抜け落ちることで、抜け毛が目立つようになると言えます。

秋の抜け毛を加速させる主な要因

ヘアサイクルのリズムに加え、秋の抜け毛をさらに加速させてしまう要因が存在します。その多くは、夏の間に知らず知らずのうちに蓄積されたダメージや生活習慣の乱れです。

夏に浴びた紫外線のダメージ蓄積

夏に浴びる紫外線は、肌だけでなく頭皮と髪にも深刻なダメージを与えます。紫外線は頭皮の細胞を傷つけ、乾燥や炎症を引き起こします。これが毛根の働きを弱らせ、健康な髪の成長を妨げるのです。

髪の毛自体も、紫外線によってキューティクルが傷つき、パサつきや切れ毛の原因となります。

これらのダメージはすぐには現れず、数か月後の秋になって、弱った髪が抜け落ちるという形で表面化することが多いのです。

夏の食生活の乱れと栄養不足

暑い夏は、そうめんや冷たい飲み物など、冷たくて喉ごしの良い、糖質中心の食事に偏りがちです。夏バテで食欲が落ちると、髪の主成分であるタンパク質や、髪の成長を助けるビタミン、ミネラルなどの摂取量が不足しやすくなります。

髪は「血余（けつよ）」とも呼ばれ、体内で栄養が最後に回される場所です。生命維持に必要な臓器が優先されるため、栄養が不足すると真っ先に影響が出るのが髪の毛です。

夏の栄養不足が、秋の弱い髪や抜け毛につながります。

夏のダメージ要因とその影響

夏の要因	具体的な行動	頭皮・毛髪への影響
紫外線	帽子や日傘なしでの外出	頭皮の炎症、乾燥、毛根のダメージ
食生活	冷たい麺類、清涼飲料水の多飲	タンパク質・ビタミン・ミネラル不足
冷房	長時間の冷房使用、薄着	頭皮の血行不良、体の冷え

冷房による頭皮の冷えと血行不良

夏場、快適に過ごすために欠かせない冷房ですが、これも秋の抜け毛の一因となり得ます。冷房の効いた室内に長時間いると、体（特に末端）が冷えてしまいます。

頭皮も同様に冷えると、血管が収縮し、血行不良を引き起こします。

頭皮の血流は、毛根に栄養素と酸素を運ぶ重要な役割を担っています。血行不良が続くと、毛母細胞の活動が鈍くなり、髪が十分に成長できなかったり、ヘアサイクルが乱れたりする原因となります。

秋の気候変動による自律神経の乱れ

秋は「女心と秋の空」と言われるように、天候が変わりやすい季節です。日中は暖かくても朝晩は急に冷え込むなど、寒暖差が激しくなります。

体温調節などを司る自律神経（交感神経と副交感神経）は、このような急激な気候変動に対応しようと過剰に働いてしまい、バランスを崩しやすくなります。

自律神経が乱れると、血流のコントロールがうまくいかなくなり、頭皮の血行不良を招いたり、ホルモンバランスに影響を与えたりして、抜け毛を助長する可能性があります。

女性特有の抜け毛要因と秋の季節性の関係

秋の季節的な要因に加えて、女性特有のライフイベントや体質が重なることで、抜け毛がより深刻に感じられる場合があります。季節性かどうかの見極めも重要です。

ホルモンバランスの変化（出産後・更年期）

女性の体は、ライフステージによって女性ホルモンの分泌量が大きく変動します。特に出産後と更年期は、抜け毛に大きな影響を与える時期です。

出産後は、妊娠中に髪の成長期を維持していたエストロゲンが急激に減少するため、一時的に大量の抜け毛（産後脱毛症）が起こります。これが秋の抜け毛の時期と重なると、非常に多く感じることがあります。

また、40代後半から50代の更年期は、エストロゲンの分泌量が全体的に減少していきます。その結果、髪のハリやコシがなくなり、ヘアサイクルが乱れて薄毛が進行しやすくなります。

こうしたホルモンバランスの大きな変化がある時期は、秋の抜け毛が抜け毛全体の始まりのように感じられることもあります。

ストレスと抜け毛の関係性

現代社会において、ストレスは避けがたいものですが、過度なストレスは髪の健康に悪影響を及ぼします。ストレスを感じると、自律神経のバランスが崩れ、交感神経が優位になります。

交感神経が優位な状態が続くと、血管が収縮し、頭皮の血行が悪化します。このため、毛根への栄養供給が滞り、抜け毛が増える原因となります。

秋は異動や環境の変化など、ストレスがかかりやすい時期でもあり、季節性の抜け毛に拍車をかけることがあります。

無理なダイエットの影響

体型を気にするあまり、極端な食事制限を伴う無理なダイエットを行うと、髪は深刻な栄養不足に陥ります。前述の通り、髪は栄養が最後に回されるため、ダイエットの影響が最も顕著に現れる部分の一つです。

特に髪の主成分であるタンパク質が不足すると、髪は細く弱々しくなり、すぐに抜け落ちてしまいます。

秋の抜け毛が多いと感じる背景に、夏の間に実践した無理なダイエットが隠れているケースも少なくありません。

睡眠不足と髪の成長

髪の毛は、私たちが寝ている間に成長します。特に夜10時から深夜2時の間は、成長ホルモンの分泌が最も活発になる「ゴールデンタイム」と呼ばれてきました（現在は時間帯よりも、入眠直後の深い睡眠が重要とされています）。

理由が何であれ、睡眠不足が続くと、成長ホルモンの分泌が減少し、毛母細胞の分裂が妨げられます。また、睡眠不足は自律神経の乱れやストレスにもつながります。

秋の夜長に夜更かしを続けていると、頭皮環境の悪化を招き、抜け毛を増やすことにつながります。

すぐに始めたい！秋の抜け毛対策セルフケア

秋の抜け毛は一時的なものが多いとはいえ、放置すれば頭皮環境は悪化する一方です。ダメージを最小限に抑え、健康な髪を育むために、今日からできるセルフケアを見直しましょう。

正しいシャンプー方法と頭皮マッサージ

毎日のシャンプーは、頭皮を清潔に保つ基本です。しかし、洗いすぎや間違った方法は、かえって頭皮を傷つける原因になります。

シャンプーは、まずお湯で髪と頭皮を十分に予洗いし、汚れの大半を落とすことが大切です。シャンプー剤は手のひらでよく泡立ててから髪に乗せ、指の腹を使って頭皮をマッサージするように優しく洗います。

爪を立てるのは厳禁です。すすぎ残しはかゆみやフケの原因になるため、シャンプー剤が残らないよう、時間をかけて丁寧に洗い流してください。

シャンプー後やリラックスタイムに、指の腹で頭皮全体を優しく動かすようにマッサージするのも効果的です。頭皮の血行を促進し、毛根に栄養を届けやすくします。

頭皮マッサージのポイント

血行を促進するための頭皮マッサージは、シャンプー時以外にも有効です。以下の点を意識して行いましょう。

ポイント	具体的な方法	注意点
タイミング	入浴中、入浴後、リラックスタイム	頭皮が乾いていると摩擦が強くなるため、オイルなどを使っても良い
強さ	「痛気持ちいい」と感じる程度	強く押しすぎたり、爪を立てたりしない
方法	指の腹で頭皮全体をつかみ、動かすイメージ	こするのではなく、頭皮そのものを動かす

頭皮の紫外線対策（秋も油断禁物）

夏の紫外線ダメージが秋の抜け毛につながると述べましたが、秋の紫外線も油断できません。「スポーツの秋」「行楽の秋」など、屋外で過ごす時間が長くなることも多いでしょう。

紫外線量は夏に比べて減少しますが、頭皮（特に分け目）は依然として紫外線の影響を受けやすい場所です。

外出時には帽子をかぶったり、日傘を使ったり、頭皮用の日焼け止めスプレーを活用したりするなど、秋も引き続き紫外線対策を心がけましょう。

頭皮の保湿ケアの重要性

秋から冬にかけては、空気が乾燥し始めます。肌がカサカサするのと同じように、頭皮も乾燥します。頭皮が乾燥すると、バリア機能が低下し、わずかな刺激でもかゆみやフケが出やすくなります。

また、乾燥は過剰な皮脂分泌を招くこともあり、頭皮環境の悪化につながります。

シャンプー後は、髪だけでなく頭皮も保湿することが重要です。頭皮専用のローションや、育毛剤（保湿成分配合のもの）などを使用して、頭皮にうるおいを与えましょう。

ドライヤーで髪を乾かす際は、熱風を頭皮に近づけすぎず、最後に冷風を当てて毛穴を引き締めると効果的です。

髪をはぐくむ内側からのアプローチ

健康な髪は、日々の食事や生活習慣によって作られます。外側からのケアと同時に、体の内側から髪の成長をサポートするアプローチが、秋の抜け毛対策にはとても重要です。

秋に摂りたい髪に良い栄養素

髪の毛は、そのほとんどが「ケラチン」というタンパク質でできています。したがって、まずは良質なタンパク質を十分に摂取することが基本です。

また、タンパク質が髪になるのを助けるビタミンやミネラルも同様に重要です。

特に秋に意識したいのは、夏の疲れを回復させ、これからの季節に備える栄養素です。

髪の成長をサポートする主な栄養素

栄養素	主な働き	多く含まれる食材例
タンパク質	髪の主成分（ケラチン）の材料	肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
亜鉛	タンパク質の合成を助ける	牡蠣、レバー、赤身肉、ナッツ類
ビタミンB群	頭皮の新陳代謝、血行促進	豚肉、レバー、うなぎ、青魚、玄米
ビタミンC・E	抗酸化作用、血行促進	緑黄色野菜、果物、ナッツ類、植物油

バランスの取れた食事のポイント

特定の栄養素だけを偏って摂取するのではなく、バランス良く食べることが大切です。

秋の味覚であるキノコ類（ビタミンB群や食物繊維が豊富）や、青魚（良質なタンパク質とEPA・DHA）、イモ類（ビタミンCやE）などを上手に取り入れましょう。

1日3食を基本とし、朝食を抜いたり、過度な食事制限をしたりすることは避けましょう。外食やコンビニ食が多くなりがちな場合は、サラダやゆで卵、豆乳などを一品加える工夫も有効です。

良質な睡眠を確保する生活習慣

髪の成長を促す成長ホルモンは、深い睡眠中に最も多く分泌されます。睡眠の「量」だけでなく「質」を高めることが、抜け毛対策には必要です。

就寝前のスマートフォンやパソコン操作は、ブルーライトが脳を覚醒させ、睡眠の質を低下させます。

寝る1時間前からはリラックスできる時間とし、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かったり、ストレッチをしたり、アロマを焚いたりするなど、副交感神経を優位にする工夫をしましょう。

毎日決まった時間に寝て、決まった時間に起きる、規則正しい生活リズムを整えることも大切です。

リラックスできる時間の作り方

ストレスは自律神経を乱し、頭皮の血行不良を招きます。忙しい毎日の中でも、意識的にリラックスできる時間を作ることが、心身の健康、ひいては髪の健康につながります。

趣味に没頭する時間、好きな音楽を聴く時間、友人とのおしゃべり、ヨガや瞑想など、自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。

深呼吸するだけでも、副交感神経が優位になり、リラックス効果が得られます。「何もしない時間」をあえて作ることも、時には重要です。

抜け毛が続く場合に考えるべきこと

秋の抜け毛の多くは一時的なものですが、中には注意が必要なケースも潜んでいます。季節性の範囲を超えていると感じたら、早めに原因を見極めることが大切です。

季節性を超えた抜け毛の見分け方

「秋の抜け毛」は、通常、秋が深まるにつれて始まり、冬になる頃には自然と落ち着いてきます。目安としては1か月から2か月程度です。

しかし、3か月以上経っても抜け毛が減らない場合や、秋以外の季節でも抜け毛が多い状態が続く場合は、季節性以外の原因を考える必要があります。

また、抜け毛の量だけでなく、髪の毛自体の質（細くなった、ハリがなくなった）や、頭皮の状態（特定の場所だけ地肌が目立つ）にも注意を払いましょう。

抜け毛の状態チェック

チェック項目	季節性の可能性が高い	注意が必要な可能性
期間	秋季の1～2か月程度	3か月以上続く、通年多い
毛質	太い毛も細い毛も混在	細く短い毛、弱々しい毛が多い
頭皮	全体的に抜ける	分け目、頭頂部など局所的に目立つ

注意すべき頭皮のサイン（かゆみ・フケ・赤み）

抜け毛と同時に、頭皮に以下のようなサインが現れた場合は、頭皮環境が深刻に悪化しているか、皮膚炎（脂漏性皮膚炎や接触性皮膚炎など）を起こしている可能性があります。

• 異常なフケ（大きい、ベタベタしている）
• 我慢できないほどの強いかゆみ
• 頭皮の赤みや、湿疹、痛み

これらの症状がある場合は、セルフケアで改善しようとせず、皮膚科を受診してください。間違ったケアは症状を悪化させる可能性があります。

女性の薄毛（FAGA）の可能性

季節性とは関係なく、女性の薄毛が進行する状態として「FAGA（女性男性型脱毛症）」があります。

これは、女性ホルモンの減少やホルモンバランスの乱れにより、髪のヘアサイクルが短縮し、髪が十分に成長する前に抜け落ちてしまう状態です。

特に頭頂部や分け目の地肌が透けて見えるようになり、髪全体のボリュームダウンが特徴です。FAGAは加齢とともに進行することが多く、セルフケアだけでの改善は難しい場合があります。

秋の抜け毛をきっかけに、こうした薄毛の進行に気づくケースも少なくありません。

専門家（医師・毛髪診断士）への相談

「ただの秋の抜け毛」と自己判断していたものの、抜け毛が減らない、地肌が目立ってきた、頭皮トラブルが治らないなど、不安が続く場合は、一人で抱え込まずに専門家に相談しましょう。

頭皮の炎症やフケ・かゆみがひどい場合は「皮膚科」が適しています。薄毛そのもの（FAGAなど）が心配な場合は、女性の薄毛治療を専門に行う「クリニック（皮膚科や美容皮膚科など）」があります。

また、まずは自分の頭皮や髪の状態を知りたいという場合は、「毛髪診断士」などの専門家がいるサロンなどで相談してみるのも一つの方法です。

Ｑ＆Ａ

秋の抜け毛はどのくらい続きますか？

一般的に、秋の季節性の抜け毛は一時的なものです。夏の終わり頃から目立ち始め、1か月から2か月程度でピークを過ぎ、冬になる頃には自然と落ち着いてくることが多いです。

もし3か月以上経っても抜け毛の量が変わらない、あるいは増え続ける場合は、他の原因も考えられるため注意が必要です。

抜け毛対策はいつから始めれば良いですか？

抜け毛が気になり始めたら、すぐにでも始めることをお勧めします。

特に秋の抜け毛は夏のダメージ蓄積が原因の一つであるため、本当は夏の間から紫外線対策や栄養バランスの取れた食事を心がけるのが理想です。

しかし、気づいた時点からでも、シャンプー方法の見直し、頭皮の保湿、生活習慣の改善など、できることから取り組むことが大切です。

育毛剤を使うのは効果がありますか？

女性用の育毛剤には、頭皮の血行を促進したり、毛根に栄養を与えたり、頭皮環境を整えたり（保湿、抗炎症）する成分が含まれています。

秋の抜け毛対策として、夏のダメージを受けた頭皮をケアし、健やかな髪を育てる環境を整えるという意味で、使用は有効な選択肢の一つです。

ただし、育毛剤は髪を生やす「発毛剤」とは異なり、あくまで「育毛（髪を育てる・抜け毛を防ぐ）」を目的としたものです。

自分の頭皮の状態に合ったものを選び、継続して使用することが重要です。

秋の抜け毛がひどい場合、何科を受診すればよいですか？

抜け毛だけでなく、頭皮に強いかゆみ、赤み、フケ、湿疹などの炎症症状が伴う場合は、まずは「皮膚科」を受診してください。

脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患が隠れている可能性があります。

特に炎症はなく、抜け毛の量が多いことや、地肌が目立ってきたこと（薄毛）が心配な場合は、女性の薄毛治療を専門とするクリニック（皮膚科、美容皮膚科、女性頭髪外来など）に相談するのがよいでしょう。