ミノキシジル10%は女性も使える?高濃度の効果と副作用のリスク解説

ミノキシジル10%は女性も使える?高濃度の効果と副作用のリスク解説

「ミノキシジル10%」のような高濃度製品は、現在、日本の厚生労働省では女性への使用が承認されていません。国内で女性用として承認されているのはミノキシジル1%配合の製品のみです。

ミノキシジル10%は高い効果を期待させるかもしれませんが、濃度が上がるにつれて副作用のリスクも高まる可能性が指摘されています。

特に女性の場合、多毛症などの特有のリスクも考慮しなくてはなりません。

この記事では、ミノキシジル10%の効果と女性が使用する際のリスクについて詳しく解説し、安全な薄毛対策の進め方を考えます。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

ミノキシジル10%とは?高濃度ミノキシジルの基本

ミノキシジル10%は、文字通りミノキシジルという成分を10%の濃度で配合した外用薬(塗り薬)を指します。

これは、現在日本国内で一般的に承認・販売されている製品と比較して、非常に高い濃度にあたります。

まずはミノキシジルがどのような成分なのか、10%という濃度がどう位置づけられるのか、基本的な情報を整理します。

ミノキシジルとは何か

ミノキシジルは、もともと高血圧治療のための内服薬(飲み薬)として開発された成分です。しかし、その治療過程で副作用として「多毛」が見られたことから、発毛剤としての研究が進められました。

その結果、頭皮に直接塗布する外用薬として、壮年性脱毛症(AGAや女性の薄毛)に対する発毛・育毛効果が認められ、世界中で広く使われるようになりました。

ミノキシジル外用薬は、頭皮の血管を拡張させて血流を改善し、毛包(毛根を包む組織)に栄養を届けやすくする作用があります。

さらに、毛母細胞の働きを活性化させ、新しい毛の成長を促したり、ヘアサイクル(毛の生え変わり周期)を正常に近づけたりする効果が期待されています。

日本皮膚科学会が策定する脱毛症診療ガイドラインでも、男女ともに使用が推奨されている数少ない成分の一つです。

「10%」が意味する高濃度の位置づけ

ミノキシジル外用薬の効果は、一般的に濃度に依存する面があるとされています。

しかし、それに伴い副作用のリスクも高まる可能性があります。「10%」という濃度は、国内で承認されている基準から見ると、非常に「高濃度」と位置づけられます。

日本では、一般用医薬品(OTC医薬品)として薬局やドラッグストアで購入できる男性用のミノキシジル製品は最大5%までです。女性用は最大1%までとなっています。

10%という濃度は、これらの基準を大きく上回るものであり、主に海外で製造・販売されている製品や、一部の医療機関で独自の判断(自由診療)に基づき処方されるケースで見られます。

国内で承認されているミノキシジル濃度(女性用・男性用)

日本国内で厚生労働省から医薬品として正式に承認を受け、市販されているミノキシジル外用薬の濃度には上限があります。

これは、有効性と安全性のバランスを考慮した結果です。

国内承認濃度の比較

対象承認されている最大濃度主な製品例(一般用医薬品)
女性1%リアップリジェンヌなど
男性5%リアップX5、ロート製薬の一部製品など

このように、女性用は1%、男性用は5%が国内での承認上限です。

女性が5%の男性用製品を使用することすら推奨されておらず、10%となればなおさら、国内の安全基準からは外れたものとなります。

ミノキシジル10%配合製品の入手方法

ミノキシジル10%配合の製品は、国内の薬局やドラッグストアでは市販されていません。主な入手経路は以下の二つです。

  1. 個人輸入(海外製品の通信販売)
  2. 一部の薄毛治療クリニック(自由診療)

個人輸入は、海外製の医薬品をインターネットなどを通じて個人で使用する目的で購入することです。これは非常にリスクが高い行為です。

偽造薬や品質の劣る製品が送られてくる可能性があり、万が一健康被害が起きても日本の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。すべて自己責任となるため、安易な利用は厳禁です。

一部のクリニックでは、医師の判断のもと、院内製剤や海外製品としてミノキシジル10%(あるいはそれ以上)の濃度の外用薬を処方する場合があります。

これは医師の管理下で行われるものの、国内未承認の濃度であることに変わりはなく、治療を受ける前には効果とリスクについて十分な説明を受ける必要があります。

女性がミノキシジル10%を使うのは推奨される?

結論から言うと、女性がミノキシジル10%の製品を使用することは、日本の安全基準やガイドラインにおいて推奨されていません。

国内で女性用として承認されているのは1%までであり、それ以上の高濃度使用は、期待される効果よりも副作用のリスクが上回る可能性があるためです。

女性の薄毛治療におけるミノキシジル

女性の薄毛(FPHL:Female Pattern Hair Loss、女性型脱毛症)治療において、ミノキシジル外用薬は有効な選択肢の一つです。

日本皮膚科学会のガイドラインでも、女性の薄毛治療に対して「ミノキシジル外用」は行うよう強く推奨する「推奨度A」と評価されています。

女性の薄毛は、男性のAGA(男性型脱毛症)とは異なり、頭頂部を中心に全体的に髪が細くなり、地肌が透けて見えるようになる特徴があります。

ミノキシジルは、こうした症状に対して毛髪の成長を促し、密度を高める効果が期待されます。

国内における女性へのミノキシジル推奨濃度

前述の通り、国内で女性の薄毛治療薬として承認されているミノキシジル外用薬の濃度は「1%」のみです。

臨床試験において、女性が1%のミノキシジルを使用した際の有効性と安全性が確認されたため、この濃度が基準となっています。

男性用の5%製品が市販されていますが、これらの製品の添付文書(説明書)には「女性は使用しないでください」と明記されています。

これは、女性が5%を使用した場合、1%と比較して副作用(特に多毛症など)のリスクが高まることが懸念されるためです。

なぜ高濃度を求める女性がいるのか

国内で1%までしか承認されていないにもかかわらず、ミノキシジル10%といった高濃度製品に関心が集まる背景には、以下のような理由が考えられます。

  • 1%の製品では期待したほどの効果を感じられなかった。
  • より早く、より確実な発毛効果を期待している。
  • 海外の製品情報やインターネット上の口コミを見て、高濃度=高効果だと思い込んでいる。

しかし、「濃度が高いほど効果も高い」という期待は、必ずしも安全とイコールではありません。特に医薬品においては、効果と副作用は表裏一体の関係にあることを忘れてはいけません。

医療機関での高濃度ミノキシジルの取り扱い

一部の美容クリニックや薄毛治療専門クリニックでは、自由診療(公的医療保険が適用されない診療)において、ミノキシジル10%や、場合によっては15%といった高濃度の外用薬を独自に処方することがあります。

これらは医師が海外の知見や独自の治療経験に基づき、「医師の責任において」処方するものです。市販薬と異なり、医師による診察や経過観察のもとで使用することが前提となります。

ただし、これも国内未承認の用法であることには変わりなく、治療を受ける側もそのリスクを理解した上で選択する必要があります。安易に「クリニック処方だから絶対安全」と考えるのは早計です。

ミノキシジル10%に期待できる「効果」とは

ミノキシジル10%という高濃度製品に対しては、「5%や1%よりも強い発毛効果があるのではないか」という期待が集まります。

理論上、濃度が高ければ皮膚から吸収される薬物量も増え、毛包への作用も強まる可能性は考えられます。

しかし、それがどの程度の効果差につながるのか、また、その効果がリスクを上回るものなのかは慎重に評価する必要があります。

ミノキシジルの発毛・育毛作用

ミノキシジルがどのようにして発毛を促すのか、その詳細な作用は完全には解明されていませんが、主に以下の働きが重要と考えられています。

  1. 血流改善作用:頭皮の毛細血管を拡張させ、毛乳頭や毛母細胞への血流を増やします。この作用によって、髪の成長に必要な栄養素や酸素が届きやすくなります。
  2. 毛母細胞への直接作用:毛母細胞の増殖を促したり、アポトーシス(細胞の自然死)を抑制したりする働きが報告されています。
  3. ヘアサイクルの調整:髪の成長期(太く長く育つ期間)を延長させ、休止期(成長が止まり脱毛を待つ期間)から成長期への移行を促すと考えられています。

これらの作用により、細く短くなっていた髪が、太く長い「硬毛」へと成長するのを助けます。

濃度と効果の関係性についての一般的な見解

ミノキシジルの効果は、濃度と相関関係があるという研究報告は存在します。

例えば、男性のAGA治療においては、2%よりも5%の方が発毛効果(毛髪数の増加)が優れていたという臨床試験データがあります。この結果に基づき、男性用では5%が主流となりました。

この流れで考えると、「5%より10%の方が効果が高い」と期待するのも無理はありません。

しかし、濃度が一定以上になると、効果の増加が頭打ちになる(プラトーに達する)一方で、副作用のリスクだけが上昇する可能性も指摘されています。

10%という濃度が、効果と安全性のバランスにおいて最適かどうかは、明確なエビデンス(科学的根拠)がまだ十分とは言えない状況です。

ミノキシジル10%の効果に関する研究や報告

ミノキシジル10%の効果に関する信頼できる大規模な臨床研究は、5%や1%に比べて限られています。特に女性を対象とした10%の研究データは非常に乏しいのが現状です。

海外では、男性を対象に5%と10%を比較した小規模な研究がいくつか行われていますが、結果は一様ではありません。

「10%の方がわずかに優れていた」という報告もあれば、「5%と明らかな差はなかった」とする報告もあります。いずれにせよ、5%の2倍の効果がある、といった単純な結果は得られていません。

女性に関しては、10%の使用データ自体がほとんどないため、「女性が10%を使った場合にどれほどの効果が期待できるか」を科学的に示すことは困難です。

濃度が高ければ効果も高いと単純に言えるか

医薬品において、「高濃度=高性能」という単純な式は成り立ちません。重要なのは「至適濃度(最も治療効果が高く、副作用が許容範囲内に収まる濃度)」を見つけることです。

ミノキシジル10%が、1%や5%で効果がなかった人にとっての「切り札」になる可能性はゼロではありません。しかし、それは同時に副作用のリスクも引き受けることを意味します。

特に女性の場合、安全性が確認されている1%の製品がある以上、あえてリスクの高い高濃度製品に手を出すことは、慎重に判断すべきです。

ミノキシジル10%を女性が使う場合の「副作用」リスク

女性がミノキシジル10%の使用を考える上で、最も懸念すべき点は副作用のリスクです。国内で女性への使用が承認されていない最大の理由もここにあります。

濃度が高くなるほど、皮膚への刺激や、体内に吸収されて全身に影響を及ぼすリスクが高まる可能性があります。

ミノキシジルで起こりうる主な副作用

ミノキシジル外用薬は、比較的安全性の高い薬とされていますが、以下のような副作用が報告されています。

これらは1%や5%の製品でも起こる可能性がありますが、10%ではその頻度や程度が強まることが懸念されます。

ミノキシジル外用薬の主な副作用

分類主な症状概要
皮膚症状かゆみ、発疹、発赤、フケ、かぶれ最も多く見られる副作用。塗布した部分の皮膚トラブル。
循環器系症状動悸、胸の痛み、めまい、低血圧もともと降圧剤であり、全身に吸収された場合に影響が出る可能性。
その他の症状頭痛、手足のむくみ比較的まれだが報告されている症状。

濃度の上昇と副作用リスクの関連性

一般的に、外用薬は濃度が高いほど皮膚からの吸収量が増加します。ミノキシジル10%を使用した場合、1%や5%を使用した場合よりも多くのミノキシジルが体内に吸収される可能性があります。

皮膚症状(かゆみ、かぶれなど)は、ミノキシジル自体へのアレルギー反応や、基剤(溶かしている液体)による刺激が原因となります。高濃度製品は、これらの刺激性も強くなる可能性があります。

また、体内に吸収される量が増えれば、本来は血圧の薬であるミノキシジルの全身作用(動悸、めまい、むくみなど)が現れるリスクも高まると考えられます。

女性特有の副作用リスク(多毛症など)

女性がミノキシジルを使用する際、特に注意が必要なのが「多毛症」です。

これは、塗布した頭部以外の場所、例えば顔(額、頬、あご周りなど)や腕、足などの体毛が濃くなる、あるいはうぶ毛が目立つようになる副作用です。

ミノキシジルの発毛作用が、意図しない部位にも現れてしまう現象です。女性は男性に比べてこの多毛症が起こりやすいとされています。

男性用の5%製品を女性が使用しないよう注意喚起されているのも、この多毛症のリスクが主な理由の一つです。

ミノキシジル10%という高濃度製品を使用した場合、この多毛症のリスクは1%や5%使用時よりも格段に高くなることが予想されます。

薄毛の悩みは改善しても、顔の毛が濃くなるという新たな悩みを生む可能性があり、女性にとっては深刻な問題となりえます。

重篤な副作用(循環器系への影響)の可能性

ミノキシジルは血管を拡張させる作用があります。高濃度使用によって全身への吸収量が増えすぎると、心臓や血管に負担がかかる可能性があります。

特に、もともと心臓病や高血圧・低血圧などの持病がある人が、医師の診断なしに高濃度ミノキシジルを使用することは非常に危険です。

胸の痛み、動悸、息切れ、急な体重増加(むくみによる)などが現れた場合は、命に関わる可能性もあるため、直ちに使用を中止し、医療機関を受診する必要があります。

女性が安全にミノキシジル治療を進めるために

ミノキシジル10%のような高濃度製品に頼る前に、女性が安全に、そして着実に薄毛対策を進めるために取るべき行動があります。

最も重要なのは、自己判断でリスクの高い選択をせず、専門家の知見を頼ることです。まずは国内で承認された方法から試すのが賢明です。

自己判断での高濃度使用の危険性

インターネット上の情報や「効果があった」という個人の体験談だけを頼りに、ミノキシジル10%製品を個人輸入などで入手し、使用することは絶対に避けてください。

前述の通り、副作用のリスクが非常に高いだけでなく、偽造薬や不衛生な製品を入手してしまう危険性もあります。

自分の薄毛の原因が何なのか、ミノキシジル治療が本当に適しているのかを判断しないまま高濃度製品を使っても、効果が出ないばかりか健康を害する恐れがあります。

まずは皮膚科・薄毛治療クリニックへ相談

薄毛や抜け毛が気になる女性が最初に行うべきことは、皮膚科専門医や女性の薄毛治療を専門に行っているクリニックに相談することです。

医師による診察では、薄毛の状態や原因(FPHL、円形脱毛症、びまん性脱毛症、甲状腺疾患など)を特定します。その上で、その人の症状や体質、ライフスタイルに合った治療法を提案してくれます。

ミノキシジルを使用する場合でも、まずは国内で承認されている1%の製品から開始し、その効果や副作用の有無を医師と確認しながら進めていくのが、安全かつ確実な方法です。

女性用の承認済み育毛剤から試す

医師に相談する時間がない場合や、まずはセルフケアで試してみたいという場合でも、個人輸入の高濃度製品ではなく、薬局やドラッグストアで購入できる「女性用のミノキシジル1%配合医薬品」を選んでください。

国内承認(女性用)製品の選び方

確認ポイント内容理由
医薬品区分「第1類医薬品」の表示ミノキシジル配合製品は薬剤師の説明が必要です。
対象者「女性用」「レディース」の記載女性の頭皮環境や安全性を考慮して開発されています。
濃度「ミノキシジル1%」の記載国内で女性用として承認されている濃度です。

これらの製品を、添付文書の指示通りに最低でも4~6ヶ月は継続して使用してみてください。ミノキシジル治療は効果が出るまでに時間がかかります。

治療開始後の体調変化に注意する

承認された1%の製品を使用する場合でも、副作用が全くないわけではありません。使用を開始してからは、体調の変化に注意深く気を配ることが大切です。

特に、以下のような症状が現れた場合は、使用を中止して医師や薬剤師に相談してください。

  • 頭皮のかゆみや赤みが続く
  • めまいや動悸がする
  • 手足や顔がむくむ
  • 頭部以外の体毛が濃くなってきた

安全な製品を安全に使うことで、初めて薄毛治療は成り立ちます。

ミノキシジル10%以外の女性の薄毛対策

ミノキシジル10%という高リスクな選択肢に目を向ける前に、女性の薄毛対策には他にできることが多くあります。

ミノキシジル外用薬と並行して行ったり、ミノキシジルが体質に合わなかった場合の代替案として検討したりできる対策を紹介します。

ミノキシジル以外の育毛成分

ミノキシジルは「発毛剤」に分類されますが、発毛をサポートしたり、頭皮環境を整えたりする「育毛剤(医薬部外品)」に含まれる成分も多くあります。

これらはミノキシジルほどの強い発毛作用はありませんが、副作用のリスクが低く、抜け毛予防や髪のハリ・コシ改善に役立つ可能性があります。

注目の育毛・頭皮ケア成分例

成分カテゴリ代表的な成分名期待される主な働き
血行促進センブリエキス、ビタミンE誘導体頭皮の血流を良くし、栄養を届けるサポート。
毛母細胞活性アデノシン、パントテニルエチルエーテル毛母細胞の働きを助け、育毛を促進する。
抗炎症グリチルリチン酸2K頭皮の炎症を抑え、フケやかゆみを防ぐ。

生活習慣の見直し(食事・睡眠・ストレス)

髪の健康は、体全体の健康状態と密接に関連しています。薬や外用剤に頼るだけでなく、日々の生活習慣を見直すことも、薄毛対策の基本であり非常に重要です。

いくら良い薬を使っても、土台となる体が不健康では効果も半減してしまいます。

髪のための生活習慣改善ポイント

項目具体的な対策例
食事タンパク質(髪の主成分)、ビタミン、ミネラル(特に亜鉛)をバランス良く摂る。
睡眠質の良い睡眠を十分(6~8時間目安)にとる。成長ホルモンの分泌を促す。
ストレス適度な運動や趣味の時間を持ち、ストレスを溜め込まない工夫をする。

頭皮環境を整えるヘアケア

健康な髪は、健康な頭皮から育ちます。日々のヘアケアで頭皮環境を悪化させていないか見直しましょう。

洗浄力の強すぎるシャンプーや、間違った洗い方は、頭皮の乾燥や炎症を引き起こし、抜け毛の原因にもなります。

女性用の育毛シャンプーやアミノ酸系の低刺激シャンプーを選び、爪を立てずに指の腹で優しくマッサージするように洗うことを心がけましょう。

すすぎ残しがないよう、しっかりと洗い流すことも大切です。

他の薄毛治療法(内服薬・注入治療など)

ミノキシジル外用薬で効果が見られない場合や、より積極的な治療を望む場合、クリニックでは他の治療法も選択肢となります。

例えば、パントガールやミノキシジルタブレット(飲み薬)などの内服薬治療、発毛に必要な成分を頭皮に直接注入するメソセラピーやHARG(ハーグ)療法などがあります。

ただし、これらの治療も自由診療となり、それぞれにメリットとデメリット、副作用のリスクが存在します。

特にミノキシジルタブレットは外用薬よりも全身への副作用(心臓への負担など)が強く出やすいため、安易な使用は禁物です。必ず医師の診断のもとで検討してください。

ミノキシジル10%使用前に知っておきたいこと

ミノキシジル10%の使用を検討する、あるいはすでに関心を持っている女性が抱きがちな疑問について解説します。高濃度製品がいかに取り扱いに注意が必要なものであるか、改めて確認してください。

男性用の10%製品を女性が使ってもよい?

絶対に使用しないでください。男性用として販売されている製品(5%や10%など)は、女性が使用することを想定して作られていません。

前述の通り、女性が男性用の高濃度製品を使用すると、顔や腕などの体毛が濃くなる「多毛症」の副作用が非常に高い確率で現れる可能性があります。

また、男性と女性では薄毛の原因や頭皮の状態も異なる場合があり、女性の頭皮には刺激が強すぎて、かぶれや炎症などのトラブルを引き起こす可能性も高いです。

効果を実感できるまでの期間の目安

これはミノキシジル10%に限りませんが、ミノキシジル治療は効果を実感できるまでに時間がかかります。

ヘアサイクル(毛の生え変わり)に合わせて徐々に作用するため、国内で承認されている1%の製品でも、一般的に「最低6ヶ月」の継続使用が必要とされています。

10%だからといって1ヶ月で劇的に変わるわけではありません。むしろ、使用開始後1~2ヶ月は「初期脱毛」といって、古い髪が押し出されて一時的に抜け毛が増える現象が起こることがあります。

ここで「効果がない」「悪化した」と勘違いしてやめてしまう人もいますが、これは治療が始まっているサインである場合が多いです。

ただし、自己判断はせず、不安な点は医師に相談することが重要です。

使用を中止するとどうなる?

ミノキシジル治療は、薄毛を「完治」させるものではなく、使用している間だけ効果が持続する「対症療法」です。

使用を中止すれば、ミノキシジルの作用によって維持されていた髪の成長は止まり、数ヶ月かけて元の薄毛の状態に戻っていく(リバウンドする)と考えられています。

10%のような高濃度製品で無理に効果を出していた場合、中止した際のリバウンドも急激である可能性があります。治療を始める際は、経済的・時間的に継続が可能かどうかも含めて検討する必要があります。

妊娠中・授乳中の使用について

ミノキシジル外用薬は、妊娠中、授乳中、または妊娠の可能性がある女性は使用できません。これは国内承認の1%製品でも同様で、添付文書に「使用してはいけない」と明確に記載されています。

ミノキシジルが胎児や乳児にどのような影響を及ぼすか、安全性に関する十分なデータがありません。

わずかでも体内に吸収される可能性がある以上、リスクを避けるため使用は厳禁です。10%のような高濃度製品は、なおさら危険です。

妊活を始める段階で、使用している場合は中止する必要があります。

よくある質問

ミノキシジル10%はどこで購入できますか?

ミノキシジル10%配合の製品は、日本の薬局やドラッグストアでは市販されていません。

入手経路は、海外製品を個人輸入するか、自由診療を行っている一部の薄毛治療クリニックで処方してもらうかのいずれかになります。

ただし、個人輸入は偽造薬や健康被害のリスクが非常に高いため推奨されません。

ミノキシジル10%の効果はいつから出ますか?

効果の現れ方には個人差が非常に大きいため一概には言えません。

一般的にミノキシジル治療は、国内で承認されている1%や5%の製品でも、効果を実感するまでに最低4~6ヶ月の継続使用が必要とされます。

10%だからといってすぐに効果が出るわけではなく、根気強い継続が必要です。

ミノキシジル10%の使用をやめたらリバウンドしますか?

はい、リバウンドする可能性が非常に高いです。ミノキシジル治療は、使用している間だけ発毛・育毛効果を維持するものです。

使用を中止すると、ミノキシジルの作用で生えていた毛髪は数ヶ月かけて元の状態に戻っていくと考えられます。

高濃度であればあるほど、中止した際の変化を大きく感じるかもしれません。

副作用が出た場合はどうすればよいですか?

かゆみ、発疹、かぶれ、めまい、動悸、むくみ、多毛症(頭部以外の毛が濃くなる)など、異常を感じた場合は、直ちに使用を中止してください。

そして、できるだけ早く皮膚科や処方を受けたクリニックの医師に相談してください。

個人輸入などで自己判断で使用している場合は特に、すぐに医療機関を受診し、使用していた製品を持参して医師の診察を受けてください。

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