女性の薄毛治療、頭皮注射(PRP・メソセラピー)の効果と値段を比較

女性の薄毛治療、頭皮注射(PRP・メソセラピー)の効果と値段を比較

女性の薄毛はホルモンバランスの乱れやストレス、加齢など様々な要因が複雑に絡み合って引き起こるため、誰にでも起こりうる悩みです。

市販の育毛剤や飲み薬だけでは思うような変化を感じられない場合、次の一手として注目を集めているのが「頭皮注射」です。

頭皮注射には主に「メソセラピー」と「PRP(多血小板血漿)療法」の2種類があり、どちらも頭皮に直接有効成分を届けて発毛を促します。

しかし、「痛そう」「費用が高そう」「どちらを選べばいいかわからない」と躊躇してしまう方も少なくありません。

この記事では、これら2つの注入治療の違いを、効果、費用、痛み、リスクといった多角的な視点から徹底的に比較します。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

薄毛治療における頭皮注射(メソセラピー・PRP)の基礎知識

頭皮注射は、内服薬や外用薬だけでは届きにくい毛根の深部へ直接働きかける治療法であり、特にびまん性脱毛症やFAGAの改善において強力な選択肢となります。

頭皮注射とはどのような治療法なのか

頭皮注射とは、発毛効果が期待できる薬剤や成長因子を、注射器や特殊な医療機器を用いて頭皮の真皮層へ直接注入する治療法の総称です。

内服薬は体内を循環してから頭皮に到達するため、全身への作用や副作用の懸念がありますが、頭皮注射は局所的に高濃度の成分を届けられます。

その結果、休止期に入ってしまった毛母細胞を刺激し、再び成長期へと移行させるきっかけを作ります。

この治療法は、単独で行う場合もありますが、基本的には内服薬や外用薬と併用して相乗効果を狙うケースが多いです。

特に、びまん性脱毛症やFAGA(女性男性型脱毛症)において、従来の治療で停滞期に入ってしまった方や、より早く効果を実感したい方に適した方法と言えます。

メソセラピーとPRP療法、それぞれの特徴

「育毛メソセラピー」と呼ばれる治療は、一般的にクリニックが独自に配合した薬剤を使用します。

配合される成分は、ミノキシジルやフィナステリドといった医薬品成分のほか、ビタミンやミネラル、アミノ酸、そして合成された成長因子などが含まれます。

クリニックによってカクテル(混合薬)の内容が異なるため、自分の症状に合った成分が含まれているかを確認しましょう。

一方、「PRP(多血小板血漿)療法」は、患者自身の血液を使用する再生医療の一種です。採血した血液を遠心分離機にかけ、血小板を濃縮して取り出したものを頭皮に戻します。

血小板には組織を修復する成長因子が豊富に含まれており、それが頭皮の細胞を活性化させます。自分の血液を使うため、アレルギー反応のリスクが極めて低い点が大きな特徴です。

投薬治療(内服薬・外用薬)との違い

投薬治療と注入治療の決定的な違いは、「成分の到達経路」と「濃度」にあります。

内服薬は血液に乗って全身を巡るため、頭皮に届く有効成分の量は限定的になりがちです。また、肝臓での代謝を受ける必要もあります。

外用薬は頭皮から浸透させますが、皮膚のバリア機能があるため深部まで十分に成分を届けるのが難しい場合があります。

治療アプローチの比較

治療法アプローチの特徴主な目的
内服薬・外用薬全身循環または皮膚表面からの浸透抜け毛抑制・現状維持・緩やかな発毛
メソセラピー有効成分のカクテルを直接注入発毛促進・栄養補給・短期集中ケア
PRP療法自己血液由来の成長因子を注入組織修復・細胞活性化・根本改善

注入治療は、バリア機能を物理的に突破し、毛包が存在する深さまで確実に成分を届けます。こうして、血管拡張作用や細胞分裂の促進といった作用を、狙った場所で強力に発揮させられます。

投薬治療が「守り」や「維持」の側面を持つのに対し、注入治療はより「攻め」の治療であると言い換えることもできます。

どのような薄毛の症状に適応があるか

頭皮注射は、女性特有の「びまん性脱毛症」や「FAGA」に対して高い適応力を持ちます。

髪全体のボリュームが減ってきた、分け目が目立つようになった、髪一本一本が細く弱々しくなった、といった症状に対して毛根の活性化を促し、太く強い髪を育てる効果が期待できます。

また、円形脱毛症の一部に対しても、ステロイド注射とは異なる取り組みとして用いられるときがあります。

ただし、毛根が完全に死滅してしまっている場合(瘢痕性脱毛症など)は効果が見込めないため、医師による事前の頭皮診断を受けることが非常に重要です。

注入治療に含まれる有効成分と成長因子の働き

注入治療の効果を決定づけるのは、メソセラピーのカクテル成分やPRPに含まれる成長因子が持つ、細胞レベルでの修復・活性化作用です。

メソセラピーで使用される主な薬剤成分

メソセラピーの薬剤には、発毛シグナルを出す成分と、髪の成長を助ける栄養素が含まれています。代表的な成分として「ミノキシジル」が挙げられます。

ミノキシジルは血管を拡張し、毛乳頭細胞への血流を増やして、髪の成長に必要な酸素や栄養を届けやすくします。

さらに、亜鉛やビタミンB群、各種アミノ酸などの栄養成分も頻繁に配合します。これらはケラチンという髪のタンパク質を合成するために必要な材料です。

加えて、ヒアルロン酸やコエンザイムQ10など、頭皮の保湿や抗酸化作用を持つ成分を加えて、頭皮環境全体を整える工夫をしているクリニックも多く見られます。

PRP(多血小板血漿)に含まれる成長因子

PRP療法で鍵となるのは、血小板から放出される「成長因子(グロースファクター)」です。これは特定の細胞に対して増殖や分化を促すタンパク質の総称です。

私たちが怪我をしたときに傷が治るのは、血小板が集まり、これらの成長因子を出して組織を修復するからです。この治癒能力を薄毛治療に応用しています。

主な成長因子の種類と働き

成長因子働き
PDGF(血小板由来成長因子)細胞の増殖を促し、血管の修復や新生に関与
FGF(線維芽細胞成長因子)コラーゲンやヒアルロン酸を生み出す線維芽細胞を増やし、組織を修復
VEGF(血管内皮細胞成長因子)新しい血管を作り出し、毛根への血流を改善
IGF(インスリン様成長因子)毛母細胞の分裂を助け、髪の成長期を維持
TGF-β(トランスフォーミング成長因子)細胞の分化や炎症の抑制に関わり、頭皮環境を整える

これらの因子が複雑に連携し合い、老化した頭皮の細胞を刺激し、若い頃のような活発な細胞分裂を呼び起こそうとします。

頭皮環境改善と発毛促進の作用機序

注入された成分は、毛母細胞と毛乳頭細胞に働きかけます。毛乳頭細胞は「髪を作れ」という命令を出す司令塔であり、毛母細胞はその命令を受けて分裂し、髪そのものになる工場のような役割を果たします。

成長因子やミノキシジルは、この司令塔を活性化させ、休眠状態にある工場を再稼働させるスイッチを押します。

同時に、頭皮の血管新生を促す作用も重要です。薄毛の部位は血流が悪くなっているケースが多いため、新しい血管を作って血流ネットワークを再構築し、栄養の供給ルートを確保します。

そうすることで、生えてきた髪が細く抜けやすい状態から、太く長く育つ環境へと変化していきます。

成分による期待できる効果の違い

メソセラピーは、不足している栄養や発毛成分を外部から補う「足し算」の治療と言えます。

そのため、即効性を求める場合や、特定の成分(ミノキシジルなど)を確実に届けたい場合に適しています。成分が枯渇すれば効果が薄れるため、定期的な補充が必要です。

対してPRP療法は、自身の細胞を活性化させる「根本治療」に近い側面を持ちます。細胞自体が元気になるため、効果の発現はゆっくりですが、一度効果が出始めると持続しやすい傾向があります。

また、肌の若返り効果もあるため、頭皮のハリや弾力改善も期待できます。

痛みの程度と施術の流れ、ダウンタイムについて

頭皮注射の痛みは注入方法や麻酔の有無によって大きくコントロール可能であり、施術自体も短時間で終了するため、日常生活への影響を最小限に抑えられます。

注入方法の種類による痛みの差

注入方法には、手打ちで注射する「パピュール法」や「ナパージュ法」、専用の注入器(メソガンや水光注射など)を使用する方法、さらには針を使わない「ノーニードル法」などがあります。

手打ちは医師が深さや量を細かく調整できる反面、針を刺す回数分だけ痛みを感じやすくなります。

注入方法別の特徴と痛み

注入方法痛みレベル特徴
手打ち(シリンジ)中〜強漏れなく確実に注入可能。医師の技術に左右される。
注入機器(メソガン等)小〜中高速注入で痛みを軽減。深さが均一。
ノーニードル無〜微針を使わないため無痛。リラックスして受けられる。

専用の注入器を使用する場合は、極細の針で高速かつ均一に注入するため、手打ちに比べて痛みがマイルドになる傾向があります。

また、針を使わずに電気パルスで成分を導入するノーニードル法(エレクトロポレーションなど)は、痛みがほとんどなく、リラックスして受けられますが、針で直接注入する方法に比べると成分の浸透効率は劣る場合があります。

施術当日の流れと所要時間

来院後はまず洗顔や着替えを行う場合がありますが、頭皮注射のみであればそのまま施術室へ案内するのが一般的です。

PRP療法の場合は最初に採血を行い、血液からPRPを作成するための調整時間(約20〜40分程度)が必要です。その間、麻酔クリームを塗布して待機する場合もあります。

実際の注入時間は、範囲にもよりますが10分から20分程度です。医師や看護師が頭皮の状態を確認しながら、少しずつ薬剤を注入していきます。

施術後は頭皮を軽く拭き取り、整髪して終了となります。トータルの所要時間は、メソセラピーなら30分〜1時間、PRP療法なら1時間〜1時間半程度を見込んでおくと良いでしょう。

施術後の赤みや腫れなどのダウンタイム

ダウンタイムは比較的軽い治療ですが、個人差があります。施術直後は針を刺した部分に赤みや点状の出血が見られる場合がありますが、多くは数時間から翌日には治まります。

また、注入した液体の分だけ頭皮が一時的に膨らんだり、軽い鈍痛を感じたりする方もいます。

PRP療法で、血小板の作用による炎症反応(活性化のサイン)として、数日間軽い腫れや熱感を感じるケースがあります。

これらは正常な反応である場合が多いですが、長引く場合はクリニックへ相談しましょう。翌日からは通常通りシャンプーが可能になることがほとんどです。

痛みを軽減するための麻酔オプション

痛みに敏感な方のために、多くのクリニックでは複数の麻酔オプションを用意しています。一般的なのはクリーム麻酔やテープ麻酔で、皮膚表面の感覚を鈍らせます。

より強力な鎮痛を希望する場合は、神経ブロック注射(頭皮の感覚神経をブロックする注射)や、笑気麻酔(吸入する麻酔)を選択できるクリニックもあります。

一方、注入部位を氷で冷やしながら行う「クーリング」や、振動を与えて痛みを紛らわせる機器を併用して、麻酔なしでも我慢できる程度まで痛みを抑える工夫を行っているクリニックもあります。

カウンセリング時に痛みが不安であることを伝え、どのような対策が可能かを確認すると良いでしょう。

メソセラピーとPRP療法の効果発現までの期間と回数

発毛効果を実感するためには、ヘアサイクルに合わせて最低でも3ヶ月から半年程度の継続が必要であり、治療法によって推奨される頻度が異なります。

効果を実感できるまでの平均的な期間

一般的に、効果を実感し始めるまでには早くても3ヶ月、見た目の変化がはっきりしてくるまでには6ヶ月程度の期間が必要です。

これは、休止期にあった毛根が活動を開始し、新しい髪が頭皮の表面に現れて、ある程度の長さに育つまでに物理的な時間がかかるためです。

最初の1〜2ヶ月は、古い髪が新しい髪に押し出されて抜ける「初期脱毛」が起こる可能性がありますが、これは薬が効いている証拠でもあります。

この時期に諦めずに治療を続けると、その後の良好な結果につながります。即効性を期待しすぎず、半年から1年単位でじっくりと取り組む姿勢が大切です。

推奨される施術頻度とトータルの回数

メソセラピーの場合、有効成分をコンスタントに供給するため、治療開始当初は2週間〜4週間に1回の頻度での通院を推奨します。

1クールを6回〜12回と設定しているクリニックが多く、集中的に治療を行う期間として位置づけています。

一般的な治療スケジュール例

治療法初期(集中治療期)維持期(メンテナンス)
メソセラピー2〜4週間に1回(計6〜12回)1〜3ヶ月に1回
PRP療法1〜2ヶ月に1回(計3〜5回)3〜6ヶ月に1回

一方、PRP療法は効果の持続性が比較的高いため、頻度は少なめになる傾向があります。1ヶ月〜数ヶ月に1回のペースで、まずは3回〜5回程度の施術を行うのが一般的です。

ご自身の血液の状態や濃縮率によっても推奨回数は変わるため、医師と相談してスケジュールを組みます。

持続効果とメンテナンスの必要性

ある程度満足のいく状態まで改善した後も、完全に治療をやめると徐々に元の状態に戻ってしまう可能性があります。特にFAGAは進行性の症状であるため、維持療法(メンテナンス)が重要です。

改善後は通院間隔を空け、2〜3ヶ月に1回、あるいは半年に1回といったペースでメンテナンス注入を行うと、良い状態を長くキープできます。

メンテナンスの頻度は、内服薬や外用薬を継続しているかどうかによっても異なります。自宅でのケアをしっかり続けられていれば、クリニックでの注入頻度を減らすのも可能です。

生活スタイルや予算に合わせて、無理のない維持計画を立てることが長く続けるコツです。

効果が出にくいケースとは

残念ながら、全ての方に劇的な効果が現れるわけではありません。

毛根が完全に消失してしまっている部位や、重度の円形脱毛症、あるいは甲状腺疾患など全身性の病気が原因の薄毛には、注入治療だけでは効果が出にくい場合があります。

さらに、生活習慣が極端に乱れていたり、過度なダイエットで栄養不足に陥っていたりすると、せっかく注入した成分が生かされません。睡眠不足や喫煙も頭皮の血流を悪化させる要因です。

治療の効果を最大限に引き出すためには、土台となる身体の健康管理も同時に行う必要があります。

費用相場とクリニック選びのポイント

メソセラピーは1回数万円から、PRP療法は5万円以上が相場ですが、適正価格のクリニックを選ぶと費用対効果を高められます。

メソセラピーの1回あたりとコース料金の相場

メソセラピーの費用相場は、1回あたり1万5千円から5万円程度と幅広いです。これは使用する薬剤の種類や量、注入範囲によって異なるためです。

また、多くのクリニックでは6回や12回といったコース契約を用意しており、まとめて契約すると1回あたりの単価が割安になる設定にしています。

例えば、1回3万円の治療でも、6回コースなら総額15万円(1回あたり2万5千円)になるといった具合です。

初回限定のお試し価格を設定しているところもあるので、まずは安価に体験して痛みの程度などを確認してから、コース契約を検討するのも賢い方法です。

PRP療法の費用相場と価格差の理由

PRP療法はメソセラピーに比べて高額になる傾向があり、1回あたり5万円から15万円程度が相場です。

この価格差の理由は、PRPを作成するためのキット(採血管や分離剤)のコストや、血液を濃縮する技術料が含まれるためです。

治療法別の費用相場(1回あたり)

治療法費用相場価格変動の要因
メソセラピー1.5万円 〜 5万円薬剤の種類、注入量、注入方法(手打ち・機械)
PRP療法5万円 〜 15万円濃縮率、作成キットの種類、成長因子添加の有無

通常のPRPよりも高濃度に血小板を濃縮する「高濃度PRP」や、成長因子を追加添加する手法を用いる際は、費用がさらに上がる場合があります。

再生医療に関連する法的な認可を得ている施設であるかどうかも、信頼性とコストに関わる重要なポイントです。

追加費用(麻酔代・検査代など)の確認

提示されている治療費以外に、追加でかかる費用がないかを事前に確認しましょう。

よくある追加費用として、診察料(初診・再診料)、事前の血液検査代、施術時の麻酔クリーム代、アフターケアの薬代などが挙げられます。

特に麻酔代は、毎回数千円かかる場合、トータルで見ると大きな出費になります。

「総額でいくらかかるのか」を見積もり段階で明確にし、後から想定外の請求が来ないように注意しましょう。明朗会計を掲げているクリニックを選ぶと安心です。

安さだけで選ぶリスクと適正価格の重要性

極端に安いクリニックには注意が必要です。薬剤の濃度を薄めていたり、本来必要な成長因子が含まれていなかったり、あるいは施術者の技術が未熟であったりする可能性があります。

効果が出なければ、安くても結果的に無駄遣いになってしまいます。

適正価格には、安全な薬剤の管理、清潔な環境、熟練した医療従事者の技術料が含まれています。

ホームページの価格表だけでなく、実際にカウンセリングに足を運び、医師の説明の丁寧さやクリニックの雰囲気を確認した上で、価格と質のバランスに納得できる場所を選ぶのがおすすめです。

副作用と治療を受ける際のリスク・注意点

医療行為である以上、感染症や一時的な腫れなどのリスクはゼロではありませんが、事前の禁忌事項確認と適切なケアによってトラブルを未然に防げます。

施術部位の感染症やアレルギー反応のリスク

注射針を使用するため、稀に針穴から細菌が入り込み、毛嚢炎などの感染症を起こす可能性があります。

これを防ぐため、クリニックでは厳重な消毒を行いますが、帰宅後も当日は汚れた手で触らないなどの注意が必要です。

アレルギー反応については、メソセラピーで使用する薬剤に含まれる成分に対して起こる可能性があります。過去に薬や化粧品でアレルギーを起こした経験がある方は、必ず医師に申告してください。

PRP療法は自己血液を使うためアレルギーリスクは低いですが、採血時の内出血や神経損傷のリスクは通常の採血と同様に存在します。

施術を受けられない人の条件(禁忌事項)

健康状態によっては、治療を受けられない場合があります。例えば、頭皮に湿疹や感染症がある場合は、治癒するまで施術を延期します。

また、心疾患や腎疾患、がん治療中の方、免疫抑制剤を使用している方などは、身体への負担を考慮して慎重に判断します。

主な治療不可・要注意の条件

  • 妊娠中・授乳中の方:胎児や乳児への安全性を考慮し、原則として行いません。
  • 頭皮に炎症や感染症がある方:症状が悪化する恐れがあるため、完治を待ちます。
  • 悪性腫瘍の治療中の方:主治医の許可が必要、または治療終了まで待ちます。
  • 重度の心疾患・腎疾患・肝疾患がある方:身体への負担を考慮して判断します。
  • 抗凝固薬(血液サラサラの薬)を服用中の方:出血が止まりにくくなるため、注意が必要です。

特にPRP療法では血小板の機能に異常がある場合や、貧血が重度の場合、十分な効果が得られない可能性があるため、事前検査でスクリーニングを行います。

妊娠中や授乳中の女性に関しては、安全性が確立されていないため、多くのクリニックで治療を見合わせる方針をとっています。

施術前後の生活制限(洗髪・カラーリング等)

施術当日の洗髪は、お湯で洗い流す程度にするか、クリニックの指示に従って控える場合があります。

翌日からは通常通りシャンプーが可能ですが、爪を立てずに優しく洗うよう心がけます。整髪料の使用も翌日から可能な場合が多いです。

ヘアカラーやパーマについては、頭皮への刺激を避けるため、施術前後1週間程度は空けると良いでしょう。

一方、施術当日の激しい運動、サウナ、過度な飲酒は、血行が良くなりすぎて出血や腫れを助長する恐れがあるため控えるようにします。

他の薄毛治療との併用による相乗効果

内服薬や外用薬、サプリメントなどを組み合わせると、頭皮注射単独よりも効率的に発毛環境を整え、治療効果の最大化と持続を目指せます。

ミノキシジル内服薬・外用薬との併用

最もスタンダードな組み合わせが、ミノキシジルやフィナステリド(女性の場合はスピロノラクトンなど)の内服薬との併用です。

内服薬で体内から発毛環境を整えつつ、頭皮注射で局所的にブーストをかけるイメージです。内服薬で抜け毛を抑え、注射で新しい毛を生やすという役割分担により、改善スピードが加速します。

さらに、外用薬(塗り薬)を毎日のホームケアとして使用するのも大切です。クリニックでの治療は月に1回でも、毎日のケアが治療効果を下支えします。

外用薬の浸透を良くするために、施術直後は一時的に使用を控える場合もありますが、基本的には継続使用が推奨します。

パントガールなどサプリメントとの組み合わせ

医療用サプリメント(パントガールやルグゼバイブなど)は、髪の材料となる栄養素を補給するものです。

これらはホルモンに作用する薬ではないため副作用の心配が少なく、頭皮注射との相性も抜群です。

併用による期待効果まとめ

併用する治療期待できる相乗効果
内服薬(タブレット)全身からの作用で抜け毛抑制と発毛力の底上げ。
外用薬(リキッド)日々のケアで毛根へ刺激を与え続ける。
サプリメント髪の原料となる栄養を補給し、髪質を向上。
自毛植毛移植毛の定着率アップと傷跡の早期回復。

土壌(頭皮)を注射で耕し、種(毛根)を目覚めさせても、肥料(栄養)が足りなければ作物は育ちません。

サプリメントで良質なタンパク質やビタミンを補う取り組みは、太くツヤのある髪を育てるための基礎工事となります。

自毛植毛との併用について

自毛植毛は、自分の髪を薄い部分に移植する外科手術です。植毛手術の前後にPRP療法やメソセラピーを行うと、移植した毛の生着率(定着率)を高める効果が期待できます。

移植部位の傷の治りを早め、頭皮の血流を良くするため、大切なドナー株を無駄にせずより密度の高い仕上がりを目指せます。

加えて、植毛をしていない既存の髪の進行を抑えるためにも、注入治療や内服薬の併用は重要です。

植毛は「場所の移動」であり、薄毛の進行そのものを止めるわけではないため、既存毛を守るケアとして注入治療を取り入れる方が増えています。

Q&A

1回だけの施術でも効果はありますか?

1回だけの施術で目に見える発毛効果を実感するのは非常に難しいです。

頭皮注射は、繰り返し刺激を与えて徐々に細胞を活性化させる治療法です。最低でも3回、できれば6回程度の継続を推奨しています。

ただし、1回の施術でも頭皮の保湿感や、翌日の髪の立ち上がりの良さなど、微細な変化を感じる方はいます。

まずはトライアルで痛みや雰囲気を体験し、続けられそうか判断することをお勧めします。

治療をやめるとリバウンドしますか?

治療によって生えた髪は、治療を完全に中止すると、時間の経過とともに元の薄毛の状態に戻っていく可能性があります。

これは薄毛の原因(加齢やホルモンバランスなど)が完全になくなるわけではないからです。ただし、急激に全て抜けるわけではありません。

良い状態を維持するためには、頻度を落としてメンテナンス通院を続けるか、内服薬や外用薬でのホームケアを継続しましょう。

白髪にも効果はありますか?

頭皮注射は主に「発毛・育毛」を目的としており、白髪を黒くする直接的な効果は医学的に証明していません。

しかし、頭皮環境が改善され血流が良くなるため、メラノサイト(色素細胞)の働きが活性化し、結果として黒い髪が生えてきたという報告は稀にあります。

あくまで副次的な可能性として捉え、白髪改善を主目的とするのではなく、髪のボリュームアップを目的として受けるのが適切です。

妊娠中や授乳中でも受けられますか?

妊娠中および授乳中は、ホルモンバランスが大きく変化しており、身体がデリケートな時期です。

薬剤が胎児や母乳に与える影響が完全に否定できない場合や、施術の刺激がストレスになることを避けるため、多くのクリニックでは施術をお断りしています。

産後の抜け毛(分娩後脱毛症)は一時的なものであるケースが多いため、授乳期間が終わってホルモンバランスが落ち着いてから、必要に応じて治療を検討すると良いでしょう。

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