つむじハゲの見分け方|女性が自分で確認できる薄毛の判断基準と対処法

つむじハゲの見分け方|女性が自分で確認できる薄毛の判断基準と対処法

つむじはもともと地肌が見えやすい部分ですが、以前との違いを感じると心配になるものです。

この記事では、ご自身でできるつむじの薄毛の見分け方、女性特有の原因、そして今日から始められる対策を詳しく解説します。

一人で悩まず、まずはご自身の状態を正しく知ることから始めましょう。

目次

つむじハゲかも?女性が抱える頭頂部の不安

頭頂部は自分では直接見えにくい部分だからこそ、一度気になり始めると大きな悩みに発展しやすい場所です。

特に女性にとって髪は容姿の印象を大きく左右するため、つむじの変化は深刻な問題と感じる方が少なくありません。

つむじはもともと地肌が見えやすい場所

はじめに知っておきたいのは、つむじは髪の毛が渦を巻くように生えているため、構造的に地肌が見えやすいということです。

光の当たり方や髪型によって、普段より地肌が目立つときもあります。そのため、「地肌が見える=薄毛」とすぐに結論づける必要はありません。

大切なのは、以前の状態と比較して変化があるかどうかです。

「薄くなった」と感じる瞬間

多くの方が、ふとした瞬間に変化を感じ取ります。ご自身の経験と照らし合わせてみてください。

  • 合わせ鏡で頭頂部を見たとき
  • 美容室で頭頂部の状態を指摘されたとき
  • 写真に写った自分のつむじを見たとき
  • 髪のセットがうまく決まらなくなったとき

これらの経験は、頭皮からのサインかもしれません。客観的な状態を把握すると、次の行動につながります。

男性とは違う女性特有の薄毛の悩み

男性の薄毛は生え際の後退や頭頂部が局所的に薄くなるケースが多いのに対し、女性の薄毛は「びまん性脱毛症」といって、髪の毛一本一本が細くなり、全体のボリュームが失われる特徴があります。

つむじ周辺の地肌が透けて見えるのは、その初期症状である可能性も考えられます。

女性の薄毛のパターンと特徴

特徴主なパターン初期症状の現れ方
びまん性脱毛症全体のボリュームダウンつむじや分け目が目立つ
FAGA(女性男性型脱毛症)頭頂部中心に薄くなる髪のハリ・コシが低下する
牽引性脱毛症特定の分け目や生え際髪型を長時間固定する方に多い

自分でできる!つむじの薄毛セルフチェック方法

不安を抱えたまま過ごすよりも、まずはご自身のつむじの状態を客観的に確認してみましょう。

ご自宅で簡単にできるセルフチェック方法を紹介します。

鏡を使った合わせ鏡での確認

洗面台の鏡など正面の鏡と手鏡を用意します。後頭部が正面の鏡に映るように手鏡を調整し、つむじ周辺の状態を直接目で見て確認します。

地肌の見える範囲や色、髪の毛の密度などを注意深く観察してください。

スマートフォンでの撮影と比較

スマートフォンで自分のつむじを撮影する方法は、最も手軽で客観的な記録を残せます。明るい室内で、頭の真上からフラッシュをたかずに撮影するのがポイントです。

同じ条件で定期的に(例えば1ヶ月ごと)撮影し、画像を見比べると変化に気づきやすくなります。友人や家族に撮影を頼むのも良いでしょう。

正常なつむじと薄いつむじの比較基準

撮影した写真や鏡で見た状態を、以下の基準と照らし合わせてみましょう。

ただし、これらはあくまで目安であり、個人差がある点を理解しておきましょう。

つむじの状態を判断する目安

項目健康な状態注意が必要な状態
地肌の色青白い、または肌色赤い、茶色っぽい、炎症がある
毛流れはっきりとした渦巻き渦がぼんやりしている
地肌の範囲渦の中心が点に近い地肌が広範囲に見える、渦が広がっている

髪の毛のハリ・コシの変化を確認する

つむじ周辺の髪の毛を数本指でつまんでみてください。以前と比べて明らかに細くなった、弱々しくなったと感じる場合は、髪が十分に成長できていないサインかもしれません。

頭部全体の髪と比較してみるのも一つの方法です。

女性のつむじが薄くなる原因

女性の薄毛は単一の原因ではなく、複数の要因が複雑に絡み合って起こるケースがほとんどです。

ご自身の生活習慣を振り返り、当てはまるものがないか考えてみましょう。

加齢とホルモンバランスの乱れ

女性ホルモンの一つである「エストロゲン」は髪の成長を促進し、ハリやツヤを保つ働きがあります。

しかし、加齢や出産、更年期などによりエストロゲンが減少すると、相対的に男性ホルモンの影響が強まり、髪が細くなったり、抜け毛が増えたりする場合があります。

これがFAGA(女性男性型脱毛症)の主な原因です。

過度なダイエットや栄養不足

髪の毛は「ケラチン」というタンパク質から作られています。

極端な食事制限を伴うダイエットは、このケラチンを生成するために必要な栄養素(タンパク質、亜鉛、ビタミンなど)の不足を招きます。

栄養が不足すると体は生命維持に重要な臓器へ優先的に栄養を送るため、髪への栄養供給は後回しになりがちです。これにより健康な髪が育ちにくくなります。

髪の成長に必要な主な栄養素

栄養素主な働き多く含まれる食品
タンパク質髪の主成分となる肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛タンパク質の合成を助ける牡蠣、レバー、牛肉
ビタミンB群頭皮の代謝を促進する豚肉、うなぎ、マグロ

ストレスや睡眠不足の影響

過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させます。このため頭皮の血行が悪化し、毛母細胞に十分な酸素や栄養が届かなくなります。

また、睡眠中に分泌される成長ホルモンは、髪の成長や細胞の修復に欠かせません。睡眠不足が続くと、このサイクルが乱れ、薄毛につながる場合があります。

頭皮環境の悪化(ヘアケアなど)

洗浄力の強すぎるシャンプーや、すすぎ残しは頭皮の乾燥や毛穴の詰まりを引き起こし、健康な髪の育成を妨げます。

また、パーマやカラーリングの頻度が高い場合や、毎日同じ分け目で髪を強く結ぶ習慣がある場合も頭皮や毛根に負担をかけ、薄毛の原因となるときがあります。

つむじハゲと他の脱毛症の違い

「つむじが薄い」と感じていても、実は女性特有の薄毛(FAGAやびまん性脱毛症)ではなく、別の原因が隠れている場合があります。

ご自身の状態をより深く理解するために、他の脱毛症との違いを知っておくことは非常に重要です。自己判断で悩み続ける前に、他の可能性も考えてみましょう。

この視点を持つと、より適切な対処法を見つけるきっかけになります。

円形脱毛症との見分け方

円形脱毛症は自己免疫疾患の一種と考えられており、突然、円形や楕円形に髪が抜けるのが特徴です。つむじ周辺に発症すると、つむじハゲと見間違える場合があります。

しかし、円形脱毛症は境目が比較的はっきりしており、脱毛部分の地肌はツルツルしているケースが多いです。

一方、FAGAなどによる薄毛は徐々に髪が細くなり、地肌が透けて見えるようになります。

びまん性脱毛症の可能性

「びまん」とは「広範囲に広がる」という意味です。女性の薄毛で最も多いのがこのタイプで、頭部全体の髪が均等に薄くなります。

つむじや分け目が特に目立つため「つむじハゲ」と認識されやすいですが、実際には頭全体のボリュームダウンが進行しています。

抜け毛の量が増えた、髪のハリやコシがなくなったと感じる場合は、この可能性が高いと考えられます。

牽引性脱毛症との関連

ポニーテールやお団子などの毎日同じ髪型で強く髪を引っ張る習慣があると、毛根に継続的な負担がかかり、分け目や生え際の髪が抜けて薄くなりやすいです。

これをつむじ周辺で繰り返していると、つむじが広がったように見える原因になります。

もし特定の髪型を長期間続けている場合は、この牽引性脱毛症も疑う必要があります。

脱毛症の種類と特徴の比較

脱毛症の種類主な特徴つむじとの関連
FAGA・びまん性脱毛症徐々に髪が細くなり、全体的に薄くなるつむじや分け目が透けて見える場合が多い
円形脱毛症突然、円形に脱毛する。境界が明瞭つむじ周辺に発症すると見間違いやすい
牽引性脱毛症髪を引っ張るために起こる。分け目などつむじ周辺を結ぶ髪型で起こりうる

自己判断の難しさと専門医への相談の重要性

ここまで紹介したように、「つむじが薄い」という一つの悩みにも、様々な原因や背景が考えられます。

ご自身で判断するのは非常に難しく、誤ったケアはかえって症状を悪化させる可能性もあります。

少しでも不安や疑問を感じたら一人で抱え込まず、皮膚科や女性薄毛治療の専門クリニックに相談するのが解決への一番の近道です。

つむじの薄毛を放置するリスク

「まだ大丈夫だろう」と見て見ぬふりをしたり、自己流のケアを続けたりすると、いくつかのリスクを伴います。早期に対処する重要性を理解しておきましょう。

薄毛の進行と範囲の拡大

女性の薄毛の多くは、進行性です。何もしなければ、時間をかけてゆっくりと症状は悪化していきます。

最初はつむじだけだったのが頭頂部全体に広がり、地肌がさらに目立つようになる可能性があります。進行すればするほど、改善にも時間がかかります。

放置した場合の進行予測

期間状態の変化心理的影響
初期つむじの地肌が少し目立つ少し気になる程度
中期つむじが広がり、髪のボリューム減を実感髪型が気になり、人目が気になる
後期頭頂部全体の地肌が透けて見える外出をためらうなど、自信を喪失

心理的な負担と自信の喪失

髪は女性の自信や自己表現の一部です。薄毛が進行すると他人の視線が気になったり、好きな髪型ができなくなったりと、日常生活で多くの制約を感じるようになります。

このストレスが、さらに薄毛を悪化させるという悪循環に陥ることも少なくありません。

治療開始が遅れるデメリット

薄毛治療は毛根の働きが残っている早い段階で始めるほど、効果を実感しやすくなります。

進行が進み毛根の機能が完全に失われてしまうと、治療の選択肢が限られたり、満足のいく結果を得るのが難しくなったりします。手遅れになる前に行動することが大切です。

今すぐ始められるセルフケアと生活習慣の改善

専門的な治療を始める前に、あるいは治療と並行して、ご自身でできることもたくさんあります。日々の生活を見直し、健康な髪を育む土台を作りましょう。

バランスの取れた食事と摂取したい栄養素

髪の健康は体の内側からの栄養補給が基本です。特定の食品だけを食べるのではなく、タンパク質、ビタミン、ミネラルをバランス良く摂取するように心がけましょう。

髪の主成分となるタンパク質、その合成を助ける亜鉛、頭皮の血行を促進するビタミンEなどを意識して食事に取り入れると良いです。

正しいシャンプーと頭皮マッサージ

頭皮環境を健やかに保つためには、毎日のシャンプーが重要です。アミノ酸系など、ご自身の肌質に合った洗浄成分の優しいシャンプーを選びましょう。

シャンプー前にお湯でしっかり予洗いし、指の腹で優しくマッサージするように洗い、すすぎ残しがないように丁寧に洗い流します。

  • シャンプーは直接頭皮につけない
  • 指の腹を使ってマッサージするように洗う
  • すすぎは時間をかけて丁寧に行う

シャンプー後やリラックスタイムに、指の腹で頭皮全体を優しく動かすマッサージを取り入れると血行促進に役立ちます。

質の高い睡眠とストレス管理

髪の成長を促す成長ホルモンは、深い睡眠中に最も多く分泌されます。毎日6〜8時間程度の質の良い睡眠時間を確保するよう努めましょう。

また、ストレスは薄毛の大きな要因です。適度な運動や趣味の時間を作るなど、自分なりのストレス解消法を見つけ、心身ともにリラックスできる時間を持つ工夫が大切です。

生活習慣改善のポイント

項目改善のポイント期待できること
食事タンパク質、ビタミン、ミネラルをバランス良く健康な髪の材料を補給
睡眠6〜8時間の質の良い睡眠成長ホルモンの分泌促進
ストレス適度な運動や趣味でリフレッシュ自律神経の安定、血行促進

セルフケアで改善しない場合の選択肢

生活習慣を見直しても、つむじの状態に変化が見られない、あるいは悪化しているように感じる場合は、次の段階に進むことを検討しましょう。

市販の育毛剤や発毛剤の選び方

ドラッグストアなどでは、女性向けの育毛剤や発毛剤が販売されています。

育毛剤は、今ある髪を健康に育て、抜け毛を防ぐ(予防)目的の医薬部外品です。

一方、発毛剤は、新しい髪を生やす(発毛)効果が認められた第一類医薬品で、有効成分として「ミノキシジル」などが含まれます。

ご自身の目的に合わせて選びますが、肌に合わない場合もあるため注意が必要です。

サプリメントの活用と注意点

食事だけでは不足しがちな栄養素を補うために、サプリメントを利用するのも一つの方法です。

髪に良いとされる亜鉛やビオチン、鉄分などのサプリメントがありますが、過剰摂取は健康を害する可能性もあります。利用する場合は、適切な摂取量を守りましょう。

専門クリニックへの相談を検討するタイミング

セルフケアには限界があります。以下のようなサインが見られたら、専門のクリニックへの相談を推奨します。

  • 抜け毛が明らかに増えた(1日100本以上)
  • 地肌の透ける範囲が広がってきた
  • 髪の毛が細く、弱々しくなった
  • セルフケアを3〜6ヶ月続けても変化がない

専門医は頭皮の状態を正確に診断し、原因に合った最も効果的な治療法を提案してくれます。

セルフケアとクリニック治療の比較

項目セルフケア(市販品など)専門クリニック
目的頭皮環境改善、抜け毛予防発毛促進、薄毛の根本治療
診断自己判断医師による正確な診断
費用比較的安価治療内容により変動

女性薄毛治療専門クリニックで受けられる治療

専門クリニックでは、医学的根拠に基づいた様々な治療を受けられます。市販品とは異なる、より積極的な働きかけで薄毛の悩みに応えます。

専門医による正確な診断

まずはマイクロスコープでの頭皮チェックや問診、血液検査などを通じて、薄毛の原因を正確に特定します。

FAGAなのか、他の脱毛症なのか、あるいは複数の要因が絡んでいるのかの診断が適切な治療の第一歩です。

内服薬・外用薬による治療

診断結果に基づき、内服薬や外用薬を処方します。

女性の薄毛治療では、血行を促進し発毛を促す「ミノキシジル」の外用薬や、女性ホルモンのバランスを整え、抜け毛を抑制する「スピロノラクトン」などの内服薬が中心となります。

これらの医薬品は、医師の処方が必要です。

頭皮への直接アプローチ(注入治療など)

より積極的に発毛を促したい場合、頭皮に直接、髪の成長に必要な成分(成長因子など)を注入する治療法もあります。

この方法では、薬の成分を毛根に直接届けられるため、内服薬や外用薬と組み合わせるとより効果を実感しやすいです。

よくある質問

つむじハゲはある程度ご自身でも見分けられます。ただ、正確な診断には専門医による診察が必要です。

ご自身で確認してみて、つむじハゲが疑われる場合はクリニックを受診するのがおすすめです。

治療はどのくらいで効果が出ますか?

治療効果には個人差がありますが、治療開始から3ヶ月〜6ヶ月ほどで抜け毛の減少や髪質の変化などを実感し始める方が多いです。

ヘアサイクル(髪が生え変わる周期)を考慮すると、目に見える変化を感じるまでには、最低でも6ヶ月程度の継続治療が必要です。

治療に痛みはありますか?

頭皮への注入治療はちくっとした軽い痛みを感じる場合がありますが、痛みを最小限に抑えるための冷却や麻酔クリームなどの工夫を行います。

痛みが心配な方は事前にクリニックに相談すると良いでしょう。

費用はどのくらいかかりますか?

薄毛治療は自由診療のため、健康保険は適用されません。費用は治療内容によって異なります。

多くのクリニックでは、月々15,000円〜30,000円程度の内服薬・外用薬治療から始めるのが一般的です。

カウンセリングの際に、ご自身の症状と予算に合った治療プランを詳しく説明しますので、納得した上で治療を開始できます。

誰にも知られずに通院できますか?

多くの女性薄毛治療専門クリニックでは、患者さんのプライバシーに最大限配慮しています。

完全予約制で他の患者さんと顔を合わせないように工夫したり、個室でカウンセリングや治療を行ったりしています。安心してご相談ください。

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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