髪のボリュームがない女性に共通する原因と効果的な改善策

髪のボリューム不足にお悩みの女性は少なくありません。

分け目が目立ったり、スタイリングが決まらなかったりすると、気分も沈みがちです。

この記事では、髪のボリュームが失われる原因を多角的に解説し、今日から始められる具体的な改善策、そして専門的な治療法まで分かりやすくまとめます。

なぜ？女性の髪のボリュームが失われる要因

髪のボリュームが減る背景には、様々な要因が複雑に絡み合っています。

ご自身の状況と照らし合わせながら、原因を探ってみましょう。

加齢による髪質の自然な変化

年齢を重ねるとともに、髪の毛一本一本が細くなったり、ハリやコシが失われたりするのは自然な現象の一つです。

毛髪を作り出す毛母細胞の働きが徐々に低下し、髪の成長期が短くなる傾向があります。

これより、全体としてボリュームダウンを感じやすくなります。

ホルモンバランスの変動と影響

女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、髪の成長を促進し、ハリやツヤを保つ働きがあります。

しかし、妊娠・出産や更年期、ストレスなどによりホルモンバランスが乱れるとエストロゲンの分泌量が減少し、髪の成長サイクルに影響を与えて薄毛や抜け毛、ボリュームダウンを引き起こす場合があります。

ホルモンバランスと髪への影響

時期・状況	ホルモン変動	髪への影響
妊娠・出産期	エストロゲン急増後、急減	産後脱毛、一時的なボリューム減
更年期	エストロゲン減少	髪の細毛化、ハリ・コシ低下
強いストレス	バランスの乱れ	成長サイクルの乱れ、抜け毛増加

生活習慣の乱れが招く頭皮環境の悪化

不規則な食生活や睡眠不足、運動不足といった生活習慣の乱れは、頭皮の血行不良や栄養不足を招きます。

健康な髪は健康な頭皮から育つため、頭皮環境が悪化すると髪の成長が妨げられ、結果としてボリュームダウンにつながります。

特に、脂っこい食事やビタミン・ミネラルの不足は注意が必要です。

ストレスが髪に与える深刻なダメージ

現代社会においてストレスは避けがたいものですが、過度なストレスは自律神経のバランスを崩し、血管を収縮させて頭皮への血流を悪化させます。

血流が悪くなると髪の毛に必要な栄養素が届きにくくなり、髪の成長が阻害されたり、抜け毛が増えたりする原因となります。

また、ストレスはホルモンバランスの乱れにもつながり、複合的に髪へ影響します。

ボリュームダウンはいつから？初期サインを見逃さないで

髪のボリュームダウンは、ある日突然起こるわけではありません。

多くの場合は徐々に進行し、気づいた時には悩みが深刻になっているケースも見受けられます。

初期のサインに早めに気づき、対策を始めることが大切です。

分け目が以前より目立つようになった

以前は気にならなかった分け目がくっきりと見えるようになったり、地肌が透けて見える範囲が広がったりするのは、ボリュームダウンの分かりやすいサインの一つです。

特に頭頂部は自分では見えにくい部分なので、鏡で定期的にチェックする習慣をつけましょう。

髪をセットしてもすぐにペタンコになる

朝、時間をかけてスタイリングしてもすぐに髪がペタンとしてしまう、ふんわり感が持続しない、といった悩みもボリュームダウンの兆候かもしれません。

髪のハリやコシが失われている可能性があります。

スタイリング持続のためのポイント

• 根元を立ち上げるように乾かす
• 軽い仕上がりのスタイリング剤を選ぶ
• 定期的な頭皮ケア

抜け毛が増えたと感じる瞬間

シャンプー時の排水溝や、ブラッシング時のブラシ、朝起きた時の枕など、ふとした瞬間に抜け毛の量が増えたと感じることもあるのではないでしょうか。

1日に50本から100本程度の抜け毛は自然な範囲ですが、それを明らかに超える量が続く場合は注意が必要です。

髪のハリやコシが失われてきた

髪を触った時に以前のような弾力や強さが感じられず、細く弱々しくなったと感じる場合も、ボリュームダウンが進行しているサインです。

髪の毛一本一本が細くなる「軟毛化」が進んでいる可能性があります。

髪のハリ・コシ低下のサイン

サイン	具体的な状態	考えられる要因
手触りの変化	髪が細く、柔らかく感じる	栄養不足、血行不良
スタイリングの崩れ	髪が立ち上がりにくい	毛髪内部のタンパク質減少
見た目の変化	髪がペタッとしやすい	キューティクルのダメージ

食生活と髪のボリューム｜知っておきたい栄養素

健やかな髪を育むためには、バランスの取れた食事が基本です。

髪の主成分となる栄養素や、頭皮環境を整える栄養素を意識して摂取しましょう。

タンパク質｜髪の主成分をしっかりと

髪の約80%はケラチンというタンパク質でできています。

そのため、良質なタンパク質の摂取が、強くしなやかな髪を作るために非常に重要です。

肉類や魚介類、卵や大豆製品、乳製品などからバランス良く摂取するように心がけましょう。

ビタミン群｜頭皮環境を整える助け

ビタミン類は頭皮の新陳代謝を促したり、血行を促進したり、皮脂のバランスを整えたりと、健康な頭皮環境を維持するために多様な働きをします。

なかでもビタミンB群やビタミンC、ビタミンEなどが重要です。

髪に良いとされる主なビタミン

ビタミン種類	主な働き	多く含む食品例
ビタミンB2	細胞の再生、皮脂抑制	レバー、うなぎ、納豆
ビタミンB6	タンパク質の代謝促進	マグロ、カツオ、鶏肉
ビタミンC	コラーゲン生成、抗酸化作用	パプリカ、ブロッコリー、果物
ビタミンE	血行促進、抗酸化作用	ナッツ類、植物油、アボカド

ミネラル｜不足がちな栄養素を意識

ミネラルの中でも、特に亜鉛は髪の主成分であるケラチンの合成に必要です。

また、鉄分は全身に酸素を運ぶ役割があり、頭皮への酸素供給にも関わっています。

これらのミネラルが不足すると、髪の成長に影響が出るときがあります。

バランスの取れた食事の重要性

特定の栄養素だけを大量に摂取するのではなく、様々な食品からバランス良く栄養を摂る工夫が大切です。

主食、主菜、副菜を揃え、多様な食材を取り入れると髪に必要な栄養素を効率的に補給できます。

偏った食事は避け、健康的な食生活を維持しましょう。

日常でできる！ボリュームアップヘアケア術

毎日のヘアケアを見直すだけでも、髪のボリューム感の変化を実感できる場合があります。正しい方法を身につけ、丁寧にケアしましょう。

正しいシャンプー方法と選び方

シャンプーは髪や頭皮の汚れを落とすだけでなく、頭皮環境を整える上で重要です。まず、シャンプー前にブラッシングで髪のもつれを解き、お湯で十分に予洗いします。

シャンプー剤は手のひらで泡立ててから髪と頭皮につけ、指の腹で優しくマッサージするように洗いましょう。

すすぎ残しは頭皮トラブルの原因になるため、しっかりと洗い流します。

自分の髪質や頭皮の状態に合ったシャンプー剤を選ぶのも大切です。

シャンプー選びのポイント

ポイント	説明
アミノ酸系	マイルドな洗浄力で頭皮に優しい
ノンシリコン	ふんわりとした仕上がりを求める方に
スカルプケア用	頭皮環境を整える成分配合

ドライヤーのかけ方でふんわり仕上げ

濡れた髪はダメージを受けやすいため、シャンプー後は速やかにドライヤーで乾かします。

タオルドライで優しく水分を拭き取った後、ドライヤーを髪から15cm以上離し、根元から毛先に向かって乾かしましょう。

根元を持ち上げながら温風を当てると、ふんわりとしたボリュームが出やすくなります。

最後に冷風を当てるとキューティクルが引き締まり、スタイルが長持ちします。

頭皮マッサージで血行促進

頭皮マッサージは頭皮の血行を促進し、毛母細胞に栄養を届けやすくする効果が期待できます。指の腹を使って、頭皮全体を優しく揉みほぐしましょう。

シャンプー時や、リラックスタイムに取り入れるのがおすすめです。心地よいと感じる強さで行うのがポイントです。

簡単な頭皮マッサージの手順

手順	ポイント	期待できること
生え際から頭頂部へ	指の腹で円を描くように	前頭部の血行促進
側頭部を耳の上から	引き上げるように	側頭部のリフレッシュ
後頭部を襟足から	頭頂部に向かって	全体の血行促進、リラックス

スタイリング剤の上手な活用法

ボリュームアップ効果のあるスタイリング剤を上手に使うと、見た目の印象を変えられます。

スプレータイプやムースタイプなど様々な種類がありますが、髪質やなりたいスタイルに合わせて選びましょう。

つけすぎると髪が重くなり逆効果になるケースもあるため、少量ずつ様子を見ながら使うと良いです。

特に根元に軽くつけると、立ち上がりがつきやすくなります。

「私だけ？」髪の悩みに隠された心理的影響

髪のボリュームに関する悩みは単に外見上の問題だけでなく、女性の心理にも深く関わっています。

多くの方が人知れず悩みを抱えていることを理解し、前向きな一歩を踏み出すきっかけを見つけましょう。

外見の変化が自信に与える影響

髪は女性の印象を大きく左右する部分の一つです。

髪のボリュームが失われると、「老けて見えるのではないか」「魅力が減ったのではないか」といった不安を感じやすくなり、自己肯定感の低下につながる場合があります。

鏡を見るのが憂鬱になったり、以前のように積極的におしゃれを楽しめなくなったりする方もいます。

周囲の目が気になり始める瞬間

「分け目が薄くなったね」「髪のボリュームが減った？」など、周囲からの何気ない一言が気になり、過度に他人の視線を意識してしまう方もいます。

また、美容室で髪型を相談する際に自分の悩みをうまく伝えられなかったり、逆に指摘されるのを恐れたりするケースも見られます。

このような状態が、精神的な負担を増してしまいやすいです。

髪の悩みで気になりやすいこと

気になること	具体的な場面	感じやすい感情
他人の視線	電車の中、会話中	不安、羞恥心
写真写り	集合写真、SNS	不満、自己嫌悪
美容室での会話	スタイリストとの相談	緊張、遠慮

ひとりで抱え込みやすい髪の悩み

髪の悩みはデリケートな問題であるため、親しい友人や家族にも相談しにくいと感じる方が少なくありません。

特に女性の薄毛は男性の薄毛ほど社会的に認知されていない側面もあり、「自分だけが特別に悩んでいるのではないか」と孤独感を深めてしまう傾向があります。

しかし、実際には多くの方が同様の悩みを抱えています。

前向きな気持ちを取り戻すために

髪の悩みを抱え続けると、精神的な健康にも影響を及ぼします。

まずは、悩んでいるのは自分だけではないと認識することが大切です。

そして、信頼できる人に相談したり専門機関の情報を集めたりするなど、具体的な行動を起こすと、解決への道が開ける場合があります。

小さな変化でも、前向きな気持ちを取り戻すきっかけになります。

専門クリニックだからできること｜薄毛治療の選択肢

セルフケアだけでは改善が難しいときや、より積極的な対策を望む場合は、薄毛治療専門クリニックへの相談を検討しましょう。

専門医による診断のもと、一人ひとりの状態に合わせた治療法を選択できます。

専門医による正確な原因診断

専門クリニックでは、まず丁寧なカウンセリングと診察を行い、髪のボリュームが失われた原因を特定します。

視診や触診に加えてマイクロスコープを用いた頭皮状態の確認、血液検査による栄養状態やホルモンバランスのチェックなど多角的な検査を通じて、問題の根本に働きかけます。

この正確な診断が、効果的な治療の第一歩です。

内服薬や外用薬による治療法

診断結果に基づき、医学的根拠のある内服薬や外用薬を用いた治療を行います。

例えば、女性の薄毛治療に用いられるミノキシジル外用薬は、毛母細胞を活性化させて発毛を促進する効果が期待できます。

また、髪の成長に必要な栄養素を補給するサプリメントや、ホルモンバランスを整える治療薬を処方するケースもあります。

代表的な治療薬の概要

薬剤の種類	主な作用	期待される効果
ミノキシジル外用薬	毛母細胞活性化、血行促進	発毛促進、抜け毛抑制
スピロノラクトン内服薬	抗アンドロゲン作用	ホルモンバランス調整による抜け毛抑制
栄養補助サプリメント	髪の成長に必要な栄養補給	毛髪の質の改善サポート

頭皮への直接的なアプローチ（注入療法など）

より直接的に頭皮環境を改善して発毛を促す治療法として、注入療法などがあります。

これは、髪の成長に必要な成分（成長因子、ビタミン、ミノキシジルなど）を頭皮に直接注入する治療法です。

有効成分を毛根にダイレクトに届けて、毛母細胞の活性化や血行促進を図り、発毛効果を高めます。

クリニックでのケアとホームケアの連携

専門クリニックでの治療効果を最大限に引き出し、維持するためには、ご自宅での適切なホームケアも重要です。

クリニックでは、治療と並行して正しいシャンプー方法や、頭皮マッサージ、食生活のアドバイスなど日常生活で取り組めるケアについても指導します。

この連携により、より効果的な改善を目指します。

生活習慣改善で目指す！根本からの髪質ケア

髪の健康は、体全体の健康と密接に関連しています。日々の生活習慣を見直して改善すると、髪質の根本的なケアにつながります。

質の高い睡眠の確保

髪の成長には成長ホルモンが深く関わっており、この成長ホルモンは睡眠中に最も多く分泌されます。

質の高い睡眠を十分にとることは、健康な髪を育むために必要です。

寝る前のカフェイン摂取を避け、リラックスできる環境を整えるなど、睡眠の質を高める工夫をしましょう。

睡眠の質を高めるためのヒント

• 就寝・起床時間を一定にする
• 寝る前のスマートフォン操作を控える
• 自分に合った寝具を選ぶ

適度な運動で血行を促進

適度な運動は全身の血行を促進し、頭皮への栄養供給をスムーズにします。

ウォーキングやジョギング、ヨガなど、無理なく続けられる運動を日常生活に取り入れましょう。

血行が良くなると、頭皮環境の改善も期待できます。

禁煙と節度ある飲酒

喫煙は血管を収縮させ、頭皮の血行を悪化させる大きな要因の一つです。

また、過度な飲酒は髪の成長に必要な栄養素の吸収を妨げたり、睡眠の質を低下させたりする可能性があります。

髪の健康を考えるなら禁煙を心がけ、飲酒は適量を守ることが大切です。

生活習慣と髪への影響

習慣	髪への良い影響	髪への悪い影響（過度な場合）
睡眠	成長ホルモン分泌促進	成長ホルモン分泌低下、ストレス増加
運動	血行促進、ストレス軽減	活性酸素増加（過度な運動）
飲酒	リラックス効果（適量）	栄養吸収阻害、肝機能低下

リラックスできる時間を作る

ストレスは髪の大敵です。趣味の時間を楽しんだりゆっくりと入浴したりと、自分なりのリラックス方法を見つけて、心身の緊張を和らげる工夫が重要です。

心身がリラックスすると自律神経のバランスが整い、頭皮環境の改善にもつながります。

髪のボリュームに関するよくある質問

さいごに、髪のボリュームに関する悩みや治療について、患者さんから寄せられることの多い質問とその回答をまとめました。

髪のボリュームは遺伝しますか？

髪質や毛量には遺伝的な要素が関与する場合があります。しかし、遺伝だけが全てではなく、生活習慣やホルモンバランス、ストレスやヘアケアなど後天的な要因も大きく影響します。

遺伝的な傾向があると感じる方でも適切なケアや対策を行うと、状態を改善したり、進行を遅らせたりすることが可能です。

サプリメントだけで改善しますか？

髪の成長に必要な栄養素を補うサプリメントは、頭皮環境や髪質の改善をサポートする一つの手段です。

しかし、サプリメントだけで薄毛やボリュームダウンが劇的に改善するわけではありません。バランスの取れた食事や適切なヘアケア、生活習慣の見直しなど、総合的な取り組みが重要です。

必要に応じて専門医に相談し、適切な治療法と併用することを検討しましょう。

治療を始めたらすぐに効果が出ますか？

髪の毛には成長サイクル（毛周期）があるため、治療効果を実感するまでには通常、数ヶ月程度の期間が必要です。

治療法や個人の状態によって効果の現れ方には差がありますが、一般的には3ヶ月から6ヶ月程度で変化を感じ始める方が多いです。

焦らずに根気強く治療を続け、医師と相談しながら経過をみていきましょう。

クリニックでの相談はどのような内容ですか？

クリニックでの初回相談では、まず患者さんの悩みや髪の状態、生活習慣や既往歴などを詳しく伺います。その後、専門医が頭皮や毛髪の状態を診察し、必要に応じて検査を行います。

これらの情報をもとに髪のボリュームが失われている原因を診断し、考えられる治療法やそれぞれのメリット・デメリット、費用、期間などについて具体的に説明します。

治療内容や費用などについて納得したうえで、治療を開始する流れです。

参考文献

CAMACHO-MARTINEZ, Francisco M. Hair loss in women. In: Seminars in cutaneous medicine and surgery. No longer published by Elsevier, 2009. p. 19-32.

PHILLIPS, T. Grant; SLOMIANY, W. Paul; ALLISON, Robert. Hair loss: common causes and treatment. American family physician, 2017, 96.6: 371-378.

HERSKOVITZ, Ingrid; TOSTI, Antonella. Female pattern hair loss. International Journal of Endocrinology and Metabolism, 2013, 11.4: e9860.

RUSHTON, D. H., et al. Causes of hair loss and the developments in hair rejuvenation. International journal of cosmetic science, 2002, 24.1: 17-23.

SADICK, Neil; ARRUDA, Suleima. Understanding causes of hair loss in women. Dermatologic clinics, 2021, 39.3: 371-374.

PRICE, Vera H. Treatment of hair loss. New England Journal of Medicine, 1999, 341.13: 964-973.

DINH, Quan Q.; SINCLAIR, Rodney. Female pattern hair loss: current treatment concepts. Clinical interventions in aging, 2007, 2.2: 189-199.

COLEMAN, Emma. Types and treatment of hair loss in men and women. Plastic and Aesthetic Nursing, 2020, 40.4: 222-235.