分け目ハゲの初期症状と女性に効果的な治療法|早期発見のポイント

分け目ハゲの初期症状と女性に効果的な治療法|早期発見のポイント

「分け目がくっきりしてきた」「髪をセットしても、すぐにぺたんこになってしまう」と相談にいらっしゃる女性が増えています。このようなサインは、「分け目ハゲ」の始まりの可能性があります。

分け目の薄毛は少しずつ進行するため、気づいたときには症状が進んでいるケースも少なくありません。

しかし、女性の薄毛は適切な対策と治療で改善が期待できます。

目次

もしかして分け目ハゲ?女性が見逃しがちな初期症状

分け目の薄毛は、ある日突然現れるわけではありません。多くの場合、自分では気づきにくい小さな変化から始まります。

日々の生活の中で見過ごされがちな初期症状を確認しておくと、早期対策につながります。

分け目部分の地肌が目立つ

鏡を見たとき、以前よりも分け目部分の地肌が透けて見えると感じたら注意が必要です。

蛍光灯の下など明るい場所で見たときに分け目の幅が広がったように見えたり、地肌の色がはっきりと見えたりするのは、その部分の髪の毛が細くなっている、あるいは本数が減っているサインです。

分け目の初期変化

チェック項目健全な状態注意が必要な状態
分け目の幅細く一本の線に見える幅が広く、地肌が目立つ
分け目の髪根元からしっかり立ち上がる根元が寝てしまい、地肌に沿う
地肌の色青白い色白、黄、赤っぽい色

髪の毛のハリやコシがなくなる

髪全体のボリュームダウンも、薄毛の重要なサインの一つです。

分け目周辺の髪の毛に触れたときに以前のような弾力がなく、細く柔らかくなったと感じる場合、髪の成長サイクルが乱れている可能性があります。

髪一本一本が細くなると全体の密度が低下し、分け目が目立ちやすくなります。

スタイリングがうまく決まらない

「以前はふんわり仕上がったのに、最近はすぐにボリュームがなくなる」「ドライヤーでセットしても、分け目がぱっくり割れてしまう」といったスタイリングの悩みも、薄毛のサインであるケースが多いです。

髪のハリやコシが失われるため根元の立ち上がりが弱くなり、思い通りのヘアスタイルを維持するのが難しくなります。

抜け毛が増えたように感じる

シャンプー中やブラッシングの際に、抜け毛の量が以前より増えたと感じるときも注意が必要です。

髪にはヘアサイクルがあり、一日に50本から100本程度の抜け毛は自然な現象です。

しかし、明らかにそれ以上の量が抜け続けたり、抜けた毛が細く短いものが多かったりする場合は薄毛が進行している可能性があります。

なぜ女性の分け目は薄くなるのか?

女性の分け目が薄くなる背景には、さまざまな原因が複雑に絡み合っています。

ご自身の生活習慣や体調と照らし合わせながら、原因を探りましょう。

加齢によるホルモンバランスの変化

女性の髪の健康には、女性ホルモンである「エストロゲン」が深く関わっています。エストロゲンは髪の成長を促進し、ハリやコシを保つ働きをします。

しかし、30代後半から更年期にかけてエストロゲンの分泌量が減少すると、相対的に男性ホルモンの影響が強まり、髪が細くなったり抜けやすくなったりします。

このホルモンバランスの変化が女性の薄毛(FAGA)の主な原因の一つです。

女性ホルモンと髪の関係

ホルモン髪への主な働き減少した場合の影響
エストロゲン髪の成長を促進、ハリ・ツヤを保つ成長期の短縮、髪の細毛化
プロゲステロンヘアサイクルを維持するヘアサイクルの乱れ、抜け毛の増加

ストレスや生活習慣の乱れ

過度なストレスは自律神経のバランスを崩し、血管を収縮させます。これによって頭皮の血行が悪化し、髪の毛の成長に必要な栄養素が毛根まで届きにくくなります。

また、睡眠不足や偏った食生活、無理なダイエットなども髪の健康を損なう大きな要因です。健やかな髪を育むためには、心身ともに健康な生活を送ることが重要です。

頭皮環境の悪化

頭皮は髪が育つ土壌です。皮脂の過剰分泌や乾燥、フケやかゆみといった頭皮トラブルは、健康な髪の成長を妨げます。

洗浄力の強すぎるシャンプーや、すすぎ残しは頭皮の必要な皮脂まで奪い、乾燥を招く原因です。

逆に、シャンプー不足で皮脂や汚れが毛穴に詰まると炎症を引き起こし、血行不良につながる場合もあります。

誤ったヘアケア

毎日同じ分け目にしていると、その部分の頭皮が紫外線のダメージを集中して受けやすくなります。

紫外線は頭皮を乾燥させ、毛母細胞にダメージを与えるため、薄毛を進行させる一因です。

また、髪を強く引っ張るようなヘアスタイル(ポニーテールなど)を長時間続ける習慣も毛根に負担をかけ、「牽引性脱毛症」を引き起こす可能性があります。

早期発見が鍵!セルフチェックで薄毛の進行度を確認

クリニックを受診する前に、ご自身の状態を客観的に把握しておくことが大切です。

簡単なセルフチェックを習慣にして、髪と頭皮の変化に早めに気づきましょう。

分け目の幅を定期的に確認する方法

スマートフォンのカメラなどを使い、月に一度、同じ場所、同じ照明の下で頭頂部の写真を撮影することをおすすめします。

定点観測すると、分け目の幅や地肌の透け具合の変化を客観的に比較できます。指で分け目を作ったときの地肌の見え方を記録しておくのも良い方法です。

髪全体のボリューム感をチェック

髪を一つに束ねてみましょう。そのときの毛束の太さが以前よりも細くなったと感じる方は、髪の本数が減っているか、一本一本が細くなっている可能性があります。

また、髪を乾かした後のふんわり感が持続しなくなった、という感覚もボリュームダウンのサインです。

頭皮の状態セルフチェック

チェック項目健康な頭皮注意が必要な頭皮
頭皮の色青白い赤い、黄色い、茶色い
頭皮の硬さ指で動かすと弾力がある硬く、あまり動かない
フケやかゆみほとんどないフケやかゆみが気になる

頭皮の色と硬さを確認する

健康な頭皮は青白く、適度な弾力があります。指の腹で頭皮を軽く動かしてみてください。硬くて動かない場合は、血行が悪くなっている可能性があります。

また、頭皮が赤みを帯びている場合は炎症が、黄色っぽくなっている場合は皮脂の酸化や血行不良が考えられます。

分け目ハゲは治せる?女性に効果的な治療法の種類

セルフケアだけでは改善が難しい場合でも、専門クリニックでの治療によって分け目の薄毛は改善が期待できます。

女性の薄毛治療には、主に内服薬、外用薬、そして注入治療があります。

内服薬による治療

体の内側から薄毛の原因に働きかける治療法です。

代表的な成分には「スピロノラクトン」があり、女性ホルモンのバランスを整えて抜け毛を抑制し、ヘアサイクルを正常化する効果が期待できます。

また、髪の成長に必要な栄養素を補給するサプリメントを併用する場合もあります。

主な内服薬の成分と働き

成分名主な働き期待できる効果
スピロノラクトン男性ホルモンの影響を抑制抜け毛の抑制、FAGAの進行遅延
パントガールなど髪に必要な栄養素を補給毛髪構造の改善、発毛促進

外用薬による治療

頭皮に直接塗布して、発毛を促進する治療法です。日本で唯一、女性の壮年性脱毛症への発毛効果が認められている成分が「ミノキシジル」です。

ミノキシジルには血管を拡張して頭皮の血流を改善し、毛母細胞を活性化させる働きがあります。これにより、ヘアサイクルにおける成長期を延長させ、太く健康な髪の育成を促します。

専門クリニックでの注入治療

内服薬や外用薬と並行して行うと、より効果を実感しやすいのが注入治療です。

髪の成長に必要な因子(グロースファクター)を豊富に含む薬剤を、注射や特殊な機器を用いて頭皮に直接注入します。

この方法により有効成分を毛根にダイレクトに届け、休止期の毛根を刺激し、発毛を強力にサポートします。

自宅でできる分け目ハゲ対策と予防法

専門的な治療と並行して、日々のセルフケアの見直しと改善も、健やかな髪を取り戻すためには重要です。今日から始められる対策で、頭皮環境を整えましょう。

バランスの取れた食事を心がける

髪の毛は主に「ケラチン」というタンパク質でできています。そのため、良質なタンパク質(肉、魚、大豆製品など)をしっかり摂取するのが基本です。

また、タンパク質の合成を助ける亜鉛や、頭皮の血行を促進するビタミンE、頭皮環境を整えるビタミンB群なども積極的に摂りましょう。

健やかな髪を育む栄養素

栄養素主な働き多く含まれる食品
タンパク質髪の主成分となる肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛タンパク質の合成を助ける牡蠣、レバー、牛肉
ビタミン類頭皮環境を整え、血行を促進緑黄色野菜、ナッツ類、玄米

正しいシャンプーと頭皮マッサージ

シャンプーは、髪ではなく頭皮を洗うことを意識してください。指の腹を使って、頭皮を優しくマッサージするように洗い、すすぎ残しがないように丁寧に洗い流します。

シャンプー後は、頭皮用のローションなどで保湿するのも効果的です。また、血行促進のために、指の腹で頭皮全体を優しく揉みほぐす頭皮マッサージを習慣にしましょう。

  • シャンプー前によくブラッシングする
  • ぬるま湯で予洗いをする
  • シャンプーは手のひらで泡立ててからつける
  • ドライヤーは頭皮から20cm以上離す

紫外線対策の重要性

頭皮は顔の2倍以上の紫外線を浴びていると言われています。

分け目は特に紫外線の影響を受けやすいため、外出時には日傘や帽子を活用しましょう。髪や頭皮に使えるスプレータイプの日焼け止めも便利です。

紫外線によるダメージは、頭皮の乾燥や炎症を引き起こし、薄毛を悪化させる原因になります。

分け目を隠すだけでは解決しない!ヘアスタイルの注意点

ヘアスタイルを工夫して分け目を目立たなくすることは、一時的な対処法として有効です。

しかし、根本的な解決にはなりません。むしろ、誤ったスタイリングが薄毛を進行させるケースもあるため注意が必要です。

いつも同じ分け目にしない

毎日同じ場所で髪を分けていると、その部分の頭皮に負担が集中し、血行不良や紫外線ダメージの原因になります。

定期的に分け目の位置を変えるだけで、頭皮への負担を分散させられます。

ジグザグに分け目をとったり、オールバックにしたりと、日によって変化をつけるのがおすすめです。

牽引性脱毛症を招く髪型

髪を強く引っ張り続けるポニーテールやお団子ヘア、エクステンションなどは、毛根に常に負担をかけるため「牽引性脱毛症」の原因となります。

特に、分け目から薄毛が進行している方は、髪の根元に負担がかかるヘアスタイルはできるだけ避けましょう。

仕事で髪を結ぶ必要がある方もいますが、緩めに結ぶように心がけてください。

薄毛が目立ちにくい髪型のポイント

ポイント具体的な工夫
分け目をなくすオールバック、センターパート以外にする
トップにボリュームレイヤーを入れる、パーマをかける
シルエットを工夫ショートやボブで視線を上に集める

薄毛を目立たなくする髪型の工夫

分け目が目立たないようにするには、分け目をはっきりと作らない髪型がおすすめです。

例えば、トップにレイヤーを入れてふんわりさせたり、軽いパーマをかけてボリュームを出したりすると地肌が透けにくくなります。

また、思い切ってショートヘアやボブスタイルにすると、全体のシルエットがひし形になり、視線がトップに集まるため薄毛が目立ちにくくなります。

専門クリニックでの治療の流れと費用

「クリニックでの治療」と聞くと、少しハードルが高く感じるかもしれません。

しかし、専門医による的確な診断と治療計画こそが、分け目ハゲ改善への最も確実な道です。ここでは、一般的な治療の流れと費用の目安を紹介します。

初診カウンセリングの内容

まずは専門のカウンセラーや医師が髪の悩みや生活習慣、既往歴などを詳しくヒアリングします。

その後、マイクロスコープなどを用いて頭皮の状態を正確に診断し、薄毛の原因や進行度を判断します。この段階で、治療に関する疑問や不安をすべて相談できます。

治療計画の立て方

診断結果に基づいて、一人ひとりに合った治療法を提案します。

内服薬や外用薬、注入治療などをどのように組み合わせていくか、治療期間の目安や期待できる効果、そして費用について具体的に説明します。

患者さんが納得した上で治療を開始するため、無理に契約を勧めることはありません。

治療にかかる費用の目安

女性の薄毛治療は、基本的に健康保険が適用されない自由診療となります。費用は治療内容によって異なりますが、内服薬や外用薬であれば月に1万円~3万円程度が目安です。

注入治療などを組み合わせる場合は、それ以上の費用がかかるケースもあります。

多くのクリニックでは、月々の負担を抑えられるプランや、モニター制度を用意していますので、カウンセリング時に確認してみましょう。

治療費用の目安(月額)

治療内容費用の目安備考
内服薬治療10,000円~20,000円処方する薬の種類による
外用薬治療10,000円~15,000円ミノキシジルの濃度による
注入治療30,000円~治療内容や回数による

※上記はあくまで一般的な目安です。実際の費用はクリニックや治療内容によって異なります。

よくある質問

分け目ハゲは、生活習慣の改善や市販の育毛剤の使用、正しいヘアケアなどご自身でできる治し方もあります。

ただ、進行している場合やセルフケアで効果を実感できないときは、専門クリニックに相談する必要があります。

薄毛治療は早く行えばそれだけ改善する可能性が高く、時間と費用の節約にもつながりますので、気になる方は早めに医療機関に足を運んでみましょう。

治療はどのくらいの期間で効果が出ますか?

効果の現れ方には個人差がありますが、一般的には治療開始から3ヶ月から6ヶ月ほどで、抜け毛の減少や髪質の変化といった初期の効果を実感される方が多いです。

目に見える形で発毛やボリュームアップを実感するには、最低でも6ヶ月以上の継続的な治療が必要です。ヘアサイクルを正常に戻し、新しい髪を育てるには時間がかかります。

治療に痛みはありますか?

注入治療は、注射針を用いるためチクッとした軽い痛みを伴う場合がありますが、多くのクリニックでは痛みを最小限に抑えるための冷却措置や麻酔クリームなどの工夫をしています。

痛みが不安な方は、カウンセリング時に遠慮なくご相談ください。

保険は適用されますか?

加齢やホルモンバランスの変化による女性の薄毛(FAGA)の治療は、病気とは見なされないため、残念ながら健康保険は適用されず、すべて自由診療となります。

ただし、円形脱毛症など、一部の脱毛症では保険が適用されるケースもあります。

医療費控除については、治療目的と認められれば対象となる可能性があるため、お住まいの地域の税務署にご確認ください。

他の薄毛治療との併用は可能ですか?

ご自身で使用している育毛剤やサプリメントがある場合は、過剰摂取や成分の重複を避けるためにも、必ず医師に申告してください。

市販の育毛剤とクリニックの処方薬を併用すると、頭皮トラブルを起こす可能性もあります。

医師の判断のもと、現在のケアを継続するか、クリニックでの治療に切り替えるかを決めることが大切です。

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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