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【女性の薄毛治療】病院では何するの?主な治療方法と効果、クリニックの選び方

【女性の薄毛治療】病院では何するの?主な治療方法と効果、クリニックの選び方

鏡を見るたびに気になる髪のボリュームや分け目の広がり、抜け毛の増加など、女性にとって髪は大切なものだからこそ薄毛の悩みは深刻です。

でも、一人で悩まないでください。近年、女性の薄毛治療は進歩しており、専門クリニックで適切な治療を受ければ改善が期待できます。

この記事では、病院で行う女性の薄毛治療について、原因から主な治療法、効果やクリニック選びのポイントまで、詳しく解説します。

目次

女性の薄毛の原因は男性と違う?

女性の薄毛は、男性のAGA(男性型脱毛症)とは異なる原因で起こるケースが多いです。そのため、治療法も女性に適したものを選ぶ必要があります。

ホルモンバランスの変化

女性ホルモン(エストロゲン)には、髪の成長を促進してハリやコシを保つ働きがあります。

しかし、加齢や妊娠・出産、更年期などによりエストロゲンの分泌量が減少すると相対的に男性ホルモンの影響が強まり、髪が細くなったり、抜け毛が増えたりする場合があります。

特に、閉経後はエストロゲンの減少が顕著になるため、薄毛の悩みが増える傾向にあります。

生活習慣の乱れ

髪の健康は、日々の生活習慣と密接に関係しています。

睡眠不足や栄養バランスの偏った食事、過度なダイエットなどは、髪の成長に必要な栄養素の供給を滞らせ、頭皮環境を悪化させる原因となります。

なかでも髪の主成分であるタンパク質や、その合成を助ける亜鉛、ビタミンB群などの不足は薄毛のリスクを高めます。

主な髪の栄養素

栄養素主な働き多く含む食品
タンパク質髪の主成分肉、魚、大豆製品、卵
亜鉛タンパク質の合成を助ける牡蠣、レバー、牛肉
ビタミンB群頭皮環境を整える豚肉、レバー、うなぎ

ストレスの影響

過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させます。これにより頭皮への血流が悪くなり、毛根に十分な栄養が届きにくくなります。

また、ストレスはホルモンバランスにも影響を与え、抜け毛を誘発するときがあります。

仕事や家庭環境など、現代社会はストレスの原因が多く存在するため、意識的なストレス管理が大切です。

間違ったヘアケア

洗浄力の強すぎるシャンプーの使用、頻繁なカラーリングやパーマ、ドライヤーの熱によるダメージ、髪を強く引っ張るヘアスタイルなどは頭皮や髪に負担をかけ、薄毛の原因となりやすいです。

そのため、自分の髪質や頭皮の状態に合ったヘアケア製品を選び、優しいケアが重要です。

また、頭皮マッサージは血行促進に役立ちますが、強くこすりすぎると逆効果になる場合もあります。

病院での薄毛治療の流れ

薄毛の悩みを抱えてクリニックを受診した場合、どのような流れで診察や治療が進むのでしょうか。一般的な流れを知っておくと、安心して受診できます。

初診・カウンセリング

まずは専門の医師やカウンセラーが、現在の髪や頭皮の状態、悩みや生活習慣、既往歴などを詳しくヒアリングします。

ここで、治療に対する希望や不安などを遠慮なく相談しましょう。信頼関係を築きながら、治療への理解を深めていきます。

頭皮・毛髪の診察

医師がマイクロスコープなどを用いて頭皮の色や硬さ、毛穴の状態、髪の太さや密度などを詳細に確認します。

視診や触診を通じて、薄毛の進行度やタイプを判断します。この診察により、薄毛の原因を特定する手がかりを得ます。

診察時のチェック項目例

チェック項目確認内容
頭皮の色炎症や血行の状態
毛穴の状態詰まりや汚れの有無
髪の太さと密度薄毛の進行度

検査

診察の結果、必要に応じて血液検査などを行います。血液検査ではホルモンバランスや甲状腺機能、貧血の有無などを調べ、全身的な要因が薄毛に関与していないかを確認します。

これにより、より正確な原因特定と治療方針の決定に役立てます。

治療方針の決定

診察や検査の結果をもとに、医師が患者さん一人ひとりの状態や希望に合わせた治療計画を提案します。

治療方法の種類や期待できる効果、期間や費用、考えられる副作用などについて詳しい説明を受け、納得したうえで治療を開始します。疑問点があれば、遠慮せずに質問しましょう。

女性の薄毛治療の方法

女性の薄毛治療には、いくつかの方法があります。原因や症状の程度、生活スタイルに合わせて、適切な治療法を選択します。

内服薬治療

体の内側から薄毛の原因に働きかける治療法です。

代表的なものに、スピロノラクトンがあります。男性ホルモンの影響を抑制し、抜け毛を防ぐ効果が期待できます。

また、髪の成長に必要な栄養素を補うサプリメント(パントガールなど)を併用する場合もあります。いずれも医師の処方が必要です。

外用薬治療

頭皮に直接塗布するタイプの治療薬です。ミノキシジル配合のものが一般的で、毛母細胞を活性化させて発毛を促進する効果があります。

女性には男性用よりも低濃度のものが推奨されます。薬局で購入できるものもありますが、クリニックではより高濃度のものを処方できます。

主な治療薬の種類

治療法主な薬剤/方法特徴
内服薬スピロノラクトン、サプリメント等体内から作用、ホルモンバランス調整等
外用薬ミノキシジル等頭皮に塗布、発毛促進
注入療法メソセラピー、PRP療法等頭皮に直接有効成分を注入

注入療法

発毛・育毛効果のある有効成分を、注射器や特殊な機器を使って頭皮に直接注入する治療法です。

メソセラピー(髪の成長に必要なビタミンやミノキシジルなどを注入)やPRP療法(自身の血液から抽出した多血小板血漿を注入)などがあります。

内服薬や外用薬と併用すると、より効果を実感しやすい場合があります。

食事・栄養指導

薬物療法と並行して、食生活の見直しや栄養指導も重要です。髪の成長に必要なタンパク質やビタミン、ミネラルなどをバランス良く摂取すると治療効果を高められます。

クリニックによっては、管理栄養士によるアドバイスを受けられるところもあります。

各治療法の効果と期間

治療を始めるにあたり、どのくらいの期間でどのような効果が現れるのかは、多くの方が気になるところでしょう。

効果の現れ方には個人差がありますが、一般的な目安を知っておきましょう。

内服薬の効果と目安期間

内服薬はヘアサイクル(毛周期)に合わせて効果が現れるため、実感するまでには時間がかかります。

一般的には、服用開始から3ヶ月~6ヶ月程度で抜け毛の減少や髪質の変化を感じ始める方が多いです。

効果を持続させるためには、医師の指示に従って継続的に服用する必要があります。

外用薬の効果と目安期間

外用薬も内服薬と同様に、効果を実感するまでには一定の期間が必要です。

通常、使用開始から4ヶ月~6ヶ月程度で、産毛が生え始めたり、髪にコシが出たりといった変化が見られるようになります。毎日の継続した塗布が、効果を得るためには大切です。

治療法別の効果実感までの目安

治療法効果実感までの目安期間
内服薬3~6ヶ月程度
外用薬4~6ヶ月程度
注入療法3~6ヶ月程度(併用療法の場合)

注入療法の効果と目安期間

注入療法は他の治療法と組み合わせて行うケースが多く、単独での明確な期間を示すのは難しいですが、治療開始から3ヶ月~6ヶ月程度で効果を感じ始める方が多いようです。

治療間隔や回数は、選択する療法や個人の状態によって異なります。

効果を実感するまでの一般的な期間

どの治療法を選択するにしても、薄毛治療は根気強く続けることが重要です。髪にはヘアサイクルがあり、すぐに効果が現れるわけではありません。

多くの場合、最低でも3ヶ月~6ヶ月は治療を継続する必要があります。焦らず、医師と相談しながら治療を進めていきましょう。

治療の副作用や注意点

薄毛治療薬には効果がある一方で、副作用のリスクも伴います。治療を始める前に、考えられる副作用や注意点を十分に理解しておくと良いでしょう。

内服薬の注意点

スピロノラクトンなどの内服薬では、むくみや生理不順、不正出血や血圧低下などの副作用が起こる可能性があります。

また、妊娠中や授乳中の方は服用できません。持病がある方や他の薬を服用している方は、必ず事前に医師に相談してください。

外用薬の注意点

ミノキシジル外用薬では塗布部位のかゆみやかぶれ、発疹などの皮膚症状が現れるときがあります。また、まれに動悸やめまい、頭痛などが起こる可能性もあります。

使用中に異常を感じたときはすぐに使用を中止し、医師に相談しましょう。

主な治療薬の副作用

治療薬考えられる主な副作用
スピロノラクトン(内服)むくみ、生理不順、血圧低下など
ミノキシジル(外用)頭皮のかゆみ、かぶれ、発疹など
注入療法注入部位の痛み、赤み、腫れなど

注入療法の注意点

注入療法では注入部位に一時的な痛みや赤み、腫れ、内出血などが生じる可能性があります。通常は数日で治まりますが、症状が長引く場合や悪化するときは、医師に連絡してください。

また、感染のリスクもゼロではないため、衛生管理が徹底されたクリニックを選ぶようにしましょう。

治療中の生活上の注意

治療効果を高め、副作用のリスクを減らすためには、治療中の生活習慣にも気を配る必要があります。

バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動やストレス管理などを心がけましょう。また、喫煙や過度の飲酒は血行を悪化させ、髪の成長を妨げる可能性があるため、控えるほうが望ましいです。

  • バランスの取れた食事
  • 十分な睡眠時間の確保
  • 適度な運動習慣
  • ストレスの軽減

見た目だけじゃない!薄毛が心に与える影響

薄毛の悩みは、単に外見上の問題だけではありません。女性にとって髪は自己表現の一部であり、自信や精神的な安定にも深く関わっています。

薄毛が進行すると心にもさまざまな影響が及ぶことを理解し、ケアしていく視点も大切です。

自信の喪失と心理的負担

髪が薄くなることで、「老けて見えるのではないか」「魅力的でなくなったのではないか」といった不安を感じ、自信を失ってしまう方も少なくありません。

また、常に髪の状態を気にするようになり、精神的な負担が増大するケースもあります。

こうした心理的なストレスが、さらに薄毛を進行させてしまう悪循環に陥る可能性もあります。

周囲の目が気になる悩み

「他人に薄毛だと気づかれているのではないか」「じろじろ見られている気がする」など、周囲の視線が過剰に気になってしまうこともあるかと思います。

その結果、人と会うのが億劫になったり、外出を避けたりするようになる方もいます。髪型で隠そうと工夫するものの、根本的な解決にはならず、悩みが深まりやすいです。

薄毛による心理的影響

心理的影響具体的な悩み
自信の喪失自己肯定感の低下、容姿への不安
対人関係への影響他者の視線が気になる、外出の減少
精神的ストレス常に髪のことを考えてしまう、気分の落ち込み

治療を通じた心のケアの重要性

薄毛治療は、髪の状態を改善するだけでなく、こうした心理的な負担を軽減する効果も期待できます。治療によって髪に変化が現れると、それが自信につながり、前向きな気持ちを取り戻すきっかけになります。

クリニックによっては、治療と並行して心理的なサポートやカウンセリングを提供している場合もあります。

身体的な治療だけでなく、心のケアも視野に入れると、悩みの根本的な解決につながるでしょう。

ポジティブな気持ちで治療に臨むために

薄毛は適切な治療を行えば改善が見込める症状です。一人で抱え込まず、まずは専門医に相談しましょう。

「治療しても無駄かもしれない」と諦めずに、前向きな気持ちで治療に取り組むと、良い結果につながりやすいです。信頼できる医師を見つけ、二人三脚で治療を進めていきましょう。

女性の薄毛治療クリニックの選び方

薄毛治療を成功させるためには、信頼できるクリニックを選ぶことが非常に重要です。以下のポイントを参考に、自分に合ったクリニックを見つけましょう。

女性専門医の在籍

女性の薄毛は男性とは原因が異なるため、女性の薄毛治療に関する知識と経験が豊富な医師が在籍しているかを確認しましょう。

女性医師が在籍しているクリニックであれば、デリケートな悩みも相談しやすいと感じる方も多いでしょう。

豊富な治療実績

そのクリニックが、これまでにどれくらいの女性の薄毛治療を行ってきたか、実績の確認も大切です。

多くの症例を扱っているクリニックは、様々な症状に対応できるノウハウを持っている可能性が高いです。

ウェブサイトなどで症例写真や治療実績を確認してみましょう。

クリニック選びのチェックポイント

  • 女性の薄毛治療に詳しい医師がいるか
  • 治療実績は豊富か
  • プライバシーへの配慮があるか
  • 通いやすい場所・料金体系か

プライバシーへの配慮

薄毛の悩みは非常にデリケートな問題です。

他の患者さんと顔を合わせにくいように、個室の待合室や診察室を用意しているか、予約制で待ち時間が少ないかなど、プライバシーへの配慮がされているかを確認しましょう。

安心して通院できる環境であることが重要です。

通いやすさと費用

薄毛治療は継続が必要な場合が多いため、自宅や職場から通いやすい場所にあるかどうかも重要なポイントです。

また、治療にかかる費用も事前にしっかり確認しましょう。

カウンセリング時に、治療費の総額や支払い方法について明確な説明があるかを確認し、納得できる料金体系のクリニックを選びましょう。

費用に関する確認事項

確認項目内容
治療費総額初診料、検査料、薬剤費、施術費などを含む総額
支払い方法現金、クレジットカード、医療ローンなど
追加費用の有無治療経過による追加費用の可能性

よくある質問

女性の薄毛治療に関して、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

治療は痛いですか?

治療内容によって異なります。内服薬や外用薬の治療では、痛みはありません。

注入療法では、注射による軽い痛みを伴うことがありますが、多くのクリニックでは麻酔クリームを使用するなど、痛みを軽減する工夫をしています。

痛みに不安がある場合は、カウンセリング時に相談してください。

保険は適用されますか?

残念ながら、薄毛治療は美容目的とみなされることが多く、ほとんどの場合は公的医療保険は適用されません。治療費は全額自己負担となります。

ただし、薄毛の原因が他の疾患(甲状腺機能異常など)による場合は、その疾患の治療に対して保険が適用される可能性があります。

治療をやめたら元に戻りますか?

治療法や個人の状態によって異なりますが、治療を完全に中止すると薄毛が再び進行する可能性があります。特に内服薬や外用薬は、効果を持続させるために継続が必要です。

治療効果がある程度安定した後、医師と相談の上で薬の量を減らしたり、治療間隔を調整したりすることは可能です。

どれくらいの費用がかかりますか?

費用は選択する治療法や治療期間、クリニックによって大きく異なります。一般的に、内服薬や外用薬は月々数千円から数万円、注入療法は1回あたり数万円から十数万円程度が目安です。

初診料や検査料が別途かかる場合もあります。カウンセリング時に費用について詳細な説明を受け、十分に納得してから治療を開始しましょう。

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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