「最近はげてきたかも」「周りの子よりも分け目が目立つ気がする」といった悩みを抱える女子大学生が増えています。
まさか自分が…と一人で落ち込んでしまう方も多く、誰にも相談できないでいるケースも見受けられます。
ただ、若いからといって放置するのはよくありません。
この記事では、女子大学生特有の薄毛の原因を詳しく解説し、今日から始められる対策や専門的な治療法まで、分かりやすく紹介します。
もしかして若年性脱毛症?女子大生が薄毛に悩むサイン
以前と比べて髪の状態に変化を感じたら、それは体からのサインかもしれません。
まずは、どのような状態が注意を必要とするのか、具体的な兆候を確認しましょう。
抜け毛の量が急に増えた
健康な人でも1日に50本から100本程度の髪は自然に抜けます。
しかし、ブラッシングやシャンプーの際に、明らかに以前より多くの髪が抜けるようになったと感じる場合は注意が必要です。
枕につく髪の毛の数が目立って増えたときも、薄毛が進行している可能性があります。
髪の分け目が以前より目立つ
ふと鏡を見たときに、いつも同じ場所で分けている髪の分け目の地肌が、以前よりもくっきりと見えるようになったと感じるケースです。
これは、その部分の髪が細くなったり、本数が減少したりしている証拠かもしれません。
髪全体のボリュームが減るために、分け目が目立ちやすくなります。
若年性脱毛症のセルフチェック
チェック項目 | 具体的な状態 | 危険度 |
---|---|---|
抜け毛 | 1日の抜け毛が100本以上ある | 中 |
分け目・つむじ | 地肌が以前よりはっきり見える | 高 |
髪質 | 髪が細く、ハリやコシがなくなった | 高 |
髪全体のボリュームが減った気がする
特定の場所だけでなく、髪全体の量が減ったように感じるのもサインの一つです。
ヘアアレンジをしても形が決まりにくかったり、髪を結んだときの束が細くなったりした場合、髪一本一本が痩せてきているか、全体の毛量が減少している可能性を考えます。
頭皮が透けて見えるようになった
特に頭頂部や前髪の生え際など、光に当たったときに頭皮が透けて見えるようになったら、薄毛が進行しているサインと考えられます。
髪の密度が低下すると、地肌が見えやすくなります。友人や家族から指摘されて初めて気づく方もいます。
なぜ?若いうちに薄毛になる原因
若い女性の薄毛は一つの原因だけでなく、複数の要因が複雑に絡み合って発生するケースがほとんどです。
どのような原因が考えられるのか、思い当たる生活習慣や症状がないかどうかを確認すると、自分に合った対策を見つける手助けになります。
ホルモンバランスの乱れ
女性ホルモンの一つである「エストロゲン」は髪の成長を促し、その寿命を長く保つ働きをします。
しかし、ストレスや不規則な生活、過度なダイエットなどによってホルモンバランスが乱れるとエストロゲンの分泌が減少し、髪の成長期が短くなります。
これによって髪が十分に成長する前に抜け落ちてしまい、薄毛につながります。
過度なストレス
ストレスは、自律神経のバランスを崩す大きな要因です。自律神経が乱れると血管が収縮し、頭皮への血流が悪くなります。
頭皮の血行不良は、髪の成長に必要な栄養素が毛根まで届きにくくなる状況を生み出し、結果として抜け毛や薄毛を引き起こします。
ストレスが引き起こす身体の反応
- 頭皮の血行不良
- ホルモンバランスの乱れ
- 睡眠の質の低下
栄養バランスの偏り
髪は主に「ケラチン」というタンパク質でできています。
美しい髪を育てるには、その材料となる栄養素を食事から十分に摂取する工夫が重要です。
しかし、無理な食事制限や偏った食生活を送っていると髪に必要な栄養が不足し、細く弱い髪しか作れなくなってしまいます。
頭皮環境の悪化
シャンプーのすすぎ残しや、皮脂の過剰な分泌、乾燥などによって頭皮環境が悪化すると、毛穴が詰まったり炎症を起こしたりします。
このような不健康な頭皮では、健やかな髪は育ちません。
洗浄力の強すぎるシャンプーの使用や、間違ったヘアケアも頭皮にダメージを与え、薄毛の原因となる場合があります。
頭皮環境を悪化させる要因
要因 | 内容 | 対策 |
---|---|---|
皮脂の過剰分泌 | 毛穴の詰まりや炎症を引き起こす | 適切な洗浄、食生活の見直し |
乾燥 | フケやかゆみの原因となり、バリア機能を低下させる | 保湿成分配合のシャンプー使用、加湿 |
血行不良 | 髪に栄養が届きにくくなる | マッサージ、適度な運動 |
女子大生に特有の薄毛リスク
一般的な原因に加え、大学生という特有の環境が薄毛のリスクを高める場合があります。
他の世代とは違う、自分たちの生活に潜む原因を見つめ直してみましょう。
就職活動や学業のプレッシャー
将来を左右する就職活動や、卒業論文、定期試験など、大学生の日常は大きなプレッシャーに満ちています。
これらの精神的な負担は、知らず知らずのうちに深刻なストレスとなり、自律神経やホルモンバランスを乱す原因となります。
特に真面目で責任感の強い人ほど、ストレスを溜め込みやすい傾向があります。
無理なダイエットと食生活
「自分に自信を持ちたい」「好きな服を着こなしたい」「憧れのインフルエンサーみたいになりたい」という思いから、極端な食事制限を伴うダイエットに励む学生は少なくありません。
ダイエットを行った約半数の女子大生が、その方法として食事制限を選んだという調査結果もあります。
しかし、特定の食品だけを食べる、あるいはほとんど食べないといった方法は、髪の主成分であるタンパク質や、その合成を助けるビタミン・ミネラルの深刻な不足を招きます。
この栄養不足が、髪のやせ細りや抜け毛に直結します。
注意したい食生活
食生活のパターン | 不足しがちな栄養素 | 髪への影響 |
---|---|---|
単品ダイエット | タンパク質、ビタミン、ミネラル全般 | 髪が細くなる、抜け毛が増える |
菓子パンやカップ麺中心 | タンパク質、ビタミン | 頭皮環境の悪化、髪の栄養不足 |
朝食抜き | 1日の活動に必要なエネルギー | 代謝の低下、血行不良 |
ヘアカラーやパーマの頻度
大学生活は、高校時代よりも自由におしゃれを楽しめる時期です。
頻繁なヘアカラーやパーマ、毎日のヘアアイロンの使用は、髪そのものだけでなく頭皮にも大きな負担をかけます。
薬剤による化学的な刺激や、熱によるダメージが蓄積すると頭皮が炎症を起こしたり、髪が途中から切れてしまったりする原因となります。
不規則な生活と睡眠不足
サークル活動やアルバイト、友人との交流などで生活が夜型になり、十分な睡眠時間を確保できない学生も多いでしょう。
髪の成長に重要な成長ホルモンは、深い眠りの間に最も多く分泌されます。
睡眠不足が続くと、この成長ホルモンの分泌が妨げられ、髪の修復や成長が正常に行われなくなります。
今すぐ始められる!自宅でできる頭皮ケア
専門的な治療の前に、まずは日々のヘアケア習慣の見直しが改善への第一歩です。正しいケアを毎日続けると、頭皮環境を健やかに保てます。
自分に合ったシャンプーの選び方
シャンプーは毎日使うものだからこそ、自分の頭皮の状態に合ったものを選ぶことが重要です。
皮脂が多いと感じるならさっぱりとした洗い上がりのものを、乾燥やフケが気になるなら保湿成分が含まれたアミノ酸系の洗浄成分が主体のものを選ぶとよいでしょう。
頭皮タイプ別シャンプーの選び方
頭皮タイプ | 特徴 | おすすめの洗浄成分 |
---|---|---|
乾燥 | フケやかゆみが出やすい | アミノ酸系(ココイルグルタミン酸など) |
脂性 | ベタつきやニオイが気になる | 高級アルコール系(ラウレス硫酸Naなど) |
敏感 | 刺激を感じやすい | ベタイン系(コカミドプロピルベタインなど) |
肌と違い、頭皮タイプはふだん意識しないかと思いますが、この機会に一度チェックしてみましょう。傾向としては、肌タイプと似ている方が多いです。
正しいシャンプーと髪の乾かし方
シャンプー前にはブラッシングで髪の絡まりをほどき、ぬるま湯で予洗いをしっかり行いましょう。
シャンプーは手のひらで泡立ててから、指の腹を使って頭皮をマッサージするように優しく洗います。
すすぎ残しは頭皮トラブルの原因になるため、時間をかけて丁寧に洗い流してください。
洗髪後は、タオルで優しく水分を拭き取り、ドライヤーで根元からしっかりと乾かします。濡れたまま放置すると雑菌が繁殖しやすくなります。
頭皮マッサージで血行を促す
頭皮マッサージは硬くなった頭皮をほぐし、血行を促進するのに効果的です。
シャンプー中や、お風呂上がりのリラックスした時間に行うのがおすすめです。
指の腹を使い、気持ちよいと感じる強さで頭皮全体をゆっくりと動かすようにマッサージします。
この習慣が、髪に栄養を届ける手助けをします。
美髪は内側から作る!薄毛対策のための食事術
健やかな髪を育てるには、外側からのケアだけでなく、体の中から必要な栄養を補給する工夫が大切です。バランスの取れた食事を心がけましょう。
髪の主成分となるタンパク質
髪の約90%は「ケラチン」というタンパク質からできています。そのため、タンパク質が不足すると、健康な髪を作れません。
肉や魚、卵や大豆製品、乳製品などを毎日の食事にバランス良く取り入れることが重要です。
特に、動物性タンパク質と植物性タンパク質を両方摂取するように意識しましょう。
髪の成長をサポートする栄養素
栄養素 | 主な働き | 多く含む食品 |
---|---|---|
タンパク質 | 髪の主成分を作る | 肉、魚、卵、大豆製品 |
亜鉛 | タンパク質の合成を助ける | 牡蠣、レバー、牛肉、チーズ |
鉄分 | 頭皮への酸素供給を助ける | レバー、赤身肉、ほうれん草、ひじき |
頭皮の健康を支えるビタミン類
ビタミン類は頭皮の環境を整え、髪の成長をサポートする働きがあります。
特に、頭皮の新陳代謝を促すビタミンB群、血行を良くするビタミンE、コラーゲンの生成を助け頭皮を丈夫にするビタミンCは積極的に摂りたい栄養素です。
これらは緑黄色野菜や果物、ナッツ類に多く含まれます。
健やかな髪に重要なミネラル
ミネラルの中でも、特に「亜鉛」は髪の主成分であるケラチンの合成に欠かせない栄養素です。
亜鉛が不足するとうまく髪を作れなくなり、抜け毛の原因となります。
また、「鉄分」も重要で、不足すると頭皮に酸素が十分に行き渡らず、髪の成長に影響を与えます。
亜鉛は牡蠣や牛肉に、鉄分はレバーやほうれん草に豊富です。
健やかな髪を育む生活習慣の見直し
食事やヘアケアと同様に、日々の生活習慣も髪の健康に大きく影響します。少し意識を変えるだけで、体の中から健やかな状態を目指せます。
質の高い睡眠を確保する方法
髪の成長を促す成長ホルモンは、夜10時から深夜2時の間に最も活発に分泌されると言われています。
できるだけこの時間帯に眠りについているのが理想です。
寝る前にSNSをチェックする習慣のある方も多いですが、就寝前はスマートフォンやパソコンの使用を控え、リラックスできる環境を整えると睡眠の質を高められます。
睡眠の質を高めるための工夫
- 就寝1〜2時間前に入浴する
- 寝室の照明を暗くする
- カフェインの摂取を夕方以降は避ける
- 自分に合った寝具を選ぶ
適度な運動でストレスを発散する
ウォーキングやジョギング、ヨガなどの軽い運動は全身の血行を促進し、ストレス解消にもつながります。
血流が良くなると頭皮にもしっかりと栄養が届くようになります。
勉強やアルバイトで忙しい毎日でも、通学時に一駅分歩くなど、日常生活の中に運動を取り入れる工夫をしてみましょう。
喫煙と飲酒が髪に与える影響
喫煙は血管を収縮させ、頭皮の血行を著しく悪化させます。また、体内のビタミンを大量に消費するため、髪の成長にも悪影響を及ぼします。
過度な飲酒は、肝臓でアルコールを分解する際に、髪の生成に必要なアミノ酸やビタミンを消費してしまいます。
髪の健康を考えるのであれば、喫煙は控え、飲酒は適量を守ると良いです。
専門的な対策を考え始めたら|女性薄毛治療専門クリニックでできること
セルフケアを続けても改善が見られないときや、原因が自分で特定できない場合は、専門クリニックへの相談を考えましょう。
専門医による的確な診断と治療が、悩み解決への近道になります。
まずは専門医による正確な診断から
クリニックでは、まず問診や視診、マイクロスコープでの頭皮チェックや血液検査などを行い、薄毛の原因を多角的に探ります。
自己判断では気づけないような、隠れた疾患が見つかるケースもあります。正確な原因を知ることが、適切な治療の第一歩です。
内服薬や外用薬による治療
診断結果に基づき、医学的根拠のある治療薬を処方します。
代表的なものには、女性の薄毛治療薬として知られる内服薬や、頭皮の血行を促進して毛母細胞を活性化させる成分が含まれた外用薬(塗り薬)があります。
これらを継続的に使用しながら、抜け毛を減らして発毛を促します。
主な治療法の比較
治療法 | 特徴 | 期待できる効果 |
---|---|---|
内服薬治療 | 体の中から薄毛の原因にアプローチする | 抜け毛の抑制、ハリ・コシの改善 |
外用薬治療 | 頭皮に直接塗布し、発毛を促す | 発毛促進、毛髪の成長 |
注入治療 | 髪の成長因子などを頭皮に直接注入する | 細胞の活性化、発毛促進 |
頭皮に直接働きかける注入治療
より積極的に治療したい方向けに、髪の成長に必要な有効成分(成長因子など)を、注射や特殊な機器を使って頭皮に直接注入する治療法もあります。
毛根に直接栄養を届けて細胞の働きを活性化させ、発毛効果を高めることを目指します。
治療にかかる期間と費用の目安
薄毛治療は、効果を実感するまでにある程度の時間が必要です。
ヘアサイクル(髪の生え変わる周期)を考えると、最低でも6ヶ月程度は治療を継続するのが一般的です。
費用は治療内容によって異なりますが、カウンセリング時に詳しい説明がありますので、不安な点は遠慮なく質問しましょう。
治療期間と費用の目安
治療内容 | 期間の目安 | 費用の目安(月額) |
---|---|---|
内服薬・外用薬 | 6ヶ月〜 | 15,000円〜30,000円 |
注入治療(併用) | 6ヶ月〜 | 30,000円〜100,000円 |
※費用はあくまで一般的な目安であり、クリニックや個人の症状によって異なります。
よくある質問
大学生のまだ若い段階で「はげてきた」と感じ始めると、髪のことばかりが気になってしまいます。
薄毛を気にしていること自体がストレスとなり、さらに症状が悪化してしまうケースも見受けられます。
友人や家族など理解してくれる人に相談するのも一つの方法ですが、専門家に相談すると気持ちがラクになる場合もあります。
薄毛の対策は早ければ早いほど効果を効果を実感しやすいので、クリニックの受診も検討してみましょう。
- 親が薄毛だと遺伝しますか?
-
薄毛になりやすい体質が遺伝する可能性はありますが、遺伝がすべてではありません。
特に女性の薄毛は遺伝的要因よりも、生活習慣やホルモンバランス、ストレスなどの後天的な要因が大きく影響します。
遺伝を過度に心配するよりも、まずは改善できる生活習慣を見直すことが重要です。
- 育毛剤やサプリメントは効果がありますか?
-
市販の育毛剤やサプリメントには、頭皮環境を整えたり、髪に必要な栄養を補ったりする効果が期待できるものもあります。
しかし、これらはあくまでもヘアケアの一環や栄養補助が目的です。医学的に発毛効果が認められている「治療薬」とは異なります。
根本的な改善を目指すのであれば、専門医の診断のもと、適切な治療薬を使用することをおすすめします。
- 治療を始めたらすぐに効果は出ますか?
-
髪にはヘアサイクルがあるため、治療を開始してすぐに髪がフサフサになるわけではありません。
多くの場合、効果を実感し始めるまでに3ヶ月から6ヶ月程度の期間が必要です。
焦らずに、医師の指示に従って根気よく治療を続ける努力が、結果につながる鍵となります。
- 大学生でも通院しやすいですか?
-
多くのクリニックでは、患者さんのプライバシーに配慮した空間づくりをしています。
また、学業やアルバイトで忙しい大学生の生活スタイルを考慮し、通院スケジュールなども柔軟に対応してくれるクリニックもあります。
初回カウンセリングを無料で行っているクリニックも多いので、まずは相談だけでも気軽に足を運んでみましょう。
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