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秋冬の抜け毛対策|女性の髪を守るための季節別ケア方法

秋冬の抜け毛対策|女性の髪を守るための季節別ケア方法

「秋や冬は抜け毛が増える」と耳にしますが、いつまで続くのか、量がひどいと不安になりやすいです。

夏の間に受けた紫外線ダメージや、季節の変わり目による体調の変化は、想像以上に髪と頭皮に影響を与えます。

この記事では、なぜ秋冬に抜け毛が増えるのか、その原因から具体的な対策まで、女性の髪を専門に診てきたクリニックの視点で詳しく解説します。

正しいケアで、健やかな髪を育みましょう。

目次

なぜ秋と冬に抜け毛が増えるのか?季節の変わり目のサイン

季節の変わり目、特に秋から冬にかけて抜け毛が増えると感じる女性は少なくありません。

これは単なる気のせいではなく、いくつかの明確な理由が存在します。

髪と頭皮が発する季節のサインを正しく理解することが、効果的な対策の第一歩です。

髪のヘアサイクル(毛周期)と季節の関係

私たちの髪は、「成長期」「退行期」「休止期」というサイクルを繰り返しながら生え変わっています。

この毛周期は、季節によっても変動します。

動物の毛が生え変わる換毛期の名残ともいわれ、春に新しい毛が生える準備を始め、夏の紫外線の影響を最も受けた髪が秋になると休止期に入り抜け落ちやすくなるのです。

ヘアサイクルの各段階

段階期間の目安特徴
成長期2年~6年毛母細胞が活発に分裂し、髪が太く長く成長する時期。
退行期約2週間毛母細胞の分裂が止まり、髪の成長が停止する時期。
休止期約3ヶ月~4ヶ月髪の成長が完全に止まり、自然に抜け落ちるのを待つ時期。

夏に蓄積されたダメージの影響

夏は楽しいイベントが多い一方、髪と頭皮にとっては過酷な季節です。強い紫外線は、髪のキューティクルを傷つけ、タンパク質を破壊します。

また、頭皮が日焼けすると炎症を起こし、毛根がダメージを受けてしまいます。

汗や皮脂の過剰な分泌も毛穴を詰まらせ、頭皮環境を悪化させる原因となります。

これらの夏に受けたダメージが、数ヶ月後の秋に抜け毛として現れるのです。

夏のダメージ要因

ダメージ要因髪への影響頭皮への影響
紫外線キューティクルの損傷、パサつき、切れ毛日焼けによる炎症、乾燥、毛母細胞の機能低下
汗・皮脂ベタつき、ニオイの原因毛穴の詰まり、雑菌の繁殖、かゆみ
冷房髪の水分を奪い乾燥させる血行不良、乾燥

気温低下による頭皮の血行不良

秋から冬にかけて気温が下がると、体は熱を逃さないように血管を収縮させます。この体の働きにより、頭皮の毛細血管も収縮し、血行が悪くなりがちです。

髪の成長に必要な栄養や酸素は、血液によって毛根へ運ばれます。

そのため血行不良に陥ると毛根が栄養不足になり、髪が十分に成長できなかったり、抜け毛が増えたりする原因になるのです。

秋の抜け毛はいつからいつまで?気になる期間と本数の目安

「この抜け毛はいつまで続くの?」と不安に思う方も多いでしょう。季節性の抜け毛には、ある程度の期間と本数の目安があります。

自分の状態が正常な範囲内なのか、それとも注意が必要なサインなのかを知っておきましょう。

抜け毛が気になり始める時期

一般的に、秋の抜け毛は8月の終わり頃から始まり、9月から10月にかけてピークを迎えるケースが多いです。

夏のダメージが時間差で現れるため、涼しくなってから抜け毛が増えると感じるようになります。

ピークはいつ?どのくらい続くのか

抜け毛のピークは9月〜10月頃ですが、個人差があります。通常、この季節性の抜け毛は長くても11月頃には落ち着き始め、冬には通常の量に戻る方がほとんどです。

もし12月を過ぎても抜け毛の量が減らない場合は、他の原因も考えられます。

1日の抜け毛、何本までが正常範囲?

健康な人でも、1日に50本から100本程度の髪は自然に抜けています。

秋の季節には、これが200本から300本程度に増えるケースもありますが、一時的なものであれば心配しすぎる必要はありません。

ただし、排水溝に詰まる髪の量が明らかに増えたり、髪全体のボリュームが減ったと感じたりするなど、異常を感じたら注意が必要です。

抜け毛の本数の目安

時期1日の抜け毛の目安注意点
通常期50~100本ヘアサイクルによる自然な脱毛。
秋の抜け毛増加期最大200~300本一時的な増加であれば生理的な現象の範囲内。
注意が必要な状態300本以上が続く季節性以外の原因が隠れている可能性も。

【食事編】内側から髪を育む秋冬の栄養摂取術

健やかな髪は、日々の食事から作られます。特に季節の変わり目で体が揺らぎやすい秋冬は、髪の成長をサポートする栄養素を意識的に摂取することが重要です。

外側からのケアだけでなく、内側からの働きかけで強い髪を育てましょう。

髪の主成分「タンパク質」を意識した食事

髪の約90%は「ケラチン」というタンパク質で構成されています。

そのため、良質なタンパク質が不足すると髪が細くなったり、ハリやコシが失われたりする原因になります。

肉や魚、卵や大豆製品などをバランス良く食事に取り入れましょう。

血行を促すビタミンEの重要性

ビタミンEには、血管を拡張して血流を良くする働きがあります。

頭皮の血行が促進されると、毛根に栄養が届きやすくなります。また、強い抗酸化作用で細胞の老化を防ぐ効果も期待できます。

アーモンドなどのナッツ類、かぼちゃ、アボカドなどに豊富に含まれています。

亜鉛不足は抜け毛の引き金に

亜鉛は、タンパク質を髪の毛(ケラチン)に再合成する際に必要不可欠なミネラルです。

亜鉛が不足すると髪の成長が妨げられ、抜け毛につながるときがあります。

牡蠣やレバー、牛肉などに多く含まれていますが、食事だけで十分な量を摂取するのが難しい場合はサプリメントの活用も一つの方法です。

髪の健康を支える三大栄養素

栄養素主な働き多く含む食材
タンパク質髪の主成分であるケラチンを構成する。肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
ビタミンE血行を促進し、頭皮に栄養を届ける。ナッツ類、かぼちゃ、アボカド、植物油
亜鉛タンパク質の合成を助け、髪の成長を促す。牡蠣、レバー、牛肉(赤身)、チーズ

体を温める食材で頭皮環境を整える

体が冷えると頭皮の血行も悪くなります。

ショウガやネギ、根菜類など、体を内側から温める食材を積極的に取り入れると間接的に頭皮の血行をサポートできます。温かいスープや鍋物にするのも良いでしょう。

  • ショウガ
  • ニンニク
  • ネギ
  • カボチャ
  • ゴボウ

【ヘアケア編】乾燥と静電気から髪と頭皮を守る正しい方法

空気が乾燥する秋冬は、髪も頭皮も水分が奪われがちです。乾燥はかゆみやフケの原因になるだけでなく、髪のパサつきや静電気を引き起こします。

毎日のヘアケアを見直して、潤いをしっかり守りましょう。

潤いを保つシャンプーの選び方と洗い方

洗浄力が強すぎるシャンプーは頭皮に必要な皮脂まで奪ってしまい、乾燥を助長します。アミノ酸系など、マイルドな洗浄成分のシャンプーを選ぶのがおすすめです。

洗う際はお湯の温度を38度程度のぬるま湯に設定し、指の腹で頭皮を優しくマッサージするように洗いましょう。爪を立ててゴシゴシ洗うのは禁物です。

シャンプー選びのポイント

ポイント理由選び方の例
洗浄成分頭皮への刺激が少なく、必要な潤いを保つため。アミノ酸系、ベタイン系
保湿成分頭皮と髪の乾燥を防ぐため。セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン配合
添加物頭皮への負担を減らすため。シリコン、合成香料、着色料などが無添加のもの

頭皮の乾燥を防ぐ保湿ケア

顔のスキンケアと同様に、頭皮にも保湿が必要です。シャンプー後、タオルドライした頭皮に頭皮用のローションやエッセンスをつけて保湿しましょう。

この一手間が乾燥によるかゆみやフケを防ぎ、健やかな頭皮環境を維持します。

ドライヤーの正しい使い方でダメージを軽減

自然乾燥は髪が濡れている時間が長くなり、雑菌が繁殖しやすくなるため避けましょう。

ドライヤーを使う際は、まずタオルで髪の水分をしっかりと拭き取ります。その後、ドライヤーを髪から20cm以上離し、同じ場所に熱が集中しないように常に動かしながら乾かします。

8割ほど乾いたら冷風に切り替えて仕上げると、キューティクルが引き締まりツヤが出ます。

ブラッシングで血行促進と静電気防止

ブラッシングは髪の絡まりをほぐすだけでなく、頭皮に適度な刺激を与えて血行を促進する効果があります。

また、乾燥する季節に起こりやすい静電気は、プラスチック製のブラシではなく、豚毛や猪毛などの天然素材や木製のブラシを使うと軽減できます。

髪が乾いた状態で、毛先から優しくとかしていくのがポイントです。

【生活習慣編】健やかな髪を維持する日々の過ごし方

髪の健康はヘアケアや食事だけでなく、日々の生活習慣全体と深く結びついています。

特に睡眠やストレスは、ホルモンバランスや血流に直接影響を与えるため、見過ごせない重要な要素です。

質の高い睡眠で成長ホルモンを分泌させる

髪の成長を促す「成長ホルモン」は、主に睡眠中に分泌されます。眠り始めてから最初の3時間である「ノンレム睡眠」時に最も多く分泌されるといわれています。

睡眠時間が不足したり眠りが浅かったりすると、成長ホルモンの分泌が減少し、髪の成長に悪影響を及ぼします。

毎日決まった時間に就寝・起床し、寝る前はスマートフォンやパソコンの使用を控えるなど、質の高い睡眠を心がけましょう。

ストレスと上手に付き合うリラックス法

過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させて頭皮の血行不良を引き起こします。

また、ストレスホルモンである「コルチゾール」は、毛周期を乱す原因にもなります。

ストレスを完全になくすのは現実的ではありませんが、自分なりのリラックス法を見つけて、上手に発散させることが大切です。

これにより心身の緊張が和らぎ、髪にも良い影響を与えます。

  • ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる
  • 好きな香りのアロマを焚く
  • 軽いストレッチやヨガを行う
  • 趣味に没頭する時間を作る

適度な運動で全身の血流を改善

ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、全身の血行を促進するのに効果的です。

血流が良くなれば、当然頭皮にも栄養が行き渡りやすくなります。運動はストレス解消にもつながるため、一石二鳥の効果が期待できます。

無理のない範囲で、日常生活に運動を取り入れる習慣をつけましょう。

生活習慣改善のポイント

習慣目標髪への効果
睡眠6~8時間の質の高い睡眠成長ホルモンの分泌を促し、髪の成長をサポートする。
ストレス管理自分なりの解消法を見つける自律神経を整え、頭皮の血行不良を防ぐ。
運動週2~3回、30分程度の有酸素運動全身の血流を改善し、毛根に栄養を届けやすくする。

「秋のセンチメンタル」と抜け毛の深い関係

「秋になると、なんだか気分が落ち込みやすい」「理由もなく物悲しい気持ちになる」といった方も多いのではないでしょうか。

女性の心の変化は髪の健康にも影響します。

季節特有の気分の落ち込み、いわゆる「秋のセンチメンタル」が、実は抜け毛を悪化させる一因になっているかもしれません。

日照時間と幸福ホルモン「セロトニン」

夏に比べて秋は日照時間が短くなります。太陽の光を浴びる時間が減ると、精神の安定に関わる脳内物質「セロトニン」の分泌が減少しやすくなります。

セロトニンは「幸福ホルモン」とも呼ばれ、不足すると気分の落ち込みや意欲の低下、不安感などを引き起こします。

この精神的なストレスが、自律神経の乱れを通じて頭皮の血行に悪影響を与えるのです。

季節の変わり目に感じる心身のストレス

急な気温の変化や環境の移り変わりは、体が順応しようとするために、知らず知らずのうちにストレスとなります。

特に女性の体はホルモンバランスの影響を受けやすく、些細な変化にも敏感に反応します。

「なんとなく体がだるい」「疲れがとれない」といった身体的な不調が精神的なストレスにつながり、髪の健康を脅かすことがあります。

心と体のストレスサイン

サインの種類具体的な症状の例
心のサイン気分の落ち込み、不安感、イライラ、集中力の低下
体のサイン寝つきが悪い、疲れやすい、肩こり、頭痛、食欲不振

心のケアが髪の健康につながる理由

髪は体の健康状態を映し出す鏡であると同時に、心の状態も反映します。もし秋に抜け毛が増えるだけでなく、気分の落ち込みも感じているのであれば、それは体と心が発している重要なサインです。

無理に元気を出そうとせず、まずは自分自身の心の声に耳を傾けてあげることが大切です。

意識的にリラックスする時間を作ったり、太陽の光を浴びながら散歩したりするなど、心をいたわるケアが、結果的に健やかな髪を取り戻すための近道になるのです。

セルフケアで改善しない場合、専門クリニックに相談するタイミング

セルフケアは、季節性の抜け毛対策として非常に有効です。

しかし、いろいろ試しても抜け毛が減らない、あるいは悪化しているように感じるときは、専門家の助けを借りることを検討しましょう。

抜け毛以外の頭皮トラブルがある時

抜け毛に加えて、「強いかゆみ」「フケが異常に多い」「頭皮の赤みや湿疹」などの症状がある場合は、脂漏性皮膚炎や接触性皮膚炎など、別の皮膚疾患が隠れている可能性があります。

自己判断でケアを続けると症状を悪化させる場合もあるため、早めに皮膚科や専門クリニックを受診してください。

抜け毛が3ヶ月以上続く場合

秋の一時的な抜け毛は、通常2〜3ヶ月で落ち着きます。

もし冬になっても抜け毛の量が変わらない、あるいは春先までずっと抜け毛が多い状態が続く場合は、季節性のものだけでなく、女性男性型脱毛症(FAGA)や他の全身性疾患などが原因となっている可能性も考えられます。

FAGAや全身性疾患は、専門医による正確な診断が必要です。

クリニックの女性薄毛治療について

クリニックでは患者さん一人ひとりの髪や頭皮の状態、生活習慣や悩みを丁寧にカウンセリングし、原因を特定した上で、その方に合った治療法を提案します。

内服薬や外用薬の処方から、頭皮への直接的な働きかけまで、医学的根拠に基づいた多様な選択肢があります。

もしご自身の抜け毛に不安を感じたら、まずは一度、気軽に相談してみましょう。

よくある質問

季節性の抜け毛は長くても3ヶ月程度で落ち着くケースがほとんどです。

しかし、なかなか抜け毛が落ち着かない、大量に髪の毛が抜けている、といったときは専門クリニックへの相談を検討しましょう。

無料カウンセリングを行うクリニックも多いので、上手に活用すると良いでしょう。

秋の抜け毛は放っておいても治りますか?

一時的な季節性の抜け毛であれば、冬になるにつれて自然に落ち着く方がほとんどです。

しかし、抜け毛の量が異常に多かったり、3ヶ月以上続いたりする場合は、他の原因が考えられます。生活習慣を見直しても改善しない場合は、一度専門医に相談することをおすすめします。

市販の育毛剤を使っても良いですか?

保湿や血行促進を目的とした市販の育毛剤(育毛料)を使用するのは、頭皮環境を整える上で一つの方法です。

ただし、抜け毛の原因は様々であり、必ずしも効果があるとは限りません。特に、医薬品成分が含まれていない製品は、あくまで予防や現状維持が目的です。

本格的な改善を望む場合は、医師が処方する医薬品の使用を検討する必要があります。

髪を短くすると抜け毛は減りますか?

髪を短くしても、毛根から抜ける髪の本数が減るわけではありません。

しかし、髪が短いと一本一本の重さが軽くなるため、洗髪時やブラッシング時の物理的な負担が減り、切れ毛が少なくなる可能性はあります。

また、長い髪が抜けるよりも短い髪が抜けるほうが、心理的に抜け毛が減ったように感じやすいという側面もあります。

参考文献

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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