コーヒーが女性の薄毛に与える影響と適切な飲み方

コーヒーが女性の薄毛に与える影響と適切な飲み方

毎日の生活に欠かせないコーヒーですが、「コーヒーを飲むとはげる」といううわさを耳にして、不安に感じる方もいるようです。

この記事では、コーヒーが女性の髪や頭皮に与える影響を医学的な観点から解説します。

コーヒーの成分による良い影響と悪い影響の両方を正しく理解し、髪の健康を考えた適切な飲み方を知ることが大切です。

目次

コーヒーと薄毛のうわさ|本当の関係性とは

「コーヒーの飲み過ぎは、はげる原因になる」という話を一度は聞いたことがあるかもしれません。このうわさの真偽について、多くの方が気にしているようです。

結論から言うと、コーヒーを飲むこと自体が直接的な薄毛の原因になるわけではありません。問題となるのは、その「飲み方」や「量」です。

物事には必ず良い面と悪い面があるように、コーヒーも髪と頭皮に対して両方の影響を与え得ます。その関係性を正しく理解することが、薄毛の不安を解消する第一歩です。

なぜ「コーヒーははげる」と言われるのか

このうわさの背景には、コーヒーに含まれる主成分「カフェイン」の作用が関係しています。

カフェインには血管を収縮させる働きがあるため、「頭皮の血流が悪くなり、髪に栄養が届かなくなるのではないか」という懸念が生まれました。

確かに、髪の毛の成長には毛母細胞へ栄養を運ぶ血流が重要です。

しかし、健康な人が常識的な範囲でコーヒーを飲む分には、この血管収縮作用が薄毛を引き起こすほどの影響を与えるとは考えにくいのが現状です。

カフェインの作用に対する誤解

カフェインの作用は、血管収縮だけではありません。適量であれば、中枢神経を刺激して集中力を高めたり、疲労感を軽減したりする良い働きもあります。

また、限定的ではありますが血行を促進する側面も報告されています。

問題は、過剰に摂取した場合に起こるさまざまな身体的反応です。睡眠障害やミネラルの吸収阻害など、間接的に髪の健康を損なう可能性のある要因が出てきます。

つまり、カフェインそのものが悪なのではなく、過剰摂取が問題なのです。

カフェインの二面性

摂取量主な作用髪への影響(間接的)
適量覚醒作用、血行促進ポジティブな影響の可能性
過剰量血管収縮、睡眠障害ネガティブな影響の可能性

科学的根拠の有無と専門家の見解

現時点で、「通常のコーヒー飲用が薄毛を直接引き起こす」ということを明確に示す質の高い科学的研究はほとんどありません。

多くの専門家は、バランスの取れた食事や十分な睡眠、ストレス管理といった生活習慣全般が髪の健康に大きく影響すると指摘しています。

コーヒーはあくまでその中の一要素であり、過度に恐れる必要はありません。むしろ、コーヒーに含まれるポリフェノールなどの成分には、体を酸化から守る良い働きも期待できます。

コーヒーの過剰摂取が頭皮環境に与える悪影響

コーヒーを適量楽しむ分には問題ありませんが、1日に何杯も飲む習慣がある方は注意が必要です。過剰なカフェイン摂取は、自覚がないうちに頭皮や髪の毛の健康を脅かす可能性があります。

ここでは、具体的にどのような悪影響が考えられるのかを解説します。ご自身の飲用習慣と照らし合わせて確認してみましょう。

睡眠の質低下と成長ホルモンの関係

髪の毛は、私たちが眠っている間に分泌される「成長ホルモン」によって細胞分裂が活発になり、成長します。特に、夜10時から深夜2時の間は成長ホルモンの分泌が最も盛んになる時間帯です。

カフェインには覚醒作用があるため、午後や夕方以降にコーヒーを飲むと寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりする場合があります。

睡眠の質が低下すると成長ホルモンの分泌が妨げられ、健康な髪の育成に影響を及ぼす可能性があります。

鉄分・亜鉛などミネラルの吸収阻害

髪の主成分であるケラチン(タンパク質)を合成する際には、亜鉛が重要な役割を果たします。また、頭皮に酸素と栄養を運ぶヘモグロビンの材料となるのが鉄分です。

これらのミネラルは、美しい髪を保つために欠かせません。しかし、コーヒーに含まれる「タンニン」という成分は、鉄分や亜鉛と結びつき、体内への吸収を妨げる性質があります。

食事中や食後すぐにコーヒーを飲む習慣があると、せっかく摂った栄養素を効率良く吸収できなくなる恐れがあります。

コーヒー飲用タイミングとミネラル吸収

タイミングミネラル吸収への影響推奨度
食事と同時吸収を大きく妨げる可能性低い
食後30分以内吸収を妨げる可能性中程度
食後1時間以降影響は比較的小さい高い

利尿作用による体の冷えと血行不良

カフェインには強い利尿作用があります。コーヒーを飲むとトイレが近くなるのはこのためです。

体内の水分が過剰に排出されると、体が冷えやすくなります。体の冷えは血管を収縮させ、全身の血行不良につながります。

特に、頭皮のような末端の毛細血管は影響を受けやすく、血流が悪化すると髪の毛の成長に必要な栄養素が毛根まで届きにくくなる可能性があります。

この状態が続けば、髪が細くなったり抜け毛が増えたりする一因になり得ます。

胃腸への負担と栄養吸収率の低下

空腹時に濃いコーヒーを飲んで、胃が痛くなった経験のある方もいるのではないでしょうか。これは、コーヒーが胃酸の分泌を促すためです。

過剰な胃酸は胃の粘膜を荒らし、胃腸の働きを低下させる場合があります。消化器官の機能が弱まると、食事から摂ったタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素全般の吸収率も下がってしまいます。

髪の健康は、体全体の健康状態を映す鏡です。胃腸の不調は、巡り巡って髪への栄養不足を招くのです。

適度なコーヒー摂取による髪への好影響

これまでコーヒーのネガティブな側面に焦点を当ててきましたが、もちろん良い影響もあります。飲み過ぎにさえ注意すれば、コーヒーは女性の健康と美容の味方にもなります。

特に、コーヒーに含まれる抗酸化物質は、薄毛の一因とされる「体の老化」を防ぐ上で注目されています。

コーヒーが持つポジティブな力を理解し、日々の生活に賢く取り入れましょう。

カフェインの血行促進作用

カフェインには血管を収縮させる作用がある一方で、適量であれば中枢神経を刺激して結果として体の活動性を高め、血行を促進する働きも持ち合わせています。

特に、運動前にコーヒーを飲むとパフォーマンスが向上し、体全体の血流が良くなることが知られています。

頭皮の血流が改善すれば毛根に十分な酸素と栄養が供給され、健康な髪の育成サポートにつながります。

ポリフェノール「クロロゲン酸」の抗酸化力

コーヒーの褐色や苦味、香りのもとになっているのが、「クロロゲン酸」というポリフェノールの一種です。このクロロゲン酸には非常に強い抗酸化作用があります。

私たちの体は、呼吸によって取り込んだ酸素の一部から「活性酸素」を生成します。この活性酸素が増えすぎると細胞を傷つけて老化を促進し、頭皮の細胞機能の低下や薄毛の原因にもなります。

クロロゲン酸は、この活性酸素を除去し、細胞の老化を防ぐ働きが期待できるのです。

身近な食品に含まれる抗酸化物質

食品主な抗酸化物質期待される働き
コーヒークロロゲン酸細胞の酸化を防ぐ
緑茶カテキン生活習慣病予防
赤ワインアントシアニン眼精疲労の改善

覚醒作用によるストレス軽減効果

仕事や家事で疲れた時にコーヒーを飲むと、気分がすっきりして「もうひと頑張りしよう」という気持ちになります。これはカフェインの覚醒作用によるものです。

適度な覚醒は、気分の落ち込みや倦怠感を和らげ、精神的なストレスを一時的に軽減する効果があります。

過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させて頭皮の血行を悪化させるため、薄毛の大きな要因の一つです。

コーヒーを上手に利用して気分転換を図る習慣は、ストレス性の抜け毛予防に役立つ場合があります。

薄毛が気になる女性のためのコーヒー成分ガイド

一口にコーヒーと言っても、その中にはさまざまな成分が含まれています。薄毛を気にする女性が知っておきたいのは、どの成分が髪にどう影響するのかという点ではないでしょうか。

主成分であるカフェインはもちろん、近年注目されているポリフェノールなど、髪の健康との関連が深い成分について詳しく見ていきましょう。

成分の知識を持つと、より賢いコーヒーとの付き合い方が可能になります。

主成分カフェインの働きと適正量

カフェインはコーヒーの最も代表的な成分です。前述の通り、覚醒作用、利尿作用、血管収縮作用など多彩な働きを持ちます。

髪への影響を考える上で最も重要なのは、その摂取量です。一般的に、健康な成人の1日あたりのカフェイン摂取量の目安は最大400mgとされています。

これは、一般的なドリップコーヒーに換算すると3〜4杯程度に相当します。この範囲内であれば、健康への悪影響は少ないと考えられています。

ご自身が普段飲んでいるコーヒーのカフェイン量を把握しておくと良いでしょう。

飲み物別カフェイン含有量の目安

飲み物(約150mlあたり)カフェイン量(目安)
ドリップコーヒー約90mg
インスタントコーヒー約65mg
玉露約180mg

抗酸化物質ポリフェノールの価値

コーヒーに含まれるポリフェノール、特にクロロゲン酸は、私たちの体を酸化ストレスから守る上で非常に価値のある成分です。

酸化ストレスは、紫外線や大気汚染、精神的ストレスなどによって増加し、細胞の老化を加速させます。頭皮の細胞が老化すると健康な髪を生み出す力が弱まり、薄毛や白髪の原因となります。

コーヒーから日常的にポリフェノールを摂取することは、頭皮のアンチエイジング、ひいては健やかな髪の維持につながる可能性があるのです。

コーヒーに含まれるその他のビタミン・ミネラル

コーヒーには、実はビタミンやミネラルもわずかながら含まれています。

特に、エネルギー代謝を助けるビタミンB群の一種である「ナイアシン」は比較的豊富です。ナイアシンは皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きがあり、頭皮の健康にも寄与します。

ただし、コーヒーだけで髪に必要なビタミンやミネラルをすべて補えるわけではありません。あくまで補助的なものと考え、基本はバランスの取れた食事から栄養を摂るのが重要です。

ストレス社会で頑張る女性とコーヒーの付き合い方

仕事や家事、育児と多忙な日々を送る女性にとって、コーヒーは単なる飲み物以上の存在かもしれません。ほっと一息つくためのスイッチであり、集中力を高めるためのパートナーでもあるでしょう。

しかし、その一杯が知らず知らずのうちに心身の負担となり、髪からのSOSサインにつながっているとしたらどうでしょうか。

ここでは、薄毛に悩む女性の生活スタイルに合った、コーヒーとの健やかな関係を築くための視点を提供します。

仕事や家事の合間の一杯が持つ意味

「このタスクが終わったらコーヒーを飲もう」「子供が寝た後のコーヒータイムが唯一の楽しみ」といったように、コーヒーを飲む行為が、日々の生活の区切りやご褒美になっている方は多いのではないでしょうか。

この一杯には、疲れた心身をリフレッシュさせ、ポジティブな気持ちに切り替える心理的な効果があります。この大切な習慣を無理に断つ必要はありません。

問題なのは、その「頼り方」です。コーヒーがないと何も手につかない、という状態は、心身がカフェインに依存しているサインかもしれません。

ストレスが髪に与える直接的な影響

強いストレスを感じると、私たちの体は緊張状態になります。自律神経のうち交感神経が優位になり、血管が収縮します。この状態が慢性化すると頭皮の血行が悪化し、毛根に栄養が届きにくくなります。

また、ストレスはホルモンバランスの乱れも引き起こし、女性ホルモンの減少が抜け毛を促進するときもあります。

コーヒーのカフェインで一時的に乗り切れても、根本的なストレスが解消されなければ、髪へのダメージは蓄積していく一方です。

ストレスサインと対処法

心身のサインコーヒー以外の対処法
寝つきが悪い、眠りが浅い寝る前のスマホをやめ、温かいハーブティーを飲む
常に疲労感がある短い時間でも散歩に出て、太陽の光を浴びる
イライラしやすいゆっくりと深呼吸を繰り返す、好きな音楽を聴く

コーヒーを「逃げ場」にしないための思考法

コーヒーを飲む目的を意識してみましょう。「疲れをごまかすため」「眠気を無理やり覚ますため」といったネガティブな理由で飲む回数が多いなら、それは心身からの休息を求めるサインです。

コーヒーを「逃げ場」や「カンフル剤」として使うのではなく、「楽しむため」「味わうため」のポジティブなものとして捉え直すことが大切です。

例えば、デカフェを選んだり、お気に入りのカップで丁寧に淹れたりするとコーヒータイムの質が向上し、量への依存を減らせます。

コーヒーに代わる飲み物の例

  • ハーブティー
  • 白湯
  • 麦茶
  • ルイボスティー

髪と頭皮に優しいコーヒーの選び方と飲み方の工夫

コーヒーが薄毛の直接原因ではないと分かっても、やはり少しでも髪に良い飲み方をしたいと思うのは自然なことです。

飲むタイミングや量、一緒に加えるものなどを少し工夫するだけで、髪や頭皮への負担を減らしてコーヒーの良い面を引き出せます。

飲むタイミング|朝と夜の注意点

コーヒーを飲むのに最も適した時間は、朝食後から午前中の間です。朝、交感神経を優しく刺激し、一日を活動的にスタートするのに役立ちます。

一方、避けるべきは就寝前の4〜5時間以内に飲むことです。カフェインの効果は数時間持続するため、夜のコーヒーは睡眠の質を著しく低下させる原因になります。

また、鉄分の吸収を妨げないよう、食事中や食後すぐではなく、食後1時間ほど経ってから飲むのが理想的です。

髪を育むためのコーヒー飲用スケジュール案

時間帯推奨される飲み方理由
起床直後まずは白湯や水を飲む睡眠中の水分不足を補う
午前中(9時~11時頃)1~2杯のコーヒーを楽しむ活動のパフォーマンス向上
午後3時以降デカフェやハーブティーに切り替え夜の睡眠への影響を避ける

砂糖やミルクの追加が与える影響

ブラックコーヒーが苦手で、砂糖やミルクをたっぷり入れて飲む方も多いでしょう。しかし、砂糖の過剰摂取は注意が必要です。

糖分を摂りすぎると、体内でタンパク質と結びついて「糖化」という現象を起こし、AGEs(終末糖化産物)という老化物質を生成します。

このAGEsは、頭皮を硬くしたり、髪のハリやコシを失わせたりする原因になります。また、動物性脂肪である牛乳やクリームも、摂りすぎは皮脂の過剰分泌につながる可能性があります。

できるだけブラックで、加える場合も少量に留めるのが賢明です。

デカフェ(カフェインレス)という選択肢

「コーヒーの風味は好きだけど、カフェインの影響が気になる」という方には、デカフェが良い選択肢です。

デカフェは、カフェインを90%以上除去したコーヒーで、味や香りは通常のコーヒーに近いながら覚醒作用や利尿作用、胃への刺激がほとんどありません。

夕食後やリラックスタイムでも安心して楽しめて、睡眠への影響も心配無用です。カフェインの摂取量をコントロールする上で、デカフェを上手に取り入れるのは非常に有効な手段です。

質の良い豆の選び方

コーヒー豆は、焙煎からの時間が経つほど酸化が進みます。酸化したコーヒーは風味が落ちるだけでなく、体にとっても負担になる場合があります。

できるだけ焙煎日が新しく、信頼できるお店で購入した豆を選ぶことをおすすめします。

また、浅煎りの豆はポリフェノール(クロロゲン酸)が豊富で、深煎りの豆は苦味成分が多く胃への刺激が強い傾向があります。

ポリフェノールの抗酸化作用を期待するなら、アメリカンコーヒーのような浅煎りのものを選ぶと良いでしょう。

コーヒー以外で考えられる女性の薄毛の原因

コーヒーの飲み方を改善しても、薄毛の悩みが解決しない場合、その原因は他にある可能性が高いです。女性の薄毛は一つの原因だけでなく、複数の要因が複雑に絡み合って起こるケースがほとんどです。

コーヒーとの関係を考えるとともに、ご自身の生活習慣や体調全体を見直してみると、根本的な解決への近道となります。

ホルモンバランスの乱れ

女性の髪の健康は、女性ホルモン「エストロゲン」によって大きく支えられています。エストロゲンは髪の成長を促進し、ハリやツヤを保つ働きがあります。

しかし、加齢やストレス、過度なダイエットや出産などによってホルモンバランスが乱れ、エストロゲンが減少すると相対的に男性ホルモンの影響が強まり、抜け毛が増えやすくなります。

これは「FAGA(女性男性型脱毛症)」とも呼ばれ、女性の薄毛の最も一般的な原因の一つです。

食生活の偏りと栄養不足

髪は「ケラチン」というタンパク質からできています。そのため、肉や魚、大豆製品などからのタンパク質摂取が不足すると、髪が細く弱々しくなります。

また、タンパク質を髪の毛に合成する過程では、亜鉛やビタミンB群といった栄養素が必要です。さらに、頭皮に栄養を運ぶ血液の材料となる鉄分も欠かせません。

インスタント食品や外食に頼りがちな食生活では、これらの重要な栄養素が不足しがちです。

健やかな髪に必要な栄養素

栄養素主な働き多く含む食品
タンパク質髪の主成分となる肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛タンパク質の合成を助ける牡蠣、レバー、牛肉
鉄分血液の材料となり栄養を運ぶ赤身肉、ほうれん草、あさり

遺伝的要因と生活習慣

薄毛になりやすい体質は、ある程度遺伝的な要因も関係すると言われています。ご家族に薄毛の方がいる場合、ご自身もその素因を持っている可能性があります。

しかし、遺伝がすべてではありません。睡眠不足や喫煙、運動不足や誤ったヘアケアといった生活習慣の乱れが薄毛の発症や進行を大きく左右します。

遺伝的な素因がある方こそ、日々の生活習慣を整え、頭皮環境を健やかに保つ努力が重要になります。

よくある質問

さいごに、患者さんからよく寄せられるコーヒーと薄毛に関する質問とその回答をまとめました。日頃の疑問や不安の解消にお役立てください。

1日に何杯までなら飲んで良いですか?

健康な成人女性の場合、カフェイン摂取量の上限は1日400mgが目安とされています。ドリップコーヒー(1杯150mlあたりカフェイン約90mg)に換算すると、1日に3〜4杯程度が適量と言えます。

ただし、これはあくまで一般的な目安です。カフェインへの感受性には個人差があるため、体調の変化に注意しながら、ご自身に合った量を見つけましょう。

インスタントコーヒーとドリップコーヒーで違いはありますか?

違いがあります。一般的に、インスタントコーヒーはドリップコーヒーに比べてカフェイン含有量がやや少なめです。

また、抗酸化物質であるクロロゲン酸の量も、ドリップコーヒーの方が多い傾向にあります。

風味や香りを楽しむという点ではドリップコーヒーに軍配が上がりますが、手軽にコーヒーを飲みたい時にはインスタントも便利です。目的や状況に応じて使い分けると良いでしょう。

コーヒーをやめたら薄毛は改善しますか?

もし、コーヒーの過剰摂取によって睡眠不足や栄養吸収阻害が起こり、それが薄毛の一因となっていた場合、コーヒーをやめるか適量に減らすと薄毛が改善に向かう可能性はあります。

しかし、薄毛の原因がホルモンバランスの乱れや遺伝など他にある場合は、コーヒーをやめただけでは大きな変化は期待できません。薄毛の原因を総合的に判断することが重要です。

妊娠中や授乳中のコーヒー摂取について教えてください

妊娠中や授乳中の方は、カフェインの摂取に特に注意が必要です。カフェインは胎盤を通過し、母乳にも移行します。

胎児や乳児はカフェインを分解する能力が低いため、影響を受けやすいと考えられています。

世界保健機関(WHO)など多くの機関が、妊娠中のカフェイン摂取量を1日200mg〜300mg未満に抑えるよう推奨しています。これはコーヒー1〜2杯に相当します。

この時期は、デカフェを利用するのが最も安心できる選択です。

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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