女性の髪の毛の抜けやすさと対策法|専門家が教える予防方法

女性の髪の毛の抜けやすさと対策法|専門家が教える予防方法

女性にとって髪は大切なものです。そのため、抜け毛が増えると不安になる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、女性の髪の毛が抜けやすくなる原因や、季節・時期との関係、そしてご自身でできる対策法から専門クリニックでの治療法まで、詳しく解説します。

女性の髪の毛が抜けやすいと感じる瞬間

日常生活の中で「髪の毛が抜けやすくなったかも」と感じるサインはいくつかあります。

これらのサインに早めに気づくことが、適切なケアへの第一歩となります。

シャンプーやブラッシングの時

シャンプー時の排水溝にたまる髪の毛の量や、ブラッシング時にブラシにつく髪の毛の量が以前より明らかに増えた場合、抜け毛が進行している可能性があります。

毎日行う習慣だからこそ、変化に気づきやすいポイントです。

枕元の抜け毛が増えた時

朝起きたときに、枕に付着している髪の毛の本数が増えているのも注意したいサインの一つです。

睡眠中に自然に抜ける髪の毛は誰にでもありますが、その量が目立って多くなったときは何らかの原因で抜け毛が増えていると考えられます。

髪のボリュームが減ったと感じる時

髪全体のボリューム感が失われたり、髪をまとめたときの毛束が細くなったと感じたりする場合も、抜け毛や髪の毛自体の細りが影響している可能性があります。

スタイリングがしにくくなった、という感覚を伴う方も多いです。

分け目が目立つようになった時

鏡を見たときに、以前よりも頭頂部や分け目の地肌が透けて見えるようになったら、それは髪の密度が低下している兆候かもしれません。

特に分け目は自分でも確認しやすいため、定期的なチェックがおすすめです。

なぜ?女性の髪の毛が抜けやすくなる原因

女性の抜け毛の原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っているケースが多いです。

主な原因を確認し、ご自身の状況と照らし合わせてみましょう。

ホルモンバランスの乱れ

女性ホルモンは髪の成長と維持に深く関わっています。

そのため、ホルモンバランスが乱れると、髪の毛が抜けやすくなる場合があります。

妊娠・出産

妊娠中は女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が増加し、髪の毛が成長期を維持しやすくなります。

しかし、出産後はエストロゲンの分泌量が急激に減少するため、一時的に抜け毛が増える「産後脱毛症」が起こるときがあります。

通常は半年から1年程度で自然に回復する方が多いです。

更年期

更年期に入ると女性ホルモンの分泌量が減少し、相対的に男性ホルモンの影響が強まりやすいです。

このホルモンバランスの変化が髪の毛の成長サイクルを乱し、抜け毛や薄毛(女性男性型脱毛症:FAGA/FPHL)を引き起こす原因の一つとなります。

ピルの服用中止

経口避妊薬(ピル)の服用を中止した後、一時的にホルモンバランスが変化し、抜け毛が増える場合があります。

これは、ピルに含まれる女性ホルモンの影響がなくなるためです。

女性ホルモンと髪の関係

ホルモンの状態髪への影響起こりやすい時期
エストロゲン増加髪の成長期延長、抜け毛減少傾向妊娠中
エストロゲン急減一時的な抜け毛増加(休止期脱毛)出産後、ピル中止後
エストロゲン減少髪のハリ・コシ低下、薄毛リスク増更年期

生活習慣の乱れ

日々の生活習慣も、髪の健康に大きな影響を与えます。

不規則な生活は、髪の成長に必要な栄養や酸素の供給を滞らせる原因となります。

睡眠不足

髪の成長には成長ホルモンが重要ですが、このホルモンは主に睡眠中に分泌されます。

睡眠不足が続くと成長ホルモンの分泌が減少し、髪の成長が妨げられ、抜け毛につながりやすいです。

食生活の偏り

髪の主成分はケラチンというタンパク質です。タンパク質や、その合成を助けるビタミン、ミネラルなどが不足すると、健康な髪が育ちにくくなります。

特に過度なダイエットは栄養不足を招きやすく、髪の毛が抜けやすい原因となります。

過度なダイエット

急激な体重減少や栄養バランスの悪いダイエットは、髪に必要な栄養素が不足し、髪の成長サイクルを乱します。

結果として、髪が細くなったり抜け毛が増えたりするケースがあります。

髪の成長に必要な栄養素

栄養素主な働き多く含む食品例
タンパク質髪の主成分(ケラチン)を作る肉類、魚介類、卵、大豆製品
亜鉛ケラチンの合成を助ける牡蠣、レバー、牛肉(赤身)
ビタミンB群頭皮の代謝を促す、皮脂バランス調整レバー、マグロ、カツオ、ナッツ類

ストレスの影響

過度なストレスは自律神経やホルモンバランスを乱し、頭皮の血行不良を引き起こすなど、髪の健康に悪影響を及ぼします。

精神的ストレス

仕事や人間関係などによる精神的なストレスは、血管を収縮させ、頭皮への血流を悪化させるときがあります。

これによって髪の毛の成長に必要な栄養が届きにくくなり、抜け毛の原因となるケースがあります。

身体的ストレス

過労や病気、手術なども身体的なストレスとなり、髪の成長サイクルに影響を与えやすいです。

大きな身体的ストレスの後、数ヶ月経ってから抜け毛が増える方もいます。

頭皮環境の悪化

健康な髪は健康な頭皮から育ちます。

頭皮環境が悪化すると髪の成長が妨げられ、抜け毛が増える原因になります。

間違ったヘアケア

洗浄力の強すぎるシャンプーの使用、頻繁なカラーリングやパーマ、ゴシゴシと強く洗いすぎるなどの間違ったヘアケアは、頭皮を乾燥させたり、炎症を引き起こしたりして、頭皮環境を悪化させます。

紫外線ダメージ

頭皮も肌の一部であり、紫外線の影響を受けます。

強い紫外線を浴び続けると頭皮が乾燥したり炎症を起こしたりして、毛根にダメージを与え、抜け毛の原因となる場合があります。

皮脂の過剰分泌・乾燥

頭皮の皮脂が過剰に分泌されると毛穴が詰まりやすくなり、逆に乾燥しすぎるとフケやかゆみ、炎症の原因となります。

どちらの状態も頭皮環境を悪化させ、健康な髪の育成を妨げます。

頭皮トラブルとその影響

頭皮の状態主な症状髪への影響
乾燥フケ、かゆみ、つっぱり感毛髪のパサつき、成長不良
脂性ベタつき、ニオイ、毛穴詰まり炎症、抜け毛、細毛
炎症赤み、かゆみ、湿疹毛根へのダメージ、抜け毛

季節と抜け毛の関係性は本当にあるの?

「特定の季節になると抜け毛が増える気がする」という声を聞くときがあります。

実際に、季節の変化が髪や頭皮に影響を与えることはあり得ます。それぞれの季節の特徴と抜け毛の関係について見ていきましょう。

春の新陳代謝と抜け毛

春は動物の毛が生え変わる時期と言われるように、人間も新陳代謝が活発になる季節です。この時期、一時的に抜け毛が増えると感じる人もいます。

また、花粉や黄砂などのアレルゲンが頭皮に付着してかゆみや炎症を引き起こすと、抜け毛につながる可能性も考えられます。

夏の紫外線ダメージと頭皮疲労

夏は一年で最も紫外線が強い季節です。頭皮は顔の2倍以上の紫外線を浴びるとも言われ、日焼けによる炎症や乾燥は毛根にダメージを与えます。

また、汗や皮脂の分泌が増えるため頭皮環境が悪化しやすく、秋の抜け毛の遠因となる場合があります。

秋に抜け毛が増えると言われる理由

「秋は抜け毛の季節」とよく言われます。これは、夏の間に受けた紫外線ダメージや、暑さによる食欲不振・睡眠不足などの影響が、数ヶ月遅れて現れるためと考えられています。

また、動物の毛が生え変わる時期とも重なり、自然な生理現象として一時的に抜け毛が増えるという説もあります。

冬の乾燥と血行不良

冬は空気が乾燥し、暖房の使用も相まって頭皮も乾燥しやすくなります。頭皮の乾燥はバリア機能の低下を招き、かゆみやフケの原因となります。

また、寒さで体が冷えると血行が悪くなり、頭皮に十分な栄養が届きにくくなるのも、抜け毛を助長する要因となり得ます。

季節ごとの頭皮ケアポイント

季節主な頭皮への影響推奨されるケア
花粉・アレルゲン付着、寒暖差丁寧な洗髪、保湿ケア
紫外線ダメージ、汗・皮脂過多紫外線対策、頭皮クレンジング
夏のダメージ蓄積、乾燥し始め保湿、栄養補給
乾燥、血行不良徹底保湿、血行促進マッサージ

髪の毛が抜けやすい時期|特有の要因とは

人生の特定の時期やライフイベント、あるいは健康状態によって、髪の毛が特に抜けやすくなるケースがあります。

年齢による変化と抜け毛

加齢に伴い、髪質や髪の量に変化が現れるのは自然なことです。

しかし、その変化の度合いや時期には個人差があります。

20代・30代の抜け毛

20代や30代でも、過度なダイエットや不規則な生活、ストレスや間違ったヘアケアなどが原因で抜け毛が増えるときがあります。

また、若年性の女性男性型脱毛症(FAGA/FPHL)が発症する可能性もゼロではありません。

40代以降の抜け毛

40代以降、特に更年期に近づくと、女性ホルモンの減少が大きく影響し始めます。

髪の毛が細くなったりハリやコシが失われたり、全体的に薄くなったりする「びまん性脱毛症」やFAGA/FPHLが進行しやすいです。

特定のライフイベントと抜け毛

人生の節目となる出来事が、ホルモンバランスや心身の状態に影響を与え、抜け毛を引き起こすことがあります。

産後の抜け毛

前述の通り、出産後はホルモンバランスの急激な変化により、多くの女性が「産後脱毛症」を経験します。

通常は一時的なものですが、育児のストレスや睡眠不足が重なると回復が遅れる方もいます。

大きな環境変化

就職や転職、引っ越しや結婚、離別などの大きな環境の変化は精神的なストレスとなり、自律神経の乱れを引き起こし、抜け毛の原因となる場合があります。

新しい環境に適応する過程で、心身ともに負担がかかるためです。

病気や薬の影響

特定の病気や、その治療に使用される薬の副作用として、抜け毛が起こる例もあります。

甲状腺疾患

甲状腺ホルモンは全身の代謝をコントロールしており、髪の成長にも関わっています。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)や甲状腺機能低下症(橋本病など)では、抜け毛が症状の一つとして現れるケースがあります。

自己免疫疾患

円形脱毛症は自己免疫疾患の一つと考えられており、免疫系が自身の毛包を攻撃することで脱毛が起こります。

全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病でも、脱毛が見られるときがあります。

特定の薬剤の副作用

抗がん剤や免疫抑制剤、一部の降圧剤や抗うつ薬など、薬剤によっては副作用として脱毛を引き起こすものがあります。

治療上必要な薬である場合が多いため、自己判断で中止せず医師に相談しましょう。

薬剤性と考えられる脱毛

薬剤による脱毛が疑われるときは、まず処方した医師に相談することが重要です。

原因薬剤の特定や、可能であれば代替薬への変更などを検討します。

  • 抗がん剤
  • 免疫抑制剤
  • 一部の抗てんかん薬
  • 一部の抗凝固薬

自宅でできる!抜け毛予防と対策ケア

専門的な治療が必要になる前に、あるいは治療と並行して、ご自宅でできる抜け毛予防や対策ケアがあります。

日々の積み重ねが、健康な髪を育む土台となります。

正しいシャンプー方法の見直し

毎日のシャンプーは、頭皮環境を整える基本です。

しかし、間違った方法では逆効果になるときもあります。

シャンプー選びのポイント

ご自身の頭皮タイプ(乾燥肌、脂性肌、敏感肌など)に合ったシャンプーを選びましょう。

洗浄力が強すぎるものは頭皮の必要な皮脂まで奪い、乾燥を招きやすいです。アミノ酸系やベタイン系など、マイルドな洗浄成分のものがおすすめです。

洗い方とすすぎのコツ

シャンプー前にはブラッシングで髪の絡まりを解き、お湯で十分に予洗いします。

シャンプーは手のひらでよく泡立ててから髪と頭皮につけ、指の腹で優しくマッサージするように洗いましょう。

すすぎ残しは頭皮トラブルの原因になるため、時間をかけて丁寧にすすぎます。

頭皮マッサージで血行促進

頭皮マッサージは硬くなった頭皮を柔らかくし、血行を促進する効果が期待できます。

血流が改善されると、毛根に栄養が届きやすくなります。

マッサージのタイミング

シャンプー中や、お風呂上がりで頭皮が温まっているときに行うのが効果的です。

また、リラックスできる時間帯に行うとストレス軽減にもつながります。

簡単なマッサージ方法

指の腹を使って、頭皮全体を優しく揉みほぐします。

生え際から頭頂部へ、側頭部から頭頂部へ、襟足から頭頂部へと、下から上へ向かってマッサージするのがポイントです。爪を立てないように注意しましょう。

バランスの取れた食事を心がける

髪は食べたものから作られます。

健康な髪を育てるためには、バランスの取れた食事が重要です。

髪に必要な栄養素

髪の主成分であるタンパク質(特にケラチン)、ケラチンの合成を助ける亜鉛やビタミンB群、頭皮の血行を促進するビタミンEなどを積極的に摂取しましょう。

積極的に摂りたい食品

肉類や魚介類、卵や大豆製品(タンパク質)、牡蠣やレバー(亜鉛)、緑黄色野菜(ビタミン類)やナッツ類(ビタミンE)などをバランス良く取り入れるのが望ましいです。

髪に良いとされる食品群

  • 良質なタンパク質源(鶏むね肉、鮭、豆腐など)
  • ミネラル豊富な海藻類(わかめ、ひじきなど)
  • ビタミン豊富な緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリーなど)

質の高い睡眠の確保

睡眠は髪の成長だけでなく、身体全体の修復と再生に欠かせません。

睡眠と髪の成長の関係

髪の成長を促す成長ホルモンは、主に深い睡眠中に分泌されます。

睡眠時間が不足したり睡眠の質が低下したりすると、成長ホルモンの分泌が減少し、髪の健康に影響が出る場合があります。

睡眠環境の整え方

寝る前にスマートフォンやパソコンの画面を見るのを避ける、カフェインの摂取を控える、寝室を暗く静かにするなど、質の高い睡眠を得るための環境を整えると良いです。

睡眠の質を高める工夫

項目具体的な工夫期待される効果
寝室環境遮光カーテン、静かな環境、快適な温度・湿度入眠しやすくなる、中途覚醒の減少
就寝前の習慣ぬるめのお風呂、リラックスできる音楽、軽いストレッチ心身のリラックス、スムーズな入眠
食事・飲み物就寝3時間前までに食事終了、カフェイン・アルコール制限消化器官への負担軽減、睡眠の質の向上

それでも改善しない場合は?専門クリニックでの薄毛治療

セルフケアを続けても抜け毛が改善しない、あるいは薄毛が進行していると感じる場合は、専門のクリニックへの相談を検討しましょう。

早期の対応でより良い結果につながるケースが多いです。

専門医によるカウンセリングの重要性

専門医は丁寧なカウンセリングを通じて髪の状態や生活習慣、既往歴や悩みなどを詳しく伺います。

このカウンセリングは抜け毛の原因を特定し、適切な治療法を選択するための非常に重要な過程です。不安なことや疑問点は遠慮なく伝えましょう。

クリニックで行う検査内容

カウンセリングに加えて、客観的なデータを得るためにいくつかの検査を行います。

これらの検査結果を総合的に判断し、診断を下します。

視診・触診

医師が直接、頭皮や髪の状態(色、硬さ、毛量、毛の太さ、炎症の有無など)を目で見て、手で触れて確認します。

マイクロスコープ検査

高倍率のカメラ(マイクロスコープ)を使って頭皮の毛穴の状態や皮脂の量、毛髪の太さや密度などを詳細に観察します。

この検査により、肉眼では分からない頭皮環境の問題点を発見できます。

血液検査(必要な場合)

ホルモンバランスの乱れや、甲状腺機能、栄養状態(鉄分や亜鉛など)に問題がないかを確認するために血液検査を行うときがあります。

全身疾患が抜け毛の原因となっている可能性を調べるためです。

女性の薄毛治療の種類と特徴

女性の薄毛治療には内服薬や外用薬、注入治療など、いくつかの選択肢があります。

原因や症状の程度、患者さんの希望に応じて治療法を組み合わせます。

内服薬治療

主に、髪の成長に必要な栄養素を補給するサプリメントや、血行を促進する薬、ホルモンバランスを整える薬(必要な場合)などが用いられます。

男性のAGA治療薬として知られるフィナステリドやデュタステリドは、原則として女性には使用しませんが、スピロノラクトンなど他の薬剤が選択される場合があります。

外用薬治療

ミノキシジルを主成分とする育毛剤を頭皮に直接塗布する治療法です。

ミノキシジルには血管拡張作用があり、毛母細胞を活性化させて発毛を促進する効果が期待できます。女性向けには低濃度のものが推奨されます。

注入治療(メソセラピーなど)

髪の成長に必要な成分(成長因子、ビタミン、ミネラルなど)を、注射や特殊な機器を使って頭皮に直接注入する治療法です。

有効成分を直接毛根に届けられるため、より効果を実感しやすいケースもあります。

主な女性薄毛治療法

治療法主な作用・効果特徴
内服薬(サプリメント等)栄養補給、血行促進身体の内側からケア、継続しやすい
外用薬(ミノキシジル等)発毛促進、毛母細胞活性化直接頭皮に塗布、効果実感に数ヶ月
注入治療(メソセラピー)成長因子等を直接注入、発毛促進局所的に高い効果期待、複数回治療が必要な場合あり

治療期間と費用の目安

薄毛治療は、効果を実感するまでに一般的に3ヶ月から6ヶ月程度の期間が必要です。髪の成長サイクルを考慮すると、根気強く治療を続けることが大切です。

治療費用は治療法やクリニックによって異なります。カウンセリングの際に、治療期間の見通しや総費用の目安について、しっかりと説明を受けるようにしましょう。

自由診療となるため、健康保険は適用されません。事前に費用体系を確認し、納得した上で治療を開始しましょう。

女性の抜け毛に関するよくある質問(FAQ)

さいごに、女性の抜け毛に関して患者さんからよくいただくご質問とその回答をまとめました。

抜け毛は何本くらいから心配すべきですか?

健康な人でも1日に50本から100本程度の髪の毛は自然に抜けると言われています。ただし、これはあくまで目安です。

以前と比べて明らかに抜け毛が増えた、髪のボリュームが減った、地肌が透けて見えるようになったなど、ご自身で変化を感じるようであれば一度専門医に相談することをおすすめします。

特に、シャンプー時やブラッシング時の抜け毛が200本を超えるような場合は注意が必要です。

市販の育毛剤は効果がありますか?

市販の育毛剤には頭皮環境を整えたり、血行を促進したりする成分が含まれているものがあり、抜け毛予防や初期の薄毛対策としては一定の効果が期待できる場合があります。

しかし、医薬品である発毛剤とは異なり、発毛効果が医学的に認められているわけではありません。

抜け毛の原因や症状によっては効果が得られないケースもありますので、効果を実感できないときは専門医の診断を受けると良いでしょう

遺伝はどの程度影響しますか?

薄毛には遺伝的な要因が関与すると知られています。特に男性型脱毛症(AGA)では遺伝の影響が大きいとされていますが、女性の薄毛(FAGA/FPHL)においても、遺伝的素因が関係していると考えられています。

ただし、遺伝だけが全ての原因ではなく、ホルモンバランスや生活習慣、ストレスなど複数の要因が絡み合って発症する方が多いです。

遺伝的な素因がある場合でも、早期からの適切なケアや治療によって進行を遅らせたり、症状を改善したりすることが可能です。

治療を始めたらすぐに効果が出ますか?

薄毛治療の効果を実感するまでには、通常3ヶ月から6ヶ月程度の時間が必要です。

これは、髪の毛には成長期・退行期・休止期というヘアサイクルがあり、新しい髪が成長して目に見えるようになるまでに時間がかかるためです。

治療を開始してすぐに劇的な変化が現れるわけではないため、焦らずに根気強く治療を続けることが重要です。医師の指示に従い、定期的な通院と適切なケアを継続しましょう。

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会