おしゃれを楽しむためのパーマですが、「パーマではげるのではないか」「パーマが薄毛の原因になるのではないか」「パーマで頭皮にダメージがあるのではないか」と、髪や頭皮への影響が気になる方もいらっしゃるでしょう。
パーマは薬剤を使用するため、髪のダメージや薄毛のリスクと無関係ではありません。
この記事では、パーマが女性の髪と頭皮に与える影響、薄毛につながる原因、そして大切な髪と頭皮を守るための対策をくわしく解説します。
正しい知識を身につけ、健やかな美髪を目指しましょう。
パーマが女性の髪と頭皮に与える影響の基礎知識
パーマは、髪の内部構造に化学的な変化を与えて、カールやウェーブを形成します。
この変化は、髪だけでなく頭皮にも影響を及ぼす可能性があります。
パーマ液の化学成分と毛髪構造への作用
パーマ液には、主に1剤(還元剤)と2剤(酸化剤)が含まれます。
1剤は髪内部のシスチン結合を切断し、髪を柔らかく変形しやすい状態にします。
その後、ロッドなどで形作った髪に2剤を作用させ、シスチン結合を再結合することでカールを固定します。
この化学反応が髪のタンパク質に変化を与え、ダメージの原因となる場合があります。
パーマ液の主な化学成分とその働き
薬剤の種類 | 主な成分 | 髪への主な作用 |
---|---|---|
1剤(還元剤) | チオグリコール酸、システアミンなど | 髪内部のシスチン結合を切断し、髪を軟化させる |
2剤(酸化剤) | 臭素酸ナトリウム、過酸化水素など | 切断されたシスチン結合を再結合させ、カールを固定する |
頭皮への刺激と炎症リスク
パーマ液が頭皮に付着すると、その化学成分によって刺激を感じるケースがあります。
特にアルカリ性の強い薬剤は、頭皮の皮脂膜を過剰に除去し、バリア機能を低下させる可能性があります。
このことにより、頭皮が乾燥しやすくなったり、かゆみや赤み、さらには炎症を引き起こしたりするリスクが生じます。
繰り返すパーマがもたらす累積的ダメージ
一度のパーマでも髪はダメージを受けますが、短期間に繰り返しパーマをかけるとダメージが蓄積していきます。
髪のキューティクルが剥がれやすくなり、内部のタンパク質や水分が流出しやすくなるため、髪はパサつき、切れ毛や枝毛が増える原因となります。
頭皮も同様に、繰り返される刺激によって敏感な状態になりやすいです。
パーマで薄毛が進行する原因とは
パーマが直接的な原因で薄毛になるわけではありませんが、不適切な施術やアフターケア、元々の髪や頭皮の状態によっては、薄毛のリスクを高める要因となる場合があります。
毛髪の主成分ケラチンの変性と流出
パーマ液の化学反応は、毛髪の主成分であるケラチンタンパク質を変性させます。
なかでもアルカリ性の薬剤や高温を用いる施術は、タンパク質の構造を大きく変化させる可能性があります。
この変性により髪の強度が低下し、外部からのダメージを受けやすくなります。
また、キューティクルが損傷すると内部のタンパク質が流出しやすくなり、髪が細く弱々しくなる場合があります。
毛周期の乱れと成長期短縮
頭皮への強い刺激や炎症が続くと毛根の働きが弱まり、正常な毛周期(ヘアサイクル)が乱れるケースがあります。
髪の成長期が短縮し、休止期や退行期に移行する毛髪が増えると全体のボリュームが減少し、薄毛として認識されるようになります。
特に、パーマ液が毛穴から浸透し、毛母細胞に影響を与えた場合にこのリスクが高まります。
パーマによる薄毛リスクを高める要因
要因 | 具体的な内容 | 髪・頭皮への影響 |
---|---|---|
薬剤の刺激 | 強アルカリ性の薬剤、高濃度の薬剤 | 頭皮の炎症、毛髪タンパク質の変性 |
不適切な施術 | 薬剤の長時間放置、高温処理 | 過度なダメージ、毛根への負担 |
施術頻度 | 短期間での繰り返し | ダメージの蓄積、頭皮のバリア機能低下 |
頭皮環境の悪化による毛根への影響
パーマ液による刺激や、洗い残しによる薬剤の残留は、頭皮の常在菌バランスを崩し、フケやかゆみ、炎症といった頭皮トラブルを引き起こす原因です。
頭皮環境が悪化すると健康な髪を育む土壌が失われ、毛根が十分に栄養を受け取れなくなります。
この状態が続くと髪の成長が妨げられ、抜け毛や薄毛につながる可能性があります。
過度な牽引や熱による物理的ダメージ
パーマの施術中、髪を強く引っ張ったり、高温の器具を使用したりする場合があります。これらの物理的な刺激も、髪や頭皮への負担の原因です。
特に細い髪や弱った髪の場合、過度な牽引によって毛根がダメージを受け、抜け毛(牽引性脱毛症)を引き起こすことがあります。
また、高温は髪の水分を奪い、乾燥やパサつきを招きます。
パーマの種類と髪へのダメージ度の違い
パーマにはいくつかの種類があり、使用する薬剤や施術方法によって髪へのダメージ度合いが異なります。
ご自身の髪質や希望するスタイル、そして髪への負担を考慮して、適切なパーマの種類を選ぶことが大切です。
コールドパーマの特徴と髪への負担
コールドパーマは、常温で薬剤を反応させる最も一般的なパーマです。比較的幅広い髪質に対応でき、さまざまなカールデザインが可能です。
しかし、アルカリ性の薬剤を使用することが多く、髪のキューティクルを開いて薬剤を浸透させるため、ある程度のダメージは避けられません。
特に、元々髪が傷んでいる場合や、細い髪質の方は、薬剤の選定や放置時間に注意が必要です。
ホットパーマ(デジタルパーマなど)の特徴と髪への負担
ホットパーマは薬剤と熱処理を組み合わせてカールを形成するパーマで、デジタルパーマやエアウェーブなどがこれに分類されます。
熱を加えることで乾いたときにカールがくっきりと現れやすく、持ちが良いのが特徴です。
一方で、高温処理は髪のタンパク質変性を引き起こしやすく、コールドパーマよりもダメージが大きい場合があります。
施術者の技術力によって仕上がりやダメージ度が左右されやすいパーマといえます。
主なパーマの種類とダメージ比較
パーマの種類 | 特徴 | 想定されるダメージ度 |
---|---|---|
コールドパーマ | 常温で施術、薬剤の力でカール形成 | 中程度(薬剤による) |
ホットパーマ(デジタルパーマ等) | 薬剤と熱処理でカール形成、持ちが良い | 中~高程度(薬剤+熱による) |
酸性パーマ | 弱酸性の薬剤を使用、ダメージ毛にも対応しやすい | 低~中程度 |
トリートメントパーマ | 薬剤にトリートメント成分を多く配合 | 低~中程度(成分による) |
酸性パーマやトリートメントパーマの髪への優しさ
近年では、髪への負担を軽減するために開発されたパーマも登場しています。
酸性パーマは健康な髪のpHに近い弱酸性の薬剤を使用するため、キューティクルへのダメージを抑えながらカールを形成できます。
また、トリートメント成分を多く配合した薬剤を使用するパーマ(通称トリートメントパーマ)は、施術と同時に髪の補修効果も期待できるため、ダメージを気にされる方に選ばれやすいです。
ただし、これらのパーマも全くダメージがないわけではなく、髪質や状態によっては希望通りのカールが出にくい場合もあります。
髪質や状態に合わせたパーマ選びの重要性
どのようなパーマを選ぶかは、ご自身の髪質や現在の髪のダメージレベル、そして頭皮の状態を考慮して決定すると良いです。
美容師とよく相談し、髪の状態を正確に診断してもらったうえで、パーマの種類と薬剤を選んでもらうようにしましょう。
無理な施術は、深刻なダメージや薄毛のリスクを高めます。
パーマによる頭皮ダメージ|具体的な症状とサイン
パーマ液の刺激やアレルギー反応などにより、頭皮にダメージが生じる場合があります。
初期のサインを見逃さず、早めに対処していきましょう。
頭皮の赤み、かゆみ、フケの増加
パーマ後に頭皮に赤みが出たり、かゆみを感じたりするのは、薬剤による刺激や軽い炎症が起きているサインかもしれません。
また、頭皮のターンオーバーが乱れると、フケが目立つようになりやすいです。
これらは比較的よく見られる症状ですが、長引く場合や悪化するようであれば注意が必要です。
頭皮の乾燥やつっぱり感
パーマ液、特にアルカリ性の薬剤は頭皮の皮脂を奪い、乾燥を引き起こすときがあります。
頭皮が乾燥するとバリア機能が低下し、外部からの刺激に敏感になります。
つっぱり感やかさつきを感じるときは、保湿ケアが大切です。
頭皮ダメージの主な症状
症状 | 主な原因 | 考えられる状態 |
---|---|---|
赤み・かゆみ | 薬剤の刺激、アレルギー反応 | 炎症、接触皮膚炎初期 |
フケの増加 | 頭皮の乾燥、ターンオーバーの乱れ | 乾燥性皮膚炎、脂漏性皮膚炎の悪化 |
乾燥・つっぱり感 | 皮脂の過剰な除去、水分不足 | 頭皮のバリア機能低下 |
抜け毛の増加や髪質の変化
パーマによる頭皮へのダメージが深刻な場合や、毛根に影響が及んだ場合、一時的に抜け毛が増える場合があります。
また、新しく生えてくる髪が以前より細くなったり、うねりが出たりするなど、髪質の変化を感じる方もいます。
このようなサインは頭皮環境が悪化している可能性を示唆しており、注意深い観察とケアが必要です。
稀なケースとしてのアレルギー反応や接触皮膚炎
パーマ液に含まれる特定の化学成分に対してアレルギー反応を起こす方がいます。
症状としては強いかゆみや発疹、腫れや水ぶくれなどが現れ、接触皮膚炎と診断されます。
過去にパーマやヘアカラーでかぶれた経験がある方は事前に美容師に伝え、パッチテストを行うなどの対策を行いましょう。
「パーマを続けたいけど薄毛も心配」そんな方のためのパーマとの上手な付き合い方
「おしゃれのためにパーマは続けたいけれど、髪や頭皮への負担、そして薄毛のリスクも気になる…」そうお悩みの方は少なくないでしょう。
パーマを諦めるのではなく、ダメージを最小限に抑えて髪と頭皮の健康を保ちながらパーマを楽しむためのポイントがあります。
美容師への現状の髪と頭皮状態の正確な伝達
まず最も大切なのは、美容師との信頼関係です。
施術前に現在の髪の悩み(パサつき、枝毛、抜け毛など)や頭皮の状態(かゆみ、フケ、敏感さなど)、そして過去のパーマやカラーの履歴、アレルギーの有無などを正直に伝えましょう。
美容師があなたの髪と頭皮に適した薬剤を選び、負担の少ない施術計画を立てるうえで非常に重要です。
- 最近の抜け毛の量
- 頭皮のかゆみや赤みの有無
- 過去のアレルギー経験
- 普段のヘアケア方法
パーマの頻度を見直す勇気と適切な間隔
美しいカールを維持したい気持ちはよくわかりますが、パーマの頻度が高すぎると髪と頭皮が回復する時間が十分に取れず、ダメージが蓄積してしまいます。
髪質やパーマの種類にもよりますが、パーマをかける適切な間隔は最低でも3ヶ月、できれば4~6ヶ月程度空けるのが望ましいです。
美容師と相談し、髪の状態に合わせた頻度を見つけましょう。時には、パーマを少しお休みする勇気も必要です。
ダメージを軽減するパーマのかけ方の工夫
美容師に相談すると、ダメージを軽減するパーマのかけ方を提案してもらえる場合があります。
例えば、髪全体ではなく、動きを出したい部分だけにパーマをかける「ポイントパーマ」や、根元の伸びた部分だけにかける「リタッチパーマ」などを活用する方法があります。
また、髪の内部補修を同時に行うトリートメント効果の高い薬剤を選んだり、頭皮を保護する薬剤を塗布してもらったりするのも有効です。
遠慮なく希望を伝え、相談してみましょう。
日頃の生活習慣が髪に与える影響の理解
美しい髪はパーマの技術だけでなく、日々の生活習慣によっても育まれます。
バランスの取れた食事や質の高い睡眠、適度な運動やストレスを溜めない生活は、健康な頭皮環境と髪の成長に欠かせません。
髪の主成分であるタンパク質や、その合成を助けるビタミン、ミネラルの積極的な摂取を心がけましょう。
パーマによるダメージを少しでも早く回復させるためにも、内側からのケアが重要です。
パーマ後のダメージを最小限に抑えるヘアケア方法
パーマ後の髪は非常にデリケートな状態です。適切なアフターケアを行うとダメージの進行を抑え、カールの持ちを良くできます。
日々の少しの心がけが、美しいパーマヘアを長く楽しむ秘訣です。
パーマ当日から数日間のシャンプーの注意点
パーマをかけた当日は、薬剤が髪に完全に定着していない可能性があるため、シャンプーを控えるのが一般的です。
美容師の指示に従い、24時間~48時間は髪を濡らさないようにしましょう。
シャンプーをする際は洗浄力の強すぎるものは避け、アミノ酸系などのマイルドなシャンプーを選び、優しく洗うと良いです。
熱いお湯は頭皮や髪への刺激となるため、ぬるま湯を使用しましょう。
保湿と補修を重視したヘアケア製品の選び方
パーマ後の髪は乾燥しやすく、タンパク質も流出しやすいため、保湿成分や補修成分が配合されたヘアケア製品を選びます。
シャンプー・コンディショナー・トリートメント・ヘアオイルなどライン使いでケアすると、より効果を実感しやすくなります。
パーマヘアにおすすめのヘアケア成分
成分の種類 | 代表的な成分 | 期待される効果 |
---|---|---|
保湿成分 | セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン、グリセリン | 髪と頭皮の水分保持、乾燥防止 |
補修成分 | ケラチンPPT、シルクPPT、ペリセア、ヘマチン | ダメージ部分の補修、ハリ・コシを与える |
オイル成分 | アルガンオイル、シアバター、ホホバオイル | 髪の保護、ツヤを与える、水分蒸発を防ぐ |
ドライヤー時の熱ダメージを避ける乾かし方
濡れた髪はキューティクルが開いており、非常にデリケートです。タオルドライは髪をこすらず、優しく押さえるようにして水分を吸い取ります。
ドライヤーは髪から20cm以上離し、同じ場所に熱風が集中しないように常に動かしながら乾かします。根元から乾かし始め、毛先は最後に乾かすのがポイントです。
オーバードライは髪を傷める原因になるため、8割程度乾いたら冷風で仕上げると、キューティクルが引き締まりツヤが出やすくなります。
- タオルで優しく水分を取る
- ドライヤーは髪から離す
- 根元から乾かす
- 温風と冷風を使い分ける
頭皮マッサージによる血行促進と栄養補給
頭皮マッサージは血行を促進し、毛根へ栄養を届けやすくする効果が期待できます。
シャンプー時や、育毛剤・頭皮用美容液を塗布した際に行うのがおすすめです。指の腹を使って、頭皮全体を優しく揉みほぐしましょう。
ただし、頭皮に炎症や傷がある場合は、刺激を避けるためにマッサージを控えてください。
薄毛リスクを減らすためのパーマ施術時の注意点
パーマによる薄毛のリスクをできる限り低減するためには、施術を受ける際の美容室選びや、美容師とのやり取りが非常に重要になります。
いくつかの注意点を押さえておきましょう。
信頼できる美容師選びとカウンセリングの重要性
経験豊富で、髪や頭皮に関する知識が深い美容師を選ぶことが大切です。
施術前のカウンセリングでは髪の状態や悩み、希望するスタイルをていねいに伝えて美容師からの提案や説明をしっかりと聞きましょう。
疑問点や不安なことは遠慮なく質問し、納得したうえで施術を受けるのが後悔しないためのポイントです。
カウンセリングでの確認事項
確認ポイント | 質問例・確認内容 |
---|---|
髪と頭皮の診断 | 「私の髪質や今のダメージレベルで、このパーマは可能ですか?」 |
薬剤の選定 | 「どのような薬剤を使用しますか?髪への負担はどの程度ですか?」 |
施術後のケア | 「パーマ後の自宅でのケア方法を教えてください。」 |
施術前のパッチテストの実施
特に肌が敏感な方や、過去にアレルギー反応が出たことがある方は、施術前にパッチテスト(皮膚アレルギー試験)を行うと良いです。
パーマ液を少量、腕の内側などの目立たない部分に塗布し、48時間程度様子を見て赤みやかゆみ、発疹などの異常が出ないか確認します。
パッチテストによって、重篤なアレルギー反応を未然に防げます。
頭皮保護剤の使用と薬剤塗布の工夫
美容室によっては、パーマ液が頭皮に直接付着するのを防ぐために、施術前に頭皮保護オイルやクリームを塗布してくれる場合があります。
また、薬剤を塗布する際に根元ギリギリから塗るのではなく、少し離して塗布するなどの工夫で、頭皮への刺激を軽減できます。
これらの対応が可能か、事前に確認しておくと良いでしょう。
施術後のアフターケア指示の遵守
パーマ施術後には美容師から当日のシャンプーの可否や、数日間のケア方法、おすすめのヘアケア製品などについて指示があるはずです。
これらの指示をしっかりと守りましょう。自己判断でケアを怠ると、髪や頭皮の状態を悪化させる可能性があります。
専門クリニックに相談するタイミングと薄毛治療の選択肢
セルフケアだけでは抜け毛や薄毛の改善が見られない場合や、頭皮の異常が続く場合は、専門のクリニックに相談することを検討しましょう。
女性の薄毛の原因はさまざまであり、専門医による正確な診断と適切な治療が大切です。
セルフケアで改善しない場合の受診目安
以下のような状態が続く場合は、一度専門医の診察を受けるのがおすすめです。
- パーマ後、抜け毛が明らかに増え、数週間経っても減らない
- 頭皮のかゆみ、赤み、フケが長期間続く
- 髪が細くなり、地肌が透けて見えるようになってきた
- 市販の育毛剤やヘアケア製品を使っても効果を感じない
女性の薄毛治療専門クリニックで行う検査
専門クリニックではまず問診や視診、触診を行い、髪と頭皮の状態をくわしく調べます。
必要に応じてマイクロスコープによる頭皮拡大観察や血液検査(ホルモンバランスや栄養状態の確認)、毛髪ミネラル検査などを行い、薄毛の原因を特定します。
クリニックでの主な薄毛治療法
治療法 | 概要 | 対象となりやすい方 |
---|---|---|
内服薬治療 | ミノキシジルタブレット、スピロノラクトンなど(医師の処方が必要) | びまん性脱毛症、FAGA(女性男性型脱毛症)の方 |
外用薬治療 | ミノキシジル配合の育毛剤など | 初期の薄毛、抜け毛予防をしたい方 |
注入治療 | 成長因子や栄養成分を頭皮に直接注入(メソセラピー、HARG療法など) | より積極的な発毛効果を期待する方 |
専門的頭皮ケア | クリニックでのスカルプクレンジング、マッサージ、LED照射など | 頭皮環境の改善を目指す方 |
内服薬や外用薬による治療法
女性の薄毛治療ではミノキシジル(発毛効果が認められている成分)の内服薬や外用薬、ホルモンバランスを整えるスピロノラクトンなどの内服薬が用いられます。
これらの薬剤は医師の処方が必要であり、副作用のリスクもあるため、必ず医師の指導のもとで使用します。
クリニックでの専門的な頭皮ケアや注入治療
クリニックでは、薬物治療以外にも、専門的な頭皮ケアや注入治療も行っています。
頭皮の血行を促進し、毛母細胞を活性化させるための成長因子や栄養カクテルを頭皮に直接注入する治療(メソセラピーやHARG療法など)は、より積極的な発毛効果を期待する方に選ばれやすい治療です。
また、医療機関専用の機器を用いたスカルプケアなども、頭皮環境の改善に役立ちます。
パーマと薄毛に関するよくある質問
さいごに、パーマと薄毛に関してよくいただく質問をまとめます。
- パーマをかけたら必ず薄毛になりますか
-
パーマをかけたからといって必ず薄毛になるわけではありません。
しかし、薬剤によるダメージや頭皮への刺激は避けられないため、髪質や頭皮の状態、施術の頻度や方法、アフターケアによっては薄毛のリスクを高める可能性があります。
信頼できる美容師に相談し、適切な施術とケアを心がけることが大切です。
- 薄毛が気になり始めたらパーマはもうできませんか
-
薄毛が気になり始めた場合でも、すぐにパーマが全くできなくなるわけではありません。ただし、髪や頭皮の状態を悪化させないよう、より慎重な判断が必要です。
まずは専門医に相談し、薄毛の原因を特定することをおすすめします。
そのうえで、医師や美容師と相談し、髪や頭皮への負担が少ないパーマの方法(例:部分パーマ、酸性パーマなど)を検討したり、施術間隔を十分に空けたりするなどの対策を講じれば、可能な場合もあります。
- パーマによるダメージヘアは元に戻りますか
-
一度パーマによって化学的に変化し、ダメージを受けた髪の毛そのものが完全に元の健康な状態に戻るのは難しいです。
しかし、適切なトリートメントやヘアケアを行うと手触りや見た目を改善し、ダメージの進行を抑えられます。
また、新しく生えてくる髪を健康に育てることが重要です。ダメージ部分をカットしながら、健康な髪を伸ばしていくことになります。
- 頭皮に優しいパーマ液はありますか
-
従来のパーマ液に比べて刺激が少ないとされる薬剤も開発されています。
例えば、化粧品カーリング料(コスメパーマ)に分類されるものや、弱酸性の薬剤を使用する酸性パーマ、トリートメント成分を多く配合した薬剤などがあります。
ただし、「優しい」といっても全く刺激がないわけではなく、髪質や頭皮の状態によっては合わないケースもあります。美容師とよく相談し、ご自身の状態に合った薬剤を選んでもらいましょう。
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