女性の薄毛隠しに役立つウィッグ選びのポイント

女性の薄毛隠しに役立つウィッグ選びのポイント

女性の薄毛のお悩みに対し、ウィッグは自信を取り戻すための有効な選択肢です。

しかし、いざ選ぶとなると「どう選べばいいかわからない」「不自然に見えないか心配」といった不安を感じる方は少なくないようです。

この記事では、薄毛治療専門クリニックの視点から、ご自身の魅力を引き出し、毎日を心地よく過ごすためのウィッグ選びの重要なポイントを詳しく解説します。

目次

ウィッグが女性の薄毛対策の有力な選択肢となる理由

薄毛の悩みを抱える女性にとって、ウィッグは単に髪を補う道具以上の意味を持ちます。

精神的な負担を軽減し、前向きな気持ちで治療に取り組むための心強いパートナーとなり得るのです。

なぜ多くの方がウィッグを選ぶのか、その理由を掘り下げてみましょう。

すぐに見た目の印象を変えられる安心感

薄毛治療には時間がかかる場合がありますが、ウィッグはその日からすぐに見た目の悩みを解決します。

ヘアスタイルが思うように決まらないストレスから解放され、鏡を見るのが苦痛でなくなる、といった精神的な安定は、生活の質を向上させる上で非常に大きな意味を持ちます。

治療と並行して使える心強さ

クリニックで薄毛治療を進める間も、ウィッグは活躍します。治療効果が現れるまでの期間、髪の状態を気にすることなく社会生活を送れます。

また、頭皮に優しい医療用ウィッグを選べば、治療の妨げになる心配もありません。

治療へのモチベーションを維持する上でも、ウィッグの存在は心強い支えとなります。

ファッションとして楽しむ新しい考え方

最近のウィッグは品質が向上し、非常に自然なものが増えています。

そのため、薄毛を隠すという目的だけでなく、ファッションの一部としてヘアスタイルを気軽に変えるためのアイテムとして楽しむ方も増えています。

普段はできないような髪型やカラーに挑戦できるのも、ウィッグならではの魅力です。

ウィッグ選びで失敗しないための基礎知識

自分に合うウィッグを見つけるためには、まず基本的な知識を身につけることが大切です。

ウィッグの種類や素材、購入方法などを知ると選択肢が広がり、より的確な判断ができます。

ウィッグの種類とそれぞれの特徴

ウィッグは、カバーする範囲によって大きく二つに分けられます。

それぞれの特徴を理解し、ご自身の悩みの範囲や目的に合わせて選ぶのが第一歩です。

主なウィッグの種類と用途

種類カバー範囲主な用途
フルウィッグ頭部全体全体的な薄毛や脱毛症、髪型の大幅な変更
部分ウィッグ(ヘアピース)頭頂部や分け目など部分的つむじ周りのボリュームアップ、白髪隠し
エクステンション地毛に装着長さやボリュームを部分的に追加

素材による違いを理解する

ウィッグの髪の毛に使われる素材は、主に「人毛」「人工毛」「ミックス毛」の3種類です。

それぞれにメリット・デメリットがあり、見た目の自然さや手入れのしやすさ、価格が異なります。ご自身の生活スタイルや何を重視するかで選びましょう。

ウィッグの素材別比較

素材長所短所
人毛非常に自然な見た目と手触り。パーマやカラーリングが可能。価格が高め。お手入れに手間がかかり、色褪せすることがある。
人工毛スタイルが崩れにくく手入れが簡単。比較的安価。熱に弱く、不自然な光沢が出ることがある。テカリが気になる場合も。
ミックス毛人毛の自然さと人工毛の扱いやすさを両立。人毛100%よりは自然さで劣る場合がある。価格は中程度。

既製品・セミオーダー・フルオーダーの違い

ウィッグの購入方法には、既製品、セミオーダー、フルオーダーの3つの形式があります。

予算や求めるフィット感、こだわりに応じて適した方法を選びましょう。

購入方法による特徴の違い

購入方法特徴価格帯
既製品完成品を購入。すぐに手に入るが、フィット感は個人差あり。手頃
セミオーダー既製品をベースに、カットやサイズ調整を行う。中程度
フルオーダー頭の型を取り、髪質や色、スタイルなど全て希望通りに製作。高価

自然に見せるためのウィッグ選びの重要ポイント

ウィッグだと気づかれたくない、というのが多くの方の本音でしょう。自然に見せるためには、いくつかの重要なポイントがあります。

細部にまでこだわると、ウィッグは地毛のように馴染みます。

サイズ選びが最も重要

ウィッグが不自然に見える最大の原因は、サイズの不一致です。大きすぎると浮いてしまったり、小さすぎると頭が痛くなったりします。

購入前には必ず頭のサイズを正確に測りましょう。特に、耳の上からうなじの生え際を通る周囲の長さは、フィット感を左右する大切な指標です。

つむじと分け目の自然さを見極める

つむじや分け目は、他人の視線が集まりやすい部分です。この部分の作りがウィッグの自然さを決定づけます。

人工皮膚(スキン)付きのウィッグは地肌から髪が生えているように見え、非常に自然です。試着の際には、上からの見た目も忘れずにチェックしましょう。

自然なつむじ・分け目のチェック

  • 人工皮膚(スキン)の有無
  • 髪の植え方が手植えか機械植えか
  • 分け目を自由に変えられるか
  • 上から見たときのテカリ具合

髪の色と質感を地毛に合わせる

部分ウィッグの場合はもちろん、フルウィッグでも顔周りから見える地毛や眉毛の色と、ウィッグの髪色が合っていないと不自然に見えます。

完全に同じ色でなくても、近い色調のグラデーションカラーを選ぶなど、馴染ませる工夫が必要です。

また、髪のツヤ感やうねりなどの質感も、ご自身の髪質に近いものを選ぶと一体感が出ます。

顔周りのカットで馴染ませる

購入したウィッグをそのまま使うのではなく、ご自身の輪郭や雰囲気に合わせて美容師にカットしてもらうことを推奨します。

前髪や顔周りの毛流れを調整するだけでも、驚くほど自然に馴染みます。「似合わせカット」は、ウィッグを自分だけの一点ものにするための大切な仕上げです。

ウィッグの価格帯と品質の関係

ウィッグの価格は数千円のものから数十万円のものまで幅広く、何が違うのか分かりにくいかもしれません。

価格を決定する要素を知り、ご自身の予算と求める品質のバランスを見つけることが賢い選択に繋がります。

価格は何で決まるのか

ウィッグの価格は、主に「素材(人毛か人工毛か)」「製法(手植えか機械植えか)」「オーダー形式(既製品かオーダーメイドか)」という3つの要素の組み合わせで決まります。

一般的に、人毛を100%使用し、職人が手作業で一本一本植え付けたフルオーダーのウィッグが最も高価になります。

価格を左右する主な要因

  • 髪の素材(人毛>ミックス毛>人工毛)
  • 製法(総手植え>部分手植え>機械植え)
  • オーダー形式(フルオーダー>セミオーダー>既製品)

安価なウィッグと高価なウィッグの差

価格の差は、主に見た目の自然さや快適性、耐久性に現れます。

高価なウィッグは、つむじや生え際が精巧に作られており、通気性の良いベース素材を使用しているため、長時間の着用でも快適です。

一方、安価なウィッグは機械植えが多く、スタイルが固定されている、テカリが強いなどの傾向があります。

ただし、短時間の使用やファッション目的であれば、安価なものでも十分に役立つ場合があります。

価格帯による特徴の目安

価格帯主な特徴おすすめの用途
1万円~5万円人工毛の既製品が中心。ファッション性が高い。短時間の使用、イベント、お試し
5万円~20万円ミックス毛や人毛の既製品・セミオーダー。自然さが向上。日常使いのスタート、部分ウィッグ
20万円以上人毛100%のオーダーメイドが中心。最高の自然さとフィット感。毎日長時間使用する方、こだわりが強い方

予算内で納得のいく選択をするためのヒント

最も高価なウィッグが、必ずしも自分にとって最良の選択とは限りません。

例えば、「平日は手入れの楽な人工毛、休日のお出かけには自然な人毛」というように、複数のウィッグを使い分けるのも一つの方法です。

ご自身の生活スタイルや使用頻度を考慮し、どこにお金をかけるべきか優先順位を考えることが大切です。専門店のスタッフに予算を伝え、その範囲内で提案を受けるのがおすすめです。

日常生活でのウィッグの取り扱いとメンテナンス

お気に入りのウィッグを長く快適に使い続けるためには、日々の正しいお手入れが重要です。少しの手間をかけると、ウィッグの寿命が大きく変わります。

正しい装着方法と外し方

ウィッグを安定して装着するためには、まず地毛をきれいにまとめることが大切です。専用のウィッグネットを使うと、凹凸がなくなり、ウィッグがずれにくくなります。

装着する際はウィッグのフロント部分を額の生え際に合わせ、後頭部へとスライドさせるように被ると自然な位置に収まります。

長持ちさせるためのシャンプーと保管方法

ウィッグは専用のシャンプーとトリートメントを使い、優しく押し洗いするのが基本です。ゴシゴシこすると、髪が絡まったり抜けたりする原因になります。

洗浄後はタオルで優しく水分を拭き取り、専用スタンドで自然乾燥させます。保管時もこのスタンドを使うと、スタイルが崩れるのを防げます。

基本のメンテナンス用品

アイテム目的使用頻度の目安
専用ブラシ静電気を防ぎ、絡まりを優しくほぐす毎日
専用シャンプー・トリートメントウィッグの素材を傷めずに洗浄・保護する10日~2週間に1回
ウィッグスタンド型崩れを防ぎ、通気性を保つ毎日(保管時)

夏場の蒸れや冬の静電気対策

夏場は通気性の良いベースキャップを選んだり、インナーキャップに接触冷感素材のものを使ったりすると蒸れを軽減できます。

冬場は乾燥による静電気が起きやすくなるため、専用のオイルスプレーなどで潤いを与え、静電気防止効果のあるブラシを使うと効果的です。

ウィッグ購入時の相談先と選び方

初めてウィッグを購入する際は、どこで誰に相談すれば良いか迷うものです。信頼できる相談先を見つけることが、満足のいくウィッグ選びに繋がります。

専門サロンと医療用ウィッグ専門店の違い

一般的なウィッグの専門サロンはファッション性を重視する傾向があり、医療用ウィッグ専門店は頭皮への優しさや見た目の自然さ、アフターフォローを手厚くしているところが多いです。

薄毛治療中の方や肌が敏感な方は、医療用ウィッグの規格(JIS規格など)を満たした製品を扱う専門店に相談すると安心です。

オンライン購入のメリットと注意点

オンラインショップは品揃えが豊富で価格も比較しやすく、手軽に購入できるのがメリットです。しかし、試着ができないため、サイズや色がイメージと違うというリスクも伴います。

返品・交換ポリシーを事前にしっかり確認することが重要です。初めての方は、一度実店舗で試着をしてから、似たタイプをオンラインで探すという方法も良いでしょう。

オンライン購入時のチェックポイント

  • 詳細なサイズ表記(頭周り、前髪の長さなど)
  • モデル着用画像だけでなく、商品単体の画像
  • 返品・交換の条件
  • 購入者のレビュー

試着の重要性とチェック項目

可能な限り、購入前には試着をしましょう。

試着では、フィット感はもちろん、様々な角度から見たときの自然さや、実際に首を振ったり下を向いたりしたときの安定感を確認します。

試着時のチェックポイント

チェック項目確認するポイント
フィット感締め付けはきつくないか。浮いている部分はないか。
自然さつむじ、分け目、生え際は自然か。毛量や髪のツヤはどうか。
安定性軽く頭を振ってもずれないか。下を向いても落ちそうにならないか。

ウィッグ生活で心が軽くなるための視点転換

ウィッグの機能的な選び方も重要ですが、ウィッグと付き合う「心」の側面も同じくらい大切です。

ウィッグは「隠す」から「魅せる」へ

薄毛を「隠すため」にウィッグを着ける、と考えると少し憂鬱な気持ちになるかもしれません。

しかし、発想を転換してみましょう。ウィッグを「新しいヘアスタイルを楽しむためのファッションアイテム」と捉えるのです。

洋服やアクセサリーを選ぶように、その日の気分で髪型を変える、といった考え方の転換が、ウィッグ生活をポジティブなものに変える第一歩です。

周囲への伝え方、伝えないという選択

「ウィッグであることを周りに言うべきか」と悩む方もいます。答えは一つではありません。信頼できる家族や友人だけに打ち明ける、あるいは誰にも言わない、どちらも自由な選択です。

大切なのは、あなた自身が心地よいと感じるスタンスでいることです。カミングアウトするかどうかは、心の準備ができたときで良いのです。

ウィッグだからこそできるヘアスタイルの冒険

地毛では挑戦しにくいような大胆なカラーや、伸ばすのに時間がかかるロングヘアも、ウィッグなら一瞬で手に入れられます。

薄毛の悩みがあったからこそ出会えた、新しい自分を発見する機会と捉えられます。ウィッグを、自分の個性を表現するツールとして活用してみましょう。

ウィッグで楽しむヘアスタイル

挑戦したいスタイルウィッグのメリット楽しむポイント
明るいヘアカラー地毛を傷めずに試せるインナーカラーやハイライトで遊ぶ
ショートからロングへ瞬時にイメージチェンジが可能アレンジの幅が広がる
パーマスタイル毎日のセットが不要カールが取れる心配がない

よくある質問(Q&A)

さいごに、ウィッグに関して患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

ウィッグを着けたままスポーツはできますか?

可能です。ただし、汗をかくため通気性の良いインナーキャップを着用し、ウィッグの内側に固定用のテープやクリップを追加すると、より安心して楽しめます。

スポーツの後は、ウィッグもご自身の頭皮もしっかりと洗浄・乾燥させることが大切です。

周囲に気づかれないか心配です

現在の高品質な医療用ウィッグは、至近距離で見てもウィッグだと判別するのが難しいほど精巧に作られています。

特に、ご自身のサイズにぴったり合い、顔周りのカットを施したウィッグは非常に自然に馴染みます。

最初はご自身が見慣れないため違和感があるかもしれませんが、次第に自分のものとして受け入れられる方がほとんどです。

医療費控除の対象になりますか?

がん治療など、特定の治療に伴う脱毛のために購入した医療用ウィッグは、医師の証明書があれば医療費控除の対象となる場合があります。

しかし、加齢や一般的な女性型脱毛症(FAGA)などを理由とする場合は、対象外となるのが一般的です。詳しくは、お住まいの地域を管轄する税務署や、専門の税理士にご確認ください。

どのくらいの期間使えますか?

ウィッグの寿命は、素材や使用頻度、メンテナンスの状況によって大きく異なります。毎日使用する場合、人工毛で約1年、人毛で約1年半から2年が一般的な目安とされています。

丁寧にお手入れをすると、より長く良い状態を保つことが可能です。スタイルが崩れてきたり、髪が縮れてきたりしたら、買い替えのサインです。

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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