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抜け毛が急に増えた女性へ|ストレスとの関係と対処法

抜け毛が急に増えた女性へ|ストレスとの関係と対処法

シャンプーやブラッシングの際に抜け毛が急に増えたと感じ、不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

女性にとって髪は大切なものであり、その変化は大きな悩みにつながります。

この記事では、女性の抜け毛が急に増える原因、特にストレスとの関係、そしてご自身でできる対処法や専門的な治療について詳しく解説します。

目次

抜け毛が急に増えた女性がまず知っておきたいこと

抜け毛の増加に気づくと、多くの方が心配になるでしょう。しかし、まずは落ち着いて抜け毛に関する基本的な知識を理解することが大切です。

抜け毛は誰にでも起こる自然な現象

髪の毛にはヘアサイクル(毛周期)があり、「成長期」「退行期」「休止期」を経て自然に抜け落ち、新しい髪が生えてきます。

健康な人でも1日に50本から100本程度の髪は抜けており、これは生理的な現象です。

季節の変わり目やホルモンバランスの影響で一時的に増えるときもあります。

「急に増えた」と感じる目安とは

「急に増えた」と感じる量には個人差がありますが、一般的には以前と比べて明らかに抜け毛の量が増え、それが数週間以上続く場合や、排水溝にたまる髪の量が倍以上になった、枕に付着する髪の毛が目立つようになったなどが目安となります。

また、髪全体のボリュームが減った、地肌が透けて見えるようになったなども注意が必要なサインです。

  • 排水溝にたまる髪の量が明らかに増えた
  • 枕やブラシにつく髪の毛が以前より多い
  • 髪をとかした際に手にごっそりつく

女性の抜け毛|特有の原因とパターン

女性の抜け毛は、男性とは異なる原因やパターンを示す場合があります。

びまん性脱毛症のように頭部全体の髪が薄くなるケースや、分娩後脱毛症、牽引性脱毛症など、女性特有の生活スタイルやホルモン変動に関連するものも存在します。

これらの原因を正しく理解するのが、適切な対策への第一歩です。

不安を抱え込まず専門医への相談が大切

抜け毛の原因は多岐にわたり、自己判断で対処しようとしてかえって悪化させてしまう方も見受けられます。

抜け毛が続く、量が多い、地肌が目立つなど、気になる症状があれば、早めに皮膚科や女性の薄毛治療を専門とするクリニックに相談しましょう。

専門医が髪や頭皮の状態を正確に診断し、適切なアドバイスや治療法を提案してくれます。

ストレスと抜け毛の密接な関係|なぜストレスで髪が抜けるの?

現代社会において、ストレスは避けられないものと言っても過言ではありません。

しかし、過度なストレスは心身に様々な影響を及ぼし、抜け毛の大きな原因の一つとなります。

ストレスが自律神経を乱す仕組み

強いストレスを感じると、交感神経が優位になり自律神経のバランスが乱れます。

交感神経は血管を収縮させる働きがあるため、頭皮の血行が悪化しやすくなります。

この状態が続くと、髪の成長に必要な栄養や酸素が毛根に十分に行き渡らなくなり、抜け毛を引き起こすと考えられています。

ストレスが引き起こす可能性のある身体症状

症状の系統具体的な症状例髪への影響
自律神経系頭痛、めまい、動悸、不眠血行不良、成長阻害
ホルモン系月経不順、ホルモンバランスの乱れヘアサイクルの乱れ
消化器系食欲不振、胃痛、便秘、下痢栄養吸収の低下

血行不良が頭皮環境を悪化させる

前述の通り、ストレスによる自律神経の乱れは頭皮の血行不良を招きます。血行が悪くなると毛母細胞の活動が低下し、健康な髪の毛が育ちにくくなります。

また、頭皮の新陳代謝も滞り、フケやかゆみといった頭皮トラブルも発生しやすくなり、抜け毛を助長する可能性があります。

ホルモンバランスの乱れと抜け毛

ストレスは女性ホルモンのバランスにも影響を与えます。

女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、髪の成長を促進してハリやコシを保つ働きがあります。

しかし、ストレスによってホルモンバランスが崩れるとエストロゲンの分泌が減少し、相対的に男性ホルモンの影響が強まるときがあります。そのためヘアサイクルが乱れ、抜け毛が増えると考えられています。

ストレスによる睡眠不足と髪への影響

ストレスを抱えていると、寝つきが悪くなったり眠りが浅くなったりと、睡眠の質が低下しがちです。

髪の成長に重要な成長ホルモンは、主に睡眠中に分泌されます。

睡眠不足が続くと成長ホルモンの分泌が減少し、髪の成長が妨げられて抜け毛につながります。

もしかしてストレス以外の原因?考えられる抜け毛の要因

ストレスは抜け毛の大きな原因ですが、それ以外にも様々な要因が考えられます。ご自身の状況と照らし合わせながら、他の可能性も視野に入れてみましょう。

加齢によるホルモンバランスの変化(FAGAなど)

女性も加齢に伴い女性ホルモンの分泌量が減少し、ホルモンバランスが変化します。

特に更年期以降は、女性男性型脱毛症(FAGA: Female Androgenetic Alopecia)を発症しやすいです。

FAGAは頭頂部を中心に髪が薄くなるのが特徴で、進行性の脱毛症です。

誤ったヘアケアや頭皮への負担

洗浄力の強すぎるシャンプーの使用、頻繁なカラーリングやパーマ、過度なブラッシング、ポニーテールなど髪を強く引っ張る髪型は頭皮や髪にダメージを与え、抜け毛の原因となります。

自分に合ったヘアケア製品を選び、優しくケアしましょう。

  • 洗浄力の強すぎるシャンプー
  • 頻繁なカラーリング・パーマ
  • 髪を強く引っ張る髪型

栄養バランスの偏りと食生活の乱れ

髪の主成分はタンパク質であり、健康な髪を育むためにはビタミンやミネラルなど様々な栄養素が必要です。

無理なダイエットや偏った食生活、外食やインスタント食品中心の生活は髪に必要な栄養素の不足を招き、抜け毛を引き起こす可能性があります。

主な女性の抜け毛の原因と特徴

脱毛症の種類主な原因特徴的な症状
びまん性脱毛症ストレス、加齢、栄養不足など頭部全体の髪が均等に薄くなる
FAGA(女性男性型脱毛症)加齢によるホルモンバランスの変化頭頂部や分け目が薄くなる
分娩後脱毛症出産後のホルモンバランスの急激な変化産後数ヶ月で抜け毛が増加、自然回復が多い
牽引性脱毛症髪を強く引っ張る髪型生え際や分け目が薄くなる

甲状腺疾患など病気が隠れている可能性

甲状腺機能亢進症や低下症といった甲状腺の病気、膠原病や鉄欠乏性貧血なども、抜け毛の原因となる場合があります。

急激な抜け毛の増加や、他に体調不良があるときは内科を受診し、病気の可能性も考慮することが重要です。

あなたの抜け毛はどのタイプ?セルフチェックと見分け方

抜け毛の原因を特定するためには、まずご自身の抜け毛の状態を客観的に把握すると役立ちます。いくつかのポイントをチェックしてみましょう。

抜け毛の量や質の変化を観察する

毎日どのくらいの量の髪が抜けているか、おおよそで良いので把握しましょう。

また、抜けた髪の毛の太さやハリ、毛根の状態(毛根に白いものが付着しているか、細くなっているかなど)も確認します。

細く短い毛が多い場合は、ヘアサイクルが乱れている可能性があります。

頭皮の状態(色、かゆみ、フケなど)を確認する

健康な頭皮は青白い色をしていますが、赤みがかっていたり乾燥してフケが多かったり、逆にかゆみやベタつきがある場合は頭皮環境が悪化しているサインです。

頭皮トラブルは抜け毛に直結するため、注意深く観察しましょう。

抜け毛以外の身体のサインに注意する

抜け毛だけでなく、体調に変化はないかも重要なポイントです。

例えば、疲労感や体重の増減、肌荒れや爪の異常、月経不順など他の症状がある場合はそれが抜け毛の原因究明の手がかりになるときがあります。

抜け毛のタイプ別特徴

観察ポイント健康な状態注意が必要な状態
抜け毛の量(1日)50~100本程度200本以上、または急激な増加
抜けた毛の太さ太くしっかりしている細く短い毛が多い
頭皮の色青白い赤い、茶色っぽい

抜け毛を減らすために今日からできるセルフケア

専門的な治療も大切ですが、日々の生活習慣を見直すと、抜け毛の予防や改善につながります。

ストレスを溜めない生活習慣の工夫

ストレスを完全になくすのは難しいですが、上手にコントロールすることは可能です。

自分に合ったリフレッシュ方法を見つけ、意識的に休息を取りましょう。

趣味の時間を持つ、適度な運動をする、友人と話すなど、心身をリラックスさせる習慣を取り入れると良いです。

  • 十分な睡眠時間を確保する
  • バランスの取れた食事を心がける
  • 適度な運動を取り入れる
  • 趣味やリラックスできる時間を持つ

質の高い睡眠を確保する方法

髪の成長には質の高い睡眠が必要です。寝る前にカフェインを摂取しない、スマートフォンやパソコンの使用を控える、寝室の環境を整えるといった工夫で、睡眠の質を高められます。

毎日同じ時間に寝起きするなど、規則正しい生活リズムも重要です。

髪と頭皮に優しいヘアケアの見直し

シャンプーはアミノ酸系などマイルドな洗浄成分のものを選び、爪を立てずに指の腹で優しく洗いましょう。すすぎ残しは頭皮トラブルの原因になるため、しっかりと洗い流します。

ドライヤーは髪から20cm程度離し、同じ場所に熱風を当て続けないように注意してください。

自然乾燥は雑菌の繁殖を招きやすいため、早めに乾かすと良いです。

頭皮マッサージの基本の流れ

流れ方法ポイント
1. 指の腹で押さえる頭部全体を指の腹で優しく押さえるリラックスして行う
2. 円を描くように揉む生え際から頭頂部へ向かって円を描くように揉む爪を立てない
3. 頭皮を引き上げる側頭部や後頭部の頭皮を優しく引き上げる血行促進を意識する

食生活で改善する抜け毛対策|髪に必要な栄養素とは

健康な髪は、バランスの取れた食事から作られます。特に髪の成長に欠かせない栄養素を意識して摂取すると、抜け毛対策につながります。

タンパク質の重要性と摂取のポイント

髪の約90%はケラチンというタンパク質でできています。そのため、良質なタンパク質の摂取が非常に重要です。

肉や魚、卵や大豆製品などをバランス良く食事に取り入れましょう。

一度に大量に摂取するよりも、毎食定期的に摂ると効果的です。

ビタミン・ミネラル不足が招く髪のトラブル

ビタミンやミネラルは、タンパク質の働きを助けて頭皮環境を整えるために必要です。

なかでも亜鉛は髪の主成分であるケラチンの合成に、ビタミンB群は頭皮の新陳代謝を促すのに役立ちます。ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、ビタミンEは血行を促進します。

これらの栄養素を緑黄色野菜や果物、海藻類などから積極的に摂取しましょう。

髪の成長をサポートする栄養素

栄養素多く含む食品例主な働き
タンパク質肉、魚、卵、大豆製品髪の主成分を作る
亜鉛牡蠣、レバー、牛肉ケラチンの合成を助ける
ビタミンB群レバー、魚介類、緑黄色野菜頭皮の新陳代謝を促す

バランスの取れた食事メニューの提案

主食、主菜、副菜を揃え、多様な食材から栄養を摂るように心がけましょう。

例えば、ご飯(主食)、焼き魚(主菜:タンパク質、ビタミンD)、ほうれん草のおひたし(副菜:ビタミン、ミネラル)、豆腐とわかめの味噌汁(タンパク質、ミネラル)といった組み合わせは、髪に必要な栄養素をバランス良く摂取できます。

特定の食品に偏らず、彩り豊かな食卓を目指すと良いでしょう。

女性の薄毛治療専門クリニックでできること

セルフケアだけでは改善が見られないときや、原因が特定できない場合は専門クリニックでの治療を検討しましょう。

クリニックでは、医学的根拠に基づいた様々な取り組みで抜け毛・薄毛の改善を目指します。

専門医による正確な診断と原因究明

クリニックでは問診や視診、マイクロスコープによる頭皮チェック、血液検査などを行い、抜け毛の原因を正確に診断します。

ストレスやホルモンバランス、生活習慣や遺伝的要因、病気の可能性など、多角的に原因を探って一人ひとりに合った治療計画を立てます。

内服薬・外用薬による治療法

診断結果に基づき、医学的に効果が認められている内服薬や外用薬を用いた治療が行われます。

代表的なものには、ミノキシジル(外用薬)やスピロノラクトン(内服薬)などがあります。

これらの薬剤は、毛母細胞を活性化させたり、ホルモンバランスを整えたりするもので、発毛を促進して抜け毛を抑制する効果が期待できます。

主な治療薬の種類と特徴

薬剤名(成分名)主な効果使用方法の例
ミノキシジル血行促進、毛母細胞活性化頭皮への塗布(外用薬)
スピロノラクトン抗アンドロゲン作用内服
各種ビタミン剤・サプリメント栄養補給、頭皮環境改善内服

頭皮への直接アプローチ|メソセラピーとは

メソセラピーは、髪の成長に必要な有効成分(ビタミン、ミネラル、アミノ酸、成長因子など)を、注射や特殊な機器を用いて頭皮に直接注入する治療法です。

有効成分を毛根にダイレクトに届けるため、より発毛効果や育毛効果を実感しやすいとされています。内服薬や外用薬と併用すると相乗効果も望めます。

治療を続けながら生活習慣で見直したいポイント

治療を続けている間も、生活習慣の見直しと改善を継続しましょう。睡眠や運動は、ストレス軽減にもつながります。

項目具体的な見直しポイント髪への好影響
睡眠毎日6-8時間の質の高い睡眠を確保成長ホルモンの分泌促進
食事タンパク質、ビタミン、ミネラルをバランス良く摂取髪の栄養補給、頭皮環境改善
運動ウォーキングなど適度な有酸素運動を習慣化血行促進、ストレス解消

よくある質問

抜け毛が急に増えたときは、「このままはげてしまうのではないか」と心配になる女性も多いです。

季節の変わり目やホルモンバランスの影響など、一時的なものであればそこまで心配する必要はありません。また、ストレスが原因であればストレスを軽減させるとゆっくり改善していきます。

ただ、なかには他の病気が隠れていいる可能性もありますので、早めにクリニックに相談しましょう。

治療を始めたらすぐに効果は出ますか?

効果の現れ方には個人差がありますが、一般的に治療効果を実感するまでには3ヶ月から6ヶ月程度の期間が必要です。

ヘアサイクルには時間がかかるため、根気強く治療を続けることが大切です。医師の指示に従い、定期的に通院しましょう。

治療の費用はどのくらいかかりますか?

治療内容や期間によって費用は異なります。多くの女性の薄毛治療は自由診療となるため、健康保険は適用されません。

初診料や検査費用、薬剤費や施術費などがかかり、内服薬・外用薬は月々数千円から3万円程度が目安です。

カウンセリングの際に、具体的な費用についてしっかりと確認しておきましょう。

治療薬に副作用はありますか?

どのような薬剤であっても副作用のリスクはゼロではありません。

ミノキシジル外用薬では初期脱毛やかゆみ、かぶれなどが報告されています。スピロノラクトンでは、月経不順や乳房痛などが起こる場合があります。

治療開始前に医師から十分な説明を受け、理解した上で治療を進めることが重要です。異変を感じたときは、すぐに医師に相談してください。

生活習慣の改善だけで抜け毛は治りますか?

軽度の抜け毛や一時的なものであれば、生活習慣の改善(ストレス管理、バランスの取れた食事、十分な睡眠、適切なヘアケアなど)で改善が見られるケースもあります。

しかし、FAGAのように進行性の脱毛症や、何らかの疾患が原因である場合は専門的な治療が必要です。

自己判断せずに、まずは専門医に相談し、適切なアドバイスを受けるのが賢明です。

参考文献

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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