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枕に残る抜け毛の本数から判断する女性の薄毛リスクと対策

枕に残る抜け毛の本数から判断する女性の薄毛リスクと対策

朝、枕を見て想像以上の抜け毛に驚き、不安になった経験はありませんか。

枕元の抜け毛に「昨日より抜け毛が多い気がする」「このまま薄毛になってしまうのだろうか」と、心配する女性は少なくないようです。

枕に残された抜け毛は、あなたの髪と頭皮が発している重要なサインかもしれません。

この記事では、枕の抜け毛の本数からご自身の薄毛リスクを判断する方法、女性特有の抜け毛の原因、そして今日から始められる具体的な対策まで、専門的な知見から詳しく解説します。

目次

枕の抜け毛、何本からが危険信号?

毎朝の枕の上に散らばる髪の毛が多いと、誰でも気になるものです。

しかし、髪の毛が抜けること自体は生理現象の一部であり、過度に心配する必要がない場合もあります。

大切なのは、その本数が正常の範囲内なのか、それとも注意が必要なレベルなのかを見極めることです。

朝起きたら枕に抜け毛が…これって普通?

髪にはヘアサイクル(毛周期)があり、健康な人でも1日に50本から100本程度の髪が自然に抜けています。

このうちの何本かが、就寝中に枕との摩擦などで抜けて枕に残るのはごく自然なことです。

そのため、枕に数本の抜け毛があること自体を問題視する必要はありません。

20本は危険?枕の抜け毛本数の危険度チェック

では、具体的に何本から注意が必要なのでしょうか。

明確な基準はありませんが、継続的に20本以上の抜け毛が枕にある場合は、一度頭皮環境や生活習慣を見直すきっかけと考えるのが良いでしょう。

枕の抜け毛本数から見る注意レベル

枕の抜け毛の本数(目安)注意レベル考えられる状態
5~15本程度低いヘアサイクルによる自然な抜け毛の範囲内と考えられます。
20~30本程度中程度抜け毛が増え始めている可能性があります。生活習慣などを見直しましょう。
40本以上高い何らかの薄毛のサインである可能性が高いです。早めの対策が重要です。

抜け毛の本数だけでなく「毛質」にも注意

本数とあわせて確認したいのが、抜けた毛の「質」です。枕に残った毛をよく観察してみてください。

もし、細く短い毛や、毛根部分が小さく弱々しい毛が多い場合は注意が必要です。

これらは、髪が十分に成長しきる前に抜けてしまっているサインであり、ヘアサイクルの乱れを示唆しています。

季節によって抜け毛の本数は変動する

抜け毛は一年を通して一定ではありません。特に、夏から秋にかけては抜け毛が増加する傾向があります。

これは、夏の間に浴びた紫外線による頭皮ダメージや、夏バテによる栄養不足、気候の変動などが影響するためです。

季節的な要因も考慮して、一時的な増加なのか、慢性的なものなのかを判断すると良いです。

女性の抜け毛が増える原因

女性の抜け毛や薄毛は男性とは異なる、より複雑な要因が絡み合って起こります。

一つの原因だけではなく、複数の要因が重なっているケースも少なくありません。

ホルモンバランスの乱れ

女性ホルモンの一つである「エストロゲン」は、髪の成長を促進してハリやコシを保つ働きをしています。

しかし、妊娠・出産や更年期、ストレスや過度なダイエットなどによってエストロゲンの分泌が減少すると相対的に男性ホルモンの影響が強まり、ヘアサイクルが乱れて抜け毛が増加します。

これは「FAGA(女性男性型脱毛症)」の主要な原因の一つです。

生活習慣の乱れと栄養不足

髪は、私たちが食べたものから作られます。特にタンパク質やビタミン、ミネラル(亜鉛)は健康な髪の育成に重要です。

偏った食事や無理なダイエットは髪に必要な栄養を不足させ、抜け毛を招きます。

また、睡眠不足や喫煙、運動不足も血行不良を引き起こし、頭皮に十分な栄養を届けられなくする原因となります。

髪の健康に必要な栄養素

栄養素主な働き多く含む食品例
タンパク質髪の主成分(ケラチン)を作る肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛タンパク質の合成を助ける牡蠣、レバー、牛肉
ビタミンB群頭皮の新陳代謝を促す豚肉、うなぎ、玄米

ストレスの影響

心身に過度なストレスがかかると、自律神経が乱れて血管が収縮します。

この状態が続くと頭皮の血行が悪化し、毛根にある毛母細胞の働きが低下してしまいます。

この血行不良により髪への栄養供給が滞り、結果として抜け毛や薄毛につながるケースがあります。

また、ストレスはホルモンバランスを乱す一因にもなります。

1日の抜け毛本数の正常範囲と枕に残る本数の関係

枕の抜け毛の本数だけで一喜一憂するのではなく、1日全体の抜け毛の中でそれがどのくらいの割合を占めるのか、という視点を持つことが重要です。

全体の抜け毛を把握すると、より客観的にご自身の状態を判断できます。

1日の抜け毛はどこで発生しているか

1日に抜ける50本から100本の髪は、様々な場面で抜けています。

最も多いのがシャンプー時で、全体の約半分以上がこの時に抜けると言われています。

その他、ブラッシングや手ぐし、そして何もしていない時にも自然に抜け落ちています。

1日の抜け毛が発生する主な場面

場面抜け毛の割合(目安)特徴
シャンプー時約50~70%頭皮を洗う刺激で、すでに寿命を迎えていた髪が抜けます。
ドライヤー・ブラッシング時約10~20%物理的な摩擦や牽引によって抜けます。
睡眠中(枕)や日中約10~30%自然に抜け落ちたり、軽い摩擦で抜けたりします。

シャンプー時の抜け毛を数えてみる

1日のおおよその抜け毛本数を把握する最も簡単な方法は、シャンプー時の抜け毛を数えることです。

排水溝にたまった髪の毛を一度集めて、おおよその本数を確認してみましょう。

もし、この時に抜ける本数が毎日100本を超えるようであれば、ヘアサイクルが乱れている可能性があります。

枕の抜け毛と1日全体の抜け毛の関係性

枕の抜け毛は、あくまで1日全体の抜け毛の一部です。

例えば、枕の抜け毛が20本あっても、シャンプー時の抜け毛が30本程度であれば合計は50本となり、正常範囲内と判断できます。

逆に、枕の抜け毛は10本でも、シャンプー時に100本以上抜けている場合は注意が必要です。

部分的な情報だけでなく、全体像で判断しましょう。

見過ごせない女性の薄毛につながるサイン

抜け毛の本数以外にも、薄毛が進行する前に現れるサインがあります。

これらの変化に早期に気づくと、効果的な対策につながります。ご自身の髪や頭皮をチェックしてみましょう。

髪質の変化

以前と比べて髪にハリやコシがなくなった、髪が細く柔らかくなった、うねりやパサつきが気になるといった変化は髪が弱っているサインです。

栄養不足や血行不良により、健康な髪が育ちにくくなっている可能性があります。

  • 髪のボリュームが減った
  • 分け目が目立つようになった
  • 地肌が透けて見える
  • 髪のセットがしにくくなった

頭皮の状態の変化

健康な頭皮は青白い色をしていますが、赤みやかゆみ、乾燥、あるいは逆にベタつきがある場合は頭皮環境が悪化している証拠です。

頭皮トラブルは、健康な髪の成長を妨げる大きな要因です。

頭皮のトラブルと原因

頭皮の症状考えられる原因
赤み・かゆみ炎症、乾燥、シャンプーのすすぎ残し
フケ乾燥、皮脂の過剰分泌、常在菌の異常繁殖
ベタつき・ニオイ皮脂の過剰分泌、ホルモンバランスの乱れ

特定の部位の薄毛

女性の薄毛は男性のように生え際が後退するのではなく、頭頂部や分け目を中心に全体的に髪の密度が低下する「びまん性脱毛症」が特徴です。

分け目が以前より広がってきた、頭頂部の地肌が目立つようになったと感じるときは、薄毛が進行している可能性があります。

枕の選び方一つで変わる?抜け毛と睡眠環境の深い関係

抜け毛対策というと食事やヘアケアに目が行きがちですが、実は毎日6時間以上も頭を預ける「枕」と「睡眠環境」も、頭皮と髪の健康に深く関わっています。

枕の素材と髪への摩擦

私たちは、一晩に20回以上も寝返りを打つと言われています。そのたびに髪と枕は擦れ合い、摩擦が生じます。

この摩擦がキューティクルを傷つけ、切れ毛や抜け毛の原因になるケースがあります。

特に、化学繊維などの硬い素材は摩擦が大きくなる傾向があります。

枕の素材別メリット・デメリット

枕の素材髪への影響(メリット)髪への影響(デメリット)
シルク滑らかで摩擦が少なく、静電気が起きにくい。高価で、手入れに手間がかかる。
コットン(綿)吸湿性が高い。摩擦がやや大きく、乾きにくい。
ポリエステルわた安価で洗える。静電気が起きやすく、摩擦が大きいものもある。

枕の高さ・硬さと頭皮の血行

合わない高さや硬さの枕は首や肩に負担をかけ、筋肉のこりを引き起こします。

首周りの筋肉が緊張すると頭部へと向かう血管が圧迫され、頭皮の血行不良を招きます。

血行が悪くなれば髪の成長に必要な酸素や栄養素が毛根まで届きにくくなり、抜け毛や薄毛を助長する原因となります。

理想は、立った時と同じ自然な頸椎のカーブを保てる高さの枕です。

寝具の衛生状態と頭皮トラブル

枕カバーやシーツを長期間交換しないと、皮脂や汗、フケなどをエサにダニや雑菌が繁殖します。

これらの微生物が頭皮に付着するとかゆみや炎症、ニキビといった頭皮トラブルを引き起こしやすいです。

不衛生な頭皮環境は健康な髪が育つ土壌を損なうため、寝具はこまめに洗濯し、清潔を保つようにしましょう。

今日から始められる枕の抜け毛対策セルフケア

専門的な治療を始める前に、ご自身の生活習慣を見直すと改善できるケースも多くあります。

ここでは、今日からでも実践できるセルフケアの方法を紹介します。継続が、健やかな髪への近道です。

正しいシャンプーとヘアケア

頭皮環境を整える基本は、毎日のシャンプーです。

洗浄力が強すぎるシャンプーは必要な皮脂まで奪い、頭皮の乾燥を招きます。ご自身の頭皮タイプに合った、アミノ酸系などのマイルドな洗浄成分のシャンプーを選びましょう。

洗う際は爪を立てず、指の腹で優しくマッサージするように洗うのが大切です。

正しいシャンプーのポイント

手順ポイント
予洗いシャンプー前にお湯だけで1~2分洗い、汚れの大部分を落とす。
泡立てシャンプーを直接頭皮につけず、手のひらでよく泡立てる。
洗い方とすすぎ指の腹で優しくマッサージするように洗い、すすぎ残しがないよう十分に流す。

シャンプー後の濡れた髪はキューティクルが開いてデリケートな状態ですので、素早く乾かしましょう。

  • 髪が濡れたまま寝ない
  • ドライヤーの熱を当てすぎない
  • 無理なブラッシングをしない
  • 髪を強く結ばない

バランスの取れた食事

髪は体の内側から作られます。特定の食品だけを食べるのではなく、主食・主菜・副菜をそろえ、バランスの良い食事を心がけるのが基本です。

髪の主成分であるタンパク質、その合成を助ける亜鉛、頭皮の血行を促進するビタミンEなどを意識的に摂取しましょう。

質の高い睡眠の確保

髪の成長を促す「成長ホルモン」は、睡眠中に最も多く分泌されます。なかでも眠り始めの深いノンレム睡眠時に分泌が活発になります。

質の高い睡眠を確保するため、就寝前のスマートフォン操作を控え、リラックスできる環境を整える工夫が重要です。

寝る時間だけでなく、睡眠の「質」を高める意識を持ちましょう。

上手なストレス解消

現代社会でストレスを完全になくすのは困難です。

そのため、自分に合ったストレス解消法を見つけ、上手に付き合っていくことが大切です。

軽い運動や趣味の時間、アロマテラピーなど、心からリラックスできる時間を作りましょう。ストレスを溜め込まない生活が、健やかな髪を育みます。

セルフケアで改善しない場合の専門的なケア

セルフケアを続けても抜け毛が減らない、あるいは薄毛が進行していると感じるときは、一人で悩まずに専門クリニックへの相談を検討しましょう。

専門家による正確な診断と、個々の状態に合わせた治療が改善への最も確実な道です。

まずは専門医による正確な診断を

女性の薄毛の原因は多岐にわたるため、マイクロスコープなどで頭皮や毛根の状態を詳しく診察し、原因を特定するのが治療の第一歩です。

問診や血液検査などを通じて、ホルモンバランスの乱れや栄養状態なども評価し、総合的に診断を下します。

クリニックで受けられる主な女性薄毛治療

クリニックでは、患者さん一人ひとりの症状や原因、生活スタイルに合わせて、様々な治療法を組み合わせたオーダーメイドの治療計画を提案します。

内服薬や外用薬だけでなく、頭皮に直接有効成分を届ける治療なども行います。

主な女性薄毛治療法の比較

治療法特徴期待できる効果
内服薬治療体の内側からヘアサイクルを正常化させる。抜け毛の抑制、発毛促進
外用薬治療頭皮に直接塗布し、毛母細胞を活性化させる。発毛促進、血行促進
注入治療発毛成長因子などを頭皮に直接注入する。細胞レベルでの発毛力向上

どの治療法を行うかは、医師と相談して決めます。

メリット・デメリットや期待できる効果、治療期間やかかる費用などを総合して考えましょう。

市販の育毛剤とクリニックの治療の違い

市販の育毛剤は主に頭皮環境を整え、今ある髪を健康に保つことを目的とした「医薬部外品」が多いです。

一方、クリニックで処方する薬剤は、発毛効果が認められた有効成分を含む「医薬品」であり、より直接的な発毛・育毛効果が期待できます。

抜け毛を抑制して薄毛を改善するためには、医師の診断のもとで、ご自身の状態に合った適切な治療を受けるのが重要です。

女性の薄毛治療に関するよくある質問

枕に抜け毛が大量に残っていると、どうしてもビックリしてしまうかと思います。ある程度は自然な現象のため、そこまで心配する必要はありません。

ただ、あまりにも本数が多い、その状態が長期間続く、といった場合は早めにクリニックへの相談を検討すると良いでしょう。

FAGAのような女性薄毛はもちろん、円形脱毛症や牽引性脱毛症などの可能性もありますので、いちど確認してもらったほうが安心です。

治療にはどのくらいの期間がかかりますか?

治療効果を実感できるまでの期間には個人差がありますが、多くの場合、ヘアサイクルを考慮して最低でも6ヶ月程度の継続治療を推奨しています。

髪の毛が成長し、見た目の変化として現れるまでには時間が必要です。焦らず、じっくりと治療に取り組みましょう。

治療に痛みや副作用はありますか?

内服薬や外用薬による治療では、初期脱毛や頭皮のかゆみなどの副作用が起こる可能性が稀にありますが、頻度は高くありません。

注入治療では、部位によってチクッとした軽い痛みを感じる場合がありますが、冷却などで痛みを緩和しながら行います。

いずれも、事前に医師から詳しく説明し、安全に配慮しながら治療を進めます。

治療費はどのくらいかかりますか?

薄毛治療は自由診療となるため、健康保険は適用されません。費用は治療内容によって異なります。

初診やカウンセリングは無料で行うところも多いですが、検査などで数千円かかる場合もあります。

内服薬や外用薬は月々1万5千円から3万円、注入治療は2万円から10万円程度が一つの目安です。

クリニックでは、カウンセリング時に症状に合わせた治療プランと、それに伴う詳細な費用を明確に提示してもらえます。納得いただいた上で治療を開始しますので、ご安心ください。

治療を始めれば、必ず髪は元に戻りますか?

治療効果には個人差があり、全ての人が完全に元の状態に戻るのを保証するものではありません。

しかし、早期に適切な治療を開始すると、薄毛の進行を食い止め、多くの方で発毛や毛量の改善が期待できます。

大切なのは、毛根が完全に機能を失う前に、できるだけ早く対策を始めることです。一人で悩まず、一度気軽にクリニックに足を運んでみましょう。

参考文献

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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