女性の細い髪が抜ける原因と対処法 – 専門医に相談すべき症状

女性の細い髪が抜ける原因と対処法 - 専門医に相談すべき症状

自分の本来の髪の太さに比べて、細く弱々しい髪が抜けているのを発見すると「細い髪が抜けるのは普通のこと?」「このまま薄毛になってしまう?」と心配になるのではないでしょうか。

その抜け毛は、髪と頭皮が発している重要なサインかもしれません。

この記事では、女性の細い髪が抜ける原因を多角的に掘り下げ、ご自身でできる対処法から、専門医に相談すべき症状の見極め方まで詳しく解説します。

目次

細い髪の抜け毛は危険信号?髪質の変化に気づくポイント

毎日ある程度の髪が抜けるのは自然な現象です。しかし、抜け毛の中に細く短いものが増えてきたら注意が必要です。

それは、髪が十分に成長する前に抜けてしまう「ヘアサイクルの乱れ」を示している可能性があります。ご自身の髪の状態を客観的に把握することが、早期対策の第一歩となります。

以前と比べて髪のボリュームが減った

髪全体の密度が低下すると、スタイリングがうまく決まらなかったり、分け目がぺたんとしてしまったりします。

特に、髪を結んだときの毛束の太さが以前より細くなったと感じる場合、髪一本一本が痩せているか、全体の毛量が減少しているサインと考えられます。

毎日鏡を見ていると変化に気づきにくい場合もありますが、過去の写真と見比べてみるのも一つの方法です。

地肌が透けて見えるようになった

髪の分け目や頭頂部は、薄毛が進行すると特に目立ちやすい部分です。

照明の下で鏡を見たとき、以前よりも地肌がはっきりと見えるようになったと感じたら、注意深く観察してください。

髪が細くなる「軟毛化」と、毛量の減少が同時に起こっている可能性があります。

特に頭頂部は自分では確認しにくいため、ご家族に見てもらうか、合わせ鏡を使ってチェックするのがおすすめです。

抜け毛の中に細く短い毛が増えた

シャンプーやブラッシングの際に抜けた毛を観察してみてください。健康な髪は、一定の太さと長さがあります。

しかしヘアサイクルが乱れると、髪が太く長く成長する「成長期」が短縮され、十分に育たないまま抜け落ちてしまいます。

その結果、抜け毛の中に細くて短い、弱々しい毛が混じるようになります。これは薄毛が進行しているサインの一つであり、見過ごしてはいけません。

髪質の変化セルフチェック

チェック項目確認するポイント注意度
髪のボリュームポニーテールにした時の毛束の太さ、スタイリングの持続性
地肌の透け感分け目、つむじ周りの地肌の見え方
抜け毛の質お風呂の排水溝や枕についた毛の太さや長さ

髪のハリやコシがなくなった

髪に触れたときに以前のような弾力や強さが感じられず、ふにゃふにゃと柔らかくなったと感じる方もいるでしょう。

これは髪の内部にあるタンパク質や水分が不足し、キューティクルが傷ついている状態です。

髪のハリやコシの低下は髪が細くなっている兆候であり、将来的な抜け毛の増加につながる可能性があります。

なぜ細い髪が抜けるの?考えられる原因

女性の細い髪の抜け毛は単一の原因ではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発生するケースがほとんどです。

ご自身の生活習慣や体調の変化と照らし合わせながら、原因を探っていきましょう。

加齢によるホルモンバランスの変化

女性の髪の健康は、女性ホルモン「エストロゲン」と深く関わっています。エストロゲンは髪の成長を促進し、ハリやツヤを保つ働きをします。

しかし、30代後半から徐々に減少し始め、更年期(40代後半~50代)になると急激に減少します。

このエストロゲンの減少により相対的に男性ホルモンの影響が強まり、髪が細くなったり、抜け毛が増えたりするのです。

生活習慣の乱れと栄養不足

髪は、私たちが食べたものから作られます。不規則な食生活や過度なダイエットは、髪の成長に必要な栄養素の不足を招きます。

また、睡眠不足は髪の成長を促す成長ホルモンの分泌を妨げ、喫煙は血行を悪化させて頭皮に十分な栄養が届かなくなる原因となります。

これらの生活習慣の乱れは、ヘアサイクルに直接的な悪影響を与えます。

生活習慣の乱れが髪に与える影響

乱れの具体例髪への影響対策の方向性
過度なダイエットタンパク質・亜鉛などの栄養不足で髪が細くなるバランスの取れた食事
睡眠不足成長ホルモンの分泌が減少し、髪の成長が妨げられる質の良い睡眠の確保
喫煙・過度な飲酒血行不良を招き、頭皮に栄養が届きにくくなる禁煙・節酒

ストレスによる血行不良

精神的なストレスや身体的なストレスは、自律神経のバランスを乱す大きな要因です。自律神経が乱れると、血管が収縮して頭皮の血行が悪化します。

血行不良に陥った頭皮は、髪を育てるための栄養や酸素が不足した「不毛の土地」のような状態になり、健康な髪が育ちにくくなります。

その結果、髪が細くなったり、抜け毛が増えたりするのです。

  • 交感神経の優位
  • 血管の収縮
  • 頭皮の血行不良
  • 毛母細胞の活動低下

誤ったヘアケア

良かれと思って行っているヘアケアが、逆に頭皮や髪にダメージを与えているケースも少なくありません。

例えば、洗浄力の強すぎるシャンプーは頭皮の必要な皮脂まで奪い、乾燥やかゆみを引き起こします。

また、頭皮を清潔にしたいあまりに爪を立ててゴシゴシ洗う行為は頭皮を傷つけ、炎症の原因となります。

このような不適切なケアは頭皮環境を悪化させ、抜け毛を助長します。

女性特有の薄毛「FAGA(女性男性型脱毛症)」とは

細い髪の抜け毛が気になる場合、FAGA(女性男性型脱毛症)の可能性も考えられます。

これは女性に最も多い脱毛症のタイプで、進行性の特徴があるため、早期の認識と対策が重要です。男性のAGA(男性型脱毛症)とは異なる特徴を持っています。

FAGAの症状の特徴

FAGAの最も一般的な症状は、頭頂部や分け目を中心に髪が全体的に薄くなる「びまん性脱毛」です。

男性のAGAのように生え際が後退したり、頭頂部だけが禿げ上がったりするケースは稀で、全体のボリュームダウンとして自覚する方が多いのが特徴です。

初期段階では髪が細くなる「軟毛化」から始まり、徐々に地肌が透けて見えるようになります。

FAGAと他の脱毛症との違い

女性の脱毛症には、FAGAの他にも円形脱毛症や牽引性脱毛症、分娩後脱毛症などがあります。

円形脱毛症は、コインのような形の脱毛斑が突然現れる自己免疫疾患の一種です。牽引性脱毛症は、ポニーテールなど髪を強く引っ張る髪型を長期間続けるために起こります。

これらの脱毛症とFAGAは原因が異なるため、対処法も異なります。

主な女性の脱毛症との比較

脱毛症の種類主な原因脱毛部分の特徴
FAGA(女性男性型脱毛症)ホルモンバランスの変化、遺伝頭頂部を中心に全体的に薄くなる
円形脱毛症自己免疫疾患、ストレス円形・楕円形の脱毛斑が突然できる
牽引性脱毛症物理的な牽引(髪型)生え際や分け目など、髪が引っ張られる部分

FAGAのセルフチェック方法

以下の項目に当てはまるものがないか、確認してみましょう。

  • 分け目が以前より広がってきた
  • 髪全体のボリュームが減り、地肌が透けて見える
  • 抜け毛に細く短い毛が多い
  • 髪のハリやコシがなくなった
  • 家族(特に母親や祖母)に薄毛の人がいる

複数当てはまる場合はFAGAの可能性を考慮し、一度専門医に相談することをおすすめします。

抜け毛の「質」に注目する|髪からのSOSサイン

毎日たくさんの抜け毛を見て、「また抜けた」と数ばかりを気にして一喜一憂する方も多いです。

しかし、本当に大切なのは本数だけでなく、抜けた髪一本一本が持つ「質」です。

抜け毛は、現在の頭皮環境や健康状態を教えてくれる貴重な情報源です。少し視点を変えて、抜け毛をじっくり観察すると、これまで見えなかった髪からのSOSサインに気づけるかもしれません。

抜け毛の毛根の形を観察する

健康なヘアサイクルを終えて自然に抜けた髪の毛根は、マッチ棒のようにふっくらと丸みを帯びています。これは、毛根の最も深い部分にある毛球が、次の髪を生やす準備を整えている証拠です。

一方で、毛根がなかったり、尖っていたり、白い付着物がついていたりする場合は、何らかのトラブルが起きている可能性があります。

お風呂の排水溝にたまった髪を数本手に取り、白い紙の上で毛根の状態を確かめてみてください。

抜け毛の毛根チェックポイント

毛根の状態考えられる頭皮の状態対処の方向性
ふっくらと丸い正常なヘアサイクル現在のケアを継続
細く尖っている、歪んでいる成長途中で抜けた可能性、栄養不足食生活や生活習慣の見直し
ベタついた白い塊が付着皮脂の過剰分泌、脂漏性皮膚炎の疑いシャンプーの見直し、専門医相談

抜けた毛の太さや長さを確認する

健康な頭皮からは、太く長い、しっかりとした髪が育ちます。

抜け毛の中に、他の髪と比べて明らかに細い毛や短いまま抜けてしまった毛が目立つ場合、それはヘアサイクルの「成長期」が短くなっているサインです。

髪が十分に成長する時間がないまま、次の「退行期」「休止期」へと移行してしまっているのです。

この状態が続くと全体の髪が徐々に細く弱々しくなり、薄毛が進行していきます。

頭皮の色や状態もチェックする

抜け毛の観察と合わせて、頭皮自体の状態も確認しましょう。健康な頭皮は、青白い色をしています。

もし頭皮が赤みを帯びていたり、黄色っぽくくすんでいたり、フケやかゆみがあったりする場合は、炎症や血行不良、乾燥などが起きている証拠です。

不健康な土壌からは良い作物が育たないのと同じで、不健康な頭皮からは健康な髪は育ちません。

分け目を変えながら、頭皮全体の色を鏡でチェックする習慣をつけましょう。

抜け毛を気にしすぎるストレスも一因に

抜け毛を心配するあまり毎日神経質に本数を数えたり、鏡を何度も確認したりすること自体が、大きなストレスになる場合があります。

前述の通り、ストレスは血行を悪化させ、抜け毛を増やす原因の一つです。抜け毛を客観的に観察するのは大切ですが、過度に思い悩むのは逆効果です。

信頼できる情報源を参考にし、不安が解消されないときは一人で抱え込まず、専門家に相談する勇気を持つことも重要です。

細い髪の抜け毛を食い止めるセルフケア

専門的な治療を始める前に、まずは日々の生活の中で改善できることから取り組んでみましょう。

毎日の小さな積み重ねが頭皮環境を整え、健康な髪を育む土台となります。

栄養バランスの取れた食事を心がける

髪は「ケラチン」というタンパク質でできています。そのため、肉や魚、大豆製品などから良質なタンパク質を摂取するのが基本です。

加えて、タンパク質の合成を助ける亜鉛や、頭皮の血行を促進するビタミンE、皮脂のバランスを整えるビタミンB群なども積極的に摂りましょう。

特定の食品に偏るのではなく、様々な食材をバランス良く食べる工夫が大切です。

  • 主食・主菜・副菜を揃える
  • カラフルな野菜や果物を取り入れる
  • 加工食品やインスタント食品を控える

質の良い睡眠を確保する

髪の成長を促す「成長ホルモン」は、私たちが眠っている間に最も多く分泌されます。

入眠後の最初の3時間は「ゴールデンタイム」と呼ばれ、この時間帯に深い眠りについていることが重要です。単に長く寝るだけでなく、睡眠の質を高める工夫をしましょう。

就寝前のスマートフォン操作を控えたり、リラックスできる音楽を聴いたり、自分に合った寝具を選んだりすると質の良い睡眠につながります。

正しいシャンプーと頭皮マッサージ

毎日のシャンプーは頭皮を清潔に保つために重要ですが、洗い方が間違っていると逆効果です。

シャンプー前にはブラッシングで髪のほこりや絡まりを解き、お湯で十分に予洗いします。

シャンプーは手のひらでよく泡立ててから、指の腹を使って頭皮を優しくマッサージするように洗いましょう。

すすぎ残しは頭皮トラブルの原因になるため、時間をかけて丁寧に洗い流してください。

正しいシャンプーのポイント

手順ポイント注意点
予洗い38℃程度のぬるま湯で1〜2分、頭皮と髪をしっかり濡らす熱すぎるお湯は頭皮を乾燥させるので避ける
シャンプー指の腹で頭皮をマッサージするように、優しく洗う爪を立ててゴシゴシ洗わない
すすぎシャンプーの倍の時間をかけて、ヌルつきがなくなるまで丁寧に生え際や耳の後ろはすすぎ残しが多いので注意

食生活で改善を目指す|髪に良い栄養素と食材

健康な髪を育むためには、体の内側からの働きかけが欠かせません。特に、毎日の食事が頭皮環境と髪の質に直接影響を与えます。

ここでは、美しい髪のために積極的に摂取したい栄養素と、それらを多く含む食材を紹介します。

タンパク質|髪の主成分

髪の約90%は「ケラチン」というタンパク質から構成されています。そのため、タンパク質が不足すると、髪が細くなったりツヤが失われたりする原因になります。

肉や魚、卵や大豆製品、乳製品など、動物性と植物性のタンパク質をバランス良く摂取するように心がけましょう。

なかでもケラチンの生成に関わるアミノ酸「メチオニン」を含む食品を意識して摂るのがお勧めです。

亜鉛|ミネラルの重要性

亜鉛は、食事から摂取したタンパク質を髪のケラチンへと再合成する際に、重要な役割を果たすミネラルです。

亜鉛が不足するとうまく髪を作れず、抜け毛や薄毛につながるときがあります。

亜鉛は体内で作れない栄養素で、汗などでも失われやすいため、意識的に食事から摂取する必要があります。牡蠣やレバー、牛肉(赤身)、ナッツ類などに多く含まれています。

ビタミン類|頭皮環境を整える

ビタミンは、それぞれが異なる働きで髪の健康をサポートします。

ビタミンAは頭皮の新陳代謝を促し、ビタミンB群は皮脂の分泌をコントロールしたり、毛母細胞の分裂を活性化させたりします。

ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、丈夫な血管を作ることで頭皮の健康を保ちます。そして、ビタミンEは強い抗酸化作用と血行促進作用で、頭皮に栄養を届けやすくします。

緑黄色野菜や果物、ナッツ類、玄米などを食事に取り入れましょう。

髪に良い栄養素と代表的な食材

栄養素主な働き多く含む食材
タンパク質髪の主成分であるケラチンを作る肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛ケラチンの合成を助ける牡蠣、レバー、牛肉、ナッツ類
ビタミン類頭皮環境を整え、血行を促進する緑黄色野菜、果物、玄米

専門医に相談すべき危険なサイン

セルフケアは薄毛対策の基本ですが、それだけでは改善が難しいケースや、背後に病気が隠れている可能性もあります。

以下のようなサインが見られた場合は自己判断で様子を見続けるのではなく、女性の薄毛治療を専門とするクリニックへのできるだけ早い相談をおすすめします。

短期間で抜け毛が急増した

「最近、急に抜け毛が増えた」と感じる場合、それは身体の異常を示すサインかもしれません。

例えば、1日に抜ける髪が200本を超えるような状態が続く場合は注意が必要です。

特定の病気(甲状腺疾患など)や服用している薬の副作用、極度のストレスなどが原因で休止期脱毛症が起きている可能性があります。原因を特定するためにも、専門医の診断を受けましょう。

頭皮にかゆみやフケ、炎症がある

抜け毛と同時に強いかゆみや大量のフケ、赤みや湿疹、痛みなどの症状がある場合、脂漏性皮膚炎や接触性皮膚炎といった頭皮の病気が考えられます。

これらの皮膚炎を放置すると頭皮環境が悪化して毛根がダメージを受け、抜け毛がさらに進行する可能性があります。

市販の薬で改善しないときは、皮膚科や薄毛専門クリニックを受診しましょう。

セルフケアを続けても改善が見られない

食事や睡眠、ヘアケアなどのセルフケアを3ヶ月から6ヶ月程度続けても、抜け毛が減らなかったり薄毛が進行しているように感じたりする場合、FAGAなどセルフケアだけでは対応が難しい脱毛症の可能性があります。

FAGAは進行性のため、対策が遅れるほど改善に時間がかかります。手遅れになる前に、専門的な治療を検討するタイミングです。

専門医への相談を検討すべき症状

症状考えられる状態推奨される行動
急激な抜け毛の増加休止期脱毛症、内科的疾患の可能性早期の専門医受診
頭皮の炎症やかゆみ脂漏性皮膚炎などの頭皮疾患皮膚科または専門クリニック受診
セルフケアでの改善なしFAGAなど進行性の脱毛症の可能性専門クリニックでのカウンセリング

薄毛の範囲が局所的に広がっている

FAGAのように全体的に薄くなるのではなく、円形や楕円形に髪が抜けたり、特定の部位だけが帯状に抜けたりする場合、円形脱毛症やその他の特殊な脱毛症の可能性があります。

これらの脱毛症は原因や治療法がFAGAとは異なるため、正確な診断が必要です。

自己判断で育毛剤などを使用するのではなく、まずは医師に診断してもらうほうが改善への近道です。

クリニックでの女性薄毛治療の流れ

「クリニックに行くのは少し勇気がいる」と感じる方もいるかもしれません。

ここでは、一般的な女性薄毛専門クリニックでの治療がどのように進むのか、その大まかな流れを紹介します。事前に流れを知っておくと、安心して第一歩を踏み出せるはずです。

初診・カウンセリング

まずは予約を取り、クリニックを訪れます。多くのクリニックでは医師の診察の前に、専門のカウンセラーが時間をかけて悩みや希望を丁寧にヒアリングします。

いつから抜け毛が気になり始めたか、生活習慣や既往歴、現在服用中の薬など、些細なことでも伝えましょう。

この段階で、治療に関する疑問や不安を解消できます。

診察と検査

カウンセリングの内容をもとに、医師が診察を行います。マイクロスコープを使って頭皮や毛根の状態を詳しく観察したり、視診や触診で髪の状態を確認したりします。

必要に応じて、血液検査を行い、ホルモンバランスや栄養状態に問題がないかを確認するケースもあります。

これらの客観的なデータと問診内容を総合的に判断し、抜け毛の原因を診断します。

クリニックでの検査内容例

検査名目的検査内容
問診生活習慣や背景を把握する悩み、既往歴、家族歴などのヒアリング
マイクロスコープ検査頭皮や毛穴、毛髪の状態を詳細に観察する高倍率のカメラで頭皮を拡大して見る
血液検査全身状態やホルモンバランスを確認する採血により甲状腺ホルモンや栄養状態などを調べる

治療計画の提案

診察と検査の結果に基づいて、医師が診断結果と、一人ひとりの症状や生活スタイルに合った治療計画を提案します。

治療法の内容や期待できる効果、考えられる副作用や治療期間の目安、費用などについて分かりやすく説明があります。

患者さんが十分に納得した上で治療方針を決定するため、分からないことは遠慮なく質問しましょう。

治療開始と経過観察

治療計画に同意したら、いよいよ治療が始まります。治療は内服薬や外用薬、頭皮への注入治療など多岐にわたります。

治療開始後も定期的にクリニックに通院し、医師が治療効果や副作用の有無をチェックします。

写真撮影で経過を記録し、治療の効果を客観的に評価しながら、必要に応じて治療内容を調整していきます。医師と二人三脚で、根気強く治療を続けていきましょう。

よくある質問

さいごに、女性の薄毛治療に関して多く寄せられる質問にお答えします。

治療にはどのくらいの期間が必要ですか?

治療効果を実感できるまでには個人差がありますが、一般的には3ヶ月から6ヶ月程度の期間が必要です。

これは、乱れたヘアサイクルが正常に戻り、新しい健康な髪が生え、成長するまでに時間がかかるためです。

目に見える変化が現れるまでには時間がかかる点を理解し、焦らずに治療を継続しましょう。多くのクリニックでは、長期的な視点で治療計画を立てます。

治療に痛みはありますか?

治療内容によって異なります。

頭皮に直接薬剤を注入する治療は、チクッとした軽い痛みを伴う場合がありますが、多くのクリニックでは痛みを最小限に抑える工夫(冷却や極細の針の使用など)をしています。

痛みに不安がある場合は、カウンセリングの際に遠慮なく相談してください。

費用はどのくらいかかりますか?

女性の薄毛治療は多くの場合、健康保険が適用されない自由診療となります。そのため、費用はクリニックや治療内容によって大きく異なります。

月々の費用は、内服薬や外用薬のみであれば数万円程度から、より積極的な治療を行う場合はそれ以上になるケースもあります。

多くのクリニックでは事前に明確な料金体系を提示していますので、カウンセリングの際にしっかりと確認し、ご自身の予算に合った治療計画を立てましょう。

一度改善すれば再発しませんか?

FAGA(女性男性型脱毛症)は進行性の脱毛症であり、治療を完全にやめてしまうと、再び薄毛が進行する可能性があります。

そのため、症状が改善した後も、良い状態を維持するためのメンテナンス治療(薬の量を減らすなど)を続けることが推奨されます。

また、生活習慣の乱れやストレスなども再発の引き金になり得ます。

治療後も、健康的な生活習慣を維持し、頭皮環境を良好に保つ努力を続けることが、美しい髪を長く維持する鍵となります。

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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