女性のこめかみが薄い原因と適した髪型選びのポイント

女性のこめかみが薄い原因と適した髪型選びのポイント

こめかみが薄いことに悩み、クリニックにいらっしゃる方も少なくありません。

ヘアアレンジを楽しみたいのに生え際が気になって思い通りのスタイルができない、といった悩みは切実です。

この記事では、多くの女性が気になっているこめかみ部分の薄毛について、その原因を医学的な視点から解説し、今日から実践できるセルフケアや、悩みを魅力に変える髪型選びのポイントまで詳しくご紹介します。

目次

こめかみの薄毛による見えない悩み

こめかみの薄毛は、単に髪が少なくなるという物理的な変化だけではありません。女性の心に深く影響を与え、日々の生活に影を落とすときがあります。

他の人からは些細なことだと思われても、本人にとっては深刻な悩みです。

顔の印象を大きく左右するこめかみ

こめかみは、顔の輪郭を形成する上でとても重要な部分です。この部分の髪が薄くなると、顔が大きく見えたり、老けた印象を与えたりする場合があります。

髪の生え際が後退すると顔全体のバランスが変わり、以前とは違う自分の姿に戸惑いを感じる女性は少なくありません。

特に、髪をかき上げたときや風が吹いたときに地肌が透けて見えると、気持ちが沈んでしまいやすいです。

こめかみの状態で変わる顔の印象

こめかみの状態与える印象具体的な悩み
豊か若々しい、小顔効果特になし
やや薄い少し疲れている、輪郭がぼやける顔が大きく見える
薄い老けて見える、寂しい印象実年齢より上に見られる

ヘアスタイルの制限によるストレス

こめかみの薄さを気にするようになると、楽しめるヘアスタイルが限られてきます。

「ポニーテールやお団子ヘアにしたいけど、生え際が気になってできない」「前髪を伸ばしたいけれど、こめかみを隠すためにいつも同じ髪型になってしまう」など、おしゃれを自由に楽しめないことへのストレスは計り知れません。

髪型は自己表現の一つであり、その自由が奪われると自信の喪失にも繋がりかねません。

他人の視線が気になる心理的負担

「話している相手が私のこめかみを見ている気がする」「電車で向かいに座っている人の視線が怖い」など、過剰に他人の目を意識してしまうのも、この悩みがもたらす大きな心理的負担です。

実際には誰も気にしていないのかもしれませんが、一度気になり始めると、常に誰かに見られているような感覚に陥り、外出自体が億劫になることさえあります。

誰にも相談できない孤独感

髪の悩み、特に薄毛の悩みは非常にデリケートな問題です。親しい友人や家族にさえ、なかなか打ち明けられないという方も多いのではないでしょうか。

「気にしすぎだよ」と一蹴されるのが怖かったり、そもそもどう相談していいのか分からなかったり、一人で抱え込むと孤独感や不安はさらに増していきます。

しかし、正しい知識を得ると、解決への道筋を見つけられます。

女性のこめかみが薄くなる医学的な原因

こめかみの薄毛がなぜ起こるのか、その原因を正しく知ることが対策の第一歩です。

女性の薄毛は男性とは異なる要因が複雑に絡み合っているケースが多く、一つの原因だけでは説明できない場合もあります。

ホルモンバランスの乱れとFAGA(女性男性型脱毛症)

女性の体内では、女性ホルモン(エストロゲン)と男性ホルモン(テストステロン)が絶妙なバランスを保っています。

エストロゲンは髪の成長を促進し、ハリやコシを保つ働きがあります。

しかし、加齢やストレス、出産や不規則な生活などによってこのホルモンバランスが崩れ、エストロゲンが減少すると、相対的に男性ホルモンの影響が強まります。

これによって髪の成長期が短くなり、髪が十分に育つ前に抜け落ちてしまう「FAGA(女性男性型脱毛症)」を発症する場合があります。

FAGAは頭頂部から全体的に薄くなる方が多いですが、生え際やこめかみから進行するケースも見られます。

女性ホルモンと髪の成長サイクル

ホルモンの状態髪への影響起こりうること
エストロゲンが優位成長期が長く、健康な髪が育つ豊かでツヤのある髪
エストロゲンが減少成長期が短くなり、休止期が長くなる抜け毛の増加、髪の細り

血行不良が招く栄養不足

髪の毛は、毛根にある毛母細胞が分裂して成長します。この毛母細胞が活動するためには、血液によって運ばれてくる酸素や栄養素が重要です。

しかし、デスクワークによる肩こり、運動不足、冷え性などで頭皮の血行が悪くなると、毛母細胞に必要な栄養が十分に行き渡らなくなります。

特にこめかみ周辺は皮膚が薄く、血管も細いため、血行不良の影響を受けやすい部位です。

栄養不足に陥った毛母細胞は正常な活動ができなくなり、結果として細く弱い髪しか作れなくなったり、抜け毛が増えたりします。

ストレスによる頭皮環境の悪化

過度なストレスは、自律神経のバランスを乱します。自律神経は血管の収縮や拡張をコントロールしているため、バランスが崩れると血管が収縮し、頭皮の血行不良を引き起こします。

また、ストレスはホルモンバランスの乱れにも直結し、皮脂の過剰分泌を招く場合があります。

過剰な皮脂は毛穴を詰まらせ、炎症を起こすなど頭皮環境を悪化させ、健康な髪の成長を妨げる一因となります。

牽引性脱毛症という隠れた要因

毎日同じ分け目で髪を結んでいたり、ポニーテールやきつい編み込みなど、特定の方向に髪を強く引っ張り続けるヘアスタイルを長期間続けていると毛根に常に負担がかかります。

この物理的な牽引力によって、生え際や分け目、そしてこめかみ部分の髪が抜けやすくなるのが「牽引性脱毛症」です。

初期段階では気づきにくいものの、じわじわと進行し、気づいたときには地肌が目立つようになっているケースが少なくありません。

職業柄、髪をきつくまとめなければならない方にも見られます。

生まれつき?後天的?こめかみの状態をチェック

「私のこめかみが薄いのは、もしかして生まれつきなのでは?」と考える方もいるでしょう。確かに、元々の額の形や髪の生え方には個人差があります。

しかし、以前と比べて薄くなったと感じる場合は、後天的な要因が隠れている可能性が高いです。

いくつか簡単なチェック方法で、ご自身の状態を見極めてみましょう。

生まれつきの富士額やM字額との違い

生まれつきの生え際の形として、「富士額」や「M字額」があります。

富士額は、額の中央部分の生え際が下に向かって突き出している形です。M字額は、こめかみ部分の生え際が元々切れ込んでいるような形を指します。

これらは病的な脱毛ではなく、あくまで骨格や遺伝による個人の特徴です。

子供の頃から生え際の形が変わっていないのであれば、それはあなたの個性と言えるでしょう。

昔の写真と比較してみる

最も分かりやすい確認方法の一つが、数年前、あるいは10代や20代の頃の写真と現在のこめかみの状態を比較することです。

スマートフォンのカメラで現在のこめかみ部分を撮影し、昔の写真と見比べてみましょう。

明らかに生え際が後退していたり、髪の密度が低くなっていたりする場合は、後天的に薄毛が進行しているサインと考えられます。

セルフチェックポイント

チェック項目生まれつきの可能性が高い後天的な薄毛の可能性が高い
昔の写真との比較生え際の形に変化がないこめかみが後退・地肌が目立つ
抜け毛の状態細く短い毛は少ない細く短い毛が目立つ
頭皮の状態青白い、柔らかい赤い、茶色い、硬い

抜け毛の質や量を観察する

シャンプーやブラッシングの際に抜ける髪の毛を注意深く観察してみましょう。健康なヘアサイクルで抜ける髪は、ある程度の太さと長さがあります。

しかし、ヘアサイクルが乱れて成長途中で抜けてしまう髪は、細く短く、コシがありません。

もし、枕や排水口にこのような弱々しい抜け毛が増えているなら、それは頭皮からの危険信号です。

頭皮の色や硬さを確認する

健康な頭皮は、少し青みがかった白色をしており、指で動かすと柔らかく動きます。これは血行が良好で、潤いが保たれている証拠です。

一方で、血行不良や炎症が起きている頭皮は、赤っぽかったり、黄色っぽくくすんでいたりします。

また、指で押しても動かないほど硬くなっている場合は、血行が悪化し、筋肉が凝り固まっている可能性があります。

こめかみ周辺の頭皮を優しく触って、色や硬さをチェックしてみてください。

こめかみの薄毛を進行させるNG習慣

良かれと思って続けているヘアケアや、何気ない日常の習慣が、実はこめかみの薄毛を助長している可能性があります。

自分では気づきにくいNG習慣を見直し、頭皮への負担を減らしてあげることが大切です。

きつく結ぶヘアアレンジ

先述の牽引性脱毛症に直結する習慣です。毎日同じ位置で強く髪を縛るポニーテール、きつく編み込んだスタイル、重いエクステンションなどは、こめかみの毛根に持続的なダメージを与えます。

たまに行う程度なら問題ありませんが、日常的に続けている方は注意が必要です。

たまには髪を下ろす日を作ったり、結ぶ位置を変えたり、シュシュなどの柔らかい素材のヘアアクセサリーを使ったりする工夫をしましょう。

頭皮に負担をかけるヘアケア習慣

習慣頭皮への影響改善のポイント
きついポニーテール毛根への物理的ダメージ(牽引)結ぶ位置を変える、緩めに結ぶ
熱いお湯でのシャンプー必要な皮脂まで奪い、乾燥を招く38℃程度のぬるま湯ですすぐ
自然乾燥雑菌が繁殖しやすく、頭皮環境が悪化すぐに優しくドライヤーで乾かす

間違ったシャンプーとドライヤーの方法

シャンプーは、髪の汚れではなく頭皮の汚れを落とすのが目的です。爪を立ててゴシゴシ洗うと、頭皮を傷つけ、炎症の原因になります。

シャンプー前によくお湯で予洗いし、シャンプーはしっかりと泡立ててから、指の腹を使ってマッサージするように優しく洗いましょう。

また、シャンプー後の自然乾燥は禁物です。濡れた頭皮は雑菌が繁殖しやすく、頭皮環境の悪化に繋がります。

タオルで優しく水分を拭き取った後、ドライヤーで根元からしっかりと乾かすようにしましょう。

栄養バランスの偏った食事

髪の毛は主に「ケラチン」というタンパク質でできています。過度なダイエットや外食中心の食生活でタンパク質が不足すると、健康な髪を作れません。

また、タンパク質の合成を助ける亜鉛や、頭皮の血行を良くするビタミンE、頭皮の新陳代謝を促すビタミンB群なども髪の成長には必要です。

インスタント食品やジャンクフードばかりの食事は避け、バランスの取れた食事を心がけましょう。

  • タンパク質
  • 亜鉛
  • ビタミン類
  • 鉄分

睡眠不足と生活リズムの乱れ

髪の成長を促す「成長ホルモン」は、主に睡眠中に分泌されます。なかでも入眠後の深い眠りの時間帯(ノンレム睡眠)に最も多く分泌されると言われています。

夜更かしや不規則な睡眠は、成長ホルモンの分泌を妨げ、髪の成長サイクルを乱す大きな原因となります。

毎日決まった時間に寝起きするなど、質の高い睡眠を確保するための生活リズムを整える工夫が、健やかな髪を育む土台となります。

今日から始めるこめかみケア

専門的な治療に頼る前に、まずはご自身の生活の中でできることから始めてみましょう。毎日の小さな積み重ねが、未来の髪を変える力になります。

髪の成長を助ける栄養素と食事

健康な髪は、健康な体から作られます。髪の主成分であるタンパク質、その合成をサポートする亜鉛、血行を促進するビタミンEは「髪の三大栄養素」とも言える重要な成分です。

これらの栄養素を意識的に食事に取り入れましょう。

髪に良い栄養素を含む食品

栄養素主な働き多く含む食品
タンパク質髪の主成分となる肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛タンパク質の合成を助ける牡蠣、レバー、赤身肉、ナッツ類
ビタミンE血行を促進し、頭皮に栄養を届けるアーモンド、アボカド、かぼちゃ

頭皮の血行を促進するマッサージ

硬くなった頭皮をほぐして血行を促進するためには、頭皮マッサージが効果的です。シャンプーのついでや、リラックスタイムに行いましょう。

指の腹を使って、こめかみや生え際、頭頂部などを気持ち良いと感じる強さで優しく揉みほぐします。

頭皮全体をゆっくりと動かすようなイメージで行うのがポイントです。これによって、毛根への栄養供給をサポートします。

質の高い睡眠をとるための工夫

質の良い睡眠は成長ホルモンの分泌を促し、心身のストレスを軽減します。就寝前のスマートフォンの使用は、ブルーライトが脳を覚醒させてしまうため控えましょう。

代わりに、リラックスできる音楽を聴いたり、温かいハーブティーを飲んだりするのもおすすめです。

寝室の環境を整え、毎日6〜8時間程度の睡眠時間を確保するよう努めましょう。

  • 就寝前のスマホ操作を控える
  • アロマや音楽でリラックス
  • 自分に合った寝具を選ぶ

ストレスとの上手な付き合い方

現代社会でストレスを完全になくすのは現実的ではありません。だからこそ、自分なりのストレス解消法を見つけることが重要です。

軽い運動をする、趣味に没頭する時間を作る、気の置けない友人と話すなど、心からリフレッシュできる時間を持つように意識してください。

ストレスが溜まっていると感じたら、無理せず休息をとることも大切です。

こめかみを自然にカバーする髪型選び

日々のケアと並行して、髪型を工夫するとすぐに悩みをカバーし、見た目の印象を変えられます。

「隠す」というネガティブな発想ではなく、「魅せる」というポジティブな気持ちで髪型選びを楽しみましょう。

前髪やサイドの髪で輪郭をカバーする

こめかみをカバーする最も簡単な方法は、前髪を作ることです。

ぱっつん前髪よりも、斜めに流したり、少し長めに設定してサイドの髪に自然に繋がるようにしたりすると、ナチュラルに輪郭を補正できます。

シースルーバングやフェザーバングのように、軽やかさのある前髪もおすすめです。

サイドの髪(後れ毛)を少し出すだけでも、こめかみへの視線をそらす効果があります。

分け目を工夫してトップにボリュームを出す

いつも同じ分け目にしているとその部分の地肌が目立ちやすくなるだけでなく、髪の根元が寝てしまい、全体的にぺたんとした印象になりがちです。

分け目をジグザグにとったり、いつもと逆のサイドで分けてみたりするだけで根元が立ち上がり、トップに自然なボリュームが生まれます。

このボリュームが、こめかみ部分から視線をそらす効果も生み出します。

髪の長さ別おすすめヘアスタイル

髪の長さおすすめスタイルポイント
ショートひし形シルエットのショートボブサイドにボリュームを出し、輪郭を補正
ミディアムレイヤーカット、ゆるふわパーマ動きを出して視線を分散させる
ロング顔周りにレイヤーを入れたスタイルこめかみを自然に隠し、華やかさをプラス

パーマで視線を分散させる

髪全体にゆるやかなウェーブやカールがあると視線が分散され、特定の部分の薄さが目立ちにくくなります。

特にトップやサイドにボリュームを出しやすいパーマスタイルは効果的です。髪の動きが出ると華やかな印象もプラスされます。

ただし、強いパーマは髪や頭皮にダメージを与える可能性もあるため、美容師さんとよく相談して、ダメージの少ない方法を選びましょう。

ショートやボブスタイルの利点

意外に思われるかもしれませんが、思い切ってショートやボブにするのも一つの手です。

髪が長いと、その重みでトップがぺたんこになりやすく、かえってこめかみが目立つときがあります。短くするとトップにボリュームを出しやすくなり、全体のシルエットをコントロールしやすいです。

サイドの髪を長めに残したショートボブなどは、こめかみを自然にカバーしつつ、スタイリッシュな印象を与えます。

スタイリングで解決する一時的なカバー術

ヘアカットやパーマに抵抗がある方でも、日々のスタイリングを少し工夫するだけで、気になるこめかみを上手にカバーできます。

急なお出かけの際にも役立つテクニックをご紹介します。

スタイリング剤を使ったボリュームアップ術

髪を乾かす際に、トップの根元を下からドライヤーの風を当てて乾かすと、ふんわりと立ち上がります。

さらに、ボリュームアップ効果のあるムースやスプレーを根元中心につけると、作ったボリュームを長時間キープできます。

ワックスなどを使う際はつけすぎて髪が重くならないように注意し、毛先中心に動きを出すように使いましょう。

ヘアファンデーションやパウダーの活用

気になる地肌に直接使用するカバーアイテムも有効です。

ヘアファンデーションやシェーディングパウダーを、パフやブラシを使ってこめかみの地肌にポンポンとのせるだけで、薄い部分が目立たなくなります。

自分の髪色に合ったカラーを選ぶのが自然に見せるコツです。

汗や水に強いタイプもありますが、使用後はシャンプーでしっかりと洗い流すことが大切です。

カバーアイテムの種類と特徴

アイテム名特徴使用のポイント
ヘアファンデーションパウダー状で使いやすい。広範囲をカバー。パフで優しく叩き込むように塗布する。
ヘアカラースプレー一時的に髪を太く見せ、地肌を隠す。髪から少し離して均一にスプレーする。
ヘアマスカラ生え際の白髪隠しにも使える。細かい部分に。気になる部分にピンポイントで塗る。

帽子やヘアアクセサリーでおしゃれに隠す

帽子やヘアバンド、幅広のカチューシャなどは、こめかみ部分を物理的に隠せる便利なアイテムです。

ファッションの一部として取り入れると、悩みをカバーしながらおしゃれを楽しめます。

紫外線は頭皮にダメージを与える原因にもなるため、日差しの強い季節に帽子をかぶるのは、頭皮保護の観点からもおすすめです。

  • 帽子
  • ヘアバンド
  • カチューシャ

よくある質問

さいごに、こめかみの薄毛に関して、多くの方が抱く疑問についてお答えします。一人で悩まず、正しい情報を知ることが安心に繋がります。

こめかみの産毛は濃くなりますか?

こめかみにある細く短い産毛は、ヘアサイクルの乱れによって十分に成長できていない毛である可能性があります。

そのため、本記事で紹介したようなセルフケアによって頭皮環境が改善され、血行が促進されると、これらの産毛が太く長く成長する可能性はあります。

ただし、効果には個人差があり、時間もかかります。根気強くケアを続けましょう。

市販の育毛剤は効果がありますか?

市販の女性用育毛剤には、頭皮の血行を促進したり、保湿したり、炎症を抑えたりする成分が含まれているものが多くあります。

これらは頭皮環境を整えるという点では一定の助けになる可能性があります。

しかし、FAGA(女性男性型脱毛症)のように医学的な治療が必要なケースでは、市販の育毛剤だけでの改善は難しい場合があります。

自分の薄毛の原因が何であるかを見極めることが大切です。

マッサージはどのくらいの頻度で行うべきですか?

頭皮マッサージは、毎日続けるのが理想的です。ただし、やりすぎや力の入れすぎは、かえって頭皮に負担をかけるときがあります。

1回あたり3〜5分程度を目安に、リラックスできる時間帯に、気持ち良いと感じる強さで行うのが良いでしょう。シャンプーの際などに習慣づけると、無理なく続けやすいです。

一度薄くなったらもう元に戻りませんか?

一概にそうとは言えません。薄毛の原因が生活習慣の乱れや一時的なストレス、牽引性脱毛症などであれば、その原因を取り除き、適切なケアを行うと改善する見込みは十分にあります。

しかし、脱毛の進行度合いや、毛根(毛包)がどの程度残っているかにもよります。毛根が完全にその機能を失ってしまうと、髪の毛が再生するのは難しくなります。

そのため、気になった時点で早めに原因を特定し、対策を始めることが何よりも重要です。

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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