女性のデリケートな頭皮と髪の悩みに、グリチルリチン酸ジカリウム配合シャンプーが注目されています。
フケやかゆみ、頭皮の炎症は、薄毛や抜け毛につながるサインかもしれません。
この記事では、専門的な視点からグリチルリチン酸ジカリウムの働きを解き明かし、効果的な使い方からシャンプーの選び方まで解説します。
グリチルリチン酸ジカリウムとは?その正体と働き
シャンプーの成分表示で「グリチルリチン酸ジカリウム」や「グリチルリチン酸2K」という文字を見かけた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この成分が一体何なのか、どのような働きを持つのかを正しく理解することが、適切な頭皮ケアの第一歩です。
甘草(カンゾウ)由来の天然成分
グリチルリチン酸ジカリウムは、マメ科の植物である甘草(カンゾウ)の根や茎から抽出される成分です。
甘草は古くから漢方薬として利用され、その薬効は広く知られています。
この天然由来の成分を、化粧品や医薬部外品に応用しやすいように水に溶けやすくしたものがグリチルリチン酸ジカリウムです。
食品では甘味料としても使われる場合があり、私たちの生活の様々な場面で活用されています。
グリチルリチン酸ジカリウムの基本情報
項目 | 内容 | 補足 |
---|---|---|
由来 | マメ科の植物「甘草(カンゾウ)」 | 漢方薬としても長い歴史を持つ |
主な作用 | 抗炎症作用、抗アレルギー作用 | 肌荒れやニキビ予防にも用いられる |
主な用途 | シャンプー、化粧水、育毛剤など | 医薬部外品の有効成分として配合 |
頭皮の炎症を抑える抗炎症作用
この成分の最も特筆すべき働きは、優れた抗炎症作用です。
紫外線や乾燥、アレルギー反応や間違ったヘアケアなど、様々な要因で頭皮に炎症が起こるときがあります。
炎症は、かゆみや赤み、フケといった不快な症状を引き起こすだけでなく、放置すると毛根にダメージを与え、抜け毛や薄毛の原因にもなり得ます。
グリチルリチン酸ジカリウムは、この炎症シグナルを鎮めて頭皮を健やかな状態に保つ手助けをします。
なぜシャンプーに配合されるのか
毎日の洗髪は頭皮の汚れを落とすだけでなく、頭皮環境に直接影響を与える重要な行為です。
シャンプーにグリチルリチン酸ジカリウムを配合する目的は、日々の洗髪を通じて頭皮の炎症を予防・改善し、トラブルの起こりにくい状態を維持することにあります。
特に、頭皮がデリケートな方や、かゆみ・フケに悩む方にとって、この成分の抗炎症作用は大きなメリットとなります。
医薬部外品としての位置づけ
グリチルリチン酸ジカリウムは、厚生労働省からその効果と安全性を認められた有効成分です。
この成分を一定濃度以上配合した製品は「医薬部外品」として販売できます。
「医薬部外品」は、治療を目的とする「医薬品」と、美容を目的とする「化粧品」の中間に位置づけられ「防止・衛生」を目的としています。
つまり、グリチルリチン酸ジカリウム配合の薬用シャンプーは、頭皮トラブルの「予防」に効果が期待できる製品であると国が認めているのです。
女性の薄毛と頭皮環境の密接な関係
髪の悩みは髪そのものだけを見ていては解決しません。美しい髪は、健康な畑から美味しい野菜が育つのと同じように、健康な頭皮から生まれます。
女性の薄毛と頭皮環境がいかに密接に関わっているかを見ていきましょう。
頭皮トラブルが引き起こす抜け毛のリスク
頭皮にかゆみやフケ、赤みや湿疹などのトラブルがあると、無意識のうちに掻いてしまい、物理的な刺激で頭皮や毛根を傷つけてしまいます。
また、炎症が続くと頭皮の血行が悪化し、髪の成長に必要な栄養が毛根まで届きにくくなります。
この状態が慢性化すると、髪の毛が十分に成長する前に抜けてしまう「ヘアサイクルの乱れ」につながり、結果として薄毛が進行する原因となります。
頭皮トラブルの種類と原因
トラブルの種類 | 主な原因 | 対策の方向性 |
---|---|---|
乾燥フケ・かゆみ | 洗浄力の強いシャンプー、空気の乾燥 | 保湿、優しい洗浄 |
脂性フケ・かゆみ | 皮脂の過剰分泌、常在菌の増殖 | 適切な皮脂コントロール、殺菌 |
赤み・炎症 | 紫外線、アレルギー、物理的刺激 | 抗炎症ケア、刺激を避ける |
女性ホルモンの変化と頭皮への影響
女性の体は、一生を通じて女性ホルモンの影響を受け続けます。特に、髪の成長を促進し、ハリやコシを保つ働きのある「エストロゲン」は重要です。
加齢やストレス、出産などによってエストロゲンが減少すると、相対的に男性ホルモンの影響が強まり、皮脂の分泌が増加したりヘアサイクルが短くなったりします。
このホルモンバランスの変化は頭皮環境を不安定にし、抜け毛や薄毛を招く一因となります。
間違ったヘアケアが頭皮を傷つける
良かれと思って行っているヘアケアが、実は頭皮にダメージを与えているケースは少なくありません。
例えば、洗浄力の強すぎるシャンプーでのゴシゴシ洗いや、熱すぎるお湯でのすすぎ、爪を立てて洗う行為は頭皮に必要な皮脂まで奪い、バリア機能を低下させます。
この無防備な状態の頭皮はわずかな刺激にも敏感に反応し、炎症を起こしやすくなります。
やってはいけないシャンプー方法
- 熱いお湯(40℃以上)での洗髪
- シャンプーを直接頭皮につける
- 爪を立ててゴシゴシ洗う
- すすぎが不十分
頭皮環境を整えることの重要性
これまでの話から分かるように、健やかな髪を育むためには、まず頭皮環境を正常に保つことが何よりも重要です。
炎症を抑えて適度な潤いを保ち、血行が良い状態の頭皮こそが、太く健康な髪を育てるための理想的な土壌と言えます。
グリチルリチン酸ジカリウムのような成分を活用し、日々のケアで頭皮を健やかに保つ工夫は、未来の髪への投資なのです。
グリチルリチン酸ジカリウム配合シャンプーがもたらす具体的な効果
では、グリチルリチン酸ジカリウムを配合したシャンプーを日常的に使うことで、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。
ここでは、女性が抱えがちな頭皮の悩みに焦点を当てて解説します。
フケ・かゆみの抑制と予防
フケやかゆみの多くは、頭皮の炎症や乾燥、あるいは皮脂の過剰分泌による常在菌の異常繁殖が原因で起こります。
グリチルリチン酸ジカリウムは、これらの根底にある「炎症」を鎮静化させる働きがあります。
炎症が和らぐと肌のターンオーバーが正常化し、異常な角質の剥がれ(フケ)や、かゆみの発生を効果的に抑えられます。
継続的な使用により、トラブルが起こりにくい頭皮状態を目指せます。
頭皮の赤みや炎症を和らげる
ヘアカラーやパーマ、紫外線や季節の変わり目などで頭皮がヒリヒリしたり、赤みを帯びたりするときがあります。これは、頭皮がSOSサインを出している状態です。
グリチルリチン酸ジカリウムの抗炎症作用は、このような頭皮の赤みや軽い炎症を和らげるのに役立ちます。
刺激を受けた頭皮を優しくいたわり、穏やかな状態へと導きます。
頭皮の炎症サイン
サイン | 状態 | 考えられる影響 |
---|---|---|
赤み | 毛細血管が拡張し、炎症が起きている | かゆみや痛みを伴うことがある |
かゆみ | 乾燥や炎症による神経への刺激 | 掻き壊しによる二次的なダメージ |
フケ | ターンオーバーの乱れ | 毛穴詰まりや抜け毛の原因に |
健やかな髪が育つ土台作り
抜け毛や薄毛の直接的な治療薬ではありませんが、グリチルリチン酸ジカリウムは髪が健康に育つための「土壌改善」に大きく貢献します。
炎症のないクリーンな頭皮は血行も良好に保たれやすく、髪の毛を作る毛母細胞へ栄養素がスムーズに運ばれます。
これによって一本一本の髪がしっかりと根付き、力強く成長できる環境が整うのです。これは、髪のハリ・コシのアップにもつながります。
他の有効成分との相乗効果
多くの薬用シャンプーでは、グリチルリチン酸ジカリウムだけでなく、他の有効成分も同時に配合されています。
例えば、血行促進成分(センブリエキスなど)や、殺菌成分(ピロクトンオラミンなど)、保湿成分(ヒアルロン酸など)です。
グリチルリチン酸ジカリウムがまず頭皮の炎症を抑えることで、他の成分がより効果的に働きやすい環境を作り出す、という相乗効果も期待できます。
そのシャンプー、本当に自分の頭皮に合っていますか?
「敏感肌用を選んでいるのに、なぜか頭皮がかゆい」「口コミで評判のシャンプーなのに、自分には合わなかった」といった経験もあるでしょう。
ここでは、多くの女性が見落としがちな、自分に本当に合うシャンプーを見つけるための視点で見ていきましょう。
「敏感肌用」でも起こる頭皮トラブルのなぜ
「敏感肌用」や「低刺激」と表示されている製品は、確かに刺激の強い成分を避けている傾向にあります。
しかし、肌質は千差万別です。ある人にとっては優しい成分でも、別の人にとってはアレルギーや刺激の原因となる可能性があります。
例えば、植物由来成分にアレルギーがある方では、「オーガニック」や「ボタニカル」といった製品が合わない場合もあります。
「敏感肌用」という言葉を鵜呑みにせず、自分の頭皮が何に反応するのかを見極める姿勢が重要です。
洗浄成分との相性を見極める
シャンプーの品質を左右する最も重要な要素は、ベースとなる洗浄成分(界面活性剤)です。
グリチルリチン酸ジカリウムのような有効成分が配合されていても、洗浄成分が自分の頭皮に合っていなければ、その効果は半減してしまいます。
洗浄力が強すぎるシャンプーは頭皮を乾燥させ、逆に弱すぎると皮脂や汚れを落としきれず、トラブルの原因になります。
代表的な洗浄成分の種類と特徴
洗浄成分の種類 | 特徴 | どんな人向けか |
---|---|---|
アミノ酸系 | マイルドな洗浄力、適度な保湿力 | 乾燥肌、敏感肌、ダメージヘア |
高級アルコール系 | 強い洗浄力、豊かな泡立ち | 脂性肌、スタイリング剤を多用する人 |
石けん系 | さっぱりした洗い上がり、強い洗浄力 | 健康な頭皮の脂性肌 |
使用感だけでは判断できないシャンプーの質
「泡立ちが良い」「洗い上がりがサラサラになる」といった使用感は、シャンプー選びの楽しみの一つですが、これが必ずしも頭皮の健康につながるとは限りません。
豊かな泡立ちは強力な洗浄成分によるものかもしれませんし、サラサラ感は髪をコーティングするシリコンなどの成分による効果かもしれません。
心地よい使用感と、頭皮環境を健やかに保つ機能性は、必ずしもイコールではないことを理解しておく必要があります。
自分の頭皮タイプを知るためのセルフチェック
適切なシャンプーを選ぶためには、まず自分の頭皮の状態を把握するのがスタートラインです。
以下の項目で、自分の頭皮タイプを確認してみましょう。
頭皮タイプ簡易セルフチェック
チェック項目 | A | B |
---|---|---|
夕方になると髪がベタつく | あまりない | よくある |
フケは乾燥してパラパラしている | はい | いいえ |
洗髪後、頭皮がつっぱる感じがする | よくある | あまりない |
髪にボリュームが出にくい | いいえ | はい |
Aが多かった方は「乾燥・敏感タイプ」、Bが多かった方は「脂性(オイリー)タイプ」の可能性があります。
この結果を基に、洗浄成分や保湿成分のバランスを考えてシャンプーを選ぶと、失敗しないための鍵となります。
自分に合うグリチルリチン酸ジカリウム配合シャンプーの選び方
グリチルリチン酸ジカリウムが配合されているシャンプーは数多く存在します。
その中から、自分の頭皮と髪に本当に合った一本を見つけ出すための具体的な選び方のポイントを紹介します。
アミノ酸系洗浄成分配合のものを選ぶ
特に女性のデリケートな頭皮には、洗浄力がマイルドで保湿性に優れたアミノ酸系の洗浄成分を主成分とするシャンプーをおすすめします。
成分表示で「ココイルグルタミン酸」「ラウロイルメチルアラニンNa」といった表記が前方にあるものが該当します。
頭皮の潤いを守りながら余分な皮脂や汚れを優しく洗い流すため、乾燥や刺激を防ぎます。
保湿成分にも注目する
頭皮も顔の肌と同じように保湿が重要です。特に乾燥しがちな方は、保湿成分が豊富に含まれているかを確認しましょう。
グリチルリチン酸ジカリウムで炎症を抑えつつ、これらの保湿成分で潤いを与えると、頭皮のバリア機能が正常に働いて外部刺激に強い健やかな状態を保てます。
注目の保湿成分
- セラミド
- ヒアルロン酸
- コラーゲン
- リピジュア
シリコン・ノンシリコンは目的に合わせて
一時期、「ノンシリコン」が善で「シリコン」が悪という風潮がありましたが、一概にそうとは言えません。
シリコン(ジメチコンなど)は髪のキューティクルをコーティングし、指通りを滑らかにしたり、ドライヤーの熱から髪を守ったりする役割があります。
髪のダメージやきしみが気になる方はシリコン配合、髪のボリュームを出したい方や頭皮への負担を軽くしたい方はノンシリコン、というように、ご自身の髪の状態や求める仕上がりに合わせて選ぶのが賢明です。
継続しやすい価格と香り
頭皮環境の改善にはある程度の期間、同じシャンプーを継続して使用することが大切です。
どんなに優れた製品でも、高価すぎて続けられなくては意味がありません。無理なく購入し続けられる価格帯であるかどうかは、重要な選定基準の一つです。
また、毎日のバスタイムを心地よいものにするために、自分がリラックスできる好みの香りを選ぶのも継続の秘訣です。
シャンプー選びの優先順位
優先度 | チェックポイント | 理由 |
---|---|---|
高 | 洗浄成分の種類 | 頭皮への影響が最も大きい要素 |
中 | 有効成分・保湿成分 | 悩みに直接アプローチする機能性 |
低 | 香り・テクスチャ | 継続使用のための快適さ |
効果を最大限に引き出すシャンプーの正しい使い方
せっかく良いシャンプーを選んでも、使い方が間違っていては効果を十分に発揮できません。
グリチルリチン酸ジカリウムの恩恵を最大限に受けるための、正しいシャンプーの手順とポイントを再確認しましょう。
シャンプー前の予洗いが重要
シャンプーをつける前に、38℃程度のぬるま湯で頭皮と髪を1〜2分かけてじっくりとすすぎます。これを「予洗い」と呼びます。
予洗いだけで、髪についたホコリや皮脂などの汚れの7割程度は落ちると言われています。
このひと手間によりシャンプーの泡立ちが格段に良くなり、少ない量のシャンプーで効率的に洗えるため、頭皮への負担も軽減します。
指の腹で優しくマッサージ洗い
シャンプーは手のひらでよく泡立ててから、髪ではなく頭皮につけます。そして、絶対に爪を立てず、指の腹を使って頭皮を優しくマッサージするように洗います。
頭皮全体を動かすようなイメージで、下から上へ、ジグザグに指を動かしながら洗うと、血行促進にもつながります。
髪の毛自体は、泡が全体に行き渡ればこすらなくても自然と汚れは落ちます。
正しい洗い方 vs 間違いやすい洗い方
項目 | 正しい方法 | 間違いやすい方法 |
---|---|---|
洗い方 | 指の腹でマッサージするように | 爪を立ててゴシゴシこする |
お湯の温度 | 38℃程度のぬるま湯 | 40℃以上の熱いお湯 |
泡立て | 手で泡立ててから頭皮へ | 原液を直接頭皮につける |
すすぎ残しは頭皮トラブルのもと
シャンプー成分が頭皮に残っていると、それが刺激となってかゆみや炎症、フケの原因になります。洗うとき以上に時間をかけて、丁寧にすすぎましょう。
生え際、耳の後ろ、襟足などはシャンプー剤が残りやすい部分なので、意識してしっかりと洗い流してください。
目安は、髪のぬめり感が完全になくなるまでです。
ドライヤーでの乾かし方と注意点
濡れた髪はキューティクルが開いて非常にデリケートな状態です。また、濡れたままの頭皮は雑菌が繁殖しやすくなります。
洗髪後はすぐに、清潔なタオルで優しく水分を拭き取り(ゴシゴシこすらない)、ドライヤーで乾かしましょう。
ドライヤーは頭皮から20cm以上離し、同じ場所に熱が集中しないように小刻みに動かしながら、根元から先に乾かすのがポイントです。
8割ほど乾いたら冷風に切り替えて仕上げると、キューティクルが引き締まり髪にツヤが出ます。
グリチルリチン酸ジカリウム配合シャンプー使用時の注意点
頭皮に良い効果が期待できるグリチルリチン酸ジカリウム配合シャンプーですが、使用する上で知っておきたい注意点もいくつかあります。
正しく理解し、安心してケアを続けましょう。
使用してすぐに効果は出ない
グリチルリチン酸ジカリウム配合シャンプーは、医薬品のように即効性があるわけではありません。
頭皮の炎症を穏やかに鎮め、乱れた頭皮環境を時間をかけて正常な状態へと導いていくものです。
効果を実感するまでには、頭皮のターンオーバーの周期(約1ヶ月)を考慮し、少なくとも1〜3ヶ月は継続して使用することが大切です。焦らず、じっくりとケアを続けましょう。
肌に合わない場合のサインと対処法
どんなに低刺激な製品でも、体質によっては肌に合わないケースがあります。
使用中や使用後に、かゆみや赤みが悪化したり、ヒリヒリとした刺激や湿疹などが出たりしたときは、アレルギー反応や刺激を感じているサインです。
すぐに使用を中止し、症状が改善しない場合は専門のクリニックに相談してください。
使用中止を検討するべきサイン
- 使用前よりかゆみが増した
- フケの量が増えた
- 頭皮に赤みや湿疹が出た
- ヒリヒリとした刺激を感じる
シャンプーだけで薄毛が治るわけではない
グリチルリチン酸ジカリウム配合シャンプーは、あくまでも頭皮環境を整えることで抜け毛を予防し、健やかな髪を育む「土台」を作るためのものです。
女性の薄毛の原因は、ホルモンバランスの乱れや遺伝、生活習慣や栄養不足など多岐にわたります。
シャンプーは重要なケアの一部ですが、それだけで薄毛が根本的に治るわけではない点を理解しておく必要があります。
クリニックでの専門的な治療との併用
セルフケアを続けても抜け毛が減らない、薄毛が進行していると感じる場合は、一人で悩まずに専門クリニックの受診を推奨します。
クリニックでは、専門医がマイクロスコープで頭皮の状態を正確に診断し、薄毛の根本原因を特定します。
その上で、内服薬や外用薬の処方、専門的な施術など、一人ひとりの状態に合わせた治療法を提案します。
適切なシャンプーでのセルフケアと、クリニックでの専門治療の組み合わせが、改善への最も確実な道筋です。
よくある質問(Q&A)
さいごに、グリチルリチン酸ジカリウム配合シャンプーに関して、患者さんからよく寄せられる質問にお答えします。
- 毎日使用しても大丈夫ですか?
-
問題ありません。グリチルリチン酸ジカリウムは安全性の高い成分であり、多くの製品が毎日の使用を前提として設計されています。
むしろ、毎日使用すると頭皮を清潔に保ち、有効成分の効果を持続させられるため、継続的なご使用をおすすめします。
ただし、洗浄力が強すぎる製品を毎日使うと乾燥を招く場合もあるため、ご自身の頭皮タイプに合ったマイルドな洗浄力のシャンプーを選んでください。
- どのくらいの期間で効果を実感できますか?
-
効果の感じ方には個人差がありますが、一つの目安として1〜3ヶ月程度の継続使用をおすすめしています。
かゆみやフケといった表面的なトラブルは、比較的早い段階(数週間程度)で改善を感じる方もいます。
しかし、頭皮環境が根本的に改善され、髪質の変化として実感できるようになるには、ヘアサイクルも考慮するともう少し時間が必要です。焦らず、日々のケアを続けてみてください。
- 男性用のシャンプーを使っても問題ありませんか?
-
基本的には大きな問題はありませんが、あまりおすすめはしません。
男性と女性では頭皮の皮脂分泌量が異なり、男性用シャンプーは一般的に皮脂をしっかりと落とすために洗浄力や清涼感が強く設計されているものが多いです。
女性が使用すると必要な皮脂まで奪ってしまい、頭皮の乾燥を招く可能性があります。
ご自身の頭皮タイプに合っていれば問題ありませんが、特に乾燥や刺激が気になる方は、女性向けに作られた製品を選ぶほうが安心です。
- 妊娠中や授乳中に使用しても良いですか?
-
グリチルリチン酸ジカリウム自体は、外用でシャンプーとして使用する分には胎児や母乳への影響はほとんどないと考えられており、基本的には安全に使用できる成分です。
しかし、妊娠中や授乳中はホルモンバランスの変化で肌が非常にデリケートになり、これまで問題なかった製品でも刺激を感じる場合があります。
また、香りで気分が悪くなることも考えられます。心配なときはかかりつけの医師や、専門医にご相談の上で使用を開始してください。
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