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女性用発毛剤の正しい使い方と期待できる効果|ミノキシジルを中心に

女性用発毛剤の正しい使い方と期待できる効果|ミノキシジルを中心に

薄毛は、女性とって大きな悩みです。対策として発毛剤の使用を検討する方も多いのではないでしょうか。

なかでもミノキシジルは、女性用の発毛剤として注目されています。

この記事では、ミノキシジルを中心とした女性用発毛剤の正しい使い方、期待できる効果、そして副作用について詳しく解説します。

目次

女性の薄毛はなぜ起こるの?

女性の薄毛は、男性とは異なる原因が複雑に絡み合って発生するケースが多いです。

一言で「年のせい」と片付けられない問題であり、その背景を理解することが対策の第一歩となります。

ホルモンバランスの変化と薄毛

女性の髪の健康には、女性ホルモンであるエストロゲンが深く関わっています。

エストロゲンは髪の成長を促進し、ハリやコシを保つ働きをします。

しかし、妊娠・出産後や更年期のようにホルモンバランスが大きく変動する時期には、エストロゲンの分泌量が減少し、相対的に男性ホルモンの影響が強まる場合があります。

このホルモンバランスの変化が髪の成長期を短縮させたり、毛包を小さくしたりして、薄毛や抜け毛を引き起こす一因となります。

「びまん性脱毛症」と呼ばれる、頭部全体の髪が均等に薄くなる症状は、特に女性に見られやすいタイプです。

生活習慣の乱れが髪に与える影響

髪の毛は、私たちが日々摂取する栄養素から作られます。

偏った食事や無理なダイエットは、髪の成長に必要なタンパク質、ビタミンやミネラルなどの不足を招き、結果として髪が細くなったり抜けやすくなったりします。

また、睡眠不足も髪の成長を妨げる要因です。睡眠中に分泌される成長ホルモンは毛母細胞の分裂を促し、髪の成長に重要な役割を果たします。

不規則な生活や夜更かしは、この成長ホルモンの分泌を阻害し、頭皮環境の悪化にもつながります。

女性の薄毛の原因と特徴

原因主な症状・特徴対策のヒント
ホルモンバランスの乱れ頭部全体の髪が薄くなる(びまん性脱毛)、分け目が目立つ婦人科や専門医への相談、生活習慣の見直し
生活習慣の乱れ髪のハリ・コシ低下、抜け毛増加、頭皮の乾燥やべたつきバランスの取れた食事、十分な睡眠、禁煙
ストレス円形脱毛症、抜け毛の急増、頭皮の緊張リラックス方法の実践、適度な運動、専門家への相談

ストレスと頭皮環境の悪化

現代社会において、ストレスは避けて通れない問題の一つです。ただ、過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させます。

この血管収縮により、頭皮への血流が悪化し、毛根に十分な栄養や酸素が供給されにくくなります。

その結果、髪の成長が妨げられて抜け毛が増えやすいです。

また、ストレスは皮脂の過剰な分泌を促し、頭皮の毛穴詰まりや炎症を引き起こすケースもあり、これも薄毛を進行させる要因となり得ます。

間違ったヘアケアと牽引性脱毛症

良かれと思って行っているヘアケアが、実は髪や頭皮にダメージを与えているケースもあります。

例えば、洗浄力の強すぎるシャンプーの頻繁な使用は頭皮に必要な皮脂まで奪い去り、乾燥やかゆみを引き起こします。

また、毎日同じ分け目で髪を強く引っ張るような髪型(ポニーテールやきつい編み込みなど)を長期間続けると、毛根に持続的な負担がかかり、「牽引性脱毛症」を引き起こすときがあります。

これは特定の部位の髪が薄くなる特徴があります。

発毛剤とは?育毛剤との違い

薄毛対策として「発毛剤」や「育毛剤」といった言葉をよく耳にしますが、これらの違いを正確に理解している方は意外と少ないかもしれません。

それぞれの役割と目的を知り、ご自身の状態に合った製品を選びましょう。

発毛剤の役割|髪を生やす力

発毛剤は、その名の通り「髪を生やす」ことを主な目的とした医薬品です。毛母細胞の働きを活性化させたり、新しい髪の毛の成長を促したりする有効成分が配合されています。

日本で現在、発毛効果が認められている成分としては、ミノキシジルが代表的です。

発毛剤は既に薄毛が進行し、新しい髪の毛が生えにくくなっている状態に対して、積極的に働きかける製品と言えます。

医師の診断のもとで使用するものや、薬剤師の説明を受けて購入するものがあります。

育毛剤の役割|頭皮環境を整える

一方、育毛剤(養毛剤とも呼ばれます)は、主に「今ある髪を健康に育てる」や「抜け毛を予防する」が目的の医薬部外品や化粧品です。

頭皮の血行を促進したり、保湿したり、フケやかゆみを抑えたりして、髪が育ちやすい健やかな頭皮環境を整える働きをします。

発毛剤のように直接的に新しい髪を生やす効果は期待できませんが、頭皮トラブルを抱えている方や、抜け毛が気になり始めた初期段階でのケアに適しています。

目的と成分による使い分け

発毛剤と育毛剤は期待できる効果や含まれる成分が異なるため、ご自身の薄毛の進行度や頭皮の状態、そして求める効果によって使い分ける必要があります。

既に髪が薄くなってしまい、積極的に増やしたいと考える方は発毛剤が選択肢の一つとなります。

一方で、まだ薄毛はそれほど進行していないものの、抜け毛が増えてきた、髪にハリやコシがなくなってきた、頭皮環境を改善したい、といったときには育毛剤が適している場合があります。

どちらを選ぶべきか迷った場合は、専門のクリニックで医師に相談すると良いでしょう。

発毛剤と育毛剤の違い

区分目的主な有効成分例
発毛剤(医薬品)新しい髪を生やす、毛成長を促すミノキシジル
育毛剤(医薬部外品など)抜け毛予防、今ある髪の育成、頭皮環境改善センブリエキス、グリチルリチン酸ジカリウムなど

女性用発毛剤の主役|ミノキシジルとは

女性の薄毛治療において、ミノキシジルは広く知られる有効成分です。

その効果と特徴を正しく理解すると、より安心して治療に取り組めます。

ミノキシジルの発見と発毛効果

ミノキシジルは、もともと高血圧治療薬(内服薬)として開発された成分です。

しかし、その治療過程で副作用として多毛の症状が見られたことから、発毛効果に関する研究が進められ、外用薬としての発毛剤に応用されるようになりました。

日本では、男性型脱毛症(AGA)だけでなく、女性の壮年性脱毛症(FAGA)に対しても効果が認められています。

市販薬としては、例えば「リアップリジェンヌ」などが女性用ミノキシジル配合発毛剤として知られています。

ミノキシジルが髪を増やす仕組み

ミノキシジルがどのようにして発毛を促すか、その詳細な作用は完全には解明されていませんが、主に以下の働きが考えられています。

まず、頭皮の血管を拡張し、毛根への血流を増加させます。血流が増えると、毛母細胞に必要な栄養や酸素がより多く供給され、細胞の活動が活発になります。

また、毛母細胞に直接作用してその増殖を促したり、アポトーシス(細胞の自然死)を抑制したりする効果も報告されています。

これらの作用により、休止期にある毛包を成長期へと移行させ、細く短い毛髪を太く長い毛髪へと成長させるのです。

女性に適したミノキシジル濃度

ミノキシジル配合の発毛剤には、いくつかの濃度があります。

男性用では5%濃度の製品が一般的ですが、女性の場合は副作用のリスクを考慮し、より低い濃度(例1%)の製品が推奨されています。

高濃度のものを使用すれば効果が高まるとは限らず、かえって頭皮トラブルなどの副作用を引き起こす可能性もあります。

必ず女性用の製品を選び、用法・用量を守って使用することが大切です。自己判断で男性用の高濃度製品を使用するのは避けてください。

ミノキシジル製剤の種類と特徴

種類濃度(女性向け)主な特徴
外用薬(市販薬)1%など頭皮に直接塗布。薬局・ドラッグストアで購入可能(薬剤師の説明が必要)。
外用薬(クリニック処方)1%~数%程度(医師の判断による)医師の診察に基づき処方。他の成分と混合されることも。
内服薬(クリニック処方)医師の判断による全身から作用。日本では未承認だが、医師の裁量で処方される場合がある。副作用に注意が必要。

ミノキシジル配合発毛剤の正しい使い方

ミノキシジル配合発毛剤の効果を最大限に引き出し、安全に使用するためには、正しい使い方を守ることが非常に重要です。

使用方法を誤ると、期待した効果が得られないばかりか、副作用のリスクを高める可能性もあります。

使用前の準備と頭皮チェック

発毛剤を使用する前には、まず頭皮を清潔な状態にするのが基本です。シャンプーで皮脂や汚れをしっかり落とし、髪と頭皮をよく乾かしてから使用します。

ただし、シャンプーのしすぎは頭皮の乾燥を招くため、1日1回程度が目安です。

また、頭皮に傷や湿疹、炎症などがないか確認してください。異常があるときは症状が悪化する可能性があるため使用を避け、医師に相談しましょう。

1日の使用回数と塗布量

ミノキシジル配合発毛剤は、製品によって定められた使用回数と1回あたりの塗布量を守りましょう。

一般的に、女性用のミノキシジル外用薬は1日2回、1回1mLを使用する製品が多いです。

量を増やしたり、回数を増やしたりしても効果が高まるわけではなく、むしろ副作用のリスクを高めます。製品の説明書をよく読み、指示された用法・用量を厳守してください。

効果的な塗布方法とマッサージ

発毛剤を塗布する際は、薄毛や抜け毛が気になる部分を中心に、頭皮に直接薬液が届くように丁寧に塗布します。髪の毛に付着するだけでは効果がありません。

塗布後は指の腹を使って軽くマッサージすると薬液の浸透を助け、血行促進効果も期待できます。

ただし、強くこすりすぎると頭皮を傷つける可能性があるため、優しく行うのがポイントです。

塗布後は自然乾燥させ、すぐに洗い流さないようにしましょう。

ミノキシジル塗布の正しい手順

手順内容ポイント
1. 頭皮の準備洗髪後、頭皮と髪をしっかり乾かす。清潔な頭皮に使用する。
2. 薬液の塗布定められた量を、薄毛の気になる部分の頭皮に直接塗布する。髪ではなく頭皮に塗ることを意識する。
3. なじませる指の腹で優しくマッサージするように頭皮になじませる。強くこすらない。自然乾燥させる。

使用後の注意点とスタイリング

ミノキシジルを塗布した後は、薬液が完全に乾くまで待ちましょう。完全に乾く前に寝具などに薬液が付着すると、意図しない部分に影響が出る可能性があります。

また、スタイリング剤を使用する場合は、ミノキシジルを塗布して頭皮が乾いた後に使用するようにしてください。

ヘアカラーやパーマは頭皮への刺激となるため、ミノキシジル使用中の頭皮状態によっては、施術のタイミングを医師に相談するのがおすすめです。

ミノキシジル発毛剤の効果はいつから?期待できる変化

ミノキシジル配合発毛剤の使用を開始しても、すぐに髪がフサフサになるわけではありません。

効果を実感するまでにはある程度の期間が必要であり、その過程を理解しておくことが、治療を継続する上で大切です。

効果を実感し始めるまでの期間

一般的に、ミノキシジル外用薬の効果が現れ始めるまでには、早くても3ヶ月から6ヶ月程度の継続使用が必要とされています。

髪の毛にはヘアサイクル(毛周期)があり、新しい髪が成長して目に見える形で効果として現れるまでには時間がかかります。

すぐに効果が出ないからといって諦めずに、根気強く使用を続ける必要があります。効果の現れ方には個人差があるため、焦らずじっくりと取り組みましょう。

初期脱毛とその後の毛髪の変化

ミノキシジルの使用を開始して数週間から1ヶ月程度の間に、一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」と呼ばれる現象が起こるケースがあります。

これは、ミノキシジルの作用によりヘアサイクルがリセットされ、休止期にあった古い髪が新しい髪に押し出されるために起こるもので、効果が現れる前兆とされています。

初期脱毛に驚いて使用を中止してしまう方もいますが、通常は1ヶ月程度で治まり、その後に新しい髪が生え始めることが期待できます。

ただし、抜け毛が異常に多い、または長期間続く場合は医師に相談しましょう。

継続使用の重要性と効果のピーク

ミノキシジルの効果を維持するためには、継続して使用します。使用を中止すると、ミノキシジルの作用によって改善されていたヘアサイクルが元に戻り、再び薄毛が進行してしまう可能性があります。

効果を実感した後も自己判断で使用を中止せず、医師の指示に従いましょう。

効果のピークは使用開始から1年~2年程度で現れる方が多いと言われていますが、これも個人差があります。

ミノキシジル効果発現の目安

期間見られる変化注意点
使用開始~1ヶ月頃初期脱毛が起こることがある。一時的な現象であることが多い。不安な場合は医師に相談。
3ヶ月~6ヶ月頃産毛のような細い毛が生え始める。抜け毛の減少を実感する人も。効果には個人差あり。根気強く継続。
6ヶ月~1年頃髪の毛にハリやコシが出て、太く成長する。薄毛部分の改善を実感。効果維持のため継続使用が重要。

女性用ミノキシジルの副作用

ミノキシジルは発毛効果が期待できる一方で、副作用が起こる可能性もあります。

どのような副作用があるのか、そしてどのように対処すればよいのかを事前に知っておくと、安心して治療を進められます。

主な副作用とその頻度

女性用ミノキシジル外用薬で報告されている主な副作用には、塗布部分の頭皮のかゆみや発疹・発赤、フケやかぶれ、熱感などがあります。これらの皮膚症状は、比較的多く見られる副作用です。

まれに、頭痛やめまい、胸の痛み、心拍が速くなる、手足のむくみ、原因不明の体重増加といった全身性の副作用が起こるケースもあります。

副作用の発生頻度や程度には個人差がありますが、何か異常を感じたときはすぐに使用を中止し、医師または薬剤師に相談しましょう。

頭皮のかゆみや発疹への対処法

頭皮のかゆみや発疹といった皮膚症状が現れた場合、使用しているミノキシジル製剤が肌に合わない可能性があります。また、薬液の基剤成分(アルコールなど)が刺激となっている可能性も考えられます。

軽度のかゆみであれば様子を見る場合もありますが、症状が続くときや悪化するときは使用を中止し、医師に相談してください。

医師が症状に応じてステロイド外用薬を処方したり、治療薬の変更を検討します。かきむしったり、他の塗り薬を使用したりするのは避けましょう。

多毛症についてのリスクと理解

ミノキシジルの作用により、塗布した頭皮以外の部位(顔の産毛が濃くなる、腕や足の毛が増えるなど)に多毛の症状が現れる方もいます。

これは、薬液が体内に吸収され、全身に作用して起こり得ます。特にミノキシジル内服薬では、外用薬に比べて多毛症のリスクが高いとされています。

外用薬でも、塗布した薬液が手や枕などを介して他の部位に付着すると、部分的な多毛が起こる可能性は否定できません。

多毛の症状が気になるときは医師に相談し、使用量や使用方法の見直し、あるいは治療法自体の変更を検討します。

ミノキシジルの主な初期症状と対処

症状考えられること対処法例
頭皮のかゆみ・赤み接触皮膚炎、薬剤の刺激使用中止し医師に相談。保湿ケア。
フケの増加頭皮の乾燥、ターンオーバーの変化低刺激シャンプーの使用、保湿。改善しない場合は医師に相談。
初期脱毛ヘアサイクルの正常化過程通常1ヶ月程度で治まる。長引く場合は医師に相談。

発毛剤だけに頼らない!美髪を育むトータルケア

ミノキシジルなどの発毛剤は薄毛治療において有効な選択肢の一つですが、美しい髪を育むためにはそれだけに頼るのではなく、身体の内側と外側からの総合的なケアが大切です。

「薬を使っているから大丈夫」と安心するだけでなく、生活習慣の見直しと改善が治療効果を高め、長期的な髪の健康につながると考えています。

バランスの取れた食事が髪を作る

髪の主成分はケラチンというタンパク質です。そのため、良質なタンパク質(肉、魚、卵、大豆製品など)を十分に摂取する心がけが、健康な髪の土台となります。

また、タンパク質の合成を助ける亜鉛、頭皮の血行を促進するビタミンE、コラーゲンの生成に関わるビタミンC、細胞分裂をサポートするビタミンB群なども、髪の成長には欠かせない栄養素です。

特定の食品に偏るのではなく、多様な食材のバランス良い摂取を心がけましょう。

インスタント食品やファストフードの摂りすぎは、栄養バランスを崩し、頭皮環境にも悪影響を与える可能性があるため注意が必要です。

質の高い睡眠と成長ホルモン

髪の成長を促す成長ホルモンは、主に睡眠中に分泌されます。なかでも入眠後の深いノンレム睡眠時に多く分泌されると言われています。

睡眠時間が不足したり、睡眠の質が低下したりすると成長ホルモンの分泌が減少し、髪の成長が妨げられる可能性があります。

毎日同じ時間に寝起きする、寝る前のカフェイン摂取やスマートフォンの使用を控えるなど、質の高い睡眠を確保するための工夫を取り入れましょう。

十分な睡眠はストレス軽減や自律神経の安定にもつながり、頭皮環境を整える上で重要です。

ストレス管理とリラックス法

過度なストレスは血管を収縮させて頭皮の血行を悪化させるだけでなく、ホルモンバランスや自律神経の乱れを引き起こし、薄毛を助長する可能性があります。

日常生活でストレスを完全になくすのは難しいかもしれませんが、自分に合ったストレス解消法を見つけ、上手に付き合っていくことが大切です。

適度な運動、趣味の時間を楽しむ、ヨガや瞑想でリラックスする、親しい人と話すなど、心身を解放できる時間を作りましょう。

美髪を育む生活習慣のポイント

  • タンパク質、ビタミン、ミネラルをバランス良く摂取する。
  • 毎日6~8時間の質の高い睡眠を確保する。
  • 自分に合ったリラックス法を見つけ、ストレスを溜め込まない。
  • 優しく洗い、マッサージで血行を促進する。

頭皮マッサージと血行促進のコツ

頭皮マッサージは硬くなった頭皮を柔らかくし、血行を促進して、毛根に栄養を届けやすくする効果が期待できます。

シャンプー時やリラックスタイムなどに、指の腹を使って優しく行うのがポイントです。爪を立てたり、強くこすりすぎたりすると頭皮を傷つけてしまうため注意しましょう。

頭頂部、側頭部、後頭部など、頭全体をゆっくりと揉みほぐすようにマッサージします。

アロマオイルを数滴垂らしたお湯で蒸しタオルを作り、頭を温めてからマッサージを行うのも、血行促進効果を高めるためにおすすめです。

クリニックでの薄毛治療|発毛剤以外の選択肢

市販の発毛剤で効果を感じられないときや、より専門的な治療を希望する方には、薄毛治療専門クリニックへの相談が有効な選択肢となります。

クリニックでは医師による正確な診断に基づき、個々の状態に合わせた多様な治療法を提案します。

専門医による診断の重要性

女性の薄毛の原因は多岐にわたるため、自己判断でケアを続けるよりも、まずは専門医による正確な診断を受けることが重要です。

医師は問診や視診、マイクロスコープによる頭皮チェック、場合によっては血液検査などを行い、薄毛の原因や進行度を特定します。

この診断結果に基づいて、ミノキシジル外用薬の処方はもちろん、内服薬や注入治療など、より効果的な治療法を検討します。

また、生活習慣の指導や心理的なサポートも行い、総合的に薄毛改善を目指します。

内服薬による治療とその特徴

クリニックでは外用薬だけでなく、内服薬による薄毛治療も行っています。

女性の薄毛治療に用いられる内服薬としては、スピロノラクトン(男性ホルモンの働きを抑制する)、ミノキシジルタブレット(血管拡張作用、毛母細胞活性化)、各種ビタミン剤やミネラルサプリメントなどがあります。

これらの内服薬は医師の厳格な管理のもとで処方され、体の中から発毛を促したり、抜け毛を抑制したりする効果が期待できます。

ただし、それぞれ副作用のリスクもあるため、医師と十分に相談し、理解した上で治療を開始しましょう。

注入治療(メソセラピーなど)の紹介

注入治療は、発毛・育毛効果のある有効成分(成長因子、ミノキシジル、ビタミンなど)を注射や特殊な機器を用いて頭皮に直接注入する治療法です。

代表的なものに「ヘアフィラー」や「HARG療法」、「メソセラピー」などがあります。

有効成分を直接毛根周辺に届けるため、外用薬よりも効果を実感しやすいとされています。

治療時の痛みやダウンタイムは比較的少なく、他の治療法と組み合わせて行う場合もあります。どの注入治療が適しているかは、薄毛の状態や原因によって異なります。

クリニックでの薄毛治療方法

方法具体例メリット
外用薬治療高濃度ミノキシジル外用薬、オーダーメイド処方薬市販薬より効果が期待できる場合がある、医師による経過観察
内服薬治療スピロノラクトン、ミノキシジルタブレット、サプリメント全身から作用し、より積極的な発毛促進、抜け毛抑制
注入治療メソセラピー、HARG療法、ヘアフィラー有効成分を直接頭皮に届け、高い効果が期待できる

その他の先進的な治療法

クリニックによっては、低出力レーザー治療や自毛植毛など、さらに専門的で先進的な治療法を提供しているところがあります。

低出力レーザー治療は、特定の波長のレーザーを頭皮に照射して毛母細胞を活性化させ、発毛を促す治療法です。

自毛植毛は、後頭部などの自分の健康な毛髪を薄毛の気になる部分に移植する外科的な治療法で、より確実な効果を求める方に適しています。

これらの治療法は適応や費用、リスクなどがそれぞれ異なるため、専門医とよく相談して検討しましょう。

女性用発毛剤に関するよくある質問(Q&A)

女性用発毛剤、特にミノキシジル製品に関して、患者さんから寄せられることの多いご質問とその回答をまとめました。

ミノキシジルは妊娠中や授乳中でも使えますか?

妊娠中や妊娠の可能性がある方、授乳中の方はミノキシジルの使用を避けてください。ミノキシジルは胎児や乳児への影響が懸念されるため、安全性が確立されていません。

使用中に妊娠が判明した場合は、直ちに使用を中止し、医師にご相談ください。

出産後、授乳が終了してからであれば、医師の判断のもとで使用を再開できる場合があります。

効果がなかった場合、どうすれば良いですか?

ミノキシジル外用薬の効果が現れるまでには、一般的に3ヶ月から6ヶ月以上の継続使用が必要です。まずは定められた期間、正しく使用を続けてみてください。

それでも効果を実感できないときは自己判断で使用量や回数を増やしたりせず、専門のクリニックを受診することをお勧めします。

医師が薄毛の原因を再評価し、ミノキシジルの濃度変更、他の治療法への切り替え、あるいは併用療法などを提案します。

他の薬と併用しても大丈夫ですか?

ミノキシジル外用薬と他の外用薬(湿疹やかゆみの薬など)を同じ部位に使用する際は、相互作用や吸収への影響を考慮する必要があります。必ず医師または薬剤師に相談してください。

また、内服薬を服用しているときも、ミノキシジルとの併用について事前に医師に伝えて指示を仰ぐようにします。特に血圧に影響する薬を服用している方は注意が必要です。

使用を中止すると元に戻りますか?

ミノキシジルの使用を中止すると、その効果によって維持されていた髪の毛は、数ヶ月かけて徐々に元の状態に戻る(再び薄毛が進行する)可能性があります。

ミノキシジルは薄毛の原因を根本的に取り除くものではなく、使用している間だけ発毛効果を持続させる対症療法です。

効果を維持するためには、継続して使用するのが基本となります。中止を検討する場合は、医師に相談してください。

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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