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女性の薄毛治療薬の種類と正しい選び方 – 効果と副作用

女性の薄毛治療薬の種類と正しい選び方 - 効果と副作用

女性の薄毛は見た目の印象だけでなく、精神的な負担にもつながる深刻な悩みです。

しかし、適切な治療薬を選び、正しく使用すると改善が期待できます。

この記事では、女性の薄毛治療に用いられる薬の種類、それぞれの効果と副作用、そしてご自身に合った治療薬を選ぶためのポイントをくわしく解説します。

目次

女性の薄毛とは?その原因と種類

女性の薄毛は男性の薄毛とは異なる特徴があり、原因もさまざまです。

一言で「薄毛・はげ」といっても、その状態や進行のしかたは人によって異なります。まずはご自身の状態を把握することが、適切な対策への第一歩となります。

びまん性脱毛症とは

女性の薄毛で最も多いとされるのが「びまん性脱毛症」です。これは、頭部全体の髪の毛が均等に薄くなる症状を指します。

特定の部位だけが薄くなるのではなく、全体のボリューム感が失われたり、分け目が目立ってきたりするのが特徴です。

加齢やホルモンバランスの乱れ、ストレスや生活習慣などが複雑に関与して発症すると考えられています。

女性男性型脱毛症(FAGA)

女性男性型脱毛症(FAGA: Female Androgenetic Alopecia)は、男性ホルモンの影響で起こる脱毛症です。

男性のAGA(男性型脱毛症)とは異なり、生え際が後退するのではなく、頭頂部や分け目を中心に薄毛が進行する傾向があります。

閉経後の女性に多く見られますが、若い方でも発症するケースがあります。

女性の薄毛の原因

原因カテゴリ具体的な要因簡単な説明
ホルモンバランス妊娠・出産、更年期女性ホルモンの変動が毛髪サイクルに影響します。
生活習慣睡眠不足、食生活の乱れ髪の成長に必要な栄養や休息が不足します。
ストレス精神的・肉体的ストレス自律神経やホルモンバランスを乱し、血行不良を招きます。

その他の脱毛症

上記以外にも、牽引性脱毛症(髪を強く引っ張る髪型が原因)、円形脱毛症(自己免疫疾患の一種)、薬剤性の脱毛症など、さまざまな種類の脱毛症が存在します。

原因によって治療法が異なるため、自己判断せずに専門医の診断を受けることが重要です。

薄毛治療薬の基本知識 – 作用と期待できる効果

女性の薄毛治療薬は、原因や症状に合わせてさまざまな種類があります。

治療薬の主な作用

薄毛治療薬の作用には、毛母細胞の活性化や血行促進、ホルモンバランスの調整などがあります。

例えば、毛根に直接作用して発毛を促す成分や、頭皮の血流を改善して髪の成長に必要な栄養を届けやすくする成分、男性ホルモンの影響を抑制する成分などが用いられます。

期待できる効果とは

治療薬を使用して期待できる効果は、抜け毛の減少、髪の毛のハリやコシの改善、うぶ毛の発毛、そして全体的な毛量の増加などです。

ただし、効果の現れ方や程度には個人差があり、治療開始から効果を実感するまでには数ヶ月単位の時間が必要となるのが一般的です。

治療薬の一般的な効果発現期間

期間期待される変化ポイント
1~3ヶ月初期脱毛、抜け毛の減少効果が出始めるサインのこともあります。
3~6ヶ月うぶ毛の発毛、髪質の変化目に見える変化を感じ始める時期です。
6ヶ月以降毛量の増加、薄毛の改善継続的な治療が重要です。

効果を実感するために大切なこと

治療薬の効果を最大限に引き出すためには、医師の指示通りに正しい用法・用量を守ることが基本です。

また、効果が現れるまでには時間がかかるため、根気強い治療の継続が重要になります。

途中で自己判断で中断してしまうと、十分な効果が得られない可能性があります。

女性向け薄毛治療薬の種類 – 塗り薬と飲み薬

女性の薄毛治療に用いられる薬は、大きく分けて「塗り薬(外用薬)」と「飲み薬(内服薬)」の2種類があります。

それぞれに特徴があり、薄毛の状態や原因、生活スタイルなどに応じて使い分けられます。

塗り薬(外用薬)の特徴

塗り薬は頭皮に直接塗布して有効成分を毛根に浸透させ、発毛を促進したり、抜け毛を予防したりするものです。

代表的な成分としてはミノキシジルがあります。

局所的に作用するため、全身への副作用のリスクが比較的低いとされています。毎日継続して使用するのが大切です。

飲み薬(内服薬)の特徴

飲み薬は、体の中から作用して薄毛の原因に働きかけます。

ホルモンバランスを整える薬や、髪の成長に必要な栄養素を補給するサプリメントに近いものなど、さまざまな種類があります。

医師の処方が必要なものが多く、効果が期待できる一方で、副作用にも注意が必要です。

塗り薬と飲み薬の比較

項目塗り薬(外用薬)飲み薬(内服薬)
使用方法頭皮に直接塗布経口摂取
主な作用局所的な血行促進、毛母細胞活性化全身的なホルモン調整、栄養補給
メリット全身性の副作用が少ない傾向内側から根本的な原因に働きかけるものもある

市販薬と処方薬の違い

薄毛治療薬には、ドラッグストアなどで購入できる市販薬と、医師の診断のもとに処方される処方薬があります。

市販薬は手軽に入手できますが、有効成分の濃度が低い場合もあり、全ての薄毛タイプに適しているわけではありません。

一方、処方薬は医師が症状に合わせて選択するため、より効果が実感しやすい場合がありますが、定期的な通院が必要です。

ミノキシジル配合外用薬 – 効果と注意点

ミノキシジルは、女性の薄毛治療において広く使用されている有効成分の一つです。

もともとは高血圧の治療薬として開発されましたが、副作用として多毛が見られたことから、発毛剤としての研究が進められました。

ミノキシジルの発毛効果

ミノキシジルには、血管を拡張して頭皮の血流を改善する作用と、毛母細胞に直接働きかけてその増殖や分化を促進する作用があります。

これらの作用により毛髪の成長期を延長し、休止期から成長期への移行を促して発毛効果を発揮します。

女性の場合、1%や2%濃度のミノキシジル外用薬が推奨されるケースが多いです。

ミノキシジル使用時の注意点

ミノキシジル外用薬の使用初期には、「初期脱毛」といって一時的に抜け毛が増える場合があります。

これは、休止期にあった毛髪が新しい毛髪に押し出されるために起こる現象で、効果が出始めている兆候とも考えられます。

通常は1~2ヶ月程度で治まりますが、不安なときは医師に相談しましょう。

ミノキシジル外用薬の副作用

副作用の種類症状の例対処法
皮膚症状かゆみ、発疹、フケ、接触皮膚炎使用を中止し医師に相談
循環器系動悸、めまい、頭痛(まれ)使用を中止し医師に相談
その他初期脱毛、多毛症(塗布部位以外)医師に相談

副作用が現れた場合は、自己判断せずに速やかに医師に相談することが重要です。

また、妊娠中や授乳中の方、心臓や腎臓に疾患のある方は使用できない場合があります。

効果的な使い方と期間

ミノキシジル外用薬は1日2回、用法・用量を守って継続的に使用します。

効果を実感するまでには、通常3~6ヶ月程度の期間が必要です。

効果が出始めた後も使用を中止すると再び薄毛が進行する可能性があるため、医師の指示に従って治療を継続しましょう。

スピロノラクトン内服薬 – 効果と注意点

スピロノラクトンは、本来は利尿薬や高血圧治療薬として用いられる薬ですが、抗アンドロゲン作用(男性ホルモンの働きを抑える作用)があるため女性のFAGA(女性男性型脱毛症)の治療薬として処方される場合があります。

ただし、日本では薄毛治療薬としては未承認のため、医師の判断のもと慎重に使用されます。

スピロノラクトンの作用機序

スピロノラクトンは、男性ホルモンであるテストステロンがより強力なジヒドロテストステロン(DHT)に変換されるのを阻害したり、毛乳頭細胞にあるアンドロゲン受容体への結合を妨げたりして、男性ホルモンによる脱毛の進行を抑制する効果が期待されます。

この作用によって毛髪の成長期が延長され、抜け毛の減少や毛髪の質の改善につながる仕組みです。

スピロノラクトン使用時の注意点

スピロノラクトンはホルモンに作用する薬であるため、いくつかの注意点があります。

とくに電解質異常(高カリウム血症など)を引き起こす可能性があるため、定期的な血液検査が必要です。

また、利尿作用があるため、脱水にも注意が必要です。

スピロノラクトンの主な副作用

副作用の種類症状の例対処法・注意点
電解質異常高カリウム血症(倦怠感、不整脈など)定期的な血液検査、カリウム摂取制限
ホルモン関連生理不順、乳房痛、性欲減退医師に相談
その他頻尿、低血圧、めまい、頭痛水分補給、急な体位変換を避ける

妊娠中や授乳中の方、腎機能障害のある方、高カリウム血症の方は使用できません。

他の薬剤との飲み合わせにも注意が必要なため、必ず医師に服用中の薬を伝えましょう。

医師の指導のもとでの使用が必須

スピロノラクトンは、その効果と副作用の観点から、専門医による慎重な判断と管理のもとで使用されるべき薬です。

自己判断での個人輸入や使用は非常に危険です。必ず医師の診察を受け、適切な処方と指導を受けるようにしてください。

治療薬の正しい選び方 – 医師との相談が重要

女性の薄毛治療薬は種類が多く、それぞれに特徴や注意点があります。

ご自身の薄毛の原因や状態、体質に合った薬を選ぶためには、専門医との相談が何よりも大切です。

自己判断の危険性

市販薬やインターネットの情報だけで治療薬を選んでしまうと、効果が得られないばかりか、思わぬ副作用に悩まされる可能性があります。

薄毛の原因は一人ひとり異なり、その原因に合わない薬を使用しても改善は期待できません。

また、持病や他に服用している薬によっては、使用できない治療薬もあります。

専門医による診断の重要性

薄毛治療を専門とする医師は、問診や視診、必要に応じて血液検査や頭皮の検査などを行い、薄毛の原因を特定します。

そのうえで患者さんの状態や希望、生活スタイルなどを総合的に考慮し、適切と考えられる治療法や治療薬を提案します。

この診断の流れが、効果的な治療への第一歩です。

医師に伝えるべき情報

  • いつから薄毛が気になり始めたか
  • 既往歴、現在治療中の病気
  • 服用中の薬、サプリメント
  • アレルギー歴
  • 妊娠・授乳の有無、またはその予定

治療目標の共有

医師と治療目標を共有するのも重要です。「どの程度まで改善したいのか」「治療にかけられる期間や費用はどのくらいか」などを具体的に伝えると、より納得のいく治療計画を立てられます。

治療のメリットだけでなく、デメリットやリスクについても十分に説明を受け、理解したうえで治療を開始しましょう。

薄毛の悩みに寄り添う – 専門クリニックだからできること

薄毛の悩みは非常にデリケートであり、誰にも相談できずに一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。

専門クリニックでは、薬物治療だけでなく、患者さんの心に寄り添ったサポート提供を大切にしているところが多いです。

心のケアと精神的サポート

薄毛は外見の変化だけでなく、自信の喪失や精神的なストレスにもつながります。

「このままどんどんはげてしまったらどうしよう」「薬が効かないはげもあるかも」と不安になりがちです。

薄毛治療を専門としたクリニックでは、単に薬を処方するだけでなく、患者さんが抱える不安や悩みをていねいに伺い、精神的なサポートも行います。

治療の過程で生じる疑問や心配事についても、いつでも気兼ねなく相談できる環境が整っているクリニックがほとんどです。

多角的な取り組みの提案

薬物治療は薄毛改善の有効な手段の一つですが、それだけが全てではありません。

クリニックでは、食生活や睡眠、ストレス管理といった生活習慣の改善指導や、頭皮環境を整えるためのスカルプケア、必要に応じてサプリメントの提案など、多角的な取り組みで薄毛の改善を目指します。

一人ひとりの生活スタイルに合わせた、無理のないケアプランを一緒に考えます。

クリニックが提供する包括的ケア

サポート内容具体的な取り組み患者さまへのメリット
個別カウンセリング詳細なヒアリング、悩み共有安心して治療に臨める
生活習慣アドバイス食事、睡眠、運動指導身体の内側から健康な髪を育む
メンタルサポート不安軽減、前向きな気持ちの醸成治療へのモチベーション維持

治療経過の丁寧なフォローアップ

治療効果はすぐには現れないケースも多く、不安を感じるときもあるでしょう。

クリニックでは、定期的な診察を通じて治療の進捗をていねいに確認し、必要に応じて治療計画を調整します。

写真撮影による経過観察など、客観的なデータも用いながら、患者さんと一緒に効果を実感できるよう努めています。

治療のゴールまで、医師と二人三脚でしっかりと取り組んでいけるのがメリットです。

治療薬以外のサポートケアと生活習慣の見直し

薄毛治療薬の効果を高め、健康な髪を育むためには、薬物治療と並行して日々の生活習慣を見直し、頭皮ケアを行うのも重要です。

身体の内側と外側からのトータルケアが、より良い結果につながります。

バランスの取れた食事

髪の毛は主にタンパク質(ケラチン)でできていますので、良質なタンパク質の十分な摂取が大切です。

また、髪の成長をサポートするビタミンやミネラルも積極的に摂りましょう。

髪に良いとされる栄養素と食材

栄養素主な働き多く含む食材
タンパク質髪の主成分肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛タンパク質の合成を助ける牡蠣、レバー、牛肉
ビタミンB群頭皮環境を整える緑黄色野菜、ナッツ類

質の高い睡眠

髪の成長には成長ホルモンが深く関わっています。成長ホルモンは主に睡眠中に分泌されるため、質の高い睡眠を十分にとる工夫が重要です。

毎日同じ時間に寝起きするなど、規則正しい生活を心がけましょう。

寝る前のカフェイン摂取やスマートフォンの使用は控えるのが賢明です。

頭皮マッサージと適切なヘアケア

頭皮マッサージは血行を促進し、毛根に栄養を届けやすくする効果が期待できます。指の腹を使って、優しく揉みほぐすように行いましょう。

また、シャンプーは洗浄力の強すぎないアミノ酸系のものを選び、爪を立てずに優しく洗うことが大切です。

すすぎ残しがないように注意し、ドライヤーでしっかりと乾かしましょう。

日常で避けたい髪へのダメージ要因

  • 過度なヘアカラーやパーマ
  • 紫外線への長時間の曝露
  • きつく髪を縛るヘアスタイル

よくある質問

女性の薄毛治療薬に関して、患者さんから寄せられることの多いご質問とその回答をまとめました。

治療薬はどのくらいの期間使用すれば効果が出ますか?

効果を実感できるまでの期間には個人差がありますが、一般的には3ヶ月から6ヶ月程度の継続使用で変化を感じ始める方が多いです。

治療薬の種類や薄毛の進行度によっても異なります。大切なのは、医師の指示通りに根気強く治療を続けることです。

治療薬の副作用が心配です。

どのような薬にも副作用のリスクはありますが、医師は患者さんの状態を考慮し、できるだけ副作用が少なく、かつ効果が期待できる薬を選択します。

使用中に何か異変を感じた場合は自己判断で中止せず、すぐに医師に相談しましょう。事前に副作用についてくわしい説明を受けるのも重要です。

はげ治療を途中でやめるとどうなりますか?

治療薬の効果で改善した毛髪の状態は、薬の使用を中止すると、徐々に元の状態に戻ってしまう可能性があります。

特にミノキシジルなどの発毛効果のある薬は、継続使用が基本となります。

治療の中止や変更を希望する場合は、必ず医師に相談し、指示に従ってください。

妊娠中や授乳中でも治療薬は使えますか?

妊娠中や授乳中は、胎児や乳児への影響を考慮し、使用できない治療薬が多くあります。

薄毛治療を希望する場合は、必ず事前に医師に妊娠の可能性や授乳中であることを伝えてください。

安全性を最優先に、適切なアドバイスや治療法を提案してもらえます。

参考文献

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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