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女性の髪に優しい抜け毛防止薬とその使用方法|副作用の違い

女性の髪に優しい抜け毛防止薬とその使用方法|副作用の違い

髪は女性らしさの象徴でもあり、その変化は大きなストレスとなります。

この記事では、女性の髪と頭皮に配慮した抜け毛防止薬の種類、正しい使用方法、そして気になる副作用について詳しく解説します。

ご自身に合った抜け毛予防薬や抜け毛飲み薬を見つけ、対策を行っていきましょう。

目次

女性の抜け毛の原因と薬の必要性

女性の抜け毛は、男性とは異なる多様な原因が絡み合って発生します。原因を理解することが、適切な抜け毛薬を選ぶ第一歩です。

ホルモンバランスの変動

妊娠や出産、更年期などライフステージの変化に伴う女性ホルモンのバランスの乱れは、抜け毛の大きな原因の一つです。

なかでもエストロゲンの減少は髪の成長期を短縮させ、休止期を延長させるため、抜け毛が増加しやすくなります。

生活習慣とストレスの影響

不規則な食生活や睡眠不足、過度なダイエットや精神的なストレスは、自律神経やホルモンバランスを乱し、頭皮環境の悪化や血行不良を引き起こします。

この頭皮環境の悪化が健康な髪の育成を妨げ、抜け毛を促進させます。

頭皮環境のトラブル

間違ったヘアケア、合わないシャンプーの使用、頻繁なカラーリングやパーマは頭皮にダメージを与え、炎症やかゆみ、乾燥を引き起こす場合があります。

これらの頭皮トラブルも抜け毛の一因です。健康な髪は健康な頭皮から育ちます。

遺伝的要因とその他の疾患

家族に薄毛の方がいる場合、遺伝的な要因も考えられます。

また、甲状腺疾患や貧血などの病気が原因で抜け毛が起こるケースもあります。

気になる場合は、まず専門医に相談することが大切です。

女性向け抜け毛防止薬の種類と特徴

女性の抜け毛治療薬には外用薬と内服薬があり、それぞれ作用の仕方や特徴が異なります。

自分に合った対策を行うために、市販薬と処方薬の違いも理解しておきましょう。

ミノキシジル配合外用薬

ミノキシジルは、頭皮の血行を促進して毛母細胞を活性化させ、発毛を促す成分です。

女性用には低濃度の製品が推奨されています。継続的な使用で効果を期待できますが、初期脱毛(一時的に抜け毛が増える現象)が見られる場合もあります。

ミノキシジル外用薬の濃度

対象推奨濃度主な作用
女性1%~2%血行促進、毛母細胞活性化
男性5%以上血行促進、毛母細胞活性化

スピロノラクトン配合内服薬

スピロノラクトンは元々利尿薬として使用されていましたが、男性ホルモンの働きを抑制する作用があるため、女性の男性型脱毛症(FAGA)の治療に用いられます。

市販で購入できるものではなく、医師の処方が必要な薬です。

その他の育毛成分配合薬

パントガールのようなサプリメントに近い内服薬や、アデノシン、サイトプリン、ペンタデカンといった育毛成分を配合した外用薬も存在します。

これらは頭皮環境を整えたり、毛母細胞に栄養を与えたりする目的で使用します。

市販薬と処方薬の違い

抜け毛薬の市販品は手軽に入手できますが、効果がマイルドなものが多い傾向にあります。

一方、処方薬は医師の診断のもとで処方され、より効果が期待できる反面、副作用のリスクも考慮する必要があります。

抜け毛の症状や原因に合わせて専門医と相談し、適切な薬を選ぶことが重要です。

抜け毛薬の正しい使用方法と注意点

抜け毛薬の効果を最大限に引き出し、安全に使用するためには、正しい使用方法を守ることが大切です。

使用前には必ず説明書をよく読みましょう。

外用薬の塗布方法と頻度

外用薬は、清潔な乾いた頭皮に使用します。指定された量を薄毛や抜け毛が気になる部分を中心に、指の腹で優しくマッサージするように塗布します。

通常、1日1~2回の使用が一般的です。塗布後はすぐに洗い流さず、成分を浸透させます。

内服薬の服用タイミングと期間

内服薬は医師の指示に従い、毎日決まった時間に服用するのが基本です。

食事の影響を受ける薬もあるため、食前・食後などの指示も守りましょう。

効果を実感するまでには数ヶ月単位の継続が必要なケースが多いです。

抜け毛薬の服用期間の目安

薬剤の種類効果実感までの期間継続期間の目安
ミノキシジル外用薬3~6ヶ月6ヶ月以上
スピロノラクトン内服薬3~6ヶ月医師の指示による
育毛サプリメント3ヶ月~継続的な使用を推奨

使用上の一般的な注意

妊娠中・授乳中の方、特定の持病がある方、他の薬を服用中の方は、使用前に必ず医師や薬剤師に相談してください。

また、使用中に異常を感じたときはすぐに使用を中止し、専門医の診察を受けましょう。

保管方法と期限

薬は直射日光を避け、湿気の少ない涼しい場所に保管します。

子供の手の届かないところに保管することも重要です。使用期限の過ぎた薬は使用しないでください。

抜け毛薬の副作用の種類と対処法

抜け毛薬は効果が期待できる一方で、副作用が現れる可能性もあります。

安全に使用するために、主な副作用と、もしもの時の対処法について知っておきましょう。

外用薬に見られる主な副作用

ミノキシジル外用薬などでは、塗布部位のかゆみや発疹、かぶれやフケ、接触皮膚炎などが報告されています。

また、まれに頭痛やめまい、動悸や多毛症(塗布部位以外での体毛の増加)などが起こるケースもあります。

外用薬の主な副作用と頻度(一般的な傾向)

副作用頻度主な症状
頭皮のかゆみ・発疹比較的多い塗布部位の刺激感、赤み
接触皮膚炎まれかぶれ、湿疹
初期脱毛一時的使用開始初期の抜け毛増加

内服薬に見られる主な副作用

スピロノラクトンなどの内服薬では、電解質異常(高カリウム血症など)、不正出血や乳房痛、血圧低下や頻尿、頭痛や吐き気などが起こる可能性があります。

抜け毛を予防する飲み薬の副作用は、種類によって異なります。

副作用が出た場合の対応

副作用と思われる症状が現れた場合は、自己判断せずに速やかに医師や薬剤師に相談してください。

症状によっては、薬の変更や中止、または対症療法が必要になります。

特に、抜け毛薬の副作用が重い場合は、直ちに使用を中止し医療機関を受診しましょう。

副作用を軽減するための工夫

医師の指示通りの用法・用量を守ることが、副作用のリスクを低減する基本です。

また、アレルギー体質の方や敏感肌の方は、事前にパッチテストを行うなどの対策も有効です。

体調の変化に気を配り、無理のない範囲で使用を継続しましょう。

薬だけに頼らない抜け毛予防とヘアケア

抜け毛防止薬は有効な手段の一つですが、それだけに頼るのではなく、日々の生活習慣やヘアケアの見直しと改善も健康な髪を育むためには重要です。

バランスの取れた食事

髪の主成分であるタンパク質をはじめ、ビタミン(特にビオチン、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE)、ミネラル(亜鉛、鉄分など)をバランス良く摂取する工夫が欠かせません。

特定の食品に偏らず、多様な食材から栄養を摂るように心がけましょう。

髪に良いとされる栄養素

  • タンパク質(肉、魚、大豆製品、卵)
  • 亜鉛(牡蠣、レバー、ナッツ類)
  • 鉄分(レバー、赤身肉、ほうれん草)
  • ビタミンB群(緑黄色野菜、魚介類)

質の高い睡眠

髪の成長には成長ホルモンが関与しており、このホルモンは睡眠中に多く分泌されます。

毎日6~8時間程度の質の高い睡眠を確保するよう努めましょう。寝る前のカフェイン摂取やスマートフォンの使用は控えるほうが望ましいです。

正しいシャンプー方法

頭皮に優しいアミノ酸系などのシャンプーを選び、爪を立てずに指の腹で優しくマッサージするように洗いましょう。

すすぎ残しは頭皮トラブルの原因になるため、十分な時間をかけて洗い流します。

洗髪後はドライヤーで根本からしっかり乾かすことも大切です。

シャンプー選びのポイント

シャンプーの種類特徴おすすめな方
アミノ酸系低刺激、保湿力あり乾燥肌、敏感肌
石鹸系さっぱりとした洗い上がり脂性肌(洗浄力高め)
高級アルコール系泡立ちが良い、洗浄力高い普通肌~脂性肌(刺激注意)

頭皮マッサージのすすめ

頭皮マッサージは血行を促進し、毛母細胞に栄養を届けやすくする効果が期待できます。シャンプー時やリラックスタイムに取り入れてみましょう。

ただし、強い力で行うと頭皮を傷つける可能性があるため、優しく行うのがポイントです。

抜け毛の悩み、一人で抱え込まず専門医へ

抜け毛や薄毛の悩みはデリケートで、誰にも相談できずに一人で抱え込んでしまう方が少なくありません。

しかし、早期の対策がその後の改善に大きく影響します。

専門医による正確な診断の重要性

自己判断で市販の抜け毛予防薬を使用しても、原因に合っていなければ十分な効果は期待できません。

専門医は問診や視診、検査などを通じて抜け毛の原因を特定し、一人ひとりの状態に合わせた治療法を提案します。

原因が分かれば、「どうして抜け毛が増える?」「本当に改善できる?」といった不安も軽減されるでしょう。

心理的なサポートと情報提供

抜け毛の悩みは、時に大きな精神的負担となります。

薄毛治療を専門とするクリニックでは、薬物治療だけでなく患者さんの心理的な側面にも配慮し、安心して治療に取り組めるようサポートします。

治療の選択肢や、それぞれのメリット・デメリットについて、分かりやすく丁寧に情報提供を行います。

多くのクリニックのカウンセリングで重視すること

  • 丁寧なヒアリング
  • 分かりやすい説明
  • プライバシーへの配慮

一人ひとりに合った治療計画

女性の薄毛の原因や進行度は多岐にわたるため、画一的な治療では十分な効果が得られない場合があります。

クリニックでは生活スタイルやご希望を考慮しながら、その人だけのオーダーメイドの治療計画を作成します。

薬の選択から生活指導まで、トータルでサポートしてもらえるのがメリットです。

継続的なフォローアップ体制

抜け毛治療は、効果が現れるまでに時間がかかるケースもあります。

治療開始後も定期的な診察を通じて、効果の確認や副作用のチェック、必要に応じた治療法の調整を行います。

不安なことや疑問点は、電話やメール、LINEなどでいつでも相談できる体制のあるクリニックを選ぶと安心です。

女性用抜け毛防止薬の選び方

数ある抜け毛防止薬の中から、自分に合ったものを選ぶには、いくつかのポイントがあります。焦らず、情報を集めて慎重に選びましょう。

自分の抜け毛タイプを把握する

まずは、自分の抜け毛がどのタイプに当てはまるのかを大まかに把握することが大切です。

びまん性脱毛症なのか、FAGA(女性男性型脱毛症)なのか、あるいは円形脱毛症なのかによって、適した薬や対策が異なります。

主な女性の脱毛症タイプ

脱毛症タイプ主な特徴考えられる原因
びまん性脱毛症頭部全体の髪が均等に薄くなる加齢、ストレス、栄養不足など
FAGA頭頂部や分け目が薄くなるホルモンバランス、遺伝など
牽引性脱毛症髪を強く引っ張る髪型で起こるポニーテール、きつい編み込みなど

成分と効果を確認する

薬の有効成分とその作用機序を理解しましょう。

ミノキシジルのように発毛を促すもの、頭皮環境を整えるもの、ホルモンに作用するものなど様々です。

期待できる効果と、自分の抜け毛の原因や状態が合致するかどうかを確認します。

副作用のリスクを比較検討する

どんな薬にも副作用のリスクは伴います。特に、抜け毛薬の副作用は気になる点でしょう。

各薬の添付文書や専門家の情報を参考に、副作用の種類や頻度、対処法を比較検討し、許容できる範囲かどうかを判断します。

費用と続けやすさを考慮する

抜け毛治療は継続が基本です。薬の費用だけでなく通院が必要な場合はその費用も考慮し、経済的に無理なく続けられるものを選びましょう。

使用方法の手軽さも、続けやすさに関わる重要な要素です。

抜け毛治療薬の費用目安(月額・参考)

薬剤の種類費用の目安備考
ミノキシジル外用薬(市販)5,000円~8,000円濃度・製品による
スピロノラクトン(処方)8,000円~15,000円診察料別途の場合あり
育毛サプリメント3,000円~10,000円製品による

よくある質問(FAQ)

さいごに、女性の抜け毛防止薬に関して、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

抜け毛薬はどのくらいで効果が出ますか

効果を実感できるまでの期間には個人差がありますが、一般的には3ヶ月から6ヶ月程度の継続使用が目安とされています。

外用薬も内服薬も毛髪サイクル(成長期・退行期・休止期)を考慮すると、効果判定にはある程度の時間が必要です。

焦らず、医師の指示に従って治療を続けていきましょう。

抜け毛薬の使用を中止するとどうなりますか

薬の種類や個人の状態によりますが、一般的に抜け毛薬の使用を中止すると薬の効果で維持されていた状態が元に戻り、再び抜け毛が進行する可能性があります。

特にミノキシジルなどは、使用を中止すると数ヶ月で効果が失われるケースが多いです。

中止を検討する場合は、自己判断せず医師に相談してください。

市販の抜け毛薬とクリニック処方の薬の違いは何ですか

抜け毛薬の市販品は、薬局やドラッグストアで手軽に購入できるメリットがありますが、有効成分の濃度が低めに設定されているものや、効果が比較的マイルドなものが多い傾向にあります。

初期の抜け毛であれば市販薬でも改善する可能性があるため、試してみる価値があります。ただ、進行した抜け毛の場合は市販薬や生活習慣の改善のみでは役不足かもしれません。

一方、クリニックで処方される薬は、医師が診察に基づいて患者さんの状態に合わせて選択するため、より効果的な治療が期待できますが、副作用のリスクも考慮する必要があります。

抜け毛の症状が気になる場合は、まず専門医に相談することをおすすめします。無料カウンセリングを行うクリニックも多いので、上手に利用すると良いでしょう。

抜け毛薬と育毛剤の違いは何ですか

「抜け毛薬(発毛剤)」は、医薬品として毛髪の成長を促す効果(発毛効果)が認められているものを指します。代表的な成分にミノキシジルがあります。

一方、「育毛剤」は医薬部外品として、主に頭皮環境を整えて抜け毛を予防し、今ある髪を健康に育てることを目的としています。

発毛効果を期待する場合は「抜け毛薬(発毛剤)」、頭皮ケアや予防を主目的とする場合は「育毛剤」と使い分けを考えると良いでしょう。

ご自身に合ったものが分からない、本格的な治療を行いたい、といった方は、いちどクリニックに足を運んでみましょう。

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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