女性の10円はげ、病院は何科？皮膚科？受診の目安と主な治療法を解説

ある日突然、鏡を見て「10円はげ」を見つけてしまったら、言葉にならないほどの衝撃と不安を感じるかもしれません。特に女性にとって、髪は大切なものです。

この小さな円形の脱毛が何を意味するのか、病院へ行くべきか、もし行くなら何科なのか、そしてどんな治療が待っているのか、次々と疑問が浮かぶでしょう。

この記事では、10円はげ（円形脱毛症）で悩む女性のために、病院受診の目安から、皮膚科での主な治療法、セルフケアのポイントまで、あなたの不安に寄り添いながら詳しく解説します。

正しい知識を得ることが、不安を和らげ、適切な対処への第一歩となります。

突然の「10円はげ」もしかして円形脱毛症？

「10円はげ」という俗称で呼ばれる症状は、医学的には「円形脱毛症」と呼ばれる皮膚の疾患である可能性が高いです。

まずはこの症状がどのようなものなのか、正しく理解することから始めましょう。

10円はげとはどのような状態

一般的に「10円はげ」と呼ばれるのは、頭部に10円玉程度の大きさの円形または楕円形の脱毛斑（髪の毛が抜けた部分）が突然現れる症状を指します。

多くの場合、自覚症状（かゆみや痛みなど）はなく、ある日突然、家族や美容師に指摘されて気づくケースも少なくありません。

脱毛斑の大きさは様々で、10円玉より小さいこともあれば、500円玉大になることもあります。この症状が「円形脱毛症」の初期段階である可能性が考えられます。

円形脱毛症の特徴と種類

円形脱毛症は、単に髪が抜けるだけでなく、特定のパターンを持つことが特徴です。脱毛斑の境界がはっきりしており、抜けた部分の頭皮はなめらかで、赤みやかさぶたなどは通常見られません。

しかし、活動期には脱毛斑の周囲の毛が切れやすくなっていることがあります。円形脱毛症は、脱毛斑の数や範囲によっていくつかのタイプに分類されます。

円形脱毛症の主な種類

種類	主な特徴	概要
単発型	脱毛斑が1つだけ出現する	最も多く見られるタイプで、10円はげの多くがこれに該当します。
多発型	脱毛斑が2つ以上出現する	複数の脱毛斑が融合し、大きくなることもあります。
蛇行型	後頭部から側頭部の生え際に沿って帯状に脱毛する	治りにくい傾向があるタイプです。

他にも、頭部全体の毛が抜ける「全頭型」や、全身の毛が抜ける「汎発型」などがありますが、これらは稀です。多くの「10円はげ」は単発型から始まります。

女性に起こりやすい円形脱毛症の原因

円形脱毛症の明確な原因はまだ完全には解明されていませんが、現在は「自己免疫疾患」の一つと考えるのが主流です。

何らかの理由で免疫機能に異常が生じ、本来は体を守るはずのTリンパ球が、成長期の毛根を異物と間違えて攻撃してしまうことで毛が抜けると考えられています。

女性の場合、この免疫異常の引き金として、以下のような要因が関わっている可能性が指摘されています。

一つは、精神的なストレスです。仕事、家庭、人間関係など、女性が直面するストレスは多様です。

強いストレスや長期間続くストレスは、自律神経やホルモンバランスを乱し、免疫機能に影響を与える可能性があります。

また、妊娠・出産に伴うホルモンバランスの急激な変化や、甲状腺疾患（橋本病など）といった他の自己免疫疾患が背景にあることもあります。

さらに、アトピー性皮膚炎などのアレルギー体質（アトピー素因）を持つ人は、円形脱毛症を発症しやすい傾向があることも知られています。

10円はげができたら病院へ行くべき？受診の目安

10円はげを見つけたとき、すぐに病院へ行くべきか、少し様子を見ても良いのか迷うところです。病院受診を判断するための目安について解説します。

まずはセルフチェック

脱毛斑を見つけたら、まずは落ち着いて状態を確認しましょう。鏡を使ったり、家族に協力してもらったりして、以下の点を確認します。

セルフチェック項目

• 脱毛斑の大きさ（例10円玉大、500円玉大など）
• 脱毛斑の数（1つ、2つ以上）
• 脱毛斑の頭皮の色（赤み、湿疹、かさぶたの有無）
• かゆみや痛みの有無
• 脱毛斑の周りの毛の状態（切れ毛が多いか）

これらの情報を整理しておくと、病院を受診した際に医師に正確に症状を伝える助けになります。

病院受診を推奨する症状

単発型で小さいものであれば、自然に治癒するケースも報告されています。しかし、以下のような場合は、自己判断で放置せず、早めに専門の病院を受診することを強く推奨します。

まず、脱毛斑が徐々に大きくなっている（拡大傾向）場合です。これは脱毛症が活動期であり、進行しているサインかもしれません。

また、脱毛斑の数が2つ以上に増えた（多発型）場合や、最初から複数の脱毛斑がある場合も、症状が広がる可能性があるため注意が必要です。

頭皮にかゆみ、赤み、痛み、湿疹などを伴う場合も受診が必要です。これらは円形脱毛症以外の皮膚疾患（脂漏性皮膚炎や頭部白癬など）の可能性も否定できず、適切な診断が求められます。

さらに、眉毛やまゆ毛、体毛など、頭髪以外の毛も抜け始めた場合や、爪に点状のへこみや変形が見られる場合も、円形脱毛症が進行しているサインのことがあり、皮膚科での相談が必要です。

放置するリスク

10円はげを「そのうち治るだろう」と放置することにはリスクが伴います。

円形脱毛症は進行性の疾患である場合があり、放置している間に単発型から多発型へ、さらに範囲が広がって全頭型など、より重症なタイプへ移行する可能性があります。

症状が進行してから治療を始めると、その分、回復までに時間がかかる傾向があります。

また、前述の通り、脱毛の原因が円形脱毛症ではなく、他の皮膚疾患や内科的な疾患（甲状腺機能異常など）である可能性もゼロではありません。

原因を特定しないまま放置することで、本来治療すべき病気が見逃されてしまうリスクもあります。不安な日々を過ごすよりも、一度専門家に相談し、適切な診断を受けることが心の安心にもつながります。

10円はげの病院は何科を受診するべきか

10円はげの症状に気づいたら、何科の病院を受診すれば良いのでしょうか。最も適切な診療科は「皮膚科」です。その理由と、他の選択肢について解説します。

迷ったら「皮膚科」が第一選択

円形脱毛症は、毛髪の病気であると同時に「皮膚」の病気の一つとして分類されます。

毛根は皮膚組織の一部であり、そこで起きている免疫系の異常が原因であるため、皮膚の専門家である皮膚科医が診断と治療を担当するのが一般的です。

皮膚科では、視診やダーモスコピー（特殊な拡大鏡）による頭皮の状態の確認、必要に応じた検査を通じて、その脱毛が本当に円形脱毛症なのか、それとも他の原因による脱毛なのかを診断します。

そして、診断結果に基づいて、個々の症状や進行度に応じた治療法を提案します。

皮膚科以外で相談できる診療科

基本は皮膚科ですが、脱毛の背景に他の要因が強く疑われる場合、他の診療科が関わることもあります。

例えば、脱毛と同時に強い全身倦怠感、体重の変動、動悸など、明らかに全身の不調がある場合は、まず「内科」やかかりつけ医に相談し、甲状腺機能異常など内科的疾患の有無を調べることが必要な場合もあります。

また、非常に強い精神的ストレスが引き金になっていると自覚している場合は、「心療内科」でのカウンセリングが心のケアにつながることもあります。

ただし、これらの科では脱毛自体の直接的な治療は行わないことが多いため、脱毛の治療を主目的とする場合は、やはり皮膚科が窓口となります。

専門クリニック（薄毛治療）との違い

近年、テレビCMなどで「薄毛治療専門クリニック」や「AGAクリニック」を目にする機会が増えました。

これらは主に、加齢やホルモンの影響による「壮年性脱毛症（AGAやFPHL＝女性型脱毛症）」の治療を自由診療（公的医療保険が適用されない診療）を中心に行っている施設です。

一方で、円形脱毛症は原因が異なる「疾患」であり、その治療は多くの場合、皮膚科で保険診療（公的医療保険が適用される診療）を中心に行われます。

もちろん、専門クリニックの中にも円形脱毛症の相談を受け付けているところはありますが、まずは保険診療が可能な一般の皮膚科を受診し、正しい診断を受けることが経済的な負担も考慮した上での適切な順序と言えるでしょう。

診療科・施設ごとの主な対応範囲

診療科・施設	主な対象	治療の主体
皮膚科	円形脱毛症、脂漏性皮膚炎など皮膚疾患による脱毛	保険診療が中心（治療法による）
薄毛治療専門クリニック	壮年性脱毛症（AGA、FPHL）	自由診療が中心
内科・心療内科	背景にある全身疾患や精神的ストレス	脱毛の直接治療ではなく、原因へのアプローチ

病院（皮膚科）で行う主な検査

皮膚科を受診すると、まずは脱毛の原因を特定するための検査を行います。不安に思う必要はありません。どのようなことが行われるのか、事前に知っておきましょう。

問診で伝えるべきこと

医師が診断を下す上で、患者さんからの情報は非常に重要です。

診察室では、以下の内容をできるだけ正確に伝えられるよう、事前に記憶を整理しておくとスムーズです。

問診で準備しておくと良い情報

項目	確認する内容
脱毛について	いつ頃気づいたか、脱毛斑の大きさや数の変化、かゆみや痛みの有無
既往歴	アトピー性皮膚炎、甲状腺疾患、その他の自己免疫疾患の有無
家族歴	血縁者に円形脱毛症や自己免疫疾患の人がいるか
生活状況	最近の大きなストレス、生活環境の変化、睡眠・食事の状況
服薬状況	現在使用中の薬やサプリメント（あれば、お薬手帳を持参）

特に女性の場合、妊娠・出産の時期や月経周期に関する情報も、ホルモンバランスとの関連を探る上で参考になることがあります。

視診とダーモスコピー検査

問診の後は、医師が実際に頭皮の状態を目で見て確認（視診）します。脱毛斑の形、大きさ、色、毛穴の状態、周囲の毛髪の様子などを詳細に観察します。

このとき、「ダーモスコピー」という特殊な拡大鏡（虫眼鏡のようなもの）がよく用いられます。

ダーモスコピーを使うと、肉眼では見えにくい毛根の状態や、円形脱毛症に特徴的な「感嘆符毛（！マークのように見える切れ毛）」の有無などを詳しく観察でき、診断の精度を高める助けになります。

血液検査

円形脱毛症が疑われる場合、特に症状が広範囲であったり、再発を繰り返したりする場合には、血液検査を行うことがあります。

これは、円形脱毛症の背景に、甲状腺機能異常（橋本病やバセドウ病）や膠原病といった他の自己免疫疾患が隠れていないか、また、鉄欠乏性貧血など脱毛に影響を与える可能性のある全身状態がないかを調べるためです。

すべてのケースで行われるわけではありませんが、原因を多角的に探るために重要な検査です。

その他の検査

非常にまれですが、診断が難しい場合や、他の皮膚疾患との鑑別が必要な場合には、「皮膚生検」を行うことがあります。

これは、局所麻酔をして脱毛部の皮膚を小さく（数ミリ程度）採取し、顕微鏡で組織の状態を詳しく調べる検査です。

円形脱毛症の診断でいきなり行われることは少なく、一般的な検査で診断がつかない場合の選択肢となります。

10円はげの主な治療法

皮膚科で円形脱毛症と診断された場合、症状の範囲や重症度、年齢、患者さんの希望などを総合的に考慮して治療法を決定します。一般的に行われる主な治療法を紹介します。

ステロイド外用薬（塗り薬）

最も一般的で、最初に行われることが多い治療法です。円形脱毛症の原因である毛根周囲の免疫の異常（炎症）を抑えるために、ステロイドを含む塗り薬（ローションや軟膏）を脱毛斑に塗布します。

ステロイドと聞くと不安を感じるかもしれませんが、医師の指導のもと、適切な強さの薬を適切な期間使用すれば、副作用のリスクは低いと考えられています。

特に、脱毛斑が少数で範囲が狭い（単発型など）場合や、お子さんの治療でよく選択されます。

ステロイド局所注射

外用薬だけでは十分な改善が見られない場合や、脱毛斑が固定化している場合に検討される治療法です。ステロイド薬を、脱毛斑の皮膚に直接、細い針で注射します。

薬剤が直接患部に届くため、外用薬よりも高い効果が期待できるとされています。ただし、注射の際にはチクッとした痛みを伴います。

また、注射した部位が一時的にへこむ（皮膚萎縮）などの副作用が起こる可能性もあるため、広範囲への使用は難しく、主に脱毛斑が少数で固定している成人に用いられます。

局所免疫療法

これは、特殊な化学物質（SADBEやDPCPなど、かぶれを起こす物質）を脱毛斑に意図的に塗布し、軽い接触皮膚炎（かぶれ）を起こさせる治療法です。

なぜかぶれさせることが治療になるかというと、かぶれ（アレルギー反応）を起こすことで、毛根を攻撃している免疫細胞の働きを別の方向（かぶれへの反応）に向けさせ、結果として毛根への攻撃を弱め、発毛を促すと考えられています。

この治療は、脱毛範囲が広い多発型や全頭型など、重症の場合に選択されることが多いです。治療には数ヶ月から1年以上の期間が必要で、かぶれの強さを調整しながら根気よく通院する必要があります。

主な治療法の特徴

治療法	主な対象	特徴
ステロイド外用薬	軽症（単発型、多発型初期）、小児	自宅で塗布可能。痛みはない。
ステロイド局所注射	単発型・多発型（固定している）、成人	外用薬より高い効果が期待できる。注射時の痛みを伴う。
局所免疫療法	重症（多発型、全頭型、汎発型）	意図的にかぶれさせる。根気強い通院が必要。

その他の治療選択肢

上記の治療法以外にも、症状や施設によっては他の選択肢が提案されることもあります。

例えば、「紫外線療法（PUVAやナローバンドUVB）」は、特定の波長の紫外線を脱毛斑に照射することで、免疫の働きを調整する治療法です。

また、内服薬（飲み薬）として、抗アレルギー薬や血流改善薬が補助的に用いられることもあります。

最近では、より新しい作用を持つ内服薬（JAK阻害薬など）も重症例に対して使用されることがありますが、これは専門的な施設でのみ行われる治療です。

治療期間と費用

治療を始めると決めたら、どれくらいの期間がかかるのか、費用はどれくらいか、という点も気になるところです。大まかな目安について触れます。

治療にかかる期間の目安

円形脱毛症の治療期間は、個人差が非常に大きいのが実情です。

症状の重症度（単発型か多発型か）、発症してからの期間、年齢、治療法への反応性などによって、数ヶ月で改善する人もいれば、1年以上の治療が必要な人もいます。

一般的に、単発型で範囲が狭いほど、治療期間は短い傾向にあります。

発毛が始まっても、すぐに治療をやめると再発することがあるため、医師が「もう大丈夫」と判断するまで、自己判断で通院を中断しないことが重要です。

治療費用の考え方

円形脱毛症の治療は、原因が明確な「疾患」の治療として行われるため、皮膚科などで行う検査や、ステロイド外用薬、局所注射、局所免疫療法などの標準的な治療の多くは、公的医療保険の適用対象となります。

そのため、窓口での負担は、かかった医療費の一部（通常は1割～3割）となります。

ただし、治療法によっては（例えば、一部の紫外線療法や、承認されていない薬剤の使用など）、保険が適用されず自由診療となる場合もあります。

初診時に、どのような治療法があり、それぞれ保険適用なのかどうかを、病院で確認しておくと安心です。

治療中も髪は生えてくる？

適切な治療が行われると、多くの場合、脱毛斑から細く柔らかい産毛のような毛（毳毛）が生え始めます。これが、発毛のサインです。

この産毛が徐々に太く、色のあるしっかりとした毛（硬毛）に成長していきます。毛髪が成長するスピードには個人差がありますが、一般的に髪は1ヶ月に約1cm伸びると言われています。

元の長さに戻るまでには時間がかかりますが、産毛が生えてきたら、治療が順調に進んでいる証拠と捉え、焦らず治療を続けましょう。

10円はげを悪化させないためのセルフケア

病院での治療と並行して、日々の生活習慣を見直すことも、円形脱毛症の改善と再発防止のために大切です。

治療の妨げになる要因を減らし、健やかな頭皮環境を整えましょう。

ストレス管理と十分な睡眠

円形脱毛症の引き金の一つとして、精神的なストレスが指摘されています。とはいえ、現代社会でストレスをゼロにすることは難しいでしょう。

大切なのは、ストレスを溜め込みすぎず、自分なりの解消法を見つけることです。

趣味の時間を持つ、適度な運動をする、信頼できる人と話すなど、心がリラックスできる時間を作ることが重要です。

また、睡眠不足は自律神経の乱れにつながり、免疫機能にも影響を与えます。質の良い睡眠を十分にとるよう心がけ、生活リズムを整えることが、体全体の健康、ひいては頭皮の健康にもつながります。

バランスの取れた食生活

髪の毛も体の一部であり、日々の食事から作られています。特定の食品が円形脱毛症を治すわけではありませんが、健やかな髪を育てるためには、栄養バランスの取れた食事が基本です。

特に、髪の主成分である「タンパク質」、頭皮の健康を保つ「ビタミン類」、そして毛髪の成長を助ける「ミネラル（特に亜鉛）」は重要です。

偏った食事や無理なダイエットは避け、肉、魚、卵、大豆製品、野菜、海藻類などをバランスよく取り入れた食事を心がけましょう。

髪の成長をサポートする主な栄養素

栄養素	主な役割	多く含む食品例
タンパク質	髪の主成分（ケラチン）の材料となる	肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
ビタミンB群	頭皮の新陳代謝を助け、皮脂の分泌を調整する	豚肉、レバー、うなぎ、マグロ、納豆
亜鉛	タンパク質の合成を助け、細胞分裂を促す	牡蠣、レバー、牛肉（赤身）、チーズ

頭皮への刺激を避けるヘアケア

脱毛斑はデリケートな状態です。頭皮に余計な刺激を与えないよう、日々のヘアケアにも注意を払いましょう。

シャンプーは、洗浄力が強すぎるもの（高級アルコール系など）を避け、アミノ酸系などの低刺激性のものを選ぶと良いでしょう。

洗髪時は爪を立てず、指の腹で優しくマッサージするように洗い、すすぎ残しがないよう十分に洗い流します。ドライヤーは、熱風を脱毛斑に直接当てすぎないよう、少し離して乾かすようにしましょう。

また、パーマやヘアカラーは、頭皮への刺激が強いため、症状が落ち着くまでは控えるのが賢明です。

髪型を工夫して、脱毛斑が目立たないようにカバーするのも、精神的なストレスを軽減する一つの方法です。

よくある質問

最後に、10円はげ（円形脱毛症）に関して、多くの方が疑問に思う点についてお答えします。

10円はげは自然に治りますか？

脱毛斑が1つだけで小さい（単発型）場合、特に治療をしなくても数ヶ月から1年程度で自然に毛が生えそろい、治癒するケースもあります。

しかし、これはすべての人に当てはまるわけではありません。自然治癒を期待して放置している間に、脱毛斑が大きくなったり、数が増えたりして症状が悪化する可能性もあります。

自己判断は難しいため、症状に気づいたら一度皮膚科で相談し、現在の状態を正しく診断してもらうことをお勧めします。

治療中に気をつけることはありますか？

医師の指示に従い、処方された薬を正しく使用し、通院を続けることが最も重要です。治療効果はすぐには現れないことが多いため、焦らず根気よく取り組む姿勢が求められます。

また、前述したように、ストレスを溜めない、十分な睡眠をとる、バランスの良い食事をするといった生活習慣の見直しも、治療をサポートする上で大切です。

頭皮を清潔に保つことは必要ですが、過度に洗いすぎたり、強くこすったりしないよう注意しましょう。

髪を洗っても大丈夫ですか？

はい、問題ありません。脱毛を恐れてシャンプーを控えると、かえって頭皮環境が悪化し、フケやかゆみの原因となり、毛の成長に良い影響を与えません。

頭皮を清潔に保つために、シャンプーは必要です。ただし、洗い方には注意が必要です。

低刺激性のシャンプーを選び、爪を立てずに指の腹で優しくマッサージするように洗い、シャンプー剤が残らないよう、ぬるま湯で丁寧にすすぎましょう。

育毛剤は使っても良いですか？

市販されている「育毛剤」や「発毛剤」の多くは、加齢による薄毛（壮年性脱毛症）を対象としたものです。

円形脱毛症はそれらとは原因が異なるため、自己判断で使用しても期待する効果が得られない可能性があります。

むしろ、薬剤の刺激によって頭皮の状態が悪化する懸念もあります。

まずは皮膚科での治療を優先し、もし市販のヘアケア製品を使いたい場合は、必ず治療を受けている医師に相談してから使用するようにしてください。